ダウナー系が本当のヒーローになるまで   作:鶴クレイン

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イラストにてお目汚し失礼します。


34話:ダウナー系と対戦教師※

そして演習試験当日

 

 

広い校内の昇降口正面。ヒーローコスチュームに着替えて集められた市達は、実技試験にしては教師が多いと思った。

 

 

「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ。

諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが…」

「入試みてぇなロボ無双だろ!!」

「花火!カレー!肝試ーー!!」

「残念!!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

 

ノリノリで仰け反った上鳴に、腕を上げる芦戸。相澤先生の首元に巻かれた捕縛布が動いてネズミの校長先生がヒョコリと身体を出した。想像よりも大きい身体だが、あのサイズを首元に潜ませているなんて相澤先生の首への負担は大丈夫だろうか。

 

聞いていた話と違ったので、成績下位の2人は先程のポーズのまま固まってしまった。すごい。仰け反ったままなんて、体幹が鍛えられている証拠だ。

 

 

「校長先生!」

「変更って…」

「それはね…これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!というわけで…諸君らにはこれから二人一組(ツーマンセル)でここにいる教師一人と戦闘を行なってもらう!」

 

 

二人一組(ツーマンセル)

B組とは違い、奇数のA組の人数でそのチーム分けは良くない。なぜ三人一組(スリーマンセル)の七チームでなく、二人一組の十チームで一人を余らせるのか。

 

 

「先…生方と…!?」

「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度……諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ。まず轟と八百万がチームで、俺とだ。そして緑谷と爆豪がチーム」

「デ……!?」

「かっ…!?」

「で…相手は_____…」

「私がする!協力して勝ちに来いよお二人さん!!」

「んで疑問に思った奴も多いと思うが、一人余る奴は天魔、お前だ」

「……………」

 

 

…なるほど。

あの相談を聞き入れたからこういう措置にしたって事か。

 

 

「それぞれステージを用意してある。10組一斉スタートだ。試験の概要については各々の対戦相手から説明される。移動は学内バスだ、時間がもったいないから速やかに乗れ。天魔は試験の構造上、10組が終わった後だ」

 

 

 

校長vs芦田・上鳴

13号vs青山・麗日

プレゼント・マイクvs口田・耳郎

エクトプラズムvs蛙吹・常闇

ミッドナイトvs瀬呂・峰田

スナイプvs葉隠・障子

セメントスvs砂糖・切島

パワーローダーvs飯田・尾白

イレイザーヘッドvs轟・八百万

オールマイトvs緑谷・爆豪

そして皆の試験終了後にイレイザーヘッドvs天魔

 

 

相澤先生の体力的負担は考慮しなくていいのか?轟・八百万チームが終わった後に市との期末試験なんて、社畜もいいところだ。前のチームとのテストを早めに終わらせれば休憩時間はあるが、推薦らしい二人を相手して時間が余るのか疑問だ。

 

 

校内バスを四人で利用するなんて、贅沢すぎると思う。市は一番後ろの端を座ってバス内を見回した。乗った全員が一定のスペースを確保し、相澤先生は外、轟は自分の手、八百万は考え事をしているのか俯いている。会話は当たり前だが無い。

 

相澤先生との対戦場所は、一般人が住むような住宅街ステージだった。曲がり角の数に比例して死角が多く、ヒット&アウェイのイレイザーヘッドには戦いやすい立地だ。合理的に試験説明は三人同時にするようで、校内バスは試験終了まで待機する事になった。

 

 

「制限時間は30分。お前らの目的は「このハンドカフスを(先生)に掛ける」か「どちらか一人がこのステージから脱出」すること」

「…ということは、逃げてもよろしいのですね」

「ああ。戦闘訓練とは違い、相手は格上の俺。極めて実戦に近い状況での試験だ、俺らを(ヴィラン)そのものだと考えろ。会敵したと仮定し、そこで戦い勝てるならそれで良し。だが実力差が大きすぎる場合、逃げて応援を呼んだ方が賢明。轟……()()()()はよくわかってるハズだ」

「?」

 

 

……それもそうか。

ヒーローになった時、相手との実力差が分からずに殺されれば市民の不安へ繋がり、もしかしたら敵を調子に乗らせて更なる被害を招く可能性もある。そのヒーローの個性でしか救えない未来の命を潰す事にもなるかもしれない。

 

 

「試されるのは判断力だ。だが生徒側(お前たち)の不利を埋めるハンデとして、サポート科の超圧縮(おも)りを体重の約半分ほど装着する。古典的だが動き辛いし体力は削られるからな」

「戦闘を視野に入れさせる為か」

「さぁな。説明は終わりだ。天魔、婆さん(リカバリーガール)の所で待ってろ」

「はい」

 

 

 

 

生徒側はステージ中央スタートで、逃走成功の条件は指定のゲートを通る事。先生側の定石はゲート付近での待ち伏せ。

 

指示された所へ行けば、「リカバリーガール出張保健所」と書かれたテントが設置されている。中にはハイテクな機械と共に数多くのモニターが試験ステージを映し、いつでもドクターストップが出来るようになっていた。

 

 

「さて…今日は激務になりそうだ」

 

 

リカバリーガールが目の前にあるマイクを持って、モニターを見る。

 

 

『皆、位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年、期末テストを始めるよレディイイ_______…ゴォ!!!』

 

 

各ステージに置かれているスピーカーから、マイクに入れた声が流れる。スタートと同時に蛙吹・常闇の周りをエクトプラズム先生の分身が囲む。

それぞれの生徒がゲートに向かって警戒しながら走り出す。

 

 

それじゃあ、相澤先生の観察でも始めようか。

 




対戦相手発表のアレ

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