「最近、動き出したみたいだね」
「はい。レプリカの目撃情報が増えています」
「レプリカ」
数十年前に突然現れたにも関わらず、老いることを知らないのかその実力は衰えずに未だ現役で活動を続けている者。ヒーロー免許を持っていない一般人にも関わらず、災害時や敵襲撃時に被害者を救けて回る人間。
免許を持っていない人間が個性を使う事が違法だと知っているようで、白い狐の仮面で顔を隠して活動しているヒーロー擬き。
ローブを深く被っているので髪の色、髪型も分からずじまい。有力な情報といえば、両腕が機械仕掛けだということ位か。両腕が無いのか、どうも機械義手らしい。そもそも性別もどちらか分からないのだ。
遭遇しても誰も詳しい事を覚えていない。その姿は朧げで、白い狐面だけが唯一の手がかり。
注意しようにも神出鬼没、しかも拠点も見つからない。ふらりと現れて救助活動をし、いつの間に消えてしまう。
一部の民間人にはレプリカを崇拝し、ヒーローとして認めるべき、ヒーロー飽和社会の救世主だの言いたい放題だ。
「警戒しろ。アイツは何処にでも現れる。事件が起きたら、その周辺を素早く見張らせて捕らえろ」
「はっ!」
ヒーロー免許を取ればいいのに、どうしてこんな回りくどい事をするんだ。
レプリカに助けられた一般人からも礼を言いたいのにまだ見つからないのかと催促が来るのも面倒なのに。俺たち警察は、今日も業務と一貫でレプリカを嫌と言うほど探し続ける。
「手がかりと言っていいか分からないが、鍵を握るのはあいつらか」
「その情報、確かなんですか?揺すっても何も出ないですよあの爺さん」
「…お前は新人だったな」
「え?はい、そうですけど」
「お前は以前のあいつを知らないからだ」
「以前?まあ歳はいってるけど良いひとですよ。近所の爺さんみたいな立ち位置で」
「………はぁ〜」
「失礼ですよ!俺見て溜め息吐かないでくださいよ!」
「あの事務所の全員が、元々俺ら警察が目を付けてたチンピラに
「えぇ!?なんで警察がロックオンしてんのにヒーローになってんですか!?」
頭の血管が浮き出て切れそうになるのを堪える。
いかん、ダメだ。共通認識だと勘違いしていた俺が悪い。
今度から新人教育者にはあの爺さんの事を教えておけと伝えておかねば。
「…どうやらまだ教育が足りないようだな?俺の認識も甘かった。新人だからと甘えてるとこの世界は生きていけねぇぞ。その書類終わったら俺んとこ来い」
「横暴だ!」