ダウナー系が本当のヒーローになるまで   作:鶴クレイン

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31話:パワーク事務所

市を見送った3人は事務所へと帰り、それぞれの時間を堪能している。

ロベレットは雑誌を見て、メタモルはテレビを、パワークはソファにて寛いでいる。誰も顔を動かさずに宙や画面を見たまま、独り言のように会話が始まった。

 

 

 

「いやあ、中々面白い子だったね」

「そうですね。あれは化けますよ」

「本当に可愛い子だったもの。メタモルの個性で化けてても元が良いから可愛いままだし」

「あんま変えても違和感があると思ったからな。顔のベースそのままで後は化粧だ」

「印象操作なんて髪色だけでも結構変わるからネ。いい判断だったよメタくん」

「そりゃドウモ」

「なるほど。君が言った「2回目」の答えがこういう形で判明するとはね。そりゃ過去の私も首をひねるってものさ!とても興味深い因果をお持ちのようだ」

 

 

 

 

 

 

「ね、レプリカ」

「………」

 

 

 

 

パワークが座るソファの後ろに、白い狐面をつけた性別不明の黒マントが現れていた。

 

 

世間や警察を賑わせ、レプリカと呼ばれているその人。

 

 

 

 

「船で遭遇したあの大男、脳無だったかな?我々ヒーローには知られていない巨悪が動き出しているようだね」

「あー、やっぱそういう系か」

「他のヒーローは知らないけど、私たちは元々アッチ側だからなんとなく分かるのよね」

「そうとも。もしこの状況で『見えない敵』がいるのなら、こちらにも『敵には見えていない味方』が必要になる。今回はありがとうね、レプリカ」

 

 

 

パワークが言っていた「もしもの保険」はメタモルの「化けの皮(ドッペルゲンガー)」によるダメージ無効化ではなく、確証は無いが側にいると確信していたレプリカの事だ。

持ち前の頭脳にて叩き出した予測が外れる事はなく、狙われたならばあらゆる手段で追い詰められ気付いた時には絡め取られている。

計画を発案した本人の自覚のない悪意が余計にタチが悪い。

 

ヒーロー名は、レプリカが一案として候補に挙げて気に入ったものだ。

 

 

 

 

 

「私が付けている狐面は、恩人である君を真似していたんだけど…君、可愛い所あるんだね」

「…………」

「伏線回収ご苦労様。約束は約束さ、私達は今後、全力で君のサポートに徹するとしよう」

「ええ、楽しそうだし私も賛成〜」

「…はぁ。ま、アンタには救けられたしな。俺も異論は無い」

「そういう事。さ、これから何をするのかナ?なんでも言ってよ!」

「…………」

 

 

 

 

頭を下げたレプリカは小声で感謝の言葉を伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても神様になりたい、とはね」

「あ、それ私も聞きました。すごいですよね、あの歳で」

「一昔前は私も自分の万能感に酔いしれていた時があったよ。なにせ私レベルの頭脳を持つと、なんでも思い通りになるからね。考えるのが楽しくて仕方なかったよ」

「うわぁ、会いたくないですね」

「部下の使い捨てなんて当たり前だったしね。多少使えるなら長持ちさせてたけど、ヒビが入ったらすぐ交換してたナァ。割と人の命とかどうでもいいと思ってた時期だったし」

「人って変われるものなんだな」

「いや、変わってないよ。君らもそうだろう?私達がヒーローになっても、行動理念は自分が得するのかどうか。そう考えると、数日前のヒーロー殺しに狙われちゃうから大っぴらには言えないけどネ」

「パワークさん流石ぁ〜」

「お前もそう変わらないからな、ロベレット」

 

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