愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「ノイズが蔓延る新世界にて、仮面ライダービルドこと桐生戦兎は、相棒の万丈、特異災害対策機動部二課の面子、そしてノイズへの唯一の対抗手段であるシンフォギア装者、翼と響、そしてクリスと共に、全ての黒幕フィーネとの最終決戦に挑むのであった」
万「ついにここまで来たんだな」
ク「っていうか、まだ最終回じゃねえんだからそんな最終回っぽいナレーションする必要ねえだろ?」
響「いいじゃん雰囲気があって」
弦「うむ、何事も気持ちから入らないとな!」
藤「気持ちってなんですか気持ちって・・・」
友「しかし黒幕の正体が了子さんだったなんて・・・」
戦「感傷に浸っててもしょうがないでしょうが。過ぎちまったものはしょうがない」
了「そうよぉ?もうあとの祭りなんだから、あとは成り行きに任せないと」
ク「おい、何猫被ってんだよフィーネ。もうその必要はねえだろ」
フィ「ふっ、そう言われては仕方がない。まあ正体もバレているんだ。ここまで上っ面を被る必要はないか」
翼「随分と素直だな・・・まあいいか」
フィ「ちなみに、私の中の人は仮面ライダーと関係があったり」
戦「ここでいきないCVネタもってくんな!?ビビるわ!」
フィ「黙りやがれデス」
農具・ガキ「ケモミミ!」
戦「別のキャラの感性に引っ張られてんじゃねえよ!?」
罪「まあ、それはともかくさっさと本編に移ろう。こんなクソネタ出されて読者もうんざりしている頃だろうし」
作「何気に酷くない・・・?」
戦「それもそうだな」
作「無視!?」
未「では、ついに響があのパワーアップした姿になる第二一話をどうぞ!」
クロ「キュル!」


夜明けのシンフォギア

「うぉぉぉおお!!」

高速回転するドリルクラッシャーをフィーネに叩きつけるビルド。

しかし、その一撃は躱され、すかさず蹴りが迫るも紙一重で躱す。

「ウオリャァアア!!」

すかさずクローズが飛び込み、ブラストブレイドで斬りかかるも、硬質化した刃の鞭に防がれる。しかし、防がれてもすぐさま引き、もう一度横薙ぎに振るい、フィーネの脇腹を浅く斬る。

しかし、すぐさまもう一本の刃の鞭が飛んできて、クローズはそれをホイールによる機動力で躱す。

そこへ泡によって加速したビルドのボレーキックが迫る。

それと同時に距離を取ったクローズのブラストモービル・ブラストシューターによる射撃が重なる。

それに対して、まずビルドの一撃を受け止め、すかさず刃の鞭で光弾をある程度撃ち落とし、そしてビルドの足を掴んでクローズの方へ投げる。

「なっ!?」

反応出来なかったクローズはそのまま突っ込んできたビルドとぶつかり転がる。

そこへフィーネが黒弾を形成、二人に向かって投擲する。

「ッ!?」

それを見たビルドはすぐさま泡で横に飛び、続いてクローズも反対方向にホイールを回転させて躱す。外した黒弾は先ほどまでビルドたちがいた地面に直撃し、凄まじい爆発を引き起こすも、すかさずビルドとクローズがフィーネに接近する。

ビルドはドリルクラッシャーと四コマ忍法刀、クローズは双身刀モードのブラストモービル・ブラストデュアルソードでフィーネに向かう。

それを迎撃するようにフィーネは動き、刃の鞭がそれぞれ二人に向かう。

しかし、ビルドはそれを受けるとドリルクラッシャーで一気に巻き取り、一方のクローズは躱してそのままフィーネに接近する。

「ぐっ!?」

片方を封じられ顔を歪めるフィーネだが、すぐさまクローズに対応。

振り下ろされる双身刀をもう一方の刃の鞭で受け止め、すかさず反対の刃で斬り上げられる。先ほどより深い傷がフィーネの体を抉るが、それも決定打にはならない。

ネフシュタンの鎧の再生が、彼女をどうやっても生かす。

 

『ボルテックブレイク!』

 

そこへ刃の鎖を絡めたまま飛び出てくるビルドが、ドリルクラッシャーに青い角のようなエネルギーを纏わせてそのままフィーネの体を貫く。

「ぐふぅ・・・!?」

「おぉぉぁあぁぁあ!!」

そのままドリルクラッシャーを回転させて、貫いた場所から一気に中身をかき回す。

血が飛び散り、臓腑がスクランブルエッグになる。

そしてそのまま引き抜き、中の臓腑を抉り出す。

飛び散る血、巻き散らされる内臓。

だが、そのどれもが決定打にはなりえない。

ネフシュタンの再生は、ビルドたちの攻撃を上回る。

「どれほど攻撃しても無駄だ。私には決して届かんよ」

「だったら届くまで攻撃するだけだ!」

すかさずクローズがブラストモービルの形状を双身刀から弓『ブラストインパクトボウ』へ変形させ、矢を引き絞る。

「喰らいやがれ!」

「それをおちおち喰らうと思ったか!?」

しかし、それよりも早く地面に忍ばせていた鎖の刃がクローズを襲い、そして上空へ打ち上げる。

「ぐあぁああ!?」

「万丈!」

打ち上げられたクローズ。そこへフィーネの放つ黒弾が迫る。

「こなくそ・・・!」

すかさず矢を放って迎撃するクローズ。矢は寸分違わず黒弾を撃ち抜き破壊する。

しかし未だ空中で身動きの出来ないクローズに更なる追撃を加えようとするフィーネに、ビルドはすぐさま接近。その拳を叩きつける。

「オラァ!!」

「ぐぅ!」

拳を叩きつけられたフィーネはその一撃を止める。

そのまま力比べが始まるかと思いきや、すぐさま拳の中で泡が炸裂、フィーネを吹き飛ばし、すかさずそのフィーネに泡による加速で追いつき、蹴りを叩き込む。

吹っ飛ばされたフィーネはそのまま瓦礫に激突し粉塵を巻き散らし、そしてそこへクローズの矢が炸裂する。

「どうだ・・・!」

未だ巻き起こる粉塵。

そのまま警戒するビルドだが、次の瞬間、背後からクローズの悲鳴と爆発音が響いた。

「な!?」

振り返れば、何故かこちら側に吹っ飛んでいるクローズの姿があった。

視線をずらせば、そこにはネフシュタンの刃の鎖が―――

「まさか、死角から攻撃を!?」

おそらくあの黒弾の直撃を受けたであろうクローズはそのまま変身解除されてしまう。

「万丈!?」

「余所見をしている場合か!」

すかさずフィーネが黒弾を放つ。

「くそ!」

それを見てビルドはドリルクラッシャーで迎撃するも、威力に耐え切れず吹っ飛ばされる。

そこへ刃の鎖が足に絡みつき、そして持ち上げられて、一気に地面へと思いっきり叩きつけられる。

「がはっ・・・!?」

「止めだァ!!」

そして、もう一本の刃の鞭の切っ先がビルドに叩きつけられる。

「ぐあぁぁああ!?」

止めの一撃を受けて、ビルドすらも変身解除される。

「ぐぅ・・・あ・・・・」

「が・・・くぅ・・・・」

痛みに悶える戦兎と万丈。

「もはやネフシュタンと一体化した私に、お前たち程度が勝てる道理はない。そもそも立花響という生体と聖遺物の融合症例。奴という先例がいたからこそ、私は己が身をネフシュタンと同化させる事が出来たのだからなぁ・・・」

倒れ伏す二人を見下すフィーネ。

「痛みこそが、人を繋げる唯一の真実にして絆だ・・・それなのに、お前たちは・・・!!」

「・・・・違う」

戦兎が、手を付いて立ち上がる。

「痛みだけが、人を繋げる絆だと・・・ふざけてんじゃねえよ・・・!!!」

ふらつきながらも、戦兎は立ち上がる。

「痛みが刻み付けるのは恐怖だけだ!そんなものが絆である筈がねえ!それは、ただ支配したいというだけのお前の身勝手な思い込みだ!絆ってのはな、相手を信じる心なんだよ!痛みじゃない、ただひたすらに相手を信じられる事こそが本当の絆だ!」

「黙れ!相手を信じるだと?ふざけた事を抜かすな!バラルの呪詛がある限り、人は決して分かり合えぬ!月を破壊し、バラルの呪詛を解き放たない限り、人が繋がる事はありえないのだ!」

「それこそありえねえよ・・・!!」

万丈が、立ち上がる。

「だったらどうして俺と戦兎は互いを信じあえる!?クリスと分かり合う事が出来た!?翼を助けたいと思えた!?響がクリスに向かって手を伸ばせた!?全部、お前の言う痛みなんかじゃない、相手を思いやる心から出来たことばっかだ!バラルの呪詛程度で、人が繋がれないだと?これを見てまだそんな事が言えんのかよ!?」

「黙れ・・・黙れ黙れ!お前たちは何も知らない。ただあのお方と並び立ちたかった私の気持ちを、その年月を、その苦しみを!何も分かっちゃいない!そんなお前たちが、『絆』を語るなァ!!」

「「語ってやる!!」」

フィーネの叫びを、真っ向から返す。

「どんだけお前が俺たちの絆って奴を否定してもな、俺たちは絶対にそれを曲げねえ!」

「人と人とが手を繋ぎ合う世界、それを創り上げる為に、俺たちは戦っている!」

その手に、それぞれのボトルを握りしめる。

「だから俺たちは、絶対に諦めねえ」

「倒れない」

「くじけない」

「「負けられない!!」」

その胸には、いつだって一つの信念があるのだから。

 

「愛と―――」

 

「平和の―――」

 

「「為にぃぃぃいいいぃぃいッ!!!」」

 

そう叫び、二人は走り出す。

「愛と・・・平和だと・・・?」

駆け出す二人の、その言葉を聞いて、フィーネは怒鳴り散らす。

「そんな世迷言、すぐに消し飛ばしてくれるわァ!!」

次の瞬間、ネフシュタンの刃の鞭が、二人を襲った――――

 

 

 

 

「・・・翼さん・・・クリスちゃん・・・」

その最中で、響は一人、そこで項垂れる。

「二人とももういない・・・・」

その瞳に光は無く、ただあるのは、胸中に広がる絶望のみ。

「学校も壊れて・・・」

掠れた声で、ただ目の前の現実を、絶望に染まった心で認識する。

「みんないなくなって・・・」

遠くで、戦兎と万丈がフィーネに生身で立ち向かっているが、今の響には遠い場所の騒音程度にしか聞こえていない。

「わたし・・・わたしはなんのために・・・なんのために戦ってる・・・?」

自分が戦う意味を見失って、響はただ一人、そこで蹲る。

「みんな・・・」

 

 

 

 

 

その一方で、

「いくらなんでも無茶だ・・・!!」

生身でフィーネと戦う戦兎と万丈を見て、藤尭がそう声を挙げる。

その言葉の通り、戦兎と万丈は、ネフシュタンと完全に融合したフィーネに終始圧倒され続けている。

「聖遺物相手に、生身で立ち向かうなど・・・!」

弦十郎の場合はお前が言うな、と言いたい所だが実際は憲法に抵触する戦闘力を有するためにあまり強くは言えない。

『うぉぁぁぁあああ!!!』

『がぁぁあぁぁああ!!!』

しかし、どれほど叩きのめされても、どれほど吹き飛ばされても、戦兎と万丈は立ち上がり、フィーネに向かって行く。

「戦兎先生・・・」

「龍我さん・・・」

その無茶苦茶な戦いように、学生である四人は呆然とする。

その最中、どこからかいくつもの足音が聞こえてきた。

振り向けば、扉の方から、幾人もの民間人がいた。

「司令、周辺区画のシェルターにて、生存者、発見しました」

どうやら、他のシェルターにいた生存者のようだ。

「そうか!良かった・・・」

それに弦十郎は心底安心する。

その最中で、

「・・・あ」

黒髪の少女が、藤尭の前にあるモニターを見て声をあげる。

「あの時のおじさん・・・」

「あ、ちょっと!」

その黒髪の少女が、モニターに近付いて顔を覗き込む。

「やっぱり・・・」

「すみません、うちの娘が・・・」

「戦兎先生の事を知ってるんですか?」

「え、ええ・・・あの人に、娘をノイズから助けてもらって・・・」

『ぐあぁぁあああ!!』

戦兎の悲鳴が響く。

画面を見れば、地面に叩きつけられた戦兎が仰向けになって地面に倒れていた。

「おじさん・・・!」

黒髪の少女は、思わず声を挙げる。

しかし、おそらく常人が喰らえば死ぬような攻撃を受けても、戦兎は立ち上がる。

『まだ・・・まだぁぁああ!!!』

「がんばれ・・・!」

もう、何度も殴られては叩き伏せられている。それでも戦兎は立ち上がり、戦っている。

その戦兎を、黒髪の少女は応援する。

そう、その少女は、かつて戦兎が助けた女の子なのだ。

「どういう事だ・・・」

その戦兎と万丈の戦いに、藤尭は声を漏らす。

確かに、普通の人間が、聖遺物を纏った相手にあそこまでやれるなんて事は、本来ありえない。

よほど体が頑丈じゃなければ、風に吹かれるが如く死んでいる筈だ。

それなのに、二人は生身で戦い続けていた。

それは一体どういう事なのか。

その最中で、ふと、もう一人のツインテールの少女が声を挙げる。

「あ!かっこいいおねえちゃんとおにいちゃんだ!」

「あ、ちょっと!待ちなさい!」

その少女は、進んでモニターに近付く。

『ぐおあ!?』

『ええい、鬱陶しい!』

『これぐらいで・・・終わると思ってんじゃねえぞぉぉぉおお!!』

その最中で、万丈はなおもフィーネに殴り掛かる。

しかし、その画面の奥で、響は一人、蹲っていた。

「すみません・・・」

「ビッキーの事、知ってるんですか?」

安藤が、その子の母親に尋ねる。

「え・・・・」

その母親は、しばし考える素振りを見せて、やがて答えた。

「詳しくは言えませんが、うちの子が、あの人たちに助けていただいたんです」

その少女は、かつて万丈と響が、体を張って助けた少女だった。

「自分の危険を顧みず、助けてくれたんです。きっと、他にもそう言う人たちが・・・」

「響の・・・人助け・・・」

それは、彼女が趣味としている事だった。それが、今、どういう訳かこの状況を巡り合わせた。

『ぐおあ!?』

『がはっ!?』

その間にも、戦兎と万丈はボロボロになっていく。

「ねえ?カッコいいお姉ちゃんたちを助けられないの?」

「助けたい・・・」

二人の少女が、皆に聞く。

その答えに、彼女たちは口ごもる。

「・・・助けようと思ってもどうしようもないんです。私たちには何もできないですし・・・」

そう、寺島が言ったとき、

「じゃあ一緒に応援しよう!」

ツインテールの少女が、そう言いだす。

「ねえ?ここから話しかけられないの?」

少女が藤尭にそう尋ねる。

「う、うん・・・出来ないんだよ・・・」

「出来ると思う・・・」

藤尭がそう答えた瞬間、予想外な所から肯定する声が上がった。

それは、黒髪の少女だった。

「学校の設備がまだ大丈夫なら、電力を復旧させて、スピーカーとかを使って声を届けられると思う・・・」

「分かるのか?」

「お父さんが、でんきこうじし」

「父の影響で・・・」

ピース、と無表情にながらもどこか誇らしげなドヤ顔で、黒髪の少女はそういう。

「確かに、学校の設備が無事なら、リンクしてここから声を届ける事は可能です」

「それなら!」

未来の瞳に希望がともる。

「応援、やろう・・・!」

黒髪の少女が、そういった。

やる事は、決まった。

 

 

 

 

 

 

その一方で、戦場では。

「なぜだ・・・」

フィーネは、なおも立ち上がる戦兎たちから後ずさる。

「何故、そこまでして立ち上がる・・・何がお前たちを奮い立たせる・・・!?」

理解できない。フィーネは、そう顔を振った。

「どうして、そこまで他人の為に戦える!?」

「そんなの・・・決まってんだろ・・・!」

その手にラビットフルボトルをもって、戦兎は叫ぶ。

 

「俺たちは・・・仮面ライダーだからだ!」

 

そう言って、戦兎はフィーネに向かって走る。

ラビットフルボトルを握りしめて、その拳をフィーネに叩きつけようとする。

しかし、その拳はフィーネの顔面のすぐを通り過ぎ、そして次の瞬間、腹に重い一撃が入る。

「カハッ・・・!?」

「もういい・・・沈め」

冷めきった眼で、フィーネは腹を殴った戦兎を見下す。

「どれほど足掻こうと、お前たちが私に勝つことなどありえないのだ。その仮面を纏えないお前たちに、信念を貫き通す事など出来ないのだ」

そのまま、戦兎はその場に倒れ込む・・・そう、思った瞬間、戦兎の手が、殴ったフィーネの手首を掴む。

「!?」

「それ・・・でも・・・!」

その顔を挙げて、フィーネを見上げる。

「俺たちは・・・戦い続ける・・・・!!」

その瞳には、決して折れぬ信念が揺らめき、戦兎の体から、黄金の光が揺らめき出る。

「誰かの為に・・・誰かの笑顔の為に・・・!!」

そして、降ろした右手の中のラビットフルボトルが変化する。

 

ハザードレベル7による、フルボトルの進化――――

 

「俺たちは、戦い続けるんだぁぁああ!!!」

黄金に輝くラビットフルボトルを握りしめて、戦兎は拳を振り上げて、フィーネの顔面を打ち据えた。

「がっ!?」

「おぉぉぁぁあ!!」

すかさずその殴った顔面を蹴り上げ、仰け反らす。

「うぉぉぉおお!!」

そこへ万丈も飛び込んでくる。その万丈も、白銀の光をその体から発しながら、銀色の輝くドラゴンフルボトルを握りしめて、拳を引き絞った戦兎と同時に、フィーネを殴り飛ばす。

「ぐぁぁぁああ!?」

想定外の威力に、フィーネは驚く間もなく殴り飛ばされ、地面に倒される。

「ぐ・・・あ・・・馬鹿な・・・ネフシュタンと完全に融合した私が押されているだと・・・!?」

ありえない。ただの人間に、このような芸当が出来る訳がない。

「お前たちは・・・一体・・・!?」

「何度も言わせるんじゃないよ亡霊女」

その手のフルボトルを握りしめて、戦兎は、万丈は、答える。

 

「「―――愛と平和の戦士、仮面ライダーだ」」

 

そう、はっきりと言ってのける二人。

「愛と・・・平和だと・・・!?」

その言葉に、フィーネは怒りに顔を歪める。

「その言葉が、どれほど幼稚で浅はかな言葉なのか、お前たちは理解しているのか!?」

「知ってるよ。痛いくらいに知っている。愛と平和が、どれほど脆い言葉かなんて、俺が一番良く知ってる・・・だからこそ謳うんだよ。愛と平和を、それを、一人一人が胸に抱いて生きていける世界を、俺は、この手で創り上げ(ビルドす)る」

 

 

 

 

その姿は、黒髪の少女に、どのように映っただろうか。

 

 

 

 

そして、それと同時に、彼らの耳に、何かが聞こえた。

 

 

 

そしてそれは、戦兎と響にとっては、とても聞き慣れた歌だった。

 

 

 

――――仰ぎ見よ太陽を よろずの愛を学べ

 

 

 

「これは・・・」

「・・・リディアンの、校歌」

それは、リディアンという学校で歌われてきた、伝統の校歌。

「なんだ・・・この耳障りな・・・何が聞こえている・・・!?」

フィーネは、何がなんだか分からない。

 

 

――――朝な夕なに声高く 調べと共に強く生きよ

 

 

そして、その歌声は、響にも聞こえていた。

「ぅぁ・・・・」

その声の中には、大切な親友の声もあった。

「なんだ・・・これは・・・」

その意図が、なんなのか分からないフィーネ。

 

 

―――遥かな未来の果て 例え涙をしても

 

 

 

その歌は、未来たちが、決死の想いで繋げた意志。そして、メッセージ。

 

(響、戦兎先生、龍我さん・・・私たちは無事だよ。皆が帰ってくるのを待っている。だから、負けないで)

 

 

―――誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして

 

 

その声は、確かに聞こえた。聞こえていた。

 

 

 

「どこから聞こえてくる・・・この、不快な歌・・・!?」

そこで、フィーネは気付く。

「―――ハハハハハ!!」

そこで、万丈の笑い声が上がった。

「そうか、アイツら生きてんのか」

「ああ、だったら、余計な事に気を遣わないで済みそうだ」

二人は、心底嬉しそうに、学園のスピーカーから聞こえてくる歌を聞いていた。

そして、聞いた。

「聞こえるだろ?皆の声が・・・皆の歌が、お前によ」

 

 

 

「・・・・うん、聞こえる」

 

 

 

その言葉に、答える声。

「皆の声が・・・聞こえる・・・・」

夜明けの日差しが降り注ぐ。

「――――良かった」

その声に、響は、心の底から安心する。

「私を支えてくれる皆は、いつだって側にいる・・・!!」

そして、振り絞る。

「皆が歌ってるんだ・・・だから・・・!」

 

 

 

その、胸の中の歌を、解き放つ――――!!!

 

 

 

「まだ歌える―――頑張れる―――戦えるッ!!」

 

 

 

 

――――希望が、起動する。

 

 

 

 

突如として放たれた(うた)を纏い、響は立ち上がる。

 

 

 

「まだ戦えるだと・・・!?」

その事実に、フィーネは驚きを隠せない。

「ああ、戦える」

それと同時に、戦兎の握るボトルと万丈の持つボトルにも変化が起こる。

黄金に輝いていたラビットフルボトルは、蒼く染まり、銀色に輝いていたドラゴンフルボトルは紅く染まる。

そして、もう一本――――

それを、ポケットの中から取り出す。

 

それは、紅蓮から夕焼け色に染まった、フェニックスフルボトルだった。

 

「馬鹿な・・・何を支えに立ち上がる!?何を握って力と変える!?鳴り渡る不快な音の仕業か・・・?」

フィーネにとっては、何もかもが予想外の事過ぎて、頭の整理が追い付いていなかった。

だけど、これだけは言えた。

 

奇跡は―――起きたのだ。

 

「そうだ・・・お前が纏っているものはなんだ・・・?お前たちの手の中にあるものはなんだ・・・!?・・・何を纏っている?何を握っている!?それは私が作ったものか!?それは私の知っているものか!?お前が纏うそれは一体なんだ!?お前たちが握るそれはなんなのだ!?」

その問いかけに答えるように、響は顔を挙げた。

「なんなのかって?そんなの、決まってんだろ」

その問いかけに答えるように、戦兎は口を開いた。

 

次の瞬間、三つの光が、天を突いた。

 

 

一つは、蒼。蒼天色の、風鳴翼の放つ光。

 

一つは、紅。紅蓮色の、雪音クリスの放つ光。

 

一つは、黄。黄金色の、立花響の放つ光。

 

 

 

そして―――

 

 

 

絶唱ゥ!!!』

 

 

 

万丈が、赤く染まったドラゴンフルボトル―――『イチイバルドラゴンソングフルボトル』をクローズドラゴンに装填。するとクローズドラゴンが、紅と白の塗装を施されたような姿に変わる。

「行くぜ、戦兎」

「分かってるよ、万丈」

万丈は、そのクローズドラゴンをドライバーに装填する。そして戦兎は、蒼く染まったラビットフルボトル『天羽々斬兎ソングボトル』と夕焼け色に染まったフェニックスフルボトル『ガングニールフェニックスソングボトル』を装填する。

 

 

天羽々斬兎(アメノハバキリウサギ)!』『ガングニールフェニックス!』

 

シンフォニックマッチ!!』

 

クロォーズイチイバルヘルトラヴァースッ!!』

 

 

ボルテックレバーを回し、スナップライドビルダーを展開する。

戦兎には、蒼と夕焼け色の装甲が、万丈には、紅と白の装甲がそれぞれ展開される。

戦兎のビルダーの展開の仕方は、どこかのライブステージを思わせるようであり、一方の万丈のビルダーは四方だけでなく、頭上にまで展開されていた。

 

そして――――

 

 

 

『Are You Ready?』

 

 

 

覚悟は良いか?と、お決まりの問いかけをしてくる。

 

それは、巨大な敵へ立ち向かう事への確認と、その力を使う事に対する問いかけ。

 

だけどその答えは、いつだって決まっている。

 

 

その視線を一度、響に向けると、響は、力強くうなずいた。

 

 

そして―――

 

 

「「変身ッ!!」」

 

「シンフォギアァァァァアアァァァアアアァァア!!!」

 

声が重なり、戦兎、万丈、響、翼、クリスは、変身する。

 

 

 

天に羽撃くダブルシンガー!』

ビルドツヴァイウィング!』

イェーイチョウスゲェーイ!!』

 

激唱(ゲキショウ)激強(ゲキツヨ)マッスルゥブァレットパーティ!』

クロォーズイチイバルヘルトラヴァァァアス!!』

『オラオラオラオラオラオラァァァァアア!!!』

 

 

五つの光が飛翔する。

白き純白の装束と翼を羽撃(はばた)かせ、響、クリス、翼は飛ぶ。

そして、ビルドとクローズも、その姿を今までにない新たな姿で飛び立った。

 

ビルドは、蒼と夕焼け、二つの空の色を纏い、その複眼は、左が兎の顔でその耳の部分は刀となり、一方の右側は不死鳥と槍といった姿となり、その手首には響の物と酷似したアームドが装備され、その背中からは『ZWソレスタルブレイブウィング』が展開されていた。

 

その名も『ビルド・ツヴァイウィングフォーム』。

 

二つの力を組み合わせるビルドだからこそ成しえる形態―――

 

 

一方、クローズは全身を赤くクリムゾンの如く染め上げ、その各部から白熱するラインを体中に走らせ、全体的に少しごつくなると同時に、龍としての威厳がさらに出ているような姿。

その背中には二本の飛行ユニット『トラヴァースフライター』が開き、そこからラインと同じ光を発して空を飛んでいた。

 

その名も『クローズイチイバル・ヘルトラヴァース』

 

地獄を乗り越え、そして天に羽撃く為のクローズの新形態―――

 

 

 

そして、三人のシンフォギア装者が成したのは、ありったけの歌の力『フォニックゲイン』によってシンフォギアに施された三〇一六五五七二二のリミッターを全てアンロックする事で成しえる、最終決戦形態。

 

その名も―――『XD(エクスドライブ)

 

 

 

 

 

歌と科学、その二つが交錯し、そして最高のベストマッチとなって、奇跡は引き起こされた。

 

 

 

 

「――――さあ」

 

数式と楽譜を展開して、ビルドは告げた。

 

実験(ステージ)を始めようか」

 

 

フィーネを上空から見下ろし、今、最終決戦が始まる―――




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「高レベルのフォニックゲイン・・・こいつは二年前の意趣返し・・・?」

新たな姿、新たな力を手に入れた響、翼、クリス、ビルド、クローズたち。

その力をもって、フィーネの呼び出すノイズを蹴散らしていく。

「来たれ・・・デュランダル!!」

しかし、未だフィーネは諦めず、彼らは、最後の決戦へと向かう。


次回/無印編最終回『ソングが奏でる明日』


「生きるの、諦めんなよ」



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