私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第8話『なにが織斑一夏を動かすのか』

 

 

食堂にてタバネ博士と『IS宇宙運搬型特殊車両』について話し合っているとイチカ・オリムラが隣に座ってきた。なにやら不穏な空気に包まれており、タバネ博士も不自然なモノを見るようにイチカ・オリムラを見ている。いや、危険なモノを見ている時の科学者の目だ。

 

「フランツェスカさん、俺に『ドライバー』をください!」

 

「お断りします」

 

あ、流れるように断ってしまった。いや、まあ、当然なんだけどね。タバネ博士も居合わせたチフユ先生も頷いている。と言うよりもタバネ博士から『白式』を貰っている筈だよね?等と思いつつ、タバネ博士に視線を向けると無表情だった。

 

最近では妹さんとの関係が修復できそうだと嬉しそうに話していた人とは別人に見えた。

 

イチカ・オリムラを押し退けてタバネ博士を保健室へと連れていく。……チフユ先生も同行してくれているため落ち着いているが、抑え切れない怒りを感じている。

 

「ちーちゃん、あのガキは科学者を馬鹿にしてるの?」

 

「…すまん」

 

「装備や機体の改良なら許せるよ?でもね、ちょっと乗っただけで機体を変更するのは科学者に対する冒涜だよ?」

 

タバネ博士の愚痴を聞きながらドアの前に立っている生徒を招き入れる。小柄でツインテールが特徴的な女の子だ。先程の騒動が気になって聞きに来たのかな?等と考えていると「ファンか」とチフユ先生が口にした。ファンさんですね。

 

「ちーちゃん、この子って中国の麒麟児だよね?えーっと、名前…なんだっけ?」

 

「鳳鈴音です」

 

「ファンさん…ですね。先程の騒動が話ですが、他言しないでください」

 

何度も頷きながら出ていった。あの子、決意したような顔でしたね。なにかしら、胸の内に秘めているんですかね。まあ、そんなことよりもタバネ博士の機嫌を直さないと破壊活動を行いそうですからね。愚痴を聞いてあげましょう。

 

「大体ね。『IS』を1機を作るのに何十時間掛かると思ってるわけ?こっちは決闘の話を聞かされて1週間で仕上げたんだよ?普通だったら1ヶ月や半年は欲しいんだからね?それなのに束さんが作った『IS』じゃないと乗らないとか言い出したり、負けたらフーちゃんに『ドライバー』を作ってくれとか。ちーちゃんが居るけど。言わせてもらうね?あのガキ、頭可笑しいんじゃないの?人の苦労や労働は関係無いとか思ってるの?授業中もラーちゃんやクーちゃんの『ドライバー』を見てるしさ。なんなの?」

 

長々と愚痴を吐き散らしていたタバネ博士の勢いが無くなり、チフユ先生は複雑そうな表情を浮かべていたが、余りにもイチカ・オリムラの所業が許せなかったのか。タバネ博士の言葉に同意しており、今後の議題として『織斑一夏強制教育計画』を話し合うことになった。

 

会って数日だがイチカ・オリムラの発言や行動には不穏な点が多い。私に『ドライバー』を作って欲しいが為に、整備室や教員寮の前で待ち伏せ等の行為を行っている。最早、ストーカーと変わり無いな。等と考えているとホウキさんが保健室に入ってきた。

 

「織斑先生、ボーデヴィッヒ副室長…。姉さん、その……私に『専用型IS』は早いです。ですので、姉さんが『篠ノ之箒は強くなった』と確信した時、一緒に作りましょう」

 

私の後ろから「篠ノ之は良い子に育ったのに…。なぜだ?教育を間違えたのか?」等のブツブツと呟く声が聞こえてきました。タバネ博士は自分と一緒に妹が『IS』を作る光景を妄想しつつ、見惚れるような笑顔を浮かべながら「うん!一緒に作ろうね!」と約束していた。

 

チフユ先生は二人を羨ましそうに見ており、私は屈託の無い笑顔を浮かべている。タバネ博士に姉妹関係を取り戻せた事を心の中で祝いつつ、ペアルックでも作ってあげようかな?等と考えているとイチカ・オリムラが入ってきた。しかもノックせずにだ。ここが女子校だと分かっているのか?と思いながら見ているとチフユ先生に殴り飛ばされていた。まあ、当然の結果だと思うね。

 

『世界最強』の称号は伊達ではないらしい。イチカ・オリムラは一撃失神している。チフユ先生は「私の弟だ。私が正さなくては」等と呟いており、正直に言えば怖いです。

 

 

 

 

 


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