荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~ 作:マガミ
モモンガさんとナザリックが異世界転移したよ!
なんやこの浮かぶ丸い球? 何、ご挨拶?
死の支配者と丸い球
絶望の未来世界から、ゲーム中の死の支配者の姿でナザリック地下大墳墓とNPCごとやってきたモモンガさん。
現実では単なる社畜営業職であるモモンガさんは、転移直後にNPC達が動いて話しかけてきた事に動揺するも立ち直り、支配者ロールを維持する。
セバス・チャンを周囲の偵察に出して、守護者統括のアルベドにナザリック内の状況確認を命令する。
そして階層守護者達との顔合わせを準備している最中、偵察に出していたセバスから<伝言>での連絡が入った。
「…草原か。それで? もう一つの報告とはなんだ?」
ユグドラシルでは、ナザリックは毒の沼地などに囲まれていたのだが、確認した周囲数キロは草原であったという。あの現実世界でもなく、ユグドラシルの世界でもない所に転移してきた事を再確認。世界自体も現実化した事も再確認。
『それと、なんと申しましょうか。浮かぶ丸いゴーレムらしき者が接触してきまして、その主人が是非、モモンガ様へご挨拶したい旨、伝えてほしいと』
(丸いゴーレム? 現地の住民というか人型種族じゃないのだろうか?)
居る住民が人型以外の姿だったらどうしようとか、少し不安になるモモンガさん。鎮静化エフェクトのおまけ付き。自分がカルマ極悪の異形種ギルドの長で骸骨魔王の姿である事を素で忘れている。
『如何いたしましょう? 強さ的には、私や階層守護者の皆様よりは弱く、プレアデス達よりは強い程度のようですが』
想定的にはLV80前後だろうか。主人の側はそれよりは強いかもしれないが、2体VSナザリックとなればなんとかなる。友好的に近づいて来たなら、此方もそれなりに対応せねば礼を失するし、何より、ユグドラシルでは無い世界の情報を持っている可能性が高い。
「よし、ナザリックの入口前まで案内するように」
『かしこまりました。話によれば、既に連絡は行ったので手が空き次第、ここまで来るとの事です』
「此方の出方次第で敵対する可能性もある、くれぐれも客人として丁重に案内せよ」
『主命、承りましてございます』
執務室で、コツコツと骨の指でテーブルをつつきながら考えを巡らせるモモンガさん。
(流石に中に入れるって訳にも行かなかったしなー、とりあえず防御のアルベド、攻撃はシャルティアとコキュートス、交渉にデミウルゴスを連れて、周囲に傭兵モンスターを配置、かな)
「モモンガ様、お時間です」
「うむ、わかった」
一般メイドの知らせに鷹揚に返し、招集した階層守護者達の待つ闘技場へ転移するモモンガさん。
原作の流れでは、周囲が草原である事を伝え、闘技場での階層守護者達の前で顔合わせと状況の伝達となる所、イレギュラーな「丸いゴーレム」っぽい奴がセバスに接触してきた。
この出会いはこれからの波乱を…、意味しない。
このお話は、殺し合いやら何やらで殺伐とするでもなく、骸骨魔王がとある男と出会い、喜びを受け取り、楽しさを見出して、のんびり過ごす物語である。