愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「マイクチェックの時間だオラァ!!」
龍「うおっ!?いきなりどうした!?」
未「なんでもセレナさんがまたやらかしたみたいで」
龍「またかよ!?ってか、一体何をやらかしたんだ?」
戦「ああ?翼の奴を狼にしたんだよ」
龍「なんじゃそりゃ!?」
翼(狼)「ワフゥ!」(た、助けてくれぇ!)
ク「こら逃げんな!もっともふもふさせろ!」
翼(狼)(おのれ雪音!いくら狼で言葉が分からないと言ってこんな醜態を、ぉぉぉお~)
ク「ほれほれよしよし」
龍「なんか、手慣れてやがる・・・」
未「アハハ・・・そんなわけで、新世界創造より一年。タスクフォース『S.O.N.G.』に所属する天才物理学者桐生戦兎は、仮面ライダーとして、そしてS.O.N.G.の技術主任として、日々、シンフォギア装者や他の仮面ライダーと共に、世界で勃発する聖遺物の事件を解決して回っていたのでした。そして現在、錬金術師キャロルとデイブレイク社による、世界の分解を阻止するため、その戦いに身を投じていた」
翼(狼)「ワオォォン!」(ええい!いい加減にしないかぁ!)
ク「こら逃げんな!」
マ「もうちょっともふもふさせなさい!」
調「慧くん、捕まえて」
慧「合点承知の助!」
翼(狼)「ワフゥ!?」(なんか増えてる!?)
戦「だぁぁああ!もう!何はともあれシンフォギア・ビルド第十五話をどうぞ!」
翼(狼)「わふわふぅうぅ・・・!」(あ、だめ、尻尾はだめなのぉぉおお・・・・!!)



ちなみにセレナは『ぶりぶり(拷問)』でお仕置きされました。






心火フルスロットル

―――ミカ、ケイドの撤退後の共同溝にて。

 

「押っ取り刀で駆け付けたのだが・・・」

共同溝内の様子はかなり悲惨だった。その攻撃のほとんどが響たちの攻撃によるものだというのがらやるせない他ない。

「間に合わなければ意味がねえ」

「人形は何を企てていたのか・・・」

「ってか、やりすぎだろあいつ」

そんな中で、

「・・・・」

「ウルフ、どうかしたんですか?」

ずっと床を調べ回っているウルフに、他の者たちと同じ様に共同溝の様子を見回っていたセレナが声をかける。

「おかしな点を見つけてな」

「おかしな点?」

「ああ、幸いここに残っていた足跡を調べていたんだが、どうにも、共同溝の整備士の靴底と一致しない足跡が、いくつもあることが分かった」

「共同溝の整備士さんたちと違う足跡・・・?」

セレナがその手に持つ通信端末にデータが送られる。それを見て、セレナは頷く。

「確かに、一致しないようですね・・・・」

「どう思う?」

ウルフに尋ねられセレナは顎に手を当てて考える。

「・・・この奥に、何かの施設がある・・・?」

「そう考えるのが妥当だろうな」

ウルフは、共同溝の奥を見る。

「調べる価値はあると思うか?」

「あるでしょうね」

ウルフの言葉に、セレナは頷く。

「なら俺が行こう」

「あ、シンさん」

そこで名乗りを上げたのはシンだった。

「スニーキングも出来ない事はない。むしろ、俺が行った方が都合が良いだろう」

シンはそう言ってスーツのネクタイを締める。

「それなら私も行くわ」

そこへマリアがやってくる。

「姉さん・・・!?」

「お前は・・・」

「ウルフも連れていくつもりなんでしょうけど、流石に一人じゃ心もとないでしょ?」

「だがな・・・」

「大丈夫、足は引っ張らないから」

そう自信ありげに言ってくるマリアに、シンはついぞため息を吐く。

「そういう事でしたら、僕が行った方がいいのではないでしょうか」

そこへ緒川もやってくる。

「緒川さん・・・!」

「いや、この先に敵の拠点があるかもしれない。そこでアルカノイズでも出されたらお前じゃ太刀打ちできない。それを考えると、アルカノイズに対抗できる俺かマリアのどちらかがいたほうがいいだろう」

「そういう事なら・・・司令には僕から連絡しておきます」

そう言って、緒川は仕事に戻っていく。

「とりあえず、やることはこれで決まりね」

「そうだな・・・」

シンは、そう言って共同溝の奥を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――S.O.N.Gのメディカルルームにて。

 

「ったく頭から血を流したから結構焦ったぞ」

「アハハ、心配をかけて申し訳ありません・・・」

戦兎の言葉に、左目の上にガーゼを張り付けた慧介が苦笑いでそう答える。

頭にケイドのダーツを喰らった慧介。仮面が割れるほどの威力であったそれは、確かに慧介の意識を刈り取るには十分だった。

だが、実際は目の上の額を少し切っただけで、仮面に直撃したダーツが着弾した直後に破裂する仕組みだったのが功を奏したらしい。

だから、失明も脳へのダメージもない。

「ですが、念のため検査は定期的に受けてください。もしかしたら深刻な事になっているかもしれませんから」

「分かった」

エルフナインの言葉に、慧介は頷く。

「調が悪いんデス!」

ふと、そんな中で声を荒げる者がいた。

「切ちゃんが無茶するからでしょ!」

「調が後先考えずに飛び出すからデス!」

「切ちゃんが、私を足手まといに思ってるからでしょ!」

見れば、互いにそっぽを向いて喧嘩をしている調と切歌の姿があった。

ちなみにマシャとシュルは気にも留めずに遊んでいたり寝ていたりしていた。

「何かあったのか?」

ケイドからのダーツ攻撃に加えて爆弾を喰らった一海が体に包帯を巻きながらそうぼやく。

「さっきの戦いについての責任追及だと」

戦兎は呆れ気味に答えてやる。

「おいおい、そんなに大声出すと怪我に響くぞ?」

そんな二人に慧介が仲裁に入る。だが、

「「・・・・」」

「・・・・え?何?」

「慧くんにだけは言われたくない!」

「慧介だけには言われたくないデス!」

「ええ!?」

予想外の返しに慧介は思わず驚く。

「どうせ慧くんも私のこと足手まといって思ってるんでしょ」

「慧介はいつもいつも無茶しすぎなのデス」

「ええ・・・俺何かした?」

「「分からないの!?」」

「・・・・すみません」

二人の剣幕に思わず謝ってしまう慧介。

「そんなだから、あんな大怪我・・・」

そして調が、誰にも聞こえない声で、その小さな拳を握り締めながらそう呟く。

「そんな状態で、イグナイトって奴を使えんのかよ」

一海の愚痴に、調と切歌の二人は一度顔を見合わせるも、目があった直後に違いにそっぽを向いてしまう。

その様子に、慧介はため息を吐いてしまう。

「ごめん、二人とも・・・」

そんな二人に、ついさっき起きた響が謝り、二人の手を取る。

「先にペースを乱したのは、私だ・・・」

そして、二人の手を重ね合わせる。

「さっきはどうかしたんですか?」

慧介が、響に尋ねる。

「・・・父親の事か?」

戦兎の指摘に、響は、うなずく。

「あれからまたお父さんと会ったんだ。ずっと昔の記憶だと、優しくてカッコよかったのに、すごく嫌な姿を見ちゃったんだ・・・」

「嫌な姿・・・?」

その調の言葉に、響は、今にも泣きそうな声で呟く。

「自分がしたことが分かってないお父さん・・・無責任でカッコ悪かった・・・見たくなかった・・・こんな思いをするぐらいなら、二度と会いたくなかった・・・」

その瞳から、涙が零れる。

「私が悪いの、私が・・・」

そんな中で、未来も泣きだす。

「違うよ。未来は悪くない・・・悪いのはお父さんだ・・・」

「でも・・・」

響が未来に歩み寄る。

「へいきへっちゃら。だから、泣かないで、未来」

「・・・うん」

「キュル~」

「キュイーン!?」

慰める響、うなずく未来、何故かちょっかいを出そうとするクロとそれを止めるニクス。

その様子に、戦兎はポケットからハザードトリガーを取り出して、それを見つめる。

 

父親が残した、希望―――

 

(父さん・・・)

この世界で生きて、記憶を取り戻したであろう父親。

その父が、旧世界で残した、希望への鍵。

危険(ハザード)』の名を関しているくせに、その実、希望になりうる力を秘めたこの力の使い道を示してくれた父親。

家族を、世界を守るために、敵の元で動いていた―――自慢の父親。

「どれだけ」

気付けば、自然に口が動いていた。

「どれだけ否定しようとしても、その人が自分の父親だという事からは逃げられない」

ハザードトリガーをポケットにしまい、戦兎は、響に言う。

「覆水盆に返らず、というが、その盆に新しい水を入れるのもいれないのもお前自身だ。だから、もう少し考えてから判断しろ。でないと、いつしか取り返しのつかないことになるぞ」

戦兎は、響に向かって、そう言った。

 

 

 

メディカルルームから出る調、切歌、慧介、一海、戦兎。

未来はしばらく響の付き添い。あの中で最もダメージが大きかったかららしい。

まあ、一海からの『スクラッシュフィニッシュ』を喰らって無事でいろという方が無理な話である。

ただ、調と切歌の仲は未だ険悪である。

その様子に、ライダー全員ため息を吐く。

と、そんな中で、エルフナインが二本の拳銃型注射器をもって来る。

「これを、調さんと切歌さんに」

「LiNKER model-Kか」

それは、奏のLiNKER。

それを受け取る調と切歌。

「オートスコアラーの再襲撃が予想されます。投与はくれぐれも慎重に」

「体への負担もそうだが、ここに残されているLiNKERの数にも、限りがある。気をつけろよ」

エルフナインは、二人に念を押すようにそう言った。

 

 

 

 

 

空が夕焼け色に染まるころ、調と切歌、慧介、そして帰り道が偶然同じな一海はこぞって帰路についていた。

しかし、未だ二人の空気が悪い事に、慧介は若干腹を痛めていた。

一方の一海はどこ吹く風。

そんな中で、調が切歌に言う。

「私に言いたい事・・・あるんでしょ?」

「それは調の方デス!」

しかし、すぐさま切歌が反論。

「やめろって二人とも」

「慧介は黙ってるデス!」

「慧くんは黙ってて!」

「なにゆえ!?」

何か二人の自分に対するあたりがキツいような気がする。

その時だった。

 

向かいの駐車場で何かが炸裂し、爆発する。

 

「なっ!?」

「いきなりなんだ!?」

みれば上空から、いくつもの赤熱したカーボンロッドが落下し、それが着弾する度に爆発する。

もはや爆弾である。

背後で爆発が引き起こり、爆風でよろめく。

「アタシたちをたきつけるつもりデス!?」

「くそ!舐め腐りやがって!」

燃え盛る境内。半壊した巨大な鳥居門の上に、ミカはいた。

その表情は、まさしく狂喜。

「足手纏いと、軽く見てるのなら・・・!」

顔に張り付けられた絆創膏やらガーゼやらを引っぺがし、調はその手にシュルを掴む。

 

『STANDBY』

 

調の背後に、巨大な桃色の虎が出現する。それと同時に、切歌の周囲を、緑色のサメが飛び回る。

「ん?」

その一方で、一海は横を見る。

そこから、見覚えのあるローブを来た男がやってきていた。

それを見て、一海はふっと不敵に笑って見せる。

「よお、元気そうじゃねえか」

「ここでお前たちを仕留めさせてもらう」

「やれるものならやってみろ!」

スクラッシュドライバーを腰に巻き、それぞれのスクラッシュゼリーを装填する。

 

タイガァージュエリィーッ!!』

 

ロボォットジュエリィーッ!!』

 

「―――Various shul shagana tron(純心は突き立つ牙となり)―――」

 

「―――Zeios igalima raizen tron(夜を引き裂く曙光のごとく)―――」

 

「「変身!」」

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

タイガァー・イン・タァスクゥッ!!』

 

ロボット・イン・グリィスゥッ!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

アクティベイトレンチを叩き下ろし、慧介と一海は、仮面ライダーへと変身する。

その一方で、聖詠が歌い終わると同時に、アニマル・ブレイズが炎となってその身を包み込み、その身にシンフォギアを纏う調と切歌。

 

「二つ結びの輪舞(ロンド) お仕置きのスタート!」

 

すかさず調が放つのは頭部のヘッドギアから放たれる無数の丸鋸。

 

α式 百輪廻

 

それに対してミカは棒状のカーボンロッドを回転させて叩き伏せ、鳥居から降りる。

その一方、グリスとタスクは、ケイドと対峙する。

「ふん」

ケイドが不可視の速度でダーツを射出。

しかし、それをグリスとタスクは躱す。

「何っ!?」

「タネさえわかれば避けんのも簡単なんだよ!」

「同じ手が二度も通用すると思うな!」

ビームモードにしたツインブレイカーで応戦するタスク。

その攻撃をケイドは躱すも、そこへ二丁のツインブレイカーを構えたグリスが殴りかかる。

「オラァ!」

ツインブレイカーを振るうグリス。そのパイルがケイドに叩きつけられる―――だが、ツインブレイカーのパイルは、ケイドの手から伸びる爪によって防がれていた。

「なっ!?」

「近接戦は出来ないと思ったか!?」

次の瞬間、グリスのツインブレイカーを弾いてその腹に爪の一撃を叩きつける。

「ぐぁぁ!?」

「一海さん!?」

すかさずケイドがタスクにダーツを放つ。

それをタスクは躱し、躱せないものは弾き飛ばす。

だが、激しい。

「野郎!」

「まだまだ行くぞ」

ケイドがグリスとタスクに襲い掛かる。

 

 

 

 

一方、本部潜水艦にて。

弦十郎が会敵した現場の装者に指示を飛ばしていた。

「今から応援をよこす!」

すぐさま潜水艦を調たちの方へ向かわせようとする。

「それまで持ちこたえて―――ぬぐっ!?」

しかし、突如として潜水艦が揺れる。

「なんだ!?」

映像が出る。そこに映っているのは、二課本部の潜水艦なんかよりはるかに巨大な人影―――

「海底に巨大な人影だとォ!?」

 

 

 

 

海上にて。

「私と妹が地味に支援してやる」

レイアが、そう呟く。

「だから、存分に暴れろ、ミカ」

 

 

 

 

 

ミカがカーボンロッドを放つ。その猛攻を潜り抜け、調が飛び上がる。

そして高速回転してスカートを鋸状に変形。それによってミカに突撃する。

 

Δ式 艶殺アクセル

 

だが、掲げられたカーボンロッドによって防がれ、なおかつそのまま弾き飛ばされる調。

その隙を狙って切歌が鎌を振るうもそれすら躱されて、背中を蹴り飛ばされ地面に叩き落とされる。

どうにか態勢を立て直して着地する調と切歌。

「これっぽっちィ?これならギアを強化する前の方がマシだったゾ」

と、カーボンロッドを首に担いでそうがっかりしたように言ってくるミカ。

「そんなこと、あるもんかデス!」

「ッ!?ダメ!」

切歌がその挑発に乗り、調の制止も無視してミカに斬りかかる。

上空へ逃げたミカに対し、切歌は増やした刃を飛ばして追撃する。

 

切・呪りeッTぉ

 

その刃が直撃、エネルギーが炸裂して爆発を引き起こす。

「どんなもんデス!」

切歌が得意気にそう言ってみせる。

「こんなもんだゾ!」

だが、黒煙の中から出てきたのは無傷でロール状にした髪のバーニアで浮かぶミカと、空中に浮かぶ無数のカーボンロッド。

それが一斉に切歌に襲い掛かる。

それを切歌はどうにか躱してみせる。

「変形しないとムリだゾ」

ミカがそう挑発してくる。

「躱せないなら・・・」

それに対して、切歌が取るのは迎撃の態勢。

「受け止めるだけデス!」

遠くから飛んでくるカーボンロッド。

それが、切歌の元へ炸裂する。その寸前で、巨大な四つの丸鋸がその行く手を阻む。

「ッ!?」

調のシュルシャガナだ。

しかし、だ。今の切歌にとって、調に守られることは、とうてい許しがたい事態だ。

「なんで!後先考えずに庇うデスか!」

そう言って、切歌は調をどつく。

「うっ!?やっぱり、私を足手纏いと―――」

「違うデス!」

調の言葉に、返ってきたのは、否定だった。

「調が大好きだからデス!」

「え・・・」

その言葉に、調は驚く。

その間に、切歌はミカに斬りかかっていく。

「大好きな調だから!傷だらけになることが、許せなかったんデス!」

「じゃあ・・・私は・・・」

勘違いをしていた、というのだろうか。

「アタシがそう思えるようになったのは、あの時調に庇ってもらったからデス・・・!」

ミカの攻撃を受け止めて、調が、傷ついていく様を。

「みんながアタシたちを怒るのは、アタシたちを大切に思ってくれてるからなんデス・・・!」

「私たちを、大切に思ってくれる・・・優しい人たちが・・・」

「う、あぁぁああ!!」

切歌が、ミカの火炎に吹き飛ばされる。

「なんとなくで勝てる相手じゃないゾ!」

ミカが挑発してくる。

と、そこへ―――

「うわぁぁぁああ!?」

タスクがどこからともなくミカに向かって落ちてくる。

それをミカは躱し、タスクは地面に落ちる。

「ぐ・・・くっ・・・!」

「慧くん!?」

「慧介!?」

それに驚く調と切歌。

「仮面ライダー、お前はお呼びじゃないんだゾ!」

ミカのカーボンロッドがタスクを襲う。

それを見たタスクは、すぐさま横に転がって躱す。気付けばその右足には、何か、鎖のようなものが絡みついていた。

「くそっ・・・!」

タスクは、すぐ傍にある調が放った丸鋸を掴み取るとそれを鎖に思いっきり叩きつける。

聖遺物の刃であるからか、その頑丈そうな鎖はいとも容易く断ち切られる。

その鎖の先にはケイドがいて、ケイドは鎖を戻すとすかさずグリスが殴りかかってきていた。

しかし、それを観戦する暇はない。

「お前はバラバラになるんだゾ!」

ミカが右掌を向けてくる。

「ッ!?」

それを見たタスクは、何故か調と切歌の方を見る。

ミカとタスクの立ち位置、その直線状には、調と切歌がいる。

「だめ、避け―――」

「アタシたちの事は―――」

調と切歌が同時に叫ぶ。しかし、その制止を聞かず、ミカがカーボンロッドを放つ。

 

シィングルッ!』

 

すかさずトラフルボトルをツインブレイカーに装填し、拳を引き抜き、パイルを放たれたカーボンロッドに叩きつける。

 

シィングルブレイクッ!!』

 

叩きつけられる、エネルギーの奔流。放たれたカーボンロッドが迎撃したタスクを押し込んでいく。

そして、調たちの所でギリギリ止まり、そして砕く。

しかし、その時、鳩尾に痛みが走る。

「ぐぅっう・・・!?」

その痛みに、思わず膝をつくタスク。

「慧くん!」

そのタスクに、調と切歌が駆け寄る。

「まさか怪我が・・・!」

「なんで・・・いつもこんな無茶をするの!?」

タスクの様子に、調と切歌は、思わずそう声を挙げる。

「いつもそう・・・私たちが無茶をしようとすると、必ず慧くんは無茶をして大怪我をする・・・!もう嫌だよ。慧くんのそんな姿を見るのは。だから、だから足手纏いになりたくなくて・・・」

思えば、自分はいつも慧介に守られてばかりだ。

あの白い孤児院にいた時もそう。フロンティア事変の時も、クローズに襲われた時にタスクが助けてくれた。ミカと初めて対峙した時も―――

「慧くんが傷つくのは、もう嫌だから・・・!」

「だって・・・」

どうにか起き上がるタスクは、二人の疑問に答える。

「俺、仮面ライダーの中じゃ、一番弱いから」

その言葉に、調と切歌はハッとなる。

一番弱い―――それが、慧介が無茶をする理由。

「少しでも追いつきたい。みんなを守れるようになりたい。それだけの強さが、戦えるだけの強さが欲しかった・・・戦兎さんや、龍我さんのように、胸を張って自分の信念を貫けるだけの力が欲しい・・・!それが、俺が無茶をする理由だ」

どうにか立ち上がろうとするタスク。

(そうか・・・悩んでたのは、私たちだけじゃなかったんだ・・・)

マリアのような、心の強さだけではない。

根本的な強さ、否、力をタスクは求めているのだ。

彼らの隣に立てるような、そんなライダーに、慧介はなりたいと思っているのだ。

だから、自分に出来る事を、なんでもやろうとしているのだ。

 

自分だけ、仮面ライダーの中で一番弱いから。

 

(だけど―――)

「それで慧くんが傷つくのは、嫌だよ・・・」

自分の為に傷ついてほしくない。

そんな理由で、傷ついてほしくない。

「だったらさ」

するとタスクが、調と切歌に、支えにしていた手を差し出す。

「手伝ってほしい」

「え・・・」

「俺一人じゃ、調も切歌も守れない。だから、調と切歌に手伝ってほしい。あいつを・・・」

タスクの複眼の奥にある双眸が、敵を見据える。

「あいつらを倒す為に・・・!!」

その言葉に、調と切歌は、思わず吹き出す。

「自分一人じゃアタシたちを守れないから、アタシたちに手伝ってほしいって」

「慧くん、おかしすぎ」

そんな笑い声の後に、調と切歌が、タスクの手を握る。

「でも、悪くないデス」

「私たちも、慧くんを守る」

「調、切歌・・・」

三人は、立ち上がる。

「マムが残してくれたこの世界で、カッコ悪いまま終わりたくない!」

あの病室で、響の泣き声を聞いた。

「だったら、カッコよくなるしかないデス!」

もう、あんな声は聞きたくない。

「自分がしたことに向き合う強さを!」

その時、背後で轟音が響く。

振り返れば、立ち上った土煙の中からケイドが転がり出てくる。

「ぐぅっ!?なんだ・・・さっきまで弱かったのに、いきなり火がついたみたいに強く・・・!?」

「クク・・・フハハハハハハハ!!!」

高笑いが聞こえる。

「友情ッ!愛情ッ!!根性ッ!!!」

その主が、タスクたちを指さす。

「いいもん持ってんじゃねぇか!なあ、ガキどもォ!!」

グリスの言葉に、彼らは、うなずく。

「なんなんだ・・・お前は・・・!?」

「あァ?」

ケイドの問いかけに、グリスは面倒くさそうに答える。

「仮面ライダーグリス。それ以上でもそれ以下でもねぇ!!」

右胸に手を当て、グリスは呟く。

 

「心火を燃やして――――ぶっ潰す」

 

「心火・・・デスか・・・!」

その決め台詞を聞いた切歌は―――なぜか目を輝かせていた。

「切ちゃん・・・?」

「この反応・・・気に入ったんだな」

そう、呆れるも、それでも彼らは敵に向き合う。

「行こう、調!切歌!」

 

 

「「『イグナイトモジュール』、抜剣ッ!!」デース!!」

 

 

胸のマイクユニットを起動する。

飛び上がったユニットは変形し、その針で調と切歌を穿ち、その奥底に眠る破壊衝動を呼び覚ます。

「「うわぁぁぁあぁあッ!!」」

内から溢れ出る、黒い感情が、二人を塗り潰そうとする。だが、今の二人なら、その呪いに打ち勝つことは容易い。

その身を覆う黒は、確かに二人に力を与えてくれる。

「底知れず、天井知らずに高まるチカラァー!!」

その様を見て、ミカはその目を輝かせる。

そして、その身を突如として燃え上がらせる。

それはミカの切り札。

ミカを動かす『思い出』の償却効率を限界まで引き上げ、短い間だけ戦闘能力を大幅に向上させる決戦機能『バーニングハート・メカニクス』。

それを発動した以上、ミカはもう後戻りはできない。

何故ならそれは捨て身。一度発動すれば元には戻せない、戦闘において最強とされるミカの力。

それに対抗するには、もはや、調と切歌のイグナイト以外ありえない。

「ごめんね・・・切ちゃん・・・慧くん・・・!」

「いいデスよ・・・」

「気にしてない。それよりもみんなに言わなきゃいけない事があるだろ」

「そうだ・・・みんなに謝らないと。その為に―――強くなるんだ!」

そして、二人は叫ぶ。

 

「「―――変身ッ!!」」

 

イグナイトモジュールが発動する。

その身を覆いつくす漆黒が、二人の戦装束を変形。

漆黒を基調として装束が、二人に纏わりつき、そして、確かな『力』として顕現する。

 

『MODULE Start up!Let's Rampage!』

 

AR機能によって投影される文字列。

それを読み上げる事はせず、三人はミカに向かって突撃する。

「さァ、俺たちも始めようかァ!!」

そして、グリスもまたケイドに向かって走り出す。

 

「危険信号点滅ッ!地獄極楽どっちがイイDeathッ!?」

 

先に切歌が先陣を切り、ミカに突撃する。

バーニングハート・メカニクスによって爆発力が生まれたミカは、その切歌の攻撃を弾き飛ばす。

続く調の巨大ヨーヨーによる一撃を掴み取り、そのまま振り回して投げ飛ばす。

振り回された調はそのまま投げ飛ばされ地面に落ちる。

「調ッ!?」

「最強のワタシには響かないゾ!もっと強く激しく歌うんだゾ!」

すかさず切歌に向かってカーボンロッドが連続射出される。

「舐めるなぁぁぁああ!!」

すかさずタスクがそのカーボンロッドを迎撃、叩き落して一気にミカに接近。

「だから、仮面ライダーはお呼びじゃないって言ってるんだゾ!」

しかし、接近してきたタスクに容赦なく射出されたカーボンロッドが炸裂する。

「ぬぐぁ!?」

カーボンロッドが炸裂し、森の中に落ちる慧介。

「慧介!?」

そして切歌に向かってミカが飛び込み殴り飛ばす。

「ぐあぁああ!?」

そのまま神社の壁に叩きつけられ、すかさずカーボンロッドの雨が降り注ぐ。

それをどうにか躱す切歌だが、すぐさま至近距離で火炎放射を喰らいそうになる。

だが、その前に調とタスクが飛び出し、調は無数の丸鋸を。

 

ツゥイィンッ!!』

 

タスクはジェットとロケットのフルボトルを装填し、ツインブレイカーの引き金を引く。

(向き合うんだ・・・出ないと、乗り越えられないッ!!!)

 

ツゥイィンフィニッシュッ!!!』

 

丸鋸の嵐と、強力な砲撃がミカを襲う。

その飛び道具の嵐を、ミカは後ろ髪を使って防ぎ、そして飛び上がる。

そしてその飛び上がった先で、ミカが宙に円を描き、そこから無数の巨大なカーボンロッドの雨を降らせる。

それに対して、三人が取る行動は―――

「「リンクスアームズッ!!」」

 

『Links Arms〔Crash Muzzle〕!』

 

『Links Arms〔Spinning Beast〕!』

 

切歌の鎌が変形、鎌の柄が若干太くなり、さらにはその先に奥まで続く穴が現れる。

一方の調のヨーヨーには虎のような炎が吹き上がる。

それが、遠距離一点攻撃型の切歌のリンクスアームズ『クラッシュマズル』と充填放出型の調のリンクスアームズ『スピニングビースト』。

落ちてくるカーボンロッドを駆け抜けながら躱し、そしてその手の鎌――デスサイスライフルで上空にいるミカを狙い撃つ。

それをミカは空中でその熱気を利用し回避。

落ちてくるカーボンロッドを躱しながら何度もミカを狙い撃つ切歌。

「そんな弾じゃ当たらないぞ」

「知ってるデス!だから―――」

切歌の背後から全速力で走ってくる人影。

それに対して切歌は後ろも見ずに鎌を手の上で躍らせ、後ろに構える。

そして、背後からの人影がその鎌に乗った瞬間、

「マストォ―――ダァァァァイィッ!!」

鎌を思いっきり振り抜いて、その人物をミカに向かってぶん投げる。

それは、仮面ライダータスク。

「だから、オマエはお呼びじゃないって言ってるんだゾ!」

ミカが、巨大なカーボンロッドで迎撃してくる。

空中ではタスクは身動きが取れない。だが、タスクは左手のツインブレイカーを大きく振りかぶり、そして、絶叫と共にそのカーボンロッドをぶん殴る。

「うぉぉぉぉぉあぁぁぁあぁぁあああぁぁああああッ!!!」

絶叫と共に、ツインブレイカーのパイル部分でカーボンロッドをぶん殴るタスク。

すると、落ちてきたカーボンロッドが一撃で粉砕される。

「なっ!?」

「オォォォオオオ!!」

そのまま一気にミカに突撃、前転して踵落としを叩きこんで地面に落とす。

そのままミカは地面に落下する。

 

 

その一方、グリスとケイドの戦いは―――

「爆進ッ!」

グリスのラッシュがケイドに襲い掛かる。

「爆走ッ!!」

しかし反撃にケイドが不可視のダーツを飛ばす。

だが、グリスはそれを全て躱して見せる。

「なにッ!?」

「爆昇ッ!!!」

グリスのアッパーカットがケイドの顎を撃ち抜く。

「まだまだ全然足りねぇなァ・・・!!!」

「く、この・・・がっ!?」

再び、ツインブレイカーの一撃が顔面を打ち据える。

「だぁるぇが俺を満ィたァしてくゥれるぅんだよぉぉぉぉおお!!!!」

「ぐあぁぁああ!?」

仕舞いには振り回して駐車場の車に叩きつける。

「オラァァァア!!!」

そして闘牛の如く再びケイドに突進、叩きつけたツインブレイカーをそのままに、もはや滅茶苦茶という他ない動きで直線状の障害物全てを薙ぎ払いながら突き進み続ける。

それが止まるころには、ケイドは地面に倒れ伏していた。

「ぐ・・・か・・・これが・・・仮面ライ、ダー・・」

「おう!ラブ&ピース、それだけの為に戦う大馬鹿野郎どもだ!」

倒れ伏すケイドに向かってそう指さすグリス。

(しっかし、すげえな)

そんな中で、グリスはタスクの方を見る。

「うぉぉぉおぉおぉおおお!!」

タスクが、激しくミカと打ち合っている。

殴り殴られ、しかし一歩も引かない。

心なしか、一発殴られる度に、少しずつ、確実に強くなっているようにも見える。

それは、タスクの感情の高ぶり故か、それともハザードレベルが上昇しているが故か。

おそらくはそのどちらも。

感情の高ぶりでスクラッシュドライバーの性能は飛躍的に向上する。

元々、戦えば戦うほど強くなるのがビルドドライバーに比べて汎用性の乏しいスクラッシュドライバーの強みだ。

そして慧介は今、その強みに支えられ、強くなっている。

大切な人を守りたいという思いが、タスクを強くしているのだ。

そして、それは、殴り合う度に強くなっている。

「これが若さって奴か」

次の瞬間、グリスの右手がひらめき、顔面の前で何かを止める。

その手に握られているのは一本のダーツ。

見下ろせば、ケイドが膝立ちで、こちらを睨み上げていた。

「まだだ・・・!」

「いいねぇ・・・もっとかかって来いやぁぁぁあ!!」

グリスの咆哮が轟く。

 

そして、タスクは今。

「うぉぉぉおお!!」

ミカに拳を振るう。それは躱され、カーボンロッドが突っ込んでくるもそれをツインブレイカーで砕き、すかさず拳を振るうも受け止められ、振り回されかけるも踏み止まり、ツインブレイカーを叩きつけようとして防がれる。

「こなくそっ・・・!!」

「いい加減鬱陶しいんだゾ!」

「悪いねぇ、諦めの悪さには定評があるんでね!調!」

「ッ!?」

ミカとタスクが打ち合うことで起きた土煙の中から、調が躍り出る。

その手には、トラのオーラが纏われた、ヨーヨーが一つあり、調はそれを曲芸の如く振るう。

至近距離で振るわれる伸縮自在の流星錘。それがタスクでミカを挟んで、遠心力によって加速して振るわれる。

そして、ミカの頬を掠める度に、そのヨーヨーに纏われた虎のオーラが牙を突き立てようとその口を開く。

回転を加えて放たれるその一撃は、岩盤をも砕く一撃となってミカに襲い掛かる。

「おおっと!?」

リンクスアームズ スピニング・ビーストは単純に言ってヨーヨーの攻撃力を高めるだけに過ぎる能力ではない。

その本来の能力は回転の無限加速増幅。

等加速度運動の如く、ヨーヨーの回転率は高まり、それによって生まれる空気摩擦をエネルギーへと変換。それによって生まれる熱と、最高速などなく、一度止まるまで加速し続けるその回転は、敵の皮膚を削り取る凶器と成りうる。

今、調の手にあるヨーヨーは人智を超えた回転を引き起こし、それによって起きる空気摩擦の熱で大気を揺らしているほど発熱している。

そのヨーヨーを、地面に触れさせる。

その次の瞬間、まるで爆風にでも押されたかの如く調の前方に飛び出すヨーヨー。

一般的に『犬の散歩』と呼ばれるこの技。だが、無限に伸びる光のストリングがあれば、その距離は無限になる。

そして、スピニング・ビーストの真価はここから。

無限回転によって生まれたヨーヨーの突撃。しかしそれは調の制御下にあると同時に、調のギア『シュルシャガナ』に搭載されたレリックAI『シュル』の意識が乗り移っているも同然の代物。

そしてそれは即ち―――檻から解放された獣も同然。

 

β式極 月下獣

 

『ガァァアアアァァアアアアッ!!!』

ヨーヨーが虎となって咆える。

「ぞなもし!?」

襲い掛かる虎の牙。

それがミカに直撃し、吹き飛ばされる。

そして、空中に撃ちあがったミカに向かって、今度は切歌が追撃する。

切歌のスマッシュマズルは単純明快ライフルと化した鎌だ。

その能力は、切歌の視界に投影される円の範囲内なら弾丸は必ず直撃するというもの。

飛距離は関係ない。ただ射線上に敵がいるというのなら確実に撃ち抜く。

それが切歌のリンクスアームズ『スマッシュマズル』

そしてもう一つ―――

「デスデスデスデース!!」

何度も何度もボルトアクションする切歌。

そもそもこのライフルに薬莢など存在しない。あるのはエネルギーを固体化した弾丸ただ一つ。

それを、ボルトアクション一発事に装填し、引き金を引くとともに放つ。

ごく単純であるそれは、別の機能を有している。

それは、ボルトアクションする度にその威力が()()するという事だ。

一から二倍に、二倍から四倍に、四倍から八倍に、そういった具合に、ボルトアクションする度に、威力は倍増

一がコンクリートを砕ける程度だとするならば、切歌が行ったボルトアクションは十七回。即ち、131072倍。

 

凶弾・滅eがLぉ怒n

 

放たれたサメ型の弾丸が、打ち上げられたミカを襲い、炸裂する。

巻き起こる爆発。その黒煙の中から落ちてくるのは、腹あたりが喰いちぎられたかのように抉れたミカの姿があった。

「ここだ・・・!!」

「慧くん!」

調が、禁月輪を作り出し、タスクがそれに乗る。

そして、ミカの落下地点を挟むように調と切歌は向かい合う。

切歌が肩のワイヤーでギロチン状にしたイガリマと輪状にしたシュルシャガナを接続。

作用反作用の法則によって互いを引っ張り合い、ミカが落ちてくるその地点に向かって一気に突き進む。

(足りない出力を掛け合わせて・・・!?)

それが、二人の―――否、三人の必殺技。

「俺たちの牙は、誰にも折れねえ!!」

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

タスクがアクティベイトレンチを叩き下ろし、調の禁月輪から飛び上がる。

三点からの同時攻撃。

それが、三人の合体技――――

 

禁殺邪輪Zあ破刃スクラッシャー

 

三人の必殺が交差する。

切歌のギロチンが、調の輪鋸が、タスクの両足蹴りが。

それを喰らったミカは、断末魔を挙げる暇もなく消滅。その最中で、タスクは見た。

 

ミカが、笑っていたのを。

 

(こいつ、なんで笑って―――)

しかし、そんな疑問が解ける前に、ミカは消滅する。

「やった!」

着地した隣で調が嬉しそうに声を挙げる。

「いや、まだだ!」

タスクが声を挙げる先、そこに、彼らはいた。

グリスとケイド、二人の戦いが。

「ミカが破壊された・・・だが、目的は達成された。もうここに残る必要は・・・」

「逃がさねえよバァーカ」

「なっ!?」

テレポートジェムを取り出したケイドの手を掴み、投げ飛ばすグリス。

その手にあってジェムが落ちて砕け、何もない場所で発動して瞬く間に消える。

「ッ!?しまっ・・・」

「これで仕舞いだ」

グリスがアクティベイトレンチを下ろす。

 

スクラップフィニッシュッ!!!』

 

必殺技が発動し、グリスが飛び上がってケイドに突っ込む。

「くっ、ここで討たれるのであれば!」

「ッ!?」

その時、慧介の目は捉える。ケイドから、二本のミサイルが射出される瞬間を。

「やばっ―――」

「せめて用済みとなった装者だけでも―――!!」

次の瞬間、ミサイルが調と切歌に向かって飛んでいく。

「てめっ!?」

その直後にグリスの飛び蹴りが炸裂。そしてそれとほぼ同時に。

「うぉぁぁああ!?」

タスクがミサイルを上空に蹴り飛ばし、もう一方のミサイルが、切歌のところで炸裂した。

「あ―――」

爆音が、音を全て置き去りにする。

「ぐぁぁぁあ!?」

手加減を忘れたグリスのスクラップフィニッシュを喰らったケイドは、そのまま壁に激突し、爆発四散する。

「切ちゃぁぁぁぁあんッ!!?」

そして、調の絶叫が迸る。

「しまった・・・!?」

グリスが振り返った先では、全てが終わっていた。

調の方へ飛んで行ったミサイルは、寸前でタスクが防御した。だが、切歌の方へ向かったミサイルは、切歌に直撃し、黒煙をまき散らしていた。

「いやぁぁぁあぁあ!!」

「・・・・!?」

調は思わず泣き叫び、タスクはただその場で茫然と立たずむ事しか出来ない。

切歌が、ミサイルを直撃を受けた。

あれだけの威力を込めたミサイルだ。シンフォギアを纏っていても、ただでは済まない。

 

 

 

 

 

直撃すれば、の話だが。

 

 

 

 

 

「・・・ん?あ、調、おい調」

「うぇ・・・ひっぐ・・・きりちゃぁん・・・」

何かに気付いたタスクが、調に呼びかけるも、調は絶望のままに両手両膝をつき、うなだれている。

「いや調!顔上げろって!」

だが、タスクはめげずに調にそう促す。

そんなタスクの言葉に、調は、恐る恐る顔を挙げた。

その先にいたのは―――

「・・・いやあ、危なかった」

「間一髪だったな」

「切歌ちゃん、怪我はない?」

「あ、はい。大丈夫デス・・・」

キャッスル、スタッグ、オウルの三体のスマッシュが、切歌を守っていた。

どうやら、あの瞬間、キャッスルが割り込んでミサイルを防ぎ、オウルとスタッグがその余波から切歌を守ったらしい。

「アハハ・・・なんか、生きちゃってるデス・・・」

「きり・・・ちゃ・・・!」

陽気に笑う切歌に、調は、また泣き出した。

 

 

 

 

 

消防隊や警察、そしてS.O.N.Gが駆けつけてからのこと。

「こっちの気も知らないで!」

イグナイトの独断使用、及び、無理をしてでの敵オートスコアラーの破壊。

やっている事は間違っていないのだが、命令無視の部分が大きく、調、切歌、慧介の三人はクリスと弦十郎、そして戦兎に怒られていた。ちなみに怒られているのは、実は調と切歌だけだったりする。

ちなみに一海はどこ吹く風。

「たまには指示に従ったらどうだ?」

「というか慧介。お前また無茶したらしいな?スクラッシュドライバーは強力な分、負荷が大きい事は知ってるだろ?」

「独断が過ぎました・・・」

「これからは気をつけるデス・・・」

「ほんと、申し訳ありませんでした・・・」

その様子に、三人は目を白黒させる。

「珍しく、しおらしいな」

「・・・なるほどね」

そんな中で、戦兎はふっと笑う。

「それじゃ、俺から言う事は何もねえや。ただししばらくシュルとマシャは借りてくぞ。戦闘記録の引き出しと、ちょっとしたメンテナンスをしなくちゃいけないからな」

「おい、それでいいのかよ?」

「へたに叱って可能性潰すよりはマシだろ」

そう言って戦兎は二匹をひっつかむとそのままどっかに行ってしまう。

「私たちが背伸びをしないで出来るのは、受け止めて、受け入れること」

そんな中で、調が申し訳なさそうに言う。

「だから、ゴメンナサイデス・・・」

「う、うむ、分かれば、それでいい・・・」

弦十郎も、戸惑いを隠しきれていないが、とりあえずはそう言う。

一度、お辞儀をした後、三人は離れる。

「そんじゃ、俺ももう帰るわ」

一海もそう言って三羽ガラスの所へ戻っていく。

「ていうかお前ら、なんでここに来たんだよ?」

「そんなのカシラの帰りが遅いからに決まってんでしょうが」

「どんだけ待たせるつもりなんだよ」

「うるせえ」

なんて、自分の家来たちに言われつつも、一海は去っていく。

「全く・・・」

「先輩が手を引かなくなって、いっちょ前に歩いていきやがる・・・」

呆れる弦十郎の傍らで、クリスは、成長していく後輩たちを見て、そう思うのだった。

 

 

 

帰り道、調がふと呟く。

「足手纏いにならないこと・・・それは、強くなることだけじゃない。自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

「責任・・・自らの義に正しくあること・・・」

切歌が、携帯でその意味を調べる。

「でも、それを正義と言ったら、調の嫌いな『偽善』っぽいデスか?」

「んー、それとはまた少し違うんじゃないか?」

そんな中で、慧介が声を挙げる。

「自らの義に正しくあることが『責任』なら、それはそいつだけの正義って事だろ?だったら、それを偽善って否定するのは違うんじゃないか?」

その指摘に、調は頷く。

「ずっと謝りたかった。薄っぺらい言葉で、響さんを傷つけてしまったことを・・・」

そんな調の頭の上に、慧介は手を乗せて、あやすように撫でる。

「だったら謝ろう。大丈夫、俺も切歌もいるから」

「そうデスよ。ゴメンナサイを言う勇気が必要なのは、アタシも同じですから」

「慧くん、切ちゃん・・・」

「調を守るのは俺たちの役目だ」

そう言って、慧介と切歌は笑って見せる。

「ありがとう・・・いつも、全部本当だよ」

三人は、橋の上で、そう笑い合った――――

 

 

 

「それはそうと慧くん」

「ん?なんだ?」

「私を子ども扱いしてない?」

「え?もしかして頭撫でるの嫌だったか?」

「ううん。もっとなでなでして」

「え、あ、うん・・・なんか改めてやると恥ずかしいな」

「ふふ・・・」

「・・・あー」

(この二人のイチャイチャには、毎度敵わないのデス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ケイドがやられた?」

「はい」

バスローブを身に纏い、リカルドはジーナの言葉に耳を傾けていた。

「ふむ。それは参ったね。彼の能力を失うのは実に惜しいことだ。まあ、()()()()()()()()()()()()()()

「その事についてですが、先ほど、ドクターとの連絡が、つい先ほど途絶えました」

「ほう・・・流石に見つかるか」

その報告に、リカルドは意外そうに声を挙げる。

「まあ支部は世界中のどこにでもある。そのうちの一つが潰れた所で、何ら支障はない」

「おっしゃる通りです」

リカルドは、天井を見上げる。

「そろそろ彼女が復活する頃合いだ。そして、シンフォギア装者が強くなる時、世界の崩壊は加速する―――」

 

 

 

 

世界滅亡まで、あと数日―――




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「こちらシン、下水道に侵入した」

下水道奥に侵入したシンとウルフとマリア。

「即刻排除する!」

そこで待ち受けていたのは、AI搭載型の無人機やサイボーグたち。

「《忍者だ!すごい!忍者!》」

そこで出会う、一人の少年『ジョージ』。

「俺、逃げてきたんだ!」

そして、その先にある研究所で、彼らは――――


次回『目覚める殺意』


「・・・・ジョージ・・・いいのか?」





―――本格的にメタ〇ギアの設定が絡み始めて大丈夫かなぁ・・・?





あっさあ変身講座ァァァアアア!!!!




と、いつものようにうるさいタイトルからのはじめまして、月読調です。
今回は私が変身講座を担当します。
と、やっとのことでイグナイトを克服しました、イェイ。
じゃあ、始めようか。私のリンク・アニマルはピンクの虎のシュルシャガナタイガーこと、シュルだよ。
シュルは基本的にマイペースで、いつもあくびをして寝ているの。
シュルは、他のリンク・アニマルより、少し体が大きいんだ。それでも手乗りサイズだけど、脇腹のスタンバイスターターを押す分には問題なし。

『STANDBY…』

それじゃあ、言ってみようか。
私の変身ポーズは、まず右手を前に突き出して、左手は胸に。そして両手を真上にあげた後に、右手は顔の横、そして左手は慧くんみたいに右肩あたりで握り拳を作る。
そして、聖詠の終わりと同時に、右手を前に突き出す。
さあ、やってみようか。

「―――Various shul shagana tron(純心は突き立つ牙となり)―――」

変身バンクはこんな感じ。


調の背後でタイガーブレイズが咆哮→調とタイガーが額を合わせた後に、タイガーが炎となり、調は回転しながら放たれた炎と共にインナーを纏う→四つん這いになって猫のように左拳を舐めてそのまま逆さまになるように飛び上がる→その最中で両足にレッグギアを装着→着地と同時に一回転しながら立ち上がり、腕を持ち上げ頭の後ろで組むような態勢になる→その状態から腕を振り抜き隠し持っていたヨーヨーを伸ばす→そのまま技を披露→足元を走る小型のタイガーをヨーヨーで掬いあげ、そのまま手に乗せ、アームパーツを装着→足元から腰へ、そこで一回転してトラのシルエットの描かれたスカートを纏い、そしてさらに上を写して顔あたりでヘッドパーツ(頭部装着部分)を装備→ツインテールの片方、そこにタイガーブレイズが纏われ鋸パーツへと変身(もう片方も同様)→そして最後にヘッドフォンパーツはタイガーブレイズが耳元に現れる形で形をなして形成→そのままヨーヨーを披露して変身完了。


こんな感じです。今回は作者に余裕があったらきっちり大増量です。
ちなみに、AIにはそれぞれ特性があって、未来さんのクロは『索敵と各種能力出力管理+α』が得意だったり、響さんのニクスは『パワー出力調整』、翼さんのアメは『負荷の増減と攻撃予測演算』、クリスさんのバルは『エネルギー伝達と射撃軌道計算』、マリアのラムは『エネルギーベクトル管理』、切ちゃんのマシャは『危機察知機関』、そして私のシュルには『情報処理と各種伝達』が備わってるみたい。
なんでも、それぞれに役目を持たせ、無線でやり取りさせることで、大幅な戦術の拡大を図るため、って聞いたけど、うん、戦兎先生は本当にすごい。

そんなわけで、以上、月読調でした。来週は翼さんです。

では、また来週。


リンクスアームズ紹介


イガリマシャーク『クラッシュマズル』

イガリマに銃撃能力を持たせるリンクスアームズ。
基本近接特化仕様であるイガリマに、遠距離戦における非アドバンテージを補うために造られたもの。
ボルトアクションを繰り返すことで、最大二十回分の倍化を可能とする。ただし、ボルトアクションを行うごとに、ギアの性能が一時的に四パーセント低下し、最大までボルトアクションして放つと、ギアの性能が二割にまで減衰するため、そうやすやすと使える代物ではない。
五回までが二十秒、十回までが二分、十五回で二十、そして二十回以下で一時間ギアの性能が落ちる。



シュルシャガナタイガー『スピニングビースト』

調のヨーヨー及びギアの回転機構を爆発的に加速させるリンクスアームズ。
ヨーヨーの回転速度を無限に加速させ、摩擦によるエネルギーを攻撃へと転化する。
一応、ヘッドギアやレッグパーツの鋸にも適応できるが、それをしたが最後、ギアそのものがある程度まで行くと、回転についていけずぶっ壊れることがシミュレーションで分かっているため、使用しないように念を押している。
また、ある程度まで回転すると、調ですら触れられないほどの威力に高まるため、程よく機能のオンオフをしっかりしなければならない。

オリジナル章はやったほうがいいか

  • バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
  • そんなことはどうでもいい!(どちらでも
  • 嘘を吐くな!(やるな
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