荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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荒野の災厄の旅路:キャピタル「タロン社」

 

 トールがキャピタルウェイストランドで活動していた際に、金蔓にしていたのはタロンカンパニーことPMCのタロン社だ。ゲームをしていた経験のある人には「タロンシャダー!」で有名である。

 

 タロン社は「キャピタルウェイストランドの情勢を安定させないよう引っ掻き回せ」という厄介な依頼とかなりのキャップにより支援されており、ゲーム中では度々出現しては襲いかかってきた。

 現実と化したキャピタルウェイストランドでも同様の依頼を受けていて、各所に拠点を構えていたり、建物から出てくるのを待ち構えて101のアイツやトールに襲撃を繰り返していた。

 繰り返していた訳なのだが…、

 

「…まだ準備が整ってない頃は強敵だったけど」

「鴨が葱を背負って…Turkeys voting for Thanksgiving.というか、キャッチアンドリリース?」

「あー、だから殺さずに無力化しろって言ってたんだね。流石だねおじさん、合理的だ」

「息子の教育について物申したい…」

 

 トールの金蔓というのは、タカる相手というよりは襲いかかる相手という意味で、度々交戦しては装備や物資を強奪していた。トールが世話をしていた101も当然、真似をする訳で、ゲーム中も尽きぬ戦力で懲りずに襲いかかってきたが、現実と化したウェイストランドでも膨大な戦力を誇りつつ、幾度も返り討ちになった。

 

「フォーメーションアル…がはっ!?」

「交戦中、至急援護を!」

「荒野の災厄だ、災厄がでたぞー!?」

「ママー!?」

 

 エンクレイヴの展開時は、連中もまた同じ憂き目に合った。

 そして場合によってはメスメトロンによる催眠光線を撃たれ、爆弾首輪を付けられてパラダイスフォールズの奴隷商人の所に送られている。

 

「…保護者の旦那、俺らが言うのも何ですが、レイダーとタロン社の連中ばかりとはいえ、送られてくる数に真顔になります」

「取引だと言ったろ? お前らは奴隷狩りをしないで、流通に終始する…、その代わりに十分な数を送ると」

「ええ、ええ、わかってます、俺らが刈入れする倍以上の数ですからね」

 

 基本的な取り扱いからウェイストランド人は外され、レイダーと元タロン社が主な商品だった。一時期、レイダー、タロン社、エンクレイヴの3勢力の人員が奴隷として扱われていた。

 既存の奴隷狩りによるウェイストランド人の取り扱いは、トールが止めさせた。

 パラダイスフォールズを取り仕切るユーロジー・ジョーンズによるトールの評はというと、

 

「一人攻め込んで来た知らせを聞いて、外に様子を見に出たら誰も死んでなくて、次の瞬間に俺は素っ裸で首を掴まれてた。正直、なんで生きてるか今でもわからん」

「だが荒野の災厄様は、今までにないビジネスパートナーだ。契約をきちんと守ってくれたし、あの101のアイツ様はそれを引き継いでくれている」

「共存共栄という奴だよ、手下にも厳命してる。なぁに、オイタをしなけりゃいい話なんだ。こっちとしちゃ、逆らう気なんて到底起きないね」

「…死にたくないからな」

 

 という状況である。

-

 エンクレイヴの壊滅後、キャピタルウェイストランドの基本情勢がリオンズBOSの勢力一強になる頃には、テンペニータワーの老害じじいことアリステア・テンペニーの死亡とメガトン在住のMr.バークの失踪、そしてバニスター砦の度重なる襲撃によるジャブスコ司令の後継者不足により、タロン社は101のアイツと荒野の災厄に平身低頭で詫びを入れる事になった。

 交渉に来たのは、元主計課出身の新ジャブスコ司令である。

 

「で、では、これでお願い致します…」

「いいんじゃないかな。…どうしたのおじさん、そんな残念そうにして?」

「十分っちゃ十分なんだが、金蔓が一つ居なくなるからなぁ、少し残念。最後に大暴れしに行けばよかった」

「ヒェッ」「ヒュッ」

「…ジャブスコ司令、他の人、おーい?」

 

 尚、全部101のアイツが動いただけなので、件の3人についてはトールは何ら関与していない。ジャブスコ司令については至高のオーバーロード・ジャブスコさんの後継者である。グールのロイ・フィリップスについては、タワー前で喚いていた時にポケットグレネードでトールがあの世に送った。

-

 その後、タロン社はキャピタルBOSの下部というか雇われ組織として再編された。当然、奴隷狩り対象から外され、素行が問題無ければ買い戻された。

 新タロン社とも言える状態になった彼らは対スーパーミュータント戦の訓練を積み、BOS支援の潤沢な物資と十分なキャップによる待遇で、BOSには馴染めないがウェイストランド人に歓迎される仕事先の一つとなった。

 

「司令、こういう依頼が…」

「却下だ。私の前任やお前達の先輩がどうなったか忘れた訳ではないだろ。アイツの保護者が居なくなっただけで、101のアイツと親父は健在なんだぞ? それに、BOSなんか見てみろ、ほぼ新品のパワーアーマーが普及してる上、うちの補給はあっち頼みなんだ」

「ですよね。では、お断りの連絡を入れておきます」

「あー、ついででいいから、アウトキャストの巡回に報告しとけ。後はどうとでもしてくれる」

 

 傭兵組織ではある訳で、キャピタル支社でもあった訳なのだが、現在の所、BOSやキャピタルでもまともな依頼以外は彼らは断っている。

 

 キャピタルのタロン社は後に、拠点や居住地の警護、キャラバンの護衛を中心に業務範囲を拡大させ、他に存在したタロン社の支部を吸収合併していった。交渉が決裂した場合は、101のアイツ様に依頼し、結果的にユーロジー・ジョーンズ達の懐が温まったとだけ言っておこう。

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 一定以上勢力を増せば造反も考えるのだろうが、混乱時代を知るジャブスコ司令とその直下の幹部達は頑なに契約を守り続け、老年で引退する頃には、タロン社は真っ当な傭兵会社として盤石な基盤を作り上げた様子。

-

 何を好き好んで、あのデスクローにステゴロ挑んでぶっ飛ばすような相手の機嫌を損ねる事をせにゃならんのだ、というのが彼らの共通認識であったらしい。

 

「あのー、司令、ジェイムズの爺様とお孫さんが遊びに来られました」

「もう儂、司令じゃないんだがなぁ。てかお前が司令だろ。ああそうだ、扱いづらい元気な新入隊員おったろ、そこに案内しておけ」

「…大丈夫ですかねぇ?」

「死なないんだから、デスクロー相手にする度胸が付くと思えば安いもんだ」

 

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