ルナが
俺はあのあと、すぐに
全体的な流れとしてそうなってしまった以上、俺は断りづらいことこの上ないわけで……。
結果、シエルさんと相談し、一ヶ月の猶予をあけて、
出席者は以下の通り。
人魔族…"
さらに、今回の話題である謎の
そして俺。
従者といっても、今回の会場はここ
別に、そんな取り合うようなものではないと思うのだがね。
それはそうと、俺、絶対ヴェルドラは
全く、我が儘の塊のようなやつである。
だが、あいつはあれで丸くなった方らしいから、多少のことには目をつぶってやるとしよう。同じファミリーネームをもつ、盟友として。
さて。そんなわけで、
ここからは、その期間のルナの様子を、特別なイベントごとに綴っていこうと思う。
◆◆◆
一日目。幹部達を集め、皆にルナを紹介した。
「恐い……」
肝心のルナは幹部達に恐れを抱き、俺の影に隠れている。
人見知りか……うまく馴染めるといいんだけどな。
ちなみに、ルナの強さの件だが……うん、まあ、結論からいえばえらいことになった。
まとめると、こんな感じ。
名前:ルナ
種族:堕月鬼(最上位聖魔霊)
加護:大魔王の加護
称号:
魔法:???
能力:
『
…思考加速・時空間操作・多次元結界・無知の知
常用スキル…『万能感知』『魔王覇気』
戦闘スキル…『▲▼■□』
耐性:物理攻撃無効,状態異常無効,精神攻撃無効
自然影響無効,聖魔攻撃耐性
なんと、元々覚醒魔王級だったルナは、俺の名付けによってさらに強化され、俺やヴェルドラと同格の最上位聖魔霊になったようだ。
まず、この
記憶喪失の恐怖から発現したのだろう。『無知の知』なる能力がある。
この能力は、完全なる事象に対して欠損することを強制する効果をもつ。
つまり、完成された能力であればあるほど、その効果を発揮するのだ。
どれだけ恐ろしい能力か、お分かり頂けるだろうか?
さらに、各種耐性はリムル十二守護王筆頭のディアブロと同じ。
これだけの耐久性があると、俺の配下で経験を積んだルナに勝てるのはディアブロ、ゼギオン、ベニマルの3
まあ、俺は
ただし、そういう意味で注意が必要だと考えられるのが、シエルさんの『解析鑑定』でも名前すら分からなかった戦闘スキル『▲▼■□』。
元々謎が多いルナに、謎のスキル。
注意が必要な理由は、言うまでもないことだろう。
魔法についてはよく分からない。
少なくとも、覚醒魔王級以上の
しかし、ソウエイとディアブロ、シュナ以外の者からしてみれば、これだけの強さを持った者が突然現れたわけで……。
「リムル様!ここは我らに任せてお逃げください!」
幹部達を恐れて俺に隠れていたルナをひっぺがし、唐突に叫んだシオン。
すぐにシュナに事情を説明されて、急いで謝っていた。
本当、なんでうちの部下はこんなに血の気の多い連中が多いんだろう。
ベニマルも刀を抜く寸前だし。
ベニマルくらいならまだいいが、シオンはなあ……。
その証拠ともいうべきか、ルナはシオンに怯えてシュナにくっついてる。
シオンは少し寂しそうだったが、自業自得だろう。
流石に、初対面でいきなり服の袖を掴まれて、思いっきり投げ飛ばされた相手になつく奴はいない。
『
ルナはというと、ずっとシュナに依存していて周りに馴染めるか不安だったが、しばらくすると他の女子達とも仲良くしているようだったので、問題はなさそうだ。
え?シオン?自分で信用を取り戻してもらうしかないよね。
こうして、ルナは幹部達に受け入れられたのだった。
◆◆◆
二日目。ルナは、シュナに連れられて
といっても、全てを一日で見ることは不可能だったらしく、三分の一ほど見て帰ってきたようだ。
途中でシュナと買ったクレープを片手に笑顔で帰ってきた姿はとても微笑ましかった。
そして、『お姉さん、これ……』と、仕事終わりにお土産のクレープをくれたのには、胸がいっぱいになった。
もう、俺お姉さんでいいわ。
◆◆◆
六日目。今度は、ソウエイにルナの案内を任せてみた。
ソウエイは普段働きすぎなので、休ませる口実としてルナの案内を頼んだのだが……。
帰ってきたら、ルナが顔を紅潮させてソウエイをぼーっと見つめていた。
ソウエイ。お前は一体何をしたんだ。
ともかく、一つだけ言えるのは、ソーカに新たな恋のライバル出現、ということだろう。
俺は中立の立場で、二つの恋を応援することにしたのだった。
◆◆◆
十五日目。その日は、やっと俺の仕事が一段落ついたので、ルナと二人で
ここ数日で、ルナのことはすっかり
「お姉さん!次あっち行こ!」
一日中ルナに振り回されたが、ルナは終始笑顔だった。
今、疲れて寝てしまったルナは、俺の背中の上ですぅすぅと寝息をたてている。
この心からの笑顔を守るためにも、必ずルナの正体を突き止めようと、俺は固く誓った。
◆◆◆
十七日目。この日からルナは、ハクロウの元で鍛練を行うことになった。
初めは心配だったが、いざ預けてみると、それからの十日間でルナはハクロウの教える魔力制御の技術をスポンジのように吸収し、『万能感知』を使いこなせるようになり、さらに『気闘法』を身に付けた。
二十七日目。十日間の成果を俺に見せたいと、ルナは俺と
結果は、なんと迷宮組最強のゼギオンに辛勝し、ヴェルドラにまで迫る大健闘。
これには俺も、目を丸くして驚いた。
ヴェルドラは、初めて自分のところに到達したルナに興味を示したらしく、
「クハハハハ!ルナといったか。貴様、強いな!気に入ったぞ!これからは、何度でも相手をしてやろう!」
などと言っていた。
対して、ルナは満更でもない様子で、『何度でも……』とぶつぶつ繰り返している。
──俺は、完全に油断していた。まさか、ヴェルドラが、こんなに迂闊なことをするとは思わなかったのだ。
「……お、そうだ。ルナよ!それでは、貴様に我とリムルとの盟友の証として、テンペストの姓をくれてやろう!これからは、ルナ=テンペストを名乗るがよい!」
「え?おい!ちょっと待っ……!」
時既に遅しというやつだった。
《告。個体名:ルナとの魂の回廊が再確立され、より強固になりました。これにともない、個体名:ルナの進化が行われます。》
ふらり、とその場に倒れこんだルナを、俺が支えた。
同時に、隣から『ぐう……!』という声が聞こえてくる。
ヴェルドラ……お前……。
《全く、やってくれましたね。これは、下手をすれば私でも手に負えませんよ……。》
し、シエルさんが弱音を……?
これって、相当まずいことになったんじゃ?
と、とにかく!今はルナをどこかに寝かさないと!
「じゃ、俺帰るから!じゃあね!」
俺はため息をつく暇もないまま、ルナを抱え、俺は迷宮を後にした。
──このあと、シエルさんがヴェルドラにお仕置きを課したのは、言うまでもないことである。
◆◆◆
町は、多くの魔物で賑わっていた。
どこから聞き付けたのか、災禍をもたらす魔王達の宴を一目見ようと、各地から魔物が大量に押し寄せたのだ。
そんな、当初の予定よりも多い来客を押し退けて進むのは、大名行列ならぬ魔王行列──
「ハハハ、相変わらずスゲエ人だな、リムル」
「お前らのせいだっつうの!」
「音楽隊の演奏の準備はしてあるのだろうな?」
「リムル!この前借りた『約○のネバー○ンド』の続き、後で貸してくれよ!あれ、今超いいところで終わっててよ!」
「姐さんはどこに……?」
「先生!後であの喫茶店行きましょう!」
「リムル……!貴様……!」
「だあーっ!もう!分かったからお前ら、一回静かにしろ!音楽も漫画も全部、
魔王行列は、今回の会場である城の大広間へと歩みを進める。
今まさに、ルナを取り巻く大きな物語が、新たな局面を迎えようとしていた。