俺達は食料を集めてショッピングモールを出て、南西の基地に向かう。
「ところでメガネは何で水鉄砲持ってこなかったんだ?」
「あ、そうそう。私も知りたい。」
今思うと、メガネだけ水鉄砲を持っていない。
「オイラは平和主義者なので、戦いは良太郎君と霧生さんに任せるでやんす!」
「「…。」」
メガネの言うことに、俺達は言葉を失った。こんな事態なんだから、メガネも戦えよ…。
「それより、右から来るでやんすよ。」
メガネの言葉に俺達は警戒する。ハタ人間が一人歩いていた。しかし俺達の方向には向かず、そのまま俺達の進行方向へ歩いて行ってしまった。
「よし、今だ。」
俺の言葉に、二人が動き出す。あの道を左折すると、右の方に学校が見えてくるはずだ。何とか学校の前まで見つからずには行けたが、
「くそー、結構敵がうろうろしているな。」
何分、数が多い。俺達も決して人数は多くはない。数で攻められれば一発でアウトだ。
「良太郎、敵はこっちに気づかない限り、近づいてこないみたいだぞ。」
「え?」
あ、本当だ。現在ハタ人間が結構近くにいるが、丁度死角になっていてハタ人間からは見えない。自分で探しに来る様子もないので、頭が悪いと見た。
「目的のビルは南西だったな。よし、行くぞ!」
俺達はまた動き出す。ハタ人間が他所を向いているうちに、その横を通る。それを繰り返していくうちに、南西の基地に着いた。
「よし、このビルなら誰もいないだろう。」
「ここを基地にするでやんす。」
俺達が部屋で休もうとした時だった。
「いや、天才のワシがいるぞ。」
あまりにも急な出来事だったので、思わず取り乱してしまった。
「うわあああああ!」
「水でやんす!水をかけるのでやんす!」
(バシャバシャバシャ)
少しして、俺達はその人がハタの立ってない人間ということに気づいた。
~暫くして~
「…なるほど。ハタ人間達はハタが水に濡れると行動不能になるのか。これは天才のワシでも予測がつかなかったのう。…ハーックション!!」
「どうもすみません。てっきりあなたもハタを立てられた人かと思って。」
「いやいや、ワシは天才じゃから、水をかけられた程度では腹を立てないのじゃよ。」
それは天才共通なのか?天才でも短気な奴はいるだろうに。
「さっきから天才天才って、あなたは一体何者なんです?」
すると怪しい老人が胸を張り出した。
「うむ、よくぞ聞いてくれた。ワシは天才科学者の、
「唐沢
そう言った瞬間、唐沢博士が豹変した。
「教授。」
「え?」
「ワシのことは教授と呼びたまえ。博士なんて、博士論文が受理されるだけでなれてしまう肩書きじゃろが。その点、教授というのは大学での評価と政治力と運が要求される高等な肩書きで…」
「わ、分かりました、教授。」
この先は長くなりそうなので、俺が強制的に止めた。
「ところで、この街では何が起こってるのでやんす?」
メガネが聞いてくる。俺もそれを聞こうとしていたところだ。
「勿論宇宙人の侵略じゃ。」
「…え?」
「あっ、貴様、今心の中でワシをバカにしたな!」
思ってもいなかった答えにびっくりしたのはあるけど…。でもそれなら、最近UFOの目撃情報が多いというのも納得がいく。
「いやいや、そんなことはないです!ハタ人間なんて物を見た後じゃ、どんなとんでもない意見でも納得してしまいますよ!」
「ふん、そうやって目の当たりにしないと信用しないのが、お前達凡人の悪いところじゃ。ワシは5年も前から警告を出しておったのに、変人扱いされて大学を追われたのじゃ!」
この話からすると、この人は本当に教授なんだな。この人が自分で言ってるわけではないのか。
「はあ…。まあ、そうでしょうね。」
「ええい、貴様までそう言うか!」
「まあまあ。喧嘩してたら話が進まないぞ。本州はどうなってるんだ?」
夏菜、ナイス。
「うむ、そこのラジオとテレビで見たところ、変化は無いようじゃ。」
「え?四国地方全体がこうなってるなら、四国のテレビ局はどこも映らないんじゃ…。」
「そこは天才のワシが、本州のテレビ局に繋げたのじゃ!」
この人なんでもありだな…。それより本州が無事ってことは、
「四国地方の中だけってことですか?」
「その通りじゃ。まあ、ちょっとテレビでも見てみい。」
(パチ)
[突然封鎖された四国地方ですが、現在も内部の状況は不明で…本州四国連絡橋は現在も封鎖されたままです。]
テレビには、封鎖された本州四国連絡橋が空から映し出されていた。
「え?それじゃあ四国から出られない?」
「向こうから来るのを待つしかないじゃろな。じゃが、それにはいくつか問題がある。まずは食料じゃ。何処かで手に入れて、ここに持ち帰らないといかん。」
「ああ、それなら。」
俺達は食料をいくつか入れた袋を出した。
「…ふむ。軽く三日分はあるようじゃが、恐らく足りんな。最低でも一週間は必要じゃ。」
「私の言った通りだな。」
夏菜が胸を張る。確かに夏菜の言うことは当たっていた。
「次に問題は武器じゃ。」
「あ、それならこの水鉄砲が。」
俺は水鉄砲を見せる。
「それはハタ人間には効くかもしれんが、逆を言えばハタ人間以外にはほぼ効かんじゃろ。相手は宇宙人なんじゃ。何がおるか全く分からん。」
そう言われるとそうだな…。
「そこでこの天才のワシが作ったこれじゃ!」
唐沢教授は一丁の銃を取り出す。…水鉄砲にしか見えないが。
「なんだ、水鉄砲じゃないですか。」
俺は取って構える。
「わっ、こっちに向けるんじゃない!」
「え?」
俺は咄嗟のことに追い付かず、引き金を弾いてしまった。
(ずびびびー!!)
「うわっ、光線銃?!」
まさか光線が出るとは思っていなかった。
「ククク、こいつは強力じゃぞ~。人間なんて、撃ち抜かれたら一発アウトじゃ。」
「怖いこと言わないでください!」
俺は新しい武器、『ハンドガン』を手に入れた。
「でもこれじゃあ強力すぎるから、ハタ人間相手には使えないでやんす。」
メガネの言うことは間違っていない。下手すれば、殺してしまう。使いどころを分けないと。
「ふふふ、材料さえあれば、武器だけでなく、いろんな便利アイテムが作れるぞ。ワシは天才じゃからな!」
そういえばモールで何か拾っていた。それが『材料』なのだろうか。
「何だか疲れて眠くなってきたぞ。」
夏菜が言う。そう言われると俺達も少し疲れが出てきた。一日に一回は探索を止めて休まないとな。
「とりあえず、暫く休んでから食べ物を探しにいくか。」
「言っておくが、睡眠は一回五時間までじゃぞ。寝過ぎは逆に体に悪いのじゃ。」
俺達はそれぞれ別々の部屋に行き、そこに置いてある布団に寝た。
…クラスの皆は無事かな。夏菜が無事だと言うことは分かったけど、他の奴等は無事である保証がない。るりかはしっかりしてるように見えるけど、俺が守ってやらないといけない。今日は学校で別れてから病院に行った。恐らく母さんのお見舞いだ。一緒に行けばるりかも無事だったかもしれない。…そろそろ寝るか。
怪奇!ハタ人間編 1日目 終了