北公園を後にした俺達は、もう昼の時間だということで、基地に飯を食べに行った。因みに作ってくれるのは、
「おいリコ! つまみ食いするなよ!」
「やだよ~! 夏菜の料理は美味しすぎるんだも~ん!」
勿論夏菜だ。この中で料理を作れるのは、家庭科部である夏菜しかいない。夏菜がいなくても食べれるが、ここにいるもの全員の作れるものがカップ麺とかレトルトカレーぐらいしかなかったので、流石にそれだけは体に悪すぎる、ということで夏菜に作ってもらうことになった。
ただ、夏菜の料理が旨すぎるようで、しょっちゅうリコがつまみ食いしに行っている。無くならないかが心配だよ全く。
俺達はというと、夏菜の料理について話していた。
「霧生さんの料理って、美味しいんでやんすかね? オイラ食べたことないでやんすよ。」
「まあリコがあんなにつまみ食いしに行くほどだからね。美味しいんじゃないかな? 俺も食べたことないけど。」
もう十回(それ以降は数えるのをやめたのでそれ以上)もつまみ食いしに行っているから、美味しくないということはまずあり得ない。むしろ旨いはずだ。
「……。」
「あ、そういえばるりかって、料理しないの? るりかの家ではよく食べさせてもらってたけど。」
るりかの家に遊びに行く度に食べさせてもらっていた。正直なところ、母さんの手料理より旨かった。
「……あれはほとんど母さんが作ってましたから。」
「え? そうだったの?」
そういえば、るりかの母さんが入院してるときは食べさせて貰ってなかったな。むしろこっちがるりかに食べさせてたよ。
「でも、手伝いくらいはできるんじゃない?」
「そ、そうですよね! 分かりました、行ってきます!」
そう言ってるりかは台所へ走っていった。料理自体は無理でも、手伝いくらいは俺はやってたし、るりかも出来ると思うんだけどね。
「る、るりか! それは最初に焼いちゃったら冷めるぞ!」
「そうなんですか!? ごめんなさい! ……あ~っ! 焦げてます~!」
「は、早く皿に入れてくれ!」
「わ、分かりましきゃあああああああああ!?」
「うわあああああああああ!?」
どんがらがっしゃーん!
るりかが手伝いに向かった後、物凄い音が台所から響いた。……何かごめん。
そして……。
「……。」
「……大丈夫? 夏菜。」
「ああ……。大丈夫だ……。」
いくつかの料理を持って、あちこちに絆創膏やガーゼを貼った夏菜が出てきた。大方、るりかが溢した料理などで火傷したんだろう。夏菜の痛々しい姿と、るりかのしょんぼりした顔を見ると、俺までも申し訳なくなってくる。
「る、るりかはこの事件が終わってから私がきっちり料理を教えてやるからな。」
「はい……ごめんなさい。」
「いやいいっていいって! 料理してれば火傷くらいするし、今日は火傷の回数が多かっただけだからさ!」
夏菜の気遣いに更に申し訳ない表情になっていくるりか。それを見てどうしようか慌てる夏菜。それらの理由もあって、昼飯は少し気まずい雰囲気になってしまった。飯自体は旨かったけど。
――――――――――――――――――
基地を出た俺達は、学校で仲間を探すついでに休憩することにした。理由としては、俺達が基地を出た後にハタ人間達との戦闘が何度も続いたからである。
その結果水鉄砲の水は、基地で補充したにも関わらず、全員残りわずか。仲間も連戦で疲労が溜まっているだろうということで、たまたま近くだった学校で休憩しようということになったのだ。
俺とメガネは全員の水鉄砲の水の補給に向かい、女性陣には自由に休憩してもらっている。
「なあ。リコ、るりか。」
「ん~。なに~?」
「何ですか?」
「そこにさあ……黒いのがいるぞ。」
「うん。いるねえ。」
「あ……いますね。」
「リコは怖くないのか?」
「黒いだけの虫だしねえ。あんなの怖がっていたら、何処にも行けないよ。それに、あたしが怖いのは、良いも悪いもあいつだけだから。あいつに嫌いって言われることに比べればね~。」
「比べるものが違うぞ。でもリコらしいや。」
「そういう夏菜は怖くないの?」
「料理をしているんだ。怖くないわけじゃないが、慌てるほどでもないよ。」
「そうだよねえ。所詮虫だもんねえ。」
「ああ、虫だもんなあ。るりかは怖くないのか?」
「少し抵抗感がありますが……あの人に別れを告げられることに比べたら、あれを食べることも躊躇いません。」
「へえ。意外にるりかって強いんだね。でも……食べるのはあたしはちょっとな……不味そうだし。」
「私もあれを調理するのは少し骨が折れるな。足だけとかならいけるかもしれないが。」
夏菜達の声が聞こえた方に行くと、何か話していた。少し内容が気になるが、女性の話を盗み聞くのはデリカシーが無いにも程がある。ここは普通に出ていこう。
「お~い! 水を補給してきたぞ……って!?」
夏菜達の前方には、いつぞやのGがいた。あの近さなら夏菜達は気付いてないはずがない。まさかあれについて話していたのか!?
「足は素揚げが旨そうだな。」
「船盛みたいにしてみたら面白そうだよね。」
「前羽は皿代わりにしてみるのもいいかと思います。」
さっきから何を話してるんだ!? あれを見ながら飯の話!? 訳が分からない!
「お、お前ら、何を話してるかわからないけど、落ち着きすぎだ! ほ、ほら近寄ってくるぞ!」
Gがこちらに気付いたようで、こちらに近寄ってくる。
「やるか!」
「そだね。」
「やりましょう。」
女性陣が落ち着いた様子で武器を構える。俺も急いでハンドガンを取り出し、銃口をGの一匹に向ける。
「初めて見たときはびっくりしたが、今じゃ慣れたもんだ!」
俺はGを一匹ずつ撃ち抜いていく。何匹か仕留めきれなかったようで、まだ動いている。
「ほっ、よっ。」
夏菜は軽やかな動きで、Gを的確に撃ち抜いている。仕留めきれなかったGには、踵落としをお見舞いして止めをさしていた。俺も慣れてるとはいえ、触るのにはまだ抵抗があるんだよな……。
「ていっ! そりゃ!」
リコは一匹一匹確実に仕留めるように、木刀を振るっている。あまりの威力に、木刀を叩きつけた場所からは体液が吹き出ている。
「良太郎には絶対に近づけません!」
るりかは俺に近づいてくるGを優先して倒している。おかけで背後から襲われるという心配も全くない。
さて、ここも何とか乗り切れそうだな……。
カサカサ……。
「っ! 危ない!」
ドン!
「きゃあ!」
俺はるりかを突き飛ばす。先程までるりかがいた場所には、Gが三匹いた。こいつら……不意討ちを仕掛けようとしたんだな。俺ならまだしもるりかを狙ったことは絶対に許さない。
「お前ら全員俺が駆除してやる!」
俺はリュックに入っていた予備の木刀を取り出し、一匹のGに攻撃を三発叩き込んだ。そして背後から襲いかかってきたGを、いつぞやのリコがやったように空中で真っ二つにしてみせた。最後の一匹にはハンドガンを何発も撃ち、止めで木刀を空中から思いっきり突き刺した。
「ふう。」
俺は生き残っているGがいないか確認し、いないと分かったので武器をしまう。夏菜達も既に武器をしまっていた。するとリコが突然口を開く。
「こいつら何処からわいて来るんだろうね。」
「さあな。」
「一度ぐらい、200匹ぐらい居るところに殺虫剤をスプレーしてみたいよね。」
「それ面白そうですね! スカッとしますよ!」
「私もやってみたいな。良太郎もやるか?」
俺は話の内容に唖然とした。さっきは飯の話かと思えば、今度はこいつらを使った遊びについて話していた。確かに面白そうだけど、200匹もこいつらが集まったところなんて死んでも見たくはないな。
「お前ら……本当に怖いものがないな。」
気づけばるりかもそれをやりたがっているし、この三人には恐怖という感情が無くなってしまっているのではないだろうか。
怪奇! ハタ人間編 二日目 13:00
決戦まで残り 八日と11時間
二つのイベントにオリジナルを加えてみました。どちらも元は原作にあるイベントです。ガチ勢なら分かるんじゃないでしょうか。