荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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拠点内の話のつもりだったんですが…。


死の支配者と謎の拠点 その2

 トールの拠点ツアー(※竜王ではない)で、昼食に各種日本食をパッケージした保存食料の試食会が行われている。バイキング形式での提供で、味付け等はカワサキ監修という事もあって一部の守護者、プレアデスに至っては涙を流しながらものすごい勢いで食べている。

 

「そういえば、トールさん、ここに現れて最初、何してたんです?」

「私も聞きたいな、商人のようなもの、と最初聞いたが」

 

 モモンガさんとしてはギルメン達が世話になってきている訳で、どのような活動をしてきたか気になっていた。この拠点のポテンシャルからして、色々やらかしてても不思議ではない。だが、冒険者モモンとして王国内を出歩いても、聞こえてくるのは始まりの九連星、ル・シファー商会、食堂の話ぐらいである。

 

「ああ、具体的な話は殆ど誰もしてないな。少し長くなるけどまあ、いいか」

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>出現直後の行動

 トールがこの魔法と魔物溢れる世界に出現したのは、丁度10年前である。出現して間もなく、荒野の災厄と言われた男がやったのは、出現位置をアンカーに、コンソールを叩いてウェイストランドへの再転移ルートの座標算出を行い、空間にある情報を元にして似通った世界への転移座標を調査する事だった。

 

 転移直後から転移可能座標のデータサンプルは変化というか壊れかけていたので、データ取得と解析を行うと共に消えかけている空間情報をできる限り固定した。草原のその場所にあった元の世界へのルートは閉ざされたが、別途、似たような世界へのルートは確立できた。流石に用意の無い状態での転移は危険が伴う為、暫くの間は拠点を設けての実験と調査を方針とした。

 

「え、戻ろうと思えば戻れるんです?」

「実験結果がまだ不安定でな。あと持ち運べる物も限りがあるから、今は転送実験は凍結してる。調査は続行しているが」

 

 結局、解析の為に監視と調査を続けている最中に、アインズ・ウール・ゴウンのギルメン達を草原上で次々と発見、保護と支援をする事になったのは何の因果だろうか。転移座標の解析は続けていたものの、彼らの支援に比重を傾けてきた結果、10年という月日が経過しちゃったのである。

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 10年の間、転移してきた王国とその周辺国の調査を行った。その際、フィールドワークに付き添ったのはブルー・プラネット氏である。

 

「植生がかつての地球のものと、原生の物が入り混じっている」

 

 情報収集で、ユグドラシルのプレイヤーの痕跡として考えられたのは、あからさまに地球上にあった植物の存在だ。ただ外来種としては拮抗しているようで、この数百年で結果的に入り混じったのだろうと。

 

「人間種の食す植物、野菜類はほぼ、ユグドラシル産だろう」

 

 畑での栽培で人手で育てないと可食部が育たない程、改良されたものが確認されている。麦については特に、可食部が少ない原生種と穂が大きく垂れる程の改良種が混在していた。

 

「建物の意匠などもまた、ユグドラシル的な影響が多いな」

 

 ブルー・プラネットと共によく調査についてきたのが死獣天朱雀で、リアルでは大学教授であったことから教授と呼ばれている。

 

「多分、ガチで石器時代レベルの人間種を文明化したんでしょうね」

 

 文献や伝承の調査でも、建物、文化、軍事。それらの発展におけるミッシングリンクが多いため、一足飛びに技術を伝授した結果が現在の人間種の文明なのだろうと。また魔法の存在と、人間を餌と狙うモンスター、それに異形種の文明との衝突が、技術的な発展を歪に、ブレイクスルーの発見の遅れを助長しているとも。

 

「そんな訳で、外部での核関連技術の使用は、動力源を除いて原則、ご遠慮下さい、ほんとに!」

 

 この豊かな自然の中、トールとしてもヌカランチャーなどの個人用核兵器類は使う積りは無かったが、自然を愛するブルー・プラネットとしては、強くお願いする他無かった。

 

 かつては車にすら原子炉の世界から来たと言った際は「何をご冗談を」と言っていたものの、後に聞いたウェイストランドの日常にブルー・プラネット含めギルメン達は青ざめた。

 

 レイダーが挨拶代わりにヌカランチャー、迂闊に敵性地域を歩けば核地雷、スーパーミュータントが度胸試しに小型核弾頭のタッチダウンをするウェイストランドの常識。それに慣れたし、たまに食らっていたと笑うトール。拠点内に溢れる核、核、核の関連技術や兵器のオンパレードはブルー・プラネットに危惧を抱かせるに余りあるものだった。

 

「使いませんてば。まあ、内燃機関とかも現地の誰かが発明するまでは使わないのでご安心を」

 

 魔法の便利さからして、蒸気機関すらここ百年ではまだ来ないだろうとは意見の一致を見ている。

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 ただ、星を飛び出す文明まで発展するには核関連技術の開発は不可欠だ。人間種と異形種、どちらかが覇権を握った後か技術開発競争の末に使い始めるかはわからないが、宇宙に飛び出す程の文明を維持する場合、原子力や核融合は危険と隣り合わせながらもエネルギーとして必要になってくる。

 

 地質調査は全面で行ってはいないので不明だが、先だってウラン鉱石などを根こそぎ回収する事だけはしていない。既に手持ちで十分であるし、MODで日々出現しては精製される濃縮ウランの量は、元のゲーム的仕様による異次元収納でなければとっくに核反応や臨界が発生する量である。総量は恐らく、ウランが盛大に無駄になるガンバレル型で核弾頭を量産しても、既知の地図上にある世界を焼き滅ぼすのに十分な量だろうとはトールの弁である。

 

「もういいです…いやよくない」

「炎の7日間とかやりませんて。竜王やばいし」

 

 恐らく、問答無用で評議国並び激おこの竜王達と戦争になるだろう。

 閑話休題。

 

「ガーネットさんとは、拠点内で色々と遊んでるんですけどね」

「遊んでる内容が怖い。RAD値的な意味で」

「シズが妙にご機嫌な事が多いのはそのせいだったか…」

「シール貰ったので、Pip-Boyの端に貼りました。ちゃんと毎回、除染してRADアウェイで除去してもらってますのでご安心を」

「「安心できない(ねぇ)!」」

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>食糧生産と品種改良

 トールが自然豊かなこの世界の調査後、引きこもっての拠点開発と共に最も力を入れたのは食料生産である。特に米、麦、トウモロコシ、ジャガイモ等の品種改良は膨大な労力を費やした。ウェイストランド産では殆どが強い放射線による変異を起こしていたため、無事なVaultを尋ね回って遺伝子的にピュアなものを手当り次第に種子や遺伝子データを集めていたのも、転移先での生産と品種改良の為である。

 

「そんなにウェイストランドの農産物って変なのか?」

「変どころじゃない。外見トマトの中身ジャガイモとかザラだ」

「「うわぁ」」

 

 転移後、一通りの現地調査を終えた後、様々な主食となる穀物や野菜類の種をかき集め、ブルー・プラネット氏監修のもとこちらも品種改良を始めた。本来は時間のかかる交配による品種改良だったのだが、ドルイド系の魔法の存在がこれをカバー。かつてのリアルでは生涯をかけて行うような品種改良が1年で行える計算である。

 

「魔法ってずるいわー、羨ましいわー」

「発展した科学は魔法と見分けがつかない、ですか」

「え、MODのチート以外はちゃんと理論とかありますって」

「確かにそちらの数々の理論はリアルでも今でも実現も実証もできますが、それらの目の鱗的な数々の発見と技術のブレイクスルーは、狂気の産物ですからね!?」

「解せぬ」

 

 トールの持つウェイストランドの科学技術は、傍から見れば魔法と見えるが、きちんとした科学技術である。各種の要素を分解すれば、理論がきちんと存在し、再現可能だ。ただし、組み合わせ方が膨大で針の穴を通すアクロバットかつ狂気の産物な訳だが。

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>まずは米

 最初に拠点での生産ラインに乗ったのは、パックの白米である。パック自体もトウモロコシ由来のプラスチックで、地面で分解される。

 

「日本人なら米を食え! …とはいえ、まだなぁ」

「美味いっすよ?」「本物の白米を腹一杯食えるなんて…」

「何が不満なんです?」

「全部!」

「「「まじでか」」」

 

 はじめて食った、久し振りに食べた等、感激された上で概ね好評ではあったものの、二一世紀前半を生きていたトールは甚だ不本意な出来であった。

 

「もっちり米、さらさら米、餅米、味のバランスがー!」

「美味いんすけどねぇ、このご飯」

「米は、米は、まだこんなもんじゃないんだ!」

「トールっちを駆り立てる物はなんなんだろう…」

 

 どうせなら美味い米をと、さらに躍起になって品種改良するも、トールの望む味のものは中々作れなかった。

 8年目にカワサキが現れてプロジェクトに参加するまで、米の品種改良は混迷を極めた。

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>味噌と醤油

 さて、品種改良や味の改良でギルメン達が居たにも関わらず迷走が続いたのは、リアルでアーコロジー住まいであった「るし★ふぁー」や「餡ころもっちもち」ですら、自然食品を口にする回数が少なかった為である。ウェイストランドでの生活が長すぎたトールも、前世での日本食その他の繊細な味を忘れかけていた。

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 その事もあり、トールの拠点にある食糧生産プラントから日々作られる保存食料は、当初は大抵がアメリカンな味付けであった。カロリーだってアメリカンである。高級な合成食料と似ているとアーコロジー住まいの二人に評価されたが、元が自然食品が材料であるにも関わらず合成食料とどっこいと言われれば凹む。

 

「そうだ、醤油と味噌を作ろう」

「まてトールさん、貴方は錯乱している」

 

 5年目、思い立ったが吉日と前世の自分の脳内データを取りだしてあったと考えられるデータベースを探り、材料、製法を探しだした。

 

「雑学で覚えてたのか俺」

「自分でも忘れてたんかい」

「てか脳内データを取り出せるって…ならば!?」

「あー、後でトランキル・レーンでの保存方法は教えますから」

 

 必要なのはまず麹菌である。自然付着を期待するのもいいが、繊細なのか大雑把なのか、空中にある膨大な菌類をサンプルとして選り分け、それぞれの菌を培養して仮の米麹を作り、塩と蒸して潰した大豆を合わせて発酵させるという手段を取った。最初の樽の数として数千個である。

 

「拠点下層の数フロアぶち抜きで、発酵実験スペースですか」

「同じ様なプラ樽が…、いくつあるんです?」

「毒素や有害物質が出たのとか発酵が駄目なのを逐次交換してるから、総数としては万単位?」

「ヒェッ」

 

 わざわざZAX系スーパーコンピュータとスターコアシステム制御のMrハンディの一団を投入しての大規模実験である。単位がおかしい。

 その苦労のかいあって、まずは味噌が、次にたまり醤油ができた。種類だけは沢山できたので、試食の上で人気のものを量産化し、他は製造記録を残す。その後も改良の為に、自然付着の菌類によるものの他、成功した菌類をさらに製法等を変えての実験は継続している。

 

「あれ? 確か醤油って、たまり醤油と標準製法の醤油って異なりませんでしたっけ?」

「なので、先に日本酒作り」

「なんで!?」

 

 本格醤油は20世紀に製法の完成に至ったのだが、その際の工程に影響を与えたのが日本酒製造の手法だった為である。

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>日本酒

 食用米以外に準備していた酒米を用いて、味は二の次でこれまた万単位での実験。

 仕込みの水は純水、軟水、硬水と試され、ミネラルを餌とする菌類が発酵に適しているとして、拠点地下の山脈方面の水脈から取った硬度7以上の硬水を成分分析して再現、それを仕込み水の基準とした。

 温度管理、湿度管理も多岐に渡る。前世でとある有名ブランドの日本酒があったが、あちらは緻密なデータ取得で安定した味を売りにしていたのを思い出して応用したのだ。酒造りにスパコンとロボットの手によるほぼ総当りという、数の暴力である。

 麹菌や酵母がある程度特定できていたので、こちらは作るだけなら飲用できるものが多数できた。

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 ただし、どれを残すかどの程度加水するかなど、試飲では30人強のギルメン達で皆、意見が見事に別れた為、票の入ったものは全て生産を継続している。加水と馴染ませる時間は、クラスター状の水分子をマイクロ化して最小単位にしたものを使うため、こだわりが強い場合を除いて飲む前に加水する形が取られた。

 

「そういやドワーフみかけませんよね、王国だと」

「今度、帝国行ってみます? 山脈方面でもいいけど」

 

 日本酒に関しては、出来の普通なものを混合、加水の上で辛口、中間、甘口と用意。ル・シファー商会で売りに出している。ライスワインの名称で美食家から自称美食家、または女性に人気が出た。

 

 また日本酒製造のプラント流用で、本味醂(みりん)の製造にも着手。こちらは奇跡が起こったか、後に現れたカワサキも称賛する出来のものが完成している。

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>本格醤油

 さて、本格醤油の製造である。

 トールの遠い記憶からして美味い、その中で辛い甘い、などの成功した日本酒製造の手順を組み込んで、本格醤油の実験が開始。

 こちらは比較的早い段階で製法が確立するも、味の吟味が難航した。既存のたまり醤油の方が美味い物が多いのも、混迷に拍車をかける。

 

「コク深いのばっかりじゃなくて、あっさりとかも必要なんだよぉ!」

「何言ってるのか全然わからんです…」

 

 おまけに試食が、醤油なんて接待の席の合成醤油という「黒くて塩辛いソース」しか知らない面々だらけなので、作る日本食のどれもを美味い美味いと食うばかり。トールは頭を抱えたという。

 

 これまた8年目のカワサキの転移まで試行錯誤が続いた。

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 以上が、トールの拠点において最も手がかかった「味噌、醤油、日本酒、ついでに味醂」の製造におけるあれやこれである。リアルでも料理人であったカワサキが来なかったら、トールの拠点のほぼ4割が増大する実験区画に置換されていただろう。

 

「てか、最初はそれっぽかったのに、途中で食糧生産の話に移ってから怪しくなって、米の話と最後の方は調味料とお酒の話ですよね!?」

「ナザリック来るまではまじ生命線だった。日本食とお米バンザイ」

「兵站、補給は重要だぜ? カワサキさんまじ食の神様」

「キリッとした顔で言っても後の祭りです!

 …ただ、なんか聞いててすごく楽しそうなんですけど」

 

 モモンガさんは人化した姿でいじけた感じでぼやく。モモンガさんの席にはトール、ブルー・プラネット、カワサキ、アルベドが同席していたのだが、彼女は「少し、食べごたえのある物を取ってきます」と、恥ずかしそうな顔でバイキングスペースに向かっている。リニューアルした牛丼とステーキ丼を取りに行った模様。

 

「すまん、自由時間がいくらでもあると思ったら、ついやりたくなって」

「やってた事は大規模だけど地味で、私達は試食してただけでしたよ?」

「リアルで自然食品の味噌、醤油、味醂に日本酒なんて、使うことも味わう事も無かったから、俺が来るまでトール以外は誰も料理できなかったみたいだけどな?」

 

 モモンガさんが他のギルメン達を見る。会話が耳に入ったらしい面々の内、女性陣は露骨に目を逸らした。名誉の為に、誰かは記載しない。

 

「トールのお陰で、モモンガさんが来るまでに色々な日本食が再現できるようになったんだ、そう責めてやらんでくれ」

「そりゃあ解ってますけどぉ…あ、美味しいこれ」

 

 カワサキ監修の各種保存食料の中でも自信作であった料理を食べて笑顔になったモモンガさんに、料理長であるカワサキが微笑む。

 

「ナザリックが来て、魔法の大釜で高級食材、調味料がバカスカ生産できると知って、トールさん床に崩折れましたからね?」

 

 トールはそれを思い出して遠い目。

 

「無駄にはならなかったよ、無駄には? …でも最高品質同士だと味でどうしても負けてる訳で。くそう、提供受けた奴を再現して、大量生産してやるぅ!」

「できそうなのが怖いわw」「完成したらうちに卸せ」「あ、こっちも」

 

 会話を聞いてた商会関連組が囃す。

 

「実験で作ったはいいけど、味が微妙なのってどうしました?」

 

 恐らくはトン単位で残っていた筈である。

 

「保管しとくのもアレだったから、音改さんとるし★ふぁー達がブレンドして、一定の味にした所で珍しい調味料だとか酒だとか言って売り捌いた。珍味好きに帝国と王国貴族問わず売れて、ウハウハだったらしい」

「ウハウハでした」「食堂が人気出てからは更に」

「わーお」

 

 ふと思案顔のモモンガさんが呟く。

 

「ナザリック内でも、魔法の大釜に頼らず作れませんかね」

 

 できれば他の食材類もとモモンガさん。

 

「ヴァルキュリアの失墜の前後で追加された農園系アプデ、ですね?」

「私も詳しくは無いんですが…」

 

 モモンガさんも含め殆どビルドが完成済みで、尚且、他のメンバーは殆どが引退していた為、アプデの内容はギルメン達には広まっていない。モモンガさんですら、時間だけ取られる運要素の強い代物だったので詳しく無かったりする。

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 拠点での農園作成。時間がある趣味人仕様であり、専門職をある程度取らないと家庭菜園レベルである。しかし、最高レベルまで取るか専門職を最高レベルで傭兵モンスターを雇用すれば、稀に伝説級の食材が生産できる農園を作り出せる。ギルド拠点が一定以上の大きさであれば、それに応じた大きさの農園を拠点に接続する形で作り出せる。規模は、ギルド所属の専門職の職業レベル合計に依存する。

 

「それいいな。ナザリックで作れた食材で、守護者達とか楽しませるのは大いにアリだ」

「農園の維持費は…おお、意外なまでに金貨消費無い。これなら今の余剰分で全く問題ないな」

 

 農園で生産できるのは、穀物や野菜、キノコ、香辛料類の他、肉類も含まれる。畜産もできるのだ。ただ、高レベルの食材モンスターは食材にする際、戦闘が発生するのが問題と言えば問題だが、ナザリックの戦力であれば何ら問題なく対処できるだろう。

 

「では承認という事で、傭兵モンスター雇用後、開発しましょう!」

「「「異議なーし!」」」

 

 昼食会後、色々出来事があったトールの拠点来訪が終わってからナザリック地下墳墓に農園エリアができたのだが…。

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 農園担当の専門職モンスターの雇用後、ドルイド系職業も有効に作用して農園は順調に高級食材や各種アイテムの材料を生産できるようになった。副産物の件もあり、モモンガさんもギルメン達もホクホク顔である。

 

「ふむ、デミウルゴス、お前が畜産担当をしたいと?」

「マーレが植物類の担当主任をしていますので、私も是非、携わりたいと」

 

 その最中、少々難航していた畜産部門の報告を受けていたモモンガさんは、横でアルベドと共に報告をしてきたデミウルゴスから、畜産部門の担当をしたいと申し出を受けた。

 

「わかった。私の名に置いて許可をしよう。楽しみにしているぞ」

「ご期待に沿えるよう、努めさせて頂きます」

 

 デミウルゴス牧場、爆誕。

 この世界のデミウルゴス牧場は、至高なる御方を含め、ナザリックのシモベ達の食の為に運営される事となった。副産物として、高レベルのモンスターから取れる皮や骨は、皮はスクロールの材料としても優秀である事が判明。骨やその他の材料も、武具や道具の材料や触媒にできる。一石二鳥の状況は偶然だが、農園運営を言い出したモモンガさんは「流石はモモンガ様」と称され、精神安定化が発動した。

 

「食材の質は、完全にナザリックに負けたなぁ…すげぇ美味いし」

「ふふふ、ようやく1つ私共の勝利です、トール殿」

「悔しい。でも食べちゃう」

「ただ肉質の改良はまだまだ先があるようです。なんとも奥深い」

 

 後にトールはミートベヘモスのハンバーグステーキ等、ナザリック産の材料を仕入れて保存食を生産した。当然、カワサキ大先生監修である。生産時、異様なまでにエネルギーコストがかかったため、内包している食事効果分だけ魔力的なリソースへ変換が必要だったのだろう。

 

「…たまに、ジャンクでアメリカンな味付けのも食べたいです」

「そういうと思った。ソールズベリーステーキとチーズピザおまち。

 …んでカワサキさん、何してんすか」

「こういうのも偶にはいいんだよなぁ…わざとらしい味付け」

「あんたもかーい!」

 

 基本生産ラインナップは殆どが改良されたが、一部の強い要望によりウェイストランドの戦前仕様の物も生産は続けられたという。

 

 




魔法の大釜は、標準でもトール基準で高級品が生産されます。

本編敵ではない話で見てみたい話はありますでしょうか。書けるかは未知数

  • ウェイストランドの話
  • ナザリック内での話
  • ナザリック外での話
  • ナザリックに関係した人の話
  • ナザリックに無関係な話

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