双頭の鷲の下に   作:スツーカ

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お久しぶりです。年内に収めたかったのであまり推敲してませんが生暖かい目で読んでください


第6話

 翌日朝8時に起こされブリーフィングルームへ。何が始まるのかと待っていると、1人の赤いコートを着た女性入ってきた。元軍人でG&Kの指揮官をしているらしい。名前はアレクサンドラと名乗った。

 何をするかと聞けば、今から単数、あるいは複数人での戦闘とその指揮、様々な環境での戦闘、工作やドローンの扱い方など、様々な戦闘技術を叩き込むと言う。

 あっ、これキツいやつだ。アレクサンドラはやる気満々、スライドで座学をみっちり詰め込まれる。幸いにも人形なので一回言われれば覚えられる。さぁ実践してみようの言葉に引きつった笑顔しか出てこなかった。

 

 身体中の筋肉から悲鳴が上がる。節々はガクガク震え息は上がり視界が目まぐるしく回る。外見は人間でも中身は機械だから疲労はないと思ったら大間違い、酷使して壊れないよう人間と同じ疲労を感じるよう設計されている。

 午後から始まった訓練で扱かれまくった。アレクサンドラと軽く昼食を取った後、昨日使った射撃場で訓練を始めた。まず初めに射撃姿勢の矯正。筋は悪くないがピストルグリップの無い曲銃床のライフルは、通常のアサルトライフルとは違う反動制御を要求されるため、そこを徹底的に訓練した。

 次に閉所での戦闘だ。生前のサバゲーに向いた短く軽い銃に慣れていたのもあって、長いライフルを構えての室内戦闘は苦労した。だが一度実践すれば覚えてしまうもので、あとは如何に素早く制圧できるか、リロードを早くするかが勝負だった。

 最後にアレクサンドラが「私に勝てたら今日の訓練は終わりにしよう」と言う。事実上の監禁じゃないか? ルールは簡単、ビル内部を模した室内訓練所で離れた位置で同時にスタートし、先にペイント弾を当てた方の勝ちというものだ。

 

 

 

「それで勝ったんですか?」

 

「戯け、勝てないに決まっておろう。アレクサンドラは人間じゃない」

 

 話し始めること30分、林の中を警戒しつつ歩みを進めていた。霧が濃いが鉄血が潜んでいる様子も巡回している様子も無い。このまま話を続けた。

 

 

 

 アレクサンドラと勝負を始めて3時間が経ち、カラフルなペイント弾に塗れながら地面に突っ伏した。人形なのにこうも疲れるものなのか。身体中から悲鳴が上がり指一本動かすのもままならない。見かねた研究者が止めに入らなければ、あと少しで強制スリープに入っていただろう。

 重い体を引きずって今日の訓練のデータを抜き取ってから部屋に戻りベッドへダイブ、そのまま着替えもせずシャワーも浴びずに眠ってしまった。

 

 翌朝、疲れ切っていた筈だが5時に目が覚めてしまった。人間の頃ならあれだけ疲れていたら昼まで起きないはずだが、やはり人形だから回復は早いようだ。

 汗で濡れた服を洗濯カゴに放り込み大雑把にシャワーで昨日の汗を流したところで大きくグゥーっとお腹が鳴った。人がいたら顔を真っ赤にしていただろうな。

 しばらくして朝食の時間になり適当に食べてから昨日と同じブリーフィングルームに来るよう伝えられる。今日もアレクサンドラの厳しい訓練かと思ったが、彼女は1日以上基地を空けると業務に支障が出るという事で、昨日の時点で既に自分の基地に帰ったそうだ。今日はアレクサンドラが残した訓練メニューを行いつつ戦闘データを取ることになった。

 内容は相変わらずキツいがアレクサンドラが居ないだけまだマシだ。人間だった頃に同じ事をやったら死んでしまう。今日は1人での戦闘だけでなく、自分が作られた当初の目的通りの指揮についてやっていく。命令を受けるのはゲーム内でスキル訓練や1-1で登場した模擬標的用ロボットに機関銃を付けた人形とも呼べない代物だ。指定した地点に行け、止まれ、撃て、この3つしか出来ないが指揮の初めの訓練にはちょうど良いだろう。

 

 

 

 新たに指揮やドローン統括の訓練が加わり朝食、座学、昼食、訓練、データ抜き取り、夕飯、就寝をのループを繰り返す。一度聞けば覚えれるので後は最適化の為に繰り返し訓練するだけ。そんなループを3回した4日目、この体になって6日目の朝になった。

 今日も訓練かとブリーフィングルームで待っていると、見覚えのある姿が入ってきた。ケモミミを生やし目の下に隈がある気怠げな女性、この外見は見覚えがある、戦術人形を生み出した天才科学者ペルシカリアその人だ。

 

「突然で申し訳ないけど……君は廃棄処分となった」

 

「・・・・・・は?」

 

「君の今までの戦闘、行動、思考データを見させて貰ったよ。端的に言うけど、君のAIは我々の設計以上のパフォーマンスを示している。1人の研究者として君の"AIの不具合"は興味深いけど、君は予定を上回り過ぎてるんだ」

 

 つまるところ、人形は人間を超えてはいけない。人間と同じように考え行動するように見えるのはあくまでそうプログラムされてるに過ぎない。人間を超えるロボットが完成すると人は何を考えるか、古今東西あらゆるSFで取り上げられた題材、ロボットの反乱だ。

 

「最近競合他社の戦術人形が反乱起こしてピリピリしてるんだ。無理もないさ」

 

 じゃあねと手をヒラヒラさせてブリーフィングルームから出て行くペルシカ。突然の破棄宣告に放心状態でその場に佇むことしか出来なかった。

 

 破棄されるまでの1週間の間はデータ収集のためより実戦に近い形で訓練を行うことになった。これから破棄されるのに何の意味があるんだと思いつつも命令なのでやるしかない。

 だが状況が一変した。翌朝起きて前日言われたデータ抜き取り用の治療室みたいな部屋のベッドに座って待っていると慌てた様子でペルシカが入ってきた。

 

「緊急事態が起きたわ。鉄血とELIDの大規模攻勢が始まってもう直ぐここにやって来る。申し訳ないけど君の破棄予定は繰り上げられて今日になったわ」

 

「そんな……」

 

「でも安心して。そう易々と娘を明け渡しはしないわ」

 

 だから安心してお眠り

 

 その言葉の後、母親のような優しい笑顔を最後に私は倒れた。

 

 

 

「とまぁこんなところよ」

 

 いつの間にか更に話し込んで気がつけば1時間も時計の針が進んでいた。この辺りで少し休憩しようと思った矢先、G17のセンサーに反応が現れた。

 

「大変です! 鉄血の反応が現れました。数は4、5、6……まだまだ増えます」

 

 まだ基地までの道のりを半分も進んでおらず救援も絶望的な中、たった2人の防衛戦の準備を開始した。




回想話終わり。次回、鉄血との戦闘と…
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