愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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麗人「天才物理学者桐生戦兎は、ノイズが蔓延る新世界にて、ルナアタック、フロンティア事変を経て、S.O.N.G.専属の科学者として、風鳴翼、その他と共に戦い続けていた・・・」
響「ちょっとサンj」
未「響そこまで」
響「むぐふぉ!?」
キャ「フッハハハ!その他とはなかなか酔狂なことではないか!」
翼「何を言う、これでは雪音たちがのけ者みたいではないか」
ク「しっかしこの台本結構いいことしてるよなぁ」
詐欺師「あら?それはなぜかしら?」
ク「先公と先輩の名前しか載ってないから、関係を認めてるようなものだろ?」
翼「私と戦兎はそんな関係ではない!!」
けん玉「いつまで言っていられるか見物なワケダ」
切「今日は水着回なのデス!これで男どもの煩悩を悩殺してくれるのデス!」
調「切ちゃん、これ小説だから映像なしじゃ悩殺できないよ?」
切「だったら文面でやるのデス!・・・というか、甘さと言ったら調と慧介に勝てる人なんていないデスよ」
調「な、なにを言ってるの切ちゃん・・・!!」
ク「あ、アタシと龍我のことも忘れんな!」
未「はいはいいつもの惚気ありがとうねクリス」
麗人「はあ・・・まあ、何はともあれ、今回の愛和創造シンフォギア・ビルドGX第十二話を見なさい」
響「あ、今度YouT〇beで放送される仮面ライダーはウィザードだよね!作者が好きな奴!」
未「作者はビルドは無論のことですが、特にWと鎧武とドライブが好きだそうです。
ちなみに、作者が一番最初に見た仮面ライダーはブレイドです。父親がCDを持っていたようで、それを見たのがきっかけだそうです」
マ「まあ何はともあれ、本編を見なさい。今回の変身講座は私だから楽しみにしててね」


復活の銀腕と歪鏡のハウリング

「―――来た来たキター!来たよコレー!」

「来たしかいってねえじゃねえか!」

「ていうかなんで私たち走ってるの!?」

「というかこれやるの!?」

「当たり前だよ!なんの為にイメージトレーニングを繰り返してきたと思ってるの!?」

「それは立花だけの話だろう!?」

「そ、そうなんですか!?」

「海デース!」

「ああ!?切歌が決め台詞を口走った!?」

「台無しよ台無しー!」

「姉さんまで乗らないで!」

「ええいもう構わん!予定通り行くぞー!」

「ま、待って、私服脱げてな―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『海だ「ぶべら!?(響)」・・・・ッ!!?』

 

 

 

 

 

「きゃぁぁああ!?」

「ひ、響ィー!?」

「響さんが車に撥ねられたぁ!?」

 

 

 

 

数分後。

 

「いやーまいったまいった」

「危うく今日が響の命日になるところだった・・・」

「いや洒落になってねえからな!?」

「轢かれたのがおじさまから手解きを受けていた立花でよかった」

「わーい・・・アハハ・・・」

「響さん、涙目で笑われても哀れなだけですよ?」

事の始まりは移動中のバスにて響が提案した海に来た記念の第一声。

台風一過の熟語に違わぬ、快晴の空。そんな気持ちいい日に、何もしない訳にはいかないと言い出したのだ。

一度はやってみたかったらしく、そのビーチが政府保有によってほぼ貸し切り状態なために白い目で見られることはなく、装者及び女性集で叫んでみる事にしたのだ。

んでもって海が見えた時点でよーいドン。結果、偶然通りかかったトラックに響が轢かれることになったのだ。

「あ、あのー」

と、そこでセレナが気まずそうに装者一同に声をかける。

「先ほどの運転手、せめてものお詫びとして一万円をくれたのですが・・・」

「「なにぃ!?」」

それを見て食いついたのは世間知らずの調と切歌。

「マジデスか・・・世間じゃひと轢き一万が相場なんデスか・・・」

「もしかしたら私たち、響さんでひと稼ぎ出来るんじゃ・・・」

「それは人道的にも響的にも完全アウトだからやめてください!」

と、軽い(?)ボケとツッコミをかましつつ、遅れてライダー陣が到着する。

「ったくいきなり道路に飛び出すとか何考えてんだ」←戦兎

「轢かれたのが響でよかったな」←龍我

「いや、いいんですかそれ!?」←慧介

「ったく荷物全部押し付けやがって」←一海

「次からは気をつけろ」←シン

「はしゃぐのは良いけど、あまり羽目を外し過ぎないでよ?」←美空

「よし、遊ぶか」←幻徳

 

・・・正確には、保護者(一人を除いて)である。

 

「およ?」

と、ここで切歌は見知らぬ女性がいる事に気付く。

「クリス先輩クリス先輩」

「ん?どうした?」

「幻徳さんやかずみんさんは知ってますけど、あの女の人は誰デスか?」

その言葉が耳に入ったのか、美空は手を挙げて自己紹介する。

「私は石動美空。もう聞いてるかもしれないけど、旧世界じゃこの馬鹿どものサポートをしていたわ」

「馬鹿っていうな馬鹿って」

「そうだ。俺はプロテインの貴公子―――ばさっ―――万丈龍我だ!」

「誰もお前の事を聞いてないよ」

べしっと龍我を叩きつつ、戦兎はテントやらベンチやらの設置をする。

「あれ?そういえば紗羽さんは?」

「仕事があるとかでパスだってさ。本人は行きたかったみたいだけど、仕方ないわね」

と、あらかたの準備が終わった所で―――一同は全力で遊び始めた。

 

 

 

 

「わーい!」

「わっ!?やったなぁ!」

「わわ、しょっぱいです!」

「海ってそういうもんなの、よっ!」

響、未来、エルフナイン、美空は浅瀬にて水の掛け合い。

「ふっふっふ、何を隠そう俺は砂の城造りの達人!江戸城も熊本城も万里の長城も朝飯前だぜぇ!」

「マジに万里の長城のが出来ているのデス・・・」

「慧くん、本当に多趣味・・・」

ほぼ慧介一人で砂の城造りを謳歌していたり、

「んっふふ~♪」

浮き輪に乗って波に揺られるクリス。

「うぉぉぉおおおぉぉおお!!!」

「うわっぷ!?」

そこへものすごい勢いで泳いで通り過ぎていく龍我。

「立花たち、楽しそうだな」

「クリスが龍我たちの巻き添えを喰らっているのは・・・なんというか、哀れね・・・」

「そうだな・・・」

その様子を見守りつつ、砂浜を散歩する翼、マリア、シンの三人。

ちなみに幻徳は一人日光浴、一海は美空の水着姿を頭のフィルターに焼き付けていた。

「・・・・」

そして、一人アンブレラの作る影に入って、もってきたノートパソコンを眺めるセレナ。

「よう、お前は遊ばねえのか?」

「あ、戦兎先生」

そんなセレナに、戦兎がやってくる。

「はい。この子のメンテナンスをしなければならないので」

「そいつ、・・・えっと、ブレードウルフだったか?本当に役に立つのか?」

「ええ、きっと役立てて見せます!」

そう言って、セレナは自分の後ろで伏せる()()()()の頭を撫でる。

その狼は、顔を上げ、内臓されたスピーカーで言葉を紡ぐ。

「感謝する。俺は自らの自由を行使した結果、お前たちに協力することにした」

それは、先日シンたちを襲った、デイブレイク社が保有していた対話IF(インターフェイス)搭載型無人機『LQ-84e』だ。

あの戦いの後、彼の脳ともいえるハードウェアを改修、残ったボディも出来る限り改修、自分の家に持ち帰り、多少S.O.N.Gの力を借りてその機体を分析、なるべく再現し、ちょっとした企業からパーツを発注しつつ、見事、修理。

新たな姿と名前を与えられ、戦闘無人機『LQ-84e』は災害救助ロボット『ガードウルフ』としてセレナの手で生まれ変わったのだ。

「遠隔での操作やAIの消去も不可能にしてあります。メンテナンスが終われば、もう好きにさせるつもりだったんですけど・・・」

「それでは等価交換がなりたたない。俺は借りは作らない主義だ」

「という訳らしく・・・」

「なるほどな・・・」

ランプやクリアカバーのような頭部はなくなり、狼らしい稼働型バイザーと牙のついた口が新たに取り換えられ、その腰部分には『S.O.N.G』の識別マークが施されていた。

一応、弦十郎にはセレナ及び戦兎の管理下の元、S.O.N.Gの戦力として所有することを認めてもらっている。

「アルカノイズとの戦闘は出来ないが、それ以外の救助活動、避難誘導は任せてくれ」

「それじゃあ聞くが、お前、デイブレイク社の事について何か知らねえのかよ?」

「俺は都合のいい兵器だったみたいでな。特別詳しい情報は与えられていない。常に蚊帳の外だ」

「本当かねえ・・・」

「奴らとの縁は既に切った。従う必要もない」

「あ、そう・・・」

上から目線な言動がどうにも癪に障る。

「あ、それはそうと戦兎先生。この間シンさんから渡されたあのボトルは・・・」

「ああ、あれか?」

それは、シンをスカウトしたいと躍起になっている民間軍事会社『ストレイ社』から送られた前金替わりの贈り物。

その中に入っていたのは―――一本のフルボトルだった。

「レリックフルボトルだというのは確かだ。問題はそれが一体なんの聖遺物なのかが全く分からねえってことなんだよな・・・」

レリックフルボトルの特徴として、歌に反応しないというものがある。

理由は不明だが、フルボトル化してしまった聖遺物は、その聖遺物特有の性質を変化させてしまうのではないかという事が今現在分かっている。

そして、そのフルボトルに内包された力は計り知れないという事だった。

「これを使いこなすには、このフルボトルの成分の多少の調整、そして、スクラッシュドライバーが必要だ」

「スクラッシュドライバー、ですか?」

幻徳のクロコダイルクラックボトルと同じタイプのボトル、という事なのだろう。

「それじゃあ、シンさんも・・・」

「うーん・・・それがシンの奴、いらないって言っててな」

どこか、挙動不審だった様子も見られた。

(まさかスクラッシュドライバーの危険性を怖がってんじゃねえだろうな・・・?)

と、勘繰るようにマリアと一緒に砂浜を歩くシンを見やる。

あまり顔に出ない性格であるが故に、その表情の真意は読み取れないが。

「・・・・」

「戦兎、セレナ、泳がないのか?」

と、そこへ二人の間に影が差し、見上げてみればそこには重力に従って下がる髪をかき上げる翼の姿があった。

「ああ、悪い。ちょっとこいつの様子を見にな。今行く」

「私はもう少し調整してから」

「そうか・・・」

「しかし翼さん・・・スレンダーですねぇ」

 

ごつん

 

「痛い・・・」

翼に拳骨を喰らって涙目になるセレナ。

「?、事実ではないのか?」

「やめてさしあげろウルフ」

「?」

機械であるが故に理解できないウルフ。

とりあえず立ち上がる戦兎。

「そ、それでだな戦兎」

「ん?」

ふと、翼が顔を少し赤くしてもじもじとして見せる。

その行為に首を傾げる戦兎だったが。

「その、この水着、どうだ・・・?」

どうやら感想を聞きたいらしい。

「正直言うと腰に巻く・・・なんだっけ?パレオ、のような奴がお前に合ってると思うぞ」

戦兎、正直に暴露。

「うぐっ・・・そ、それはマリアのような水着がいいと?」

マリアの水着はクロス・ホルター・ビキニというもので、なんというかかなり煽情的な恰好をしている。

「うーん、下はパレオだけど、俺としてはクロスじゃなくて普通のホルターネックの方がいいかな?」

「そ、そうか。桐生はそう言うのが好みなんだな・・・」

と、心のメモ帳にとどめる翼。

「ついでに言うと、マリアはモノキニタイプの方がいいと思うんだよな。その方がシンを誘えるだろ?ついでに響はタンク・スーツタイプも行けると思うんだ。未来はフレアタイプで、切歌は―――」

「ふんっ!」

「うごあ!?」

翼の渾身の蹴りが戦兎の腹に突き刺さる。

そのまま翼は頭から汽車の如く蒸気を出すかの如く憤慨した様子でどこかに行ってしまう。

「な、何故・・・」

「・・・おバカ」

それを遠目に見ていたマリアはそう呟くのだった。

 

 

「いやー、悪い悪い」

「ったく、こっちは気持ちよく波に乗ってたってのに」

その一方で、龍我はクリスに謝っていた。理由は言わずもがな、先ほどの全力クロールがつい熱中しすぎてしまい、クリスを巻き込んでしまったことについてだ。

海水を被ったことで、その髪からは雫が滴っている。

「まあまあ、お詫びといっちゃあなんだが、ちょいと面白い事してやるよ」

「は?面白い事って一体―――」

数分後。

「うぉぉぉぉぉおおぉおおお!!」

「お、おぉぉおお・・・・!!」

クリスの乗る浮き輪を、龍我が全力で泳いで馬車の如く泳ぎまくることだった。

ただ波に流されるのではなく、人に先導してもらう。これはこれでなかなか楽しいものだった。

 

「ふぅー、作った作った」

「流石慧くん」

「作りすぎデース・・・」

調と切歌の目の前には、慧介が作ったとんでもない数の砂の城。

傍から見れば見れば圧巻である。

「いっつ・・・」

と、そんな中で、慧介が鳩尾を抑える。

「慧くん?もしかして、この間の戦闘の傷がまだ・・・」

「ああ、まあ、そんな所。一応セーブするつもりで城造りやってみた訳だけども、やっぱ騙しきれないか」

「無理しないで」

「そうデスよ。それでえらい事になったら大変なのデス」

「善処するよ」

水着の上にラッシュガードを来た状態ではわかりにくいが、意外にも慧介の体は包帯だらけだ。

一応医者から外出の許可は出ているとはいえ、まだ戦闘は出来ない状態。海で泳ぐことも出来ないのだ。

それほどまでに、慧介は無茶な戦いをしたという事でもある。

と、そんな中で、

「みんなー!」

「ん?」

「それぞれ遊ぶのもいいけど、たまにはみんなで一緒に遊ばない!?」

そう叫ぶ響の手には、バレーボールが持たれていた。

 

 

 

 

筑波の異端技術研究機構にて。

「これは?」

そう呟く藤尭の目の前には、オレンジ色に輝く光の球体があった。

「ナスターシャ教授がフロンティアに残したデータから構築したものです」

「光の球体・・・?」

緒川の言葉に、その職員は頷く。

「そうですね。我々も便宜上『フォトスフィア』と呼称しています」

言われてみれば、光の球体に映る模様は、ドット風に見えて、どこか地球儀と同じ模様に見える。

「実際はもっと巨大なサイズとなり、これで約四千万分の一の大きさです」

「フォトスフィアとは一体・・・」

その球体を駆け巡るラインの光は、何かを伝えたいかのように、微かに明滅していた。

 

 

 

外に出た緒川は、すぐさま戦兎に連絡を取っていた。

「調査データの受領、完了しました。そちらの特訓は進んでいますか?」

『あーうん、まあ、順調っちゃあ順調なんだが・・・』

「ん?」

答える戦兎の言葉は、どこか端切れが悪く。

 

 

 

 

戦兎の目の前には、いかにも真剣な眼差しでビーチバレーに挑んでいる翼の姿があった。

「響が提案したレクリエーションが思いのほかヒートアップして、翼の奴がガチになってやってるから、ある意味特訓になっちまってる」

『ああ、そうですか・・・』

「とりあえず、あとの事は追って連絡するから、そっちはそっちで進めてくれ。じゃ」

そう言って、戦兎は連絡を切る。

「ったく、本気にしやがって・・・」

くじ引きでチーム分けをして、総当たり戦でやり合っている一同。

翼・シンペアとマリア・エルフナインペアがこぞって争っている所だ。

「次だ。来い!」

シンの掛け声とともに、エルフナインがバレーボールを頭上へ高く投げる。

そして飛び上がり、そして完璧なフォームでボールを打とうとして―――空ぶる。

「あれ・・・!?」

そのままの勢いで転び、派手に落下する。

「サーブミス、一点」

「いや容赦ねえな!?」

審判役を務めているウルフが容赦なく得点を加算する。

転がったボールをマリアが拾い上げる。

「なんでだろう?強いサーブを打つための知識はあるのですが、実際やってみると全然違うんですね・・・」

「背伸びをして誰かの真似をしなくても大丈夫」

「ん?」

「下からこう、こんな感じに」

そう言って、マリアがアンダーハンドサーブでボールを向こうへ投げ渡す。

「はう・・・すびばぜん・・・」

申し訳なさでいっぱいのエルフナイン。そんなエルフナインに、マリアは屈んで慰める。

「弱く打っても大丈夫。大事なのは、自分らしく打つことだから」

「はい。頑張ります!」

結局、そのゲームは翼・シンペアの勝利となり、続くは一海・調ペアと幻徳・響ペア。

「頑張ろうね。調ちゃん!」

「負けません・・・!」

「ヒゲ、お前バレーなんてできんのか?」

「んだとポテト」

すかさずウルフが笛(の音声データ)を鳴らす。

まず第一球は響。

「キェェエエ!!」

奇声のような叫び声と共に鋭いサーブが相手コートに迫る。

「え!?あ、ちょ!?」

「うぉぉぉぉお!!」

思った以上のガチ加減に調は戸惑い、そこへ一海がフォローに入る。

見事真上に飛んだボール。

「よし、行け!」

「え、あ、はい!」

一海に言われ、調はすぐさま駆け出し、ボールを打つ。

打たれたボールはすぐさま相手コートへ。

その先には幻徳。

「よし、このボールを真上に――あ」

が、幻徳ここでトスを失敗、手から滑り落ちたボールがコートに落ちる。

「・・・・」

「一点」

「ぷぷっ、だっせぇ」

「・・・」

一海の言葉に、幻徳の中で何かが切れる。

「次」

「行きます」

調がサーブする。

相手コートへ飛んで行ったボールは、響がレシーブして上に飛ばす。

アタックチャンスだ。

「そうはいくかよ!」

そう言ってそのアタックボールの前に一海が両手を挙げてブロックしにかかる―――次の瞬間、

「死ねェポォテトォ!!」

「ぐべら!?」

 

ボール越しに幻徳の拳が一海の顔面に炸裂する。

 

『えぇぇぇええ!?』

ボールごと殴り飛ばされた一海はそのまま吹っ飛びコート外まで。

そしてボールはコート内に落ちる。

そして、静寂が当たりを包み、

「一点」

「いや待て今の反則でしょう!?」

「直接殴ってないからセーフだ」

「これ新たな抗争の火種になるんじゃないかな!?」

そして無慈悲なる得点。

「フハハハハ!どうだポテト参ったか!」

「こンの、ヒゲェ・・・!!!」

怒りを滲ませた声で、一海は立ち上がり。

「上等だそっちがその気なら俺もとことんやってやらァ!!!」

そこからのゲームはもう酷いもので、ボールが上がれば、すかさず一海と幻徳の激しい殴り合いに発展してしまうのだ。

地獄突き、コークスクリュー、クロスチョップ、ラリアットなどなど、もはやボール越しなら何でもありだ。

結局のところ、最後まで殴り合った結果――――試合続行不可能という事で、そのゲームはなかったことになった。

「び、ビーチバレーってここまで恐ろしい競技だったんですか・・・?」

「いやあれはあいつらが可笑しいだけだから!」

そして続くは戦兎・未来ペアと龍我・切歌ペアの試合。

「ばっちこーい!」

「やってやるデスよー!デスがさっきのようにはしたくないデス!」

「いや当たり前だからなそれは!?」

「・・・・」

そんな彼らのやり取りをながめつつ、未来はふと思った。

 

―――ずっと響に隠し事をしていた私は、果たして響の隣に立つ資格があるのだろうか、と。

 

シンフォギアを纏い、共に戦う資格を得た。しかし、それだけではいけない気がする。

許してもらったとはいえ、自分は、かつて響がしていたことと同じをしたのだ。

果たして、そんな罪を背負っている自分が、響の隣に立って、戦ってもいいものなのだろうか。

否、それ以前に、自分は響の隣に立つだけの『強さ』を持ち合わせているのだろうか。

結局、最後は一方的にやられるだけやられて、最後は逃げかえるかのようになってしまって。

いくら、戦兎の所で特訓は重ねてきたとはいえ、果たしてそれで自分は強くなったと言えるだろうか。

自分は、本当に強いのだろうか―――

 

「未来!」

「え」

戦兎の叫び声が聞こえて、顔を挙げた瞬間――――

 

 

―――バレーボールが、顔面に炸裂した。

 

 

「あ」

「ふぐお・・・!?」

年ごろの少女が出してはいけない声を出して、未来は砂場に沈む。

「あぁぁあ!?」

「えらい事故デス・・・」

「み、未来ぅー!?」

すぐさま響が駆けつけ、抱き起こす。

「未来!?大丈夫!?」

「いたた・・・うん、どうにかこうにか・・・」

「良かったぁ・・・」

心底安心する響の様子を見て、未来は思う。

ああ、嫌だな、と。

(もっと、強くなりたい・・・響を心配させないほど、強い自分に・・・)

切望、ともとれるそれは、未来の胸中に小さく渦巻いていた。

 

 

 

 

白熱したビーチバレーは悉く装者、ライダーたちの体力を奪っていき、結果として、マジの特訓へと変わっていた。

「気が付いたら特訓になっていた」

「どこのどいつだぁー、途中から本意気になったのはぁー」

「だるいし、疲れたし、そして眠いし・・・」

「アハハ・・・お疲れ様です」

そんな中で、エルフナインは、真っ青な空を見上げて、一つ呟く。

「晴れて良かったですね」

「昨日、台風が通り過ぎたお陰だよ」

「日頃の行いデース!」

「ところでみんな、おなかが空きません?」

と、言い出したのは響。

「だがここは、政府保有のビーチ故・・・」

「近くに売店の類はないぞ」

幻徳がそう呟いた途端、その場にいるものたちの間で火花が散る!

 

『コンビニ買い出しじゃんけんぽん!』

 

そうして出たのは―――

 

チョキ―――翼、切歌、調、シン、戦兎、龍我

 

グー――――響、未来、マリア、エルフナイン、クリス、幻徳、一海、慧介、美空、セレナ

 

 

よって、チョキを出した者たちの負けである。

だがしかし、

「ぷははははは!翼さん変なチョキ出して負けてるし!」

世間一般でいう所の拳銃型の手。それは一重に北海道の方で伝わっている田舎型チョキである。

「変ではない!カッコいいチョキだ!」

「それ、かっこいいか?」

また、調と切歌、戦兎と龍我は、

「斬撃武器が・・・」

「軒並み負けたデス・・・!」

「俺も斬撃武器だから数に入るのか・・・」

「兎が負けた・・・」

「いや兎は普通に負けるだろ?」

なんて言っていた。

「好きなものばかりじゃなくて、ちゃんと塩分とミネラルを補給できるものもね」

ふと、マリアがそう言い出し、一方負けたことにむくれている翼に、自分のサングラスをかけてやる。

「人気者なんだから、これかけていきなさい」

「・・・・母親のような顔になってるぞ、マリア」

「『ママリア』ってか?」

瞬間、戦兎の顔面にマリアの拳が突き刺さった。

 

 

 

数分後―――

 

コンビニから出てくる一行。

「切ちゃん自分が好きなものばっかり」

「こういうのを役得というのデース」

「そうか。じゃあこの荷物をもってくれるってことも役得ってことにもなるな」

「それは勘弁デスぅ!」

「また財布からお金が消えた・・・」

「自業自得だろ」

自分の好きなお菓子や飲み物を買った切歌、それを咎める調、マリアに言われた通り塩飴やミネラルウォーターを持つシン、自分の財布を死んだ目で覗く戦兎、その戦兎に引く龍我。

その様子に、翼はふっと微笑む。

その途中で―――

「ん?あれは・・・」

野球部らしき少年たちが、神社の鳥居門らしき場所に集まっている光景が見える。

その現場に出くわした彼らは、見た。

「あれは・・・!?」

見覚えのある、氷の塊を―――

 

 

 

「・・・あいつら遅いな」

「いや、片道十分ですし、まだ二十分も経ってないですけど・・・」

一海のぼやきにそうツッコミを入れる未来。

そんな彼らの元に、エルフナインがやってくる。

「皆さん、特訓しなくて平気なんですか?」

「ん?まあ、ハザードレベルを上げる必要性はあるっちゃああるが・・・」

「真面目だなぁエルフナインちゃんは」

幻徳と響がそう答えるも、エルフナインは迫真な様子で彼らに言う。

「暴走のメカニズムを応用したイグナイトモジュールは、三段階のセーフティで制御される、危険な機能でもあります!だから、自我を保つ特訓は―――」

その時だった。

 

海の水が跳ね上がり、そこから一人の少女が現れる。

 

「なんだ!?」

「うおっ!?ゴスロリ少女!?」

「ガリィ!?」

オートスコアラー『ガリィ・トゥマーン』だ。

「夏の思い出作りは十分かしらぁ?」

「んな訳ねえだろ!」

すかさずクリスが駆けつけ、すかさず一海と幻徳がスクラッシュドライバーを取り出す。

「バル!」

「キュアー!」

 

『スクラァッシュドゥライバァーッ!!』

 

『STANDBY!』

 

それを装着し、クリスと響、未来がそれぞれのリンク・アニマルの『スタンドアップスターター』を押す。

次の瞬間、三人の間に、それぞれのアニマル・ブレイズが出現する。

クリスは四つ足の首の長い龍、響は大翼広げる不死鳥、未来は蛇のような龍。

 

ロボォットジュエリィーッ!!』

 

Danger!』クロコダイル!!』

 

「―――Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)―――」

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――」

 

「―――Rei shen shou jing rei zizzl(鏡に映る、光も闇も何もかも)―――」

 

「「変身!」」

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

ロボット・イン・グリィスゥッ!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

『割れるゥ!喰われるゥ!!砕け散るゥッ!!!』

 

クロコダイル・イン・ロォーグ…ッ!!!』

 

『オゥラァァァア!!!キャァァァア!!!』

 

 

すぐさまイチイバル、ガングニール、神獣鏡の着装、グリス、ローグへの変身をする五人。

 

 

「鉛玉の大バーゲン!馬鹿につけるナンチャラはねえ!」

 

 

クリスとグリス(なんか見ずらいな)がボウガンとツインブレイカーから光弾を放つ。

それが、水柱の上にたたずむガリィに向かって放たれるも、撃ち貫かれたガリィの体に風穴が空いたかと思いきや、あっという間に水へと変わり、その場にばしゃりと落ちる。

それに息を飲むも、すぐさま背後に気配を感じて振り返れば、そこにはいつ移動したのか、ガリィが立っており、彼女の放つ水しぶきが五人を吹き飛ばす。

「俺も・・・!」

「お前は下がってろ!」

慧介も変身しようとするも、それをグリスが止める。

「で、でも・・・!」

「まだ万全じゃねえんだろ!?ここは俺たちに任せて、お前は他の奴ら連れて逃げろ!」

「一海さん・・・く・・・!」

グリスの言葉に、慧介は不承不承と踵を返して走り出す。

「マリアさん!四人をお願いします!」

響の叫びに、マリアは頷き、セレナ、エルフナイン、慧介、美空を伴ってその場から離れる。

「来い!誘導する!」

ガードウルフが前に出て、四人を誘導していき、その間に五人はガリィを取り囲む。

「キャロルちゃんの命令もなしに動いてるの!?」

「さあねぇ」

響の問いかけにガリィはそう答え、すかさずアルカノイズをばらまく。

すかさず五人が動く。

響が拳でノイズを砕き、未来が鉄扇やミラーデバイスから放つ光線で打ち抜き、クリスがガトリングガンでノイズを一気に撃ち抜いていく。

「ウラウラウラァ!」

一海もツインブレイカー二丁でノイズを蹂躙し、ローグもネビュラスチームガンでノイズを撃ち抜いていく。

空中を飛ぶフライトアルカノイズに向かっても、クリスとグリスのミサイルとツインフィニッシュが宙で弾ける。

 

 

 

その様子は、遠場にいる戦兎たちにも見えていた。

「あれは!?」

「まさか、向こうに出やがったのか!?」

「行かないと・・・!」

調、切歌、龍我、シンの四人が先に向かい、戦兎と翼はその場にいる子供たちのすぐ傍の男に駆け寄る。

「ここは危険です!子供たちを誘導して、安全な所にまで―――」

「冗談じゃない!どうして俺がそんなことを!」

「はあ!?」

だがその男は背を向けて一目散に逃げ始める。

「うっそだろオイ!?」

「くっ、止むを得んか・・・!」

仕方なく、翼と戦兎が避難誘導を始める。

 

 

 

「やぁあ!」

未来の帯がアルカノイズを弾き飛ばす。

「クロ!オートスコアラーの場所を割り出して!」

バイザーが閉じ、クロが一帯の戦場の敵情報をスキャニング。そして、その結果を未来に突きつける。

 

一人、こちらに真っ直ぐ向かって迫る、大きな敵性反応が一つ――――

 

「ッ!?」

「死ねェ!!」

一人の男の拳が未来に叩きつけられる。

寸での所で、未来が鉄扇を掲げる事で防ぐことは出来たが、その一撃は想像以上に重く、大きく弾き飛ばされる。

「貴方は・・・!!」

先日、S.O.N.Gを襲撃した、デイブレイク社の者の一人『ロジャー・セリオ』だ。

「見つけたぜぇ、クソガキ」

怒りに血走った目を未来に向け、ロジャーは蛇を解き放つ。

「ッ!」

それに対して未来は光線を発射、蛇を迎撃する。

「ッ!?未来!」

それに気付いた響がすぐさま未来の援護に回ろうとする。

しかし、響の視界に突如としてある情報が提示される。

それは、オートコアラー・ガリィがこの場にいないという事。

そして、それから予想される予測結果。

 

マリアの元に、向かったという事実。

 

「幻徳さん!」

「なんだ!?」

すぐさま状況を判断し、響はローグに向かって叫ぶ。

「今すぐマリアさんたちの所に行ってください!オートスコアラーがそっちに・・・!」

「ッ!分かった、すぐに向かう!」

それを受けたローグはすぐさまマリアたちの元へと走り出す。

 

 

 

そして、逃げて森の中を走っていたマリアたちの元にガリィが先回りして降り立つ。

「見つけたよ、暴れん坊装者」

「え?それ私の事!?」

ガリィにそう言われてショックを受けるセレナ。

「くっ!」

すかさず慧介が前に出そうになるのを、マリアが手で制する。

「さあ、いつまでも逃げ回ってないで―――」

ガリィがその片手を氷の刃で包んで突撃してきた瞬間―――マリアが前に出る。

「ラム!」

「バウ!」

 

『STANDBY…!』

 

ガリィが振るう氷の刃、それを躱したマリアは、すかさずその左拳でガリィの顔面を殴り飛ばす。

その左拳には―――狼の(あぎと)が。

「がっ!?」

 

「―――Seilien coffin airget-lamh tron(望み掴んだ力と誇り咲く笑顔)―――」

 

聖詠が響き渡り、何体もの狼がマリアの周囲を駆け巡る。

その狼たちが、マリアの体に光となって直撃し、その身に狼の衣装を刻み込んだ純銀の鎧を纏わせる。

 

起動したのは、銀の左腕。

それは、大切な者から譲り受けた、彼女の力。

強くなりたいと願う、彼女の覚悟の証。

寂しき笑顔を持つ少女とは、違う、誇り咲くべき笑顔の為の拳。

 

 

今ここに、マリア・カデンツァヴナ・イヴのアガートラームは起動した。

 

 

『Start up airget-lamh. Fight to my master』

 

 

「銀の、左腕・・・!?」

「銀腕・アガートラーム・・!」

新生アガートラームの起動に、その場にいる者たちはこぞって目を見開く。

 

「真の強さとは何か? 探し彷徨う!」

 

マリアの纏うシンフォギアから歌が奏でられる。

「あんたがどれほどのものか知らないけど、失望だけはさせないでよぉ」

ガリィがアルカノイズをばらまく。

それに対して、腕の鞘に納められたアームドギアである短剣を抜き放つと同時に無数のダガービッドを抜き放ち、それを一気にアルカノイズの集団へと撃ち放つ。

 

INFINITE†CRIME

 

そのまま最前線のアルカノイズたちを一掃、そして短剣を構えて一気にアルカノイズを殲滅しつつガリィに肉薄する。

「ウルフ、マリア姉さんの援護を・・・!」

「了解した」

セレナの言葉にウルフは従い、尻尾のマニピュレータで腰部に取り付けられたナイフホルダーからスローイングナイフを抜く。

赤熱した刃によって、アルカノイズの解剖器官を避けながら、セレナたちに近付くアルカノイズたちを斬り裂いていく。

ウルフ臀部にある機構には、無数のスローイングナイフを収納する格納スペースがあるのだ。

「こっちは気にするな!お前は敵大将を!」

「恩に着る!」

ウルフの援護もあり、マリアはガリィに迫る。

(訓練用のLiNKERが効いている・・・それに、ラムのサポートで適合係数が安定している・・・これなら・・・!)

右手に持つナイフが伸び、まさしく蛇のように空中を這いながらアルカノイズたちを撃滅していく。

 

EMPRESS†REBELLION

 

蛇腹剣で道を切り開き、マリアは一気にガリィに迫る。

「うわー、私負けちゃうかも~・・・」

棒読みでそんなことをぼやきつつ、ガリィは高笑いを挙げる。

そして、そんなガリィに、短剣の一撃を叩き込もうとする。

「なんてね」

「ッ!?」

しかし、いとも容易く、あっさりと躱されてしまう。

(しまっ―――)

振り返った瞬間、ガリィの氷の刃がマリアに叩きつけられる。

「あぐあ!?」

その一撃を貰ったマリアは地面に倒れ、短剣が遠場に突き刺さる。

「姉さん!」

その光景に、セレナは思わず声を挙げる。

「マリア!・・・くっ!」

ウルフも救援に向かおうとするも、セレナたちに群がろうとするアルカノイズの対処で動けない。

「強い・・・」

どうにか起き上がり、マリアはガリィを見上げる。

「だけど・・・!」

力の差を感じたマリアは、切り札を切る。

 

 

 

 

 

 

「死ねェ!!」

ロジャーの吐き出す蛇が未来に襲い掛かる。

「未来!」

「邪魔すんじゃねえ!」

すぐさま未来の援護に入ろうとする響を、ロジャーが呼びだした、何体もの大蛇によって阻まれる。

「くっ」

「くそ!アルカノイズの次は蛇かよ!」

「蛇とか、むかつくことをしてくれるじゃねえか!!」

これでは、未来の援護に向かえない。

一方の未来は、襲い掛かる無数の蛇を、ミラーデバイスから放つ光線をもって迎撃する。

 

混沌

 

その輝きは蛇を一度だけ貫くだけに留まらず、展開したミラーデバイスで再び反射、増幅させ、ほぼ無限ともいえる反射を引き起こし、襲い掛かる蛇を一気に迎撃する。

しかし、全ての蛇を駆逐した所で、今度は腕に蛇を纏わせたロジャーが強襲。

それを未来は鉄扇をもって防ぐ。その拳の重さはなんたるか。

「ぐぅっ!?」

さらに、その拳が叩きつけられると同時に、腕に纏わりついてブーストの役割を担っていた無数の蛇たちが一斉に未来に向かって牙をむく。

それを、未来はすかさず両腕の帯で弾き、吹っ飛ばされる衝撃と足のホバーを全力噴射することで回避する。

「逃げんなァ!」

「無理な、話!」

すかさず、未来が鉄扇の先からミラーデバイスから放たれる一撃よりも強い光線を放つ。

 

慟哭

 

放たれた無情の一閃。しかし、ロジャーはそれを躱し、未来に拳の一撃を叩きつける。

「く、ぅう・・・!」

再び吹き飛ばされる未来。

(強い・・・この間より、ずっと・・・!?)

以前戦った時よりも、彼の戦闘力はいつにも増していた。

「殺す・・・テメェだけは殺すゥ・・・・!」

怒りや憎しみを原動力としているのだろうか。

彼は、未来以外は眼中にない様子だった。

でも、だとしても。

「ここで負ける訳にはいかない・・・!」

未来は、その力の差を埋める為、呪われた力に手を出す―――

 

 

 

 

「この力で決めて見せる!」

 

「これ以上、好きにはさせない!」

 

 

ほぼ同時に、二人は一発逆転ギャンブルに出る。

 

 

 

「「『イグナイトモジュール』、抜剣!!」」

 

 

『DAINSLEIF』

 

 

展開されたマイクユニットの針が二人の穿つ。

 

 

「ぐぅああぁぁ・・・・!?」

 

「あ・・う、あぁぁぁあ!?」

 

 

モジュールの起動に伴う、破壊衝動が精神を蝕む。

 

 

 

「未来・・・!」

その光景に、響は黙ってみている事しか出来ない。

 

「姉さん・・・!」

呪いに苦しむ姉を、見ている事しか出来ないセレナ。

 

 

そして、呪いに苦しめられる二人は――――

 

「弱い自分を、殺す―――う、わぁぁぁぁああ!?」

 

「響の、隣に、立てる―――あ、あぁぁぁぁあ!?」

 

 

 

 

 

漆黒が、覆いつくす。

 

 

 

 

 

「――――ガァァァアァァァアアァァアアア!!!」

 

 

 

「――――グルアァァアァァァアァァアアア!!!」

 

 

 

呪いが暴走し、マリアと未来が、暴走する――――。

 

 

 

 

「あれれ」

その様子に、ガリィはそうなったかとぼやく。

「グゥゥウウァァァアアァアア!!!」

漆黒に染まり、獣に成り下がったマリアがガリィを強襲。理性を吹き飛ばされているとはいえ、その力は絶大。

その一撃を、ガリィはいとも容易く躱して見せる。

「獣と落ちやがった」

その様子に、ガリィは軽蔑をもってそう呟く。

 

 

 

 

 

「グルアァァァァァアア!!」

「そんな、未来が・・・!」

イグナイトの暴走によって、未来が獣へと成り下がる。

その未来が、ロジャーに襲い掛かる。

「ッ!?」

その速さに目を見開くロジャーだが、拳を振るう未来に、ロジャーは真正面から迎撃する。

その拳の重さは、未来の華奢な腕から想像も出来ないほどに重く、またロジャーが踏みしめている砂場が衝撃によって吹き飛ぶ。

「ぬ・・・ぐ・・・!」

「グルァァァァアア!!」

すかさず未来が追撃に帯を振るう。だが、その攻撃はロジャーが呼び出して蛇にいとも容易く防がれる。

「死ねよクソガキィ!」

「グル・・・!?」

次の瞬間、ロジャーが反対の手で未来の腕をつかんだかと思いきや、思いっきり遠くへ投げ飛ばす。

それを未来は空中で態勢を整えて四つん這いで着地。

「グルァァァアアア!!!」

咆哮し、未来は敵を見据える。

「くそ、魔剣の呪いに飲み込まれやがった・・・・!」

その様子に、クリスは悔しそうにそう呟く。

 

 

 

 

その一方、暴走したマリアは、左腕を肥大化させ、その腕をもってガリィを強襲。しかしガリィはそれを苦も無く躱して見せる。

地面に突き刺さるマリアの凶爪。しかしすぐさま引き抜いては背後に回ったガリィを襲う。

「いやいやこんな無理くりな赤ではなく―――」

そのまま一撃を叩き込もうとするマリア―――の顔面に横から誰かの拳が炸裂する。

「え」

「グガァァァアァア!?」

そのままマリアは横の木に叩きつけられ変身解除の後に沈黙。

突然の事にガリィも一瞬呆け―――目の前に突きつけられた銃口に思いっきり首を捻る。

放たれた銃弾はガリィの髪を掠り、続けざまに数発放たれ距離をとる。

「お前は・・・」

そこに立っていたのは、紫のスーツに身を包んだ仮面の戦士。

「仮面ライダー・・・!」

「ローグだ」

ローグが再び駆鱗煙銃ネビュラスチームガンの引き金を引く。

「チッ、お前は及びじゃないんだよ!」

ガリィの拳が、ローグの胸に突き刺さる。

しかし、ローグはびくともせず、すかさず反撃の拳がガリィを襲う。

「んなっ!?」

「その程度の攻撃で、俺がやられると思ったか」

ローグは、全ライダー中最大の防御力を誇る。ビルドのハザードフォーム、あるいはそれに準ずるフォームであれば、その防御力を無視することが出来るが、その特性さえなければローグは、最大最硬の装甲を持つライダーとなる。

追撃の銃撃。

それをガリィは片手で弾いて見せる。

「チッ、あの装者は外れだし、邪魔は入るし、がっかりだ」

そう忌々し気にガリィは呟くと、テレポートジェムを取り出し、それを足元に投げる。

そして、あっという間に消える。

「逃げた・・・いや、引いてくれたという方が正しいか・・・」

「マリア姉さん!」

倒れるマリアに、セレナとエルフナイン、そしてアルカノイズを駆逐し終えたウルフが駆け寄る。

「マリアさん、マリアさん・・・!」

「大丈夫だ。それほど大きな外傷はない」

呼びかける彼女らの言葉に、マリアは目を開ける。

「姉さん!良かった・・・」

「・・・勝てなかった・・・」

唐突に、マリアは呟く。

「私は、何に負けたのだ・・・?」

その疑問は、虚空へと消えていき、それを見守っていたラムは、静かに茫然としているマリアを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

また一方で。

「グルアァァァァアアア!!」

暴走した未来が再びロジャーに襲い掛かる。だが、

「未来!」

その前に響が立ち塞がり、すさまじい勢いで突っ込んでくる未来を受け止める。

「ぐっ!ダメだよ未来!魔剣の呪いなんかに負けないで!」

「グルアァァァァア!!!アァァァアア!!!」

抱きしめる響の腕の中で、暴れる黒い獣。

しかし、そこへロジャーの大蛇が襲い掛かる。

「ッ!?」

それに息を飲む響だが、その蛇はたちまち、赤い弾丸に撃ち貫かれていく。

「そっちは任せた!」

クリスだ。

「ウオラァァァア!!!」

そして、ロジャー本人にはグリスが殴りかかる。

「テメ、邪魔すんな!」

「はっ!それなら俺を倒して見せなァ!」

ロジャーとグリスが激しく殴り合う。

だが、アルカノイズと戦う事で『スイッチ』を入れたグリスは、並大抵の力ではない。

「進撃!」

右のツインブレイカーが左腕を弾き飛ばす。

「爆現!!」

左のツインブレイカーが右脇腹に突き刺さる。

「豪快ィ!!!」

凄まじいラッシュが、ロジャーを襲う。

「こっのォ!」

ロジャーの拳がグリスの顔面を捉える。だが、効いていない。

「おいおいどうしたこの程度か!?」

「なっ!?」

その腕を弾き飛ばし、両腕のツインブレイカーの連撃がロジャーに突き刺さる。

「まだまだ全然足りねえなァ!!」

「ぐあぁぁああ!?」

想像以上のグリスの強さに、ロジャーは圧倒され、吹き飛ばされる。

そのまま砂の上を転がる。

「誰が俺を満たしてくれるんだよぉぉぉぉおお!!!」

両手を広げて、雄叫びを挙げるグリス。

「こ、の・・・調子に―――っ!?」

ふと、ロジャーが唐突に止まる。

「はあ!?撤退だと!?ふざけるな!あいつの仇が目の前に・・・チッ、クソがッ!」

誰かと通信しているのか、一人喋りだすロジャー。

やがて、そのポケットからテレポートジェムを取り出すなり、それを地面に投げ捨てる。

「次は必ず殺してやる・・・!」

そう言い残し、ロジャーはその場から消える。

「逃げやがった・・・」

「ってそうだ!あの子は・・・!」

そうしてクリスが振り返った先で、未来はなおも響の腕の中で暴れていた。

「く、どうにかして止めねえと・・・」

攻撃して気絶させるのも手だが、それを彼女が許す筈がない。

一体どうすれば―――

 

「―――クローズドラゴン!コード0739変身解除!!!」

 

と、そんな声が聞こえれば、

 

『Order acceptance. Remove transformation』

 

すると、途端に未来の体から黒が剥がれ落ち、元の水着姿に戻る。

「未来・・・未来!」

響が、揺すって未来に呼びかける。

すると、未来はうっすらとだが、目を開ける。

「未来・・・!」

「おい、大丈夫か!?」

そこへクリスと変身を解除した一海も走ってくる。

さらに、マシンビルダーに乗って急行してきた戦兎と翼がやってくる。

「私・・・暴走したんだ・・・」

「キュルー」

茫然としている未来に、申し訳なさそうに顔を摺り寄せてくるクロ。

「念のために強制解除コード設定しておいて正解だったな」

「流石戦兎だな・・・」

 

「大丈夫・・・」

そんな未来を、響は抱きしめる。

「大丈夫だからね。未来は、何も悪い事してないから・・・」

その言葉は、さらに未来の心を締め付け、同時にふと思う。

(嫌だな・・・)

こんな、弱い自分が、とても――――




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「主を失ってなお襲い掛かる人形・・・」

オートスコアラーの行動に疑問を抱くS.O.N.G.。

「『強い』って、どういうことなんでしょうか?」

強さに悩むマリアと未来。

「今度こそ歌ってもらえるんでしょうね?」

そこへ襲撃してくる、ガリィとロジャー。

「てんで弱すぎる」

追い詰められる、マリアと未来。

「・・・俺にとっての『弱さ』とは―――」

そこへ、ローグから告げられる言葉とは―――

次回『ローグを演じた男』


「「『イグナイトモジュール』、抜剣!!」」






さあさあ変身講座ァァアア!!!


はろはろみんな、マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。今回は私が変身講座をしてあげるわ。
ちょっとそこ『ママリア』とか『アイドル大統領』とか『ただのやらしいマリア略してタヤマ』とか呼ばない!私の心はガラスのハートなのよ!?
・・・こほん、話しがズレたわね。
だから、からかいやすいって言わない泣くわよ!?
と、とにかく!まずはラム・・・このアガートラームウルフを用意しなさい!ちなみに形はシンのクライムウルフと同じよ。
そして、この子の背中にあるスタンバイスターターを押す。
すると、七匹のおおかみさんが出てきてくれるわ。
ちなみに、それぞれに名前があるらしくて、怒りっぽいのが『ラース』、尻尾を振り振りして誘惑してくるのが『ラスト』。食い意地を張ってるのが『グラトニー』、何故か嫉妬深そうな子が『エンヴィー』、あくびをしてるのが『スロウ』、何故かマウントを取ろうと必死に胸を張ってるのが『プライド』、そして獰猛な顔をしているのが『グリード』よ。
さて、ここから変身に入る訳なんだけど、私のポーズは、まず自分の左肩あたりで左腕を縦に、右腕を横にして交差させて、そこから私から見て反時計回りに腕を回すの。そして、左拳を腰に、右手を水平に構えて、そして右に右手を振り抜く♪

「―――Seilien coffin airget-lamh tron(望み掴んだ力と誇り咲く笑顔)―――」

・・・よし、これでばっちりね。
あくまで作者の妄想なんだけれども、変身バンクは

振り抜いた右手におおかみが一匹噛みつく。それが光となって右腕に纏われ、再び斜め下に振り抜くと同時に着装→そこから光が全身へと纏われギアインナーを纏う→二匹の狼が足元で回り、レッグギアへと変化→腰の後ろから四匹目の狼が飛び掛かって腰のギアから体を駆け抜けるようにしてボディアーマーを着装→腰マントが現れ、そこに一匹の狼が入り込んで狼柄を描く→最後にどっかの戦隊もののような感じで頭に狼が噛みつきヘッドギアへと変化→最後に左腕に狼が噛みついてガントレットへと変身、そこから出る短剣を抜き放って、変身は完了。


といった感じよ。
少しは分かったかしら?他の皆は唯一無二っていう感じだけど、私は七匹もブレイズがいるのよ。
リンクス・アームズについてはまだ明かせないけど、次回の私の活躍、見ていてね。

では、マリア・カデンツァヴナ・イヴとラムでした。

オリジナル章はやったほうがいいか

  • バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
  • そんなことはどうでもいい!(どちらでも
  • 嘘を吐くな!(やるな

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