愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「天っ才物理学者の桐生戦兎は、仮面ライダービルドとして、日々救助活動をしながら日常を謳歌していた!だがそこへ現れる、錬金術師たちの猛攻が、襲い掛かるのであった」
エル「えーっと、今回から名前出しをさせていただく、エルフナインと言います」
キャ「キャロル・マールス・ディーンハイムだ。これからレギュラー登場となる」
響「わーいキャロルちゃーん!」
キャ「引っ付くな!」
響「おぶふっ・・・!?」
戦「はいはいわき役の紹介はここまでにしておいて」
キャ「脇役ってなんだ!?」
エル「ちなみにボクの名前はエボルトさんと被る為に二文字表記になっています」
キャ「その情報今いるか!?それを言うならこの方が分かりやすいからと言って同じように二文字表記になってるオレのことも追及されるべきじゃないのか!?」
エル「キャロル、ツッコむべき所そこじゃないと思うよ?」
戦「まあそれはともかく、GX編その第二話を―――」
響「あぁぁぁああ!!」
戦「うお!?どうしたいきなり!?」
響「そういえば!弓美ちゃんたちがSGXDでプレイアブル化されるからそれからの作者の気持ちをやんなきゃいけないんだった!」
戦「いやどうでもいいだろそんなこと―――」

マ(作者役)「いやいや待て待て待ちなさい。いくらなんでも頭悪すぎるでしょこんなことなんていや可能性はあったかもしれないけどこれは一体なんのサァプサァーイズ(ドラ〇ブ風)になのかしら?本当に心臓止まるかと思ったじゃない金子さんどんだけなのえ、まって本当に不安になってきたんだけど、いつもいつも思うけどシンフォギアの展開が全く予想できないんだけど、いや本当に何やってるのいやほんとマジで―――」

シ「マリア落ち着けそこまでだ」マリアズリズリ
戦「・・・・」
エル「・・・・」
響「・・・・」
キャ「・・・いやどうするんだこの空気!?」
戦「というわけでGX編第二話をどうぞ!コロナには気をつけろよ!作者はコロナの所為でゲイツマジェスティがみれねえからその怒りを小説にぶつけてるぞ!というわけで本編をどうぞ!」
キャ「無理矢理終わらせるな!」


逃亡のアルケミスト

―――暴風が、直撃する。

 

「うわぁぁああ!!」

それを諸に喰らい、吹っ飛ぶ響。

巻き起こる土煙が晴れる中、抉られた地面に倒れ伏し、しかし立ち上がろうとする響の姿があった。

しかし、その身にシンフォギアを纏わず、おそらく先ほどの一撃の直撃を受けたことが容易に伺える。

「何故シンフォギアを纏わない?戦おうとしない?」

キャロルが、彼女にそう問いかける。

「戦う・・・よりも・・・」

それに対して響は、問いを投げ返す。

「世界を壊したい理由を聞かせてよ」

その問いかけに、キャロルは一度、むっとしたような顔になり、次にはその一歩を空中へと踏み出し、その身を宙へ放り出す。しかし、その落下は非常に緩やかであり、キャロルはそっと、砕かれ地面に突き刺さる瓦礫の上に立つ。

「理由を言えば受け入れるのか?」

そして、キャロルは再び、響にそう問いを返す。

「私は・・・戦いたくない!」

響は、うつむいて、そう叫ぶ。

その答えが気に食わないのか、歯を食いしばり、キャロルは叫ぶ。

「お前と違い、戦ってでも得たい真実が―――オレにはある!」

その視線は、響を軽蔑するように見下していた。

 

 

 

 

 

 

 

そして―――

「あ?なんだありゃ?」

男が一人、その光景を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

クリスの家を出て、帰路につく未来たち。

「あーあー、せっかくせっかくみんなでお泊りだと思ったのに~」

板場がそう不満の声をあげる。

「立花さんたちが頑張っているのに、私たちだけ遊ぶわけにはいきませんから」

そんな板場を、寺島が咎める。

「ヒナが、きねくり先輩の家の合鍵をもってたから良かったけど。でも、どうしてもってたの?」

そんな中で、ふと安藤がそんな疑問を未来にぶつける。

それに未来は、思わず口ごもる。

「え・・・そうだよね。どうしてだろう?前に響から預かってたんだったかな?」

「ちょっとこちらの都合で、ね」

と、誤魔化すかのようにそう言う未来に、セレナがそう助け船をだす。

「ふ~ん・・・」

その返答に安藤はそう呟くも、そこで切歌が口を挟む。

「じゃあじゃあ先輩がた!アタシらはこっちなのデース!」

「誘ってくれてありがとう」

「失礼するデース!」

「あ!?切ちゃん!?」

と、まるで急ぐように調の手をとって走り出す切歌。

「バイバーイ!」

「気を付けてね」

「ちゃんとまっすぐ帰るんですよー。勝手に事件現場いったら説教ですからねー!」

そう、二人を見送った後で、

「さて、コンビニでおむすびでも買ってこようかな?」

「あらあら」

「まあまあ」

「てっきり心配しているのかと思ってたら」

「信じているんですね・・・」

意外な未来の反応に、四人は三者三様に驚く。

「響の趣味の人助けだから平気だよ。むしろ、おなか空かせて帰ってくるほうが心配かもね」

その未来の後ろを、モノレールが走りすぎる―――

 

 

 

 

 

 

ヘリが夜空に飛び上がるのを見送り、クリスと龍我は、芝生の上にたたずむ。

『火災マンションの救助活動は響ちゃんたちのおかげで順調よ』

耳のインカムから友里がそう情報をくれる。

「ふん、あいつらばっかにいい恰好させるかよ」

「さっさと例のやつぶっ飛ばして、この事件もさっさと終わらせて―――」

と、龍我が言いかけた瞬間――――

 

 

コインが弾かれる音がした。

 

 

次の瞬間、クリスと龍我の背後でヘリが爆発。爆炎を巻き上げて、その残骸が落下していく。

その光景に二人は思わずヘリの方を向き、しかしすぐに前方上方を見上げた。

そこに立つのは、なんとキメッキメのポーズをとる、一人の女性の姿があった。

まるで人形のような美貌を持つ女性だ。

「この仕業はお前か?」

その返答に、女は答えず。それにクリスは思わず歯噛みする。

その様子を陰から見る、一人の子供の姿があった。

「あれは・・・」

次の瞬間、女が何かを飛ばし、それがクリスと龍我の足元を、そしてクリスの頬を掠める。

それは、まさしく宣戦布告。

その手には、コイン。

「こちらの準備はできている」

あからさまな挑発。

「抜いたなぁ・・・だったらこっちも貸し借りなしでやらせてもらう」

「こんだけ派手に暴れてくれたんだ。それ相応の覚悟はしてもらうぜ!」

そうして、龍我はスクラッシュドライバーを腰にあて、クリスはシンフォギアのペンダントを取り出す。

 

『スクラァッシュドライバァー!!』

 

「あとで吠え面かくんじゃねえぞ!!」

龍我がポケットからドラゴンスクラッシュゼリーを取り出し、それをスクラッシュドライバーに装填する。

 

『ドゥラゴンジュエリィーッ!!』

 

まるで何かを叩くかのような待機音が鳴り響き、ファイティングポーズをとる龍我と共に、クリスが聖詠を唄う――――

 

「変身ッ!!」

 

「―――Lillter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)―――」

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

ドゥラゴン・イン・クロォォズチャァァジッ!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

龍我が巨大なビーカーの中にすっぽりと入り、その中を青いジェル状の液体が満たしたかと思えば、それが一気に龍我に纏わりつき、白いスーツを形成。そして、頭部の噴出口から青いジェルが飛び出し、それが一気に白いスーツに纏わりつき、半透明の鎧を形成する。

それが、龍我の変身する仮面ライダークローズ―――その強化形態クローズチャージへの変身である。

そして、クリスはその身を赤い戦装束へと身を包み、まるでリボンが纏わりつくかのような装着によってインナー、アーマーを纏っていく。

そしてその手にボウガンを握り、その変身を完了する。

それが、クリスの纏う、シンフォギア『イチイバル』の起動である。

戦闘準備が整ったところで、クリスとクローズは先手必勝とばかりに、二丁のボウガンとビームモードにしたツインブレイカーで女を打ち抜こうとする。

 

「―――鉛弾の大バーゲンっ!!」

 

しかし、女はまるでブレイクダンスを踊るかのようにその乱射を見事に躱しきって見せる。

その動きは、まさしく人間離れしたのも。否、それ以上の、化け物のような身体能力だ。

それが証拠に、クリスの放つ光の矢をその嵐の中を見事に両手でそれぞれ一本、二本もつかみ取って見せる。

しかし、それは即ち―――

「やりやすい!!」

手加減する必要はないということだ。

であるならば、ボウガンを変形、さらに高速な連射が可能な状態にしてクリスは女に向かって乱射。

その間にクローズはツインブレイカーをアタックモードに変形、突撃する。

クリスの乱射に対して女は両手にあるだけかかえたコインを指先で射出。まさしく弾丸を超える威力で放たれたコインはクリスの射撃をものともせずに打ち合う。

その間に、クローズは一気に女に近付こうと走る。

何発か、クローズの方にコインが飛んでくるが、それをクリスが全て迎撃、クローズを止める事は出来ない。

さらに、クリスの歌によって強化されたクローズの身体能力は通常よりも格段に向上している。

だから、そうそうに後れを取ることはない―――が、突如としてクローズの横から何かが飛び出してくる。

「ッ!?」

その存在に気付いたクローズは思わずその何かに対して防御姿勢をとる。

次の瞬間、わりと本気の威力で蹴りを喰らったクローズは地面をごろごろと転がる。

「ッ!?龍我!?」

突然の乱入者。

この戦いに入ってくる不届きもの。それは一体――――

「仮面ライダークローズ、万丈龍我だな」

それは、顔面を鉄仮面で覆い、赤のローブを纏った一人の男。

手も鉄の爪のようなもので覆い、まさしく悪役といった風体だった。

「それがなんだ、ってんだよ!」

なぜかバケツが頭にはまってしまいそれをどうにか外すクローズがそう返答を返す。

「お前には、ここで死んでもらう」

「はあ?そりゃ一体どういう―――」

次の瞬間、クローズがツインブレイカーを持つ左手を振りぬき、飛んできた何かを弾く。

それは、一本の針―――

「テメェ・・・」

「言った筈だ。お前にはここで死んでもらうと!」

次の瞬間、男はクローズに向かって走り出す。

「チッ!クリス、そっちは任せたぞ!」

「お、おう!」

襲い掛かってくる男の猛攻。それを龍我は巧みに躱し、反撃に拳を突き出す。しかし拳が直撃する前に後ろに飛び、躱す。

クローズはそのまま追撃、激しく拳を繰り出すも、男はまるで幽霊のような動きでのらりくらりと躱し、すかさず倒れ気味に蹴りを繰り出してくる。

それを紙一重でクローズは躱し、大きく下がる。

その一方でクリスは女と激突。ガンカタで接近戦に持ち込み、激しく鎬を削る。

その最中で女がビルの壁に着地、クリスは先ほどまで女が乗っていた建築物の上に立つと、右のボウガンを三連二門のガトリングガンへと変え、そのまま女に連射。

それを女は壁をジグザグに走って躱し、クリスに接近しようと飛び上がったところ、クリスが腰部のギアを展開、小型ミサイルを一気にぶっ放す。

 

MEGA DETH PARTY

 

直前、クローズもアクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

スクラップブレイクッ!!!』

 

その行為に目を見開く女と男。しかし、そうしている間にミサイルは女に殺到し、直撃、炸裂。

一方のクローズのスクラップブレイクは恐ろしい速度で接近したために男は回避が間に合わず、そのまま拳の一撃を貰い、吹っ飛んで壁に叩きつけられ、砕かれた瓦礫の下敷きになる。

確かな直撃。だが、それでも二人の表情は緩んではいなかった。

 

 

 

 

 

 

女が微笑を零す。

「聞いてたよりずっとしょぼい歌ね。確かにこんなのじゃ、やられてあげる訳にはいきませんわ」

その言葉に心乱すことなく、翼は刀を突きの構えに持つと、一気に突進。

しかしすかさず返しが来て刀を上空へ弾き飛ばされる。しかし、それは翼の講じた策。

翼の手を離れたその刀が空中で回り舞い、突如として巨大化―――『天ノ逆鱗』となって真下の女性を一気に押し潰す。寸前で剣を掲げて防いでいたところから、おそらくは―――

「下に叩き落としただけだろうな」

シンがそう呟く。そして、しばし思考を巡らせた後で、シンはマリアに目配せをする。

それにマリアは意図をすぐさま理解し、うなずき、翼の元へ駆け寄ったかと思うと、その腕をいきなり掴み、そして引っ張って走り出す。

「え!?」

「引くわよ!翼!」

「急げ!」

「えぇえ!?」

何がわからず混乱したままの翼を他所に、三人は通路を駆け抜けていく。

 

 

 

 

暗闇の中、煌めく刃がビルドを襲う。

しかし、それをビルドは右のゴルドライオガントレットで防ぎつつ、敵に接近、左手の四コマ忍法刀で斬りかかる。

しかし、それをいとも容易く躱され、されどビルドは追撃をやめない。

トリガーを三回引く。

 

『風遁の術!―――竜巻切り!』

 

放たれる暴風の一撃。巻き起こった竜巻が、周囲の壁にひびを入れながら一気に女性に迫る。

「くっ!」

それを見た女は操っていた柄が球体の剣の切っ先を自分の真上に向け、一気に天井を貫通。その穴に自らも飛び込み、ビルドが巻き起こした竜巻を躱す。

すかさずビルドもそのあとを追い、屋上へと逃げた女を追い詰める。

「あんな事言ってた手前、大した事ないんだな」

「流石は仮面ライダー・・・といった所でしょうか。素晴らしい手数です。しかし、その程度では私には適いませんよ」

そう女が言うと、先ほど操っていた剣とは別の、浮遊する三つの球体がさらに現れる。

「そうかよ。だったら―――」

 

海賊!』『電車!』ベストマッチ!』

 

すぐさまボトルを入れ替える。

 

『Are You Ready?』

 

「やってみろ!ビルドアップ!」

展開されたスナップライドビルダーがビルドを挟みこみ、新たなフォームを実現させる。

 

定刻の反逆者海賊レッシャー!』

 

海賊レッシャーフォームへと変身したビルドは、その手にカイゾクハッシャーを掲げて、一気に女とぶつかる。

「話はベッドで聞かせてもらうぞ!」

「その前に貴方は棺桶に入りますがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

爆炎燃え上がる中、クリスとクローズは、それぞれの敵を睨みつけていた。

「もったいぶらねえでさっさと出てきやがれ!!」

「どうした?その程度かぁ!?」

そう叫べば、煙が晴れて、何かしらのバリアを張っていた女が姿を現す。

その直後に男が瓦礫を押しのけてその姿を現す。

どちらも無傷だ。

「どうやら舐めていたようだ・・・」

男がそう呟いた瞬間、女が動く。防御に使っていたコインが地面に落ちると同時にその手からほぼノーモーションでコインを射出。そのどれもがクリスだけでなくクローズも狙っていた。

「チィッ!」

「うぉお!?」

それを躱していると、唐突に無線に連絡が入る。

『何があったのクリスちゃん!?龍我君!?』

「敵だ!敵の襲撃だ!そっちはどうなってる!?」

その無線にクリスが応答。反撃はクローズが担当、ツインブレイカーをビームモードにして女に向かって撃ちまくっていた。

だが、その最中で―――

「危ない!」

どこからともなく声が聞こえ、思わずその声の主を探すが、何やら上から音がすると思い見上げれば、そこからは港に停めてあっただろうモーターボートが何台も落ちてきていた。

「なんの冗談だぁぁぁあ!?」

「ッ!逃げるぞ!」

「え?うおあ!?」

すぐさまクローズが回避行動に入ってクリスを抱えて走り出す。

直後、クローズの背後でモーターボートが落下、爆発し、爆風で二人を吹き飛ばす。

「うぉぁぁぁあ!?」

「うわぁぁああ!?」

悲鳴があがり、そのまま吹き飛ばされる二人。

「私に地味は似合わない・・・」

その様子を見下ろす女。

「だけど、これは少し派手過ぎる」

女が見る先、霧に紛れて、何か、巨大な影がモーターボートを持ち上げていた。

「あれがレイアの()か・・・」

ふと、その最中で男がそう呟く。

「あとは私が地味にやる・・・」

そう言うと、その影は闇に溶けて消えていき、その手にもっていたモーターボートも海面に落ちる。

「俺の事も忘れてもらっては困るな」

そうして、その巨大な影が消えた直後で、男が女―――レイアにそう声をかける。

「確かに、マスターとお前たちは協力関係にある、が未だ信用したわけではない。今は手を組んでいるが、下手な真似をすればすぐに排除する。そこのところを忘れるな」

「わかっている。お前たちは予定通りに()()()()()()()()()に着手してくれればいい。俺たちも予定通り()()()()()()()()()に専念しよう」

男が、その鉄仮面の下でほくそ笑む―――

 

 

 

 

 

夜の交差点にて、調と切歌は、家に戻る帰路についていた。

そんな中で、二人は思い出す。

『二人は留守番だ!LiNKERもなしに、出動なんてさせないからな!』

クリスに言われた言葉。それは、確かに正しく、そして彼女なりの気遣いの込められた言葉だというのは、これまでの生活からずっとずっと理解している。

「考えてみれば、当たり前のこと・・・」

「ああ見えて、底抜けにお人好しぞろいデスからね」

フロンティア事変の後、拘束されていた彼女たちの身柄を引き取ったのは、他でもないS.O.N.Gだった。

敵だったはずなのに、まるで友達と接するかのように、そんな憂いなんてなかったかのように、彼らは自分たちに優しくしてくれた。

それが保護観察だったのだとしても、学校にも通わせてもらい、何一つ不自由の無い生活をさせてもらっている。

「F.I.Sにいた頃には想像も出来ないぐらい、毎日笑って過ごせているデスよ」

信号が、赤から青に変わり、周りの人々が、我さきにと、目の前の横断歩道を渡っていく。

その中で、調と切歌は、その場に立ち止まっていた。

「・・・・なんとか、力になれないのかな・・・?」

調が、そう呟く。

「なんとか、力になりたいデスよ」

切歌が、そう返す。

「力は、間違いなくここにあるんデスけどね」

そう言って、服の下に隠していたペンダントを取り出す切歌。だが、使えない。

LiNKERもなしにギアを纏えば、その負荷に体が耐え切れず、自らを壊してしまう。

その点、ライダーシステムは一定の条件さえ満たせば、シンフォギアほどの負荷なく使用は可能だ。

現に、慧介はスクラッシュドライバーで変身して、人を助けている。

ライダーと、自分たちの決定的な違い―――。

「でも、それだけで何も変えられなかったのが、昨日までの私たちだよ。切ちゃん」

そうして、調がそう呟いた直後だった。

街の巨大モニターから流れるニュースに、響たちが向かったであろう事件現場の様子が映し出されていた。

『都内で発生した高層マンション、及び周辺火災の続報です』

それに、二人は思わず注目する。

『混乱が続く現場では、不審な人影の目撃が相次ぎ、テロの可能性も指摘されています』

そのライブ中継の中で、マンションの火災とは別に、空中で何かが爆発するかのような映像も映し出されていた。

それに、二人は思わず声を上げる。

「今の・・・」

「空中で爆発したデス!」

「何か、別の事件が起きてるのかも・・・」

切歌の言葉に、調はうなずく。

「だったらやることは一つデス!」

「うん、行こう、切ちゃん」

そう言い合い、走り出そうとした時だった。

「――――俺も行こう」

突如として、知らない男性の声が二人を呼び止めた。

 

 

 

 

 

 

モーターボートが爆発している状況を、近くの草むらに隠れて様子見をするクリスとクローズ。

その構図は、座り込むクローズの足の間に自らを持たれかけさせている、という構図だが、先ほど横抱きしてしまった為に、こういう構図になってしまったのは、致し方ないと言えるだろう。

「はちゃめちゃしやがる・・・」

「どっから飛んできたんだあれ・・・」

「大丈夫ですか?」

「ああ・・・ってぇ!?」

「ん?・・・うおぁ!?」

突如として声をかけてきた人物の方を見たクリスとクローズは、その恰好に思わず驚く。

なぜなら、その者が身に着けているのは、裾に紫のラインが入ったローブと、Tバックとしか思えないパンツしか身に着けていなかったからだ。

実質ほぼほぼ全裸である。

「あ!?龍我は見んな!」

「お、おう!」

思わずクリスがクローズの仮面を手で覆い、クローズは全力で視線を逸らす。

「おまっ、その恰好・・・!」

「貴方は・・・」

その少女?がそう言いかけたところで、クリスは慌てて弁明を始める。

「あ、アタシは快傑うたずきん!んでもってこいつは相棒のドラゴン仮面で、国連とも日本政府とも全然関係なく、日夜無償で世直しを―――」

そう、まくしたてるように言い訳を捲し立てるが、少女は、すぐさまクリスたちの正体を言い当ててみせる。

「イチイバルのシンフォギア装者、雪音クリスさんと、仮面ライダークローズの万丈龍我さんですよね?」

「「ッ!?」」

その言葉に―――否、その声に二人は思わずその少女の方を見る。

「その声、さっきアタシたちを助けてくれた・・・」

少女が、フードを脱ぐ。

「ボクの名前は『エルフナイン』。キャロルの錬金術から世界を守るため、皆さんを探していました」

その言葉に、二人は茫然とする。

「錬金術・・・だと?」

「・・・・って、なんだ?」

わかってた、というように、クリスはクローズの言動にずっこけた。

 

 

 

 

 

 

 

錬金術―――科学と魔術が分かれる前の、超古代のオーバーテクノロジー。

いわゆる、シンフォギアとは別系統の異端技術だ。

それを言うならば、ライダーシステムもある意味人智を超えた異端技術の一つでもあるのだが、それは今は置いておこう。

今問題なのは―――

「戦ってでも欲しい真実・・・?」

目の前の少女―――キャロルの言葉に、響は動揺を隠せない。

「そうだ。お前にもあるだろ。だからその歌で月の破壊を食い止めてみせた。その歌で、シンフォギアで、戦ってみせた!」

まるで糾弾するかのようなキャロルの言葉に、響は思わず反論する。

「違う!そうするしかなかっただけで、そうしたかった訳じゃない・・・私は、戦いたかったんじゃない!シンフォギアで、守りたかったんだ!」

結局はそこに行きつく。立花響は、倒す為に戦うのではなく、守るために戦っている。

その守るべきものがないのなら、響は、戦う事は出来ない。

それが、キャロルの癪に障ったのか。

「それでも戦え」

次の瞬間、キャロルの足元に、新たな魔方陣が形成される。新たな錬金術だ。

「お前にできる事をやってみせろ」

「人助けの力で、戦うのは嫌だよ・・・」

それでもなお、響はシンフォギアを纏わない。やはり、それがキャロルにとっては癪に障るのか、

「お前も()()()()()()()()()()口なのか!?」

足元と頭上、明らかに先ほどよりも強力な錬金術の発動が、今目の前で引き起こされている。

このまま発動すれば、響はただでは済まないだろう。

しかし、それでも響は戦う意思を見せない。

「・・・だって」

訴えかけるように、響は、キャロルに言う。

「さっきのキャロルちゃん、泣いてた」

「ッ!?」

それを聞いたキャロルは目を見開く。

まるで、知られたくない真実を知られてしまったかのような、そんな衝撃を受けていた。

「だったら、戦うよりも、その訳を聞かないと!」

そうでなければ、戦えない。

だが、それ以上に、キャロルは―――

「見られた・・・」

 

――――その事に激怒していた。

 

「知られた、踏み込まれた・・・!!」

怒りに歯を食いしばり、錬金術を発動。

「世界ごと―――!!」

展開されるは地の方陣。書き込まれる術式は地の術式。

そして起動されるは、大地を吹き飛ばす破壊!!

「ぶっ飛べェ―――――!!!」

そして発動する、錬金術は、響を――――

 

 

スクラップフィニッシュッ!!!』

 

 

―――錬金術が炸裂し、響がその爆風に思わず手を掲げてしまうも、襲ってくるだろう衝撃はなく、恐る恐る目を開けてみる。

するとそこには――――

「大丈夫か?」

―――真っ黒な城の化け物がいた。

否、それは一体ではない。

ふくろうのような怪物、クワガタのような怪人。

真っ黒な様子だが、しかしその体には、赤、黄、青とそれぞれのラインが体に入っていた。

「よかった。無事だった」

「カシラぁ!無事でしたぜ!」

響は、その三体を―――否、その三人を知っていた。

そして、視界の奥、こちらに背を向けて佇む、黄金色の人影の姿を見た。

その人物を、響は、知っていた。

「・・・カズミンさん・・・」

 

 

仮面ライダーグリス――――猿渡一海。

 

 

そしてこの三人は、彼の部下である三羽ガラス。

その四人が、何故かこの場に集結していた。

「―――よぉ、俺に内緒で何楽しんでんだ?」

見れば、グリスの立つ地面だけはどういう訳か抉れていなかった。まるで、迫りくる衝撃に対して真正面から別の衝撃を叩きつけ、それで左右にちらつかせたかのような跡だ。

そして、その惨劇を引き起こした張本人はというと。

「はあ・・・はあ・・・」

流石にあれほど強力な錬金術を行使した為か、疲労が目に見える。

しかし、それでも態度は崩さずに、グリスを睨みつける。

「仮面ライダーか・・・!!」

「おう。仮面ライダーグリス。言っておくが俺はガキでも容赦しねえぞ」

「そして俺たちは北都三羽ガラスだ!」

「て、おーいもう北都はないんだからそこは猿渡ファームでいいでしょ」

「ん?それもそうか」

なんとも気の抜ける。

だが、その間に流れる空気は一触即発そのもの。

しかし、そんな空気に割り込んででも、響は尋ねたかった。

「どうして、世界を・・・」

「ああちょっと!」

前に出ようとする響を、オウルハザードスマッシュが止める。

「ああ?」

「父親に託された命題だ」

響の問いかけに、キャロルは答える。

「お前にだってあるはずだ」

「え・・・」

その言葉が、響をどうしようもなく揺らがせる。

「お父さんに・・・」

「おい?何勝手に話し進めてやがる」

そこへグリスが割り込み、指をくいくいとまげて挑発する。

「そっちから来ねえならこっちから行くぞ」

「だ、だめですカズミンさん・・・!キャロルちゃんとは・・・」

「戦場で何を呑気な事言ってやがる」

グリスはツインブレイカーを構えて、キャロルと対峙する。

「仮面ライダー・・・今後の計画に支障を来しかねない存在だ・・・今ここで排除を・・・」

「面倒くさいやつですねぇ~」

気付けば、鉄橋の上に、青いゴシック衣装に身を包んだ少女が座っていた。

「カシラ!あそこ!あそこにゴスロリ少女が!」

「ああ?」

その登場に興奮する猿渡ファーム一行。

だが、それを他所にキャロルはその少女に言葉を投げ返す。

「見ていたのか・・・性根の腐ったガリィらしい」

そう言った直後に少女―――『ガリィ・トゥーマーン』はキャロルの傍に着地する。

そして、まるでバレリーナのような動きをしながら弁明を人を食ったような態度で話し始める。

「やめてくださいよぉ。そういう風にしたのはマスターじゃないですかぁ」

「・・・『思い出』の採集はどうなっている?」

「順調ですよぉ。でもミカちゃん、大喰らいなので足りてませぇん!」

嘘泣き感丸出しな様子。

「思い出?」

グリスが首を傾げている間に、二人は話を進めていく。

「なら急げ、こちらも出直しだ」

「りょうかーい」

次の瞬間、二人の間に光弾が通り過ぎる。

「俺を無視すんなゴラ」

明らかにご立腹な様子のグリス。

「ちょ!?カシラ!相手は子供なんですよ!?」

「この惨状を見て子供なんて言えるかよ」

グリスはこう見えてもバトルジャンキー。戦いを求める戦闘狂だ。

だから、こういう事は仕方がない。

「・・・どうします?」

「確かに仮面ライダーは計画の障害になりかねない・・・仕方がない」

グリスを見下すキャロルが、その手に何かを持ち、それを周囲にばらまく。

それは、一見してビー玉サイズの、しかし不規則に切り落とされたかのような形をした何かの塊。

それが地面に落ちて、割れ、そこから何かが出現する。

「なんだぁ?」

その間に、ガリィは何か液体のようなものが入った小さなガラスのカプセルを取り出すと、それを地面に叩きつけて割る。するとそこから赤い魔方陣が展開される。

「さよならぁ」

その魔方陣に足を踏み入れたガリィは、次の瞬間、その場から跡形もなく消える。

「な!?」

「消えたぁ!?」

それに驚く暇もなく、グリスたちの周囲に奇妙な形をした何かが現れる。

それは―――

「の、ノイズ!?」

 

――――ノイズだった。

 

「カシラ!こいつらノイズですよ!?」

「どういうこった・・・ノイズは戦兎たちがまとめて消したんじゃねえのかよ!?」

動揺を隠せないグリスたちに、キャロルは告げる。

「お前たちの相手はそいつらだ。そして、次は戦え」

茫然としている響に、キャロルは告げる。

「でなければ、お前のなにもかもを打ち砕けないからな」

そう言って、キャロルも先ほどガリィが使用したものと同じカプセルを投げ砕き、その場から消える。

「消えた・・・」

「へっ。まあいい。俺も丁度ノイズって奴らと戦ってみたかったんだ」

グリスが手をぱきぱきと鳴らし、戦闘態勢に入る。

その最中で、響は―――

「たくされた・・・」

その場で膝をつき、キャロルが先ほどまでいた虚空を見つめ続け、うわ言のように呟く。

「私には・・・お父さんからもらったものなんて・・・()()()・・・」

「!?」

まるで、処理しきれない事態に、脳が追い付けず、強制的にシャットダウンするかのように、響はその場に倒れ、気を失う。

「うわぁああ!?響ちゃーん!」

「こんなところで寝ちゃまずいって!」

「テメェらはそこでそいつら守ってろ」

グリスが、三羽ガラスにそう言い、一人でノイズの集団の前に立つ。

 

 

 

「さあ―――祭りの始まりだァ!!」

 

 

 

 




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

再び出現するノイズ。

「いい加減説明してもらいたいところだ」

襲い掛かってきたオートスコラーから逃走する翼たち。

(それでも、そんな事が私の戦いであるものか!)

その最中で己の所業を悔いるマリア。

「アハ、聞いてた通りだ」

次々と襲い掛かる、新たなる敵。

「まだまだ全然足りねえなァ!!」

そして、その時、新たなノイズの猛威が振るわれる。

次回『脅威のアルカノイズ』

「ジャック、会いたかった・・・」







シンフォギアXDイベントほんの少しやってみての感想。(ネタバレ注意)


切「風鳴訃堂(きゃびゃにゃりひゅど)ぉぉぉおおぉぉおお!?」Σ(゚Д゚)
切「そして誰デスかこのおじいちゃんはぁぁああ!?」
切「そしてメックヴァラヌス思った以上に弱すぎなのデス・・・」



訃堂でてきた時にはマジで心臓止まるかと思った。

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