双頭の鷲の下に   作:スツーカ

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第2話

 ダーンッ

 

 8×56mmR Steyr弾がScoutの右足にあたる部分に命中し、姿勢を崩してグルグルと旋回しながら墜落し動かなくなる。

 ボルトを引いて排莢、戻して装填し次の目標に狙いをつける。

 Mannlicher M95/30はストレートプル方式、つまり通常のボルトアクションライフルのようにボルトハンドルを上げて引き、押して下げるのでは無く、引いて押すだけの方式である。

 

 リーエンフィールドに迫る発射速度で次々と目標を変えて撃つ。次もScout、僚機が撃ち落とされるもまだこちらに気付く様子は無い。

 銃声と共に僅か13gの弾丸が秒速720mの速さで銃口から飛び出した。数秒にも満たない空の旅を終えた弾丸はScoutの中央部に当たり、自身の持つ運動エネルギーを解放した。

 中央部のコンピュータに致命的な障害を負ったScoutは瞬く間に制御を失い瓦礫の山に衝突。

 

 ここに来てようやく異変に気付いた鉄血の前衛だが時すでに遅し。3発目は被弾したScoutの動きから弾道計算し始めたRipperを捉え、計算結果をはじき出す前に役目を終わらせる。

 ボルトハンドルを引く、押す、狙う、撃つ。4発目を撃ち排莢するとクリップがマガジンから床に落ち金属音を奏で、次弾で弾が無くなることを知らせる。

 5発目の弾を発射するとRipperの脳天に血の花が咲き誇り、仰け反って地面に叩きつけられそれ以降動かなくなる。

 

 5発を一纏めにしたクリップを装填しボルトハンドルを押す。流石に5発も撃てば居場所もバレるというもので、鉄血は手持ちのありとあらゆる武器で応戦してきた。

さらにJaegerがカウンタースナイプに動き出すのも見えたので、そろそろここから抜け出そう。

 煙幕手榴弾を投げて敵の視界を遮り廃墟ビルを駆け下り、半身のMannlicher M95/30を肩に回しセカンダリのSteyr M1912を構え警戒しながら進む。

 この拳銃はライフルのようにクリップ装填で8発しか入らないのが厄介だ。閉所戦闘が苦手なライフルにとって、このような場所で大量の敵に遭遇すればそれは死を意味する。

 幸いにも鉄血人形がビルに侵入した形跡はなく順調に階段を下りる。

 2階から1階へ、朽ちたソファや受付カウンター、装飾が剥がれ落ちむき出しになったコンクリート柱がかつてロビーだった空間を思わせる。柱で視界が悪く四方から撃たれる可能性があるだけあって警戒して進むも杞憂だったようだ。

 ふと気を抜きSteyr M1912をホルスターに入れた瞬間、柱の影から人の形が飛び出した。

 

「なっ!?」

 

 突然の出来事に銃を構える時間も無く、咄嗟に半身のMannlicher M95/30で防ごうとするも押し倒された。

 

「こいつ…っ!?」

 

 青い髪を垂らしバイザーが妖しく光る鉄血の戦術人形Brute、ショットガン戦術人形の堅牢な盾を削る高周波ブレードが半身をガリガリと削りながら目前に迫る。

 切断しきる前に銃を逸らし左頬を切りながら高周波ブレードを躱す。クソッ、我が半身が使い物にならなくなったじゃないか!

 ブレードが床に突き刺さり引き抜こうとするその瞬間を見計らい反撃に転ずる。肩を掴んでぐるりと側転、馬乗りになりBruteの顔をひたすらに殴りつけた。鼻を砕き歯をへし折りバイザーを割って怯ませた隙に、床に刺さったままのブレードを引っこ抜いて脳天に突き刺す。

 それでもまだ殺意を見せ動いてくるのでブレードを左右に振り、傷口を抉ると電脳の深部まで致命傷が到達したのかようやく機能停止した。

 ふぅ、と息を吐き出し奇襲から無事生還したことに安堵する。だがいつまでもここに居てはならない。

 先程の戦闘音を聞きつけ、或いはBruteが通信で呼び寄せ増援が来るかもしれない。

 全体の1/3を切られライフルとして致命的な損傷を負った半身を持ち上げると、急いで廃墟ビルから脱出する。

 

 その後は幸いにも鉄血に遭遇することなく廃墟となった工場群の敷地から外に出た。若干風化し塗装がポロポロと落ちた正門をよじ登って塀の上に立つ。

 太陽が傾き地平線へと隠れようとしている。曇り空は灰色からオレンジ色に染まりつつあり、太陽の光は眩い金色から赤色へと変わっていく。

 背後には迫りつつある鉄血人形の大軍、先に行かなければ安全は確保できない。

 

「さて、こことはお別れだ。行くとするか」

 

 3mはある塀から飛び降りアクションアニメのように着地。脚部モジュール異常ナシ、夜が来る前に、闇夜で蠢く獣やELIDに捕まる前に安全を確保しよう。

 使い物にならなくなった我が半身Mannlicher M95/30を構えて少しばかり速く歩みを進めた。

 

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