荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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 モブ(MOB)グレネードこと「モブグレ」。

 Fallout4では作業台で作れるようになるMOD要素で、グレネードと同じく投げて落ちた場所に設定されたモブが出現する。
 ナザリックでは、人肉食嗜好のシモベ用に、放射能やウィルスが無い事が確認されているレイダーのモブグレを定期的に供給を受けている。

「話通じない、暴力的で嗜虐的、あとヤク大好き。人間の構造しただけの獣、いや獣以下、だな…」
「俺がガキん頃のストリートにごろごろ居たチンピラ共そっくりだ。まさにレイダーさ。あの環境からゲームができる位に仕事で稼いで真っ当に育ったのは、両親のおかげさ」
「…ご両親、凄く立派だったんですね」
「おう、自慢の親父とお袋さ。まともな墓に埋葬してやりたかったなぁ…」


(ウルベルト様の願い、叶えて差し上げたいが…くっ…)
(もうちょい時間くれ。リアルってクソ世界に、一時的にでも行けるよう今も研究してるから)
(!?)


閑話 エントマの宅配便

「モブグレころりんすっとんとん♪」

 

 戦闘メイド、プレアデスの一人であるエントマが、専用に誂えて貰ったナザリックギアで偽装人化して、楕円形の物体が無数に入った小箱を抱えて、おむ○びころりんの替え歌というか、絵本のフレーズを繰り返しつつ、機嫌良さそうに歩いていた。手はいつもはメイド服で隠れているのだが、偽装人化している場合、人間種のような滑らかな手である。

 

「モブグレころりんすっとんとん♪」

 

 運んでいるのは、トールから週に一度提供を受ける、モブ召喚グレネードである。出現するのはウェイストランドの敵対MOBであるレイダー。かの荒野では定番の、殺人略奪拷問人食いなんでもござれでヒャッハーな連中である。

 ナザリック内で人肉食嗜好のあるシモベ用に提供されているもので、なんでこれをエントマが運んでいるのかというと、彼女自身も人肉食嗜好があり、また人肉食嗜好のシモベの住処を全て把握した上で忌避感も無く回れるのが彼女だけだった為だ。

 特に、第二階層の恐怖公の守護領域「黒棺」は、女性型の守護者やシモベは総じて「無理っ!」と、両手をクロスさせて拒否する場所である。エントマにとってはオヤツ溢れるとても良い所なのだが。

 

「モブグレころりんすっとんとん♪」

 

 今日もまた機嫌良く歩いていく。最下層から順に巡っており、次は第六階層「蟲毒の大穴」だ。王国に対する「計画」によりナザリック内の人肉食嗜好のシモベ用は当面の分を確保したものの、餓食狐蟲王は他のシモベ用に多く回すべきと主張した為、割当としては少ない方である。

 その事もあってか、週に一度のモブグレネード提供の日には、少し多めに割り振られている。ただ餓食狐蟲王は直属のシモベにダイエットの必要性があると最近指摘されている。折角の配給でもあるので断るのも忍びなく、直属のシモベへの下賜分を増やして対応している。

 

「モブグレころりんすっとんとん♪ 餓食狐蟲王~、配給ですよぉ」

「エントマ殿か。いつもすまないな」

 

 蟲毒の大穴に近づくと、現れたのは打ち付けた金属製の板が覆ったような、胴体を中心に手足の所々が膨れているパワーアーマーだった。膨れているのは装着者の体で、装甲部分を裏から押し上げている。

 

「今日はレアなお住い、出てくるといいですねぇ」

「うむ。少々動かし辛いのが難点だが、防御も増し、高い視点を維持するのも楽なので、これが出てくると有り難い」

 

 餓食狐蟲王としては、自分だけでなく同系の直属のシモベにも割り振りたい所である。既に数体は同じ様な「住処」を確保しているが、いかんせん出現はランダムなので、一体も出ない事があるのが悩ましい所である。

 ただ、外れとはいえレイダーは生命力も高く、また反抗心も高い割に攻撃力などは低いので、住処としない場合はとても食べごたえがあるので好評だ。最初に腕を狙って武器を叩き落として、足を攻撃して移動力を奪えばどうとでも料理ができる。

 

「では行きますよぉ、モブグレころりんすっとんとん♪ そぉれー!」

 

 ぽぽぽいっと、蟲毒の大穴に向かって投げられるモブグレ。周囲で固唾を呑んで見守っていたシモベ達が、閃光の後、晴れた視界の先で出現したレイダーに対して戦闘態勢を取る。

 レイダー達は出現後、少々戸惑ったような表情だったが、レア住居のパワーアーマーを敵と認識したか、それぞれが武器を構えた。

 

「新鮮な肉だ!」「殺人タイムだ!」「やってやるぞ一日中だ!」

「頭捻じ切ってオモチャにしてやるぜー!」

 

 手に持った粗末な銃器を構えた所で、餓食狐蟲王はスキルを発動、武器を取り落とさせる。

 

「あ、レアなお住まい出てきましたねぇ」

 

 パワーアーマー装備のレイダーが居た。手から落としたのはヌカ・ランチャーだった。トールからは「たまに強力な武器を持った奴も出てくるので、一番最初に武器を落とさせるように」と注意を受けているので、事前注意が適切に機能している証左である。

 

「なんで死なないんだ!」

 

 武器を射撃武器から、粗末なナイフや木の板などに切り替えたレイダー達に、シモベ達が襲いかかる。反撃を受けているが、ウェイストランド基準で90レベルとはいえ、この世界での難度90はユグドラシル基準では30レベル程度だ。特にPerkや武技などの有用な能力をもたないレイダーは、武器を落としてしまえば生命力が高いだけの雑魚である。表にもし解き放たれたら、能力的には所謂英雄級ではあるのだが。

 

「ぎゃあああ!」「俺の腕ぇ!」「足、足が…!」

 

 悲鳴を上げつつも、敵対心だけは旺盛なレイダー達。レアなお住まいこと、パワーアーマー装備のレイダーも隙間から侵入されては抵抗もできない。

 哀れなレイダー達をメインディッシュにした饗宴は終わり、レイダー達の武器と防具を剥ぎ取り終えると、それぞれが住処作りに勤しみ始めた。回復系能力を持つシモベが居るので、余程の事が無い限りは死なせる事は無い。

 

「そういえばぁ、トール様がぁ、パワーアーマーの動きが鈍くなったら言って下さいってぇ」

「ふむ。今の所は問題無いのですが、そうか、外部動力で動かしているのですな。便利な半面、そういう点も気をつけねばなりませんな」

 

 以前、提供したモブグレのレイダーの末路をエントマから聞いていたトールは、苦笑いしながらパワーアーマー装備のレイダーが出てきた際の対処を教えつつ、困ったことがあったら事前に教えるように伝えている。

 また、ドロップ品については一度回収の上でトールが買い取り、それをトール拠点内の生産物交換ポイント「キャップ」としてプールしておき、必要に応じてポイントと引き換えに解析データクリスタルを始めとして、食料品や道具類を提供する形式を試験的に取っている。

 トールとしては、自拠点外では単なる珍しい形の金属に成り下がったキャップを、生産システム面も含めて流用できるので、積極的に使ってほしいとナザリック側は通達を受けていた。

 閑話休題。

 

「ではではぁ~、また来ますねぇ」

「うむ、またお願いいたします。他の皆も、エントマ殿にご挨拶を」

 

 ぱたぱたと手を振るエントマを手を振って見送るパワーアーマー型住居に住まう餓食狐蟲王。他のシモベ達も、各々、住処づくりを一時中断してひらひらと触手やら羽やら足やらを色々を振る。

 一見、ほのぼのした光景だが、蟲毒の大穴からは以前からの住処達の呻き声や叫び声に加え、住処とされたにも関わらず反抗心旺盛なレイダーの悪態や悲鳴が響き渡っていた。

-

-

 次にエントマが向かったのは、第二階層にある黒棺(ブラック・カプセル)の領域守護者、恐怖公の所だ。

 エントマ的にはオヤツを提供してくれる良い人(?)なのだが、怖がられているフシがあるのが解せない。それと最近は、外部の情報調査にオヤツを多数派遣しているのだが、使命に差し支えるのでナザリック外の恐怖公のシモベをぽりぽりするのは勘弁してほしいと言われている。

 

「モブグレころりんすっとんとん♪」

 

 エリアに入った所で、エントマの姿を見た恐怖公のシモベが一斉に逃げ出す。いつもは階層のそこかしこに居るのだが、エントマが来た時に限っては動く音すら禁忌とばかりに姿を消す。

 

「恐怖公~、配給ですよぉ~」

「ご機嫌ようエントマ殿。いつも有難うございます」

「いえいえ、お仕事ですからぁ」

 

 いつもの場所に居た恐怖公は、丁寧に挨拶をしてくる。

 

「それでは準備を整えます故、合図をしたらお願いいたします」

「わかりましたぁ」

 

 準備というのは、レイダーの出現と同時に制圧する為のものだ。数は多いとはいえ、一匹一匹は小さな昆虫に過ぎないため、爆発物などを出現時にレイダーが所持している場合、少々被害が出る。そうするとエントマ的にはオヤツフィーバーではあるのだが、折角増やした眷属が減るのは回避したい訳で、事前に準備を整えた上で一気に黒い絨毯というか壁に飲み込ませるのがベストである。

 

 準備と言っても簡単なものだ。モブグレの炸裂地点の周囲に眷属を壁として重ねておき、倒れ込ませるだけである。

 

「整いました。宜しくお願いいたします」

「はい~、モブグレころりんすっとんとん♪ そぉれ~!」

 

 ぽぽぽいっと、残るモブグレの全てが、黒い壁に囲まれた空間に放り込まれる。閃光と同時にレイダー達が出現。上にだけ薄っすら見える明かりと、何も無い空間に戸惑うレイダー達。

 

「なんだお前、ひでぇ顔だな」「お前に言われたくはない、割れた鏡でも見てんのか?」

 

 そしてエントマが居る気配を察したか、一人が警戒モードになると、他も釣られて武器を取り出す。

 

「顔を見せて。こっちへ。私は…!」

 

 言った所で、壁が内側へ倒れ込む。一斉に襲いかかる恐怖公の眷属達に、レイダーは為す術もないまま飲み込まれた。

 

「以前の者もとても元気でした故、これでまた回復をさせながら一週間は眷属達も楽しめる筈です。おっと、こちらが前回のドロップ品です、お納め下さい」

「はい~、お預かりいたします~」

 

 その時、黒い塊になった眷属達の中からくぐもった破裂音が響き、数発の弾丸が飛び出した。天井から「シルバーゴーレム・コックローチ」が一瞬で降りて、恐怖公とエントマを防御する。

 

「いやはや、装備解除の手筈はまだ改良の余地がございますな。申し訳ございません、お怪我はございませんか?」

「大丈夫ですよぉ。所でぇ…」

 

 偽装人化したエントマの視線が、弾丸で死んだ恐怖公の眷属達の死骸に向かう。表情が無い筈の恐怖公の顔が、引きつったかのように震えた。

 

「…進呈いたします。ですが、できましたら活動中の眷属達には…!」

 

 死んだ眷属達の死骸の内、比較的原型をとどめている物を他の眷属達が集め、エントマの前に置いた。都合、20匹分程度だろうか。黒い眷属達は表情はわからないが、明らかに恐怖に震えている。

 

「わかってますよぉ、大事に食べますねぇ~」

「できればというかそもそも食べないでほしいのですが…」

 

 モブグレの入っていた小箱に、形を崩さないよう眷属達の死骸をひょいひょいと放り込むエントマ。恐怖公は溜息を吐くように呟くが、多分、エントマは止めてくれないだろう。

 最近はダイエットとのことで黒棺を訪れて眷属達をぽりぽりする頻度は下がっているのだが、別件でも第二階層で油断しているとエントマが訪れると同時、逃げ遅れた眷属達が食われているのはザラである。故に、エントマが来た時は事前の避難計画に基づき、整然と逃げ出すようになっている。逃げ遅れは基本、うっかりして避難場所にあぶれた眷属である。

 

「それではぁ失礼しますねぇ」

 

 恐怖公は挨拶代わりに笏を振るう。偽装人化した姿で白い手を振るエントマを見送った。

-

-

 最後に、モブグレ配達と並行して集めてきたドロップ品を、地下大墳墓地上層にあるログハウスで寛ぐトールに提出するのが、今日のエントマの仕事である。後は第九階層の源次郎のお世話と共に、お喋りや近況報告をして終わる。

 ぽりぽりとオヤツを食べながら到着。丁度食べ終わった。

 

「トール様ぁ、参りましたよぉ」

「いらっしゃいエントマ。今日もご苦労さん」

 

 トールはいつも通り、一般メイドに淹れて貰った珈琲を啜りながら何か片手間に作業をしている。今日はターミナルを設置しての作業だが、エントマにとっては何をしているかちんぷんかんぷんである。

 預っている無限の背負い袋から今日のドロップ品を取り出す。大抵はガラクタ(Misc)と少々のキャップに加えて武器や防具がある。希に薬品類や食料があるが、ウェイストランド基準の代物なので手を出さないよういい含めてある。

 

「査定するから、座って待っていてくれ。何か食べたい物はあるか?」

「ラッドローチのお肉ぅ!」

「…またか、いいけどさ」

 

 横に控えていた一般メイドが音もなく距離を取る。が、仕事の放棄はできないのでまだ近い距離だ。

 トールはPip-Boyを操作して、拠点と首都ナザリックのワークショップ保管物と接続、食料カテゴリから「ラッドローチの肉」を複数個、取り出した。外見は、切り落とした巨大なローチの胴体部分そのままである。グロい。

 

「生でいいのか?」

「はぁい!」

 

 後ろで一般メイドが「私、もうだめ…」「置いてかないで!?」とかやってるのを聞きつつ、エントマに渡す。

-

 ラッドローチの肉はウェイストランドにおいて「一般的な食料」である。繰り返すが「一般的な食料」である。

 元が日本人であるトールや、トールが出会ったFallout4の主人公の一人ネイトは決して食べなかったのだが、ラッドローチの肉やそれを3つを使った「ラッドローチのグリル」などは、日々が厳しい荒野においては単なる食料の一つである。

 エントマに渡したのは、その中でも一番大きいラッドローチの肉から、ウィルスや放射能を除去したとてもクリーンな代物である。

 かつて大航海時代、ビタミンの欠乏による「壊血病」の原因や対処が広まっていない頃、微量のビタミンを含んでいたらしいローチは海上の極限状態ではポピュラーな食い物だったらしい。食うことで壊血病になりづらい効果が知られていたのである。日本では蛇蝎のごとく嫌われるが、ヨーロッパ圏ではそれほど忌避される昆虫ではないそうな。

 閑話休題。

 

「いっただきま~す♪」

「うわぁ…」

 

 偽装人化の為、人化の際の限界を遥かに超えて可愛い外見のエントマがぐわっと口を開けてラッドローチの肉に齧り付いた。トールは「なんかプレ○ターの口みたいだな」とか呑気な感想だが、後ろに居た一般メイドが「はうっ…!」とか揃って卒倒する。ログハウスからイマジナリ・ニューが出てきて、気絶した二人の一般メイドをお米様抱っこで担ぎ上げて回収した。

-

 もっきゅもっきゅとラッドローチの肉を食べるエントマを横目に、トールはレイダーのドロップ品を検分する。パワーアーマーフレームは2つ、半分ほどになったヒュージョンコアが2つ、あとはレイダーパワーアーマーのパーツだ。武器はヌカランチャー一丁を除いて、ほとんどがパイプ系でレジェンダリも無いのでジャンクにして再利用だろうか。防具の一つに「V.A.T.S.強化」のレジェンダリの物があった程度で、トールは兎も角、V.A.T.S.を使用できない者にはほぼ意味が無い。

 

「トール様、エントマが此方に来ては…!?」

「お、ユリか。来てるよ」

 

 査定アンドお食事中の二人の所に、プレアデスが長女ユリ・アルファが現れた。呑気に査定を続けるトールの脇、早くも2つ目のラッドローチの肉に齧り付いているエントマの姿がある。

 

「そ、それは何なの、エントマ?」

「ふぁっひょほーひほおひふぅ♪」

 

 ユリの白い顔が青ざめた。横では鼻歌を歌いながら、査定した物の価値をターミナルに入力するトールの姿。今日は調子がいいのか、妙に上手いロカビリーだ。ニューベガスでザ・キングスのホロテープをコピーして貰っていた曲の一つである。

 

「な、何を食べさせてるんですか?」

「食用処理済みの、ラッドローチ…あれだ、恐怖公の眷属の50cm版」

 

 聞くが早いかずさぁっと距離を取るユリ。打撃の踏み込みの速度に匹敵する。エントマはもぐもぐしながら首を傾げている。

 

「むぐむぐ…ごきゅん。美味しいですよぉ?」

「け、結構です!?」

 

 エントマが差し出そうとしたラッドローチの肉を両手を振って全力で遠慮するユリ。エントマは「美味しいのになぁ?」と、残る一つを頬張り始めた。最後に黒棺で回収したオヤツの破片で〆る。終わるまで、ユリは決して近づかない。

 

「ごちそうさまでしたぁ~♪」

「ほい、お粗末様でした。査定は終わったから報告は…ユリが居るか」

「…トール様、いつもアレをあげているんですか?」

「源次郎さんにも許可貰ってるよ。食事中、一般メイドの子が退避する事になるけど」

 

 確かに、ログハウス側を見れば大抵は一人は控えている筈の一般メイドの姿が見えない。代わりに居るのはイマジナリ・ニューだけである。 正確には退避ではなく気絶で、常駐しているイマジナリ・ニューが回収である。

 至高の御方の許可済みという情報に、ユリは少しぐらっと揺れて踏み留まる。

 

「イマジナリ・ニュー、二人は?」

「はい、ユリ姉上、気分が優れないようでしたので、奥で休ませております。呼び出しますか?」

 

 多分、自分と同じくショックを受けているだろう二人を呼び出すのもしのびないので止めさせておく。実際には卒倒していたのだが、イマジナリ・ニューはその件はスルー。やんわりとした表現にして伝えた。無表情ながら細やかな気遣いができるので、最初は一般メイドに警戒されていたが今は慕われている。

 

「エントマ、戻ったら源次郎様の所へ。近く、エ・ランテルの視察について話があるそうです」

 

 視察とは言っても、エントマを連れてのデートである。ナザリックギアの完成により偽装人化できるようになったので、ル・シファー商会と食堂以外の所を見て回る予定である。

 

「わかりましたぁ。それでわぁトール様、ご機嫌よう~」

「またな、二人共」

 

 顔を上げてひらひらと手をふるトール。すぐに端末に目を落とし、査定物のキャップ換算額をデータベースに登録。表に出しているドロップ品をワークショップのインベントリへ格納すると、先程まで行っていた作業の続きに入る。

 

「所でトール様」

「うぉう!? …なんだ?」

 

 帰ったと思っていたら残っているユリに直ぐ側で囁かれびくんと驚くトール。レーダーの赤表示が無い時は大抵、気を抜いているせいである。

 

「その…やまいこ様からご相談があるとの事で、明日お時間は無いかと」

「ふむ、なんだろ? 承諾すると伝えておいてくれ。場所は俺の拠点でいいかな?」

「差し支えございませんでしたら、首都ナザリックの商業施設でとの事です」

「オーケー、朝からいつも通りここに居るから、来る前に連絡してくれればいい」

「有難うございます、それでは失礼いたします」

 

 トールはユリを見送り、再び端末へ目を落として作業を再開した。

 




「ど、どうだった、直接じゃなくてやんわりというか、相談したいで承諾してくれたかな?」
「自覚されたのは良いとして、この期に及んでデートという表現を避けるとは、まだ迷っていらっしゃるのですか?」
「だ、だって…告白とかも、まだだし?」
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