神世界からの来訪者   作:禅 

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物騒な悪魔

「リムル様、こちらです」

 

 ソウエイから連絡を受けて、少女を保護している場所へとやってきた。

 扉を開けて中に入ると、そこにはソウエイの報告通り、隻翼の少女が横たわっている。

 ソウエイの報告で『覚醒魔王級の強さ』の、『堕天族(フォールン)』の、『隻翼の少女』と聞いてかなりの衝撃を受けた。

 だが、実際に見てさらに想定外だったのは、異常なまでの存在値(エネルギー)の低さである。

 先程ソウエイに聞いた話によれば、この少女は覚醒魔王級の実力を有しているらしい。が、今の少女から感じる魔素量は精々A-程度。とてもではないが、覚醒魔王級の実力を秘めているとは思えない。

 

「本当に、こいつが?」

 

「ええ。我ら藍闇衆(クラヤミ)総出でなんとか捕らえました。まだまだ不甲斐ない我らをお許しください」

 

 ソウエイは、俺の前ではいつも『完遂』の報告ばかりだ。

 今回は、それが出来なかったからこんなに落ち込んでいるのか。

 失敗したわけではないのだから、そんなに悲観することはないと思うんだけどね。

 

「あ、ああ。よくやった。あとは俺に任せて、ソウエイは仕事に戻れ」

 

「御意」

 

 俺が命じると、ソウエイは自分の持ち場へと戻っていった。

 今部屋にいるのは俺とディアブロ、そして少女。

 とりあえずは、少女をシエルに解析鑑定してもらおうか。まだ堕天族(フォールン)だと決まった訳ではない。

 

 シエルさーーん!

 

《解。解析鑑定の結果、個体名ディーノと同じ、堕天族(フォールン)であると考えられます。》

 

 あ、そう。堕天族(フォールン)ねえ……。

 ディーノ……あいつは確か、ヴェルダナーヴァ側のスパイとして堕天使になったんだよな。他の二人と一緒に。

 うーむ。そう考えると、簡単には堕天族(フォールン)なんていないと思うのだが……。

 

「ディアブロ、どう思う?」

 

 困った時のディアブロ頼み。ディアブロは悠久の時を生きる悪魔だけあって、こういう時には一番頼りになるのだ。

 俺が疑問を投げかけると、ディアブロはしばし腕を組んで思案し、その考えを口にした。

 

「殺しますか?」

 

「ああ……いや待て待て待て待て!なんでそうなる?」

 

 訂正。ディアブロは少し物騒なところがあるので、気を付ける必要がある。

 というか、なんでそうなった!?

 

「クフフフフ。我らが崇高なるリムル様の国を侵略し、あろうことか貴重な時間さえも奪う正体不明の堕天使……殺すのが最善かと」

 

 そう言いながら、親の仇でも見るような目で少女を睨むディアブロ。

 ええ……俺の時間とったぐらいでそんな……。

 いや、確かに時は金なりって言うけども。

 素直に慕ってくれるのは嬉しいが、ここまでくると少し怖い。主に俺が。

 

「ディアブロ、穏便に解決する方向で頼む」

 

「そうですね……まずは正体を掴むところからでしょうから、ディーノ様に連絡をしてみてはいかがでしょうか?同じ堕天族(フォールン)のディーノ様なら、何か知っておられるかも知れません」

 

 こうして『穏便に』という条件を付けてやっと、まともな意見が出てくる。全く、困ったものである。

 それはそうと、ディーノに聞いてみるのは確かに良い手段だ。

 あいつは今、天空界で遊んでいるはず。

 ……仕事?あいつがやってるわけがないだろう。

 というわけで、暇なディーノ君に、一つインタビューに行ってこよう。

 

「ディアブロ。少し、天空界へ行ってくる。お前は、この少女を見張っておけ。もしもの時は、お前が取り押さえてくれ。頼む」

 

「クフフフフ。お任せください。わが主よ」

 

「殺すなよ?」

 

「……はい」

 

 なんだ今の間は。怖い、怖いですよディアブロさん。

 ま、まあとにかく、今は少女の正体を突き止めることが最優先だ。

 もしかしたら、敵、なのかもしれないし。

 そう考えながら、俺は天空界へと転移していった。

 

 

   ◆◆◆

 

 

 敬愛する主が転移したことを確認し、ディアブロは部下に命令を発した。

 

『リムル様の脅威になり得る正体不明の堕天使が出現した。

 世界に何かが起こっている可能性は捨てきれない。

 ここ最近で起きた世界の異変を全て調べ、報告せよ!」

 

 部下の悪魔達はディアブロからの命令を受け、行動を開始する。

 

 

 このディアブロの行動によって見つかる異変が、世界を巻き込む大騒動に発展していくことなど、このときはまだ、誰も知るよしはなかったのである。

 

 

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