荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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色々雑理論とSFと嘘が入り混じってますので、真に受けないで下さい


世界の災厄と発電所

 偽装都市、首都ナザリックの電力はトールが設置した発電施設で賄っているが、事故発生時に問題が発生する事を懸念し、補助発電設備の用意でギルメン達に相談する事になった。

 

「候補はあるんですか?」

「外見を気にしなければ、多数の風力発電を外壁上部に設置、都市部の各建物の上にも小型のものを建てれば、最大必要量の5%までは賄えるかな」

「全然足りないねそりゃ。他には?」

「並行してコンクリートバッテリーを用意すれば、さらに10%上乗せ。ただ風力頼みだから両方共安定しない」

 

 コンクリートバッテリーは、持ち上げた重量物の位置エネルギーを使って発電機を回転させる方式で、回転動力であれば伝達さえすればエネルギーの保存ができる。

 

「地下墳墓内の火山地帯を利用する手も無くは無いが、景観がな…」

「地獄のような風景の中、なんだか場違いな建物を建てるってのは美学的にはアウトだ。危急的用件でもないし」

「うーん、常時稼働するシモベかポップモブを使うのは?」

「…なんか巻き上げ機を回す奴隷みたいでなんか絵面がなぁ」

「トールさん、ここは一つ、魔法を使ってみませんか?」

「魔法で? 瞬間火力はともかく、発電は継続稼働が前提ですが…」

「ウルベルトさん、下位の重力系って中位悪魔で使える召喚モンスター居ますよね?」

「ああ居るが…」

「! そうか、その手があるのか。魔法って凄いな」

 

 解った風のトールとは対象的に首をかしげるギルメン達。続くガーネットの説明でぽんと膝頭を打つ。膝が無いのも居るが。

 説明内容の概略としては、重力系魔法を使う悪魔系召喚モンスターを人造ダイヤを触媒に召喚し、コンクリートバッテリーの施設で巻き上げ時に魔法で重力軽減を行い、上がり切ったら元に戻して普通に発電させるというプランだ。巻き上げはスケルトンかゴーレムに任せる。

 

「これなら、交替で詰めてもらえれば常時発電できるから、現在の必要量なら問題なく発電量を満たせる!」

「スケルトンかゴーレムなら疲れ知らずだし、何より重たいものを毎度動かさせる訳じゃないから、少ない数で大量に持ち上げられますね」

 

 現在、殆ど稼働していない工業区画の一角に少々高さのある内部が空洞の建物を建築し、その中にコンクリートバッテリーの一式を多数設置して次々と切り替えれば、安定した電力が得られる。専属でプロテクトロンかMrハンディを派遣すれば、切り替えタイミングでの不安定化も抑制できるだろう。

 

「所で、発電所の名前は何にします?」

「ウルベルト発電所」「おい」

「決定で」「決定だな」「異議なし」

「…仕方無い」

 

 建設提案書を執務室で見たモモンガさんは大笑い。二回ほど精神沈静化が発動した。デミウルゴスは、偽装部分とはいえナザリックの名を持つ都市を創造主の名を冠した施設が支える事になり上機嫌になった。

 

 承認後すぐに首都ナザリックの電力を賄う発電施設、ウルベルト発電所が完成。というかトールの建築能力が異常である。

 こうして外観が風力発電だらけになって景観が損なわれる事態は回避された。

-

 だが現在需要は問題なくとも、ピーク時の必要量の確保が必要とトールは考えていた。そして、魔法で色々と過程をすっ飛ばせるなら、ウェイストランドの戦前であっても作成に困難が伴った発電施設の作成ができるのではないかと考えた。

 AOGでの必要事項の確認と報告会が終わり、ギルメン達の雑談会の席でトールは質問した。

 

「所で、核爆発って魔法で、できる?」

「物理学的な核爆発かはわかりませんが、第9位階魔法に存在します」

「あれな。効果範囲が広くて術者も巻き込まれるんだよ。同じ位階の魔法と比べると実は弱い」

「ふむ、どこかでテストがてら見学はできます?」

「表だと色々バッドステとかで問題あるから、俺の階層で見せよう。確かエフェクトは切ってあるから、生身のトールさんでも大丈夫だ」

「いや私でも第七階層は生身だときつい。パワーアーマーで行く」

「俺らも人化すると厳しいのに、きついで済むトールさんであった」

「おいモノローグ追加すんな」

-

-

 第7階層。ウルベルトの手によってデザインされた、悪魔の手で破壊された神殿跡、赤熱神殿に到着。溶岩の流れる川、溶岩がそこかしこに吹き出る大地と、全般的に赤い。

 

『外気温がやばいな、素で来たら継続ダメージ発生してるわ』

「そうなのか? エフェクトは切ってあるが、それでも生身では影響あるのか」

 

 悪魔の姿になっているウルベルトは、パワーアーマー姿のトールの焦り声に意外そうな感じで答える。

 

「こ、これはウルベルト様、我らの守護領域によくお越し下さいました」

「楽にしろ。今は客人を案内している。お前達も時間があれば付いてくるといい」

「はっ、側仕えとして使い捨て下さい」

「硬くなるな。お前達の忠義は、デミウルゴスを筆頭によく解っている。さてトールさん、溶岩エリアに行くが大丈夫そうか?」

『以前作ってもらった魔道具で防げている。問題ない』

 

 そして予定の場所へ。ウルベルトも最近は滅多に使わない魔法の為、朧げな記憶を頼りに効果範囲外になる場所で待機するトール。インベントリから各種の測定機材を取り出したが、熱で一部が動作しないので諦め、調査用のアイボット達を浮かべた。

 

「ではいくぞ、第九位階魔法<核爆発>!」

 

 トールにとっては、少し懐かしい気分になる原子の光。爆風が吹き荒れ、空中で記録を続けるアイボット達が懸命に姿勢制御をしている。ウルベルトは効果範囲に巻き込まれているが、爆風と光が収まった後、何ら影響を受けた感じも無く戻ってきた。尚、魔法系の頂点である「世界災厄」の職業レベルを持つウルベルトの魔法だったからこその規模、威力である。

 

「相変わらずの衝撃だったな…。どうだい、トールさん?」

「いける、このエネルギー量なら初動で全て賄える! 理論構築が終わって実証ができれば、一度の初動投入エネルギーだけで稼働する炉が作れる!」

「できあがる? 何か作れるのか、これで?」

「ええ、人類にとっては夢と表裏一体のエネルギー、核融合発電施設です。この規模なら、水がそのままエネルギーに使えるはず! それに一度稼働状態で完成すればチートでコピーも容易だ、ああすごいな魔法って奴は!」

 

 演技と素の入り交じる口調でなんだか興奮気味のトールに、若干退き気味のウルベルトであった。

-

-

 トールは収集したデータを元に研究用ZAXスーパコンピュータ群の殆どのリソースを費やして理論を構築。ウルベルトとデミウルゴス協力の下、拠点のさらに地下に設けられた大空洞実験エリアにて実証実験を実施。数々の実験の後、細かい数値を修正して、封じ込め磁場発生機の開発と準備、構築時の魔法発動立ち位置から何からを設定。

 そして、純核融合発電炉の試作一号が完成した。正確にはまだ炉心は稼働していないが。

 

『オペレータ立ち位置へ、魔法発動を開始して下さい』

 

 ウルベルトの<核爆発>発動と同時、綿密に計算されたタイミングで合図を受けたデミウルゴスによる短距離の転移魔法。ウルベルトを炉の範囲から離脱させる。封じ込め磁場発生装置は問題なく動作。魔法の影響は極限られた範囲に収まる。そして炉の空間内に「小型の太陽」が作り上げられた。

 

「天に輝く太陽すら、その手で作り上げた気分はどうだい、お二方?」

「最高だ。特にデミウルゴスとの共同作業だった事もな。

 デミウルゴス、お前は俺にとっての最高の子だ、誇らしいぞ」

「っ…ありがとうございます、ウルベルト様」

 

 殆どがトールの指示通りとはいえ、目の前に見えるそれは、この世界に来て初めて見た太陽の輝きと同じだ。今は磁場内で殆どのエネルギーを循環させている。

 

(これもウルさん達のお陰ですね。うん、投入する水で問題なく継続してる。放置状態でも磁場が消滅するまでは維持されるな)

 

 各種データを見ながら、満足そうに笑うトール。グループ会話なのは、感涙に咽ぶデミウルゴスの邪魔をしたくなかったからだ。

 

(これ、磁場って奴が無くなったらどうなるんだ?)

(これを中心にまあ、100m位が爆風の影響を受ける程度です。ほぼ自己消滅でエネルギーを消耗するんで、放射線もそんなに出ないですね。高価な触媒を沢山放り込めば、暴走して数十キロ単位で周囲が爆発するでしょうけど。ま、核融合と言っても、実は原子力とは発想が違いますから)

 

 思った以上に安全性が確保されているらしいと聞いて、ウルベルトは感心する。

 

「確か、リアルにも核融合発電はあったが、あれとは違うんだろうか」

「基礎理論は同じだと思う。ただ、貴重な触媒が結構必要で、初期動作時に精密なコントロールがされた核融合爆発か、膨大なエネルギー投入が要る。資源が枯渇していたとなると、新規に作るのはかなり困難かな」

「ふぅむ、成程な。日本でも数機、大国でも二桁代で所有している国はアメリカだけだった筈だ」

「思ったよりリアルは追い詰められてるな。まあ終わってる世界の事はもういいや。

 安定動作が続くか機器その他の状況を一ヶ月程経過を見て、安定動作が確認できたら量産と行こう。第一号は所長、貴方の所です」

「所長ってなんだよ」「ウルベルト発電所の所長」「それかよ!」

 

 流れた涙をそっと拭い終えたデミウルゴスを見て、トールが問いかけた。

 

「それと、デミウルゴス?」

「は、なんでしょうかトール殿?」

「この核融合炉、正規生産機はウルベルト=デミウルゴス型核融合炉と言う名前にしたいが、いいかな?」

「!!」

「少し恥ずかしい気もするが、いいか?」

「ええ、是非とも!」

 

 ウルベルト的には、神の光である太陽を、悪魔である自分達が作り上げて手中にした事、それがとても気に入ったようである。

-

 動作の継続試験は合格。様々な調整と安全装置を搭載したウルベルト=デミウルゴス型核融合炉を設置した核融合発電所が完成。

 こうして首都ナザリックは、いつ最大需要を迎えても何ら支障の無い発電能力を得た。

 

「もっと電気使えや!」

「太陽を作った男は言う事が違う」「省エネと逆かよ!」「まあ沢山使ってるけどさ」

「配置型シモベの移住、もう少し増やすか」




リアルでの核融合発電についても捏造です、ご注意を。

本編敵ではない話で見てみたい話はありますでしょうか。書けるかは未知数

  • ウェイストランドの話
  • ナザリック内での話
  • ナザリック外での話
  • ナザリックに関係した人の話
  • ナザリックに無関係な話
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