私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

9 / 49
第9話『その胸に秘めた想いはなにか』

 

 

昨日のチフユ先生の殴打事件を思い返しつつ、ラウラとクロエを起こしに部屋へと向かう。相変わらず一つのベッドを共有するように眠っており、枕元にはドライバーが置かれている。愛らしい光景と恐ろしい光景が混ざり合ったカオスな空間だな。と思いながら揺り起こすとクロエに赫灼とした真っ赤な瞳で見られた。

 

目を覚まさないラウラを抱っこしながら洗面台に向かう。顔をタオルで拭うクロエの隣に立ち、バシャバシャとラウラに温い水を浴びせてからタオルで拭う。

 

クロエのタオルには白兎の刺繍があり、ラウラのタオルには黒兎の刺繍が入っている。私のはビッグラビットが刺繍がある。

 

漸く目が覚めたのか。ヨロヨロと歩きながらクローゼットへ向かい着替え始めるラウラと、髪を束ねるリボンを選んでいるクロエは黒いリボンで髪を束ね始め、ラウラは白いシュシュで垂らすようなポニーテイルを作っている。

 

「母さん、食堂へ行きましょう」

 

「母上、準備できました」

 

「それじゃあ、行きましょうか?」

 

慌ただしくない普通の朝を迎えて教員寮を出ようとした瞬間、ラウラとクロエの表情が険しくなった。そりゃあ、まあね。イチカ・オリムラが待ち伏せしてたら機嫌も悪くなるよね。…私も怖いもの。昨晩、作った『チフユベル』を鳴らすと全速力で突進してきたチフユ先生によってイチカ・オリムラは撤去された。うん、安全に進めそうだね。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

整備室でサラシキさんにコンバットスーツ型『IS』の作成方法を聞かれたので、呼び出す際に粒子化する事や呼び出す位置を固定化する事を教えてみた。感心しながらスーパー戦隊に出てきそうなフォルムの『IS』設計図を見せてくれた。……ちょっとした出来心で作った『V-Commander(ブイコマンダー)』を見せたら目をキラキラと輝かせていたので見本として渡すことにした。

 

音声入力のため、最初に声を掛けた人しか使えない事を伝えたけど。普通に「タイムファイヤー!」と叫ばれた。クロノ粒子が奔出され、クロノスーツを纏ったサラシキさんがキャーキャーと嬉しそうに騒いでいた。一応、説教したけど。

 

最終的には『V-Commander』を譲渡する事になった。あんなに嬉しそうな表情を浮かべている子供から取り上げるなんて出来ませんでした。そしたらチフユ先生の受け持っている教室の生徒からも「いーなー!いーなー!」と言われ始め、贔屓など教員にあるまじき行為だったために渡すことになった。1年1組と1年4組の主力が決まった気がするよ。

 

「ボーデヴィッヒ副室長、ありがとうございます!大切に使います!」

 

サラシキさんが代表して感謝の言葉を掛けてくれましたけど。名乗りや呼び方の話や原作の事は控えながら『未来戦隊タイムレンジャー』だと教えつつ、サラシキさんの持つ『V-Commander』は司令官の立ち位置だと伝えると「アイム・ア・コマンダー!」とか叫んでいた。うん、そうだね。良かったね。

 

まあ、あとで職員室で謝罪と与えたことを伝えないとダメですね。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。