愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「とうとうウルトラマンともコラボを始めやがったシンフォギアェ・・・」
一「ここまで来たんなら仮面ライダーともコラボしてほしいよな」
響「出来るとしたらジオウかディケイドですよ・・・?」
未「あるいは今ホットなゼロワンかな」
翼「最近、コロナ騒ぎで戦隊の方が何やら大変なことになっているようだが・・・ちなみに作者は戦隊に興味はなく、見ていたとしてもシンケンジャーまでです」
ク「確かもってた玩具が旧型のディケイドライバーとゲキレンジャーの合体ロボだっけ?」
龍「確か、はじめは戦隊ものにハマってて、その後にライダーにハマって、んでもってドライブまで見て、それでジオウでライダー魂が再燃したんだっけか?」
響「あ、ちなみに作者は忘れやすい性格なのでこの記憶に確証はありません」
戦「まあ何はともあれ、パンドラボックスによって引き起こされたスカイウォールの惨劇から十一年、新世界を創造した仮面ライダービルドこと天っ才物理学者の桐生戦兎は、突如襲い掛かってきた錬金術師とアルカノイズに対抗するために、シンフォギアとライダーシステムの強化に乗り出したのであった」
響「そこへ襲い掛かる錬金術師とデイブレイク社の魔の手、どうにかこうにか完成したライダーシステムでグリスとローグは撃退に成功したんだけど、何故か基地に現れた人たちだけはものすごく強いんだよね・・・」
翼「それをもって、私たちの予想を裏切って、運命とでもいえばいいのかの如く、小日向未来がシンフォギア『神獣鏡』を纏ったのであった」
未「その私の活躍が見られるシンフォギア・ビルドGX編第九話をどうぞ!」
響「未来が自分を誇示した!?」


臆病者たちの償いとプライド

未来がシンフォギアを纏った。

 

それは、その場にいる者たちに、確かな衝撃を与えた。

「おいおい一体どうなってんだ!?」

予想外の装者の出現。それにデイブレイク社の二人は動揺を隠せない。

「シンフォギアは全部で六つの筈だろ!?」

「まさか、消滅した筈の七つ目・・・だが、奴らにそれを手に入れる手段はなかった筈だ!?」

完全なる想定外。それほどまでに、未来という『切り札(ジョーカー)』は彼らの意表を突き、

 

「―――閃光、始マル世界、漆黒、終ワル世界」

 

未来が先手を取った。

放たれたのは、未来がその手に取った鉄線を円状に掲げて放たれる散乱する光―――

 

閃光

 

それらが、いつの間にか展開されていたミラーデバイスによって反射、ほぼ無数と言える光が乱射し、残っていたアルカノイズを纏めて消し飛ばす。

そのまま、全方位からテラーとロジャー、そしてミカを狙い撃つ。

それに対してミカは展開したカーボンロッドの壁で防御、一方ロジャーは回避を選択し、テラーは正面から迎え撃つ。

彼の纏う『ネメアーの獅子』の特性は不死性と防御力。纏う事によってその身に不死を与え、その上、ありとあらゆる攻撃を無効化するに等しい防御力を与え、実質絶対的な無敵性を付与する力がある。

それをもってすれば、たかが光線が殺到した所で、何の意味もない――――

「馬鹿、避けろ!」

そう、テラーが避ける事を選択しなかったのは、ネメアーの獅子の特性に頼り切っていたから。

対して未来の纏う神獣鏡は『聖遺物殺し(レリックキラー)』の異名を持つ、聖遺物に由来する力の分解を主とする。

即ち―――

「ぐあぁぁあ!?」

ネメアーの獅子の不死性は、無効化される。

「ぐあぁあ・・・何故だぁ、何故ネメアーの獅子の毛皮が・・・」

「勉強不足ですね。私の纏う神獣鏡は全ての聖遺物を分解する。その毛皮が聖遺物というのなら、このシンフォギアは容赦なく分解する!」

物理的攻撃力に特化しているほかのシンフォギアとは全くの一線を画す神獣鏡のシンフォギア。

その特殊性故に、その戦闘能力は他のと比べ劣り、全シンフォギア中、最弱と揶揄されども、同時にその特性故に最凶と謡われている。

戦闘能力を捨て、特殊能力に特化したギア。

ステルス、ビット、光線、分解など、他のシンフォギアにはない機能を備え持っている。

故に、聖遺物を使う者にとって、未来という存在は、あまりにも―――天敵過ぎた。

「チィッ!だったらテメェを先にぶっ殺してやる!」

ロジャーがその体から蛇を生み出し、一気に未来に迫らせる。

「装者は七人もいるんだ。ついでお前は計算外のイレギュラー!イレギュラーを排除した所で、別になんのお咎めもなしだよなァ!!」

蛇は恐ろしいスピードで未来に迫る。しかし、

「その程度で、」

なんのアクションも起こしていない筈の未来。その全く別方向から神獣鏡の光線が降り注ぎ、一瞬にして蛇たちを消し飛ばす。

「私を仕留められると思ってるんですか?」

「な・・・ん・・・!?」

やけにあっさりと防がれた自分の攻撃に、ロジャーは動揺を隠せない。

何故なら、あの蛇は迎え撃つ為に放たれた攻撃を勝手に避けるようにプログラムしておいたのだ。

それが、その蛇が反応できない角度とタイミングで、こうもあっさりと倒されてしまえば、驚くのも無理はないだろう。

「今度はワタシが相手だゾ!」

しかしすかさず今度はミカが強襲。

未来の背後からカーボンロッドを振り下ろす。

それを未来は振り向いて対応。

 

Trace on(模倣開始)―――Battle Model CROSS-Z』

 

後頭部にあるヘッドギアパーツが瞳孔のように可動。

すかさず未来はその振り下ろしを回避。続けて振るわれる横なぎを下がって躱し、そして続く突きを掻い潜り、そして、右腕に帯を任せて―――力任せにそのどてっぱらに拳を叩き込む。

「うごほ!?」

そして、左手にもちかえた鉄扇を両手で握り締め―――クローズがビートクローザーを振るうが如き動きで一気に薙ぎ払い、ミカを吹っ飛ばす。

「うわーお!」

寸でのところでカーボンロッドでその一撃を防いだミカ。しかし、その顔は嬉々として未来を見ていた。

「オマエ、へし折りがいがあるゾ!」

「へし折れるものなら折ってみろ!」

再びミカが未来を襲い、未来はそれを迎え撃つ――――

 

 

 

 

 

『ダイレクトフィードバックシステムを使い、俺たち仮面ライダーや装者の動きを模倣。それによって、戦闘技術を補い対応させる。さらに、クロが敵の動きやミラーデバイスを装者の代わりに操作、最適解をラーニングすることで、常に最善手で敵と戦う事ができる』

「さっき龍我みたいな動きしてたのはそういう事かよ」

発令所にて、未来が激しくミカと打ち合っている様子がうかがえる。

しかし、未来の動きはたびたび変わっており、クローズの動きに似ているかと思えばグリスに、グリスに似ているかと思えば翼に、翼に似ているかと思えばビルドに、様々なバトルスタイルでミカと互角に渡り合っていた。

そして、その最中で、だんだんと未来がミカを超えるような動きをし始める。

それがまさしく、神獣鏡に搭載されたラーニングシステムとダイレクトフィードバックの合わせ技。

相手の動きを学習、予測し、今までのデータをもとに演算していく末導き出した最適解の戦闘法を実行する。

それこそが、戦兎考案のリンク・アニマルによって形作られたシンフォギア『神獣鏡』の力。

学習する度に強くなる。

低出力な反面、それをあまりあまって補う学習能力。

それが最凶とうたわれる所以――――

 

 

 

 

未来とミカが激しく打ち合う。

カーボンロッドの一撃を鉄扇を受け流し、すかさず回転を掛けて鉄扇を振るう。

その一撃がミカの腹に炸裂するかと思いきや、割とあっさりと下がられる。

そしてすかさず、未来のミラーデバイスから光線が放たれ、それがミカに襲い掛かる。

しかし、それをミカはカーボンロッドで迎撃。ミカの放つカーボンロッドは聖遺物ではない為、迎撃が可能なのだ。

だから未来の放った光はあっさりと防がれる。

「くっ」

(仕留めきれない)

機動性でならばこちらが勝っている。だが、根底の戦闘力や技術ならば、向こうの方が未だ勝っている。

他人の戦い方をトレースして戦う付け焼刃の自分とは、根本的に違うのだ。

「どうしたぁ?もう終わりか?だったらこっちからいくゾ!」

その次の瞬間、

「あぶねえ!」

「ッ!?」

未来の真横からアルカノイズが強襲してくる。

未来の使う神獣鏡は未だ対アルカノイズ用のバリアコーティングを施していない。

そんな状況でアルカノイズの一撃を受ければ、すぐさまシンフォギアが分解されて戦闘不能に陥る。

そんな敵に対して、未来が取った行動は――――

 

『Flare coating in arm』

 

左手を、掲げるだけだった。

 

「な!?」

「何を・・・!?」

その行為に、誰もが驚愕する。

対アルカノイズ用のバリアコーティングがされていないシンフォギアで、何故自ら受け止めるような行為に及んだのか。

その理由は、アルカノイズの解剖器官がその左手に直撃した瞬間に分かった。

未来の左手に触れたアルカノイズの解剖器官、しかし、未来に左手は、その左手に纏われたギアインナーは分解されなかったのだ。

その事態に、さらなる驚きが場を占める。

何故未来のギアが分解されないのか。

その理由は、未来に左腕に纏われた、僅かに見える青いオーラ。

「あれは・・・ドラゴンの炎?」

そして、その炎を扱うクローズだからこそ、それの正体に気付けた。

 

未来はシンフォギアを纏う前、クロにドラゴンフルボトルを装填していた。

これは、戦兎があえて隠した、リンク・アニマル第四の機能『フルボトルスロットの搭載』だ。

これにより、シンフォギアの戦闘能力をさらに向上。様々なバリエーションを生み出すことが可能なのだ。

 

未来がドラゴンフルボトルを使用した理由は、クロに対ノイズ用のバリアコーティングの他に、ドラゴンフルボトルの炎の力を新たなバリアとして二重展開することで、アルカノイズの解剖器官が直接、ギアに触れることを防ぎ、なおかつ―――逆に燃やすことを可能にした。

 

結果、ドラゴンの炎が未来の左手に触れたノイズを焼き払い、跡形もなく消滅させる。

 

アルカノイズが消滅。しかし、それでもアルカノイズの大群が未来に襲い掛かる。

いくらフルボトルによってアルカノイズの解剖器官を無効化できるとは言え、それでもビルドドライバーなどのライダーシステムに比べたら、劣化版と言って差し支えないほど。アルカノイズに解剖器官が効かないのは、クロが設定した身体機能の一部だけなのだ。

だから、設定を変更し、バリアコーティングを腕の帯に変更。それをもって、アルカノイズを叩き伏せる。

そのアルカノイズの陰を縫って、ミカがカーボンロッドを突き出す。

「ッ!?」

完全に懐に入られた。回避は不可能。防御も間に合わない。

だがしかし、それは未来とミカの間に現れた、謎の一枚の壁によって防がれる。

「盾!?」

否、それは―――

「なんと鋸!」

月読調の『鏖鋸・シュルシャガナ』だ。

巨大なヘッドギアから放たれるもう一方の鋸の一撃がミカを襲う。

一撃目はカーボンロッドで防ぎ、続く二撃目は躱し距離をとる。

「おおっとぉ?」

突然の乱入者。

「調ちゃん!」

だがしかし、未来の背後からテラーとロジャーが奇襲。

(まずはこいつから)

(仕留めてやるっ!)

聖遺物を分解する力を持つ未来を、確実に仕留めるつもりなのだ。

「ザババの刃は二つで一セット」

「「ッ!?」」

「その通りなの、デスッ!!」

その二人に向かって、今度は鎌の一撃が襲い掛かる。

それを寸でのところで躱す二人。

その鎌とは当然『獄鎌・イガリマ』。即ち――――暁切歌だ。

 

ここにきて、ザババの二刃コンビが登場する。

 

「未来さん、お待たせしました」

「いいタイミングだよ二人とも」

「こっから反撃開始デース!」

「切歌!?調!?なんで!?」

三人の元にクローズとタスクが走ってくる。

「慧くん・・・」

「どうしてここにいるんだよ!?LiNKERもないのに・・・」

「ごめんなさい慧介君。私がこうしたの」

二人をかばう様に、未来が前に出る。

「どういう事だよ?」

クローズが尋ねると、未来は話す―――

 

 

 

 

実は、龍我と慧介が出ていった直後、調と切歌もすぐに発令所を誰に気付かれるでもなく出たのだ。

「潜入美人捜査官眼鏡で飛び出して、一体何をする気デスか!?」

本部の廊下を駆けていく最中、切歌は調に尋ねる。

「慧くんたちのお手伝い」

「なんデスと?」

ギアを纏えないのにどうやって手伝うというのか。

その事を、説明しようとした二人の背後から、突如として声があがる。

「調ちゃん、切歌ちゃん」

「「ッ!?」」

聞き覚えのあるその声に、二人は立ち止まり、そして振り返る。

「未来さん・・・」

「何してるの?」

未来は、険しい表情で二人を見据えていた。

「あー、えっと、これは・・・」

「今重要なのは、強化型シンフォギア完成までの時間を稼ぐこと。だけど、きっと出てくるのはノイズだけじゃない。奴らもやってくる・・・」

オートスコアラーと、デイブレイク社。

そのどちらか両方がくるかもしれない。

いくら戦う度に強くなるスクラッシュドライバーと言えども、その力を凌駕する敵が現れれば、太刀打ちできるか分からない。

であるならば、せめてそのサポートに回って、時間を稼ぐ手助けになればと。

調にはそういう思惑があった。

「LiNKERもなしに、どうやって戦うの?」

未来は、二人にそう告げる。

「あてならある」

調はすかさず返す。

「え?そうなのデスか?」

「うん。この先にあるメディカルルームに、きっと・・・」

「それを使って、果たしてあなた達は戦えるの?」

しかし、未来は彼女たちにきつい言葉をぶつける。

「流されるだけだった、信念も何もないあなた達が、戦場に立って、その力を存分に振るえるの?」

それは、未来が彼女たちに告げる、厳しい言葉だった。

ただ、後ろで見ている事しかできない。だけど、待つ者の苦しみを知る、彼女の忠告。

それに、彼女たちは―――

「・・・確かにそうだった」

絞り出すように、調は言う。

「私たちは、流されるままに力を振るってた。成り行きに任せて、やけになって、ただ自分の力を誇示していただけだった。だけど、それでも今動かないと、私たちは一生このままなんだ。ここで動かなきゃ、私たちは、永遠に変われない!」

今までの悔しさを涙にして、調は未来に向かって吠える。

「これ以上、慧くんに引き離されるのは嫌、だから私たちは行きたいんです!」

「調・・・」

調の叫びに、切歌は調を見つめ、そして、すぐに何かを決意した表情になると、調の前に立ち、未来を睨みつける。

「何を言われようと、アタシたちは行くデス!それが、アタシたちの覚悟デス!」

「切ちゃん・・・」

そんな、二人に未来はしばし見つめ、やがてため息を一つ吐いた。

「仕方がない・・・」

そう呟いたと思うと、未来はポケットから一枚の紙を取り出す。

そして、それを二人に差し出す。

「これは・・・」

「LiNKERの隠し場所が書いてある」

「え!?」

その言葉に、二人は驚く。

「事前に調べておいたから」

「どうして、未来さんがLiNKERを・・・」

「私も色々あってね。・・・先行って待ってるから」

「キュールル!」

未来は二人にそう告げて、未来の背後に隠れていたクロがそう鳴き、そして二人の横を通って先に行く。

その後ろ姿を、二人は見えなくなるまで見つめていた。

 

 

 

 

 

「LiNKER model-K・・・ってそれ確か奏の奴か?」

「まあ・・・そんな所です」

未来はクローズの言葉にそう頷く。

「全く、何をしてるんだお前ら・・・」

「ごめんなさい・・・でも、いつまでも立ち止まったままなんて嫌だから・・・」

変われない事に対する焦りや不安が、今彼女たちをここに呼び込んだのかもしれない。

そして、それを知りながら黙認していた自分もまた、同じようなもの。

「分かった。一緒に戦おう、調、切歌」

タスクのその言葉に、調と切歌は顔を嬉しそうに綻ばせる。

「・・・大丈夫なのか?」

「今は、頼るべきだと思います。戦力が不足している今は」

アルカノイズの攻撃を受けても変身解除にされないクローズ、タスク、その上超高性能コンピュータたるクロのバックアップを受けて類稀なる戦闘能力を獲得している未来、そして、この中で劣るものの、強さはそれなりの調と切歌。

今この場で戦えるのは、この五人しかいない。

その最中で、突然、未来のバイザーが閉じる。

「クロ・・・?」

そうして、未来のバイザーに表示される、クロの提案する戦略―――

「・・・分かった。それで行こう」

それに未来がうなずき、再びバイザーを開き、未来は四人に向き直る。

「慧介君、調ちゃん、切歌ちゃんはミカの相手をして」

「いいんデスか?」

「奴は、その・・・響さんの・・・」

「うん、いいの。龍我さんはあの蛇の人をお願いします」

「別にいいんだけどよ・・・お前、大丈夫なのか?」

「大丈夫です」

未来は、テラーの方を見る。

「確実に一人は仕留めてみせます」

「作戦会議は終わったか?」

ミカが彼らににじり寄る。

「さっきは不意打ち喰らったが、今度は逃がさねえぜ」

「ムハハハ、どれほど数が揃おうと、貴様らが俺たちに勝てる通りはないのだぁ!」

ロジャーとテラーの二人も、ミカと挟み込むように立つ。

対立する二勢力。

「行きましょう」

「おう!」

未来とクローズが並び立つ。

「慧くん」

調は、タスクにLiNKERを手渡す。

「ん?なんで俺?」

「私は貴方に打ってもらいたい」

「アタシも、打ってもらうなら慧介の方がいいデス」

そう言って、切歌もタスクに自分用のLiNKERを充填した拳銃型の圧縮注射器を渡す。

 

 

 

 

「更にLiNKERを打ち込むつもりか!?」

「無茶だ!あれは、奏用に作られたLiNKER、その負荷は尋常じゃないんだぞ!?」

新たなLiNKERを打ち込もうとする調と切歌の様子に、騒然としていた。

「二人を連れ戻せ!これ以上は―――」

「やらせてやれ」

弦十郎の言葉を遮って、シンがそう言う。

その言葉に、弦十郎は言葉を詰まらせる。

「おい、お前何言って・・・」

その言葉に、クリスが喰ってかかろうとするが、それをマリアが止める。

「これは、あの日道に迷った臆病者たちの償いでもあるの」

「臆病者・・・?」

自分で何かを決められなかった、哀れな臆病者。

自らの意思で先陣を切り、敵であった戦兎を信じていたシンや、己の罪を自覚し、自分の都合で自分より圧倒的に強い龍我に一人立ち向かった慧介とは違う、まだ幼い少女たちの罪滅ぼし。

「臆病者たちの償い?」

その言葉に、マリアは頷く。

「誰かを信じる勇気がなかったばかりに、迷ったまま独走した私たち。だから、エルフナインやセレナがシンフォギアを、戦兎がライダーシステムを完全に蘇らせてくれると信じて戦う事こそ、私たちの償いなんです!」

そう言って、唇をかみしめるマリアの口端から、血が僅かに滴る。

その様子に、彼らは黙って、その戦いを見守る――――

 

 

 

 

 

「おいおい、これじゃあ話に聞いてたウェルのやり方と同じじゃねえか?」

「あの男と慧くんは違う。それに、慧くんは無理矢理やらないから」

「信用されたもので・・・ああ良いよ。どうなっても知らねえからな!」

そう言って、慧介は二人の首筋にそれぞれの注射器を押し付け、一気に中身を二人の体に注入する。

「「うぐっ!?」」

その瞬間、二人の体に、一瞬の異物の拒絶反応が起こる。

しかし、それを気にして第二種適合者はやってられない。

「あ・・・」

しかし、そんな中で調が口元に手をやり、自身の鼻から流れ出た液体に目をやる。

「・・・過剰投与(オーバードーズ)

「二人とも、大丈夫か?」

「鼻血がなんぼのもんかデス」

「よし、行こう!」

タスク、調、切歌が構える。

「うん、三人で、一緒に!」

戦いの火蓋が、切って落とされる。

「切り刻むデスッ!」

先陣を切るは切歌。鎌を二本取り出し、それを重ね合わせ、三日月形の刃が左右についた形の鎌を形成する。

 

対鎌・螺Pぅn痛ェる

 

それと同時に調が巨大な円鋸を展開。

「お?面白くしてくれるのカぁ!?」

その手にもった極太のカーボンロッドを投擲するミカ。

それを躱し、二人はミカに向かって走り出す。

それと同時に、クローズと未来が走り出す。

 

「危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath!?」

 

切歌が先陣を切り、未来がホバー能力によって前に出る。

ミカの放つカーボンロッドを肩アーマーのブースターによって加速すると同時に叩き落す切歌は、そのままその大鎌をミカに叩きつける。

ミカはそれをカーボンロッドで防御する。

しかし、LiNKERの連続投与で適合係数及びギアの出力が上がった今、その防御はすぐさま砕け散る。

それをミカは嬉々として回避する。

 

 

突っ込んでくる未来に対して、ロジャーが蛇を無数に放つ。

それに対して、未来は巧みに地面を滑り、襲い掛かる蛇を回避する。

だが、相手は作り出されたとはいえ生物。完全に避けきれる訳ではない。

だからこそ、未来は避けきれない蛇を帯をもって叩き落す。

 

残響

 

その一撃一撃が蛇を瞬く間に弾き飛ばしていく。

そのまま未来は蛇を掻い潜り、そのまま一気にテラーの脇を抜け、その腕に帯を巻き付かせる。

「なっ!?」

「貴方の相手は、私です!」

次の瞬間、未来は帯を使ってテラーを投げ飛ばす。

「テラー!?」

「お前の相手は俺だ!」

すかさずクローズがロジャーに拳を叩きつける。

「てっめ・・・」

「へえ、蛇に頼りっきりかと思えば、お前も中々鍛えてんじゃねえか!」

「くっそがァ!」

クローズとロジャーが激しく打ち合う。

接近戦に持ち込めば近接格闘に秀でているクローズの方が上だろう。

だがしかし、ロジャーはそれなりの格闘戦も出来るが本来ならば絡め手を得意とする。

即ち、蛇を使った死角からの奇襲攻撃。

「ぬぐあ!?」

蛇が背後からクローズの脇腹に体当たりをかます。

「おらよっ!」

そこへ極太の蛇を腕に巻き付かせたロジャーの拳がクローズに叩きつけられる。

それをどうにか両腕を交差させて防いだクローズだったが、その以外な威力に吹き飛ばされる。

(すぐにテラーの所に戻らねえと――――)

 

シングルフィニッシュゥッ!!!』

 

すぐさまテラーの元に向かおうとしていたロジャーの体に、突如として鎖が巻き付き、拘束する。

「そう簡単に行かせねえぜ・・・!」

見ればロックフルボトルをツインブレイカーに装填したクローズが鎖を出し、ロジャーを拘束していた。

「くっそがぁぁあ・・・!!」

その様子に、ロジャーは苛立ちをもってクローズを睨みつけた。

 

 

 

 

切歌がミカのカーボンロッドを粉砕、その背後からすかさずタスクが強襲。ミカは再び生成したカーボンロッドで対応し、しかしタスクは怒涛のラッシュでミカを追い詰める。

その拳はミカの生成したカーボンロッドにひびを入れ、再び砕く。

そしてすかさずタスクは後ろに飛び、調がヘッドギアから巨大鋸を投擲する。

 

γ式 卍火車

 

放たれる円盤。しかしミカはそれすらも生成したカーボンロッドで弾き飛ばす。

だがそんなミカにもすかさず車輪の鋸を展開。それに乗って一気にミカに体当たりをかます。

 

非常Σ式 禁月輪

 

それすらも真正面から受け止めるミカ。だが、適合係数が遥かに上昇した調の禁月輪は、ミカの持つカーボンロッドを容易く寸断する。

複数のギアが共鳴、同じメロディを奏で、複数の装者が同時に歌を唄う事で、バトルポテンシャルを通常の数段以上に引き上げる『ユニゾン』。

それをもってすれば、ミカとの戦闘力の差は埋められる。

対してタスクのスクラッシュドライバーは戦えば戦うほど強くなる。

先ほどミカに圧倒されていたとは言え、徐々にその差は埋められて行っている。

この二つの要因が重なれば、全オートスコアラー中最強のミカを退けられるのも、夢ではない。

 

 

 

テラーが想像以上の速さで未来に迫る。

「―――ッ!?」

それに未来は息を飲み、テラーの放つラッシュを紙一重で躱していく。

想像以上の速さ。先ほどは不意打ちで圧倒出来たとはいえ、相手は完全聖遺物。そのポテンシャルは、欠片であるシンフォギアでは遠く及ばない。

それが証拠に、徐々に拳が未来を捉えていく。

「く・・・うぅ・・・!」

そしてついに、テラーの拳が未来を捉える。未来は寸での所で鉄扇で防ぐも、その衝撃は尋常ではなく、その腕がかなり痺れる。

「どうしたどうしたァ!?その程度かァ!?」

テラーが、獣染みた速さで未来に接近、未来にさらなる攻撃を仕掛ける。

「調子に―――」

その瞬間、未来のバイザーが閉じる。

その途端、未来のギアに程こかれた竜の意匠が赤く輝きだす。

「乗るなァ!」

すると未来の動きが先ほどまでより遥かに良くなる。

ミラーデバイスの数が数を増し、いくつもの光がテラーを襲う。

「チィっ!」

それをテラーは獣故の柔軟性と身体能力で巧みに回避してみせる。

その光の雨を掻い潜り、テラーのボレーキックが未来の顔面を狙う。

それを未来は体を大きく逸らして回避。

それから二人の戦いは、さらに激化していく。

 

 

 

 

 

 

戦場は移り、発電所のソーラーパネルの上へ。

ソーラーパネルの上に乗ったミカに対して、調と切歌が左右から、タスクが正面から攻撃を仕掛ける。

そうしさ錯綜する三位一体の攻撃。その一撃を、ミカはその手にもったカーボンロッドで防御する。

「子供でも下駄を履けばそれなりのフォニックゲイン・・・ついで仮面ライダーの方も打ち合う度にどんどん強くなる・・・」

その事実に、ミカはさらにその表情を歪める。まさしく、戦いを楽しむ戦闘狂の如く。

「そのにやけ面今すぐにぶん殴ってやる!」

タスクが前に出る。

ミカの生成するカーボンロッドに対してタスクはアタックモードにしたツインブレイカーを叩きつける。

「うぉぉぉぉぉぉおお!!」

「ッ!?」

そした叩きつけたタスクのツインブレイカーから伝わるパワーが、一気に急上昇していくのをミカは感じ取る。

それは即ち、タスクのハザードレベルが上昇している事の証拠。最も、それを調べる手段は今は存在しないのだが。

そのままタスクは力任せにミカを弾き飛ばし、そうして距離が空いたミカに向かってすかさず調が両手のヨーヨーを重ね合わせ、それを真上に投擲、巨大な刃を持つ二重円盤刃になったかと思えば、それを一気に振り下ろす。

 

β式 巨円断

 

その一撃を、ミカは両手で形成した巨大なカーボンクリスタルで防御。

だが、それを形成したミカに向かって、調、切歌、タスクの三人は飛び上がる。

そしてタスクは、スクラッシュドライバーのアクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

それと同時に、調の右足に巨大な回転鋸、切歌の左足に巨大な鎌の刃が形成される。

そのまま三人は、流星の如く、そのカーボンクリスタルに向かって突撃。

タスクの両足蹴りと調、切歌の斬撃を持った蹴りが炸裂する。

「―――ッ!?」

そして、それにライダーキックを叩き込んだタスクは―――すぐにそのカーボンクリスタルの危険性に気付いた。

「調、切歌ッ!!」

それを感じ取ったタスクは、左右にいる調と切歌を突如として押し飛ばす。

「慧くん!?」

「何を―――」

そして次の瞬間、

「ドッカーン」

 

クリスタルが、爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅぅっ!?」

テラーの拳が、未来の顔面を捉え、閉じていたバイザーにひびが入る。

足のホバーでどうにか踏み止まるも、テラーの猛攻は止まらない。

それを未来は帯や鉄扇を使って防ぐも、そもそも低スペックであることを膨大な戦闘データで補うこの神獣鏡では、それを凌駕された今ではあまりにも無理がある。

バイザーを閉じる閉じないの差で、記録されている膨大な戦闘データ叩き込まれる情報量が違い、戦闘スペックもバイザーを閉じている方が高いのだが、今はそれすらも凌駕されている。

それほどまでに、ネメアーの獅子の毛皮の力はすさまじいのだろう。

身体強化に驚異的な不死性。はたから見れば、まさしく無敵ともいえるその力。

だが、そんな力に対抗できるのは―――未来の纏う神獣鏡のみ。

であるからこそ―――負けられない。

(響が守り続けたみんなを・・・今度は、私が・・・!)

今、テラーを倒せるのは自分しかいない。だから―――

「絶対に、諦めない!」

未来の鉄扇の一撃がテラーの顎を打ち据える。

「――ッ!このガキ!」

しかしそれに耐えたテラーはすかさず未来の首を掴むなり振り回し、地面に叩きつける。

「ぐあっ」

背中から叩きつけられたことで、肺の中の空気が一気に吐き出される。

意識が一瞬飛びかける。だが、ギアに搭載されたクロの意識が、未来の視界に敵の攻撃を知らせる。

それに未来は従うままに顔を傾ける。直後、テラーの拳が未来の顔のすぐ横に叩きつけられ、そのアスファルトが砕け散る。

すかさずテラーがもう反対の拳で未来の顔面を殴ろうとしたが、その寸前で未来が円状に広げた鉄扇を掲げた。

その行為に、テラーは一瞬止まり、そして、その広げた鉄扇―――鏡の中に、一匹の龍が、こちらに向かって飛んできているのを見た。

次の瞬間、鏡から飛び出してきた紫の龍が、テラーをその顎で噛みつき、天高く飛び上がる。

それは、まさしくクローズのクローズドラゴン・ブレイズであった。

「喰いちぎれ―――神獣鏡(クロ)!」

『グルアァァアアァァァァアアァアアア!!!』

 

殲滅

 

龍が咆え、そのままテラーを咥えたまま飛びまわり、ドッグ近くのコンテナが積まれた場所に落ちる。

そして、激しい爆発音が響き渡る。

未来は立ち上がり、テラーが落ちていった場所を睨みつけ、立ち上る粉塵の中、突如としてコンテナが二つ、ものすごい勢いで飛んでくる。

「きゃあ!」

両腕を掲げるものの、幸い直撃はせず、未来の左右にコンテナは落ちる。

そうして顔を上げた先にいるのは、ボロボロの状態で立ち上がるテラーの姿。

「たかが小娘に、ここまでコケにされるとはァ!!」

怒りに血走った目を未来に向けて、テラーは自らの隣にあるコンテナを掴む。するとコンテナは僅かに歪み、そして恐ろしい怪力で持ち上がり、未来に向かって投擲される。

それを未来は躱し、そして、テラーに向かって一気に突撃を開始する。

閉じたバイザーから、クロがルートを検出、それに従って、未来はテラーに一気に突き進む。

その未来を迎え撃つように、テラーは次々にコンテナを投擲。未来にぶつけるべく何個も投げ飛ばす。

それを未来は全力で躱していく。時に大きく体を傾け、姿勢を低くして、当たらないように右往左往して、確実にテラーとの距離を詰めていく。

そしてついに、テラーとの距離が完全な至近距離に突入する。

「小娘がァ!」

テラーが拳を振り抜く。

「おぉぉおお!!」

未来が鉄扇を振り上げる。

しかし、速さはテラーの方が上。先に直撃するのはテラーの拳だ。

だが、未来はその拳を見事に脇に躱して見せる。

「な―――」

その未来(みらい)はすでに予測したもの。クロの高性能演算能力によって導き出された、高確率の未来―――

未来の鉄扇の切っ先が―――その銃口が、テラーの鳩尾に憑きつけられる。

(響・・・私にちょっとだけ、勇気を頂戴)

 

光が、炸裂する。

 

 

慟哭

 

 

「ぐ・・・ぼぁ・・・」

鳩尾を撃ち貫いた、全ての邪を払う『凶祓い』の光が突き抜ける。

それを諸に喰らったテラーは吹き飛ばされ、コンテナをいくつも吹き飛ばし、やがて凄まじい衝撃を伴って煙の中に消える。

「ッ!?テラー!」

それに気付いたロジャーが、クローズを相手に思わずテラーの方を見る。

そうしてロジャーの見たテラーの姿は―――ネメアーの獅子が完全に消滅してそこに沈黙する姿だった。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

一方の未来は疲れ果てた状態でテラーの沈黙を確認する。

「倒した・・・」

バイザーを開き、そう呟く未来。

『Yes』

クロがARシステムを使って、肯定する。

クロは、あの見た目によらず高性能だ。だから、その見立ては正しいのだろう。

だから、今は―――

「調ちゃんたちの援護に・・・」

そう思った直後、背後で凄まじい爆発が起こる。

「ッ!?」

それに振り向いた未来が見たもの。それは、爆発を諸に喰らって吹き飛ばされるタスクの姿だった。

 

 

 

 

「慧くん・・・」

爆発の瞬間、タスクに横に押されたことによって爆発の直撃を免れた調と切歌。

しかし、その爆発を諸に喰らったタスクは別だ。

その爆発を諸に受け、地面に落ちたタスクは、そのダメージに耐えられずその変身を解除されていた。

即ち、丸裸も同然。

「ぐ・・・ぅう・・・」

そんな慧介に、ミカが近づく。

「お前は計画には邪魔な存在。だからここでバラバラになるがいいゾ」

「させない・・・!」

そんなミカに調が巨大鋸をもって斬りかかる。

「慧くんは、絶対に、殺させない・・・!!」

慧介のおかげで爆発の直撃を免れた。だが、

(このままじゃ、何も変われない・・・!)

また、慧介に守られた。それでは意味がないのだ。

「デェェェス!!」

ひびの入った鎌で調とは反対方向から攻撃を仕掛ける切歌。

(こんなに頑張っているのに、どうしてデスか!?)

自分たちの体に合わないLiNKERを二本分使って、それでもって全力で戦って、結局は慧介に守られた。

それでは、一体何のためにここまでしたのかが分からなくなる。

二人の激しい猛攻。

「まあまあだったゾ」

だが、それに対してミカは何の苦もなく対応して見せる。

まるで、子供を相手にしているかのように―――

「だけど遊びは終わりだゾ」

「「ッ!?」」

次の瞬間、ミカの動きが変わる。

縦ロールの髪がジェット機構のように炎を噴き、切歌に向かって一気に加速。

その僅かしかない距離では、加速したミカの動きに対応できず、生成されたカーボンロッドの一撃を諸に受けてしまう。

そして、胸のマイクユニットに直撃、一撃で砕かれ吹き飛ばされる。

「うぐあ!?」

そして吹き飛ばされた切歌は地面を滑り砕きながら倒れ、そしてその身に纏うシンフォギアを消滅させる。

 

イガリマが破壊されたのだ。

 

「切ちゃん!」

「余所見してていいのカ?」

「―――ッ!?」

間髪入れず振り向いたミカの一撃が調を襲う。

その一撃を紙一重で躱し、ミカの背後に回って切歌の元へ向かおうとするが、すぐさま背後から追ってきたミカを迎撃すべく振り向いた瞬間―――マイクユニットにカーボンロッドの一撃を受ける。

「うぁぁぁああ!?」

その一撃を受けた調も切歌のすぐ横まで吹き飛ばされ、同様にその身に纏っていたギアを強制解除させられる。

「調・・・切歌・・・!」

シンフォギアを破壊され、素っ裸で戦場に投げ出される二人の少女。

「さあ、次はお前の番だゾ」

「て・・・めぇ・・・!!」

それを見た慧介の頭に血が上り、ほぼほぼ根性だけで立ち上がって見せる。

そして、その手に再びタイガースクラッシュゼリーを握り締める。

「おお?まだやる気なのカ?」

「当たり前だ・・・こんな所で死ねるかってんだ!」

慧介が、再びスクラッシュドライバーにタイガースクラッシュゼリーを装填する。

 

タイガァージュエリィーッ!!』

 

「慧介・・・逃げて・・・」

「慧くん・・・!」

弱々しく、調と切歌が慧介に促す。

「ふざけんな・・・」

そんな中で、慧介は思い出す。

 

 

 

 

「言ってなかったけど強制変身解除からすぐの再変身は負担がかなりでかいぞ」

戦兎が、シンと慧介を読んで、突然そんなことを言い出してきた。

「それはなぜだ?」

「仮面ライダーに変身する時、俺たちは体内のネビュラガスを活性化させる。一回目は、それほどダメージも入ってないし負荷もかかってないから大丈夫だから問題ないが、その状態で強制的に変身を解除させられると、体内のネビュラガスが活性化したままで、もう一度変身を試みれば、体内のネビュラガスが過剰に反応して、体に負荷をかける」

最も、戦兎がいつも使うベストマッチフォームや通常クローズの場合はそれほどでもないから大丈夫らしいが、スクラッシュドライバー、あるいはベストマッチ以上の変身は体に大きな負担をかける。

例えるならば、通常のベストマッチであるラビットタンクなら、強制変身解除された状態で二度目の変身をしても、ネビュラガスはそこまで活性化していない為、続けて変身しても体に負荷がかかるほど活性化はしない。ただし、スパークリングなど、より強力な変身はネビュラガスがベストマッチの時より過剰に活性化するため、その負荷に体が悲鳴をあげるからだという。

クライムは通常クローズと同様な為問題はないが、タスクの方は注意してほしいとのことだった。

「その状態で無理矢理変身することは出来ないことはない。だけど、お前の体はまだ若い。そんな体で無理に戦い続ければ、いずれ深刻な状態に陥るかもしれないってことを考えてくれ」

 

 

 

 

「知るかんな事ッ!!」

その警告を無視して、慧介はアクティベイトレンチを叩き下ろす。

その次の瞬間、

「ぐあぁぁああぁぁぁぁあぁああ!?」

体中に激しい激痛が走り、慧介を一気に蝕んでいく。

だが、それを慧介は、これから起こってしまうであろう調と切歌の未来を否定する為、根性と魂でその激痛を抑え込み、叫ぶ。

 

「変身ッ!!」

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

タイガァー・イン・タァスクゥッ!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

走りながらその身を仮面ライダーへと変身させ、タスクは再びミカに向かって殴りかかる。

『ミカ、我々の計画の邪魔になる仮面ライダーを早急に始末しろ。やり方は任せる』

その一方ミカには主人であるキャロルから命令が下る。

「分かったゾ!」

それにミカは嬉々として応え、その手一杯に大量のアルカノイズ用のテレポートジェムを持ち、一気に空へ投げる。

それは空中で割れ、中にある成分が地面に落ちれば、そこに錬金術の方陣が出現、大量のアルカノイズが一斉に現れる。

「うぉぉぉぉぉぉおおお!!」

絶叫、そして、激突。

大量のアルカノイズがタスクに殺到し、それをタスクは正面から迎え撃つ。

解剖器官に変身を強制解除されないとは言え、一の力に対してそれ以上の数の力は膨大だ。

いくら仮面ライダーとはいえ、まだ肉体的にも精神的にも未熟なタスクでは、その物量に敵わない。

しかし、それでもタスクはノイズを殴り続ける。

その身がボロボロになろうとも、タスクは戦いのをやめない。

 

 

「調ちゃん!切歌ちゃん!」

そんな様子を見ていた未来がすぐさまそちらに急行しようとする。

だが、突如として未来の体に無数の蛇が絡みつき、一気に未来を拘束する。

「これは・・・」

「オイ、どこに行こうってんだ?」

突如として聞こえた底冷えするような声。

その声に、未来は悪寒を感じ取り、首をひねって後ろを見た。

そこには、狂気ともとれるほど怒りに染まった表情で未来を睨みつけるロジャーの姿があった。

(龍我さんは・・・!?)

思わずクローズの姿を探す未来。そうして見つけたクローズは、無数に巻き付かれた蛇を力任せに振りほどこうとしていた。

それを見た瞬間、未来の視界に『Danger』の文字が表示され―――

 

「ぐぼあっ!?」

 

突如として右頬に顎が砕けるかと思うぐらいの衝撃と激痛が走った。

「どこ見てんだゴラァ!!」

「ぐえっ!?」

すかさず腹に重い衝撃が走る。

一撃目の頬はロジャーのストレート、続く腹への衝撃は膝蹴り。

これから推察するに、ロジャーは未来を拘束したうえで嬲り殺しにするつもりだ。

「テメェがテラーにしたことに比べりゃあこんなのなんともねェだろォがよォ!!」

「ッ!」

すかさずロジャーの拳が未来の顔面を狙う。だが、突如として未来のバイザーが閉じる。

 

『Auto Mode』

 

次の瞬間、ロジャーの拳を、どこからともなく現れたミラーデバイスが防ぐ。

「あァ!?」

続けて別のミラーデバイスが別角度からロジャーを光線で攻撃。これにロジャーは飛んで回避する。

「チィッ!」

そして、間髪入れずに無数のミラーデバイスがロジャーを襲撃、激しくロジャーを追い詰め、気付けばロジャーを取り囲むようにミラーデバイス達は円陣を組んでいた。

そしてそのまま―――一斉射する。

 

煉獄

 

その一撃をロジャーは飛んで躱し、その間に未来はミラーデバイスを利用して蛇を断ち切り、拘束を逃れる。

そうしてやっと未来の意識は回復する。

「ありがとう、クロ・・・」

先ほどの動きは全て未来が行っていた訳ではない。

ダイレクトフィードバックシステムによって一時的にクロが未来の体を支配、ギアを制御し、先ほどの動きを実現(トレース)したのだ。

だが、不意打ちで受けたダメージは想像以上に重い。

(これしばらく動けないかも・・・)

「逃げてんじゃねえよクソガキが」

ロジャーが蛇を操り、血走った目で未来を睨みつけている。

テラーが倒されたことで、何かが切れたのか。

(この人にとって、あの人は何か大切な・・・)

それはすまない事をしたと思う。だけど、今はそれを気にしている余裕はない。

(急いで、慧介君のところに行かないと・・・!)

今の状態で、慧介がまともに戦える筈がない。

おそらくいずれは、限界が来る。

 

 

 

アルカノイズの猛攻を、タスクは一人で凌ぐ。

「ぐ・・ぅぁ・・・!?」

あまりの膨大な数に、対処しきれない敵の攻撃を諸に受け、地面を転がる。だが、それでもすぐさま立ち上がって、次なるアルカノイズを殴り砕く。

途方もない、敵の数。

「そこをどけぇぇぇえ!!」

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

アクティベイトレンチを叩き下ろし、タスクは飛び上がって前方にいるアルカノイズの集団をまとめて吹き飛ばす。

しかし、それでもノイズはまだまだ存在する。

「―――ッ!!」

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

二度目の必殺技発動。今度は拳にエネルギーを溜め込み、飛び上がって襲い掛かってくるアルカノイズの集団に対して激しくラッシュを叩き込む。

「ダダダダダダダダダダ――――ッ!!!」

だが、いくら必殺技と言えどもその膨大な数を凌ぎ切れはしない。

一方に集中すれば、もう一方がおろそかになる。背後からアルカノイズが強襲し、左足を斬り裂く。

「ぐあッ!?」

思わず膝をつく。その正面から、武士型のアルカノイズがその右手を振り上げ、振り下ろしてくる。

それを慧介は、ツインブレイカーで受け止める。

「・・・誰か・・・助けてほしいデス・・・」

絶叫して、そのノイズの腕を押し返し、タスクは再びアクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

連続三度目―――その負荷は、絶大。

「ぐあ―――あぁぁああ!!」

それでもタスクは拳を振り抜く。

「私の・・・大切な人・・・大好きな慧くんを・・・」

放射線状の敵が一気に消し飛ぶ。そんなタスクの隙をついて、ミカが接近。

「しまっ―――」

「バァイナラァー!!」

次の瞬間、タスクの腹に、射出されたカーボンロッドの一撃が突き刺さる。

「がっ―――」

悲鳴を上げる間もなく、タスクがぶっ飛ばされる。

そして壁に叩きつけられ、そして――――変身が解除される。

「が・・・は・・・」

意識が、飛びかける。

だが、どうにか意識は保てた。

視界の先で、アルカノイズが迫る。

「まだ・・・だ・・・」

そのボロボロの体に鞭を打って、慧介は再び立ち上がる。

「もう、一度・・・!」

 

タイガァージュエリィーッ!!』

 

性懲りもなく、慧介は再びスクラッシュドライバーにタイガースクラッシュゼリーを装填、アクティベイトレンチを叩き下ろす。

だが―――三度目はない。

「ぐあぁぁあぁああ――――あ、ああ・・・」

今度は耐えきれず、今度こそ倒れ伏す。

「慧介君!」

「慧介!」

ロジャーに襲われて助けに向かえない未来、蛇の拘束から逃れようともがくクローズ。

「テメエはそう簡単に殺しはしねえ」

「あぐっ!?」

再び捕まる未来。体中に蛇が這い、未来の体を締め上げていく。

「く・・・ぅぅ・・・」

そんな未来の視界に、一匹の蛇が、口を開いてその毒牙を見せる。

「永遠に等しい苦しみの中で死にな」

「―――ッ!?」

その言葉に、未来は恐怖を覚える。

調と切歌はギアを破壊され、慧介は、絶体絶命のピンチ。

「誰か・・・慧くんを・・・助けて・・・」

アルカノイズが、解剖器官を振りかざす。

「このままじゃ、慧くんが・・・死んじゃう・・・・死んじゃうよぉ・・・」

慧介は、二回連続変身、三回連続の必殺技発動、そして、三度目の変身試みによって、既にその体をボロボロにしている。

だから、避ける事は叶わない―――。

アルカノイズの解剖器官が、慧介に迫る。

「誰かぁぁぁぁあぁぁぁあぁああああ!!!」

調の絶叫が、迸り――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無音の時間が、過ぎていく。

 

 

 

涙を流し、その瞬間を見たくないが為に、その目を閉じていた調と切歌。

だが、その沈黙は、あまりにも長すぎた。

 

あまりにも、音が無く、ただ聞こえるのは――――風の音のみ―――

 

 

 

「誰かだなんて、んな連れねえこといってくれるなよ」

 

 

 

そして聞こえたのは、とても聞き知った、快活な声。

目を開けた、その先にあったのは――――いくつもの銃痕、そして、その手の解剖器官を切り落とされた、アルカノイズたちの姿だった。

そして、その影に見えた、一つの輝きは―――

「つる・・・ぎ・・・」

倒れ伏す慧介の視界に―――彼女らは、いた。

 

 

「ああ―――振り抜けば風が鳴る剣だ」

 

 

次の瞬間、ノイズたちが風と共に消えていく。

 

 

そして、襲い掛かる蛇の牙に、調たち同様、目を閉じていた未来もまた、恐る恐る目を開けた。

見れば、その蛇の首を掴み、締め上げる青い手があり、

「よぉ、うちの教え子が随分と世話になったみたいだなぁ」

視線を外し、見上げれば、そこには兎と戦車を模した複眼の、赤と青の仮面ライダーが、大剣を肩に担いでそこにいた。

 

 

完全改修し、一新したシンフォギア『天羽々斬』『イチイバル』。

 

 

同時に、対アルカノイズ用の改造を終えたライダーシステムを身に纏う『仮面ライダー』。

 

 

 

 

 

 

今ここに、シンフォギア装者『風鳴翼』と『雪音クリス』、そして『仮面ライダービルド』が推参した。

 

 

 

 

「―――さあ、実験を始めようか」

 

ビルドが、静かにそう呟いた。




次回!『愛和創造シンフォギア・ビルド』は!?

ついに戦場に推参するクリスと翼、そしてビルド。

「さて、どうしてくれる先輩?」

始まる、四人の反撃。

「あー、まだ調整が済んでなかったか」

その最中で現れる、キャロルとリカルド。

「いや、手ずから凌いでよくわかった。オレの出番だ」

そんな彼らが纏うは、シンフォギア、ライダーシステムとは別系統の―――異端技術。

「遅い」

圧倒的な力を発揮する、二人の猛攻に、翼、クリス、ビルド、クローズは追い詰められる。

「未来が教えてくれたんです。自分はシンフォギアの力に救われたって」

そこへ駆けつける響。

そんな彼女らに、残された手段はただの一つ―――

次回『イグナイトする想い』


アーチャチャチャチャチャチャチャアッチャァァアアッ!!』

『ヤベェーイッ!!!ツエェーイッ!!!』


「「「『イグナイトモジュール』、抜剣!!」」」









いきなりシンフォギアライダー変身講座ァ!!


・・・と、何故かトップバッターに立たされたシン・トルスタヤだ。
ただ変身する行程を披露してほしいということだが、まあ、いいだろう。別に読者に見られるだけだ・・・ん?メタ発現はやめろ?・・・まあいいだろう。
とにかく、プロトクライムに変身するためのルインドライバーはない為、代わりにクライムウルフによる変身をお見せしよう。
まず用意させてもらうのが、桐生戦兎が創ったクライムウルフ。それとウルフフルボトルだ。ちなみに俺はこれとベストマッチであるスマホフルボトルももっているが、こっちは関係ないので割愛させていただく。
さて、まずするべきは、このクライムウルフのフルボトルスロットにこのウルフフルボトルを装填する。

Start Up』

ちなみに、クローズドラゴンとこのクライムウルフの違いは、向こうは頭と尻尾を上に折りたたむようにしまうことだが、クライムウルフは体がS字状になっている。
フルボトルスロットも背負うような形をしている。
そして、ボトルを装填したなら、今度は横から押して頭が上に、尻尾が下になるようにZ字状に折りたたむ。これでボトルは上を向くようになり、ビルドドライバーにも装填できるようになる。
これをこのままドライバーに装填する。

CRIME WOLF

そして、あとはビルドとクローズと同じだ。このレバーを回し、ビルダーを展開する。っと、ここで注意点だが、桐生戦兎はファイティングポーズ、万丈龍我はファイティングポーズと右手首を左手で顔の前で掴むようなポーズとり、また猿渡一海は相手を指さすかのように、そして氷室幻徳はポケットに手を突っ込みながら反対の手でレバーを下ろすように、そして慧介は左拳を肩の前にもっていくと、変身ポーズをとる訳だが、俺は強いていうなれば、まず右手を左肩に持っていき、

『Are You Ready?』

変身。と言った後に右水平に振り抜く。

『Start Up Lightning!Let's CRIME WOLF!Yeah!』

これで、俺の変身は終わりだ。・・・・ん?必殺技を見せてないって?はあ、分かった分かった見せればいいんだろう。
必殺技は、ボルテックレバーをもう一度回す。

『Ready Go!』

俺の場合は、空中に置いた刀を右足裏で掴み、振り抜く―――

ウルフテックフィニッシュ!!!』

・・・ふう、こんなものでいいだろう。
仮面ライダーの必殺技は基本的に真似できない仕様になっている。俺なりに真似できない技だとは自負しているが・・・ん?カブトみたいにスマートすぎるって?何を言っている?カブトとは誰だ?
・・・まあいい。とにかく俺の変身講座は終わりだ。来週は慧介がやるみたいだが・・・まあそれは俺の管轄外だ。

では、また来週のシンフォギア・ビルドを見てくれると嬉しい。

では、次回で。
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