愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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マ「最近、パターン化してきたセリフを言うのに飽きてきた今日この頃・・・」
慧「マリアマリア、ちょいとこっち見てくんろ」
マ「え?何かしら・・・ってその五円玉を結んだ紐で一体何を」
慧「貴方は今から自分の意志とは関係なしに俺の言う事を聞くようになる」
マ「は?何を言って」
慧「というわけであらすじ紹介スタート」
マ「天才物理学者の桐生戦兎が作った新世界にて、白いパンドラパネルから地球外生命体キルバスが出現、さらに万丈龍我の体の中に潜んでいたエボルトも復活して、事態は混沌を深めていた・・・」
切「おお、マリアが見事にあらすじ紹介しているデスよ」
慧「何を隠そう、俺は催眠術の達人なのだ!」
シ「じゃあ調に俺が言った暗示をかけてみろ」
調「え?なんで私?」
シ「じゃあまず振れ」
慧「分かったけど・・・え?何々?まず初めに眠らせる?まあ分かったけど・・・」過程は飛ばすがとりあえず指パッチンする。
調「すぴー」
切「一発で寝たデス・・・」
慧「えーっと、それで・・・貴方の体の感度は五倍になります」
調「ん・・・」ピク
シ「その状態で自分の局部をいじれ。思い人をオ〇ズにしてな」
慧「ストォォォップ!?調に何やらせようとしてんの!?」
調「あ・・・あ・・・慧くん・・・ああ・・・!!」
切「調ぇ!おきるデスよ!それ以上は文面的に色々アウトデスよぉ!」
マ「それでもってキルバスから逃走に成功したクリスたちは馬渕由衣と共に多少のトラブルはあったものの龍我が旧世界で捕まっていた刑務所に潜入!そこでキルバス攻略の鍵になる情報を手に入れるもキルバスに見つかり、そのまま戦闘にもつれ込むのだった!というわけでクローズ編第四話を見なさい!そして慧介は今すぐ調の催眠を解きなさい!」


復活のロボット&クロコダイル

クローズとエボルトがキルバスに殴り掛かる。だが、キルバスはビルドドライバーから取り出したドリルクラッシャーで応戦する。

「オマエらが徒党を組んだ所でも、無駄だぜェ!!」

「「ぐあぁぁあ!?」」

かなりあっさりと壁を砕いて外にぶっ飛ばされる二人。

外の草原に投げ出された二人は、追ってくるキルバスに対応する為、すぐさま立ち上がる。

「クククク・・・」

キルバスが笑いながら近づいてくる。

「アタシを無視すんなぁぁあ!!」

すぐさま背後からクリスが小型ミサイル群を掃射。

 

CUT IN CUT OUT

 

それをキルバスは振り向いて、ドリルクラッシャーを片手に全て叩き落して見せる。

そこへすかさずクローズのツインブレイカーからの射撃。それを躱したキルバスはそのままクリスへ接近、ドリルクラッシャーを振り下ろす。

それを間一髪で躱し、拳銃型にしたギアを向けるも引き金を引いた瞬間に弾かれ、その腹に一撃を貰う。

「うぐっ!?」

その背後からエボルトが強襲。だが、それに対応したキルバスはその拳を弾くなり、その胴体にドリルクラッシャーを叩き込む。

そうして怯んで下がった所でクローズが殴り掛かるも、その一撃を弾いて斬撃を叩きつける。

そこへクリスが拳銃を連射。弧を描くように走りながらキルバスに銃弾を浴びせるも、叩き落したり躱したりで一発も当たらず、クリスの射撃に対してキルバスはなんとドリルクラッシャーを投擲した。その一撃を銃を掲げる事で防ぐも、予想以上の威力で弾き飛ばされる。

その背後から、クローズが取り出したビートクローザーを振り下ろすも防がれ、そのまま交錯した剣を弧を描くように回す事でクローズの手からビートクローザーを弾き飛ばし、続けざまに二撃、斬撃を叩き込む。

見かけによらず多彩だ。それが、キルバスがブラッド族の王と呼ばれる所以なのかもしれない。

その弾き飛ばされたビートクローザーはエボルトのすぐ傍に落ちる。

「いただきッ!」

それをエボルトはすぐさま拾い上げ、地面をスライディングしながらキルバスに接近。

その背後からクリスがボウガン状にした両手のギアから矢を一斉射。

キルバスにその矢が殺到し、そこへエボルトの足元からの攻撃。それをキルバスはいとも容易く払いのける。

躱されたエボルトはクローズの傍で立ち上がるも、クローズが自身の武器を使っている事に抗議しだす。

「ああ!?なに人の武器勝手に使ってんだよ!?」

「オマエのモノはオレのモノ」

「俺のもんだ!」

「んな事言い合ってる場合か!?」

エボルトとクローズに言い合いにツッコミを入れるクリス。

そこへキルバスが襲い掛かり、それに対してエボルトはクローズをどつく。

「あいてッ!?」

倒れたクローズを他所に、その一撃をビートクローザーをもって防ぐ。

再び拳銃型にしたギアをもって、その乱戦に参加するクリス。

あまりにも近場で戦闘するために援護がしにくいのだ。

そうして三対一で繰り広げられる激闘。だがしかし、力は圧倒的にキルバスの方が上だ。

「昔よりさらに強くなったみたいだなァ!?」

「あたり前だァ!」

エボルトの言葉にそう答え、キルバスは三対一にも関わらずクローズ達を押していく。

初めのエボルトを切り払い、すかさずクローズに二撃叩き込んで後ろに流し、そしてクリスの肩に振り下ろした後に蹴り飛ばす。

「オマエたちがこの星で胡坐をかいてる間にィ、オレはいくつもの星を、狩ってきたんだからなァ!!」

エボルトからビートクローザーを奪ったかと思うと、すかさず激しくドリルクラッシャーとビートクローザーの二刀流でエボルトを滅多打ちにする。

「ぐあぁああ!?」

最後の両の振り下ろしを喰らい、吹き飛ばされるエボルト。

「ぬぐ・・・」

「フッ」

それを嘲笑ったキルバスは、ビートクローザーとドリルクラッシャーを投げ捨てると、ビルドドライバーのボルテックレバーを回す。

 

『Ready Go!』

 

必殺技の発動だ。

 

おそろしいスピードでエボルトの周りを駆け抜けたかと思うと、キルバスはその肉体から生成した蜘蛛の糸をもってエボルトを拘束。身動きを取れなくする。

その状態で必殺の一撃を叩き込むつもりなのだ。

「させるかぁぁぁあ!!」

クリスがすかさず弩弓状にしたギアをもって、阻止にかかる。

その矢は上空へ飛び、そして空中で分解。無数に別たれたその矢が、死の驟雨をとなってキルバスに降り注ぐ。

 

GIGA ZEPPELIN

 

降り注ぐ死の驟雨。だが、それに対してキルバスは、展開した巨大な四本の蜘蛛の足でそれを全て弾き飛ばす。

「なっ!?」

そしてすかさずその巨大な足のうち、一本でクリスはまるで蹴っ飛ばされた缶のように吹っ飛ばされる。

「かっはぁ・・・!?」

「クリスゥ!!」

クリスの口から僅かに血が流れる。

そしてすかさず、拘束されたエボルトに、キルバスの蜘蛛の脚の一撃が突き刺さる。

 

キルバススパイダーフィニッシュッ!!!』

 

突き刺さる、蜘蛛の脚。

その一撃が、エボルトを貫く。

激しい土煙が舞い上がり、その中で、エボルトが膝を付き、倒れる。

「う・・・ぐあ・・・」

その体から、まるで壊れた電子機器のようにバチバチと電気を迸らせる。

そのエボルトに向かって、キルバスは、白いパンドラパネルから作り出した箱を向ける。

すると、それが光を発してエボルトを吸収していく。エボルトの命をもって、力を蓄えているのだ。

「エボルト!」

粒子化し、箱に吸収されていくエボルトに、クローズは思わず声を挙げる。

「うゥ・・・とんだ誤算だったなァ・・・このボトルを、戦兎に渡せ・・・!!」

そうして苦し紛れに投げたのは、先ほどの地下でのデータを収束させたボトルだった。

「あとは頼んだ・・・チャオ・・・」

その言葉を最後に、エボルトは完全に粒子となり消滅し、キルバスのもつ箱に吸収される。

「ハハハハハ!!!」

それにキルバスは笑い声を上げる。

その様子を隠れて見ていた由依は、その状況に戦慄していた。

「・・・死んだ?」

一方のクリスは、先ほどキルバスから貰った一撃をどうにか防いだためにそれほどダメージはない。しかし、すぐに動ける程ではなかった。

「く・・・」

そして、そんな中でキルバスはさらなる標的を見据える。その標的は当然、クローズの事だ。

「次はオマエの番だァ!」

そうして手から発生させた蜘蛛の糸を、一気にクローズに巻き付かせる。

「ッ!?しまった・・・!」

「龍我ぁ・・・!!」

すかさず展開される蜘蛛の脚が、何度も地面を叩きつけながらクローズに向かって突っ込んでくる。

このままではエボルトの二の舞。しかし、クリスもクローズも何もできない。

万事休す、絶体絶命―――そう思われた時だった。

 

どこからともなく二条の閃光が迸り、その一撃を左右に弾き飛ばす。

 

「ぬおっ!?」

それに驚きよろめくキルバス。

そんなキルバスの視界に入ったものは―――

「おまたせ!龍我さん!クリスちゃん!」

「遅れてすまない」

 

シンフォギア『ガングニール』を纏った立花響とシンフォギア『天羽々斬』を纏った風鳴翼だった。

 

否、それだけではない。

 

黄金の強化スーツに身を包んだ男と、紫の強化スーツに身を包んだ男の二人の戦士がいた。

それは、クローズにとっては見間違えようもない相手であり、クリスにとっては初めて見る者たち。

それは、旧世界にて、戦兎と龍我と共に激戦を駆け抜けた頼もしい仲間たち。

 

北都の仮面ライダーにして、猿渡ファームを統べる若頭『猿渡一海』こと、『仮面ライダーグリス』。

 

西都の仮面ライダーであり、この国の為に戦い抜いた政府長官『氷室幻徳』こと、『仮面ライダーローグ』。

 

その二人の仮面ライダーが、そこに立っていた。

クローズの知る、今この場にいない筈の、しかし頼れる仲間である仮面ライダーが二人、この場に見参していた。

 

「カズミン!?幻さん!?なんで!?」

クローズの混乱は当然、本来ならこのような場所にいない二人が、何故このような所にいるのか。

「記憶が蘇ったんだよっ!」

そう言って、グリスがクローズの頭を小突く。

「筋肉馬鹿が」

さらにローグがその肩を拳で押す。

「そんじゃあ見せてもらうぜェ、シンフォギアって奴の力をよォ!!」

「はい!よろしくお願いします!一海さん!」

「カズミンって呼べ!」

「はい!カズミンさん!」

「氷室長官。その実力の程、頼りにしています」

「そっちもだ。弦十郎の姪。その剣が伊達じゃない事を証明してみせろ」

「無論です!」

そうして、二人の仮面ライダーとシンフォギア装者が、キルバスに突撃していく。

 

 

 

一方、二課本部にて。

「ガングニール、天羽々斬、グリス、ローグ、戦闘を開始!」

「クリスちゃんがアウフヴァッヘン波形を発してくれなかったら、どれほど難航していたか・・・」

そもそも響たちがクリスたちの元へ迎えたのは、一重にクリスがシンフォギアを纏う事で発生したアウフヴァッヘン波形のおかげだ。

だから、予想より早く現場に駆け付ける事になったのだ。

「とにかく今は近隣の住民の避難誘導をしつつ、戦闘を全力でサポートしろ!いいな!」

弦十郎が指示を飛ばし、その戦いの様子を見守る。

 

 

 

「やぁぁあ!!」

一番乗りの響がキルバスに拳を叩きつける。

しかしそれは受け止められるも、すかさず体を回転させて後ろに抜けた響の後ろからグリスとローグが再び拳を放つ。そしてすかさず翼が飛び上がってその刀を振り下ろす。

だが、グリスとローグの拳を押し返したかと思うと振り下ろされた翼の一撃を躱し、クローズが殴り掛かるも、振り抜かれた拳は全て受け止められる。

そのまま乱戦に持ち込む。

キルバスの一撃をグリスがアクロバティックに回避、そこへすかさずローグの蹴りが繰り出されるも躱され、飛び上がった響がパイルバンカー式の鉄拳を振り下ろし、しかしそれすら躱され、されどその地面に拳を叩きつけて陥没させ、土煙を巻き起こす。

その巻き起こった粉塵の中から復活したクリスの銃弾が飛んでくるもキルバスはそれを掴み取って投げ捨てる。

そしてそれに気を取られた隙をついて翼が刀をキルバスに突き刺さんと突撃。

だが、それはいとも容易く躱され、逆に脇腹にキルバスの拳が突き刺さる。

「ぐぅっ・・・!?」

吹き飛ばされた翼と変わるようにグリスも突撃するも逆に殴り飛ばされ、続けざまにローグ、響、クローズと殴り飛ばされる。

「ぬぐあ!?」

「ぐお!?」

「ああ!?」

「があ!?」

一様に吹き飛ばされる一同。

地面を転がるも、どうにか立ち上がる。

「久々の復活だってのに、半端ねぇなァ・・・!」

「これがキルバス・・・!!」

「少々甘く見ていたか・・・!」

グリスの言葉に、響はその強さに戦慄し、翼は膝の上で拳を握りしめる。

「ここは一旦引いた方が良さそうだ」

ローグが紫色の拳銃『ネビュラスチームガン』を取り出しそう言う。

「おう」

「くっ、あわよくば桐生を襲った事を後悔させてやろうと思ったのだが・・・」

「翼さん・・・気持ちは分かりますが今は抑えましょう・・・」

ローグがネビュラスチームガンのトリガーを引いて振り抜けば途端に蒸気が発生して彼らを隠す。

「行くぞ!」

そんな中で、クローズが由依を連れて、同じように蒸気に紛れる。

やがて蒸気が晴れる頃には、そこにはもう、彼らの姿はなかった。

「ああ?・・・はっ」

キルバスはそれもまた一興と鼻を鳴らし、あの箱を取り出してみる。

 

 

 

 

そうして訪れたコンクリート造りの殺風景な部屋に、赤い四角い台座にパンドラボックスを置くキルバス。

そして、あの白い箱を取り出すと、それをパンドラボックスの中に落とす。

パンドラボックスの中に入ったその白い箱は、凄まじい光を発し、びりびりと凄まじいエネルギーを発する―――が、それはすぐに収まり、ボックスの底に落ちる。

「・・・これじゃあ宇宙を滅ぼせないィ・・・」

中を覗き込み、そう呟くキルバス。しかし、すぐさまその表情を獰猛な笑みに歪める。

「ばぁぁんじょぉぉりゅうぅがぁぁぁあ・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

そうして戻ってきたのは、戦兎の住む倉庫。

真っ先に入った龍我を待っていたのは、記憶を失ってここにはいない筈の、しかし記憶を取り戻した美空や紗羽、そして、F.I.Sの面々との面会に行っていたセレナ、響の帰りを待っていた未来、そして、ここで待機していた戦兎だった。

一応、シンの為に作ったビルドドライバーはあるが、いざって時の為に強化アイテムを作れる戦兎を控えさせておきたいという弦十郎の思惑があった。

「美空・・・紗羽さんも・・・」

そうして再会を果たす一同。

「・・・その人は?」

ふと、美空が立ち上がって、龍我の後ろにいる女性の事を尋ねる。

「・・・馬渕由衣。訳合って一緒にいる」

龍我はそう言って、戦兎にエボルトから貰ったボトルを手渡す。

「これは・・・」

それを受け取り、戦兎は、すぐさま解析に入るのだった。

 

 

 

 

テレビの生中継にて。

『―――カリスマダンサーの柿崎悟志が、刑務所に立てこもっているという情報が入りました。彼に一体何があったんでしょうか?・・・あ!柿崎氏が出てきました!柿崎氏です!何か、箱のようなものを持っています・・・』

テレビの中継映像から、武装した警官隊が盾を構えている様子をバックに、女性タレントがその様子を語っており、その映像の中で、刑務所から柿崎が現れる。

その柿崎の手が、青く発光したかと思うと、何か波動のようなものが迸り、一瞬、砂嵐が入る。

そして、回復した映像には、画面が割れたのか映像には亀裂が入っており、そして誰もいなくなり、燃え盛る炎の中、柿崎―――キルバスがそのカメラに向かって言い放つ。

『万丈ォ龍我ァ!この星を滅ぼされたくなかったら、オレとオマエが最初に会った場所に来ォい。オマエのエネルギーが回復する、明朝まで待とォ・・・!!力を、蓄えて来いやァァア!!』

それを最後に、カメラが破壊されたのか、それっきり映像が途切れる。

その様子を、龍我たちは神妙な面立ちで見ていた。

「ふざけやがって・・・」

一海が、そう呟く。

その間にも、戦兎はボトルの解析を終わらせる。

「ふう・・・」

「どうですか?」

セレナの言葉に、戦兎は答える。

「・・・キルバスを倒す方法が見つかった」

「本当ですか!?」

響が立ち上がる。

『その方法とは?』

テレビ電話式でもう一つのテレビ画面から、弦十郎が尋ねてくる。それに戦兎は説明を始める。

「万丈の中にあるエボルトの遺伝子を最大限まで増幅させるアイテムを作れば、キルバスに勝てるかもしれない」

その言葉に、龍我は戸惑いを見せる。

「エボルトの力を・・・」

そんな中で、紗羽が尋ねる。

「エボルトって死んだんじゃないの?」

「万丈が仮面ライダーに変身出来てるって事は、まだ体の中にエボルトの遺伝子が存在している証拠だ。でも危険も伴う」

「・・・危険とは、どのようなものだ?」

翼が尋ねる。

「・・・エボルトが以前の力を取り戻す可能性がある」

「「「・・・!?」」」

その言葉に、全員が、主に旧世界組が息を呑む。

「復活したら、また前の世界の悪夢が蘇るかもしれんな」

「そんな事はさせねえ!」

幻徳の言葉に龍我が、すぐさま叫ぶ。

「そうですよね」

それに、響がうなずく。

「もしエボルトさんが地球を滅ぼそうとしたら、私たちが止めればいいですもんね!」

「「「・・・・」」」

その言葉に、旧世界勢があんぐりと口を開ける。

「もう、響ったら」

分かっていたかのように未来が笑う。

「そうだな」

その言葉に、翼はふっと笑う。

「あいっ変わらず、考えてる事がプレイフルだよな。お前の頭の中は」

クリスが仕方がないとでもいうように笑う。

「それに、エボルトさんが力を取り戻すって事は、それだけ戦力が増えるって事ですよね?だったらいい事じゃないですか」

「馬鹿なの?」

「はう!?」

美空の辛辣な言葉に思いっきりダメージを受ける響。

「はあ・・・まあ、分かってたことだけどよ・・・」

そして龍我ですら呆れる。

「コイツ、いつもこんななのか?」

「諦めろ。響は誰にでもこんな感じだ」

「お人好しにも程があるだろ・・・」

完全に呆れられている。

「それだけじゃない」

そんな中で、戦兎が脱線した話を引き戻す。

「遺伝子を増幅させる事で、お前の体がパンクするかもしれない」

それはつまり、龍我の体が、エボルトの遺伝子に押し潰されてしまうかもしれないという事だった。

「・・・俺の体はどうなってもいい」

しかし、龍我は怖気づかない。戦わなければ、この世界を守ることが出来ない。

「もう誰かが悲しむ姿を見たくねえんだよ・・・」

そう言って、柱に寄りかかる。

「だから、新しいアイテムを・・・」

「馬鹿じゃないの?」

しかし、そんな話を断ち切るように、上がる声があった。

今まで沈黙を貫いていた由依だ。

「由依さん・・・?」

「はあ・・・誰かに頼まれた訳でもないのに、まるで自分たちがやらなければ地球を救えないみたいな顔しちゃって」

投げやりで、それでもって軽蔑的な、由衣の言葉。それは、完全に彼らを信用していないからこそ言える言葉だった。

「んだと?」

一海が怒りを露わにするも、それを意に介さず由依は立ち上がる。

「誰もアンタたちが助けてくれるなんて思ってないから」

そう言って、由依は出ていくように歩き出す。

「・・・・私も、誰もそんな風に思っているなんて思っていませんよ」

そんな由依に、響が話しかける。それに由依が立ち止まる。

「でも、それでも私たちは戦うんです。誰かに求められたからじゃない。私は私の意志で、誰かを助けたいんです。もちろん、由依さんの事も・・・」

拳を握って、響は言う。

「ですから・・・あ」

しかし、由依は最後まで聞かず、外に出ていってしまう。

その様子を、美空と未来は、悲しそうに見続けた。

 

 

夕焼け色の空の下。由依は、丘のベンチに座って、その空を見上げていた。

「響の事、許してあげてください」

そんな彼女に、未来と美空がやってくる。

「あれでも、響は本当に誰かの為になりたいと思ってるんです。人助けが、趣味みたいなものですから」

未来の言葉に、由依は何も帰さない。

「・・・万丈から聞いたよ。貴方も人体実験を受けたって・・・」

美空が、そう言う。それに由衣は、責めるように話し出す。

「・・・あの時アイツが助けてくれたら、私や生徒たちはあんな目に遭う事はなかったし、死ぬ思いをすることもなかった・・・あの子たちは、今も苦しんでる・・・」

あの悪夢を、きっと、眠り続けている間も見続けている事だろう。

「・・・由依さん」

「仮面ライダーが助けてくれるなんて二度と思わない」

それは、由依の怒りが具現化したかのような言葉。

他の誰でもない。仮面ライダーに裏切られた彼女の、心の言葉。

そんな由依に、美空は、言う。

「もう一度だけ、信じてあげてくれないかな?万丈を・・・」

その言葉に、返事はなかった―――

 

 

 

夜―――

いくつものチューブに繋がれた龍我が、椅子に座っていた。

言わずもがな、龍我の中のエボルトの遺伝子を活性化させる為の装置だ。

その装置に繋がれた龍我。

そんな龍我をみやり、クリスは、一度何かを思い、そして龍我に近付いて、その耳に小さく耳打ちする。

「これが終わったら、話しがある」

「・・・?」

その事に首を傾げる龍我だったが、クリスはすぐさま距離を取る。

「・・・っしゃあ!」

その話がなんなのか分からないが、とにかく龍我は気合を入れる為に声を挙げる。

それを見た戦兎は、うなずいてキーボードの『Enter』を押す。

すると装置が稼働し、遺伝子の活性化による激痛が龍我を襲う。

「が、あぁぁあ!?」

痛みに悶え苦しむ龍我。

そんな龍我を、周囲の人間は心配そうに見守る。

そこへ、美空、未来、由依が戻ってくる。

「ぐあぁあああ!!!」

「万丈・・・!」

「龍我さん!?」

絶叫する龍我。

そんな龍我の元へ、美空と未来が駆け寄る。

そして由依は、悶え苦しむ龍我のその姿に、思わず、目をそらしてしまう。

「がぁああぁぁぁあぁああああ――――!!!!」

静かな真夜中に、龍我の絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

翌日、早朝―――

 

「柿崎氏に擬態したキルバス、未だ移動する様子無し!」

二課では、かなりの大騒ぎになっていた。

それはもちろん、対キルバス戦の為の準備の為に他ならない。

「近隣の住民の避難、完了しています!」

「いいか!ここで敗北すれば、この地球どころか宇宙そのものが吹っ飛ぶ!総員、心してかかれ!!」

弦十郎が指示を飛ばす中、藤尭が声をあげる。

「装者および仮面ライダー、キルバスと会敵!」

「よぉし!これより戦闘態勢に入る!全力で彼らをサポートするぞ!!」

 

 

 

 

龍我とキルバスが初めて出会い、そして戦った、噴水広場。

その噴水にて、キルバスはその手のキルバスパイダーを愛おしそうに眺めていた。

しかし、すぐにこちらに近付く気配を感じ、そちらを向いて笑みを浮かべる。

そこから来るのは、龍我、一海、幻徳、クリス、響、翼の六人。

その誰もが、神妙な面持ちでこちらに歩いて来ていた。

「ゆっくり休んだかァ?」

キルバスがそう尋ねる。

「ああ、なんなら今すぐお前をぶっ倒してやろうか?」

龍我が挑発するように指差す。

「ククク・・・ハハハハ・・・面白いィ」

それにキルバスは嘲笑う。そして、上着を脱ぎ捨て、上半身裸になると、取り出したキルバスパイダーフルボトルを振り、それにキスを落とすと、それをキルバスパイダーに装填する。

「オマエの力で、最高のパンドラボックスを創ろォ・・・」

 

キルバスパイダァーッ!!』

 

そしてそれをビルドドライバーに装填し、ボルテックレバーを回して蜘蛛の巣のようなビルダーを展開する。

 

『Are You Ready?』

 

「変身」

 

スパイダァースパイダァー!!キルバススパイダァー!!!』

 

そして変身する、仮面ライダーキルバス。

「存分に暴れられる場所へ案内してやるゥ・・・ハァ!!」

パンドラボックスへ触れると、そこから地面を駆け巡るように赤い蜘蛛の巣が広がり、それが周囲の地形を一気に変形させていく。

そこは、まるでどこかの鉱山地帯だった。

 

 

「周囲の地形、変形ッ!!!」

映像の先で、二課職員の動揺した声が響く。

「これが、パンドラボックスの力とでもいうのか・・・!」

その力に、弦十郎は戦慄する。

 

 

そうして、変化した地形にて。

「この星もォ、そして宇宙もォ!すゥべェてェ、破壊してやるゥ!!」

そう言ってのけるキルバス。まさしく、狂っているとしか言いようがない。

「・・・上等だ」

「そんな事は絶対にさせない」

それに、龍我とクリスが答える。

「キュルー!!」

「地球の平和は俺たちが守る・・・!!」

クローズドラゴンを掴み取り、それにイチイバルレリックフルボトルを装填する。

 

激唱ゥ!』クロォーズイチイバルッ!!!』

 

そしてクロをビルドドライバーに装填する。

それに続くように、一海も黄色の飲料パックのようなアイテム『ロボットスクラッシュゼリー』を、幻徳は普通のフルボトルとは違うボトル『クロコダイルクラックボトル』を取り出す。

 

Danger!』

 

ロボォットジュエリィーッ!!』

 

クロコダイル!!』

 

龍我がボルテックレバーを回し、全ての準備を整えるのと同時に、少女たちも、ギアペンダントを握り締めて、その身に流れる血のかよう歌を唄う。

 

「―――Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)―――」

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――」

 

「―――Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)――」

 

『Are You Ready?』

 

そして、彼らは叫ぶ。

 

「「「変身ッ!!」」」

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

『割れるゥ!喰われるゥ!!砕け散るゥッ!!!』

 

激唱戦場クロォーズイチイバルッ!!!』

 

ロボット・イン・グリィスゥッ!!』

 

クロコダイル・イン・ロォーグ…ッ!!!』

 

イェェエイッ!!ドッカァァァァアンッ!!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

『オゥラァァァア!!!キャァァァア!!!』

 

クリス、響、翼によるシンフォギアの起動が完了、その身に神の武具の力を纏い、クローズ、グリス、ローグが変身を完了させる。

六人の戦士が、今この場に推参した瞬間であった。

「オレの力を思い知るがいいィ!!」

キルバスが、その身から青い液状のようなものを放出し、それが地面に落ちると、すぐさま形を成し、クローズたちにとって馴染みの深い敵が現れる。

 

スマッシュだ。

 

それもおそらく、キルバスの擬態である。

「スマッシュ・・・」

その登場に、クローズは思わず動揺した声をあげる。

「こいつらは俺たちに任せろ。行くぞ、ヒゲ、ガキ共」

そんなクローズの前に、グリスとローグ、響、翼が立つ。

「黙れポテト」

「雪音たちはキルバスを」

「・・・ぶふっ、ごめんやっぱ無理耐えられない」

「折角の雰囲気が台無しじゃねえか!!」

若干締まらないが、それぞれの敵を見据え、今、地球を守るための戦いが始まる――――。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

キルバスとの戦闘が始まり、戦いは熾烈を極める。

「そんなモンかァ?だったらこれで終わりだァ!!」

しかし、キルバスの圧倒的力の前に歯が立たないかと思われていたが、そこへ復活したエボルトが再び現れる。

「―――久しぶりィ。・・・でもないかァ」

しかし、やはりキルバスの力は強大であり、絶体絶命の窮地にまで追いつめられる。
大ダメージを喰らい瀕死になるエボルト、倒れる龍我、そんな中で、クリスが取った行動とは―――

次回『衝動インスパイア』

銀河無敵の筋肉ヤロォッ!!』

「―――アタシ、龍我の事が好きッ!!」




リディアンこそこそ噂話

クローズたちの元へ颯爽と駆けつけたように見える四人だが、実は移動手段を確保する時間がなく、全員ノンストップランで現場に駆け付けている。

一「ったく政府直属なんだから車ぐらい用意しろっての」
弦「それについては誠に申し訳なく・・・」
幻「ポテトに何言っても無駄だ弦十郎」
一「んだと?」
幻「やんのか?」
弦「ああ喧嘩はやめてください!」

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