翼「今日はいつになく真面目だな」
響「最近カオスな事が多かったですからねぇ、マr・・・黒グニールさんが色々と不憫な事になってましたから・・・」
ク「ああ、なんか三日三晩泣き続けてたらしいな」
翼「どうせGから出番が増えるんだ。それまで我慢してもらった方がいいだろう」
(それをいう資格がお前にあるかー!)
ク「なんか、どっかから怨霊染みた声が聞こえた気がしたんだが・・・」
響「き、気のせいじゃないかな~?」
戦「まあなにはともあれ、問題ないだろ。てなわけで、ついにカ・ディンギルがその姿を現すぞ!」
麗人「それはいいのだが、先ほどタヤマが血の涙を流したって連絡が来たぞ」
万「はあ!?なんでだよ・・・」
農具「それが〇〇〇デース!」
戦「だから名前出すなァ!!」
無性「規制音が間に合ってよかったです・・・」
ク「てかお前も登場するのまだ先なんだから出てくんなよ!?」
麗人「では、リディアンが襲われる所から始まる第十九話を見ろ」
ク「無視かよ!?」
戦兎たちが、街に出たノイズを対処している間に、リディアンはノイズの襲撃を受けていた。
そのノイズに自衛隊が対応しているが、通常兵器ではノイズに一切効かないどころか干渉自体出来ないため、ただ無駄に弾を消費する事しかできない。
ただ出来る事と言えば、リディアンにいる生徒たちを、とにかく逃がす事だけ。
その避難誘導に、未来は先陣切って行っていた。
「落ち着いてシェルターに避難してください!」
自衛隊員に誘導を任せ、生徒をなだめつつ、未来はそう声を挙げる。
「落ち着いてね・・・」
「ヒナ・・・」
そんな中で、未来に話しかける者がいた。
黒鉄色のショートカットが特徴的な『
長い金髪が特徴的なお嬢様の『
そして髪の毛をツインテールにした『
いつも未来や響と一緒にいる同級生の少女たちだ。
「皆・・・」
「どうなってる訳?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだから・・・」
いつも比喩にアニメを使う弓美らしい言い方だが、確かにその通りだ。
街でノイズが出ても、学園で出る事なんて今までになかったのだから。
「皆も早く避難を・・・」
「小日向さんも一緒に・・・」
詩織がそう言ってくるも、未来は首を横に振る。
「先に行ってて。私、他に人がいないか見てくる!」
「ヒナ!」
よく変なあだ名をつけて呼ぶ創世が呼び止めるも、未来は行ってしまう。
「君たち!」
そこへ、避難誘導に当たっていた自衛隊員の一人が走ってくる。
「早くシェルターに向かってください!
その次の瞬間、一瞬の事。
その自衛隊員が、ノイズに貫かれる。
そして、一秒もたたずして炭素の塊となり、崩れていく。
「――――いやぁぁぁあぁぁああぁあああ!!」
弓美の悲鳴が、響き渡った。
学園の中で、生存者がいないか走り回る未来。
流石に元陸上部故か、その体力はまだ衰えていない。
「誰かー!残ってる人はいませんか・・・・きゃ!?」
地面が揺れて、未来は思わず小さく悲鳴を上げる。窓の外を見てみれば、巨大なノイズが、リディアンを力の限り破壊し尽くしていた。
自衛隊などまるで歯が立っていない。
「学校が・・・響の帰ってくるところが・・・」
その惨状を目にして立ち尽くす未来。しかし、それを許さないかの如く、ノイズが窓から飛び込んでくる。
壁に張り付いたノイズが、そのまま砲弾の如く襲い掛かってくる。
それに未来は反応できずノイズに衝突される―――事にはならず、寸での所で緒川が未来を押し倒して危機を脱する。
「うう・・・あ、緒川さん・・・!?」
「ギリギリでした。次、上手くやれる自信はないですよ」
緒川は面を上げ、通り過ぎていったノイズの方を見る。
すでに、次の攻撃態勢に入っている。
「走ります!」
「うぇえ!?」
未来の手を取り、駆け出す緒川。
「三十六計逃げるに如かず、と言います!」
すぐさまエレベーターに駆け込み、通信機を使って扉を閉める。
そのままノイズは入ってこれないかと思ったが、現実と異次元との実体率を操作する事の出来るノイズ。物体への透過は可能だ。
しかし、二人に触れるには一歩届かず、超高速で落ちるエレベーターが動き出し、そのままノイズはエレベーターから追い出された。
「・・・・ほ」
思わず安堵の息を漏らす未来。
その後、緒川は通信機を使い、本部に連絡する。
「はい、リディアンの破壊は、依然拡大中です。ですが、未来さんたちのお陰で、被害は最小限に抑えられています」
人的被害はかなり進んでいた為、おそらく生徒の犠牲者はいないだろう。
自衛隊はその限りではないが。
「これから未来さんを、シェルターまで案内します」
二課本部―――
「分かった。気を付けろよ」
弦十郎がそう返事を返す。そのまま切ろうとした時、緒川から声が上がる。
『それよりも司令』
「ん?」
『カ・ディンギルの正体が、判明しました』
「なんだと!?」
驚く弦十郎。
『物証はありません。ですが、カ・ディンギルとはおそらく―――ッ!?』
次の瞬間、緒川が息を飲む声が聞こえ、そして立て続けに何かが粉砕される音と、
『きゃぁぁあぁああ!!』
未来の悲鳴が無線越しに聞こえてきた。
「どうした!?緒川!」
呼びかけるも返事はなく、ただ向こうの通信機が破壊された時に聞こえる砂嵐の音しか聞こえなくなった――――
その一方で、緒川と未来の方では――――
「ぐ・・ぁ・・・」
「こうも早く悟られるとは、何がきっかけだ?」
そう問いかけるのは、黄金のネフシュタンの鎧をその身に纏うフィーネだった。
何故彼女がここにいるのか。まあ単純な話、このノイズ襲撃は全てこの女の所為なのだが。
「っ・・・塔なんて目立つものを、誰にも知られる事なく建造するには、地下へと伸ばすしかありません・・・」
上ではなく下。下に向かって塔を建造するというのなら、誰にも悟られることなく、建てられる事は容易だ。
「そんな事が行われているとすれば・・・特異災害対策機動部二課本部・・・そのエレベーターシャフトこそ、カ・ディンギル・・・・そして、それを可能とするのは―――」
「漏洩した情報を逆手に、上手くいなせたと思っていたのだが・・・」
そこで、エレベーターが最下層に到達。緒川の背後の扉が開く。
それで拘束を逃れた緒川は身軽な動きで距離を取って飛び上がると同時に脇のホルスターから拳銃を抜き出し発砲。その数、三。
それら全てがフィーネに直撃するが、突き刺さった弾丸がまるで削り取られたかのように落ちていき、一方のフィーネの体には傷一つついていなかった。
「ネフシュタン・・・!?」
返答の代わりか、ネフシュタンの肩にある刃の鞭を操り、緒川を一瞬で拘束し、持ち上げる。
「緒川さん!」
「ぐぁぁあぁあ!?」
締め上げられ、絶叫する緒川。
「ぐぅ・・・あぁ・・・・未来・・・さん・・・逃げ・・・て・・・」
今自分が危ない状況であるのに、他人を逃げるように促す緒川。
しかし未来はそのまま棒立ち―――
だが、あまり効果はないのかフィーネはぶつかってきた未来へと肩越しに視線を向ける。
その視線に、未来は思わず後ずさる。
「ひっ・・・」
振り返ったフィーネは、緒川から拘束を外し、未来と向き合う。
そして、その顎に手を当てる。
「麗しいな。お前たちを利用してきた者たちを守ろうというのか?」
「利用・・・?」
訳が分からない未来。
「何故二課本部がリディアンの地下にあるのか。聖遺物に関する歌や音楽のデータを、お前たち被験者から集めていたのだ。その点、風鳴翼という偶像は、生徒を集めるのによく役立ったよ」
そう言って、嘲笑い、未来から離れて歩き出すフィーネ。
その後ろ姿を見る未来。
だが―――
「―――嘘を吐いても、本当の事が言えなくても、誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人がいます!」
先ほどの緒川がそうであったように。あの日の響が自分を守ってくれたように。
「私は、その人を・・・そんな人たちを信じてる!」
まさかの啖呵。響や翼のようにシンフォギアを纏えない、戦兎や万丈のようにライダーシステムを使えない、戦いもしらないただ一人の少女が、おそらく百戦錬磨であろう存在に、ちっぽけな勇気を振りかざしていた。
「―――ッ!」
それが癪に障ったのか、フィーネは未来の頬に一発平手打ちをすると、すかさずその胸倉を掴んでもう一度引っ叩いた。
未来はそのまま崩れ落ちる。
「まるで興が冷める・・・!」
忌々し気に呟き、フィーネは、そのままデュランダルが保管されている場所へ向かう。
そして、どこで手に入れたのか二課の通信機を取り出し、認証パネルにかざそうとした寸前でどこからか飛んできた弾丸によって通信機が破壊される。
「デュランダルの元にはいかせません・・・!」
振り返れば、そこには拳銃を構える緒川の姿があった。
「この命に代えてもです!」
銃を投げ捨てて格闘戦を挑もうとする緒川。
しかしフィーネはまるで冷めた目で緒川を見据え、ネフシュタンの鞭の刃を振るおうとする。
「―――待ちな、
しかし、突然どこからともなく声が聞こえたかと思いきや、突然天井が粉砕され瓦礫が落ちてくる。
そこから現れた者は―――
「―――私をまだ、その名で呼ぶか」
「女に手を挙げるのは気が引けるが、二人に手を出せば、お前をぶっ倒す!」
―――二課司令、風鳴弦十郎だった。
かなりの硬い筈の鋼鉄の壁をぶち抜いてここまでやってきたのだろう。
というか、どうやったら人間の力でその壁を突破できるのだろうか。
「司令・・・」
緒川はともかく、未来は完全に茫然としている始末である。
「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行き着いていた。後はいぶり出すため、あえてお前の策に乗り、シンフォギア装者と仮面ライダーを全員、動かしてみせたのさ」
「陽動に陽動をぶつけたか。食えない男だ。だが、この私を止められるとでも――――」
「おうとも。一汗掻いた後で、話を聞かせてもらおうか!」
なんの迷いもなくというか戸惑いもなく答えて見せる弦十郎。
すかさず地面を蹴り砕いて前に出る弦十郎。その進行を阻止すべく刃の鞭を振るうも当たらず、二撃目も飛んで躱されては天井の出っ張りを掴み、そしてそのまま体を持ち上げて天井に足を付けたと思ったら一気に落下。
そしてそのまま拳を振り下ろしてくる弦十郎にフィーネはギリギリの所で避けるも僅かに掠ったのか鎧にひびが入った。
ていうか掠っただけでこれである。
「何・・・!?」
思わず驚いて距離を取るフィーネ。
鎧はすぐさま修復するが、フィーネは未だ険しい顔で弦十郎を睨む。
「肉を削いでくれる!」
そしてすかさず刃の鞭を弦十郎に叩きつけようとするもいとも容易く掴み取られて引っ張られて、さらに鎧によって重量が増している筈のフィーネを軽々を引っ張り出し、そのままどてっぱらに渾身の一撃を叩き込んだ。
言っておくが、生身の人間が、である。
そのまま弦十郎の背後に落下するフィーネ。
「が・・・ぐあ・・・」
思わず呻き声をあげるフィーネ。
「完全聖遺物を退ける・・・!?どういう事だ・・・!?」
まさしくその通り。しかし弦十郎は言ってのける。
「しらいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛錬は、ソイツで充分よ!」
なお、一人の少女もそれで鍛えられた模様。
「なれど人の身である限りは・・・!」
立ち上がったフィーネはすぐさまソロモンの杖を取り出し向ける。
「させるか!」
すかさず弦十郎が床を踏み砕いて飛び散った破片を蹴り飛ばす。
「甘いわ!」
しかしフィーネはそれを躱し、ノイズを複数体召喚してしまう。
「どうだ!人の身である貴様に、ノイズは倒せ――――」
『ボトルビューン!』
突如として聞こえた、電子音声。
「ぬぅぅう・・・」
見れば、弦十郎の手には、見慣れない
『テンペスティックナックル!ビュバーンッ!!』
次の瞬間、凄まじい風が吹き荒れ、フィーネが呼び出したノイズがまとめて消し飛ばされる。
「ば、馬鹿な・・・・!?」
「戦兎君の部屋から勝手に持ち出した発明品だ・・・が、どうやら試作品だったようだな」
吹き荒れた暴風の最中、弦十郎が握っていたナックルがバラバラにぶっ壊れる。
元々未完成だったのもあるが、弦十郎の全力の一撃に耐え兼ね粉砕してしまった事が大きい。
最も、万丈のマグマナックルほっぽって別のナックル作ろうとしていた戦兎も戦兎だが。
「く、それならもう一度・・・!」
「それをさせると思うか!」
が、動揺したフィーネに向かってすかさず瓦礫を蹴り飛ばす弦十郎。今度は直撃し、ソロモンの杖が天井に突き刺さる。
「く・・・ッ!?」
そしてすかさず、弦十郎が飛び上がって拳を握りしめた。
「ノイズさえ出てこないのなら―――!」
振り下ろされる拳、このままいけば、直撃は免れ―――
「―――弦十郎君!」
一瞬、フィーネの顔が了子のものになる。
「―――ッ!?」
それを見た瞬間、弦十郎の動きが完全に止まった。
次の瞬間、真っ直ぐ硬化した刃の鞭が、弦十郎の腹を貫いた―――
「司令・・・!」
緒川が声を漏らす。
腹を貫かれた弦十郎はそのまま血を吐いてはまき散らし、そのまま地面に倒れる。
「いやぁぁぁああぁああああ!!!」
未来の叫びが響き渡り、弦十郎の体を中心に、血溜まりが広がる。
「抗うも、覆せないのが
弦十郎のポケットから通信機を奪い取り、ソロモンの杖を回収する。
「殺しはしない。お前たちにそのような救済など施すものか」
そう言って、フィーネはデュランダルが保管されているアビスへと続く道を開ける。
そしてそのまま、扉の向こうに消えてしまった。
司令部にて、装者と仮面ライダーたちの戦いを見守る二課職員たち。
その最中で、司令部の扉が開いたと思いきや、ぐったりとした状態で緒川と未来に運ばれる弦十郎がいた。
「司令!?」
「応急処置をお願いします!」
緒川の指示で応急処置を行う友里。
「本部内に侵入者です」
代わりに緒川が端末を操作、そして、事あらましを簡潔に述べる。
「狙いはディランダル、敵の正体は―――櫻井了子」
「な・・・!?」
「そんな・・・!?」
更なる動揺が司令部に広がる。
しかしその間も緒川はコンソールを操作し、響たちに回線を繋げる。
「響さんたちに回線を繋げました」
それを聞いた未来は、すぐさま呼びかける。
「響?学校が、リディアンがノイズに襲われてるの!―――あ・・・!?」
しかし突如として周囲の照明が落ちる。
「なんだ!?」
「本部内からのハッキングです!」
「こちらかの操作を受け付けません!」
あっと言う間に彼らの扱う機器が使用不能となっていく。
「こんな事・・・了子さんしか・・・」
藤尭がそう呟く中で、未来はただ茫然と、その様子を見ている事しか出来なかった。
「響・・・・」
日が沈み、月が空に昇ったころ、戦兎たちはリディアンに到着した。
「これは・・・」
その惨状を見て、全員茫然とする。
学園の校舎は崩れ去り、グラウンドは荒れ、破壊された戦車が置き去りにされており、気配は一人もいない。
「未来ー!皆ー!」
響が呼びかけても返事はなく、ただその場に膝を付く事しか出来ない。
「リディアンが・・・」
翼が茫然と呟く中、見上げた先の校舎の端に一人の女性が立っているのに気付く。
「櫻井女史・・・!?」
その女性は、櫻井了子だった。
「フィーネ・・・お前の仕業か!?」
「やはりアンタなのか!?了子さん!」
クリスの叫びに、戦兎も叫ぶ。
「ふふ・・・ハハハハハハ!!!」
それを聞いて高笑いをする了子。
「そうなのか・・・その笑いが答えなのか!?櫻井女史!?」
「嘘だろ・・・!?」
信じられないとでも言いたげな翼と万丈。
「アイツが、アタシが決着をつけなきゃいけないくそったれ・・・フィーネだ!」
クリスがそう叫んだ瞬間、眼鏡を外し、髪を解いた了子が光に包まれる。
そして、その光が収まるころにそこに立っていたのは、先日万丈が見た、あの金髪の女性だった。
「嘘・・・」
響が茫然と呟く中で、ネフシュタンを纏った了子は―――フィーネはその場に佇んでいた。
「野郎・・・ずっと俺たちをだましてたのか!?」
「ていうかお前はこの前会ったんだから気付かなきゃ可笑しいだろ!?」
「仕方ない。馬鹿だから」
「馬鹿っていうな。せめて・・・」
「筋肉をつけろだろ!?分かってるよ筋肉馬鹿!」
ふと、響が口を開いた。
「・・・嘘ですよね。そんなの嘘ですよね?」
未だに信じられないとでも言うように尋ねる響。
「だって了子さん、私や龍我さんを守ってくれました」
「あれは単純にデュランダルを守っただけだ。お前たちはおまけだったんだよ。何せ、貴重な完全聖遺物だからな、あれは」
しかし、それを否定するのは戦兎だった。
「嘘ですよ・・・了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食いつくされた・・・いや、意識は十二年前に死んだと言って良い」
「どういう事だ?」
戦兎が訪ねる。
「超先史文明期の巫女『フィーネ』は、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引くものが、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身に、フィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ」
「遺伝子に自分の意識を投影したっていうのか・・・そんなの、現代科学じゃ到底不可能だ・・・!?」
戦兎は信じられないとでも言うように呟く。
「当たり前だ。現代じゃ到底及ばない力を秘めているのが先史文明の科学力だ。そして十二年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた。その目覚めし意識こそが、『
それが、今目の前に立つ、フィーネの正体。
「貴方が、了子さんを塗り潰して・・・」
「まるで、過去から甦る亡霊・・・!」
「・・・・・」
茫然とする響、顔を険しくする翼、そして、黙ったままの万丈。
「フハハ・・・『フィーネ』として覚醒したのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った
「その一つがシンフォギアシステムか・・・!?」
「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための副次品に過ぎぬ」
「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか・・・!?」
「たかだかお前の計画の為だけに、多くの人間を殺してきたっていうのか!?」
「アタシを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!?」
「そう!全てはカ・ディンギルの為!」
フィーネが、なんの悪びれもなく肯定し、そしてそう答えた瞬間、突如として地面が揺れる。
「うおあ!?」
「な、なんだァ!?」
「これは・・・!?」
大きく揺れる中で、リディアンの真下から、何かが地面を突き破って出てくる。
それは、見るも巨大な塔。
あの日、二課のエレベーターシャフトから見えていた壁画のような飾りが施されており、その巨大さは、まさしく天を見上げる程。
「カ・ディンギル・・・別名、『バベルの塔』・・・!」
「バベルの塔!?それは確か・・・」
「ああ、大昔に、人が天に手を伸ばそうとして建てた超巨大な塔だ。だけど、あれから何度もエレベーターを見ている内に、あのシャフトの構造に気付いた・・・」
戦兎は、答える。
「あれは、強大なエネルギーを打ち出すように作られていた・・・つまり、このカ・ディンギルは巨大な砲塔!
「「「「ッ!?」」」」
その言葉に、全員、息を飲んだ。
「そう!これこそが、地より
「カ・ディンギル・・・こいつで、バラバラになった世界が一つになると!?」
「呪詛だ」
すかさず戦兎が口を挟む。
「人々はかつて、相互理解が可能な言語を使っていた。だけど、塔を築いている途中、神は人々から相互理解の為の言語を奪い、混乱を招いて建造を中止させた・・・お前の目的は、その呪詛を解く事だな!?」
「ああ、今宵の月を穿つことによってな」
「月を・・・・!?」
「穿つと言ったのか・・・!?」
「なんでさ!?」
その時、フィーネの顔が、今までにないくらい切実なものへと変わった。
「・・・私はただ、あのお方と並びたかった・・・その為に、あのお方へと届く塔を、シンアルの野に建てようとした・・・だがあのお方は、人の身が同じ高みに至る事を許しはしなかった・・・」
切実に、そして恋焦がれるように、フィーネは語る。
「あのお方の怒りを買い、雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる・・・果てしなき罰、バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ」
それが神話の真実か。
「月が何故古来より『不和』の象徴と伝えられてきたか・・・それは、月こそがバラルの呪詛の源だからだ!人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊する事で解いてくれる!そして再び、世界を一つに束ねる・・・!」
そう月に向かって伸ばした手を握りしめるフィーネ。
それと同時に、カ・ディンギルに変化が訪れる。
突如として光だし、やがて稼働するかのような音が鳴り響き、その砲塔の中ではエネルギーが充填されていく。
このままチャージが終われば、すぐさま月は破壊されてしまうだろう―――と、その時だった。
「―――だぁぁああああぁぁああぁあああ!!!」
万丈の絶叫がその場に鳴り響いた。
「さっきからお前の言ってる事が何一つわかんねえよ!バラルの呪詛?それを解く?もう何もかもが分からねえけどな!これだけは言わせてもらう!」
ビッとフィーネを指差して言い放つ。
「お前は間違っている」
馬鹿故の馬鹿らしい真っ直ぐな言葉。
「ふん、雑頭には少々難しすぎたか」
「確かに、誰かに会いたい。その為に何かを成そうとするのは間違いじゃない」
そこへ、戦兎が進み出る。
その手には、ビルドドライバーが握られていた。
「だけど、その為に大勢の人々の命を危険に晒し、何の意味もなく消し去るなんて事は、科学者として絶対に容認できない・・・何より・・・」
それを腰にあてがい、アジャストバインドを巻き付ける。
「俺の信念が、それを許さない!」
「ふん、永遠を生きる私が余人に歩みを止められる事などありえない」
「止めてやるよ。何が何でもな・・・!」
ラビットフルボトルとタンクフルボトルを取り出し、それを振る。
万丈もドラゴンフルボトルを取り出してそれを振り、折りたたんだクローズドラゴンをその手に収める。
『ラビット!』『タンク!』『ベストマッチ!』
『Wake UP!』『CROSS-Z DRAGON!』
戦兎たちがボルテックレバーを回し、スナップライドビルダーを展開すると同時に、装者三人が聖詠を唄う。
『Are You Ready?』
「―――
「―――
「―――
「「―――変身!」」
全員の姿が、変身する。
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』
『Wake UP Burning!』
『Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』
五人が、並び立つ。
「行くぞォ!」
ビルドの掛け声に、全員が駆け出す。
先陣を切ったのはビルド。
左足のホップスプリングで一気に接近し、ドリルクラッシャーを叩きつける。
しかし、躱され、それでも追撃でもう一度振り下ろすも躱される。そこでもう一度ビルドが飛び上がったかと思うとビルドの後ろから響が飛び出し拳を叩きつけるもそらされ、弾き飛ばされる。
「うぉあぁあぁああ!!」
そこへクリスが小型ミサイルをばら撒く。
『MEGA DETH PRATY』
放たれる数の暴力。それをフィーネは鞭の一閃で全て破壊する。
黒煙がまき散らされる中、クリスは他の者に向かって視線を向ける。
その視線を受けて、仲間は意図を直接聞く事もなく動き出す。
「ウォォォオ!!」
クローズが飛び出し、拳の連撃を加え、すかさず響が一歩下がったクローズとフィーネの間に入り込み回し蹴りの連打。
そのまま応戦する最中で飛び上がり、背後から翼が斬りかかり、フィーネの側面からビルドがガンモードに変形したドリルクラッシャーを向ける。
「チッ」
小さく舌打ちの後に、ビルドが発砲。その弾丸をフィーネは叩き落し、すかさず鞭の形を剣状にして翼を迎え撃つ。
そのまま鍔迫り合いに持ち込むも、ビルドが再び発砲。だが、フィーネは刃の鞭で三角形の陣を形成すると、そこからバリアが発生し、ビルドの放った弾丸を阻む。
「何!?」
そしてすぐさま鞭の硬化を解除しては翼の刀を絡めとり、奪い取った。
武器を奪われ、無防備と思われた瞬間、その体制を逆さまにし、恐ろしいほどの超回転で足のブレードを連続で叩きつける。
それに対して、フィーネは鞭を振り回して回転し、翼の高速回転に対抗する。
そこへビルドが飛び込んで飛び蹴りを放つ。
それをフィーネは防ぐも、ビルドが叩きつけたのは、青い右脚。その足裏には―――無限軌道帯。
「づあ!?」
その無限軌道が回転し、鎧を削り取り、その下の肉すらも削ぎ降ろす。
それを見たフィーネはすぐさまビルドを跳ねのけ翼から距離を取る。
(どうせすぐに治るんだろ・・・でも、その隙さえできれば―――!)
本命は別。
その本命とは―――クリスの巨大ミサイル。
放たれたミサイル。それをフィーネは躱すも、どういう訳か軌道を変えてフィーネをしつこく追い回す。
『
フィーネがミサイルに追い回されている間に、続けざまにもう一つのミサイルをカ・ディンギルに向ける。
『
意図に気付いたフィーネはすぐさま態勢を立て直す。
そして、クリスの必殺の一撃が放たれる。
『
撃ち放たれたもう一つのミサイルは真っ直ぐカ・ディンギルへと突っ込んでいく。
「させるかぁぁぁああ!!」
すかさずフィーネが刃の鞭を使ってそのミサイルを両断する。両断されたミサイルは、いとも容易く爆発するも、しかしもう一発、フィーネを追っていたミサイルが迫ってきていなかった。
「もう一発は・・・!?」
そこで、フィーネは空を見上げた。
そこには、天に向かって突き進むミサイルに乗るクリスの姿があった。
「クリスちゃん!?」
「何のつもりだ!?」
「何してんだよアイツ!?」
「・・・・まさか、カ・ディンギルを真正面から迎え撃つつもりか!?」
戦兎の予想、それは的中していた。
クリスは、自らカ・ディンギルの前に立ち、その砲撃を迎え撃つつもりなのだ。
だが、敵は月を穿つ程の威力を備えた、荷電粒子砲。
「足掻いたところで所詮は玩具!カ・ディンギルの発射を止める事など・・・」
カ・ディンギルの砲門の先に、月が重なった時――――
「――――Gatrandis babel ziggurat edenal――――」
聞こえてきた、その歌の名は―――
「この歌・・・まさか!?」
「絶唱・・・・!?」
ミサイルから飛び降りて、カ・ディンギルの前に出る。
「――――Emustolronzen fine el baral zizzl――――」
腰のプロテクターから無数のエネルギーリフレクターを展開し、取り出した二つのハンドガンから、それぞれ一発ずつのエネルギー弾を発射。
「――――Gatrandis babel ziggurat edenal――――」
放たれたエネルギー弾は、リフレクターに反射されると同時に増幅され、それが無数に引き起こされて行き、ほぼ無限に力が増幅されていく。
そのエネルギー弾が反射する度に、光は強さを増していき、やがて、その形が蝶の羽を象っていく。
「――――Emustolronzen fine el zizzl――――」
その最中で、手に持ったハンドガンを前方のカ・ディンギルに向け、そしてその手にバスターキャノンを形成した。
「――――やめろぉぉぉぉおおおお!!!」
万丈の絶叫が迸るのと同時に―――カ・ディンギルが発射された。
そして迎え撃つ、クリス渾身の砲撃は真正面から衝突する。
衝突によって、眩い光が迸り、周囲を照らしていく。
そしてクリスの砲撃は、確かにカ・ディンギルを食い止めていた。
「一点集束・・・!?押し留めているだと・・・!?」
フィーネは信じられないと、そう叫ぶ。
しかし、それも長くは続かない――――
(―――ずっとアタシは、パパやママの事が、大好きだった)
バスターキャノンはひび割れていき、エネルギーは尽きていく。
(―――だから、二人の夢を引き継ぐんだ)
ギアにすらひびが入っていく。その口元からは血を垂れ流し、絶唱のバックファイアが彼女の体を蝕んでいく。
(―――パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる・・・)
僅かな、一瞬。ただ一瞬、押し留めて――――
(―――アタシの歌は―――その為に――――!)
――――光に飲み込まれた。
「・・・・・あ」
それは、誰が漏らしたか。
カ・ディンギルの一撃を受けた月は―――その一部を欠けさせるにとどまった。
「し損ねた・・・!?僅かに逸らされたのか!?」
フィーネが、驚愕に目を見開く。
そして、小さな光を巻き散らして、落ちてくる少女が、一人―――
「・・・おい、ふざけんなよ・・・」
クローズが、そう呟く。
「あ・・・ああ・・・」
「・・・・」
翼は、そう声を漏らす事しか出来ず、響はただ、言葉を失う。
「ふざけんなよぉぉぉぉぉおおぉぉお!!!クリスぅ――――――――ッ!!」
クローズの悲痛な叫びと共に、クリスは、森の中に堕ちた。
堕ちて―――いった。
「――――あぁぁあああぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁぁぁあぁああああ!!!!」
響の悲鳴が、響いた。
次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?
月の完全破壊を阻止し、墜落したクリス。
「嫌だよ・・・」
崩れ落ちる響。
「見た夢も叶えられないとは、とんだ愚図だなぁ」
嘲笑うフィーネ。
「無駄と笑ったのか!?」
咆える翼とビルド。そして―――
「ガァァァァァアァアアアア!!」
響は、黒く暴走する――――
「・・・お前を止めるぞ、響・・・」
「どこまでも『剣』といくか」
「―――お前がいるから、私は、心置きなく歌える・・・」
「―――翼ぁぁぁあああ!!!飛べぇぇぇええぇえええええ!!!」
次回『双翼と兎のライジングサルト』
「――――立花ぁぁぁああああぁぁぁああぁぁあああ!!!」