今度こそ続きません(確信)
英語圏内のどこぞの国。とりあえず言語が通じない魔境(ガチ)。
そこそこの都会の、大きな大きな血管たる大通りの隅っこで深く頭をうずめる。
長く伸びた耳を周囲から見えないよう深くフードを被り、只管に土下座。
そのまま微動だにせず待ち続ける事数十分。
カランカラン、と。目の前の空き缶が甲高い音を鳴らした。
「……
「アリガトウ……アリガトウ……」
何をしているのか、気になるじゃろ?
……そう、みんなもやったことある筈……。
――物乞いじゃよ!
……ハァ?プライドが無い?
それでご飯が食えるのですか?(人外特有の心のない眼)
世の中金なンすよ!金がなけりゃあ生きてけねェ!金が全てだこのNEET!
あっ、まって、生言ってすみません!お腹が空いて余裕がないんです!ホントはこんな事が言いたいんじゃあありません!嘘じゃない!
ほら!この澄んだ目を見てください!(人外特有の心のない眼)
こんな目を持つエルフが卑しいわけがない!(人外特有の以下略)
「
「アリガトウ……何言ってるのかわからないけどアリガトウ……」
この町の住人優しいやつばかりかぁ~?
こんなクッソブカブカのコートを着て姿を隠した怪しいガキにお金を恵んでくれる!
女の姿で物乞いしてるとアンダーグラウンドなお兄ちゃんに絡まれる事を危惧して姿を隠してるが、これなら問題なかったかもしれんなぁ!
いや、むしろ俺の美少女っぷりなら養ってくれる人もいるのでは?
金砂の如く煌めく御髪!(長い戦場暮らしで傷んでる)
女神に匹敵する(面識なし)凛々しく整った美貌!(ガチ)
四足獣のように靭やかで均整の取れた肉体!(モース硬度9)
これは強い!
いい人っぽい人にそれとなくすり寄って――
「
「…………」
「
おっと、なんかそこはかとなくいい人っぽいおじさんがヤンキーに絡まれてる!
何言ってるのかわかんないけどロクでもなさそう!
「ふっ、これはチャンスだな」
作戦はこうだ!
1,おじさんを助ける
2,おじさん「なんて親切な美少女だ!ありがとう!」
3,俺、そこはかとなく家なき子であることを伝える
4,おじさん、俺を養う!
良し!完璧だな!
そうと決まればあのチャラ男を締め上げて恩を売――
「
チャキ。
チャラ男のくせに豪勢な金の頭髪に、黒光りする鉄の棒が押し当てられた。
それまで興味を持たずにいた周囲の人々さえにわかに足を止める。
ソレは大きく、太く、見るものを威圧する圧迫感を放っている。
今世では幾度となく触れ、そしてその先端を向けられた武力の象徴――
「
「h...a...」
「ヒェッ……」
クソでかい拳銃を突き付け、おじさんは低く唸った。
チャラ男は怯え、ただ後退る。
俺はチビッた。
「aAAAaa!!」
「に、逃げた……」
「
サッと拳銃を一回転させ、腰にあるホルスターに納めた。
周囲の野次馬達も興味を無くしたのか、またすぐに元の生活へ戻っていく。
……動じなさすぎでは……?
えぇ……この街怖……もう物乞い辞めよ……。
「
「へ……!?俺!?」
気付くと、目の前に例の怖いおじさんが膝を付いている。
その視線は間違いなく俺を見つめていた。
「
「え…!?え、えっと、仕事がない、から……」
「ほう、仕事がない?今ここでは何処も働き手不足で困っていると言うのに、君を雇わないのかい?」
「ええっと、そのぉ……」
やばいやばいやばい!
何かわかんないけどめっちゃ怪しまれてる!
目が昏い!こんなレイプ目してるとかぜってぇヤベえやつだよ!
誰だいい人っぽいって言ったやつは!
俺だ!
「身分証明、できないんだね?」
「ぴっ……」
「ふむ、それだけでは無い……国籍がないのか。そして不法入国……」
「なななななにを言って―――」
「しかも、純正の人間ではない」
カタカタと体が震える。
漆黒の瞳は瞬く間に俺という存在を解体し検品してしまった。
脳裏をこれまで見た景色が駆け巡る。
これは走馬灯――記憶の海を泳ぎ回り、この危機を乗り越えるべく過去を想起する。
俺を先導する
銃の持ち方をバナナで指南する
俺達子供組にバナナで餌付けし、管理官に叱られる
心の中のゴリラが、おもむろにこちらへ振り向いた。
ゆっくりと口が開く。
『逆に考えるんだ。バナナを渡すことで仲良くなってしまえ、と』
あっ。
こいつよく見たら
ははは、あまりにも厳つい顔と毛深い体躯で勘違いしてしまった。
ジョンは教官と違って抑えきれない優しさが目に現れてるからね。目を見ればクソゴリラとジョンの違いなんて一目瞭然――
「沈黙は肯定と受け取ろう」
「えっ」
「では、異種のお嬢さん。一緒に来てもらおうか」
「お断りしま――」
「ダメだ。一緒に来てもらおう」
おじさんが手を伸ばしてくる。
……え?強制?それまじ?誘拐ですよ誘拐!法律的にマズイですよおまわりさん――って!俺不法入国の犯罪者だったわ!どっちにしても捕まっちまうぜ!それは勘弁!
おら!収監回避パンチ!
ぺし!
「…………」
「……ふっ」
再び手を伸ばす。
ぺし!
「……ふむ」
「(無駄ですよ!)」
さっきよりも早く――具体的に言うと時速180kmの速さで右手が伸びる。
パァン!
「チッ」
「チュ!」
――アイアンクローされた。
ミシミシと頭蓋が悲鳴を上げる。
これはどうしようもなくダメなヤツではあるが――そこはかとない既視感と安心感を胸に、僅かな時間を掛けて意識を落とした。
■
「知らない天井だ」
鋼色と青く発光するラインの入り混じった、SFチックな天井が視界を占領している。
鈍く痛む頭を抑えつつ、仕立てのいいフカフカのベッドから体を起こした。
空っぽの白い花瓶と、小さな木造の机があるばかりの小さな部屋。
生憎と見覚えがない光景に首を傾げる。
「俺、何してたんだっけ……」
よくわからん言葉の通じない街で物乞いしてて、いい人っぽい渋いおじさんが実は超危険人物であることに戦慄して、それで――。
「キミはこの私を煽り、アイアンクローで沈められたのさ」
「あっ!何故か心を読む沸点が低いおじさん!」
「……ほう」
「あ!まって!それは良くない!」
本当に煽り耐性低いなぁ。
下手すりゃ孫ぐらいの年嵩の小娘にガチになっちゃうなんて!ぷんすか!
「チッ」
「チュ!」
――アイアンクローされた。
「ふおおおぉぉぉ………頭が軋むぅ……」
「まったく……」
結局、最初と同じベッドの上でおじさんから介抱を受けていた。
ヒリヒリと痛む額に冷たい湿布を貼られる。
「さて……そろそろ本題に入ろう」
「はぁい……」
よっこらせ、と。
おじさんは壁にある隠し収納のドアを開き、そこから取り出した椅子に座った。
懐から取り出した資料をパラパラとめくりながら口を開く。
「まず、キミはテロ組織『
「そこまでバレてるってマジ?」
「キミが『
「ほぼ全部じゃないっすか」
「
「あっ」
昏い瞳が俺を射抜く。
背筋が痺れ身体が固まったせいで顔をそらすことが出来ぬままに、光を拒む心のない視線を人外特有の心のない瞳で見つめ返した。
「……その耳」
「……はい」
「エルフだね。一度見たことがあるよ」
「はい」
「今は実験体として飼われているらしい」
「ヒェッ……」
予想はしていた。
確信もしていた。
やはりエルフとかいうファンタジーな生命体は、くっそつらすぎる現実に直面しているらしい。
高い身体能力、植物との感応・操作能力。限りなく不老に近い――或いは不老そのもの。
GodPedia曰くそんな特殊極まる生命なのが俺たちエルフ。
まあ研究対象になりますよね、
「そこで、だ。キミと取引がしたい」
「
「私達直属の兵士として3年間働いてもらいたい。報酬として戸籍、経歴、資金……人並みの生活が送れるように手配しよう。」
「何!?」
その差し伸べられた救いの手は赤黒い肉片がこびり着いていそうだが、コレ以上なく魅力的。血に塗れまくってるけど!断ったら実験動物ルートに突入しそうだけど!けど!
あ――やばいやばい。俺タダでさえこういう交渉事弱いのに!絶対コレ系のってなんかの穴があるって!
『騙して悪いが……』なんて未来が見える!
間違いないね!俺はちょろいんだ!
ここは何とかして穏便に断って別の方法で――
「ちなみに拠点で提供される食事は元一流ホテルレストランの料理長が担当している」
「やりますぅ♡」
おいしいご飯には勝てなかったよ……。
■
「……おかしい」
「あん?」
対面に座る強面イケメンのお兄さんが胡乱げに顔を向けてくる。
ガタンゴトンと不規則に揺れる軍用ジープの中で、一番早くに仲を深められたであろう青年――ライル・ヘーゼンにじゅうごさいは、ピッチピチの新人であるエルフ界トップクラスの美少女である俺に、アホを見るような失礼極まりない瞳で見つめてきた。
「今度は何だ?さっきまでカニ味のレーションを食えてご満悦だったじゃねえか。またハラが減ったのか?」
「確かにそろそろお腹が――ってちがぁう!」
「おっと、また我らのお姫様がご乱心だ!」
「なんだなんだ?」
「大丈夫か?大胸筋が歩くの見る?」
「マジ!?確かに見たい――ってちがう!そうじゃない!」
パシン!と眼の前に迫りくる大きな胸板を叩き付け、思わずその勢いのままに部隊長であるライルに詰め寄った。
「ライルたいちょー!俺達がこの国の戦地に到着して!14日間!なんで!休みもなしに戦ってんすか!」
「あー、たしかに長いなぁ。でもまあ、今は休憩時間みたいなもんだから」
「ちゃうねん!普通こんなに短い時間じゃなくて!傭兵なんだし一日ぐらい休みあるでしょ!」
「無いぞ」
「えっ」
「契約書、見たか?」
感情の消え失せた青い瞳に見つめられ、とっさに過去を思い返す。
あのガチこわおじさん――ローランド社長の手渡された契約書には至極真っ当な――言ってしまえば常識、人道を配慮して戦いましょう。かつ、上官の戦闘命令は絶対です。敵前逃亡はいけません。とだけ書いてあった。
そこに今のオーバーワークを許容する文面はなかった筈だ。
「その戦闘命令遵守……前後の流れからサボらず戦えっていう風に解釈するアホどもが多いようだが……実際は違う。『上官に戦うことを命令されたら拒否できない』ってことだ。何処に間違える要素があるんだ……?」
「……えっ」
つまり、あれだ。
上官が「休め!」って言わない限り延々と働かなきゃいけないってこと……?
ブラックでは?
「今気付いたのか……?」
「アホの子かな?」
「しっ!言ってやんな!」
上官のさじ加減によっては、契約した三年間休みなく戦い続けなくてはならない。そういうことか……。
……拠点のご飯、いつになったら食えるんですか?
え?ずっと食えない?
……もぅマジむり……。
「……チョコバー食うか?」
「たべる……」
「417番はよく食うなあ」
「これが戦場暮らし唯一の娯楽よ……」
甘さが染み渡るぅ……。
どれだけ荒んでも、どれだけ傷付いても食事は変わらず美味しい。
美味しいっていうのはそれだけで心を癒やす。
ああ、素晴らしいなぁ。だからその手に持ってるクッキーも喰わせてくれ!
「どんだけだよ……」
「でも太らねえし……その栄養何処に行ってんだ?」
「胸……じゃねえな。貧乳だし」
「――は?」
――部隊全員にアイアンクロー食らわせた。
■
「
「いけ!
「エルフキイイィィック!!」
鉄板が仕込まれた黒い軍用ブーツが、鋼鉄の塊である装甲車の
「装甲兵だ!いけ、シーナ!」
「エルフパアァァンチ!!」
最新鋭の人体工学によって作り出された強化外骨格を纏う兵士に一足とびで接近し、その勢いのまま顔に右ストレートをぶっぱなす。
ポーン。
鋼の加護を無視し、遍く生命の急所である首を弾き飛ばした。
「10時の方向、ビルの影!市街地特化駆動兵器を3機発見!」
「いけ!シーナ!」
「エルフスピアアアァ!」
テロリスト時代から愛用している愛槍を右手に握り締め、道路に打ち捨てられた乗用車を踏みつけ加速していく。
荒廃した都市ではあるが、過去の栄光の面影を微かに残したこの地形に何度目かになる感謝を捧げる。
大都市と言うには一歩及ばないが、それに迫る発展を幾重にも重ね複雑に入り組んだ地形は俺にとってこれ以上なく戦いやすい戦場だ。
だからこそ、視界が通り辛い地形の中、敵に発見されづらい小さな体躯で超高速で飛び回れば――
「はいドーン!」
――こうやって奇襲で吹き飛ばせる!
界隈では二足歩行ロボットとも呼ばれる6メートルほどの体躯を持つ鋼鉄の巨人の群れ、その先頭の首をドロップキックで吹き飛ばし、そのまま空中で身体をギチギチと引き絞り中枢部分であるコアを串刺しにする。
『
それを見た残りモノである二機の巨人の右腕部が花開き、内部に格納されていた大口径ライフルを構えた。
それは対物ライフルであって人に向けるものではない――そんな心の呟きは当然ながら無視され、重低音を響かせながら鉛玉の雨を降らせる――前に。
ロボットの片割れに向けて咄嗟に槍を投擲する。
「
鋼の短槍――その柄の頂点、石突が爆発した。
時代錯誤な短槍――『C8式合金特殊近接兵装』には極少量の火薬を装填したカートリッジを仕込んでおり、命令に応じた手順を辿って起爆する。
今回であればその名の通り、投擲の際に瞬間的な推進力を得ることが出来る。
そう、つまり――エルフ力×火薬の爆発力×俺の美少女力により幾何学的な破壊力を生み出すことが出来るのだ――!
ドぱァ!
鋼鉄の巨躯は
『僚機『E=CONBAT=ST0721』のシグナル途絶。敵性戦闘員に対する警戒レベルを《7》に設――設定sssssしmmmあああまsu』
ギィ。
最後の一機の合成音声を掻き消し、その体の内側から鋼の軋む音が響く。
『error。erroreeeEEEErRREroooo―――』
バァン!
内部を蹂躙した
他の戦場ではブイブイ言わせていたであろう無人小型化されたガ●ダムとて、この戦場では少しだけ強いタダの兵器だ。
この戦場での王は!エルフ界のトップアイドルたるこの俺よ――!
「次は12時の方向!小型駆動兵器二十、市街地特化駆動兵器十、戦車二十五!多分本隊に対する支援部隊だ!気付かれていない今のうちだぞ!いけぇシーナ!!」
「ちょっと待って……」
「うん?どうしたんだ?」
「大丈夫大丈夫!もうワンセットいけるぞ!」
「いけるいける!もっといける!まだまだやれる!もっと熱くなれ!」
何だこのトレーニングコーチみたいな連中は!
さっきの戦い見ておかしいと思わんのか!?
そう!俺しか戦ってねえよ!
なんでお前ら索敵だけなの!?その手の銃は飾りか!?
「いや、まぁ……」
「シーナだけのほうがさっさと片付くし」
「はぁ!?」
「シーナは給料が増える。俺たちは楽ができる。win-winだな!」
「ジーザス……」
思わず天を仰いだ。
――ああ、なんて綺麗な青空だ。
この野郎どもとは違って美しい。まるで俺の心の写し身のようだ……。
あっ、あの雲ゴリラにそっくりだなぁ!すっげぇ!なんか毛深くて賢そうな彫りの深い顔だ!
「ほら!行くぞ!」
「やだ!もう此処でお空眺めてる!」
「そんな事言わずに!な?」
「やだぁ!」
そのまま地面に寝っ転がる。
ひび割れたアスファルトではあるが、なるほどこれはこれで趣深い。
寝心地は悪くないが大きな道路のど真ん中で寝っ転がる非日常感が素晴らしい!
クソッタレな仕事なんて放り投げてここで寝ようぜおっさん!
さあ、だからその懇願する視線をやめて――
「ほら!本部戻ったら『ラ・コルテ』の限定ケーキ5セット買ってやるから!」
「――敵いっぱいコロすぅ♡」
「よォし!行くぞシーナァ!むしろ行けシーナァ!!」
「おオオォォォぉぉ!!!」
――この後、めちゃくちゃ暴れて紛争の原因の政府潰した。
ちなみに主人公くんちゃんのバストはBカップ
こう、キュッ、キュッ、キュッ。って感じで全体的に小さくて華奢
でも続かないぞ
誰かこんなの書いて♡