ダウナー系が本当のヒーローになるまで   作:鶴クレイン

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3話:ダウナー系と採点修羅場

雄英高校ヒーロー科の入試期間は、受験生にとって戦争である。

そしてそれは、教師にも同じ事が言えた。

ヒーロー科以前に雄英高校はレベルが高い。普通科しかり、サポート科や経営科も倍率が高く、受験シーズンは教師陣が社蓄になりデスマーチが始まる。

 

 

一般入試の定員は36名。18人ずつで2クラスの狭き門である。

出願人数は10,800人を超え、教師達はその人数分の筆記採点をして、実技試験のビデオ判定にリアルタイムでの観賞。

やる事が多い。やる事が、多い(2回目)

この頃になると、毎年発狂した者の奇行が恒例行事にすらなってくる。

 

 

 

「あっはぁ〜〜〜〜!!!!ふぅーーーやぁーーーーーゴフッ!?」

 

 

今もまた発狂したのか童心に帰ってキャスターチェアに立ち乗り、笑いながら個性で高速回転をする同僚(バカ)を沈めた。完全に個性の無駄遣いであり、同僚(コイツ)の個性は断じてキャスターチェアを回すことに使うものではない。

 

 

「実技総合成績出ました」

「……同率で1位が2人。最下位を落とすか」

「いや、ここでの繰り下げで生徒を落としてしまうのはあまりにも…」

「………まぁ、いいじゃない!1年くらい1クラス19人でも変わらないよ!我が校でその種を芽吹かせてくれればいいさ!自由な校風だもの!」

 

 

 

EXAMINATION(試験) RESULT(結果)と表示された画面に、受験生の上位者の名前が表示される。

 

 

 

「E会場のラストはやばかったな」

「ええ、間に合わないと思ったし、ミリ秒であの行動が出来る彼女の個性は強いわね」

「あの場のあの瞬間、あの個性でなければ間に合わなかっただろうな」

「救助Pも申し分なし、本人は余力を残して帰還、ね」

 

 

 

 

同率1位 天魔 市

敵P29 救助P48 合計77P

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

試験結果と思われる封筒が雄英から届いた。

狭いアパートの部屋に折り畳みベッドとパイプ椅子、冷蔵庫。調理道具にクローゼットも無い。良く言えばシンプル、悪く言えば殺風景。

そんな部屋で1人、市はパイプ椅子に腰掛けて封筒を開けた。ギシリとパイプ同士が擦れる音がして、封筒の中に入っていた小さな機械が膝に落ちた。

 

 

 

『私が投映された!!!』

 

 

突然の大音量に肩を震わせて、市は展開されたプロジェクトを見上げる。

 

 

『天魔少女、筆記に実技、実に見事だった。仮想敵をある程度倒したら動かなくなったからこちらも焦ったよね!

「やる気がないんじゃないか」なんて邪推した奴もいる。

たが!!君は最後の最後で行動を起こした!!あの行為は尊いものだ。

当たり前だが、誰にでも出来る事じゃない。私たち雄英は、それを誇りに思う。審査制の救助活動(レスキュー)P!!天魔 市 48P!!!

君がなぜ仮想敵を倒す事を止めたのかは分からない。だが、誇っていい!!!君は正しい事をした!!

おいで天魔少女!雄英ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

 

そう締めてプロジェクトは消えた。どうやら、封筒は合格通知だったようだ。

正直、受かるつもりはなかった。目的の為に近い方を選んだだけであって、本当はどこでも良かったのだ。

 

 

 

 

いつかの未来までに、牙を研ぐことが出来れば。




どうでもいいけど「同率1位 天魔市」って韻踏んでてラップみたいだよねっていう事に気付きました。
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