まだ無印しか見ていません!
それでもOKな人は見てください!OKじゃなくても見てほしいです!
羽ばたくは剣、創るはビルド!
―――一つの戦いがあった。
「―――勝利の法則は決まった!」
愛と平和を愛した四人の戦士―――その最後の生き残りは、星を殺す超生物を倒すために最後の力を振り絞る。
『ボルテックアタックッ!』
最期の一撃が、自らの最大の敵に直撃する。
「これで最後だッ!」
「この俺が滅びるだと・・・!?そんな事があってたまるか!人間如きにぃぃぃいい!!!」
星を殺す怪物は、最後まで悲鳴を上げ、されど、愛と平和の為に戦う戦士の前に敗れ去る。
想いは力と変わり、彼の者の力と成りて、前に進む礎とならん。
「うぉぉぉぉおおぉぉぉおぁぁぁぁああぁぁぁあああぁああ!!!」
絶叫する戦士は、ただ一人の相棒の名を叫ぶ。
「万丈ぉぉぉぉおぉぉおぉおぉおおおおおお!!」
そして、聞いた――――
天に羽ばたく、
――――――新世界は、成された。
そよ風に吹かれ、緑の匂いが鼻孔をくすぐる。
「――――い」
(誰だ・・・)
沈んでいた意識が、だんだんと浮上していく。
「―――さい」
まだ、微睡んでいたい。そんな欲求が体を支配している上に、そもそも体が休息を欲している。
だが、それでも、起きなければならない。
「お――さい」
誰かに呼ばれている。だから、起きなければ――――
――――新世界を、見なければ。
「起きなさい」
「・・・・」
『
どこかのものであろう黒い制服。白鳥の翼のように白い肌。艶やかな青い髪。
このような絶世の美少女を、他に見た事があろうか。
「ここで何をしているの?」
だが、その少女の眼つきは鋭かった。
「く・・・つぅ・・・ここは・・・」
どうにか体を起こして、痛む頭を抑えつつ、戦兎は起き上がる。
「・・・・スカイウォール」
「え?」
だが、ここで戦兎はある事を思い出し、急いで立ち上がっては少女を押し退け、周りを見る。
そこに、
「スカイウォールが・・・ない・・・」
日本を三つに隔てた壁『スカイウォール』。それが綺麗さっぱり、跡形もなくなくなっていたのだ。
「ここは・・・俺が創造した新世界なのか・・・・?」
そう呟いた時、
「貴方、聞いているんですか?」
「ん?」
そこで、戦兎は初めて少女の事を認識した。
「ここで何をしているのですか?」
「え?何って・・・」
さてどう答えたものか。
ここで寝ていた。いや、それ以前に、何故この少女は寝ていた自分を起こしたのか。
もしここが公共の場であるならば、そんな無粋な事をする必要はない筈だ。
であるならば、ここは――――
「そんな事よりも聞きたい事があるんだけど」
「質問をしているのはこちらなんですが」
「ここって・・・どこ?」
「どこって・・・ここは私立リディアン音楽院です」
「がくいん・・・って事はここは・・・」
周囲を見回してみる。
どうにも視線が殺到していると思ったら、少女と同じ格好をした少女たちのほとんどがこちらを興味深そう、あるいは訝しそうに見ていた。
そして、ここにいる者全員が――――年端も行かない少女たち・・・・
「・・・・」
それを認識した途端、戦兎の全身から冷や汗が流れる。
「・・・まさか、女子高?」
「それ以外に何に見えるんですか?」
現実は非常である。
「最っ悪だ・・・」
戦兎はその場にうな垂れた。
「まさか・・・知らなかったんですか?」
「いやー・・・実は記憶が朧気で、気付いたらここにいたって感じで・・・」
まあ嘘は言っていない。偶然目覚めた場所がここだったし、昨日、というかさっきまで命懸けの戦いをしていて疲れていたのもある。
とにかく、決してわざとこの男子禁制の地に足を踏み入れた訳ではない。そう、決してだ。
「はあ・・・まあとにかく、警備員には突き出しますので大人しくしててください」
「げっ」
(おいおい目覚めて早々こんな展開ってないだろ!?)
このままでは女子校に侵入した変態というレッテルが張られかねない。
そうなれば、あの馬鹿にそのネタでどこまで笑われるか分かったものじゃない。
(ならば仕方がない・・・・)
戦兎は、自分のコートに、
「悪い!悪気はないんだ!」
そう言って踵を返した瞬間、
「はっ?」
いつの間にか世界が反転していた。
否、この浮遊感に加えて、風になびかれる感じは――――
「ふげぁ!?」
「やはりやましい事があったか」
―――投げだった。
少女が、自分よりもでかい体格の戦兎を、なんの苦も無く投げ飛ばしたのだ。
「マジかよ・・・」
少女が近付いてくる。
「いっつつ・・・」
「覚悟しろ」
先ほどとは打って変わって言動がきつくなっている。
だが、ここで大人しくやられる程、天才物理学者は甘くない。
「悪いな」
「まだ起き上がれるのか」
戦兎は、起き上がると同時にポケットから
「ッ!何をするつもりだ?」
警戒する少女。
「何、お前らに危害は加えないよ」
次の瞬間、飛んだ戦兎は、常人にはありえないスピードっで一気に逃げ出した。
「なっ!?」
「悪い!縁があったらまた会おう!」
(もう会いたくないけどな!)
そんな事を思いつつ、戦兎はさっさと逃げていった。
「逃げられたか・・・しかし、あの身体能力・・・」
少女は逃げられた事に歯噛みしつつ、また戦兎の身体能力に関心を抱いていた。
そんな少女の視界の片隅に、何か、光るものがあった。
「ん?これは・・・」
それは、不死鳥の柄が入ったボトルだった。
「あの男の持ち物か?」
そう思いつつ、とりあえずは没収しておこうという事で、少女はそれをポケットに入れた。
それが、仮面ライダービルドこと桐生戦兎と、シンフォギア『天羽々斬』装者の風鳴翼のある意味最悪の出会いだった。
どうにか私立リディアン音楽院から脱出した戦兎は、その街並みを見て回っていた。
「本当にここは・・・スカイウォールの無い、俺が創った『新世界』なのか?」
星を殺してまわった宇宙最悪の地球外生命体『エボルト』。そいつを消滅させ、新たな世界を創造する事。
父である葛城忍、戦兎の仲間、
その結果が、目の前にある街並みか。
街は賑わいを見せ、人々は日常を生きるままに右往左往に行き来し、子供たちは無邪気に遊び、そして、平和―――
まさしく、平和そのものだ。
「本当に、上手くいったのか・・・?父さんの夢見た新世界が・・・・」
その街並みを見て、戦兎が一人、そう呟いた時、
《―――そうみたいだね》
聞き覚えのある声が、頭の中で響いた。
その声に、戦兎は嬉しそうに呟いた。
「ああ・・・本当に、実現したんだ・・・」
新世界創造は―――成功した。
見事エボルトを消滅させ、新たな世界を作り出す事に成功したのだ。
しかし、そこに一つのイレギュラーを残して。
戦兎の自らの中にいるもう一人の自分、あるいは、本来の自分ともいうべき存在『葛城巧』が言う。
《―――だが、新世界にいる彼らは、前とは違う十年を過ごした事になる。君の知っている彼らじゃない》
そのイレギュラーとは、戦兎自身。
この世界で、唯一戦兎だけが、もう一つの記憶を保持したまま、ここに存在している事。
即ち、彼だけが、『特別』なのだ。
葛城巧という天才科学者に、佐藤太郎という売れないバンドのメンバーに顔を与えて生まれた存在。あの世界で、エボルトがいたからこそ、誕生した存在。
唯一無二、それが桐生戦兎。
《―――本来なら『桐生戦兎』は新世界に存在しない。こうして創造主として生き残っても、君を知る者は誰もいないだろう》
葛城は、ただ淡々と、事実を述べる。
戦兎が、特殊な存在であるが故に。
戦兎はその事実に、ただ目を伏せるだけだった。
《―――そろそろお別れだ》
その言葉が脳内に響いた。途端、葛城の存在が、戦兎の頭の中から消えていく感覚があった。
おそらく、エボルトを倒すという目的を達成した為に、幽霊的に言って未練が無い為に成仏する、といった所だろうか。
つまり、これから先は戦兎だけの体として生きていく事になる。
葛城巧は、桐生戦兎の中から消える。
《―――楽しかったよ・・・》
その言葉を最後に、葛城巧という存在は、戦兎の中から消えていなくなった。
それっきり、葛城の声は聞こえなくなった。
「・・・・」
正直、寂しくないと言えば嘘になる。だが、後悔はない。
こうして、エボルトを倒し、新世界を創造した。
達成感はあれど、そこに後悔はない。
そして、戦いの中で死んでいった、仲間たちも、きっと復活している事だろう。
仮面ライダーグリスこと、『
忠告を無視して、ブリザードナックルを使った変身を行い、心火を燃やして自らエボルトの擬態を殲滅せしめた男。
仮面ライダーローグこと、『
自ら悪役となり、そして、仲間の為に、その身を賭してエボルトのエボルトリガーを破壊してみせた、最後には英雄となった男。
そして、仮面ライダークローズこと、『
唯一無二の友にして相棒、エボルトとの戦いを、最後のその時まで、自分と共にあった、最高の相棒だった男。
自分の目の前で消えていった者たち。仮令、自分の事を忘れていても、生きていてくれるなら、それでいい。
「生きていてくれたなら・・・・それでいい」
一杯の嬉しさの中に、ほんの少しの寂しさを込めて、戦兎はそう呟いた。
それで良いと、思ったんだ。
――――だったのだが。
「最っ悪だ・・・」
しばらくして分かった事があった。
―――ここは新世界じゃないかもしれない。
「ノイズってなんだ・・・特異災害対策機動部ってなんだ・・・」
自分の知らない用語が、どういう訳かこの世界では一般的だという事だ。
簡潔に説明すると、ノイズとは、人類共通の脅威、人類を脅かす特定特異災害だという事。
人のみを狙って襲い、そして触れた瞬間、その人間を自分ごと炭素の塊に変えるという。また、時間経過でも勝手に炭化し、自壊するらしい。
しかし通常の兵器などは一切通用せず、基本的な対応策としては、シェルターに逃げ込んでそいつらが自壊するまで待つというものだ。
そして、特異災害対策機動部とは、そのノイズに対して対策を講じている自衛隊組織であり、日々ノイズに対しての研究だとか対策を練っているという話らしい。
一応、この国の首相や首相秘書は氷室親子だ。
ついでに難波の名前もある。
そこは、前の世界と同じだ。
だが、全く違う世界である事には変わりはない。
「まさか、二つの世界が融合した際、ほぼ崩壊しかけていたこっちの世界の歴史が消滅して、逆にこっちの世界の歴史として構築されたって事か?」
自分たちとは違う十年を歩んだ世界。であるならば、自分たちの世界とは違う脅威があり、歴史があっても可笑しくはない。
「つまり、この世界は――――」
新世界である事には違いない。だが、戦兎の知る歴史を辿った訳じゃない世界、という事だろうか。
当然、この世界の住人は、世界が融合した事なんて気付く訳が無い。
戦兎の手には負えない、全く新しい世界という事だ。
「最っ悪だ・・・」
戦兎は、もう一度その言葉を口にして、その場に項垂れた。
こうなってくると、戦兎の手には負えないかもしれない。
あまりにも、自分たちの世界とは勝手が違い過ぎる。
――――しかし、
「ノイズ・・・か・・・」
人類を脅かす、驚異。
平和を乱す者。人類の天敵。
倒す手段も無い。守る手段も無い――――だが、戦兎の持つ、ライダーシステムなら、あるいは――――
「ま、見過ごせる訳もないしな」
戦兎は立ち上がる。
「いっちょ、この世界でも愛と平和のヒーローやりますか!」
見返りなど求めない。
それが彼の正義のモットーだ。
しかし、この世界でも正義のヒーローをやるといっても、拠点がなければどうしようもない。
「幾つか壊れてたのもあるから修理もしないとなぁ・・・カズミンとかに渡してたボトルもないし、今はあるだけのボトルだけでどうにかするしかないか。まあ、ドライバーとビルドフォンが生きてただけ幸いか」
そんな事を呟きながら、戦兎は街中を歩いていく。
丁度いい拠点を見つけなければ、最悪ホームレス生活なんてのもあり得る。
「さぁて、どうしようか・・・」
なんて、思っていたら――――
「ノイズだぁぁあああッ!」
「ッ!?」
誰かの叫びと同時に、場が一気に混乱へと陥る。
皆、一斉に走り出す。
悲鳴を上げ、生きる為に全速力で走る。
その最中、戦兎は一人、その騒ぎの中心を睨みつける。
そこには、半透明の異形がいた。
全て、それぞれ何かしらの生物の形をとっており、人間型だったりカエル型だったりする。
「あれがノイズか・・・」
実際に対峙してみると、スマッシュとは違うものを感じる。
スマッシュは、元が人間なだけあって、人間らしい荒々しさが感じられたが、あれはどちらかと言うとただ人を殲滅する事を目的とした兵器という淡々とした感じがする。
「どちらにしろ、どうにかしないとな・・・」
その時だった。
「うわぁぁあああ!!」
一人の青年が転び、そこを狙ってノイズの一体がその男に絡みついた。
すると、ノイズは青年と共に、一気に炭化、塵となって消えた。
「なっ・・・!?」
そのスピードは凄まじく、触れられただけでも一瞬にして人を炭に変えてしまった。
「確かに人間を構成する物質の一部として炭素があるけど、いくらなんでも早すぎんだろ!」
戦兎はポケットからウサギの柄が入ったボトル―――ラビットフルボトルを取り出すと、それを一気に振る。
「きゃぁぁああ!!」
一人の少女がノイズに襲われる。ノイズは、そのまま少女に覆い被さろうとするが、その寸前で少女が何者かにかっさらわれる。
「え・・・」
「大丈夫か?」
見ればいつの間にか戦兎が少女を抱き抱えて立っていた。
「早く逃げろ!」
「は、はい!」
戦兎は少女を降ろすなりそう叫び、少女が逃げた事を確認した所でノイズに向き直る。
「ったく、なんて数だよ・・・」
ノイズは数えるが億劫な程いる。
気付けば、住民のほとんどが逃げ切ったようで、その場にいるのは戦兎とノイズだけだった。
「よし、全員逃げたな・・・」
その時だった。
どこからともなくバイクのエンジン音が聞こえた。
「なっ・・・!?」
見れば、なんとノイズを押し退けて突っ込んでくる者がいた。
「何してんだ!?」
思わず怒鳴ってしまう戦兎。
だが、バイクに乗っている者は一群を突破した所で高く飛び上がった。
よく見ればヘルメットを被っていない上に、その少女には見覚えがあった。
「あいつは・・・!?」
それは、戦兎が目覚めて最初にあった少女だった。
そして少女―――風鳴翼は、一つ、歌を口ずさんだ。
「――――Imyuteus amenohabakiri tron――」
その瞬間、翼を眩い光が包み込み、そしてその姿を、全く違うものへと変化させる。
それは、鎧だった。
最も、戦兎から見れば、鎧と呼べるかどうか怪しいものだったが、それは間違いなく鎧だった。
翼がその鎧を纏った瞬間、周囲に何かのフィールドが展開され、その鎧を纏った翼は、その手に持つ刀で、戦兎の前に立つノイズを一掃する。
「何をしている!?」
そして翼は戦兎に向かって怒鳴る。
「何故避難しない!死にたいのか!?」
それを受けた戦兎の反応は――――
「すげえ!」
「は?」
だった。騒然翼は間抜けな反応を返す。
「一体全体どうなってんだそれ!?一体どうやって変身したんだ!?どんな技術なんだ!?どうしてなんか言葉を言うだけで変身出来るんだ!?なあなあな―――」
「ああ!鬱陶しい!」
無理矢理強制終了させ、翼はノイズに向き合う。
「とにかくお前は避難していろ!」
そう言って、翼はノイズの大群に向かって走る。
その時、戦兎の耳に、どこからともなく謎の音楽が流れてきた。
その音楽は、目の前の翼から聞こえてきているのだと、戦兎はすぐさま理解した。
そして、翼は歌を歌い、ノイズと戦う。
剣一本、見事に操り、敵を蹂躙する。
その剣は、様々な形へと変化し、時には巨大に、時には細く、時には分裂して驟雨の如く振らせる。
その風の猛威とも言える翼の猛攻に、ノイズはたちまちその数を減らしていく。
「すっげぇ・・・」
その戦いを見て―――というよりは、翼の操る刀の明らかに質量保存の法則を超えた変形に戦兎は目を奪われていた。
一体どのような仕組みなのか。材料はなんなのか。それら全てが戦兎の常識を超えていた。
そして、何十というノイズが屠られた所で、さらに巨大なノイズが出現する。
呼称は、
「でかっ!?」
だが翼は引くことなくそのノイズに突貫する。
それに対してギガノイズが、翼を迎撃するべく小型のノイズを吐き出す。
しかし、翼はそれをものともしないで飛び上がり、その刀を巨大化、一気に振り下ろし、エネルギー刃を放ち、一気に両断する。
―――『蒼ノ一閃』
「このまま―――」
殲滅する。そう思い、次なる敵へ狙いを定めようとした、その時。
「きゃあ!」
「ッ!?」
まだ幼い少女の声が聞こえ、そちらに振り向けば、そこには、今にもノイズに襲われそうになっている少女がいた。
(そんな!?逃げ遅れたのか!?)
翼の予想通り、その少女は今まさに逃げ遅れたのだ。
まだ年端もいかない幼い少女。
その少女が、壁際に追い詰められ、今まさにノイズに襲われそうになっていた。
「くっ!」
翼はすぐさまその少女を助けるべく飛ぶ。だが、その間に別のノイズが割って入るもの。しかし、そのようなノイズは翼の敵ではない。
軽くあしらわれるだけだ。だが―――それでも間に合わない。
(ダメ・・・!)
間に合わない。そのような言葉が脳裏を過る。
そして、別の手段を思いつく前に、少女がノイズに覆い被らされる―――寸前、
何者かが少女をかっさらって、ノイズの攻撃から助けた。
「ッ!?」
その何者かが移動した先に翼は目を向ける。
そこには、今まさに一人の少女を抱えた男が、そこに立っていた。
「大丈夫か?」
「う・・・うん・・・」
少女はまだ怖いのか、震えていた。
「大丈夫」
そんな少女に、男は笑いかける。
少女を降ろし、そして、優しくその頭を撫でる。
「この正義のヒーローが今すぐ助けてやるからな。だから、安心してここで大人しくしてるんだぞ」
「・・・うん!」
少女は、頷く。
「よし!」
男が、立ち上がる。
振り返れば、そこには大量のノイズが今まさに男と少女に近付いてきていた。
そんなノイズと男の間に、翼が割って入る。
「無駄な威勢はよせ!あれはただの人間には倒せん!だから早く逃げろ!」
そう促す翼だが、男は、それを拒否する。
「逃げる?冗談はよしてくれよ」
「何?」
「この正義のヒーローが逃げるなんて、ありえないだろ」
「何を言っている?戯れはやめろ」
翼は、男の言葉に苛立ちを見せる。だが、男は―――戦兎はそんな事知った事かと言うように、懐からとある機械を取り出した。
手回し式のレバーに、円盤型のパーツの付いた、謎の機械。
それを、戦兎は腰に宛がう。
すると、腰に黄色いベルト――――『アジャストバインド』が巻かれ、その装置を腰に固定する。
それは―――ベルト。
桐生戦兎が、仮面の戦士に変身するための重要なアイテム。
その名も、『ビルドドライバー』。
ビルドドライバーが腰に取り付けられた所で、戦兎はポケットから二本の小さなボトルを取り出す。
赤いウサギの柄が入ったボトルと、青い戦車の柄が入ったボトルだ。
「何をするつもりだ?」
翼が、尋ねる。
「まあまあそこで見てなさいって」
戦兎はそう答え、そして、一度、手の中のボトルを見て、すぐにノイズの方を見た。
「――――さあ、実験を始めようか」
お決まりのセリフと共に、戦兎は、二つのボトル―――ラビットフルボトルとタンクフルボトルを振る。
そうする事で、ボトルの中にあるトランジェルソリッドを増大、活性化させる。
十分に振り、活性化させた所で、ふたの部分にあたる、シールディングキャップをボトルの正面に固定する。
そして、それを、ビルドドライバーのツインフルボトルスロットに差し込む。
『ラビット!』『タンク!』
『ベストマッチ!』
ベルトから、その様なテンションの高い声が響く。
「らびっと?たんく?べすとまっち?なんだそれは・・・?」
一方の翼は混乱するばかり。
だが、構わず戦兎はビルドドライバーに取り付けられたレバー、『ボルテックレバー』を回す。
するとドライバーの円盤型パーツ『ボルテックチャージャー』が回転、装置内部の『ニトロダイナモ』が高速稼働。そして、ドライバーから透明なパイプのようなものが伸び、それが戦兎の周囲を囲う。
それに巻き込まれそうになった翼は距離を取る。
その間にも、透明なパイプ―――『スナップライドビルダー』という高速ファクトリーが展開され、その管を、赤と青の液体が流れ、そして、戦兎の前後にそれぞれ、形を形成していく。
ウサギと戦車。全く関係性のない二つの成分。それが今、戦兎を最強の超人へと変える『
それが今、ベストマッチする―――
『Are You Ready?』
覚悟は良いか。そう問いかけてくる。
それに対する答えは、決まっている。
今までだってそうだ。そして、これからだってそうだ。
―――何故なら俺は、仮面ライダーなのだから!
「変身!」
ファイティングポーズと共に、そう叫び、そして、アーマーを形成したスナップライドビルダーが戦兎を挟む。
形成されたアーマーが戦兎の体に着装され、そして白い蒸気を噴き上げながら、赤と青の装甲を身に纏った戦士が誕生する。
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』
ちゃっかり決めポーズまで取って、戦兎は―――仮面ライダービルドは、今ここに参上した。
「なんなんだ・・・」
翼は呆然とし、少女は目をキラキラを輝かせて、その赤と青の戦士を見つめた。
「勝利の法則は、決まった!」
融合した、もう一つの世界―――その世界でまた、愛と平和を胸に戦い続けた戦士が、人々の平和の為に戦う――――
次回!愛和創造シンフォギア・ビルド!
「ちょーっと待って」
仮面ライダーとなり、ノイズを蹴散らす戦兎。
「貴方をこのまま返す訳にはいきません」
「なんで?」
そして問答無用で手錠を掛けられる戦兎。
そんな戦兎を待ち構えるものとは?
次回『兎と剣のムーンサルト』
「貴方の戦う理由は何?」