我が姉上の栄光の一頁目を邪魔した屑男を睨み付けつつ、アリーナ中央へと歩いて向かいながらブレイクガンナーのデストラクションマズルを押し込み。
『
ガンメタルバイオレットの装甲を纏いてアリーナ中心部にて屑男を待ち構える。
「魔進チェイサー、推して参るぞ」
「オリャアァアァアッ!!」
私が名乗ろうと屑男は返答せずに刀剣を突き上げるように振るってきた。良いモノを持っているようだが、使い手が馬鹿では使い物にならんな。刀剣を受け止め、零距離でエネルギー弾を放つ。…ふむ、少し出力を下げるか。そんな事を考えている間に刀剣を握っていた筈の屑男が壁際まで逃げていた。
……先程、姉上の戦闘を妨害した癖に逃げるのか。フツフツと怒りが込み上げてくるが『戦闘で激情など三流のすることです』という姉上の助言を思い出し、怒りを制する。
よく聞けば観客席の者達もヒソヒソと屑男のダメさを話し合っていた。当然だな。戦闘妨害だけでなく戦闘放棄すら行っているのだ。
『
ブレイクガンナーにバイラルコアを装填する。右腕に銀盾のようなモノと鋲の付いた鞭が出現する。
「さっさと来いッ!!」
屑男は装着している『IS』に巻き付け、引っ張り寄せると反動を利用して強烈な左ストレートを土手っ腹に叩き込んだ。うむ、今の一撃は中々のスピードとパワーが乗っていたと思うぞ。屑男は「卑怯」だの「正々堂々」だのと騒いでいるが、先程まで逃げていた。お前が言える言葉ではないぞ。そんなことは、どうでもいい。ドライバーを取り出し、腰に押し付けて装着する。
『
『
「この姿は見せたくなかったが。貴様は、この場で潰すッ!!」
ガンメタルバイオレットの装甲が弾け飛び、少しスリムになったチェイサーがアリーナに出現する。
『
『
「デリャアアァアァッ!!!」
スロットを上げてスイッチを押し込み。スロットを押し戻すと飛び上がり、屑男に向かって落下しながらキックを叩き込む。
『
着地すると爆風を背に浴びながらシグナルバイクをドライバーから引き抜き、母上と姉上の待っているピットへと向かう。……しかし、反省する点は有ったな。最後の最後で姉上への狼藉に対する殺意が出てしまった。反省せねばな。