翼「やっと私も復帰だ!」
響「なんだかテンション高いですね二人とも」
万「久々の登場だからだろ」
翼「本編で絶唱使ってしばらく倒れていたからな。やっと復活出来たぞ」
ク「はいはいお疲れお疲れごくろーさまでした」
万「今回はお前と戦兎の戦いから始まるんだっけか」
戦「メタい話してんじゃないよ。ま、この天才がやっとの事で活躍出来るんだから、問題はないんだけどな」
響「そして今回はなんと!翼さんのあの秘密g」
翼「・・・」(無言で響の首筋を木刀で叩く)
未「ひ、響ー!」
ク「おいお前ここでの最初のセリフがそこでいいのか!?」
戦「お前も万丈と変わらないな」
万「おいそれどういう意味だ!?」
ク「馬鹿にすんなよ!これで成績は良い方d」
戦「はいはいじゃあさっさと俺が活躍する第十一話に行こうか」
翼「そういえば、この間暁と月読が恐ろしい笑顔でお前の部屋に入った後に凄まじい騒音が聞こえたのだが、あれは一体・・・」
戦「この世には知らぬが仏ということわざがあるんだ。だからその事は聞くな」
翼「はあ・・・」
赤と青、そして白のトリコロールの装甲。ややギザギザのついたその姿は、何か、キレのある印象を与えていた。
「あれが・・・戦兎先生の新しい力・・・・」
その姿を、響は見上げた。
一方のビルドは、戦場を見渡し、ある程度敵の位置を覚えると、すぐさま自分が立っていた塔のような建物から身を投げ出す。
そして、縁に足を引っかけ、そして踏み出した瞬間、足の裏で発生した『泡』が炸裂、恐ろしい速度で地面に落下した。
そして、ノイズの間を凄まじい速度で駆け抜ける。
「「速い!?」」
その速さに、響どころかクリスすらも驚く。
ラビットタンクスパークリングの能力は、『泡』による各種能力の向上。
足の裏で泡を破裂させればその衝撃で高速移動が可能であり、拳に乗せれば泡の破裂で敵を粉砕する。
そのスピードを活かして、戦兎はノイズたちを蹂躙する。
「よっしゃあ!俺たちも行くぜ!」
「はい!」
さらにはクローズや響も参加する。
ビルドが超高速移動で敵を蹂躙している間に、クローズの拳から発せられる蒼炎によって敵を圧倒し、その一方で響も今までの特訓の成果が出て、以前のような素人の戦いではなく、まさしく格闘家のそれに匹敵する格闘術をもってノイズを殲滅していた。
「こいつ・・・戦えるようになっているのか・・・?」
万丈に散々殴られ、弦十郎に鍛え上げられたからこその、響の力だ。
背中を叩きつけたり、肘鉄を叩き込んだり、時には両の手の掌打で叩き飛ばす。
もう、素人なんて言わせないとでも言うような迫力だ。
そして、ビルドもまた、今までとは比較にならない程の強さでノイズを倒していた。
『泡』とは意外と馬鹿にならないものだ。高速移動によってノイズが何か行動を起こす前に全て叩きつぶしているのだから。
「オォオ!」
右腕の『Rスパークリングブレード』によって複数のノイズを斬り裂きつつ、立て続けに右脚の蹴りで周囲を薙ぎ払う。
しかしノイズはまだ存在しており、また新たに襲い掛かってくるだろうと思ったその時、上空から刃の鞭が叩きつけられる。
「うお!?」
「今日こそはボトルを渡してもらうぜ!」
クリスの蹴りがビルドの顔面に突き刺さる。否、ギリギリの所で止められていた。
「なっ!?」
「生憎と俺の持ってるボトルはそんなに安くはない!」
空中で地面に向かって投げ飛ばす。どうにか着地したクリスに、空中で泡を炸裂させて加速したビルドの一撃が襲う。
ギリギリの所で躱し、ビルドは地面を叩き砕くも、更なる追撃がクリスを襲う。
(こいつ、この間とは比べ物にならないぐらいに・・・!?)
「おぉぉおお!!」
ビルドの拳がクリスに叩きつけられる。どうにか刃の鞭で防いだが、直後に炸裂した泡で吹き飛ばされる。
「ぐぅっ!?舐めるなぁ!」
だが、そのまま一方的にやられる程、彼女は甘くない。
振るわれる鞭。それを躱すビルドだが、続く二撃目三撃目と、躱し、接近しようとするが、意外に攻撃の圧が高く、なかなか近付けない。
されどビルドはその攻撃の網を潜り抜け、すぐさまクリスに一撃見舞おうとしたが、躱され、反撃の蹴りを防ぎ、今度は蹴りを腹に叩き込もうとするもしゃがんで躱され、真上から鞭が振り下ろされるも、それを紙一重で躱してと一進一退の攻防を繰り広げる。
(スパークリングでやっと互角か!)
(うぜえ、なんだよこいつ!)
激しく打ち合うビルドとクリス。
その一方で、響とクローズはノイズの殲滅に当たっていた。
響の動きは、もはや素人ではない程洗練され、敵を屠っていた。
その最中で―――了子のすぐ傍のケースのランプが点滅しだす。
「この反応・・・まさか・・・!?」
それはデュランダルに何があった時のサイン。
そして了子は、その異変を引き起こしたであろう人物を見る。
「やあ!」
膝蹴りがノイズの一体を粉々に粉砕する。
立て続けにノイズの放つ触手攻撃が襲い掛かるも、それを落ち着いた動きで巧みに躱し、そしてそのノイズに正拳突きをかまして粉砕する。
「行ける・・・このまま・・・!」
『ミリオンスラッシュ!』
「へ?ひゃうわ!?」
すかさずクローズのビートクローザーから発射された一撃を頭を下げる事で躱す響。
「龍我さん危ないじゃないですか!」
「いやーすまんすまん。あの戦兎見てたら張り切っちまってな」
「もう・・・!」
ふとクローズはビルドと殴り合うクリスの方を見る。
その顔には、何か焦りのようなものが見えた。
(あいつ・・・)
一体、何に焦っているのだろうか。
彼女に残された時間が。それとも、何か別の理由があるのか。
その時、ケースから何かが突き破って出てくる。
それは、剣。石色の剣だ。
そして、相当古いものだという事も伺える。
「あれは・・・」
「こいつがデュランダル・・・!」
それが、空中で静止し、なおかつ黄金の光を放ち始めていた。
その剣に向かって、クリスが飛び上がる。
「アタシのもんだ!」
「しまった!」
ビルドはクリスが呼んだノイズに邪魔されている。片付けるのは一瞬だがその一瞬でクリスはあの剣を―――デュランダルを手に入れるだろう。
そのクリスが、デュランダルに手を伸ばし、掴み取ろうとする、その寸前――――
「させるかよ!」
「な!?」
クローズが飛び掛かり、一気に引きずり下ろす。
「テメェ・・・!?」
「そう簡単に渡すかってんだよ!」
「離せ!この・・・」
そのまま落下するクリスとクローズ。そして、落ちていく二人の代わりに、響がデュランダルを手に取る。
「渡すものかぁぁぁ!!」
そして、響がその剣を手にしたその時―――何かが、破綻した。
「うごあ!?」
「うわぁ!?」
見事に絡み合って落下したクローズとクリス。
「い・・・つつ・・・ん?」
四つん這いになるクリスの上に覆いかぶさるような形になったクローズ。
だがその時、手に何か、柔らかい感触のものがあった。
「なんだ・・・これ・・・」
それは、まるでマシュマロのように柔らかく、しかし弾力はありもっちりとし、手袋越しでも分かるほどやわらかいこれは一体――――
「ど、どこ触ってんだ変態ィ――――!!」
「ぐおあ!?」
クリスの強烈な肘鉄がクローズの顔面に炸裂し、吹き飛ばす。
「ぐ・・ご・・・なにすんd・・・!?」
そのまま壁に激突して、頭をさすりながら見た先には、どういう訳か腕を胸の前で交差させて隠し、それでもってクローズを涙目で睨むクリスの姿があった。
「んん?・・・・あ!?」
胸を隠すような動作。そして先ほど自分が触った感触と、殴られた理由を考えると・・・
「やーい変態」
「うるせえ!」
ビルドの揶揄いに怒鳴り返すクローズ。
「まあそんな事より」
「そんな事よりってなんだ!?」
「逃げるぞ」
「は?」
突然のビルドの逃亡宣言。それにクローズは思わず呆けてしまうが、次に聞こえた
響の様子が変であることに。
「う・・・ゥウゥ・・・!」
唸り声を発する響。その手には、あのデュランダルが握られており、デュランダルが放つ光は、先ほどよりも一層強く輝いていた。
「ゥウ・・・ゥウゥゥゥゥゥウウウゥウウウ・・・!!!」
そして次の瞬間、黄金の光が天を貫くように迸る。
「なんだァ!?」
「これがデュランダルの力か!」
光が迸る。それは、完全聖遺物サクリスト-D『デュランダル』の起動を意味していた。
立花響という少女が、たった一人で起動させたのだ。
そして、その光の中で、剣が形を変え、一本の黄金の大剣へと変わる。
それと同時に、響の姿も禍々しく、黒く変わっていた。
「あれは・・・あの時の・・・!?」
以前、地下鉄で見た響の黒化。それと、とても酷似しているが、今の彼女は、おそらく完全に理性を失っている。
「おぉオぉぉおォォォオオォォオオォォオオ!!!」
おおよそ人の物とは思えない咆哮を上げて、彼女は剣を掲げる。
「コイツ・・・何をしやがった・・・・!?」
ふとクリスは、すぐ傍にいる了子の方を、何故か向いた。
その了子の顔は、とても恍惚そうにその光を眺めていた。
まるで、待ちに待った奇跡に出会えたかのように。
「チッ・・・」
その姿に舌打ちし、クリスはその手に『ソロモンの杖』を響に向け、咆える。
「そんな力を見せびらかすなァ!」
そうして召喚されたノイズに反応した響は、視線をそのノイズに向ける。その眼を見た瞬間、クリスは、少し後ずさってしまう。
「ひっ・・・」
「ウゥゥウウゥゥウウ・・・・!!」
そして響は、剣から放たれる黄金の光を、一気にそのノイズに、そして、その後ろにいるクリスにまで向けて振り下ろした。
「あ・・・・ああ・・・」
その圧倒的光景を前にクリスは棒立ちになり、
「あぶねえ!」
そこへクローズが横からクリスを掻っ攫う。
そして光の砲撃は、薬品工場を穿ち、やがて―――凄まじい爆発を引き起こした。
『ドラゴニックフィニッシュ』
そして、迸った衝撃に向かって、クローズはクローズドラゴン・ブレイズを叩きつけた。
「ぐおぁぁぁああぁぁああ!?」
「お前、なんで・・・・!?」
割れる衝撃。クリスは、クローズの腕の中でその光景を見ていた。
「たとえ敵でもなぁ・・・お前のような奴は、放っておけねえんだよぉぉぉぉおお!!」
ブレイズが、その衝撃に耐えきれないとでも言うように消えていく。
しかし、クローズが絶叫を上げ、その姿を保たせ、クリスを必死に守るかのように拳を突き出し続ける。
そして、次の瞬間には、二人は光に飲み込まれていた――――
「・・・これがデュランダル・・・完全聖遺物の力・・・・」
工場の惨状を見て、戦兎はそう呟いた。
「こんなもんが、やばい奴らに渡ったりすれば・・・」
工場は半壊。地面は削り取られ、建物の殆どが崩れ去り、瓦礫と化し、崩れ去っていた。
「っとそうだ。万丈はどこだ・・・」
あの少女を助けるために、戦兎とは逆の方向へ走った万丈を探す。
「あの方向からこういったから、あの馬鹿なら真っ直ぐ飛んで・・・・」
あの状況での万丈の行動を計算し、どこに飛んで行ったのかを予測。
そうして辿り着いた場所に、彼は倒れていた。
仰向けで、意外と無傷な状態でそこに寝転がっていた。
「おい、起きろ馬鹿」
「ん・・・ぐぅ・・・」
一度顔をしかめて目を開ける万丈。
「せん・・・と・・・」
「よう」
「・・・!そうだ!あいつは・・・!?」
「お前が助けようとした奴か?さっき逃げたって言ってたぞ」
「そうか・・・アイツ、無事なのか・・・良かった・・・」
ほっと息を吐く万丈。そんな万丈に戦兎は笑いつつ、手を差し出す。
その手を万丈は取り、立ち上がる。
「今度会えばいい」
「そうだな」
万丈の肩を叩いてそう言う戦兎に、万丈は頷く。
作戦は中止。起動してしまったデュランダルは、また二課のアビスに保管される事なった。
完全聖遺物の起動には、相応のフォニックゲインが必要になる。
ソロモンの杖の起動に、クリスが半年かかったのに対して、響はほんの一瞬で起動してみせた。
それだけに留まらず、その力をいとも容易く解き放って見せた。
まだシンフォギアに目覚めて数日の人間が、あんなにも容易く、完全聖遺物を起動した。
その事実が、クリスに突き付けられる。
「化け物め・・・!」
歯を食いしばり、クリスはそう呟く。
今彼女が立っているのは、拠点としている屋敷のすぐ傍にある桟橋の先だ。
呟くのと同時に、あの力を解き放たれた時に自分を庇ってくれた仮面の戦士の事を思い出す。
(なんで、あの時・・・)
自分達は、敵だった筈だ。それなのに、何故、彼は自分を守ったのか。
自分が死ぬかもしれない。そんな状況で、何故、
『たとえ敵でもなあ・・・お前のような奴は放っておけねえんだよぉぉぉぉおお!』
「ッ!」
手に持つソロモンの杖を握りしめる。
「くそ!ふざけやがって!」
大人とは、醜いものだ。彼女は、それを嫌という程思い知らされてきた。
あの地獄で、散々、ずっと―――
「なんで・・・その大人が・・・!」
敵なんて庇っているんだ。
訳が分からない。あの青い戦士の事を考えると無性にイライラする。
どうせ奴も力を振りかざして威張りたいだけの人間なのに。どうして―――
「ちくしょう!」
やはり、離れない。あの男の事が、頭から離れようとしない。
顔も知らない、あの男を――――
そこでクリスは頭を振って別の事を考え始める。それも声に出す事で、より意識を反らす為に。
「このアタシに身柄の確保をさせるぐらい、『フィーネ』はアイツにご執心という訳かよ」
立花響。ガングニールの破片をその身に宿すもの。そして、デュランダルを一人で覚醒させえた、自分を超える存在―――
それと同時に、あの凄惨な過去を思い出す。
「・・・そしてまた、アタシは一人ぼっちになる訳だ・・・・」
そよ風が吹く中で、クリスはそう呟く。
太陽が山の影から姿を見せ、クリスは、背後に立つ女性に気付く。
それは、彼女の雇い主、あるいは、飼い主。
「・・・分かっている。自分に課せられた事くらいは」
その時、また彼の事が脳裏によぎる。
それを振り払うように、クリスは女性に向かってソロモンの杖を投げる。
「こんなものに頼らなくとも、アンタの言う事ぐらいやってやらあ!」
それを女性は受け取り、その女性にクリスは言う。
「アイツよりも、アタシの方が優秀だって事を見せてやる!アタシ以外に力を持つ奴は、全部この手でブチのめしてくれる!」
シンフォギア奏者も、仮面ライダーも全て、この手で叩き潰す。
「それが、アタシの目的だからな・・・!」
全ては、この世から争いをなくすために。
弦十郎と戦兎が、喪服姿で二課に入ってくる。
「亡くなられた広木防衛大臣の繰り上げ法要でしたわね」
「お疲れ」
「ああ、ぶつかる事もあったが、それも俺たちを庇ってくれての事だ。心強い後ろ盾を失ってしまったな・・・」
何故、戦兎も喪服を着ているのか。
理由は、葬儀に総理大臣とその補佐官が来ると聞いたからだ。
「で?どうだったんだよ戦兎」
こそこそとしつつ、万丈は戦兎に尋ねる。ちなみにクローズドラゴンは今日も未来の所に向かっている。そろそろ怒られるかもしれない。
「ああ、新世界でも総理は総理だったし、幻さんも変わりなくて安心したよ」
「そうか」
その言葉に、万丈も安心する。
「こちらの進行はどうなっている?」
「予定よりプラス十七パーセント」
進行とは、基地の強化作業の事である。
「デュランダル移送計画が頓挫して、正直安心しましたよ」
「そのついでに防衛システム、本部の強度アップまで行う事になるとは」
「ここは設計段階から、限定解除でグレードアップしやすいように織り込んでいたの。それに、この案は随分と昔から政府に提出してあったのよ」
「でも確か、当たりの厳しい議員連に反対されていたと・・・・」
それなのに何故、その案が通ったのか。
「その反対派筆頭が、広木防衛大臣だった」
それが理由だ。
「非公開の存在に血税の大量投入や、無制限の超法規措置は、許されないってな」
一つ、ため息を吐く弦十郎。
「大臣が反対していたのは、俺たちに法令を遵守させることで、余計な横槍が入ってこないよう、取り計らっていたからだ」
重い空気が、場に広がる。その間でも、戦兎はいつも通りのシャツとボロボロのジーンズ、そしてトレンチコートを着る。
「司令、広木防衛大臣の後任は?」
「副大臣がスライドだ。今回の本部改造計画を後押ししてくれた、立役者でもある」
「だけどその大臣はいわゆる親米派でな。つまり、日本の国防政策に対して、アメリカの意向が通りやすくなっちまったって訳だ」
「それが何か悪いのか?」
やはり、と言った具合に万丈が訪ねる。それに呆れつつ戦兎が答える。
「あのな?この間デュランダルの引き渡しをガンガン要求してきてるアメリカが、こっちの事情に口出ししやすくなったんだよ。最悪対ノイズ戦の武装であるシンフォギアだとかライダーシステムが向こうに流出しちまう可能性があるって事だよ」
「やばいんじゃねえのかそれ・・・!?」
流石にこれは万丈でも理解できたようだ。
「まさか、今回の防衛大臣暗殺の件も、米国政府が・・・」
そこで、突如として警報が鳴る。
モニターを見れば、数人の職員が消火器をもって火元の消化を行っていた。
「たーいへん。トラブル発生みたい。ちょっと見てきますわね」
そう言って部屋を出ていく了子。
「さて、向こうのトラブルは了子君に任せておいて、戦兎君、君に翼の見舞いに行ってきてもらいたいんだが」
「俺が?何故に?」
「今緒川はある任務に行っていてな。響君もと言っていたから、二人で言ってきてくれないか?戦兎君は今日も学校を休んで一日暇な訳だし」
想定外の提案に戸惑うものの、断る理由はない。
「はあ・・・分かりました。不肖、この天才物理学者桐生戦兎、風鳴翼の見舞いに行ってまいります」
「まあ俺も暇だからな」
「ああいや龍我君はここで待機しててくれ」
「へ?」
何故か止められる万丈。
「一応君もノイズに対抗できる唯一の人材であることには変わりはない。だから念のため、君にはノイズ出現に備えて待機してもらいたいのだ」
「ああ、そういう事か・・・でもなんで戦兎なんだ?」
「それは察しろ」
「察しろって・・・はっは~ん」
弦十郎の意味深な笑みに万丈もにやついた顔で戦兎を見る。
「・・・・なんだよ?」
「いやー、モテる男は辛いねえ」
「いや一体何の話だよ?」
「べっつにー、いずれ分かる事だよ」
「はあ?おい、この馬鹿何言って・・・なんでお前らも笑ってんの?」
「いや、なんでも・・・くくく」
「すみませ・・・ふふふ」
何故か藤尭と友里まで笑っていた。
その場に何故か控えめな笑い声が響く中、戦兎一人だけが取り残されているこの状況。
「え・・・あ・・・ちょ・・・あーもう!なんなんだよお前らぁ!?」
謎の笑みの意味も分からず、戦兎は叫ぶのであった。
「ったく、なんなんだよあいつら・・・」
病院の玄関扉の前で待つ戦兎。
そこへ、響が慌てた様子で入ってきていた。
「すみませーん!遅れましたー!」
「おう遅いぞ」
「ハア・・・ハア・・・実は、花を買うのに時間がかかってしまって・・・」
「花?ああ、見舞いの」
「先生は何を?」
「適当に腹減ってるだろうからリンゴ買ってきた」
戦兎が持ち上げた袋には、リンゴが三つ程入っていた。
「それで、あれから体調の方はどうですか?」
体調、というのは、戦兎はスパークリングを直す為にかなり長期間徹夜続きの作業をしていたため、ベッドに倒れた後はそのまま丸一日起きなかった上に起きたとしても作業の疲労が溜まっていてしばらく動けず、学校をさらに休む事になってしまったのだ。
まあ、パンドラボックスの成分を再現する為に相当苦労したのだから、当然といえば当然だが。
「あれから結構休んだし、明日からはいつも通りやれるよ」
「いいなあ、私も一度戦兎先生の授業受けてみたいです」
「だったら今度、個別授業でもやるか?」
「本当ですか!?いやー、私勉強全然でして、戦兎先生が教えてくれるならきっと成績アップも間違いなしです!」
そんな他愛もない話をしながら、二人は翼の待つ402号室の前に立つ。
(あれ?そういえば翼って確か女だったよな?それもまだ現役の高校生。いくらトップアーティストと言えども学校では生徒と教師の関係だし、ついでに十歳近く歳離れてる訳だから、あ、なんかいきなり緊張してきた。やばいやばいやばいやばいマジでどうするそうだ公式を頭の中で唱えて心を落ち着かせよう!)
頭の中でヤベーイ!だとかブルァァァアア!!とかヤヤヤヤベーイ!!!だとかの音声が流れて内心パニくり始めた戦兎。
「戦兎先生?」
「はい!?」
「どうしたんですか?」
「べ、べべべつに何も!この天才に怖いものなんてないぜ!フハハハハハ・・・・」
「何か変ですよ・・・?」
ジト目で戦兎を見上げる響。
(よし、とりあえず落ち着け、落ち着くんだ桐生戦兎。お前は天才物理学者なんだ。この程度の事態で騒いだりしない)
脳内で鋼のムーンサルト!などという音声が流れると同時に戦兎は覚悟を決める。
「よぉーし、開けるぞ」
「は、はい!」
ついに覚悟を決めた戦兎は、ついに、風鳴翼の待つ病室の扉を開ける。
そこで見たものは―――
「「・・・・!?」」
響が、鞄を落とす。
戦兎が、後ずさる。
「こ、これは・・・」
「まさか・・・そんな・・・」
目の前の光景を見て、二人は、絶句し、目を見開く。
何故なら、その部屋があまりにも――――
「何をしているの?」
ふと、後ろから声を掛けられる。聞き覚えのある声だ。
その声を聞いた途端、響―――ではなく戦兎が背後にいる人物の肩を掴んだ。
「翼!?怪我はないか!?」
「きゃあ!?い、いきなり何!?」
「翼さん!ほんとに無事なんですか!?」
「え、ちょ、入院患者に無事を聞くって、というか、今私怪我をして・・・」
「何もされてないよな!?どこも、変な事とかされてないよな!?」
「お、落ち着いて、一体何の話を・・・」
「これの事だよ!」
戦兎が指差す先、そこは、翼の病室だった。
その中は――――凄まじい程の散らかっていた。
コーヒーが入っているであろうカップはひっくり返し中身がこぼれ、服は散らかり何かの薬品も机の上にぶちまけられ、花はしおれて枯れているのもあれば、何故かトイレットペーパーが地面を転がって紙のシルクロードを作り、週刊誌や雑誌などが床に散乱し、その惨状はあまりにも惨かった。
「てっきり何かに襲われたのかと思ったぞ!?こんな怪我をしている状態でストーカーだとかに襲われてたら洒落にならんぞ!お前何かと頑固なとこあるし、もしかしたらやせ我慢とかしてるんじゃないかって・・・」
マシンガンのごとく矢継ぎ早に言葉を叩き出し続ける戦兎。
しかし、その一方で翼は顔を赤くしていた。
それはなぜかって?
この部屋の惨状を見られたからだ。
「み、見ないでぇぇぇぇぇええ!!」
「ぐへあ!?」
強烈な平手打ちが戦兎の頬に炸裂し、まさしく横に吹っ飛ぶ戦兎。
「えぇぇええ!?」
その予想外の行動に、響は驚き、戦兎は訳が分からないまま廊下の床に倒れる。
「・・・あ」
「い、いきなりなにすんだ!?」
すぐさま起き上がって抗議する戦兎。
だが、翼の顔がなぜか赤くなっているのに気付く。
「ご、ごめんなさい・・・・」
そして、戦兎と響は気付く。
「あ、あー・・・」
「えーっと・・・」
二人は、なんて言えばいいのか分からなくなった。
次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!
翼のまさかの散らかった部屋を片付ける戦兎と響。
「もう、そんなのいいから・・・」
そして、改めて響の覚悟を聞く翼。
「守りたいものがあるんです」
一方の万丈は、街中を歩いている中、あの少女を見つける。
「お前・・・家族いないだろ?」
「黙れぇぇええ!」
始まる戦闘。
「なんだか、敵わないわね」
それを知らぬ、翼と戦兎。
「ごめん」
ついに未来に隠し事がバレてしまう響。
様々な想いが錯綜する中で、万丈は少女と対峙する。
次回『馬鹿と復讐者とファンタジスタ』
「今の俺は、負ける気がしねぇ!」