荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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思ったより長くなってしまいました。
今回と次で、ニグンちゃん周りは終了予定。


死の支配者と王国戦士団とあと陽光聖典

 アインズさんが何かに狙われる怖気に襲われた所で、遅れて王国戦士団到着。

 

 先頭に居たガゼフ・ストロノーフが、無事らしい村の様子と共に談笑するたっち・みー達の姿を見るや否や、下馬して頭を下げた。

 

 国王直属の戦士団の長。平民だがそれなりの地位にある筈のガゼフが頭を下げた事実。村の出入り口に下がって様子を見守っていた村長が、慌てて飛び出してくる。だが謝罪の言葉と共に頭を下げ続ける。

 

(こうして面と向かって感謝を伝えられると、ほんの少しですが好感が持てますね)

(王国戦士長は国王直轄戦力で、本人も平民から抜擢された人なんです)

 

 たっち達と顔見知りでもあった事から、村長達と共に顔を上げてもらうよう促す。

 

 お互いの自己紹介と村の状況を伝え終わった所で仮面を取って欲しいと言われて、アインズさんはゆっくりと嫉妬マスクを取り外す。戦士団の間に緊張が走るが、全くもって動揺していないたっち・みー達を見て、困惑が広がっている。

 

「驚いただろうが、以前から伝えていた私達の無二の友にして長、アインズさんだ。恐ろしいアンデッドの姿だけど、敵以外にはとても穏やかで優しく、とても律儀な人だ」

「煽てても何も出ませんよ」

 

 気心の知れた感じで笑い合う。因みにトールは、アインズさんが照れでぺかーっと光っていたのを見ていた。ステルスフィールドに隠れたアイボットで録画しているので、後で見せてあげようとか思っていたりする。

 

 やがて村から村長達が呼んだ村人達が出てきて、ベルリバー達が降りた馬を村の馬房にひいていく。戦士団の面々に森で採ったという果実を配った。

 

 ベルリバーは村に戻る村長達と戦士団の数名に同行して、捕縛済の偽装帝国兵のところへ案内する。

 賊共の前で監視を続けている死の騎士に戦士団の間に緊張が走るが、ベルリバーが「お勤めご苦労様、彼らがこいつらを引き取ってくれるんだ。失礼の無いようにね」と声をかけると、臣下の礼を取っていた死の騎士はお任せ下さいとばかりに首肯する。彼の心中は、至高の御方に直接の労いの言葉をかけられた感動に満たされている。

 

「…こ、こんな強力そうなアンデッドを従えるとは」

 

 戦士団の面々はこの日、何度目であろうかという驚きに、呻きにも似た声音になる。

 ユグドラシル基準ではたいして強くは無いが、アインズさん謹製の死の騎士は、こちらの世界で発生するそれよりも一回り強力である。LV一桁台がざらのこの世界においては、遭遇は絶望と同義だろう。

 

「すごいでしょう、私達の友は」

 

 思わず自慢気に言ってしまったベルリバーであった。

 

 

 

 周囲哨戒に出ていた王国戦士団の斥候が焦りを滲ませて、包囲戦力の接近を報告してきた。ガゼフの表情に緊張が走る。アインズさん達にとっては既に得ていた情報の為、空気は引き締めるが焦りなどは無い。

 

「トールさん」

「ああ、裏手は固め終わった」

 

 トールは村の周囲に展開していたナザリック側の戦力と連携して、村を包囲しようと迫る法国の戦力の更に周囲へ、アイボットとMrガッツィー、アサルトロンを複数配置した。全機体、ステルスフィールドを展開して待機している。

 

(実は命令一言で村自体を制圧か殲滅する直前だったとかもう少し人間に優しくしてくれませんかねこの極悪ギルド比較的温厚な私でも一度は攻め入ってみようかなギルド攻略戦)

(ごめんなさい100LVロボット兵団4桁中盤数とか流石に勘弁して下さい!)

 

 念話系とはいえ息継ぎと抑揚無く呟かれたのもあって、悲鳴のように謝罪するアインズさん。

 指示が曖昧だった事から、曲解された可能性があると今回は不問にされたが、アインズさんは肌が無い筈の背筋に冷たい汗が流れたかのような感覚を覚えたという。

 

 

 

 さて、表向きも裏向きも明らかに過剰戦力。それらひしめくカルネ村に、何も知らない法国の陽光聖典が迫る。

 

「陽光聖典の人達がなんか哀れ」

「あ、哀れ…」

 

 ガゼフは、トールを追加したナザリック勢の落ち着きぶりに、危機が目の前だというのに呆然としてしまう。

 

 国家間の事情に介入する以上、徹底的に叩くか遺恨の少ないよう痛めつける程度にするかでアインズさん達の間で意見が分かれるが、トールは懇意にしている村で死人が出る所だった事を主張し、こう呟いた。

 

「殺しはしない。だが心は折る。徹底的にぶち折る」

 

 ウルベルトとペロロンチーノが爆笑しながら賛成すると、他の面子も「仕方ないか」と賛同。

 ぷにっと萌えとタブラはどう折ろうか算段を始めた。あまのひとつから預かった短距離グループ間会話が行えるマジックアイテムがモモンガとトールに手渡される。隠密・暗殺組は姿を隠して指示待ち。前衛組はやる気満々で武器を抜き放つ。

 

「御助力、頂けるのですか?」

 

 臨戦態勢になっていくアインズさん達に、困惑するガゼフ。

 

「「困っている人が居たら、助けるのが当たり前」」

 

 たっちとアインズさんが唱和する形になって、他の面子は感慨深く頷く。

 

「ここは我々も懇意にしている村です。奴等には少し、痛い目に遭わせてやろうかと」

「なんと、心強い事か!」

「戦力配置は、うちの斥候組と魔術師組が村の防衛なので、その護衛に戦士団の面々をお借りしたい。残る前衛組とガゼフさんで、一気に打って出ます」

 

 ガゼフにとっては、あの青の薔薇、アダマンタイト級冒険者すら一目置く傭兵団だ。

 竜王国に幾度も出向き、ビーストマンの集団を事も無げに撃退する戦力。目の前のたっち・みーには、王国戦士団丸ごとでも歯が立たない事は、以前からの訓練場での手合わせで判明している。

 

 その彼らが共に出るのだ。ガゼフにとっては、千どころか万の援軍を得たにも等しい。勝利を確信する。

 

 

 …ただ、今回の配置には裏の意図があった。

 

 心を折るには、双方に死人を出さないほうがより効果的と、死人が出かねない戦士団には下がって貰う。

 ガゼフは強者の領域だが、プレイヤー勢と肩を並べる程には強くない。だが標的であろう事も含め同行させる。

 ぶくぶく茶釜にガゼフのガードを任せ、ペロロンチーノには相手の飛び道具持ちを無力化してもらう。

 ノリノリで地形を変える程の高火力魔法をぶっぱする可能性があるウルベルトには、今回は我慢してもらう。

 

「ま、仕方ないさ。彼らには恨みも興味も無いからな」

 

 そして、アインズさんや後衛組を隠匿して、前衛組だけで陽光聖典をまず叩きのめして、追い詰められて奥の手を出した所で、アインズさん含めて後衛火力組が周辺を軽く焼き払う。村の方にもナザリックとトールの戦力でガードを固めて、奇襲にも油断はしない。

 

 即興にしては悪くないよな、とはタブラと死獣天朱雀の弁。細かい部分はぷにっと萌え監修である。

 

 

 

 結果、どうなったかと言えば、ほぼ作戦通り。陽光聖典隊長であるニグンと側仕えの高レベル者を除き、怪我をしているか、または心を折られて地面に倒れ伏している。

 

「なぜ貴殿らがそこに居る! 亜人種に対し、我々と同じく志を同じくする訳では無かったのか!?」

 

 たまに竜王国での戦線で肩を並べる事もあったため、裏切られたような気分だったのだろう。だが、ニグン達が狙ったのはビーストマンではなく、王国の戦士団とガゼフだ。

 

「只人が蹂躙されることを良しとしなかっただけだ。それにビーストマンにも事情はある。それを汲んだ上で、正面から戦い、打倒してきた。奴等は生きるための狩りとして、都市を、村を、人を襲う。それだけの話だよ」

 

 たっち・みーもこちらの世界に来て5年近くが経つ。リアルと比べて、違う方向での理不尽がまかり通るのを何度も見てきて、ウルベルトと共に障害となる面々を表に裏に叩きのめしてきた。目下のところ一番の敵対組織は八本指という犯罪組織だが、彼らは戦闘集団である六腕幹部の大半をウルベルト傘下に取り込まれて以降、最大警戒と共に懇意の貴族達の力をフル活用して潜伏し続けている為、壊滅には至っていない。

 閑話休題。

 

 

「為す術もなく、人が食われるのを良しとするのか!」

「しない。人より美味いものを見つけてそれを育てるよう知恵を絞るまで、人を襲う事に利益が無いと理解するまで、何度でも打ち倒し続けるだけだ」

「人類存続の為に身を捧げた我らに対し、よくも戯言を! そこをどけ、我らの標的はガゼフ・ストロノーフだ!」

 

 剣を油断なく構えるガゼフ。隣に居るぶくぶく茶釜のガードはまさに鉄壁で、武器から矢玉から魔法まで尽く叩き落された。

 

「…嫌われてますね、戦士長?」

「どのような理由で標的にされたか、見当がつきません…」

「んー、もう少し政治というかそういった所、介入は兎も角、気に掛ける事をお勧めするよ」

「う、うむ…」

 

 会話をしながらも、ぶくぶく茶釜の盾は休み無く攻撃を防いでいる。

 

 陽光聖典の敗色が濃厚になった所で少し予定変更。ぷにっと萌えはウルベルトに出てもらうよう要請。退路を経つ為に、周囲に範囲系魔法を打ってもらうと逃げ腰になっていた陽光聖典の部隊員の幾人かは心が折れたのかへたりこんだ。

 

 追い詰められ、逃げられないとなれば、兵は大抵、厄介な死兵となる。だがそれは、人と人という個々の戦力差に差がない場合だ。圧倒的力量差で殴られ、切られ、打たれ、それでも誰も死者が出ていない事が、陽光聖典達の士気に大ダメージを負わせている。

 

「王国の貴族共は殆どがクズだが、国王の盾たるガゼフを抹殺すれば帝国の併呑が早まるとかそんな所か?」

 

 そう言いながらウルベルトが悪魔の角をイメージした意匠のある帽子を弄ぶ。タブラがトールに秘匿通話。親指で抜かり無いと返答。隠れたアイボットはふわふわと浮かびながら複数で録画を続けている。

 

「そこまで理解しているなら、何故、ガゼフを守ろうとする!」

「彼が平民だからだ。民草を守る剣だからだ。

 彼を殺す前に、手持ちの戦力でクズ貴族と犯罪組織を抹殺すればよかろうに、何をしているんだ貴様らは?」

 

 法国には裏で活動する特殊部隊もある。表立っては国家間戦争の引き金となる為、各国家間では暗部の争いが日常的に起こっている。王国では王家は暗部を持たず、持てず、貴族側がそういった部分を請け負っているが、忠誠の高い人員はほぼ居ない。何せ一部の貴族は犯罪組織に加担しているのだから。

 

「そんな事はわかっている! ガゼフが英雄だと言うことも!

 だが悪徳貴族と八本指共の温床となる王国に、これ以上は手をかけられんのだ!」

 

 通常は亜人種制圧に用いられる陽光聖典が、今回はかなり表立った形で強襲している。法国側も余裕が無いのだろう。ニグンは怒りというより、嘆き、懇願するような叫びになっている。

 

「…だから帝国に併呑させるのか。ジルクニフ帝なら、王国の統治は迅速で安定するだろうな。民も飢えずに済むだろうさ」

「理解しているなら、何故なんだ!」

 

 ウルベルトは武器も兼ねる杖をニグンに突きつける。

 

「必要な犠牲、そんな反吐の出る言葉で命を落とす人間が出る。ただ日々を送り、明日を生きたかっただけの人が」

「今のままでは、屑どもの犠牲者が増え続けるぞ!」

「これ以上は増やさせないさ」

 

 杖を回転させたかと思うと、地面に両手で突く。杖の構造なのか、きれいな音が周囲に響いた。

 

「俺達、ナザリックがな」

 

 自信に満ち溢れ、ニヤリと笑った。

 

 

 

 そんな感じにシリアスな雰囲気でニグンとウルベルトが問答をしている脇、グループ間会話をするメンバーたち。

 

(なんかすっげぇノリノリですね?)

(あれ、わざわざ音が鳴るようにこっそり地面、魔法で固めてるな)

(異形種だと、こじらせすぎた中二病が加速するからって極力、人化してるんだけどね彼?)

(人を人と思えない以外に、そんな影響が…)

(ウルベルトさんだけだと思うけどねー、私はほら、可愛い子を触手で襲いたくなるとかそんな感じ)

(淫獣がいるぞー! たっちさんこっちです!)

(黙れ愚弟! 襲いたくなるだけで襲った事はまだ無い! まだ!)

(…やらかしたら流石に、捕まえてお説教ですからね。やまいこさんに頼んで)

(お空跳ぶ方がいい? 地面に埋まる方がいい? 壁抜き行っちゃう?)

(ごめんなさい勘弁してください!)

(そこうるさいよ!?)

 

 

 

 そんな会話がされているとはつゆ知らず、ニグンは叫ぶ。

 

「ナザリック? なんだそれは! 腐敗貴族共を、八本指共を一挙に相手取る戦力があるとでも言うのか!」

「在る」

「戯言を! ええい、話はこれまでだ! いかに貴殿らといえど、魔神すら退けた最高位天使に勝てる道理などない! 時間を稼げ!」

 

 まだ力を残している部隊員に命じ、防御を固めるニグン。懐から魔封じの水晶を取り出した。

 

(んんー? 熾天使じゃぁ無いなありゃ)

(最高位天使って、ねえ?)

(え、身構えてみたんですけど、違うんです?)

(俺の鑑定だとあれ、威光の主天使が出てきます)

(うわぁ…超位も入るのに勿体ない)

(仕方ないっちゃ仕方ないですよ。俺らみたいに十とか超とか使えるのがまずおかしいんです)

(正直、魔法が使えるのが羨ましいなぁ)

(…何も無い所に拠点やら要塞やら一瞬で築くトールさんに言われると複雑)

(え、築けるんですか?)

(資材次第ですって。今の備蓄じゃ、あの世界での戦前のボストンかワシントンDCの都市部を再現する位でまず枯渇します)

(再現できるんだ…)

 

 のんびりとしたグループ間会話とは別に、空にヒビが入り、割れる。魔法発動の気配から、監視系・探知系魔法への対抗魔法が発動したと推察する。

 

(ん? ウルさんの攻性防壁が動いた?)

(カウンター発動するとあんな感じになるのか、知らなかった)

(空間がパリーンとかちょっとかっこいい」

(今のウルベルトさんの防壁、何を設定してました?)

(軽い反撃でもこの世界だと致命的だろうと自重してた筈)

(俺の<核撃>は軽い方だと思ってましたが、こっちだと即死系になるのかな)

(なります。行動阻害系の穏便な奴にしておいて下さい)

(ウルさんのは手癖の悪い小悪魔を大量召喚する奴だったかな、確か)

(相手の持ってる装備の内、すぐ取れそうなのをかっぱらってくる奴か)

(発動して、盗んできた奴ってどうなるんでしょうね?)

(通常はインベントリかアイテムボックス、所有のインフィニティハヴァザック内ですけど…)

(一杯だったり設定してないと、周囲にばらまかれるんじゃないっけ)

 

 もう消化試合モードのメンバーたちとは裏腹に、ガゼフには焦りが、ニグンには勝機の喜悦が走る。

 

「ふはははは! 見よ、この威容を! <聖なる一撃>を放て!」

 

 ウルベルトの位置に向かって、最大攻撃である<聖なる一撃>が放たれた。だが既に彼はそこに居ない。

 

(あばばばばばば!)

(も、モモンガさーん!(棒))

(俺が食らってみようと思ったのにー!)

 

 瞬時に位置交換するアイテムで居場所を入れ替え、ウルベルトの代わりにアインズさんがそこに立っている。

 

「モモンガ様に対して…!」

「ほいほい、アルベドちゃんステーイ、ステーイ。見てみなさいよ、貴女の愛しい旦那さまの雄姿を」

「は、はい見ます! モモンガさまー! 素敵ですー!」

 

 後ろの声援は聞こえないフリをして、光の柱が霧散した先でアインズさんは魔王ロール。

 

「…はは、そうか、これが痛みという感覚か」

「き、貴様、何者だ! 最高位天使の一撃を受けて、無傷、無傷だと!?」

 

 ウルベルトに代わり出てきたのは、死のオーラLV1を纏った状態のアインズさんである。

 この世界では英雄とされるガゼフが襲い来る恐怖の感覚に脂汗を流し、ニグンは崩折れそうになる膝を叱咤してなんとか立っている状態。

 周囲の陽光聖典の部隊員は、皆、動けない中で恐慌状態である。

 

「無傷ではないさ。だが、これで脅威の度合いは知れた。降伏をお勧めするが?」

「も、もう一度だ!」

 

 勇気を振り絞り命令を下すニグン。

 

(あばばばばばば!)

(ウルベルトさーん!(棒))

(何をしてるんですか二人して…)

(いやぁ、人の姿で一度は食らってみようと思っただけで…)

(次、俺もいってみようかな、カルマ極悪だったし)

(そんなノリで魔法を使わせられる最高位天使(笑)が可哀想!)

(普通は60LV台だと危ないんだけどなぁ…。あ、そうか)

(トールさんにデータクリスタルコピーして貰って、防御だけは90LV相当でガッチガチですもんね俺ら)

(あまのひとつさん達に感謝だな)

 

 懲りずに命令を下すニグン。

 

「まだだぁ!!」

 

 だが結果は同じだった。

 

(あばばばばばば!)

(ペロロンチーノぉー!(棒))

(いやぁ、最高位天使(笑)は強敵でしたね)

 

 今度はペロロンチーノがわざわざアイテムを使って位置交換して出てきた。恐怖のプレッシャーが解かれた陽光聖典の面々は「誰だよ!?」と困惑している。

 

 トールは面白がっているが、ギルメン達は天丼もいい加減飽きたなと、ウルベルト、アインズさんが魔法でペロロンチーノの隣に転移する。

 

「こ、こんな馬鹿な事があるかー!?」

 

 なんか可哀想になってきたとはトールの弁。最初に心を折るとかなんとか言ってた割には善人なのだろうなと、アインズさんは苦笑する。

 

「さて、理解したかな陽光聖典? これで力の差を理解s…なにこれ?」

 

 降伏を促そうとした矢先、空からぱらぱらと雨ではない物が降ってきた。

 

(えーと、指輪にネックレスに、杖とか靴とか…)

(あれってウルベルトさんの防壁で召喚された小悪魔の戦利品?)

(こ、これは紛うこと無くぱんつ! ぱんつです!)

(…ウルベルトさん? ちょっとお話しようか?)

(俺は悪くぬぇ!?)

 

 グループ間会話はてんやわんやだが、それをおくびにも出さない非公式魔王。ウルベルトは魔法攻撃で少し乱れた衣服を正すと、アインズさんの脇に立つ。

 

「あらためて紹介しよう!

 我らアインズ・ウール・ゴウンを束ねるナザリック地下大墳墓の主、死の支配者!

 モモンガ・アインズ・ウール・ゴウン・ナザリック!」

 

 うわぁノリノリだよーとアインズさん。だが悪い気はしない。

 

「紹介に預かった、アインズだ」

 

 再び被っていた嫉妬マスクをゆっくりと取り外す。尚、今は恐怖のオーラは纏っていない。

 

「問おう、陽光聖典。降伏か死か」

「「「スルシャーナ様!?」」」

 

 意識があった者や騒ぎに意識を取り戻した者が、驚愕を持って叫んだ。

 




残りのメンバーたちについてはエ・ランテルに居るのでそちらで。

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