ナニカサレタ後にいきなり見覚えの無い街に放り出されておよそ10分が経過した。
なんかみすぼらしいというか寂しいというか……良い街ではなさそうだな。
街ゆく人々は殆どがヨボヨボの老人か、痩せこけた子供位しかおらず、まるで世紀末を思わせるような外観だった。
それに自分の服装も変だ。
自分が今、身に付けているのはカーキ色の作業服であり、まるで整備員か何かのようだ。
それに左胸に大きく『3』と刺繍してある。
自分の服装を確認しながら歩いていると、地面に何かが落ちている事に気付いた。
それを手に取り、付着した砂を払うとそれは長方形の紙だった。
「……電報か?」
誰宛の物か分からない電報を読み上げてみる。
『ナヲキカレタラ メルツェルヲナノレ』
そこにはそう書かれていた。
名を聞かれたら、メルツェルを名乗れ……?
メルツェルと聞いて真っ先に思い浮かべたのはACfaに登場するテロ組織、『ORCA旅団』の副団長であるリンクス、『メルツェル』だ。
これを送った奴は一体何の意図があってこんな内容にしたんだ?
電報をヒラヒラと振りながら再び歩き出す。
しかし、何故か彼はその電報を忘れてはいけないような気がした。
「まぁ、覚えておくか……」
電報を投げ捨てて道の先へと進み続ける。
暫く歩いていると街にも変化が現れてきた。
先程よりも街にも活気が増し、あちこちに店が並んでおり、買い物客などが歩き回っていた。
それともう一つ気になる事があった。
買い物客などに混じって自分と同じカーキ色の作業服を着た人達もいたのだ。
それ以外の買い物客などは、作業服を着た人達に哀れみや侮蔑のこもった視線を向けており、当然同じ格好をしている彼にも向けられた。
不快な視線に晒されながら街を歩いているとたまたま飲食店を見かけ、店の中で客が食べている料理を見た途端、腹の虫が鳴いた。
でも今金が…………あったわ。
作業服のポケットに手を突っ込むと何枚かの紙幣が入っていた。
街の人の会話を聞いた限り、多分言葉は通じるだろうしここで飯にしよう。
そう思いながら飲食店の扉を開く。
扉を開けばそこでは沢山の人がそれぞれの席に座って飯を食べていた。
中には作業服の人も数名いる。
情報が欲しかった彼は近場の席に座って話し合っている作業服の二人組の隣の席に座る。
店員に適当な料理を注文し、来るまでの間、二人に話し掛けるタイミングを見計らう。
どうやら二人も注文したばかりのようで料理はまだ置かれていない。
二人の内自分のすぐ左隣の男は厳つい強面で、筋肉もかなりある事が作業服越しでも分かる。
その更に隣にいるもう一人は片方とは違ってどっちかというとクールな雰囲気を醸し出している。
二人はこちらには興味を示さず、会話を続けているが、そこに声を掛ける。
「そこの二人、話がある」
そう言うと二人は話を中断し、怪訝そうな顔をしてこちらに振り向いた。
初対面でこんな話し方ってあるか!
クソっ……前世の癖がここに来て仇となるとは……。
彼は前世では大企業の優秀な社員として安定した生活は送れていたが、とある問題があった。
それは顔が怖いのと言動に威圧感がある事だ。
そのせいで周りの同僚や部下からも怖がられ、唯一の親友からも
『お前ってラスボスか黒幕が似合いそうな顔と声してるよな』
なんて言われた。
その親友は彼の事をよく、メルツェルに似ていると言っていた。
顔は分からないが声は完全な速水ボイスで言葉遣いもメルツェルそっくりなんだそうな。
しかも凄いのは彼がキャラを作っている訳ではなく、素でそんな感じだという所だ。
「……なんだ、お前?」
先に口を開いたのはすぐ左隣にいた強面オッサンだった。
あれ? この声どっかで聞いた事があるな……。
……それよりやべえ、声を掛けたは良いものの何を聞き出すべきか分からねぇ。
流石にいきなりこの世界のことについて教えろなんて言われたら彼等に怪しまれてしまうだろう。
仕方ない、適当に世間話でもしてそれとなく聞き出そう……。
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数分話をして分かったことが幾つかある。
まず一つ目に、ここはイルンエバという街であるという事。
二つ目に、この作業服みたいな服を来ている奴らは全員、強制収容所で働かされている囚人という事。
三つ目に、俺と二人は同じ第3労働区と呼ばれる場所で働いているという事。
四つ目に、この街の富裕層以外の若者は全員強制収容所にぶち込まれて労働を強いられるという事。
五つ目は二人の名前なのだが、これがかなりの衝撃だった。
まず、強面の方はなんと、『オールドキング』と名乗ったのだ。
オールドキングといえばあのORCA旅団の一員であるリンクスの一人だ。
元は『リリアナ』と呼ばれる反体制派武装組織に所属しており、独善的テロリズム思想を持つORCA旅団でも浮いていた人物。
しかし何故オールドキングなんて名前か聞いてみたが
「俺達には元から名前が無い。 だったら自分で付ければ良いだけだろ?」
との事らしい。
一方クールな方はと言うと………………。
『オッツダルヴァ』だと言うのだ。
これにはオールドキングよりも驚いた。
オッツダルヴァ……またの名をマクシミリアン・テルミドールはORCA旅団創始メンバー、『最初の五人』の一人であり、ORCA旅団の団長を務めているリンクスだ。
最前線で戦う彼は類稀なる戦闘能力を発揮し、カラードランク1の座を我が物としている。
そんな彼が目の前にいるのだ、格好は少しアレだが。
まさか……ここにORCA旅団メンバー他にもいたりしないよな?
彼が心の中で放った言葉がフラグにならない事を祈ろう……。
もしこの作品に登場してほしいACのキャラがいましたら感想にてリクエスト下さい。
ひょっとしたら登場するかもしれません。
これから荒野のコトブキ飛行隊のキャラと関わっていく予定なのですが、主人公と登場人物との関係はどんな感じがいいですか?(尚、それが本編に反映されるかは不明)
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