荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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前回までのあらすじ
・竜王国での対ビーストマン戦線は順調だった
・トールが攻撃を受けた
・リアル世界の企業複合体の部隊だとぅ?
・逆侵攻して目にもの見せてあげやう(邪笑



死の支配者と墳墓の軍師

 竜王国の対ビーストマン前線を前に前にと進めるアインズさんの心中は、怒りの炎が燃え盛っていた。無論、対象はこの世界に来ていた企業連である。

 スケリトルパワーアーマー隊の指揮をメインにしている事や、使用する魔法位階を制限している事もあって、余計にフラストレーションが溜まっていた。

 なまじ、戦力的にスケリトルパワーアーマーが優秀なだけに、ナザリックギアで偽装人化をして精神安定をしていても、特筆すべき事態が起きていないので、考えすぎては感情が爆発しかけて沈静化するループ状態である。

 

(もしかしたら、あのヨイヤミとか言う奴のバックが企業連…だとするなら、けちょんけちょんのギッタンギッタンに!)

 

 偽装人化により異形種寄りの状態が長引き、冷静でありつつもドロドロとした感情というよりは思考が折り重なっていく。ちょっとやばい。

 

『ギルマス、ちょっとお時間いいですか?』

「ぷにっと萌えさん…ええ、今の所、予定通り進んでいますので、大丈夫です」

 

 では手短にと、ぷにっと萌えは現時点の情報から企業連の動きや状態について、予測できる内容を伝える。

 攻撃規模自体はかなり強力ではあったが、準備が稚拙で痕跡も多く残され、現場が四苦八苦して整えた気配がある…それが、ぷにっと萌えや首都ナザリックに残した三宰相の考えだ。断片的な情報だが、ほぼ正解という時点で恐ろしい。

 

『連中も一枚岩のようでいて、上はあまり一貫していない様子です』

『船頭多くして船山に登る…でしたか、確か』

『はい、我々は同列とはいえモモンガさんが居てまとめてくれますが、どうやら企業連の方は牽制のし合いか命令者が多数か、どうにもお粗末で』

 

 そう言ってクスクスと笑う。

 

『代わりに現場が優秀ではあるようですが、無理な発注のお蔭で綻びが出て、ようやく尻尾を掴めました』

『先日の全体会議の際の候補地…聖王国ですね?』

 

 はいと答え、ぷにっと萌えは竜王国の戦闘終結後のプランを考えていると伝える。

 

『詳しい内容はまた後程。…モモンガさん、ウルベルトさんがトールさんに頼んで、我々で逆侵攻をする方向で固まりつつあります。反対意見は今の所ありません』

『詳しく』

 

 食い気味に先を促したモモンガさんに伝えられた内容は、トールとウルベルトの会話とほぼ同じであった。AOG主体で逆侵攻し、トールに願って次元周波数を確保して、かのリアル世界を根本的にひっくり返す事を目標にするという内容だ。

 

 それを聞いたモモンガさんは、先程までのドロドロした気配をすっ飛ばし、偽装人化であるにも関わらず呵々大笑となった。

 

『喜んで頂けて何より。ただリアルに行く前に、次元転移装置での最終テストで我々が転移できる事を確認する必要があります。トールさんが候補とする世界の中から、我々が我々のまま転移しても支障の無い事を確認次第、ね』

『え、他の世界に俺達も行ける?』

 

 いきなり素になるモモンガさん。

 リアル世界への転移は決定事項だが、準備を行い次第そのまま転移するものと考えていただけに少し驚いた。

-

 現在の所、次元転移装置は開発者であるトールが、リアル世界への転移周波数を探るためと、技術収集のために行ってきた。

 ユグドラシルプレイヤーの存在の巨大さから安全確保と、跳んだ世界への影響を考慮してAOGの面々は同行させる事ができなかった

 だがここに来て、22世紀地球への道筋が見えた事、トールが行使できる技術が膨大で高度な領域に至った事から、まずは高レベル傭兵モンスター、次にNPC、そしてギルメンの誰か、最後には可能な限りの人数で一度に転移させる予定だと言う。

 

『こちらもまだまだ未知が沢山ありますが、まるっと違う世界を見るのも楽しそうですね!』

『ええ、私も楽しみです。では後程、通信終了』

 

 天幕の中、会話を終えたモモンガさんは椅子に座って苦笑する。あれほど内部に怒りが渦巻いていたというのに、トールがあまり気にしていない(報復準備はしていたが)のと、他の世界に行けること、そしてリアルに何かしらの手段で殴り込みをかけられる事にワクワクしてすっかり怒りが飛んでしまっていたからだ。

 

(あーうー、俺もなんか現金というか。強い感情が治まるのは異形種の姿での特性だけどさ…)

 

 今もヨイヤミに対しては、思い起こす度に沸々と怒りがこみ上げてくるのでなるべく考えないようにしている。単に排除すべき相手だとしての認識に集中しているのだ。

 ただ、今回の企業連の攻撃については、トールがあっさりと此方に主体を譲った事や、現場が四苦八苦という点で怒りの矛先が指示しているであろう上層部に向かっている事、そして何より他世界を覗き見れる喜びが上回り、目立つ汚れをどう掃除しようか、虫ケラをどう処分しようかという感覚が占めている。

 

(トールさんの事だから、最初はまあ安定してもしも星ごとぶっ飛ばしても問題ない所とかなんだろうな。俺らの事を心配しすぎたりで)

 

 概ね正解。環境調整済みの辺境惑星がトールの提示する第一候補である。その点はちょっと残念というのがギルメン達の感想だが、1惑星単位で知性体とそれを見守る高次特性領域の…所謂「神」が居る世界にドカンとAOGのメンバーが現れた日には、パニックになって攻撃を仕掛けてくるのは想像に難くない訳で仕方ない措置だろう。

 その点、FTL技術が標準化した恒星間国家世界なら大抵の高次特性領域の存在はさらに上にシフトして干渉が滅多に無くなるので都合が良い。

 閑話休題。

 

「油断せずに行こう。…時間取れなくてちょっと寂しいけど」

 

 首都ナザリックで過ごしていた際は、毎日のようにアルベドと床を共にしていた。<転移門>で今も毎晩戻りはするが警戒の関係から一緒の時間が限られている。油断は一切していないが、既にビーストマンは敗走を続けていて、他のメンバーの戦況も予定通りである。

 

「後のお楽しみの為に頑張るぞ」

 

 素のホワホワ声で決意するモモンガさんであった。

 

 

 

 尚、AOGの転移実験なのだが、最初に傭兵モンスター、次に立候補してきたユリ・アルファ、そしてやまいこと成功の後、いざギルメン達を多数でと転移した際、その辺境星系を征服するべく近隣の覇権国家から橋頭堡確保のためにやってきた侵略者と大戦争というか、逆蹂躙戦をやらかしてその銀河に平和を齎す羽目になる事を今は知らない。

 




AOGの面々は宇宙やばいとか言ってますが、実は対ワールドエネミー用のイベントアイテム(演出用でダメージ表記が世界規模になるだけ)を使う事で、宇宙艦隊相手でも軽く戦えるようになります。

餡こ・茶釜(「・ω・)「ガオー!」
敵「「「化物だ!? 助けてー!?」」」

エ鳥「姉達が衛星級宇宙怪獣規模の件」
トー「これ、下手な純科学技術じゃどうしようもないんですが…」
モモ「お、俺達だって使えるとは思ってませんでしたからね!?」
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