保健室にて
「あの、オールマイト…」
「なにかね緑谷少年」
「天魔さんに…その、トゥルーフォーム見られてしまいましたけど…」
「ふむ、そうだね…」
その場にいてオロオロとしているだけだった自分を思い出したのか、尻すぼみになりながら緑谷出久はオールマイトへと問う。
オールマイトは、爆豪を庇って脳無のパンチを受けようとした時を思い出した。
オールマイト並みのパワーを抑える出力。
あのタイミングで動く状況判断。
人質にされていても冷静な分析力。
捕まっている状況を利用した適応力。
個性を使用した緑谷をフォローする瞬発力。
脳無一体を完全に無効化した戦闘力。
大小の個性を精密に制御する繊細さ。
攻守捕縛揃う個性の汎用性。
何をとっても、あの天魔 市はズバ抜けていた。プロヒーローとも渡り合えるであろう実力の高さ。そしてなによりもあの歳で殺気に慣れていた。
どういう事かは分からないが、あの場での対応に助けられたのも事実だ。
「天魔少女ならば大丈夫だろう!」
「そう、ですか…。僕もそう、思います」
素晴らしい原石だ。
磨けばもっと光るだろう。
「……ところで緑谷少年、君は「レプリカ」をしっているかい?」
「レプリカ…?20年前位に突然現れて人々を救けている人ですよね。日夜テレビを騒がせているのはヒーロー免許を持っていないからで、取得していれば人気上昇は確実の実力を持った人。個性は分からないけどその強さから身体強化型の個性だと分析されて……ハッ、すみませんオールマイト!」
「いいよ!…ヒーローではないが履修済みか、さすがだね。5年前のこの怪我、本当はもっと酷い予定だったんだ」
「え…予定だったって、どういう……?」
「怪我を受けた後にレプリカが現れてね。負傷した私を庇って戦ってくれたんだ。あれはヒーローの素質を持った素晴らしい人物だったよ」
「オールマイトに怪我をさせた敵と互角なんて…やっぱり凄すぎる!」
「やっぱり?」
「…あ、そうですよね。僕、レプリカに会ったことあるんです」
「本当かい緑谷少年!いつ!?」
「ひょ!?え、と…僕が無個性と診断された時だから…10年前くらいです。…その、泣いてる時に抱きしめてくれたんです。何も言わなかったけど、それだけで嬉しかったので覚えてます。それがレプリカなのは大きくなってから知りました」
「……そうか。君も救けられていたんだね。いつか会って礼が言いたいものだ」
「はい!」
「ヒーロー免許を持っていない者がヒーロー活動をする事は禁止されている。その分類で言えばレプリカは犯罪者だ。けれど…とても勿体ないよね」
「そうですよね。どうしてヒーロー免許を取らないんでしょうか?」
「普通に考えれば取れない理由がある…って所だと思うけど、分からないよね!HAHAHA!」
こうして、師弟は2人の時間を駄弁り、穏やかな時間を過ごしていく。
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『オールマイト並の速さを持った子供の他に、気になった事はあるかな』
「……どう考えてもコッチ側のガキがいた。天魔って呼ばれた女…あいつも腹が立つ…」
あのクソみたいな目つき。
脳無の無効化の方法。
どれもヒーローを目指す奴がやる事じゃなかった。それに考え方もそうだ。マスコミを陽動に利用したあの時も、明らかに手加減して俺と戦ってたし、ヒーローの先公にもチクってなかった。
『天魔……天魔ね…。心当たりがあるから、今度揺さぶりをかけてみたらどうだい?敵連合のメンバーが増えるのは大歓迎だよ』
「……引き入れるのか、先生」
『君がコチラ側だと言うならばその方がいいだろう?記者を発狂させたという個性も興味深い』
『それに……その子はきっと