ダウナー系が本当のヒーローになるまで   作:鶴クレイン

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イラストにてお目汚し失礼します。


67話:元ダウナー系と敵乱入※

瓦礫に埋まった要救助者を引き上げて救助していると、遠くで聞こえた爆発音を皮切りに各フィールドで地鳴りと共に爆破が起こった。要救助者を搬送させている魔手には一度止まって守るよう指示を出し、私は瓦礫から救けた子供を抱いて庇う。

 

(ヴィラン)が姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生は(ヴィラン)を制圧しつつ、救助を続行して下さい』

 

そういう事も想定しているのか。

確かに救助演習のシナリオは「(ヴィラン)による大規模テロ」だから、態勢を立て直した(ヴィラン)が第2波を仕掛けてきても不思議ではない。(ヴィラン)が現れたのは救護所のすぐ前。私のフィールドから一番遠い場所に出現してしまったから、この子供を救助者へ運んだら加勢しに行こう。

私が探知をかけた範囲にはもう要救助者はいない。近くには他のヒーロー候補生がいるので、彼らに任せても大丈夫だ。

きっとあの様子では、まず救護所にいる人を避難。その殿(しんがり)を誰かが務めている筈だ。ならば先に避難を手伝った方が、加勢に向かうヒーロー候補生を増やすことが出来る。

……と考えたけれど、状況を見てから動いた方が良さそうだ。

 

もし殿(しんがり)(ヴィラン)を制圧出来ていないならば、人選次第でそちらに行ったほうが効率が良い。

流石に要救助者の子供を抱えて空を飛ぶのはいただけないだろうという事で、魔手に腰掛けて運ばれる。こっちの方が速いから大目に見てもらいたい。

 

 

 

 

「何をしてんだよっっ!!」

 

 

 

 

要救助者を避難させているヒーロー候補生を見つけて合流しようとした時、緑谷の怒声が(ヴィラン)の方から聞こえた。

一体なんだ?

緑谷が(ヴィラン)に向かってそう叫ぶとは考えにくい。だとしても、彼はあんなに口が悪くはなかった。もしや戦線で何かあったのかもしれない。なら、要救助者の避難で手一杯なこちらに合流せずに加勢にいったほうが懸命だ。

 

 

 

抱いている子供に一言謝ってから、魔手に避難列に合流するように指示して空を飛ぶ。空から戦線を見ると、轟と夜嵐がシャチの(ヴィラン)に行動不能にされていた。一次試験を通過した控室でも二人には確執があったっぽいし、喧嘩でもしていたのだろうか?それに緑谷がキレて叫んだ…と。そのほうが緑谷の口が悪い説明もつく。

彼ら殿(しんがり)が突破されたせいで(ヴィラン)達が避難している集団を追撃しようと向かっていく。緑谷らしき緑の点から地面にヒビが入って(ヴィラン)の足を止め、シャチは炎に閉じ込められた。

 

 

「ヘルプに戻るか!?」

「いや待て!」

「SMASH!!」

「そっちに行くのは駄目」

 

地上で緑谷が(ヴィラン)を蹴散らし、空で私が魔手を操作して制圧を始める。緑谷の方にも尾白や三奈と常闇、梅雨ちゃんが加勢し、避難を完了させたヒーロー候補生が次々とこちらに戻ってきた。人差し指を動かして魔手に指示を出しつつ、シャチが呑み込まれた炎の渦を見る。

 

 

 

凄まじい威力だ。

幻妖言惑(げんようげんわく)は衝撃や物理的なダメージを防げても、高温低温や音に関する攻撃にはまだ改善点がある。今の私の幻妖言惑(げんようげんわく)ではあれを防げないだろう。()()()()()()()()闇に潜るしか逃げ道がない。

あ、炎の渦が破られた。

 

空中から落下速度に身を任せてシャチへ突進し、高いヒールで蹴りを放つ。私と同時に緑谷も蹴りを放った。

 

 

「二人から離れて下さい!!!」

「神野ではどう、もッッ」

「(緑谷…天魔…!)」

「ぁ……!!」

「(おまえらは…どこまでも…!!)」

 

 

どちらの攻撃も片手で防がれてしまったが、両側からの相当な衝撃がシャチに響いている筈だ。緑谷は防御の腕を蹴り抜こうと力を込め、私は飛び退こうと膝を曲げた時、スタートの合図と同じ「ビー」というけたたましい音が鳴った。

 

 

『えー只今をもちまして配置された全てのHUC(フック)が危険区域より救助されました。まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全行程、終了となります!!!』

「終わった…!?」

「……ふぅ、疲れた」

 

緑谷と共にシャチから離れて、終わった事に安堵の溜息を吐いた。

 

『集計の(のち)、この場で合否の発表を行います。怪我をされた方は医務室へ…他の方は着替えてしばし待機でお願いします』

「……らしいけど、動けるの?」

「だっ大丈夫轟くん!?」

「…ああ、大丈夫だ。動けねえけどな」

「……っス」

「じゃあ緑谷は更衣室へ行ってて。私が運ぶから」

「え、天魔さんに全部は任せられないよ!」

「平気。運ぶのは私じゃなくてレプリカだから」

「そう…?じゃあ、頼んでも…いいかな?」

「もちろん」

 

 

幻妖言惑(げんようげんわく)を解除してから二人を魔手で運ばせた。積もる話もありそうだし、一本の魔手で一緒に運んでしまえ。ほら、黙らないの。

 

 

「シャチョーすみません。仕事できませんでした…」

「やっぱ“()()()プロテクター”は動き辛いですね…」

「(いや…プロテクターがなかったとしても…あの炎の渦はそれ程に見事だった。それに、乾燥によるダメージからのやつら(緑谷と天魔)の奇襲…試験が長引いていればあるいは……)」

 

 

市にシャチと呼ばれていたNo.10ヒーロー「ギャングオルカ」が身に着けている拘束用プロテクターは、二人の最後の攻撃によってヒビが入っていた。

 

 




二次試験終了間際の攻防
市ちゃんで満足しちゃったので緑谷とギャングオルカが適当です。

【挿絵表示】

左右の足を間違えていたので修正しました。
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