荒野からやってきました ~死の支配者と荒野の旅人~   作:マガミ

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 あれの小物ムーブがわざとらしすぎて、色々ご意見が錯綜してたので、計算外というか計算通りというか…、いやほんとすいませんでした。



至高なる御方々と円卓会議

 アインズさん側が混乱に見舞われ、小物ムーブ溢れる敵性プレイヤーが死亡フラグを立てた頃、聖王国にほど近い「海中」で、意見を交わす者達が居た。

 

「観測対象Aと観測対象Yの接触を確認。…ええと、班長、あれほんとにバカなんですね」

「うむ、予想以上にバカだった。準WI級を使った上で攻撃? 事前通告無しとか、あれでよくトッププレイヤーと吠えたな」

「どうします? そも直接接触する気も無かったですけど、あれのせいで聖王国でのプランAからDまでが実質上、遂行不可能になりましたが」

「それを言うならプランEもだ。出ているメンバーが戻り次第、聖王国の全拠点を破棄、帝国と王国の境界海域へ移動する。現地の各機材はDCと素材を除いて全て置いていけ」

「いいんですか? Lクラスもありますよ?」

「どうせ現地生産だ。標準デザインである以上、ゾンビサムも追いきれまい。潜り込んでる彼奴等に塩を送るみたいで癪だがな」

「ゾンビサムって…いや実質、ほぼ全部が企業の傀儡ですけど」

「この世界は奇跡のフロンティアにしてアルカディアだ。連合の進出は、絶対に阻止せねばならん」

「わかってますよ。でも、亡くなられた方に引っ張られるのは止めましょう?」

「…そうだな。今後の方針だが、山脈を超えて直接、魔導皇国に接触を図る」

「大丈夫なんでしょうか…。アレの事例からして、異形種アバター体は精神が変質するようですけど。本人は人間種の積りなのが余計に」

「最近入った情報では、穏やかな関係を王国と帝国、そして法国とも築いているとある。誠心誠意かつ慎重に行こう」

「了解です。しっかし、初手で空飛べずに山脈超えかぁ、専用で機材用意しないと」

「頼んだ。DCも大分回復したから、HR級なら制限無しだ」

「まじすか。がんばります」

「頼んだぞ」

 

 この会話がされた後、聖王国では犯罪組織や秘密結社の検挙が増えた。主犯格の捕縛や討伐には至らなかったそうだが、溜め込んでいた財貨や魔道具は反聖女王派に多く流れたらしく、現政権側は勢い付く対抗派閥に頭を悩ませることとなる。

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 地下大墳墓の円卓では、緊張感を孕んだ空気が漂っている。先の「ヨイヤミ」なるプレイヤーの所業でトールが致命傷を負った件は、少なくない衝撃を彼らに齎していた。

 

 久方ぶりの、ユグドラシル現役時代のよくない空気での言い争い。喧々諤々と好き勝手に言い合うギルメン達の前で、モモンガさんはそれを止めずに一人、腕を組んでゲンドウスタイルで沈黙していた。

 

「…皆さん、宜しいか?」

 

 前もってナザリックメイド達や守護者達は退出させてある。其上で、モモンガさんは絶望のオーラを全開にしている。その本気具合にギルメン達は静かになり、ギルド長の言葉を待つ。

 

「静かになりましたね? では、ぷにっと萌えさん、現時点での情報を」

「わかりました」

 

 ぷにっと萌えは、伝え聞いてきた情報から戦力分析を終えている。先の奇襲については、多少の油断もあったが、それ以上に「常闇の竜王」だと考えられている躯竜の力が、考えていたよりも強力だった事が原因だとも。

 

「探知範囲を逸脱しての出現と離脱は、ワールドアイテムか、固定地点転移の課金アイテムと推察されます」

 

 現地調査の結果、便利系(…のカテゴリだが使い勝手は微妙な)アイテムの残骸が発見されていた。また、離脱を決意してからすぐの転移ではない点からして間違い無いとも。

 

「かのプレイヤー、ヨイヤミはレベル100の後衛寄りテイマーである事が判明しています」

 

 周囲に出現した無数の不死系モンスターは、傭兵モンスターやテイミングしたモンスターを死亡次第アンデッドにして即時、戦力補充に回すコンボの一種だ。ただ重課金者でない限りコスト的には微妙である。またアンデッドにしたモンスターは常に周囲をうろつく羽目になるので不死系としては耐久度に偏った文字通り壁扱い。移動や戦闘で邪魔になるので、コスト以上に使い勝手も微妙だった。

 躯竜の出現と共に大挙して現れていたので、その微妙なコンボの使用が有力視されている。

 

「逃げた方面は聖王国だ。国自体というより、派閥争いの裏に潜んでいる可能性がある」

「聖王国の現在情勢について報告しましょう」

 

 聖王カルカと保守派の貴族との軋轢を掻い摘んで説明される。モモンガさんの静かな様子に冷静さを取り戻したギルメン達は、現状での情報精査と確認を続ける。

 

「黒幕ムーブ気取ってるか…。パンドラが迎えた使節団って、重要そうな人来てるんだっけか」

「ええ、王兄が直々に。権力のそれ自体は無いとされてますが、手腕も立場も影響力も高い」

 

 ギルド長がロールも無しに渋声モードだった事に気づいたギルメン達は「あ、激おこだ…」と冷静になった。

 

「所でさ、俺の主観だけどあのタイプって盛大に自爆しそうじゃん? それが、運良くたまたま、今の今まで生き延びてるって、かなり稀有っぽくない?」

 

 直接交戦したペロロンチーノの意見に、モモンガさんを含めて一緒に交戦した面々が頷く。

 

「そうさな、あの騒がしさが本人のフェイクなのかはわからんが、何か黒幕が潜んでる事も想定しておいた方がいいな」

「あれだけ短絡的だと、途中で面倒になってやらかすだろうからな」

「所で、あいつが乗ってたアンデッドのドラゴンって?」

「映像を大王国のネネコさん達に確認済み。宵闇の竜王を名乗ってたらしい。声も一緒だとさ」

「それと先程ツアーに確認したが、アンデッド化してた事と、装飾でも無い鎖が巻き付いてた事に驚いていた」

「成程、なんだおめー死んでたのかよ的な」

「ツアーと同格かそれに準ずる強さだろ? どうやって使役してんだ?」

「そこが不明なんですよね。確認範囲のビルドだと、火力でも搦手でも押し切るのは難しい」

「やはり、何かが居るな…。

 皆さん、これから竜王国遠征の準備が始まりますが、厳戒態勢を敷きたいと思います。宜しいか?」

 

 ギルド長の意見に参加全員が首肯する。

 

「調査体制も見直しましょう。アルベド、デミウルゴス、パンドラズ・アクターに指示を」

「我々も、首都ナザリック外に出る際は最低でも2人で。護衛役も必ず配置しましょう」

「…仕方無いか」「安全第一」

 

 今は見えない相手の調査、把握、そして…撃滅の準備。それが決議された。

 

 全盛期以上の力を持ったアインズ・ウール・ゴウンによるそれは、秘密裏に蠢いていたこの世界にとっての異物を表舞台に引きずり出し、その上で徹底的に叩き潰す事となる。

 

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