天空の城の世界に憑依転生した   作:あおにさい

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 よお、久しぶりだなぁ。調子はどうだ? 儲かってるか?

 まてまて、そんなに邪険にすんなよ。いいじゃねぇか。ほら、一杯奢るぜ。飲め飲め。

 

 ああ、旅行じゃねぇよ。ちょいと従兄弟の結婚式に呼ばれてなぁ。はるばる船乗って行ってきてやったぜ。いやぁ、べっぴんな嫁さん貰いやがってよー。まったくうちのと交換してもらいたいくらいだわ。

 

 そうそう、帰りの船でよ。面白い話を聞きかじったんだよ。ん? 聞きたいか? いいだろう、聞かせてやろう。いやまて、逃げるな。マジで面白いから。

 

 お前さ、空飛ぶ島って知ってるか? いや映画じゃねぇし、小説でもなくてな。俺らのじいさん世代くらいだと、結構知ってるんだけどよ。俺もガキん頃、じいさんに聞いてな。ある飛行士が空を飛ぶ島を見つけたってんで、新聞やら世間やらが大騒ぎになったっつー詐欺話だ。ほら、聞いたことあったろ? そう、あれだよ。あの稀代のペテン師ってやつさ。

 ああ、そのペテン師のことじゃなくて、空飛ぶ島の話よ。

 帰りの船でたまたま船室が一緒になった男がな、空飛ぶ島の財宝で成り上がった家系だっつーのよ。暇つぶしの雑談だったんだが、これが思いの外盛り上がってな。

 空飛ぶ島の財宝だぜ? いやあ、笑うよな。俺も笑ったもんよ。そいつも根っから信じているわけでもなし、元海賊だとかいう曾祖父さんがそう言ってたんだとよ。その話がまぁ、荒唐無稽で面白くてな。お前の物書きのネタにでもしてくれよ。

 始まりは、ある海賊が軍の暗号通信を傍受したところからだ。とんでもねぇ価値のある宝石が、とある田舎にあるという情報でな……

 

 (中略)

 

 で、空飛ぶ島は海の藻屑と化しました、とこうくるわけよ。いやはや、これが劇や映画だったらさぞ面白そうだろ?

 いや、さすがに実話じゃないだろ。わかってるわ、そんなん。与太話だっつの。

 証拠はぜーんぶ深い海ん中、財宝は早々に分解して売っぱらうわで、なんにも証明できないところがミソだよな。そいつの曾祖父さんも大分ボケてたらしいし。

 そもそも、あの時代の海賊で飛行船持ってたのは、かの義賊ドーラ一家くらいだろ? そのあとはデカい軍船だの軍艦だのがガンガン飛び始めたもんだから、空を縄張りにしようなんて賊は出なかったらしいしな。

 そうそう、そのとおり。ご先祖様がドーラ一家の船員かもしれねぇなんて、そこら中で吹かれるホラだよな。いや、この話の面白いところは、義賊ドーラ一家が古代王族の末裔に手を貸したってところっつーのはわかるんだがな。さすがにねぇよ、って話だ。

 面と向かっちゃ言えなかったが、あいつの曾祖父さんは、きっとドーラ一家のファンとか助けられた貧困層とかだったんだろうなぁ。

 お? お? その顔はネタにしちまおうって顔だろ。儲けたら盛大に奢れよ。俺が! ネタ提供してやったんだからな。

 いやぁ、この与太話聞いた時から誰かに話したくてうずうずしててよお。船で会った男も、案外そういう気持ちだったのかもなあ。

 幻の国、天空の城ラピュタか。くう、ロマンだねぇ。




あとがき

 まずは偉大なる原作「天空の城ラピュタ」に心からの敬意と感謝を捧げます。そしてにわか知識のふわっとした妄想で何もかもを突っ走ったことを謝罪いたします。
 小説版も読んでいないし関連書籍も見たこと無いです。録画したテレビ放映と、ウィキと、ネットに転がっている裏話と噂話と妄想をごった煮しました。やっつけで本当に申し訳ない。原作愛はあるんです、本当です。お察しかと思いますが、作者はムスカが大好きです。いじられたり、コラを作られたり、台詞で遊ばれたりするムスカが大好きです。きれいなムスカもきたねぇムスカも等しく好きです。よき悪役は、二次創作魂を震わせてなりません。
 作者名も、かの名台詞「特務の青二才が(by将軍)」から頂きました。ありがとう、ムスカさん。

 改めまして、辛抱強く読んでくださった皆様方、評価、感想、誤字脱字報告、ありがとうございました。おかげさまでモチベーションが続きました。勢いで投稿した「幕間」後も続けることができたのは、読んで下さる方がいたからです。
 頂いた感想と評価は残さず食べました。鋭い指摘をいただいたり、褒めて貰ったり、あとがきに反応してくださったり、ニヤニヤが止まりません。美味い。むしゃむしゃ。
 妄想はひとまず落ち着いたので、これにて完結マークを付けさせていただきます。お付き合い頂きまして、ありがとうございました。

**

 「9」までに頂いた感想に対する返信です。申し訳ありませんが、まとめて意訳し、細かく拾ってはいません。

>好き
>面白い
>もっとやれ
 ありがとうございます。嬉しくて、モチベーションも上がりました。応援してくれる人がいるって、かなりやる気でますね。

>シータくんの王様ムーヴ
 これがやりたくて書いたんです。妄想のはじまりは王様ムーヴするシータでした。
 前世は病気の女の子が、原作知識を生かして少年王ムーヴするの良くない? 作者は大好きです。女→男のTSはBL系が多いけど、友情ものとか冒険ものだってもっと増えていいと思う。

>臣下ムスカ
 幕間で描写した通り、ムスカさんはテンション爆上げ、臣下ムーヴを楽しんでいらっしゃいます。たぶんこの先ずっと楽しんで過ごします。

>ヒロインムスカ
>ヒロイン不在
>パズーもヒロイン
>ドーラがヒロイン?
>むさくるしい
 ヒロイン不在につき、バタフライエフェクト発生中ww
 ぶっちゃけ、この類の感想とかツッコミが一番楽しくてくっそ笑った。
 圧倒的支持により、この作品のヒロインはムスカに決定しました。つまり本作は、ムスカ救済ものだったんですね!?

>冒険とロマン
 悔しいことに、作者の筆ではこれが描ききれなかった感があります。序盤でわくわくさせたくせに、5以降の展開でテンション下がった読者様がいたかなぁと反省。
 魔法っぽい不思議な石が出てくるのでファンタジー的な世界だと思っていたんです。幕間投稿後に知ったのですが、世界観はSF寄りなんですよね。冒険させるには、SFやスチパンの知識が足りんかった。ごめん。

>キャラクターの掘り下げ
 ジブリ作品だし、好き勝手いじったので批判覚悟だったのですが、とても好評でビビりました。もっとやってもいいと受け取って、さらに好きにやらせて頂きました。ありがとうございます。

>未来少年コナン
>ルパン第二期
>ムスカの子孫
 感想で頂いてから調べました。無知で申し訳ない。ムスカ妻子持ちかよ、びっくりした。
 原作映画の情報から、1870~80年代くらいかなと思って書いています。ソースはパズーの父親が撮ったラピュタの写真の文字(1868.7)です。
 作品同士のつながりについては、無視する方向で捏造と改変をしました。コナンやルパンは視聴していないのでわからないんです。
 拙作のその後の未来については、お好きなようにご想像ください。

>ムスカのセリフ
 感想で頂いたセリフノルマには笑いました。こういういじり方されるムスカが好きなんです。
 原作シーンを知っていると、同じセリフで意外性と一緒に感動のようなものをお届けしたいなと思っていた次第です。さすがに字面だけで悪役セリフになってしまうようなのは無理でしたが、いい場面で言ってもらうことが出来ました。「君も男なら聞き分けたまえ」は我ながら渾身の出来でした。褒めてもらってドヤ顔さらしています。( ・´ー・`)どや

>キツネリス……
 ごめん。動物たちと園丁ロボットには最初から眠ってもらう予定でした。シータくんはそれも込みで「幻」とか「沈める」とか言ってます。
 人間の身勝手だね、ごめんね。

>石と話してる?
 お好きに受け取って下さい。
 作者のイメージとしては、独り言に近いです。

>映像が浮かぶ
>ここでCM
 記憶に残っている映像があると、文章からでも自然と頭の中で想像できるんですよね。原作の力です。有名作品ならではだと思います。ありがたや。
 原作のイメージを極力壊さないように、雰囲気を寄せようと努力していたので、こういった感想を頂けてとても嬉しいです。

>ラピュタの中見て回って
>三人のラピュタオタク
 三人組は思う存分ラピュタ探索、一ヶ月くらいドーラ一家とわいわいしながら軍から逃げて、そのあとひっそり海の上でバルスるのが理想形だよなぁと作者も思います。そうしてあげたいなぁと。でも、物語として描くには難しかった。
 そして何より、ラピュタを全部探索して明確にしてしまったら、それは原作に対する冒涜だと思うんです。三人組の考察シーンをぼかしたのは、作者の勝手な捏造と妄想を垂れ流すのが嫌だったからなんですよね。二次創作とはいえ、ラピュタについての詳しい推測や考察をキャラクターに語らせるのは、原作ファンとしてどうしても無理でした。
 なんかこう、読者の皆様の各々の頭の中でいい感じに考察シーンを入れてください。

**

 ひとつ、心残りが有りまして。ポムじいさんが一切出てこないことです。洞窟入った時に出そうとしたんですけど、原作でもよくわからん感じの人で掘り下げることが出来ませんでした。ネットで拾い上げた一説によると、ラピュタ支配期の労働者身分の末裔だとかで。シータくんと絡ませてみたのですが、キャラ崩壊するし、何喋らせたらいいのかわからないし。人物像が捉えられず、ポムじいさん感がまったく出せなくて出番ごとなくなりました。完全に力量が不足している作者の責任。ああいう人物描くの、すごく難しい。やっぱジブリってすごいわ。キャラクター像が掴めた暁には、加筆するのもありかなと思っています。

**

※人によっては蛇足なので、ここから注意。
 その後をざっくり羅列しています。


ドーラ一家
 案の定政府と軍に目をつけられたので、拠点を変更。しばらく大人しくしていたが、数年後には再び海賊活動を始めた。浮遊島の財宝は色んな手段で換金したが、拠点変更の際に散財してしまいあんまり残っていない。
 なお、子孫がぺろっとどこかの誰かに冒険譚を漏らしてしまった模様。

軍と政府
 ゴリアテが着いたときには海にすごく大きな木が浮いていただけだった。黒眼鏡ズはとても怒られたし、結局一度も登場しなかった将軍は上層部から責任追及され、もしかしたら降格したかもしれない。
 すごく頑張ってサルベージしたけど、全部ぶっ壊れていて歴史史料にしかならんかった。
 数年の間、血眼になってドーラ一家やムスカ大佐やシータくんを探すことになる。

パズー
 炭鉱の町に帰って、飛行機制作になおいっそう力を入れた。新しい友人二人とは、手紙を交わし時折会って酒を飲む仲。
 たまにゴロツキにしか見えない男やばあさんが訪ねてくるらしい。

ムスカ大佐
 今回の騒動の犯人1。見つかったら極刑に処される。行方不明。

ゴンドアの谷のシータ
 今回の騒動の犯人2。見つかったら拉致監禁の末に拷問コースかもしれない。行方不明。

ロミールとリュシー
 二人組の学者が、どこぞの遺跡などで考古学の研究をしているという。両名とも古い歴史に見識が深いことで、一部では有名。
 いつも妙な変装や服装をしている変人で、馴染みのある者でも本人だとわからないまま話すことがある。のちに、個人用飛行機を所有する青年が加わり、行動範囲が広くなった。
 時々ごっこ遊びのように年下の青年が威張り、中年の男をこきつかっているらしい。

ラピュタの伝説
 すてきなおとぎばなし
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