愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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作「―――」
戦「・・・え?なんて?」
作「―――」
ク「だから、何言ってんのか分かんねえよ!なんで口だけ動かしてんだ!?腹話術か!?」
調「なんでも映画仮面ライダーはそのストーリーを、一方のヒロアカ映画は最後の戦闘の作画力を目の当たりにして、声を無くしてしまったらしいのです」
響「そうなの!?一体どんな感じなんだろう!」
弦「もしかしたら今後の訓練の参考になるかもしれんな」
シ「いや完全に超常を毎度の如く超えるのがアニメだぞ。それを易々と際限・・・出来るか、これも元々アニメ作品だし」
緒「ちなみに、読唇術で作者の言葉を代弁させてもらいますと『遅れましたがメリークリスマス!』『令ジェネ泣いた』『ヒロアカ戦闘ヤバすぎ』と言ってます」
原型「やれやれ何をやっているんだか。まあいい本編を始めるぞ。ノイズが蔓延る新世界にて、仮面ライダービルドこと桐生戦兎は、特異災害対策機動部二課の仲間たちと共に、世界救済を謳うも実質ウェルというクソ野郎の暴走に振り回されているF.I.Sの暴挙を阻止する為に動く。その最中、アイドル大統領(笑)の妹セレナの記憶が月読調の手によって復活、そしてついに決戦が始まるのであった」
マ「・・・」ピクピク
切「ま、マリアー!?」
慧「相変わらずの豆腐メンタル・・・」
龍「ほんと何やってんだか」
戦「ま、そんな訳で、シンフォギアビルドその三九話をどうぞ!」


譲れないエモーション

「――――警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13!」

 

凄まじい勢いで鎌を振るう切歌の一撃を調は四つに分裂させたシュルシャガナで反撃。

 

γ式 滅多卍切

 

振るわれる無限軌道の刃。それが切歌に叩きつけられるも、互いに互いの戦いを知っているが故に躊躇いなく切歌はその殺戮の嵐へ飛び込んでいく。

 

「―――DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム」

 

激しく火花を散らす二人の刃。

その最中で切歌はもう一本の鎌を取り出す。

 

「この胸に――――」

 

肩のジェットを吹かせて、一気に加速。

 

「ぶつかる理由が―――」

 

無限軌道の刃を振り上げて、一気に叩き落す。

 

「「あるのならぁあぁぁぁああぁああ!!!」」

 

さらに二人の刃はぶつかる。

 

 

 

 

 

 

ネフィリムスマッシュの一体『バレットスマッシュ』の放つ弾丸を翼が叩き落し、その脇からクリスが反撃の銃撃。

その死角から『エレファントスマッシュ』と『クラブスマッシュ』が襲い掛かるものの、クリスがバレットスマッシュの銃撃を止めさせた為にすかさず翼が対応。エレファントスマッシュの巨大な足を大剣の一撃で弾き飛ばし、クラブスマッシュのハサミを斬り上げ、そのまま一気に回転して蒼ノ一閃で二体とも弾き飛ばす。

そこへ低姿勢でこちらに走ってくるのは『コックローチスマッシュ』。

それにクリスが銃撃するが恐ろしい速度で旋回したり躱したりしてくるために一気に近付かれる。だが、クリスは不敵に笑って見せている。

コックローチスマッシュはしかしすかさず後ろに飛び退る。

そこへ翼が刀をその場に突き刺す。

その反対側から『スタンガンスマッシュ』が迫ってくるもそれをクリスが迎撃して距離を取らせる。

「すまない。仕留めきれなんだ」

「いや、アタシもとれなかった」

背中合わせで五体のスマッシュと対峙する。

「これがスマッシュ・・・」

「龍我たちが戦った・・・」

沢山の人々を守るために戦った、悪意によってつくられた怪人―――

「それに私たちが負ける道理はない。そうだろう?」

「ああ、今のアタシたちは―――負ける気がしねぇ!!」

スマッシュたちが一斉に襲い掛かる。それも飛び上がってだ。

その下を前方に走って潜り抜けた二人は、空中に飛び上がった二体に刀の雨と小型ミサイル群を叩きつける。

 

千ノ落涙

 

CUT IN CUT OUT

 

それらがスマッシュたちに炸裂する。

だが―――

落下したスマッシュたちは立ち上がる。

「流石にこんなんじゃ倒れねえか」

「ならば、倒れるまで斬るのみ!」

怪人との戦いがさらに激化する――――

 

 

 

 

 

激しく打ち合うクローズとタスク。

しなやかに動くタスクの動きはまさしく虎のそれ。拳の一撃、蹴りの一撃、そのどれもが体のしなやかさから発せられる凄まじい衝撃を生み出す。

その猛攻を、クローズは何の苦もなく受け流す。

その猛攻の最中で反撃に放たれた一撃は的確にタスクの顔面を狙い打つ。

(やっぱり強い・・・!だったら・・・!!)

踏み止まり、タスクはクローズに向かって走り出す。低姿勢で頭を突き出すような走り方で、タスクはクローズに接近する。

そのタスクにクローズは拳を突き出し顔面を狙う。だが、クローズの拳はタスクには当たらず、どういう訳かタスクの頭はその場で静止。そこから下だけが動き、頭部を置いていって、そこを軸としてクローズの顎を蹴り上げる。

「うごあ!?」

サマーソルトキックを叩き込み、クローズをよろめかせると同時に、その隙を狙って腹に強烈な直蹴りを叩きつける。

「うおあ!?」

下がらされるクローズに、タスクはもう一度突撃。

そんなタスクにクローズはもう一度拳を突き出すも、今度はタスクはそのクローズの手に乗り、そのままクローズの顔面を蹴り飛ばす。

「ぬぐあ!?」

さらによろめいて下がるクローズ。

(このまま・・・!)

一気に畳みかけようとする。

しかし、そのままクローズを殴ろうとした所で躱されてしまう。

「え・・・!?」

それに思わず目を見張る。しかし、気付いた時には顔面を掴まれていて、そのまま地面に叩きつけられていた。

「がはっ―――」

(そんな・・・視線はこっちを向いていなかったのに・・・!?)

どこを狙うか分からなかった筈だ。なのに何故分かったのか。

そのまま持ち上げられて殴り飛ばされる。

靴底を擦り減らしてどうにかとどまり、殴られた腹を抑えながら、タスクはクローズを見る。

「中々やるじゃねえか!」

そう言って、クローズは嬉々として言ってくる。

「全く・・・末恐ろしい人だ!」

タスクはすぐさまクローズに向かって走り出す。

 

 

 

 

その様子を、遠目から眺める者が一人。

 

毎度おなじみゲスクズ科学者のウェル博士である。

 

「ウェヘヘヘ・・・」

その手には、ソロモンの杖がある。

 

 

 

 

 

そして、その戦いの風景は、ブリッジのマリアたちにも見えていた。

「どうして・・・仲の良かった調と切歌までが・・・」

その戦いを見て、マリアは再度崩れ落ちる。

「マリア・・・」

「私の所為だわ・・・こんなものが見たいがためじゃなかったのに・・・!!」

何もかもが自分の望まない方向に行ってしまう。

その全てに、マリアは絶望してその場に蹲る。

そんなマリアを、勇気づけてあげられない自分の不甲斐なさに、シンは拳を握りしめる事しか出来ない。

そんな時だった。

『マリア、シン』

「「ッ!」」

ナスターシャの声だ。

「マム?」

『今、貴方たち二人だけですね?フロンティアの情報を解析して、月の落下を止められるかもしれない手立てを見つけました』

「え・・・」

「それは本当か?どうすれば良い?」

『最後に残された希望・・・それにはマリア、貴方の歌が必要です』

「私の・・・歌・・・」

その言葉に、マリアは呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「切ちゃんが切ちゃんでいられるうちにって、どういう事?」

唐突に調が訪ねる。

「アタシの中に、フィーネの魂が、覚醒しそうなんデス」

切歌は、苦々しくそう答える。

「施設に集められた、レセプターチルドレンだもの。こうなる可能性はあったデス・・・」

「だとしたら、私は尚の事切ちゃんを止めて見せる」

「え・・・」

調の言葉に、切歌は驚く。

「これ以上、塗り潰されないように。大好きな切ちゃんを守るために」

「大好きとか言うな!アタシの方が、ずっと調が大好きデス!」

鎌を向けて、そう叫ぶ切歌。

「だから、大好きな人たちがいる世界を守るんデス!」

そう叫ぶ切歌に、調は動く。

「切ちゃん・・・」

二つの無限軌道の刃をプロペラに変形。それを上と下で高速回転させる事で浮遊する。

それが―――

 

緊急Φ式 双月カルマ

 

「調・・・」

それに対して、切歌は肩のギアを刃に形成する。それが―――

 

封伐・PィNo奇ぉ

 

そして二人は飛び上がり――――

「「大好きだって―――」」

再び激突する――――

「「言ってるでしょぉぉぉぉぉおお!!!」」

 

 

 

 

 

 

そのマリアたちのいるブリッジに向かって、戦兎が走らせるバイクが駆け抜ける。

「間に合ってくれよ・・・!」

全力でエンジンを蒸かせ、戦兎たちは一気に駆け抜ける。

そんな時だった。

『戦兎君!』

「ん?どうした朔也」

藤尭から連絡が入る。

『これ見てくれ』

そうして止めたマシンビルダーのディスプレイに表示されたのは――――

「姉さん!?」

「マリアさん、どうして!?」

マリアの姿が映っていた。

 

『―――私は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。月の落下がもたらす災厄を、最小限に抑える為、フィーネを名を騙った者だ』

 

「なんでいきなりこんなものを・・・・」

「・・・」

戦兎の呟きを他所に、セレナはその映像に見入る。

 

 

ほんの数分前。

「月を、私の歌で?」

『月は、地球人類より相互理解を剥奪するため、カストディアンが設置した監視装置・・・ルナアタックで一部不全となった月の機能を再起動出来れば、公転軌道上に集積可能です・・・うっ―――ごふっ!』

音から、ナスターシャが吐血した事が出に取るように分かる。

「マム?マム!」

しかし、その事に慣れていないマリアには分からない事だ。

「フォニックゲインで、月の機能を復活させるのか・・・」

『貴方の歌で、世界を救いなさい・・・!』

苦しそうに、しかし力強く、ナスターシャはマリアにそういった。

 

 

 

(これが成功すれば、あのくそったれの計画を阻止できる・・・)

シンは、少し離れた所でその様子を見守っていた。

「全てを偽ってきた私の言葉が、どれほど届くか自身は無い。だが、歌が力になるというこの事実だけは、信じて欲しい!」

そうマリアは全世界に呼びかけ、そして、聖詠を唄い、ガングニールを起動させる。

 

「―――Granzizel bilfen gungnir zizzl(溢れはじめる秘めた情熱)―――」

 

その身を黒い戦装束を身に纏い、マリアは―――歌う。

 

 

 

 

 

「戦兎先生!」

「ああ!」

戦兎がバイクを走らせる。

「マリアさんは、歌で世界を救う気だ」

「だったら、それを手伝うのが、妹である私の役目!」

「その為に、最短で最速で真っ直ぐに一直線に行くぞオラァァア!!!」

バイクで階段を駆け上がり、三人は一気に、映像の発信源へと突っ走る。

 

 

 

 

 

 

「ハア!」

スマッシュの一体を退けて、翼とクリスは息を上げてその場に佇む。

「くそっ、またギアが重い・・・!!」

「これは、あの時と同じ・・・」

それと同時に、ギアの出力低下をその身をもって感じていた。

 

 

「忘れた頃にAnti LiNKERはやってくる・・・くひひ・・・!!」

そう呟くウェルの見る先には、あらかじめ仕掛けておいた薬品散布装置。その中に仕込まれているのは当然、適合者の適合係数を引っさげる『Anti LiNKER』。

それによって、翼とクリスのシンフォギア適合係数を下げ、動きを鈍くしているのだ。

 

 

ギアの出力低下によって、苦戦を強いられる翼とクリス。

背中合わせでどうにか敵を倒そうと模索する中、唐突にクリスが翼に言う。

「アタシに考えがある」

「・・・っ!」

それを聞いて、翼はクリスの方を見る。クリスは黙って翼の方を向いており、その眼差しを受けて、翼は頷く。

「分かった。乗ってやろう」

「おいおいアタシはまだ何も・・・」

「何、可愛い後輩が出してくれた案だ―――信じない訳にはいかないだろう」

その言葉に、クリスは半ば茫然とし、やがて仕方がないとでも言うように呆れる。

「はっ、こんなろくでなしの提案受け入れるなんざ、あんたも大概博打打ちだよな」

「その博打を打たせるんだ。仕損じるなよ」

「はっ!当然だ!」

そう頷き合って、二人は同時に動く。

バレットスマッシュの放つ弾丸を翼がその機動力で躱し、エレファントスマッシュの重攻撃を躱してクリスが銃弾を放つ。

そうして、襲い掛かるスマッシュたちの猛攻を躱して反撃して、ヒット&アウェイで立ち回るものの、数の差で避け切れず、クラブのハサミに翼が弾き飛ばされ、エレファントの一撃をクリスが貰い吹き飛び、互いに叩きつけられる。そこへスタンガンスマッシュの電撃を二人を襲う。

「「あぁぁあぁぁああぁあ!?」」

電流が二人の体を迸り、全身に激痛が走る。

やがてその電撃がやめば、二人は体から湯気を出してそこに佇んでいた。

もはや、動く力もないだろう、と思われた時だった。

おもむろにクリスが翼の手を握った。

「っ・・!?」

「頼む・・・」

微かに呟いたクリスの呟き。その呟きを聞いて、翼は、答える。

「ああ――――来いッ!!!」

そして、すぐさまクリスが腰部のギアから小型ミサイル群を展開し、ぶっ放す。

 

MEGA DETH PARTY

 

その瞬間、その大技のバックファイアがクリスだけでなく翼にまで襲い掛かる。

「「ぐあぁぁああぁぁああぁあ!?」」

飛び上がった小型ミサイル群はそのまま宙を一周、落下していき、翼とクリスごと、スマッシュたちを消し飛ばす。

「「あぁあぁあああぁああ!!?」」

二人の絶叫と小型ミサイルが炸裂した爆発音と共に、その場にあるものが消し飛んだ―――

 

 

その様子を見ていたウェルは――――

「ふわっひゃう~!!願ったり叶ったりしてやったり~!」

と踊りながら喜んでいた。

 

 

 

 

 

タスクの柔軟な攻撃とクローズの猪突猛進な攻撃が、しのぎを削ってぶつかり合う。

その柔軟な動きでタスクはクローズの猛攻の合間を縫ってクローズに攻撃を叩き込んでいるが、クローズにそれが効いている様子はなく、稀に当たる拳がタスクを徐々に追い詰めていく。

そして、最後の一発がタスクに叩き込まれ、タスクは地面と転がる。

「ぐあぁあ!?」

地面を転がり、タスクは仰向けに倒れる。

「ハア・・ハア・・ハア・・・!!」

激しく呼吸を繰り返し、タスクは横眼でクローズを見る。クローズはこちらを追撃せずに構えて佇んでいる。

まさしく、強者の余裕である。

(あーくっそ・・・やっぱ強いなぁ・・・)

その純粋な強さに、タスクは称賛を送る。

もはや自分が勝つのは絶望的。そして相手はこんな自分に手加減なんてしないだろう。

だったら、どうやったら彼に渾身の一撃をお見舞い出来るか。

(だったら、それなりに無茶を通してやる・・・!)

膝たちの状態で、タスクはスクラッシュドライバーのアクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

スクラッシュドライバーで必殺技を発動させると同時にタイガースクラッシュゼリーをドライバーから抜いて左手のツインブレイカーにタイガーフルボトルと共に装填する。

 

ツゥイィンッ!!』

 

そして立ち上がって構えた先に見えたのは―――

 

ルェディゴォッ!!!』

 

クローズドラゴンをツインブレイカーに装填して、更にドライバーのレンチを下ろすクローズの姿があった。

 

スクラップブレイクッ!!!』

 

そうしてタスク同様にツインブレイカーを構えるクローズ。

その様子に、タスクは思わず笑ってしまう。

「ほんと、手厳しいなぁ・・・」

だが、やる事は変わらない。

互いに互いを見据えて、二人は、同時にツインブレイカーを放った。

 

ツゥインブゥレイクッ!!』

 

レッツブゥレイクッ!!!』

 

タスクのツインブレイカーから、トラ型の炎―――タスクタイガー・ブレイズが飛び出し、クローズのツインブレイカーからは龍型の炎―――クローズドラゴン・ブレイズが飛び出し、それらが正面からぶつかり合う。

激しい衝撃波が広がり、衝突点から地面が抉れクレーターが出来、二つの炎が激しくせめぎ合う。

しかし、その拮抗は長くは続かず、呆気もなく、タスクタイガー・ブレイズがクローズドラゴン・ブレイズに飲み込まれ、そのままタスクに激突、吹き飛ばす。

「ぐあぁぁああぁああ!?」

直撃を貰ったタスクは吹き飛び、そして地面に倒れ伏すと同時に、その変身が解除される。

「ハア・・・ハア・・・ぐっ・・・!!」

余程ダメージが大きいのか、呼吸する度に肺が痛む。

全身を焼くような痛みが体を苛む。

だが、その痛みが、今はどうしても心地いい。

僅かに目を開けて、慧介は空を見上げる。

(空って・・・こんな青かったんだな・・・)

なんて、当たり前な事をぼやいていると、その視界に変身を解除した龍我が立つ。

「よう、生きてるか?」

「・・・おかげ・・・さまで・・・」

「なら良かった。あーつっかれた」

かなり余裕そうな彼に、慧介はついぞ勝てないと実感する。

そこでふと疑問に思った事を口にする。

「あの、龍我さん」

「ん?なんだ?」

「貴方のハザードレベルって・・・」

「ん?7だけど?」

「え゛」

それを聞いて、慧介の表情が引きつる。

「えーっと・・・人間の限界値って、レベル5までが限界だと聞いたんですけど・・・」

「あー、なんか知らねえけど、俺、なんか人間じゃねえ奴の遺伝子持っててよ。それでなんか限界超えちまったみたいでさ」

「・・・・」

この時、慧介は思った。

 

 

自分はこんな化け物に喧嘩売ってたのか、と・・・

 

 

(もうこの人には喧嘩売らないようにしよう・・・)

内心そう決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

調と切歌の歌が響き渡り、二人はその刃を激しく打ち合う。

調の無限軌道の鋸に対して、切歌は肩につけられた刃。それらが激しく切り結び、火花を散らず。

 

非常Σ式 禁月輪

 

双斬・死nデRぇラ

 

調は巨大な車輪を、切歌は二つの鎌を組み合わせて巨大なハサミに。

突っ込んでくる調に対して、切歌は肩アーマーからアンカーを射出。

それを巧みな操作で躱した調は飛び上がり、上方から飛び掛かる。

それを切歌が巨大バサミで迎撃。これまた激しく火花を散らす。

やがて押しきれないと判断した調は距離を取り、頭部ギアから百輪廻を連発。対して切歌は巨大バサミを解除してそれを全て叩き落す。

着地した調はそのまま地面を走行、一気に切歌に接近する。

対して切歌は調を迎撃するためにもう一度アンカーを射出。それを調を躱し、頭部に巨大な鋸を展開。

そしてそれを切歌が両手で持ち刃を巨大化させた鎌で迎え撃つ。

二つの刃が正面衝突し、互いに弾き飛ばされる。

そして二人は互いに距離を取る。

「切ちゃん・・・どうしても引けないの?」

「引かせたいのなら、力付くでやってみせるといいデスよ」

切歌はそう言って、調の足元に何かを投げる。

それは、拳銃型の注射器―――『LiNKER』の入ったものだ。

「LiNKER?」

「ままならない想いは、力付くで押し通すしかないじゃないデスか」

切歌はそう言って、自分用のLiNKERを首に押し当て注入する。

そして切歌は―――絶唱を唄う。

 

「「――――Gatrandis babel ziggurat edenal――――」」

 

同時にLiNKERを注入した調も、絶唱を歌い出す。

適合係数が高ければ高いほど、絶唱の負荷は軽減される。即ち、LiNKERを使用する事でその適合係数を上げ、絶唱による互いの全力を真正面から叩きつけ合う気なのだ。

そうして、歌い終わった瞬間、二人の体に、絶唱の負荷が掛かり、絶唱が発動する。

「絶唱にて繰り出されるイガリマは、相手の魂を刈り取る刃!!」

地面にイガリマの刃を突き立て、その刃どころか柄すらも巨大化させていく。

「分からず屋の調から、ほんの少し負けん気を削れば―――!!」

そうして浮かび上がるは切歌の跨る巨大な鎌。

「分からず屋はどっち・・・!」

一方調が展開するのは両手に巨大な無限軌道の鋸を、脚部にはそれを支えるも足ですら敵の肉を削ぎ落す無限軌道の刃を形成する。

「私の望む世界には、切ちゃんもいなくちゃダメ!寂しさを押し付ける世界なんて、欲しくないよ!」

切歌の刃が調に叩きつけられ、それを調が弾き飛ばす。

「アタシが、調を守るんデス・・・!例えフィーネの魂に、アタシが塗り潰される事になっても!!」

イガリマの中にあるエンジンを蒸かせ、さらなる威力の倍増を行う切歌。

それによってイガリマが高速回転、巨大な円盤となって調を襲う。

「ドクターのやり方で助かる人たちも、私のように、大切な人を失ってしまうんだよ!?」

突っ込んでくるイガリマの一撃を弾き飛ばす。それと同時に、左腕のギアが砕け散る。

 

そもそも、この戦いは調に不利な点があった。

 

それは、LiNKERの投与タイミング。

二課に掴まった事でLiNKERの投与を断ってしまっていた調は、そのままの状態でシンフォギアを纏い出撃している。だが切歌にはLiNKERを製造でき、所持しているウェルがいる為、新たにLiNKERを戦闘直前に投与。そのタイムラグが、二人の適合係数に決定的な差を与えており、今の絶唱も、その時間差によるLiNKERの効果時間に比例する効果の低下が低い調の方が出力が僅かに低い。

その為、調のギアは、切歌のギアに破壊されていく。

だが、それでも―――

「そんな世界で生き残ったって、私は二度と歌えない!!」

眼に涙を滲ませて、調は切歌に向かって叫ぶ。

「でも、それしかないデス!そうするしかないデス!例え、アタシが調に―――嫌われてもぉぉぉぉおお!!」

イガリマの一撃が、調の右腕のギアを粉砕する。

「うぅっ・・・切ちゃん!もう戦わないで!」

それでも、調は必死に切歌に呼びかける。

「私から大好きな切ちゃんを奪わないで!」

それでも切歌は止まらない。

振り下ろされる、イガリマの魂を穿つ刃。

その一撃が、調に振り下ろされる―――寸前で、何かしらの障壁にイガリマが阻まれた。

「え――――」

弾かれたイガリマが、切歌の手から離れ、遠くに突き刺さる。

その障壁を張ったのは他でもない―――調だ。

「え・・・なにこれ・・・」

件の調も、自分が何をしたのかを理解出来ていない。だが、今ので十分だった。

 

フィーネの魂の器は―――調だったのだ。

 

切歌ではない。

 

「まさか、調、デスか・・・」

とてつもなく大きな勘違い。それによって引き起こされたこの戦い。

「フィーネの魂の器になったのは調なのに、アタシは、調を・・・」

その事実に直面した時、切歌の中で何かが崩れ去る。

「切ちゃん・・・?」

突然変わった切歌の様子に、調は首を傾げる。

「調に悲しい思いをしてほしくなかったのに、出来たのは調を泣かす事だけデス・・・」

まるで、ハンマーで頭をぶん殴られたような気分。足元が瓦解するかのような感覚。

全て、自分の勘違いから始まった。自分が事態をややこしくしてしまった。

これでは、慧介と大差ない程、周りに迷惑をかけているではないか。

その事実を認識した切歌は、自らを打ちのめす絶望のままに、弾き飛ばされ、地面に突き刺さったままのイガリマを遠隔で操作する。

空へ舞ったイガリマが空中で高速回転。そのまま一気に、切歌に向かって落下していく。

「あ・・・」

それに、調が切歌が何をしようとしているのかを悟る。

「アタシ、ほんとに嫌な子だね・・・・」

涙を流して、切歌は笑う。

 

「消えてなくなりたいデス」

 

その瞬間、イガリマが切歌を襲う。

「だめ、切ちゃん!!」

調が走り出す。イガリマが迫る。そして―――その刃は――――

 

 

―――切歌を押し退けた調の背中に突き刺さった。

 

 

「調・・・?」

信じられない光景を目前にして、切歌は――――

「調ぇぇぇえええぇぇええ!!!」

絶叫した―――

 

 

 

 

 

 

自らの歌を熱唱したマリア。

唄いきった彼女は、荒く息をして、必死に呼吸を整えている。

そんな彼女の様子を、世界中の人間が見ている。

『・・・月の遺跡は依然沈黙・・・』

「ダメなのか・・・」

ナスターシャの言葉に、マリアが崩れ落ちる。

「私の歌は・・・誰の命も救えないの・・・!?セレナ・・・あ・・あぁぁ・・・!!」

情けなく、泣くマリア。

 

 

 

 

そんなマリアにシンが寄り添う姿を、中継を見ていた板場たちはおもむろに呟く。

「この人、ビッキーたちと同じだね・・・」

安藤の言葉に、二人がうなずく。

「うん、誰かを助ける為に・・・」

「歌を唄うなんて・・・」

他の誰にも、出来る事ではない。

その想いを込められる力こそが、歌なのだ。

 

 

 

 

 

 

その一方、翼たちがいた場所にて、地面が大きく砕け、その下には空洞が広がっていた。

「シンフォギア装者と仮面ライダーは、これから僕が統治する未来には不要・・・ひ、うわあ!」

そこへ立ち入るのはウェルだ。

しかし足を滑らせてしまう。

「そのためにスマッシュをぶつけ、ライダー同士をぶつけ合わせたのですが・・・装者の方はこうも奏功するとは、ちょろすぎるぅ~」

と言っていると、その視界に見覚えのある姿を見つける。

そこには、翼が一人倒れていた。

「お~・・・ん?もう一人はどこへ・・・?」

それに歓喜に浸りそうになるも、すぐにクリスがいない事に気付く。

しかし、背後から聞こえた何かの破砕音から猛烈な悪寒を感じて、ウェルはすぐさま横に飛んだ。

「うわぁああ!?」

「チィッ!!」

先ほどまでウェルがいた場所を銃弾が掠める。

「お、お前、無事だったのか!?」

そしてそこに立つのは、ボロボロのギアを身に纏い、ふらふらな状態のクリスが立っていた。

「さっきの大技でそこで寝転がってる奴が負荷を一部請け負ってくれてな。お陰様でぴんぴんしてるよ!」

「くそったれがぁぁあ!!!」

ウェルがソロモンの杖を取り出してノイズを一斉に召喚する。それらが一気にクリスを囲む。

「今更ノイズ・・・ぐっ!」

すぐさま倒そうとするも、やはりバックファイアの影響は残っているようで、体中を激痛が走る。

「くくく、Anti LiNKERの効力は未だ健在!」

「なら・・・ぶっ飛べ―――装甲解除(アーマーパージ)だ!!」

まともにギアが使えないなら、そのギア、外してぶつければいいだけの事。

クリスは、以前響にも使った装甲を弾けさせる捨て身戦法を使い、一気に周囲のノイズを殲滅する。

ウェルはしぶとくも物陰に隠れて凌ぐ。

飛び散った装甲がエネルギー弾となって、一気に周囲のノイズを消し飛ばす。

そうしてほとんどのノイズが消し飛び、土煙が巻き起こる中、ウェルは物陰から顔を出し、クリスを探す。

そのウェルに向かって、ギアを吹き飛ばして全裸になってしまったクリスが飛び掛かって杖を弾こうとするも、それにいち早く付いたウェルがそれを躱す。

「しまったっ・・・」

「このガキがァ!!」

「ぐあ!?」

そのクリスに向かってウェルが左手でクリスを殴り飛ばす。

「やれぇ!!」

生き残ったノイズが、クリスへと向かう。

ギアを外してしまったクリスには、もうどうする事も出来ない。絶対絶命。万事休す―――

「ッ―――」

そんな、どうしようもない状況で、クリスは、叫ぶ。

 

「―――先輩・・・!!」

 

 

その叫びに応えるかのように、突如として降り注いだ、刃の雨。

「なっ!?」

それに驚くウェル。

巻き起こる土煙の中で、クリスは見る。

その中心に佇む、風鳴翼の姿を。

「そのギアは・・・」

その身に纏う戦闘装束は、今までに見た翼のギアとはかけ離れたもの―――それは、三ヶ月前のものと同じ、今のものとは低出力のギア。

「馬鹿な!?Anti LiNKERの負荷を抑える為、あえてフォニックゲインを高めず、出力の低いギアを纏うだと!?そんな事が出来るのか!?」

「できんだよ。そういう先輩だ」

ウェルの言葉に、クリスはそう返して見せる。

 

「―――颯を射る如きの刃 麗しきは千の花」

 

歌を唄い、翼はウェルの操るノイズを一気に殲滅していく。

「付き合えるか!」

「あ!?」

ウェルが翼がノイズを殲滅している間にソロモンの杖をもったまま逃走を始める。

「待て!」

すかさずクリスが追いかけようとするものの、やはりバックファイアのダメージは拭えず、よろめく。

そのままウェルが逃走してしまう―――と思われたその時、ウェルが何かにぶつかる。

「いった!?な、なんだ・・・」

衝撃で尻もちをつき、見上げた先にいたのは、ゴミを見るような目でウェルを見下す龍我と慧介の姿があった。

「コイツが未来を魔改造した奴か?」

「ええ。ですので好きなだけやっちゃってください」

「じゃあ遠慮なく―――ッ!!」

右拳を握りしめて、龍我はウェルの持つソロモンの杖を蹴り飛ばす。

「ああ!?」

「歯ァ食いしばれやぁぁぁぁああ!!」

「うわぁぁああ!?」

そしてウェルの顔面を、掲げた腕を吹き飛ばして右拳で全力で顔面を殴り飛ばす。

「ぐげぁぁあ!?」

ぶっ飛ばされたウェルの顔面は大きく歪み、そのまま吹き飛んでいき、どこかへ飛んでいく。

それと同時に、翼はノイズを全て殲滅し終える。

そしてクリスは借りたライダースーツ姿をその身に纏い、翼も元のライダースーツ姿へと戻る。

そうして、戦いは、終わりを迎えた。

「これを」

「すまねえな」

ソロモンの杖を拾った慧介が、それをクリスに渡す。

「迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

「気にするな。もう過ぎた事だ」

頭を下げて謝る慧介に、翼はなんでもないと言う。

そこでふと、クリスは翼に尋ねる。

「それにしたってよ、アンタ、なんでアタシの言葉を信じてくれたんだ?」

「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。理由はそれだけでも十分だろう?」

「それだけ?」

「それだけだ」

「・・・」

その翼の返しに、クリスは呆然とする。

「さあ、立花と合流するぞ。それと、涼月慧介と言ったか?」

「はい」

「お前はどうする?」

「ついていきます」

慧介は、即答する。

「これ以上、このふざけた事をやめさせるために」

「そうか。ではついてくるが良い」

そう言って、翼は歩き出す。

クリスは、そんな後ろ姿を見ていると、唐突に龍我に背中を叩かれる。

「行こうぜ」

「・・・ああ」

呆けつつ返し、龍我が先に行く。

そして、その後を慧介が続く。

(本当にどうかしていやがる・・・・)

そんな彼らを見て、クリスは思う。

(だからこいつらの側は、どうしようもなくアタシの帰る場所なんだな・・・・)

その事を、クリスは改めて実感した―――




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「調、目を開けて!調!」

イガリマからの致命的な一撃を受けた調。

「無理よ!私の歌で世界を救うなんて・・・!」

自分の無力さに打ちひしがれるマリア。

「見つけたぞくそったれ科学者ァ!!!」

そこへ乱入する戦兎たち。

「誰かを守るために使うだと?ふざけるのも大概にしてくれ」

そして、ついに姿を現すジェームズ。

二人の科学者が、ついにぶつかる―――

次回『逆襲のヒーロー』

「俺はもう、自分を見失ったりはしない・・・この力は、完全に俺のものだ!!」

『マックスハザードオンッ!!!』
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