愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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作「祝え!新世界を成し、全ての戦いを終えた筈の仮面ライダーと新世界で戦う歌を紡ぐ戦姫たちが己が想いをかけて戦う世界の物語のお気に入り登録者数が一〇〇〇人を超えた―――その名も『愛和創造シンフォギア・ビルド』! まさに祝福の瞬間である!」
戦「どこぞの預言者のセリフを使ってんじゃないよ」
響「祝え!」
ク「お前までやってんじゃねえよ」
響「あう!?」
作「よし、言う事は言った。さあ寝よう」昇天
翼「そして秒で気絶するなァ!」
緒「余程嬉しかったんでしょうねえ・・・」
弦「まあこの作者にとってはあり得ない新記録だからな」
藤「今までの記録から見て、最大で言ったのは八百ですからねえ・・・それも結構緩やかで、この作品のように初っ端から爆発したっていうのはないですから」
友「流石の分析能力、作者の作品情報まで・・・」
作「流石にそれはやめてくれるかなぁ?」復活
慧「うお!?流石作者、復活も早い・・・」
シ「それはともかく、あらすじ紹介といこう。今回は少し長めに、役割分担しつつだ」
切「了解デース!ではまずアタシから・・・パンドラボックスによって引き起こされたスカイウォールの惨劇から十年!」
調「仮面ライダービルドこと、天才物理学者の桐生戦兎は、仲間の仮面ライダークローズの万丈龍我、仮面ライダーグリスの猿渡一海、仮面ライダーローグの氷室幻徳と共に」
原型「なんでオレがこんな事を・・・ハア。地球外生命体エボルトを打倒すために奮闘するのだった」
無性「エボルトを倒す為に多くの犠牲を出し、それでも新世界を創造する事で倒す事に成功した戦兎さんたちは、その新世界にて」
翼「私、風鳴翼と出会ったのであった。しかし創造した新世界には、ノイズという人類共通の特殊災害が存在していた」
未「その為、桐生戦兎は新世界で再び仮面ライダーとして、特殊災害対策機動部二課の仲間と共に、ノイズと戦う日々へと身を投じるのであった」
響「さてさてここからが本題!ノイズと戦う日々の一週間!その日私立花響と小日向未来は行き倒れている万丈龍我と出会ったのでした」
ク「それから、紆余曲折あって、この馬鹿はガングニール装者として覚醒。んでもって色々あってアタシとぶつかったりデュランダル覚醒させたりしててんややんわな訳だ」
麗人「そんな適当でいいのか・・・こほん。敵の黒幕フィーネは二課の研究員櫻井了子と判明」
元詐欺師「そして、ついに二課はフィーネとの最終決戦に突入し、シンフォギアに搭載された限定解除状態、その名もエクスドライブを発動させて」
けん玉「見事、フィーネを倒したワケだ」
錬金術師「そして、フィーネはその戦いで消滅、新たな輪廻の輪に戻るのであった」
俺様「そしてェ!フィーネの死に際の一撃!月の欠片の落下を阻止しに空へ飛んだのであったァ!」
武人「そして、見事に月の欠片を破壊してみせるのであった」
機械人間「何気に初登場だけど大丈夫かしら?・・・こほん、それから三ヶ月後、彼らの新たな戦いが始まる」
獣耳「全ての元凶たるソロモンの杖の輸送、その紛失、それらを得て、ついに敵が姿を現す・・・がんす!」
吸血鬼「その名も『フィーネ』。終わりの名(笑)を意味する組織らしんだぜ!」グハァ!マリアァ!?
亡霊「ククク・・・んでもって、フィーネの襲撃のついでは立花響の体の中の聖遺物が命を削っていると来たァ・・・」
鬼「さらにそこへ追い打ちをかけるように小日向未来が行方不明となってしまうのであった」
キメラ「まあ実際はフィーネに誘拐されていた訳だけども」
セ「やっと私の出番だ・・・そして、日本より南の海にてフィーネこと、F.I.Sは目標たるフロンティアを目指し、そこで遭遇した米国海軍を、ウェルがソロモンの杖を使ってノイズを召喚、形の残らぬ虐殺を引き起こしたのである」
ネトアイ「今思えば本当にロクでもない奴よね・・・そして、F.I.S側の仮面ライダーであるクライムことシン・・・は出なかったけど、その代わり本来なら変身してはいけない状態である筈の仮面ライダータスクこと、涼月慧介と」
スパイ「響ちゃんの親友、未来ちゃんがなんと七つ目のシンフォギア『神獣鏡』を纏って現れた」
頭「そしてェ、米国海軍を助ける為に仮面ライダーの二人を響は動けねえからクリスと翼の二人で今、戦ってる訳だ」
絶望センス「そして、万丈は鬼畜ジェームズ博士の改造スクラッシュドライバーを使っている涼月慧介の暴走を止める為、ビルドは暁切歌と、そして立花響は小日向未来を止める為、それぞれの戦いに挑んだのであった」
龍「なんかめっちゃ長くなったな・・・まあそんな訳だ」
エボ「愛和創造シンフォギア・ビルドォ!その第三十七話を―――」
戦「どうぞ!」


喪失までのカウントダウン

――――クローズのツインブレイカーが、悪寒を感じ取って倒れた調の顔面のすぐ横に叩きつけられた。

 

 

「あ・・・あ・・・」

何が起こっているのか、理解出来ない調。

そして、その光景を見ていたタスクは―――急激に血の気が引いた。

棒立ちになっている間に、クローズは再び拳を振り上げる。

「あ・・・ひっ・・・」

先ほどはまぐれで躱せた。だが、ギアがない状態では流石に二度目は無い。

そのまま間髪入れずに、ツインブレイカーの二撃目が叩き込まれる―――

「やめろぉ!」

しかしそこへタスクが割り込み、その一撃を受ける。

「慧くん・・・!」

「ぐ・・・ぅううぁああ!!」

絶叫を上げてタスクはなんとかクローズの拳を押し返そうとする。だが―――

「ふんっ!」

「があ!?」

蹴り飛ばされて横に吹き飛ばされる。

「慧くん・・・!」

調が声をあげるもクローズは再度、調にツインブレイカーを叩きつけるために拳を振り上げる。

しかしそこへクローズに光弾が叩きつけられ、クローズは思わずよろめく。

そこには、ツインブレイカーをビームモードで構えるタスクの姿があった。

「お前の相手は、俺だろ!!」

タスクがすかさずクローズに向かって突進する。

クローズがツインブレイカーを振り抜く。しかしタスクはその下を潜り抜けてクローズの胴に抱き着くなり、そのまま一気に押し込んで壁に叩きつける。

そのまま拳を叩きつけようとするが、すかさず逆に拳を顔面に叩きつけられ後ずさってしまう。

さらにクローズはタスクを追撃。拳やツインブレイカーを何度も叩きつける。

「うっ、がっ、がはっ、ぐあっ・・・!?」

一方的に叩きのめされている。

まるで歯が立たない程一方的に殴られ続けている。

さらには襟当たりを掴まれて何度も拳を胴に叩きつけられ、そして最後には脇腹に蹴りを入れられて叩き飛ばされる。

「がぁぁあああ!!?」

「慧くん!」

地面を転がり、倒れ伏すタスク。

そんなタスクに、すぐさま駆け寄ろうとした所で、クローズが調の背後に立つ。

「ッ!?」

すでにツインブレイカーを振り上げているクローズの左拳が振り下ろされる。

「うわぁあぁああ!!!」

しかし間一髪でタスクが覆いかぶさる事で難を逃れる。

「慧くん!?」

「ぐ・・・ぅう・・・」

タスクの中では、未だせり上がってくる戦闘衝動が暴れている。

それを必死に抑えて、タスクは調を守る事に専念していた。

しかしクローズは、そんなタスクを掴み上げると―――

「オラァ!!」

「がっ・・・!?」

その鳩尾にツインブレイカーの一撃が突き刺さる。その衝撃が全身を駆け巡り、一瞬タスクの意識を飛ばす。

しかしすかさず、クローズが二撃目をタスクに叩き込む事でタスクの意識は現実に引き戻され、そして決定的なダメージによってその場に倒れ伏す。

「慧くん・・・あっ!?」

思わず声をあげる調、そんな調の首を掴むなり、持ち上げる。

そのまま一気に首を締め上げる。

「あ・・・か・・・」

「調・・・!」

タスクは、それを見てどうにか立ち上がろうとする。しかし、どうしてか立ち上がる事が出来ない。

(くそ、動け・・・動けよ!)

どうしてこんな事になった。何故、こんな事になった。

気付けば、戦いを求めるままに戦っていた。勝てない事に苛立っていた。

邪魔される事が、無性に気に障った。

ただ勝ちたい。それだけを思って、自分は―――

 

調を―――傷つけた。

 

(どうして、俺はあんな事を・・・)

どれほど考えても、何も分からない。

このドライバーを使い始めてから、何かが変わっていった。自分の中で、何かがおかしくなった。

ただ戦いを求めるようになってしまった。

自分が、これまでしてきた事が、今になって呼び起される。

どうしてあんな事をしたのか、どうしてそんな事をしたのか。

ドライバーに振り回されたと言えたらどれだけ良かっただろうか。

だが、自分は確かに、この手で調を傷つけた。振り払った。

そんな自分が、今更―――

「ぐぅ・・・ぅ・・・」

調の呻き声が聞こえ、顔を上げる。

そこには、クローズに掴み上げられ、涙を流す調の姿があった。

微かに動く調の口。その口から紡がれた言葉は――――

 

 

「ごめんね、けいくん・・・・」

 

 

「―――ッッ!!!」

それを聞いた瞬間、タスクは―――甲板を殴った。

(馬鹿か、俺は・・・何勝手に諦めてんだよ・・・!!)

まだ体中が痛む。力が入らない。立ち上がることすら出来ない。

だが、その不条理を打ち破らずしてどうする。

その絶対的理不尽を打ち勝てずしてどうする。

 

 

「―――惚れた女一人守れないで、どうするんだッ!!!!」

 

 

立ち上がって、タスクはそう咆える。

そして、今まさに調にツインブレイカーを叩きつけようとするクローズに向かって、タスクは飛び蹴りを喰らわせる。

そのはずみで調がクローズの手から逃れる。

「あう・・・」

「うぉぉおおぉおお!!」

そのままクローズに向かって殴り掛かるタスク。

未だ、自分の体をすさまじい衝動が暴れている。

その衝動に流され、タスクはクローズに殴り掛かる。

凄まじいラッシュだ。だが、クローズには及ばない。

「ぐあ!?」

顔面を殴られる。殴ろうとしたら受け止められ逆に殴られる。殴り返そうとしたらその前に殴られる。

何もかもが上だ。とてもではないが、勝てる気なんてしない。

だけど、それでも―――

「調は・・・俺が・・・」

拳を振り上げる。

「俺が―――」

その拳を、タスクはもう一方の手で止める。

 

「俺が守るんだぁぁぁああぁぁぁあぁああ!!!」

 

その拳を、自分の顔面に叩きつけた。

「ッ!」

それを見たクローズの動きが止まる。

その瞬間、タスクの体を光が迸り、走っていたプラズマは鳴りを潜め、タスクの戦闘衝動は――――抑え込まれた。

「ハア・・・ハア・・・」

自分の手を見るタスク。閉じて開いたりを繰り返し、自分の体が軽い事を感じる。自分の意志に関係なく暴れるような事もなく、タスクの体は、完全にタスクの制御下にあった。

「これなら、行ける・・・!」

そう確信し、タスクは目の前のクローズを見る。

そしてすぐさまクローズに向かって走り出す。

「うぉぉぉおお!!」

ツインブレイカーを掲げ、叩きつける。それを防がれ、今度はクローズのツインブレイカーがタスクの顔面を狙う。しかしそれをタスクは体を大きく逸らして躱し、その反動を使ってクローズの顎を打ち据える。

「うごっ!?」

そのまま態勢を戻し、すぐさまクローズの懐に潜り込み、その腹に一撃入れる。

そしてそのまま連続で攻撃を叩きつけてどんどんクローズを下がらせる。

「ハアッ!!」

「ぐお!?」

拳を叩きつけて距離を取らせた所で、タスクはレンチを叩き下ろす。

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

右脚にエネルギーが収束する。

「俺の牙は、誰にも折れねえ・・・!」

そのままタスクはクローズに向かって飛び上がり、そして、両足を突き出して渾身のドロップキックを叩き込む。

「ダァァア!!」

「ぐおあ!?」

そのまま、一気に蹴り飛ばされるクローズ。蹴り飛ばされ、そのまま地面に仰向けに倒れる。

「ハア・・・ハア・・・」

激しく呼吸を繰り返し、タスクは沈黙したクローズを見ていた。

「慧くん!」

そこへ調が駆け寄る。

「調・・・」

「大丈夫?」

「ああ。もう大丈夫・・・」

「良かった・・・」

調は、タスクの様子に、涙を浮かべて喜ぶ。

「良かった・・・慧くんが、いつもの慧くんに戻ってくれた・・・」

「調・・・」

そんな調の顔をあまり見れず、タスクは思わず顔をそらしてしまう。

「ごめん・・・あんな事をして・・・」

「ううん。謝るのは私の方・・・私がスクラッシュドライバーが危険な事を言ってれば、こんな事にはならなかったから・・・」

「でも、俺が調を傷つけたのは本当の事だ。それに、調を悲しませた・・・」

「もういい。もういいんだよ。慧くんが戻ってくれた。私は、それだけでも嬉しい・・・」

「調・・・」

しばし見つめ合う二人。

傍か見れば結構甘いシーンなのだが・・・忘れてはいけない事が一つある。

「おーいってて」

「「ッ!?」」

クローズは戦闘不能ではないという事だ。

クローズが起き上がった事に、タスクは思わず調の前に出て身構え、調もタスクの後ろに隠れつつも警戒する。

しかし、もう既にクローズに敵意はなく。

「やっと克服したか」

「「え」」

「ったく手間とらせんなよな」

ぱんぱんと自分の体についた泥を払うような動作しながらそう言ってくるクローズに二人は呆けるしかなかった。

「え・・・一体どういう・・・」

「ん?お前の暴走を克服させる為の芝居だけど?」

そうあっさりと言って見せるクローズ。

「「え・・・えぇぇええぇぇええぇえええ!?」」

それを理解した二人は思わず絶叫してしまう。

「ししし芝居!?あれが!?あのマジで調を殺そうとしたのが全て芝居!?」

「そうだぞ?あ、ツインブレイカー叩きつけようとしたのはマジだぞ?だってそうしねえとお前動いてくれなさそうだったし、変に色々喋ったらなんかバレそうだったから黙ってただけだぞ」

「「・・・」」

ハッハッハ、と笑うクローズに二人は呆然とするほかなかった。

「まあなんだ。元に戻ってよかったな」

「・・・!」

その、クローズの心からの賛辞に、タスクは戸惑いを隠せない。

「そんじゃ、俺は他の奴ら探してくっから、そっちはそっちで勝手にやってろ!」

クローズはそのままどこかへと行ってしまう。

タスクと調は、その場に茫然と突っ立ってしまう事になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあ!?」

ビルドが切歌を投げ飛ばす。

投げられた切歌は着地と同時に起き上がり、すぐさまビルドに鎌の一撃を振るう。それをカイゾクハッシャーで受け止め、そこから激しい撃ち合いとなる。

「アタシが消える前に、やらなくちゃいけない事があるんデス!」

「それでアイツを悲しませる気か!?」

「それでも、調に忘れて欲しくないデス!」

複製した刃を、鎌を振るうと同時に投げ飛ばす。

 

切・呪りeッTぉ

 

放たれた鎌の一撃をビルドはカイゾクハッシャーで弾き飛ばし、すかさずお返しと言わんばかりにカイゾクハッシャーを引き絞る。

 

『各駅電車ー!急行電車ー!』

 

『発射!』

 

二体分のビルドアロー号が放たれ、それが切歌を襲うもそれを切歌は叩き落す。

「そのためにここにある命を消すのか!?」

「何かを成すためには、力でしか出来ない事もあるのデス!」

「ふざけんな!!」

振りかぶって切歌に叩きつける。

「そんなものじゃ何も守れない。ただ何かを壊す事しか出来ない!」

「そんな事無い!この計画を成功させれば、大勢の命が―――」

「その大勢の為に一体どれくらいの人間が死ぬんだよ!!」

「うあ!?」

斬り上げられ、大きく下がらされる。

「お前がフィーネの器として焦るのは仕方ないかもしれない。だけど、その為に他の何かを犠牲にしようだなんて間違ってる・・・」

「じゃあ・・・じゃあどうすればいいんデスか!?フィーネの魂に塗り潰されて、アタシがアタシじゃなくなっちゃうこんな状態に、アタシはどうすればいいんですか!?」

「もっと別の方法で覚えてもらえばいいだろ!?写真やビデオ、あるいは思い出のもの。そんなものを沢山作って、沢山やって、思い出を作っていけばいいだろ!」

「それが出来たら、苦労しないデスよ!!」

涙を流して、切歌は鎌を振るう。

「もう、これしかないんデス!人類を救うためには、これしか・・・!!」

「誰かを見捨ててか!?他の誰かを見捨てて、自分たちで選んだ相手だけを救うっていうのか!?そんなのが本当の人類救済なのかよ!?」

「全ての人類を救うなんて、そんなの傲慢デス・・・そんな事が出来るって思ってる奴が、アタシは一番嫌いデス!」

「じゃあお前は調の事も嫌いなのか?」

「そ、それは・・・」

激しく切り結ぶ中で、切歌の動きが鈍る。

「確かに全ての人類を救う事は傲慢かもしれない。それでも俺は、世界中の誰もが愛と平和を抱いて行ける世界を創っていきたいと願っている。愛と平和は、俺自身がもたらすものじゃない。一人一人が胸に抱いて行ける・・・そんな世界を、俺は創る・・・その為に俺は戦う!!!」

切歌の鎌をさらに押し込む。

「・・・どうして」

切歌は、どうしてもその言葉を受け入れられなかった。

「どうして、そんなことをなんでもないように言えるんデスか!?」

その問いかけに、ビルドはすぐに答える。

「俺が、それを信じているからだ!」

二人はさらに、ぶつかり合う――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――私たちが初めて会った時は、確か色々と最悪だったな」

突然、そんな事を言い出す翼。

「なんだよいきなり・・・」

「いや、少し昔を思い出してな。思い出してみれば、私もお前も、櫻井女史が作った力で戦っていたなと思って」

「それがどうしたんだよ?」

「少し似てないか?桐生と万丈に」

「はあ?」

突拍子のない話に、クリスは呆れかえる。

「桐生も万丈も、敵によって力を与えられた者同士。そして私たちもまた、櫻井女史(フィーネ)という黒幕によって力を与えられた者同士だ。ほら、似ているだろう?」

「だからと言って、なんでそんな話を・・・・」

「・・・ソロモンの杖を取り戻すために、敵の所に単騎乗り込もうとしているんだろう?」

「・・・!?」

それを指摘されて、クリスは一瞬目を見張り、そしてすぐに顔を反らす。

「やれやれ、桐生の推測は的中していた訳だ」

「・・・!?あの先公が!?」

「ああ」

翼は頷いて見せる。

 

 

それは、海上に出撃する前の事。

「翼」

戦兎が、走りながら話しかけてくる。

「なんだ?」

「おそらくクリスは、ソロモンの杖の事について、色々抱えてるはずだ。たぶん、勝手に一人で敵陣に乗り込むだろうな」

「なんでそんな事が?」

「自分でなんとかしようとして、一人で突っ込んじまう所が万丈と似てんだよアイツは。だから分かるんだ。アイツの考えてる事が」

 

 

「そんな事を・・・」

「お前も存外、一人で色々と抱え込んでいるんだな」

「ッ・・・」

翼の言葉に、クリスは目をそらす。

「・・・・暖かすぎんだよ・・・」

「ん?」

「アタシには・・・あそこは、暖かすぎんだよ・・・」

クリスは、絞り出すように話し出す。

「アタシがソロモンの杖さえ起動しなけりゃ、こんなに人が死ぬ事もなかった。誰かが苦しむ事もなかった・・・全て、アタシが撒いた種だ。だから、その責任を・・・」

「そうか・・・でも、だからと言って一人で行くのは感心しないな」

翼の言葉に、クリスは何も言えない。

「もっと私たちを頼ってくれ。もし他の者たちではだめなら、せめて私が手伝ってやる。それが、片翼では飛べぬと知る私の、先輩として風を吹かせる者の果たすべき使命だ」

一人では何もできない。それは、響や龍我、戦兎と出会って思い知った真実だ。

(そうだったよね。奏・・・)

そう、きっと、周りの人間が助けてくれる。自分のやろうとする事を、助けてくれる。

それを、知っている。

「ッ・・・」

「私は、そんなに頼りないか?」

「・・・それでも・・・アタシは・・・」

クリスは、目をそらしたまま、それでもなお渋る。

しかし翼は、そんなクリスに言って見せる。

「帰りたくないといっても、首根っこ掴んでても連れ帰ってやるからな」

「・・・強引だな」

「そうさ。私は強引でお前の先輩で防人を自称しているトップアーティストだからな」

「・・・ぷっ、なんだよそれ、あの先公の真似か?」

「かもしれない。どちらにしろ、お前を連れ戻すというのは本気だ。どこにいても、どんな事になっても、私はお前を連れ戻してやる。だから、どうか私を頼って欲しい」

「ほんと、強引なのかそうじゃないのか、よくわかんない人だな・・・」

クリスは、仕方がない、とでも言うようにそう呟いて、翼に近付く。

そして、すぐにでも触れそうな距離で言う。

「じゃあ、頼りにさせてもらうぜ」

「ああ、頼りにされた」

二人は、そう笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――幾億の歴史を超えて この胸の問いかけに応えよShin!」

 

響の歌が響く。

それと同時に、未来のバイザーが閉じ、二人同時に飛び上がる。

そして空中で激しくぶつかり合う。

響が拳をぶつければ未来は鉄扇によってそれを防ぎ、未来が鉄扇を振るえば響はそれを躱す。そのまま落下していき、距離と取って着地する。

その間、響の体温が急上昇する。

(熱い・・・体中の血が沸騰しそうだ・・・)

その最中で、響はビルドから言い渡された作戦を思い出す。

 

 

 

 

『―――奴らがどうして未来にあのギアを纏わせたのか。その理由は、それを使わなきゃどうしても出来ない事があるからだ』

「どうしても出来ない事?」

『そうだ。それが一体なんなのか分からないが、どちらにしろ奴らは未来の放つあの光線を何かしらの形で利用する筈だ。お前は、戦いの中で出来るだけのその光線を出させるんだ。おそらく奴らは、それを漏らすことなく搔き集めるはずだ』

「そんな事が可能なのか?」

弦十郎の言葉に、ビルドはすかさず答える。

『神獣鏡は鏡の聖遺物だ。だからあの光線は外部からの光を収束させて放つ。その為、鏡と同じ性質のものに反射する筈だ。だから、敵はその為の何かを使うはずだ』

「それを利用して、響ちゃんのガングニールと、未来ちゃんの神獣鏡を取り除くっていうの?」

『あの鏡が聖遺物由来の力を分解するなら可能な筈だ』

ビルドは、言う。

『今を逃せば、響は絶対に助からない・・・今しかないんだよ!未来も響も助ける方法が、これしかないんだ!だから頼む風鳴さん、響を出撃させてくれ!』

「しかし・・・」

渋る弦十郎。

「私、やります!」

響が弦十郎に言う。

「私が未来を連れて帰ります!例え死んでも必ず!」

「死ぬのは許さん!」

「だったら、死んでも生きて帰ってきます!これは絶対の絶対です!!」

響の必死さに、弦十郎は思わず気圧される。

そんな中、藤尭がある数値を出す。

「過去のデータと、現在の融合深度から計測すると、響さんの活動限界は二分四十秒となります!」

それは、藤尭が導き出した、響が戦える時間。

「例え微力でも、私たちが響ちゃんを支える事が出来れば、きっと・・・」

友里からの願い出。

それに弦十郎は、響にもう一度訪ねる。

「オーバーヒートまでの時間は、極限られている・・・勝算はあるのか?」

「思い付きを数字で語れるものかよ!!」

響は、弦十郎にそう言ってのけた。

 

 

 

 

 

 

 

タイムリミットは二分四十秒。それまでに、未来を救い出す。

必ず――――

響が拳を叩き込み、すかさず蹴りを二発入れる。しかしすかさず未来が鉄扇を突き出し、防いだ響を弾き飛ばして壁に叩きつける。

そしてすぐさまギアの帯で響を滅多打ちにする。

 

この任務、失敗すればどちらにしろ響が死ぬのは確実。

 

(死ぬ・・・私が・・・)

未来に叩きのめされる。しかし――――

胸のガングニールに侵食で、死ぬ事になっても、この想い、この拳が、どうして死ぬと言えるだろうか。否―――むしろ、死ねない。

「死ねるかぁぁぁああぁぁああぁああ!!」

叫び、脚部のアンカージャッキを叩き起こす。

帯を弾き飛ばすと同時にジャッキを叩きつけて飛び出し、未来に膝蹴りを叩き込んで上空へ弾き飛ばす。

すかさず未来の『流星』が放たれ、それを響が飛び躱し、先ほどまでいた駆逐艦に『流星』が炸裂、爆発する。

すかさず未来が無数の丸鏡を展開、そこからあの聖遺物分解の光線が放たれる。

 

混沌

 

(来た・・・!)

響は、それを足のパワージャッキによる空気を蹴り込む事で空中歩行し、躱す。

無数に放たれるそれを、響は全力で躱していく。

その上空では、シンの操縦する飛行機にて、マリアがシャトルマーカーを射出、そのまま操作し、未来の放った混沌を反射、収束させようとする。

 

残り、二十五秒―――響の体を、ガングニールが侵食し、体外にもその結晶が突き破ってくる時間―――

 

 

「―――戦うなんて間違ってる」

戦いながら、未来は、自分に言い聞かせるように呟く。

「戦わない事だけが、本当に温かい世界を約束してくれる―――」

それは、ウェルの組み込んだダイレクトフィードバックシステムによってもたらされた、未来の歪まされた思想――――

「戦いから解放してあげないと―――」

 

―――であるならば、なんで私は響と戦っているの?

 

響の体から、結晶化した聖遺物が突き破ってくる。

「ぐ、ぅ、あぁぁああぁああ!?」

体中を走る激痛。それに声を挙げながらも、響は歯を食いしばって耐える。

「―――違う」

未来が、気付く。

たった一つの矛盾が、未来の思考を破綻―――洗脳が、解ける。

「私がしたいのはこんな事じゃない――――!!」

響を戦わせたかった訳じゃない。響を苦しませたかったわけじゃない。

「こんな事じゃ、ないのにぃ―――!!」

システムと、本来の意志の矛盾によって引き起こされる、正気への引き戻し。

今起きている事態に、未来は、絶望し涙を流す。

今もなお蝕むガングニールの侵食に耐え、響は、一気に未来に向かって突っ切る。

(誰が未来の体を好き勝手してるんだ―――!!)

よくも、自分の大切な親友を、こんな目に遭わせてくれたな。一体、どこのどいつだ。

この落とし前は、高くつくぞ。その顔面に、拳を叩き込んで、絶対に未来に土下座させてやる。

そんな怒りを心の中で燃え上がらせて、響は、一気に未来に飛び掛かる。

そしてそのまま抱き着き、それと同時に未来の鏡が全て砕け散る。

「―――離して!!」

未来が拒絶する。

「―――嫌だ!!」

響が、叫ぶ。

「離さない!もう二度と離さない!!」

もう、あんな想いはしたくないから――――この手を、絶対に離しはしない。

「響ぃぃぃぃぃいいぃぃいい!!」

「離さない―――――ッ!!!」

光が、収束する―――それを見た響がすぐさまその軌道上へ向かって飛ぶ。

「そいつが聖遺物を消し去るっていうんなら―――」

放たれる、一条の光―――

 

「こんなの脱いじゃえ!未来ぅぅぅぅぅぅぅううぅうう!!!」

 

絶叫と共に、響と未来が、その光に飲み込まれる――――

 

 

 

 

 

 

光が、海の一点に向かって一気に照射される。

 

 

 

 

それが消えた瞬間、さらに強い光の柱が立ち上る。

 

 

 

 

その光が消えた瞬間、そこから、巨大な石造の建物が出現―――否、それは建物だけではなかった。

 

それは―――島。

 

それは―――島に見える船―――

 

 

 

「なんだよ、あれ・・・!?」

「あれが、F.I.Sが探していたものだとでもいうのか・・・!?」

クリスと翼がそれに目を見張り。

「いくらなんでもでかすぎんだろ」

クローズがその巨大さに驚き。

「これが・・・フロンティア・・・!!」

ビルドが、それの名を呟く。

 

 

 

 

それこそが、彼らの求めていた『フロンティア』と呼ばれるもの。

 

 

 

その本来の名は―――『鳥之石楠船神(とりのいわくすふねのかみ)

 

 

 

「あれが、フロンティア・・・」

「・・・・」

その出現は、調とタスクにも見えていた。

調はその大きさに圧巻を示し、タスクは、それを見て、一つの決意を固める。

「調」

「何?慧くん」

「お前はこのまま二課に行くんだ」

「え・・・」

調が何かを言い返す前に、タスクは調を抱える。そのまま甲板の隅へ。

「待って・・・どうしてそんな事言うの!?どうして、そんな事・・・」

「これから皆がやろうとしている事を伝えるんだ。そして―――二課と一緒に、俺たちを止めてくれ」

タスクは、甲板の隅、海が眼下に広がる場所まで来ると――――

「待って・・・お願い!慧くん、待って―――!!」

「お願いしますッ!!」

そのまま調を海へと投げ出した。

「慧くんッ!!」

調を、思わず手を伸ばすも届かず、そんな調を空中で受け止める者がいた。

 

緒川だ。

 

緒川は、調を受け止めると一度タスクの方を見る。タスクは、真っ直ぐに緒川を見ており、緒川はその視線に頷き、調を抱えて海面に着地、そのまま走り抜ける。

「慧くん・・・!」

調は甲板の上に立っているタスクを見る。

タスクは、調が二課に保護されていく様を見届けると、すぐに踵を返してある場所へ走り出す。

いくつかの艦艇を飛び越えて向かった先は―――切歌とビルドのいる場所。

ビルドと切歌は、激しく切り合っていた。

その間に、タスクが割って入る。

「おぉぉお!!!」

「「ッ!?」」

突然の乱入者に驚く二人。そのままタスクは踵落としをすると、二人はそれぞれ左右に分かれ、タスクはビルドを追撃。

「切歌!下がるぞ!」

「え!?」

突然のタスクの提案に、切歌は戸惑うも、それでもなおタスクはビルドへの攻撃をやめない。

「万丈の奴、成功させたのか・・・!?」

「ええ、お陰さまでね!」

そう言ってタスクはそのままビルドを甲板の縁にまで追い詰める。

「うお、うおおおおお!?」

縁に立たされてバランスを崩すビルド。

「すみませんが落ちていて下さい!」

そのまま、そのビルドの足を払い、海に落とす。

「そんな馬鹿なぁぁぁぁああぁぁぁ・・・・・!?」

 

「・・・よし」

「いや何がデスか!?」

きらーんとガッツポーズととって見せるタスクに突っ込みを入れる切歌。

「そんな事より、さっさと戻ろう」

「あ、あの、慧介。本当に慧介なんデスよね?」

「今まで迷惑をかけてごめん。もう大丈夫だから」

タスクのその返しに、切歌は思わず目元に涙を滲ませる。

「もう、遅いデスよ・・・!」

その様子にタスクは仮面の奥で微笑み、すぐに駆け出す。

「さあ、行こう。どちらにしたってここからが本当の戦いだ!」

「はいデス!」

切歌を連れて、タスクは、飛行船に戻っていく。

 

 

 

その様子を、海面に座り込みながら見送るビルド。

「・・・一応、懸念は一つ解消って所か」

「桐生ー!」

「おーい馬鹿先公!」

「ん?」

そこへ、海面を足のブースターによってゆっくりとやってくる翼とどこかで拾ったゴムボートに乗って翼に引っ張ってもらっているクリスがやってくる。

「大丈夫か?」

「ああ。怪我はない」

「なら良かった。すぐに本部に戻るようにとの事だ」

「分かった。すぐに行く」

「・・・おい、なんで通り過ぎちまうんだよ!?」

「すまない。止められないんだ・・・」

「はあ?意外な所で使えねえな・・・」

「すまない・・・」

「べつにいいよ俺が動けばいいだけの話だし。そういえば、響と未来は?」

「もうとっくに救助されている。二人とも無事だ」

「なら良かった」

翼の言葉に、戦兎は胸を撫でおろす。

 

二つの懸念を解消し、残るはフロンティアとジェームズの野望のみ。

 

 

 

ついに、最終決戦へと突入していく―――

 




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「本当に大丈夫なのか?」

ついに暴走を克服した慧介。

「ありがとう、未来」

未来を無事取り戻し、喜ぶ二課の一同。

「ウェヘヘ・・・早く動かしたいなぁ・・・ちょっとぐらいいいと思いませんか?」

だが、そうしているのも束の間。

「な、なんだぁ!?」

ウェルの凶行により、フロンティアが浮上。そして、最悪な事態に―――

「任せておきな」

それを察知し、動く二課。そして―――

「貴方が、月読調さん・・・?」

次回『蘇るメモリー』

「・・・胸の歌を、信じなさい」

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