46話:ダウナー系と敗北から
僕たちはあの日、ヒーローを目指す者として
ブラドキング先生が通報したみたいで…
そして…行方不明2名。
プロヒーローは6名のうち
一方
僕らの楽しみにしていた林間合宿は、最悪の結果で幕を閉じた。
林間合宿から二日後。
僕はというとあの後すぐ合宿所近くの病院に運ばれた。二日間気絶と悶絶を繰り返し高熱にうなされた。
その間リカバリーガールが来て治癒を施してくれたり警察が訪ねてきたみたいだけど、何一つ覚えてなかった。
今も目が覚めて横を見ると、お母さんの字と共に剥かれた林檎が皿に盛ってある。いつも心配かけて、本当に悪い事をしたと思う。実際、林間合宿で一度諦めかけたんだ。洸汰くんと天魔さんの個性がなければ、今頃ここにいなかったかもしれない。
「洸汰くん…無事かな…」
相澤先生に預けてから彼には会ってない。
ノックと共に病室の扉が開かれて上鳴くんが顔を覗かせた。ゾロゾロとクラスの皆が入ってきて、途端に病室は大所帯だ。
最後の記憶を思い出す。あと少しで手が届いた。腕さえ伸ばせれば手を掴んでいた。
両腕を怪我していなければ、届いていたかもしれないのに。
本当は出来るはずなのに、それが出来なかったことがこんなにも悔しい。
「僕は…手の届く場所にいた。必ず救けなきゃいけなかった…!僕の“個性”は…その為の“個性”なんだ。相澤先生に言われた通りになった…体……動かなかった…!洸汰くんを救けるのに精一杯…目の前にいる人を、僕は…」
「じゃあ今度は救けよう」
『へ!?』
そこで切島くんに提案されたのは、脳無に取り付けた発信機の位置を八百万さんに創ってもらう受信デバイスで辿る方法だった。
「プロに任せるべき案件だ!
「んなもんわかってるよ!!でもさァ!何っも出来なかったんだ!!ダチが狙われてるって聞いてさァ!!天魔なんか施設にボロボロで突っ込んできてすぐ戦いに行っちまった!!しかも守られた!!なんっっも出来なかった!!しなかった!!
ここで動かなきゃ俺ァ!ヒーローでも男でもなくなっちまうんだよ!!」
それは
施設でずっと守られていた切島くんの後悔、懺悔が痛いほど伝わってくる。
「切島ここ病院だぞ落ち着けよ。こだわりは良いけど今回は…」
「飯田ちゃんが正しいわ」
「飯田が、皆が正しいよ。そんなことは分かってんだよ。でも!!なァ緑谷!!まだ手は届くんだよ!救けに行けるんだよ!」
あまりの衝撃と事実に、僕は切島くんから差し出された手を見る事しか出来なかった。
引き留める人に肯定する人。重くなった空気は病室へのノックで霧散した。僕の診察時間らしく、担当医の人が来たのだ。耳郎さんや葉隠さんのお見舞いに行こうと提案した瀬呂くんによって、皆が退室していく。
「八百万には昨日話をした。行くなら即行…今晩だ。重傷のおめーが動けるかは知らねえ。それでも誘ってんのは、おめーが一番悔しいと思うからだ。今晩…病院前で待つ」
すぐに返事はしなかった。
まだ…僕の手は届くんだ。
夜、腕の包帯が取れた僕は病院前に行く。
院内で八百万さんと合流して玄関を出れば、既に切島くんと轟くんが待っていた。そして…飯田くんも。
殴られて気持ちをぶつけられて、それでも僕は救けに行きたかった。その想いが伝わったのかは分からない。けれど飯田くんも一緒に、二人の救出についてきてくれる。
後戻りなんて出来ない。
僕は、あの時出来なかったことをするんだ。
**************
「生徒の安全…と仰りましたがイレイザーヘッドさん。事件の最中、生徒に戦うよう促したそうですね。意図をお聞かせください」
「私共が状況を把握出来なかった為、最悪の事態を避けるべくそう判断しました」
「最悪の事態とは?26名もの被害者と2名の拉致は最悪と言えませんか?」
「私があの場で想定した“最悪”とは、生徒が為す術なく殺害されることでした」
「被害の大半を占めたガス攻撃、敵の“個性”から催眠ガスの
「不幸中の幸いだとでも?」
「未来を侵されることが“最悪”だと考えております」
「攫われた爆豪くん、天魔さんについても同じ事が言えますか?」
謝罪会見は、雄英の粗を出そうと嫌味な質問をする記者で満員だ。いつもと違い髪と髭を整えた相澤や校長が受け答えをするも、記者が満足することは無い。
「どちらも雄英高に優秀な成績で入学、体育祭で上位3位にランクイン。
また爆豪くんは中学時代、ヘドロ事件で強力な
天魔さんは両親がおらず、個性の把握もしていない。トーナメントの戦いで使用された個性の凶悪性、残虐性。それに見合わない言動や思考。
共に精神面の不安定さも散見されます。
もしそこに目をつけた上での拉致だとしたら?言葉巧みに2人を
わかってはいたが攻撃的。言葉の戦争だ。
ストレスを掛けて粗野な発言を引き出そうとしている。
謝罪会見に出てきたメディア嫌いのイレイザーヘッドを見て、カモだとでも思ったのだろう。質問をした記者は暴言はまだかと目が物語っている。
立ち上がったイレイザーヘッドを見て暴走すると思ったのか、ブラドキングが止めろとアイコンタクトをする。
それは杞憂に終わり、イレイザーヘッドヘッドは頭を下げた。
「爆豪勝己の粗暴な行動、天魔市の雄英生らしからぬ態度。それらについては教育者である私の不徳の致すところです。ただ…体育祭での一連の行動は、2人の“理想の高さ”に起因しています。1人は誰よりも“トップヒーロー”を追い求め…もがいている。1人は誰よりも人を救うことに向き合い、足掻いている。あれを見て“隙”と捉えたのなら、
「根拠になっておりませんが?感情の問題ではなく、具体策があるのかと伺っております」
「________我々も手を
そこには、何年にも亘ってプロヒーローを輩出する誇りがあった。