愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「いや、いくらなんでも早すぎやしないか!?」
弦「なんでも書き貯めたものが以外に多く溜まったから、たまにはサービスで一日二連続投稿に乗り出したらしい」
戦「一日に二回なんて結構ハードなんだけど!?これじゃあタグ詐欺じゃねえか!?」
弦「まあ、気まぐれ投稿らしいからな。途中飽きたりネタが思い浮かばなくなったらしばらく投稿できなくなるから、そういう警告の意味もあるんだろう」
戦「おいなんでそんな冷静なんだよお前熱血系キャラなのになんでそんな冷血に物事判断してるんだ!?」
弦「はっはっは!歳の功というものさ!」
藤「存在するだけで憲法に抵触する程の戦闘力もってる人間だからこそなにか説得力ありますね・・・」
翼「そんな事よりさっさと始めるぞ。今回は特別に万丈や立花に参加してもらってないんだから」
戦「その為の穴埋め要因としてこいつらが呼ばれちゃったんでしょうか・・・まあいいや」
弦「では、今回は響君が意外に活躍する話だ。はい戦兎君」
戦「お、おう・・・ではどうなる第七話!」


約束のシューティングスター

―――仮面ライダービルドこと、桐生戦兎は、自室にて、自分の発明品の修理に当たっていた。

 

「それ、直りそうか?」

そう聞いてくるのは、ダンベルを使って筋トレをしている万丈だ。

「ああ、どうにかなりそうだ」

黙々と作業を続ける戦兎。

 

あれから一ヶ月。

 

シミュレーターなどを使い、ノイズに対しての連携訓練を行ってきた戦兎、万丈、翼、響の四人ではあったが、まず響が戦いの素人であること、翼が独断で戦う事、それでもってその二人に振り回される戦兎と万丈という全く持って噛み合わない状態に、現場の者たちはともかく、弦十郎たちには完全に呆れられていた。

 

「しっかし、どうすんだよ。このままじゃまともに戦えねえぞ」

「響はお前がどうにかしろ。戦い方ぐらい教えられるだろ」

「まあそれはそうだけどよ・・・問題なのは翼の方だろ?」

「まあ、そうだな・・・」

未だ、響や戦兎たちに心を開こうとしない翼。学校でもツンツンとした態度は健在で、やはり、周囲の生徒からは近づきがたい印象を与えていた。

元々トップアーティストという立場もある。

表でも結構忙しい筈なのに、ノイズを倒すこともしているというのは、かなり忙しいはずだろう。

響はともかく、ノイズを倒せる仮面ライダーという存在が増えたのだ。少しぐらいは休んでもいいと思うのだが。

「でも、大切な人を失ったっていうのは、アイツの心にまだ傷を残してると思うんだ」

「・・・そうだな」

翼だけではない。二人とも、大切な人を失っている。

万丈は恋人を、戦兎は父親を、それぞれ失っている。

新世界創造によって、彼らは復活しているだろう。しかし、それは自分たちの知っている相手ではない。

スカイウォールの存在していた自分たちの世界とは違う世界の歴史に生きる人間だ。

だから、彼らは自分たちの事を知らない。

そして翼は、自身の片翼とでもいうべき親友を失っている。

その傷は、そう簡単に治るものではないだろう。

その事を、良く知っている二人は、あえてその事を翼には言っていない。

人を失う気持ちは、誰よりも、痛い程理解しているのに。

「だぁーくっそ!どうにもなんねえのかよ!」

「お前はやる事ないからいいでしょ。俺は仮面ライダーとしても学校の先生としても頑張らなくちゃいけないんだからさ。そんなに暇なら風鳴さんに稽古つけてもらったらどうだよ?」

「お、それいいかもな」

戦兎の提案をあっさり受け入れる万丈。

「しっかしお前が先生ねえ。しかも女子校なんだろ?」

「うるっさいな。いいでしょ別に。お前は働いてないんだからさ」

「さぞ女にはモテてんだろうな。なあ?戦兎先生?」

「気持ち悪いからやめなさい」

「気持ち悪いっていうな」

ふと、そこで扉が開く。

「ようお前たち」

「風鳴さん」

「風鳴のおっさん、どうしたんだよ?」

入ってきたのは弦十郎だった。

「何、今何してるのか気になってな」

「あっそう・・・あ、そうだ風鳴さん。万丈暇そうだから稽古つけてやってくれよ」

「そういえば龍我君は元格闘家なのだったな」

「まあな・・・」

その事に関しては万丈は苦い思い出ある。

かつて八百長試合に手を出したのだ。

それに手を出した自分の事を、彼自身も『クズ』だと認識しているのも事実だ。

だが、それでも彼が誰かを守りたいという気持ちは本物だ。

「だったら俺の家の来るか?サンドバックもあるし、強くなる事間違いなしだぞ」

「へっ、上等だ。どうせ暇なんだ。しっかりと強くしてもらうぜ」

(んでもってコイツがどうやって強くなったのか、その秘訣を聞き出してやる・・・!)

などと考えている万丈。

「あ、そういえば風鳴さんはどうやってあれほどの力を?」

戦兎が直接弦十郎に聞く。

それに弦十郎は自慢するかのように言った。

「男の鍛錬は食事と映画鑑賞と睡眠だけで十分だ!」

「「は?」」

それだけ?

「え?何?それだけ?」

「映画の鍛錬法は確かに効果はあるぞ」

「映画の鍛錬法を実践してんのかよ!?」

ただそれだけであれほどの力を手に入れたというのか。

本物の化け物かこの男は。

「なあ戦兎」

「なんだ万丈」

「俺、マグマになってもこの人に勝てる気がしねぇんだけど・・・」

「奇遇だな。俺もハザードでも勝てそうにない気がする」

改めて、弦十郎の規格外さに驚嘆する二人だった。

 

 

 

 

 

それでもって夜。

「遅くなりました!」

響が作戦本部にやってくる。

「すみません」

頭を下げて謝罪する響。

「では、全員揃った所で、仲良しミーティングを始めましょう」

了子がそう言う傍らで、響と翼の間には、形容しがたい空気が流れていた。

その様子を、戦兎は横眼で見つつ、会議を始める。

まず、モニターにここら一帯の地図が映し出される。

そして、一つの点を中心として広がる円も表示された。

その数はかなり多い。

「どう思う?」

弦十郎が響に問いかける。

「ん、いっぱいですね」

「っはは、全くその通りだ」

その返しに、弦十郎は笑い、一方の翼は顔をしかめていた。

「これは、ここ一ヶ月のノイズの発生地点だ」

「確か人間がノイズに出会う確率っていうのは、通り魔と出会う確率を下回るんだよな」

「その通りだ。そういえば響君は、ノイズについて知っている事は?」

「テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが、まず無感情で、機械的に人間だけを襲う事、そして、襲われた人間が炭化してしまうこと、時と場所を選ばずに突然現れて被害を及ぼす、特異災害として認定されている事」

「意外と詳しいな」

「今纏めてるレポートの題材なんです」

褒められて照れたのか頭を掻く響。

「そうね。ノイズの発生が国連での議題にあがったのが十三年前だけど、観測そのものはもーっと前からあったわ。それこそ、世界中の太古の昔から」

「そんなに前なのか」

「世界各地に存在する神話や伝承の数々に登場する異形は、ノイズに由来するものが多いだろうな」

「だから聖遺物・・・」

神話の時代から存在するというのなら、それに対抗するために作られたものが今響や翼の使うシンフォギアの核である聖遺物なのだろう。

「さっき戦兎君が言ってくれたように、ノイズの発生率は決して高くないの。誰の眼から見ても明らかに異常事態。だとすると、そこになんらかの作意が働いていると考えるべきでしょうね」

「作意?てことは、誰かの手によるものという事ですか?」

「そう考えるのが妥当だろうな」

「一体誰がなんの目的でやるんだよ?」

「それは分からん」

「中心点はここ、私立リディアン音楽院高等科。我々の真上です。サクリスト-D『デュランダル』を狙って、なんらかの意思が、この地に向けられている証左となります」

翼が、そう指摘する。

「デュランダル・・・?」

「・・・ってなんですか?」

当然、そんな事を知らない戦兎、万丈、響は首を傾げるだけだ。

一応、戦兎はその名前を知っているが。

その疑問に、友里が答える。

「ここよりも更に下層、『アビス(深淵)』と呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下によって我々が研究している、ほぼ完全状態の聖遺物。それがデュランダルよ」

「翼さんの天羽々斬や、響ちゃんの胸のガングニールの欠片は歌を歌って、シンフォギアとして再構築させないと、その力を発揮出来ないけれど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は、百パーセントの力を常時発揮し、さらには、装者以外の人間も使用可能と、研究の結果が出ているんだ」

藤尭が捕捉を加える。

「結局どういう事だよ?」

「響や翼の使うシンフォギアよりも強力な武器がここよりも下にあるってことだよ」

万丈のぶれなさに呆れつつ、軽く説明する戦兎。

「それが、私の提唱した櫻井理論。だけど完全聖遺物の起動には、相応のフォニックゲイン値が必要なのよね」

「んん~?」

まあ響はあまり理解出来ていないようだが。

「フォニックゲインってなんだ?」

「歌で発生するエネルギーの事だよ。ボトルを振れば成分が活性化するのと同じ理論だ」

「なるほど」

「あれから二年。今の翼の歌であれば、あるいは・・・」

弦十郎の言葉に、翼は顔をしかめる。

「そもそも、起動実験に必要な日本政府からの許可って下りるんですか?」

「いや、それ以前の話だよ。安保を糧に、アメリカが再三のデュランダル引き渡しを要求してきてるらしいじゃないか。起動実験どころか、扱い自体に慎重にならざるを得ない。下手打てば国際問題だ」

「アメリカか・・・」

戦兎や万丈にとっては馴染みのない言葉だが、国同士のいざこざはなんとなく分かる。

かつてパンドラボックスを巡って戦争をした程だ。

「まさかこの件、米国政府が糸を引いているという事は・・・」

「調査部からの報告によると、ここの数か月における本部コンピューターへのハッキングを試みた痕跡が数万回に及んで認められているそうだ」

傍らでは翼は手に持っていた紙コップを握りつぶし、その様子に響は目をそらす事しか出来ない。

「結局はどういう事だよ?」

「お前な・・・ライダーシステムで例えると、俺たち仮面ライダーの使う技術を盗もうとしているってことだよ。パソコンだとかそういうのにアクセスして、データを盗もうとすること。まあ分かりやすく言えば、紗羽さんが難波重工にデータを渡してたのと同じだな」

「ああ、ああいう感じか」

「流石に、アクセスの出所は不明。それらを、短絡的に米国政府の仕業とは断定できない」

「なんでだよ」

「証拠が足りないからだよ馬鹿」

「馬鹿っていうな!」

「おほん、もちろん痕跡は辿らせている。本来こういうのこそ、俺たちの本業だからな」

そこで、緒川が話に割り込んでいた。

「風鳴司令」

「そうか。そろそろか」

「こんばんは。これからアルバムの打ち合わせが入っています」

「はえ?」

「どういう事だよ」

「ああ。俺が教師をやってるように、アンタもそういう職業についてるのか」

「ええ。表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャーをやっています」

そう言って、緒川は名刺を差し出す。

「おお!名刺貰うなんて初めてです。これまた結構なものをどうも」

「なあなあ俺も作れないのかこれ?」

「お前まともな職業についてないのにどうして名刺なんか作るんだよ」

そうして、翼と緒川は仕事の為に指令室を出ていく。

その様子を見送りつつ、響は弦十郎に尋ねる。

「私たちを取り囲む脅威って、ノイズだけじゃないんですね」

それに、その場にいる者たち全員がうなずく。

「どこかの誰かがここを狙っているなんて、あまり考えたくありません」

「大丈夫よ」

「え?」

「何故ならここは、テレビや雑誌で有名の天才考古学者櫻井了子が設計した、人類守護の砦よ」

「―――ッ!」

「お前の事じゃねーから」

ガタッと立ち上がりかけた戦兎を制する万丈。

「先端にして異端のテクノロジーが、悪い奴らなんて寄せ付けないんだから」

「よろしくお願いします」

「んん」

そんな中で、戦兎は考える。

(確かにデュランダルだとかの聖遺物は、使い方次第では本国を守るための防衛手段にもなるし、逆に敵国を滅ぼす為の兵器にもなる・・・だが、なんかそんな国単位の話じゃないような気もするんだよな・・・・)

何故この街にノイズが集中するのか。一体どういう目的があるのか。

本当に、デュランダルだけが目的なのか。狙っているのはアメリカなのか。

何か、強大な陰謀が隠れているようにも思える。

(エボルトと同じように、この世界を滅ぼそうとする奴がいたりするのか・・・?だとしたら・・・)

ポケットのラビットフルボトルを握りしめて、戦兎は決意を新たにする。

(その野望を俺たちが阻止してみせる・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

それでもって翌日。

黒板にベクトルの図を描きつつ、戦兎は教科書を見ず、自らの言葉でそれを説明していた。

「あ~、やっぱり戦兎先生ってかっこいいなぁ」

「あんな風にさわやかな笑みを浮かべながら授業が出来るなんて、すごいよねぇ」

「はいそこ。ここの仕組み分かりますか~?」

一人の生徒を指名して、答えてる最中、戦兎は奥の席に座る翼を見上げる。

その表情は、未だ何かを考えている様だった。

「・・・」

その様子に、戦兎は溜息とともに肩を落とすのだった。

 

 

 

 

授業が終わり、放課後。

「よっ」

「桐生・・・」

いつも通り一人の翼に、戦兎は声をかける。

「ちょっと付き合ってくれ」

そうして、二人は学園の屋上へとやってくる。

下を見下ろせば、何人もの生徒たちがグラウンドで走っていたり、遊んでいたりしていた。

「それで、何か用か?」

「ああ。お前、どうしてそこまで一人で戦おうとするんだ?」

その問いかけは、戦兎の疑問の一つだった。

「いや、どうしてそこまでして戦おうとする?アイツはともかく、ノイズに対抗できる仮面ライダーが二人もいるんだ。たまには休む事も考えた方がいいんじゃないのか?」

「何を馬鹿な事を・・・私はこの身を『剣』として鍛えた身。そのような行為は必要ない」

「天才でも休みは必要だぞ?結構なハードスケジュールだろ?」

「お前には関係ない事。気にすることでもないだろう」

「関係なくねえよ。仲間だろ?」

仲間。その言葉が、翼の心に突き刺さる。

「・・・・お前に・・・奏を失った私の気持ちなんて・・・」

「分かるさ」

「何をだ?私はあの日、『絶唱』を使う奏を止められなかった。もっと私が強ければ、奏は死ぬ事は無かった・・・!失い事はなかった・・・全て、私の弱さが招いた事だ・・・」

「だから、自分一人だけで戦う、と・・・はあ・・・」

翼の言葉に、戦兎はこれまでにないほど大きなため息をつく。

「・・・何?」

「いや、お前がこれまでにないくらい馬鹿でどーしようもない奴だって分かってさ」

「馬鹿だと・・・?それは一体―――」

思わず食って掛かろうとした翼を、戦兎は次の言葉で止める。

「俺たち全員自分一人で戦ってる訳じゃねえんだよ。俺だってな、万丈や仲間たちがいなくちゃ、本当は何もできないただの人間なんだよ。でも、仲間がいたからこそ、今の俺が、ビルドがある。お前だって同じだ。風鳴翼っていう一人の人間は、天羽奏や風鳴さん、二課の奴らがいたから今のお前がいるんだろ。その事忘れて戦っている奴を、馬鹿と呼んで何が悪い」

「それでも私は、この身を剣として鍛えてきた!私の歌は、戦う為のものだ・・・」

「歌はそういうものじゃないだろ。確かにお前たち装者は歌を歌いながら戦っているかもしれないけど、その歌は、誰かに生きる希望を与えてくれるものじゃないのか?お前の歌は、本当に戦うためだけにあるのか?少なくとも俺から見ればお前の歌は、誰かに生きる為の勇気を与えてくれていると思う」

「・・・!」

その言葉に、翼は息を詰まらせる。

誰かに生きる為の勇気を与えてくれている―――誰かの為に歌を歌う。

(わた・・・しは・・・・)

この身は、『剣』として鍛えてきた。決して折れる事の無い一本の『剣』として鍛え、この国を守る『防人』として、今までの人生を捧げてきた。

そんな中で、自分が唯一楽しいと思えたものが、歌だった。

例え、戦う為に覚えたものであっても、自分は、歌が好きだった。

だけど、今の自分は――――

「翼」

戦兎が、言う。

「自分の事を『剣』だなんて言うなよ。俺が人であるように、お前も人なんだからさ」

「・・・・」

夕焼けに染まる空を見上げて、戦兎は語る。

「剣っていうのは、人を傷つける為の道具だ。だけどお前は、その力を誰かを守るために使ってる。そんな人間が、剣だなんて言えるか?」

「それ・・・は・・・・」

「結局、お前もただの人間なだけだ。歌を歌うのが好きな、ただの人間だ」

戦兎の真っ直ぐな言葉が、翼の耳に届く。

「だからま、あんま無理すんなよ。お前の歌を待ってる奴って、結構いるんだからさ。ちなみに俺もファンだったりする」

「な!?聞いているのか?」

「ああ、響から勧められてな。今じゃ作業している時は毎日聞いてるよ」

「そ、そうか・・・」

ポケットから新品のウォークマンを取り出して、戦兎は言う。

「こんな風に、誰かを元気づけられる歌が歌えるんだ。お前は剣なんかじゃない。一人の女の子だよ」

「・・・・」

なんだか、初めて言われた気がする。

人生で、一人の女の子などという言葉を、初めて言われた。

その言葉に、翼がフリーズする―――その時だった。

通信機から、連絡が入る。

「ん?どうした?」

『ノイズだ!すぐに出てくれ!』

どうやら、問答はここまでのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で―――

「キュイーン!」

「こっちか!」

通信機に入ったノイズ出現の報を聞き、すぐに現場に向かっていた万丈。

持ち前の体力で、ほぼ息切れなしに現場の地下鉄入口に辿り着く。

そこには、すでに響がいた。その手には、携帯が握られており誰かと電話をしている風だった。

「響か・・・?」

「・・・ごめん、急な用事が入っちゃった・・・・今晩の流れ星、一緒に見られないかも・・・」

その会話を聞き、万丈は察する。

 

(何か、約束があったのか・・・・)

 

「キュイ・・・」

電話をしている響を、クローズドラゴンは心配そうに鳴いていた。

「ありがとう・・・ごめんね・・・」

そうして、通話を切る響。

そして、その携帯をポケットの中にしまった瞬間、勢いよく振り向いて今地下鉄から出てきようとしていたノイズたちを睨みつける。

「キューッルルッルルッルル!」

その隣に万丈もたつ。

「龍我さん・・・」

「付き合うぜ」

「・・・ありがとうございます」

十分に振ったドラゴンフルボトルを、クローズドラゴンに装填し、ビルドドライバーに装填する。

 

Wake UP

CROSS-Z DRAGON!』

 

そしてボルテックレバーを回して、スナップライドビルダーを展開する。

 

『Are You Ready?』

 

「変身!」

 

『Wake UP Burning!』

 

『Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

それと同時に、響もガングニールの起動聖唱を唱える。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron――――」

 

その身を夕焼け色のスーツと白銀のプロテクターで覆い、ノイズを倒すための力をその身に宿す。

その瞬間、ノイズを現実世界に引きずり出す力場が発生、そして、響はその胸の内から歌を紡ぐ。

「っしゃあ!行くぜぇえ!!」

そして、二人は目の前のノイズに飛び掛かった。

その最中で、弦十郎から通信が入る。

『小型の中に、一回り大きな反応が見られる。まもなく翼と戦兎君も到着するから、それまで持ちこたえるんだ。くれぐれも無茶はするな』

「は!こんな奴ら、俺たちだけで充分だ!」

ビートクローザーで数体のノイズを薙ぎ払い、クローズはさらに奥へ進む。その後を響もついていく。

改札の前まで行くと、そこには、まるでブドウの房を背負っているようなノイズに出くわす。

おそらく、あれが反応が強いノイズだろう。

「分かってます!私は、私に出来る事をやるだけです!」

そう言い、響は改札を飛び越して、ノイズに殴り掛かる。

それは、まさしく素人の喧嘩そのものだった。だが、それでも、シンフォギアの見せる対ノイズ性能は健在であり、ただ殴ったり蹴ったりするだけでも、ノイズは炭素の塊となって消える。

その最中、ブドウ型ノイズが体に付けた球をいくるか落とし、響たちの方へ転がしたかと思うと、突如として爆発。

「え!?」

「な!?」

その爆発に巻き込まれる響とクローズ。

天井が崩れ、その下敷きとなっている間に、ブドウノイズは階段を飛び降りて逃げていく。

そして、その下敷きになった二人は、

「―――いってぇなオイ!」

クローズはすぐさま瓦礫から這い出て健在だという事を示した。

「響!大丈夫か!?」

だが、響は起き上がってこず、その姿を探すクローズ。

「・・・見たかった」

「ん?」

その時、声が聞こえたかと思いきや、瓦礫が吹き飛んでその中から響が怒りの形相で目の前のノイズの集団に殴り掛かる。

「流れ星見たかった!」

動きは素人。だが、その拳に込められた感情は、まさしく本物。

とてつもない怒りが、響を突き動かし、ノイズを殴り飛ばす。

「未来と一緒に―――」

背後のノイズすらも吹き飛ばして、

「―――流れ星見たかった!」

振り向き様に蹴りを叩き込んでまたノイズの一体を炭素の塊へと変える。

「うお・・・」

その迫力は万丈ですら後ずさる程だった。

「うぉぉぉあぁぁぁぁああぁぁあああぁああああ!!」

その暴れ様はすさまじく、何体ものノイズを一重に吹き飛ばしていた。

その一方で、地下鉄のホームにて、ブドウノイズは房の球を回復させ、なおも逃走を図る。

それを見て、響はホームの壁を意味も無く殴る。

(やべえなんか知らねえがめっちゃ怒ってやがる!?)

まだ十五歳の少女が出せるはずもない迫力にクローズはその後ろを見るだけでも後ずさった。

「アンタたちが、誰かの約束を侵し・・・!」

ブドウノイズが球を切り離して新たなノイズを呼び出す。

「嘘の無い言葉を・・・争いの無い世界を・・・なんでもない日常を・・・!」

そこで、クローズは響の異変に気付く。

 

黒い

 

何か、響の姿が黒くなって見える。

その黒は、まるで――――

(ハザード・・・?)

―――かつて、ビルドが変身した、黒いビルド。

それに、似ている気がする。

「おい、響―――」

「―――剥奪すると、言うのなら―――ッ!!」

より狂暴性の増した攻撃で、響はノイズを片っ端から叩き伏せていく。

 

これは、まずい。

 

クローズは本能的にそれを察知し、すぐさま呼びかける。

「おい響!それ以上進んだら戻れなくなるかもしれねえぞ!」

だが響は止まらない。

「がぁぁあぁああ!!」

おそらく、元々あった怒りに加えて、なんらかの要因で暴走しているのだと思われる。

「おい!響!」

まるで獣だ。

黒いビルド―――ビルド・ハザードフォームは、暴走した場合、目の前の敵を徹底的に破壊する為に、全ての思考を廃し、ただ目に映る全てのものを壊す事しか考えられなくなる。

だが響の場合は、怒りによって敵を蹂躙したいという感情が現れている。

ハザードとは、どこか違う暴走状態。

そこへ、あのブドウノイズが放ったと思わしき球が転がってくる。

「あぶねえ!」

「え」

響の襟首を掴んで後ろに投げ飛ばし、代わりにその爆発を受けるクローズ。

「うごあ!?」

「龍我さん!?」

「つぅ・・・大丈夫だ!」

だが、ダメージはそれほどでもなく、クローズはその視界に逃げるブドウノイズを捕捉する。

「な!?待ちやがれ!」

「待ちなさい!」

そのノイズを追いかけようとする響とクローズだが、突如としてノイズは天井をその球の爆弾で爆破、地上への穴を作り出し、そこから駆け上がって地上に出ていった。

「やろぉ・・・」

「・・・あ」

ふと、その穴から見える夜空を、一条の閃光が迸っていた。

「流れ星・・・・?」

否―――それは、風鳴翼の纏う光だった。

 

『各駅電車ー!急行電車ー!快速電車ー!』

 

そして、そのすぐ傍ではビルド・カイゾクレッシャーフォームがその手の弓武器『カイゾクハッシャー』のビルドアロー号をエネルギー供給ユニット『トレインホームチャージャー』まで引き絞る。

 

海賊電車!』

 

次の瞬間、カイゾクハッシャーからエネルギー体のビルドアロー号とビルドオーシャン号が発射される。

 

『発射ッ!』

 

蒼ノ一閃

 

特大の斬撃と電車型の矢がノイズを襲う。その一撃は叩き込まれ、一瞬にしてノイズを消し飛ばす。

「いや・・・やりすぎだろ」

その様子を、万丈はそう言いながら見ていた。

そんな中で、翼とビルドが着地する。

そんな二人に響とクローズが駆け寄る。

ふと、後ろ姿を見せる翼に、響は言う。

「私だって、守りたいものがあるんです!」

しかし、翼は響を見ようともしない。

「だから・・・・!」

しかし、その先の言葉が続かない。

そんな二人の様子に、ビルドとクローズは呆れていた。

 

「―――だから?んでどうすんだよ?」

 

どこからともなく、声が聞こえてきた。

「ッ!誰だ!」

その声に、ビルドは叫ぶ。

 

雲に隠れていた月が、姿を見せ、月光がその正体を照らす。

 

そこから現れたのは――――白い鎧を纏った少女だった。

「誰だ・・・アイツ?」

クローズ、ビルド、響の三人は何なのか分からず、唯一、翼だけは、その少女の纏う『鎧』を知っていた。

「・・・『ネフシュタンの鎧』・・・・」

 

 

少女の運命が、動き出す――――




次回、愛和創造シンフォギア・ビルド!

「ネフシュタン・・・青銅の蛇・・・?」

目の前に立ちはだかる、かつて奪われた鎧『ネフシュタン』。

「ここでふんわり考え事たあ、ちょせぇ!」

それを駆る、謎の少女。

「繰り返すものかと・・・私は誓った・・・!」

「出て来い!アームドギアぁ!」

その圧倒的戦闘力の前に、自分の無力さに打ちひしがれる響。

「防人の生き様!覚悟を見せてあげる!」

そして、翼はついに『禁じ手』を開放する。


次回『覚悟のレクイエム』


「―――――っふっざけんなぁぁああぁぁああぁぁあああ!!!!」


剣の為に、兎は飛ぶ。
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