「オール・フォー・ワン様……お久しゅうございます…お久しゅう…」
「うん、久しぶりだね。君の個性はレプリカのものだから、返して欲しいな。僕の研究のかつての協力者に」
「…嫌、神様からもらったの」
「もらった、ね…。僕と似た個性なのかなレプリカは」
「さあ…?」
十年ぶりに、あの時の面談者にあった。顔は違うけれど、声と言っている内容からそう判断した。こちらに近付いてくるのをボンヤリと見て、この人が一連の事件を裏で引いていた犯人だと悟る。
だがすぐに足は止まり、空からやってきたオールマイトと両手を組んだ。
「全て返してもらうぞ、オール・フォー・ワン!!」
「また僕を殺すか、オールマイト」
とこか遠い所から飛んできたらしいオールマイトとオール・フォー・ワンとの接触で起きた風に吹き飛ばされないように魔手で身体を支える。市以外は吹き飛ばされた。
「ずいぶん遅かったじゃないか。バーからここまで30
「貴様こそ何だ、その工業地帯のようなマスクは!?だいぶ無理してるんじゃないか!?6年前と同じ過ちは犯さん…オール・フォー・ワン。
爆豪少年を取り返す!天魔少女も取り返す!そして貴様は今度こそ刑務所にブチ込む!貴様の操る
「それは…やる事が多くて大変だな、お互いに」
オール・フォー・ワンの左腕が肥大し、そこから放たれた空気がオールマイトを弾く。あの勢いだと数キロは飛ばされたっぽい。
「オールマイトォ!!!」
「心配しなくてもあの程度では死なないよ。だから…ここは逃げろ弔。その子を連れて。黒霧、皆を逃がすんだ」
左手の指が三本、赤黒く光って黒い霧に刺さり、そしてオール・フォー・ワンの顔が市に向いた。「その子を連れて」と言う事は爆豪のことだろう。ならば市は?こちらを向いて、なにをしようとしているのか。
「君は逃げては駄目だ。まだ個性を貰ってないからね」
「………」
「でも僕はオールマイトの相手で忙しくてね。代わりに遊んであげなさい…ほどほどにね」
オール・フォー・ワンによって崩壊した一帯で、唯一建物の形を保っていた工場らしきところから人が姿を現した。男の人はどこか見たことのある笑みを浮かべながら、愛しい人と再会したかのように顔を緩ませる。
「_________
「やぁ、市、会えて嬉しいよ…。けど、今は会いたくなかったな。妹を殺すのは流石に堪え……」
「らぁッ!!」
兄の話を遮って飛びかかったのは、今まで倒れていたフェイクだった。いつ起きたのか知らないが、同時期くらいに気を失っていたツギハギの男はまだ倒れている。
「君もいるのか、識別番号
「気絶したフリした甲斐があったな。15年…15年だ!ついに見つけたぞ完成品!!」
「まったく…友達じゃないんだから気楽に話しかけないでくれよ」
「おいフェイク!勝手な事するな!」
「あ!?悪い、俺の目的こいつだから!
「ッハァ!?」
フェイクは個性で攻撃を避けつつ、兄の体に手を伸ばして何かをしようとしている。爆豪の方も
オールマイトは連れて行かれそうな爆豪と、戦闘を始めた兄とフェイクの近くにいる市を救けようとしてくれているが、オール・フォー・ワンに邪魔されて身動きが取れない。
…これは、戦う場所を変えた方がいいのかもしれないな。
そう思っていたら近くの壁が壊され、氷の山が現れる。その傾斜を何かが滑り登って空高く跳んだ。切島と飯田と緑谷だ。飯田と緑谷に支えられた切島が、こちらを向いて手を伸ばす。
「来い!!爆豪、天魔!!」
爆豪に一斉に向かう
そういえば市は戦闘許可が解けてないし、爆豪が守ってくれていたのだから、市もお返しくらいしなければ。これで貸し借りナシだ。
無事に爆豪は跳び、切島の手を掴む。跳ばなかった市に緑谷が目を見開いて見てくるので、手を振っておいた。
「……どこにでも…っ現れやがる!!」
「マジかよ…全く!天魔少女、なぜ行かなかった!」
「…ふふ、」
「逃がすな!遠距離ある奴は!?」
「荼毘に黒霧!両方ダウン!フェイクは使えねえ!」
「あんたら
いやだからネーミングセンス…
「まだ間に合う!!もう一発……」
行かせない為に魔手でオカマ、トカゲ、フルフェイスマスクを拘束する。するとどこからか来た老人が顎を蹴って綺麗に脳を揺らし3人を気絶させた。緑谷が老人の名前を叫んでいるであろうがよく聞こえない。まあ、あちらは現在進行形で高速移動しているから仕方ない。
跳んでいる緑谷達4人を、空中に出した魔手で投げて速度加速してあげた。
「天魔さん!!どうして…」
「…っ必ず戻ってこい!!天魔ァ!!」
そういう激励の声は聞こえるから嫌になる。
兄とフェイクが戦っているところに駆け出し、参戦する事にしたので2人に魔手を振り下ろす。
「上」
「おわっ……!?ちょ、上じゃなくて避けろって言ってくれよ!」
「そう?避けて」
「どぅわぁ!」
林間合宿から思っていたけど、フェイクはなかなか愉快な人柄のようだ。警告通りに避けたフェイクを尻目に、攻撃と見せかけて地面に両手を付ける。その両手から市を中心に地面に闇が広がり、市とフェイク、そして兄の3人を
「…そうだね、場所を変えようか」
「ちょ、沈む…!?」
「これで、誰もいないわ…」
「天魔少女…わかった!すぐ行くから待ってなさい!」
これで
オールマイトも全力が出せるだろう。
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「全く…少年少女に気を遣われるとは」
「天魔 市の心配はしなくていいのかいオールマイト?あの男は、かつて私が個性実験の為に作った完成品さ。今の天魔 市では勝てないよ。彼女は個性を使いこなせていないからね」
「無駄だオール・フォー・ワン、私は揺らがない。天魔少女を信じているからな」
「せいぜいそう思い込んでいればいいさ。直にわかる」