俺達はリコと白瀬を追って、病院の近くまで来た。
「あははっ!いっぱい来たよ!フッキー!」
「全く…なんで考えなしに動くの!」
「いや、あんなに来るとは思わなくてね。あ、フッキー!病院!とりあえず、逃げ込も!」
「ちょっとリコ!…全く、仕方ないわね。」
その様子を、俺達は遠くから見ていた。
「やっぱり、リコと白瀬だな。」
「すごい数のハタ人間を引き連れてたでやんす…。」
あんな数が集まっていたのは、俺も見たことがない。
「病院に入っていったな…よし、行くぞ。」
「やっぱり行くことになるでやんすね…。」
「当たり前だ。無事な奴がいるなら、一人でも多く助けないと。それに、急がないと手遅れになるかもしれない。」
俺達は病院に入った。一階にハタ人間はあまりいなかった。ということは、二階に行ったな。俺達は二階に上がる。
二階に上がると、何か騒がしかった。間違いない。ここだ。俺達は騒がしい音を辿り、ついに見つけた。
「流石にやばいよ、リコ…。」
「あはは…これはまずいね…。」
「リコ!白瀬!助けに来たぞ!」
「私もいるぜ!」
俺と夏菜は勢いよく飛び出した。メガネは安全な場所に避難してる。
「俺達が相手だ!ハタ人間!」
俺の声に反応したハタ人間達が、一気に俺達に向かってくる。前方の奴等を水鉄砲で気絶させ、近づいてきた奴は格闘で応戦する。
「良太郎!」
危なくなったら夏菜が助けてくれて、安心して戦いに集中できる。そんなこんなで、第一波は突破した。
「まだいるぞ!」
まだまだハタ人間はやって来る。俺は距離を取って、ハタ人間を遠くから撃つ。ハタ人間は近づいてこなければ攻撃は出来ないので、かなり有効な戦法だ。そして、第二波を突破した。
「負けるか!」
ハタ人間はまだやって来る。おそらくこれで最後の波だ。俺はまた遠くから撃とうとする。しかし、
「くそ!水切れだ!」
「良太郎、私もだ!」
俺と夏菜の両方、水鉄砲の水が切れてしまった。今まで補給もせずに戦ったからだ。まずい、この数を近距離戦で倒すのは相当苦労するぞ…。
「これでも食らえーでやんす!」
するとメガネが何かを投げてきた。それは、
(バシャッ!!)
(ドサッ、ドサッ、ドサッ)
水風船だった。いつの間にあんなものを。
「モールで拾ったでやんす!」
それがあるなら早く言ってくれればいいのに。もしかしたら、もっと早く終わったかもしれないのだ。メガネの水風船で、残っていたハタ人間達は全滅した。
「ふう…。助かったよ。中に入れば何とかなるかなと思ったのに、あいつら何処にでもいるんだね。病院中奴らだらけで、びっくりだよ。」
「あたしはリコの無謀な行動にもびっくりしたけどね。」
白瀬が呆れて言う。確かにこいつは何をしでかすか分からないからな。
「あはは…。」
「とりあえず、無事でよかった。二人とも、基地に行ってくれ。」
「はいはい。」
「え、そんなものあんの?」
「お前の考えてる基地とは多分違うからな。」
「なんだ~。」
一体こいつは何を想像してたんだ…。
こうして俺達はクラスメイト、リコと白瀬の無事を確認した。
俺達は、次に南公園に向かうことにした。まだ探索していなかったからな。そして、
「南公園に着いたぞ。」
「ここは広いでやんすから、クラスメイトの一人か二人はいそうでやんすね。」
俺はあるものを見つけてしまった。
「…。」
「でも今は見渡す限り、誰もいなさそうだな。」
「…。」
「…さっきから何を見てるでやんす?」
「もしかしたらだけど、やれやれな奴がここにいた気がするんだ。」
それから見る限り、あいつがここにいたとしか考えられない。
「やれやれな奴…あ、あいつここにいたでやんすか!でも何で分かるでやんす?」
「簡単だよ。だってあそこの地面にドデカく『え ち ご』って書かれてるんだもん。」
「あ…本当でやんす。あいつこの状況が分かってるでやんすかね。自分が無事だってことを知らしめたいとかでやんす?」
「あいつがそんなことを思い付くわけないだろ!越後に失礼だよ!メガネ!」
あいつはそんなことを思い付く頭なんかない。あいつの頭にあるのは、遊ぶことだけだ。おそらく、この状況も分かっていない。
「事実でやんすけど、なんとなく酷いでやんす。」
「とにかく今はいないみたいだけど、この辺りにいそうだね。また明日にでも来てみよう。」
「そうでやんすね。」
俺達は南公園を後にした。そして次に向かったのは、学校だ。ここは定期的に見に来なければならない。
「学校に着いたぞ。」
学校に着いてから暫くすると、メガネが走ってきた。
「良太郎君!良太郎君!」
「どうしたの?メガネ。」
その様子は、酷く慌てていた。
「向こうの教室に来るでやんす!やれやれでやんす!」
「えっ?」
その言葉を聞いた俺はもしかして、と思い、メガネに着いていった。そして隣の教室で見たものは、
「うわ~…。」
黒板にドデカく書かれた越後の名前だった。
「何考えてんだ越後の奴。隣のクラスの黒板に、自分の名前なんか書いて。」
「それだけじゃないでやんす!日直も自分の名前を書いてあるでやんす!」
よく見ると、越後の名前が小さく二つ並んでいた。
「しかも女子の方も自分の名前だ。こんなに名前を書いてあると、なんか気持ち悪いね。それに、嫌だなあ……越後二人が日直だなんて。一日中、大変なことになるだろうなあ。」
「そんなことはどうでもいいでやんすよ!やっぱり越後は、自分の存在をアピールしてるんじゃないでやんすか?」
俺はその言葉に呆れた。
「なんでやんすか?なんで、そんなにガッカリした顔をしているでやんすか?」
「少しメガネは、越後を評価しすぎだよ。」
「なんでオイラ、良太郎君にガッカリされているでやんすか?じゃあ、この名前はどう意味でやんすか?」
「多分学校に来たけど、誰もいないから暇だったんだろ。自分のクラスでこんなことをしたら、自分が消さないとダメだから、他のクラスに書いたんだと思うよ。」
しかし、自分の名前を書いてしまっては元も子もない。
「でも自分の名前を書いてちゃ、バレバレでやんすよ。」
「『他のクラスに書いたらいいんじゃね?』ぐらいで多分考えるのをやめたんじゃないかな。『俺って天才だぜ!』とか言ってたと思うよ。」
「なんか想像できるでやんす。そうなんでやんすかねえ。」
「そうだと思うけど。とりあえず、探してみようか。無事なようだし。」
「そうでやんすね。それにしてもでやんす。」
メガネが話題を変えた。
「日中でも、人気のない学校は何気に怖いでやんすね。」
「そうだね。静まり返ってるもんね。」
俺が思うに、学校は病院の次に恐怖の対象だ。
「こうやってると、この学校の七不思議を思い出すでやんす。」
「へえ、この学校にもそんな物があったんだね。興味がなかったから、全く知らないや。」
七不思議なんて今時あるのかと思った。
「聞きたいでやんすか?」
「そうだね。多分、何処の学校も同じような物だと思うけど、聞いておこうかな。」
「じゃあ、まず一つ目でやんす。誰もいない体育館から音が聞こえてくるでやんすよ。」
「何の音なの?」
「ボールが跳ねている音でやんす。ただ、それは実はボールじゃなくて、生首が跳ね回っていると言われているでやんす。」
聞いたことがなかった。しかし、かなりあり得る。
「そ、そんな話がこの学校にあったの?」
「まだ一つ目でやんすよ。」
「まだ六つもあるのか…。」
これは長くなるな、と確信した俺であった。
「あ、良太郎君!」
名を呼ばれて俺は振り向く。そこには、少し汗をかいたユイがいた。
「ユイ?!基地に行ったんじゃなかったのか?!」
「最近運動してなかったから、せめて最後くらいと思って。今日は調子がいいみたいで、シュートがパスパス決まったの。」
「サッカーしてたのか?」
「ううん。バスケだよ。」
「バスケも得意なのか…。」
隠れた才能というものは意外にあるもんだな、と思った俺であった。
「ってそれより、今はそんなことしてる状況じゃないだろ。基地にちゃんと行ってくれ。」
「分かってるって。あ、そういえばボールのかごにこんなの入ってたよ。何かに使えるかなと思って持ってきた。」
「じゃあ、もらっておくよ。」
ユイの意外な一面を知り、俺達は越後の救出も頭に入れて、学校を離れた。
怪奇!ハタ人間編 二日目 8:00
決戦まで残り 八日と16時間
七不思議イベント一回目です。体育館から音がしてもあんま怖くないと思うのは自分だけでしょうか?