愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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切「ドーモ、アズレンのイベントで全てのキューブ使って爆死した作者デス」
戦「わざわざ作者の心を代弁しなくていいから!というわけで、天才物理学者であり仮面ライダービルドの桐生戦兎はエボルトとの戦いに勝利し、新世界創造を成功させたのでした!」
シ「だがその世界はノイズはびこる世界であり、桐生戦兎はその世界で出会った風鳴翼や他のシンフォギア装者、再開した仮面ライダーたちとともに、ノイズの殲滅に成功したのであった」
翼「だがそこに、錬金術師キャロルと世界の滅亡を目論むデイブレイク社が立ちはだかる」
マ「そして今、キャロルとの最終決戦が始まったのであった・・・というわけで今回はシンが主役!戦兎はわき役としてせいぜい頑張りなさい!」
戦「ふざけんじゃないよ!?この小説の主人公は俺でしょうが!?」
翼「戦兎、たまにはその席を譲るということも考えたほうがいいぞ」
戦「翼まで!?」
切「あー、イーグルがぜんぜんでないのデス!代わりに何故かハウばっかり出るのデス!レアリティこっちの方が高いのになんぜ低い方のイーグルが出ないんデスか!?」
戦「お前は少し黙ってろ!?」
シ「というわけで、シンフォギア・ビルドGX編第二十二話を見ろ」


アサルトするジャック・ザ・リッパー

―――チフォージュ・シャトー内へ侵入することに成功した、クライムたち。

 

だが、その最中で―――

「なんだこいつら!?」

体が機械で出来た男たちに襲い掛かられていた。

「人間・・・?」

「いえ、サイボーグよ!」

その身のほとんどを機械へと改造した人間たち。

「殺してやる!」

「今日はいたいけな少女を切り刻んでやるぜぇ!」

しかもすさまじい暴言を吐いて、その手の幅広の剣を振るってくる。

それをクライムは叩き落して、その腕を斬り飛ばし、すかさず心臓部分を斬り飛ばす。

斬り飛ばされた腕や傷口から、真っ白な粘着性のある液体が流れ落ちる。

「うぇえ・・・」

「気持ち悪い・・・」

「サイボーグ用の血液のようなものだ」

どんどんサイボーグを斬り捨てていくクライム。その様子を、タスクは黙ってみていた。

「慧くん、どうしたの?」

「いや・・・なんか、シンばっかりサイボーグ倒してるなって思って・・・」

「言われてみれば、そうなのデス」

確かに、ここに至るまでに戦ってきたサイボーグは、全てクライムが倒していた。

「こいつらがここにいるってことは、たぶん、奴らがここにいるということ・・・」

サイボーグを今時使う奴らなんぞ、奴ら以外にあり得ない。

そして、足元に転がるサイボーグの残骸を見下ろして、マリアは、先でサイボーグと戦うクライムを見る。

「・・・体は機械と言えど、元は私たちと同じ人間・・・」

ふと、調がそう呟く。

「人殺しをさせないように、シンが率先して斬っていってるのかな・・・」

その真意は、分からない。マリアでも、今のシンの心の内は、理解できない。

―――知るのが、怖い。

握り締めた拳が、自然と震える。

それに気付かず、タスクはクライムを見続ける。が、突如として背後から、何かが近づいてくるのに気付いた。

そして、先に行っていたクライムは、

「「「うわぁぁぁああ!?」」」

「ッ!?」

背後から聞こえた悲鳴に思わず振り返り、声がした方へと戻っていく。

(しまった、距離を開け過ぎた・・・!)

マリアの傍から離れていたのが仇となっていた。

(何をやっているんだ俺は・・・!?)

「マリア!皆!」

マリアたちの元へ戻ってみれば、そこには、床に倒れ伏す、マリアたちの姿があった。

そして、そのすぐ傍にいるのは―――

「ナス、ターシャ・・・?」

見覚えの車椅子に座った、眼帯の女性――――ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤが、そこにいた。

それによって、クライムは立ち止まってしまう。

「ッ・・・!?」

「思い出しなさい」

いる筈のない人物―――ナスターシャがクライムに言う。

「血に汚れた貴方の手を。それでどうして世界を救えるなんて夢想できますか?」

「・・・そうだとしても、俺は―――」

「目に映るもの全てを殺戮したいと、その欲望をその身に宿す貴方が、果たして世界を救うなどと出来るのですか?」

「―――」

瞬間、息が詰まる。

『そうだよねぇ』

次いで、久しく聞いていなかった声が、クライムの耳に届く。

「・・・ジャード・ニルフラム・・・」

『ジャック、君はいつもそうだ。代わりに血を浴びると言っておきながら、本当は自分が血を浴びたいだけ、ジャックは自分の為に戦ってるに過ぎないんだよ』

「・・・」

『だってそうでしょ?この間の事がその証拠さ』

「ッ・・・」

声は、シャトーそのものから聞こえているようだ。

『ただ弱者を斬り捨て、その生き血をすする・・・アハ、まるで吸血鬼だ』

「・・・俺の剣は、大切な者を守る剣だ・・・!!」

『守る剣、ねえ・・・じゃあ聞くけど、君はなんで、サイボーグたちを斬り捨てるんだい?』

「貴方は知っているはずです。彼ら(サイボーグたち)の経歴を」

偽物のナスターシャ、姿を現さないジャードから、そう言われ、口ごもる。

「・・・『大人』は、自己責任だろう・・・」

『それもそうだね』

ジャードが肯定する。

『自分で契約したんだし、自分の責任だろうな』

「確かに彼らは自分で判断したのでしょう」

『戦場で手足を失い、出来る仕事もなく』

「サイボーグ手術を受けさせてくれるPMCと契約することを」

『あるいは内戦で国土も荒れ果て喰うものにも困り』

「家族を養う為に異国の血でサイボーグになることを」

交互に、ジャードとナスターシャがクライムに語り掛ける。

『そして彼らは痛みも抑制され、ナノマシンで恐怖すら消され』

「命令のままに命を落とす」

『それをジャックは自己責任と言うんだね』

その問いかけに、クライムは何も言えない。

『だったら見せてあげるよ、ジャック』

「なんだと・・・?」

そこで、ナスターシャの背後から二体のサイボーグが現れる。

「見つけたぞ!」

その手には、電流を帯びる特殊警棒―――

「殺れ!」

その彼らに対して、クライムは剣を向ける。その時だった。

(勝てるのか・・・?)

「ッ!?」

突如として、頭の中で響いた声。その声は、先ほど声を発した目の前のサイボーグと同じ声だった。

「どうした?」

(こいつは仲間を何人も殺した・・・)

行動と言動、しかし、頭の中に響く声は、正反対そのものだった。

(来るな・・・!死にたくない!死にたくない!)

「ッ・・・!?」

これは一体なんだ。一体、何故このような声が。

『戦場には不適切とされた、抑制された感情―――それを今、聞かせてあげるよ』

ジャードが、そう告げる。

戦場に不適切な感情―――それを、戦場で育ってきたシンが知らない訳がなかった。

 

それは―――恐怖。

 

「行くぞ」

サイボーグたちが襲い掛かってくる。

それをクライムは、どうにか凌ぐ。

(俺には家族が・・・)

「ッ!?」

頭の中に響く声、そして、彼らの行動。

ナノマシンによって抑え込まれた感情。それが、これだというのか。

(なんで俺がこんな・・・)

「その程度か?」

鍔迫り合い、目の前の男の言葉と頭に響く声が噛み合わない。

『よく聞くんだ』

「死ね!」

すかさず別の男が襲い掛かる。

その一撃を躱し、距離をとる。

(いつまで、こんな生活が・・・)

(妻も子供も殺されて、まだ戦うしかないのか?)

「弱いぜこいつ」

再び殴りかかってくる。スタンロッドを振り回し、それをクライムは必至に捌く。

敵は決して強い訳じゃない。ただ、クライムの動きが凄まじく鈍っているのだ。

 

彼らの、心の声を聴いているのだから。

 

自動車爆弾(I E D)が脚を吹き飛ばして、他の仕事はもう・・・)

「やめろ!」

(こんな契約、するんじゃなかった・・・)

叫んでも、彼らは止まらない。自分の意志に反して、彼らはクライムを攻撃し続ける。

次の瞬間、クライムの腹に、スタンロッドの一撃が突き刺さる。

「ごふっ・・・!?」

そして、その隙を狙って、クライムの顔面にもう一人のスタンロッドの一撃が入り、クライムは宙を舞う。

「う・・げほっ、げほっ・・」

「どうしたのですか?シン」

ナスターシャが、クライムに呼びかける。

「っ・・・あ・・・」

どうにか立ち上がる。

だが、それでも彼らは攻撃をやめない。その声を叫んでも。

(金が溜まったら、母さんをドイツに連れていきたい・・・)

「そろそろ止めだ」

(こんな生活から抜け出さないと・・・)

「やめるんだ!」

クライムが、とうとう叫ぶ。

それでも、彼らは止まらず―――

「ダァア!!」

横から、タスクがそのサイボーグたちを纏めて蹴り飛ばす。

「慧介・・・ッ!?」

「逃げようシン!」

調が、クライムの手を引いて走り出す。

「どうなってるデスか!?さっきから、変な声が頭の中に響くデスよ!?」

「たぶん、サイボーグたちの声だ。意識を抑制するって言ってたけど・・・」

「・・・酷い」

マリアが、そう呟く。

それに、クライムは何も言えない。

「それに、あのマムは一体・・・」

「そんなの知る由もないだろ!」

「なんだかとっても罠っぽいデスよ!」

切歌の叫びが、シャトー内に木霊した。

 

 

 

 

世界の分解現象が、以前拡大中な最中で、

「なんで錬金術師が歌っていやがる!?」

クリスは、最もな疑問を口にする。

「・・・七つの惑星と七つの音階。錬金術の深奥たる宇宙の調和は、音楽の調和・・・ハーモニーより通ずる、絶対真理」

「どういうことだ!?」

「その成り立ちが同じである以上、おかしなことではないと言っている!」

 

 

―――先史文明期、バラルの呪詛によって引き起こされた、相互理解の不全。

 

それを克服するために、人類は新たな手段を探し求めた。

その方法は大まかに二つ。

そのうちの一つが、錬金術。万象を理解することで、世界と繋げようとした技術。

そしてもう一つが、言葉を超えて、世界と繋がろうと試みたのが、歌だ。

 

 

「錬金術も歌も、失われた統一言語を取り戻す為に創造されたのだ!」

そう、キャロルは言い切ってみせる。

「何を訳の分からない事を!?」

「お前は理解しなくていいんだよ!」

「なんでだ!?」

クローズの発言を抑え込みつつ、彼らはなおも彼女の言葉に耳を傾ける。

「その起源は分かっていないが、お前たちなら推察するのも容易かろう?」

「・・・フィーネ・・・了子さんか」

ビルドの言葉に、グリス、ローグ以外の全員が、ハッとなる。

 

 

 

 

「罠なら、仕掛けてきてもおかしくない頃合いなのデスが・・・」

シャトーの中を走り回り、何かに誘導されていると分かりながらも、彼らは走る。

だが、クライムの走り方はどこか力がない。

おそらく、先ほどのことが精神に多大なダメージを与えているのだろう。

まともに戦える状態じゃない。だから敵のいない道を選びながら進んでいるのだが、ふと目の前に誰かが倒れている事に気付く。

「罠以下の罠・・・」

そして、それが誰なのかを理解した時、彼らの中で嫌悪感が芽生える。

「もしかして、アタシたちを誘導していたのは・・・」

「ドクター、ウェル・・・」

ウェルが、腹から血を流して倒れていた。

「お前、それどうしたんだよ?」

「見ればわかるだろう?御覧のあり様でねぇ。血が足りず、シャトーの完全掌握することもままならないから難儀したよ・・・」

ウェルが、にやけ面で彼らに言う。

「さて、戦場(いくさば)で僕と取引だよ!」

 

 

 

ウェルの案内の元、一気に玉座へと到着したクライムたち。

「チフォージュ・シャトーの制御装置・・・」

(なんで来たんだ・・・)

「ッ!」

彼らの頭の中で響く声。

その声の主は、玉座中央にある制御装置を守っているサイボーグたちからのもの。

「くっ、さっきの聞いた後だと、やりにくい・・・」

「今もやりにくいよな。だけど、あれさえ破壊してしまえば・・・」

「オツムのプロセッサは何世代前なんだい?そんなことをすれば制御不能になるだけさ!」

「じゃあどうすれば―――!」

ウェルの言葉に、調が喰ってかかりそうになった時だった。

突如として周囲にアルカノイズが出現する。

「「「ッ!」」」

一同は、構える。

クライムもその手に雷切を持つが、やはり、体に力が入らない。

「君たちがむずがる間にも、世界の分解が進んでいる事を忘れるなよぉぉおお!」

そしてウェルは立ち上がり、走り出した――――

が、

「そうはさせないよ」

「ッ!?」

それに気付いたマリアが、ウェルを押しのけ、その一撃を受ける。

「うげあ!?」

「ぐぅっ!?」

その、一撃を放った人物とは―――

「ジャード・・・!」

「久しぶりだね~、マリアちゃん」

「貴方に名前で呼ばれる筋合いは・・・ないッ!!」

弾き飛ばすマリア。

「おっとと」

しかしジャードはおどけたようにステップを踏んで距離をとる。

「貴様ぁ・・・!」

ウェルがジャードを忌々し気に睨む。

「驚いたよ。まさかあの高さで生きているなんて。でも残念、君はここで今度こそ死ぬんだ」

「ふざけるな!貴様程度に殺されるほど、僕の命は安くないんだよ!」

左腕を突き出しウェルはジャードに向かってそう叫ぶが、ジャードはふっと笑うと―――

「ダラァ!!」

「あれ?」

次の瞬間、ツインブレイカーを横から突き出したタスクによって、右手の剣の一撃を防がれる。

「ふぅ~ん」

それを見たジャードは嬉々とした表情になると、目にもとまらぬ速さでタスクを蹴り飛ばす。

「がはっ!?」

「慧介!」

クライムが叫ぶ。

そのままジャードはタスクを追撃、激しい連撃がタスクを襲い、最後の一撃によって沈む。

「慧くん!?」

「慧介!?」

すかさず、ジャードが調と切歌を叩く。

「「きゃぁああ!?」

「調、切歌!?っ!?」

そして最後に、マリアが―――

「マリアっ!!」

「あっ!?」

クライムがマリアを押しのけ、代わりにその一撃を喰らう。

「ぐぅっ!?」

弾き飛ばされ、どうにか踏み止まるクライム。

しかし、そこへサイボーグたちが襲い掛かる。

「死ねぇ!」

(信じた俺がバカだった・・・)

「ッ!?」

反撃しようとしても、その言葉が脳裏に過る。

そのせいで、刃を止め、逆にその一撃を諸に受けてしまう。

「ぐあぁあ!?」

「シンッ!」

地面を転がり、膝をつくクライム。

「何をやってるんだあの出来損ないは・・・!」

ウェルが苛立つようにそう呟く。

「シン・・・!」

サイボーグたちに一方的に嬲られるクライム。

「く・・ぁ・・・」

膝をつくクライム。

「今更何を躊躇っているんだ!?」

ウェルが喚く。

「今まで人を斬り続けてきたお前が、サイボーグ如きになにを躊躇する必要がある!そいつらの心境なんぞ、糞喰らえだろうがっ!!」

「くっ・・・黙ってろ英雄もどきが・・・!」

膝をついた状態からどうにか立ち上がろうとするが、足に力が入らない。

「シン・・・」

倒れ伏す仲間が、心配そうにクライムの方を見る。

そんなクライムに、ジャードは右手の剣を弄びながら歩み寄り、語り掛ける。

「サイボーグたちにもそれぞれの人生がある。君はその事実から目をそらして、彼らを斬り続けてきた・・・あまつさえ、その体液を啜り、自らの糧にしてきたのだ」

「シンはそんなこと・・・!」

「しないといえるのかな?他でもない、目の前で彼の本性を見せられた君が」

「ッ・・・!」

言い返そうとして、言い返されて言葉が詰まる。

「・・・奴らを利用しているのは誰だ・・・」

クライムが、ジャードに問いかける。

「奴らの人生を弄んでいるのは・・・」

仮面の奥の眼光で、ジャードを睨み上げる。

「他人の弱みに付け込んで、どれだけ搾取する気だ!?」

その言葉に、ジャードは恍惚そうに頷く。

「いい言葉だよ。ジャック」

ジャードは、語り出す。

「俺だって、自分で選んで生きてきたわけじゃない。殺さなければ殺される。そんな世界で生きてきた。ああ、言っておくけど、俺が戦ってきたのはキリフデラじゃないよ。どっちかっていうとバルベルデの方だね。俺はそこで、この世界が、人類という種が腐りきっていることを知ったよ。いい、ジャック。人間の意志は周囲の環境から創られる。自由意志なんてものはない。意志を支配するのは、『ミーム』と呼ばれる心の遺伝子だ」

ミーム・・・脳内に保存され、他の脳へと複製可能な情報―――習慣や技能といった類のものだ。そして、社会的、文化的な情報の事でもある。

「意志とは関係なしに、ミームは文化を伝える・・・利己主義、絶望、憎悪、復讐心・・・!そうしたミームも伝染する」

国そのものが、とある国に対して嫌悪感を抱くように、正義の名の元に、罪のない誰かを罰するかのように。

「憎しみにさらされ続ければ、自らもまた人を憎むようになる。そして、憎しみのミームは、増殖していく・・・」

「全て、ミームのせいってわけか?」

「自然の成り行きと同じだよ」

ジャードは、クライムに向かってそう言う。

「風が吹いて、雨が降って 愚かな人類が殺し合う。同じことだよ。君の誰かを守る剣も所詮はミーム。桐生戦兎の愛と平和も同じミーム。ミームは心の隙間に入り込む・・・桐生戦兎の語る『愛と平和』なんて、心地よいお題目だったでしょ?」

それを言われて、クライムは心臓を鷲掴まれたかのような感覚を覚える。

「そして君は、相手の人生から重みから目をそらして人を殺す・・・その重みを見せられて戸惑うのが証拠だよ!」

クライムは、俯いて、視線を逸らす。

「恥じる事はないよ。全ては自然の成り行きと同じだよ。意志も判断も存在しない。故に自己責任もない。だけど、自然の成り行きとして、君の―――君たちのミームはここで消える」

その手の剣を一度真上に放り投げ、その剣を手にする。

「君たちの命と共にね・・・」

そして、その切っ先をクライムへと向けた時、

 

「・・・待てよ」

 

クライムからそのような言葉があがる。

「・・・礼を言わせてくれ」

「・・・シン?」

何か、クライムの様子がおかしい。

「ずっと心のどこかで迷っていた・・・フロンティア事変が終わってから、俺は戦いを捨てて平穏に生きることも考えた・・・だが俺にできたのはこんな仕事だけ・・・」

国連からの依頼を受け、影で国連の刺客として、様々な人間を、影で殺してきた。

マリアに、何も告げず―――

「その挙句がこのザマだ。俺はこれが正義だと、弱者を守るためだと思っていた・・・だが違ったんだ」

 

―――体が、すっと冷えるような感覚を覚えた。

 

それと同時に、マリアの心に、どうしようもない恐怖が巣食う。

これは、あの時と同じ―――

「懺悔かい?」

ジャードが小馬鹿にしたように言う。

「認めたくなかったが、心の奥で、俺は戦場を求めていた」

「シン・・・」

シンの言葉を、タスクたちは聞き入れる。

「ナスターシャに拾われ、白い孤児院で過ごしても、戦場を忘れる事ができなかった。マリアと過ごし、慧介たちに出会っても、俺の心の奥底でくすぶる何かを払う事は出来なかった。二課・・・S.O.N.Gに拾われたとしても、俺だけは戦いから逃れることが出来なかった」

鼓動が早くなる。怖い、怖い、怖い―――

「シン・・・」

その先の、言葉が出ない。

「それは、俺だけが―――人斬りを、楽しんでたからだッ!!!」

拳を床に叩きつける。大理石の床にひびが入る。

その大理石に、自分の顔が映り込む。

「桐生戦兎の『愛と平和』はそんな俺を救ってくれたよ・・・お陰で俺は今まで、『ジャック・ザ・リッパー』を抑える事ができた・・・・」

できた。何故、過去形なのか。その理由は―――明白だった。

「・・・ジャック」

「だが、お前の話で目が覚めた」

クライムが、変身を解除する。

「刀はあくまで人を殺す道具だ」

戦場での戦闘意志の放棄に等しいその行為を、何故今になって、シンはそれを行ったのか。

(だめ・・・)

唇が震えて、上手く、言葉が出せない。

止めたい。止めなければ、だって、この恐怖は、この恐怖が出るという事は―――

 

 

―――シンの中の殺人衝動が覚醒する前兆。

 

 

シンの目が、赤く光る―――

 

 

「――――『ジャック』に、戻る(とき)だ」

 

シンが、立ち上がり、叫ぶ。

「ウルフっ!いるんだろう!!」

そう叫べば、どこからともなくウルフが飛んでくる。

そして、何体かのサイボーグやアルカノイズを薙ぎ払いながら、シンの元へたどり着く。

その最中で、シンはビルドドライバーを捨てる。

「もってきているんだろう?」

「ああ、だが・・・」

「さっさとよこせッ!!」

シンが怒鳴る。

「・・・分かった。受け取れ」

ウルフの格納スペースが開き、そこにシンは手を突っ込む。そこから引き抜かれたのは、スクラッシュドライバーと、一本のフルボトル。

「あれは・・・!?」

「スクラッシュドライバー!?」

「なんでシンが・・・!?」

シンがスクラッシュドライバーを手にする。

その予想外の展開に、仲間はこぞって目を見開く。

そして、それをシンは腰に巻く。

 

『スクラァッシュドライバァー!!』

 

アジャストバインドが腰に巻き付き、腰に固定される。

そして、左手でそのボトルのシールディングキャップを開ける。

 

Killing

 

そのボトル―――『フェンリルレリックアサルトボトル』を、そのままスクラッシュドライバーに装填する。

 

フェンリルゥ…!!

 

それを差した途端、まるで戦場でのBGMのような待機音が発せられる。

そしてシンは、右拳を胸の前に持っていき、そしてその拳を握り締めながら叫ぶ。

 

「変身…ッ!!」

 

そして、右拳を振り抜き、それと同時にアクティベイトレンチを叩き下ろす。

「ぐ、ぅあぁぁぁあああ!?」

凄まじい痛みが、シンを襲う。

拒絶反応―――否、適合したからこそ、その負荷がシンの体にかかっているのだ。

だが―――

「クク・・・フハハハハハッ!!!」

シンは、笑っていた。

「痛みだ・・・そうだ、これこそが生きている証、俺の生きる意味!」

彼の仲間が、今までに見たことがないほど狂気に歪んだ笑顔。

それが、マリアにとっては、あまりにも恐ろしかった。

「そう、これこそが―――戦いだッ!!」

 

砕くゥ!暴れるゥ!!狂い出すゥッ!!!

 

フェンリル・イン・アサルトクライムゥッ!!!

 

ヒィハァァァア!!!ヒャハハハハ!!!

 

かつて、ガングニールの担い手であった、北欧の主神オーディンを喰い殺したと言われる、伝説の狼。

今、その力を纏い、クライムの新たな姿が現れる。

 

出現するケミカライドビルダーが、まるで内側から何かに割られたかのように砕け散り、その中から、白銀の装甲を纏った戦士が出現する。

バイザーは半透明のヴァリアブルゼリーで構成された『クリアファングレイヤー』と『アサルトレイヤー』の二重構造。

その身をCMエンハンスメントスーツを素体として、ヴァリアブルアーマー、ダイラタンアーマーの二重構造で身を包み、なおかつ動きやすいそのスーツは、変身者本来の戦闘能力を引き出すことが可能―――

 

そう、それこそが『仮面ライダーアサルトクライム』の誕生である。

 

「―――やれ」

その変身が完了すると同時に、ジャードがサイボーグたちに命ずる。

(嫌だ、戦いたくない・・・!)

それを受けたサイボーグの一人が、アサルトクライムに向かって斬りかかるが、そのサイボーグが剣を振り上げた瞬間、その一撃を避けてその腹を斬り裂き、すぐさま背後から斬りかかる敵に向かって先ほどのサイボーグがもっていた剣を足で掴み、そのまま背後のサイボーグに向かって突き刺す。そしてイナバウアーするように体をそらしながら、背後にいる敵二人を叩き斬る。

そうして、一気にサイボーグ三体を瞬殺するクライム。

その白い装甲からは、心なしか赤いオーラのようなものが揺らめいており、バイザーの奥から、赤い双眸が炎のように揺らめいているようにも見える。

そして、白い血のついた刀を、ジャードに向ける。

「次は誰だ?」

次の相手を探し求める。

「・・・アハ」

それにジャードは、嬉しそうに笑う。

「いいね、いいねぇ、やっぱり君は僕たちの同類だったんだね!」

「死にたいのはお前か?クク、ハハハ・・・!!」

白い血のついた雷切を撫で、クライムは名乗る。

「俺の名は『ジャック・ザ・リッパー』・・・キリフデラの白い悪魔・・・」

刀を弄び、そして構える。

「俺の、人斬りの本性を見せてやる・・・見ておけ、これが俺の、戦いだ!」

―――そのシンに、マリアは何も言えず、戦いは始まった。

 

 

 

 

 

 

世界が、どんどん分解されていく。

「歌・・・歌が世界を壊すなんて・・・」

響は信じられないとでも言う様に呟く。

「東京の中心とは、張り巡らされたレイラインの終着点・・・」

「逆に考えれば、ここを起点に、歌を世界中に伝播させることが可能ってわけか」

「その為に、安全弁である要石の破壊を・・・!」

「もうどうしようもないのか・・・!」

クリスが悔しがる。

「手ならある」

しかし、ビルドがそれを否定する。

「キャロルはウェルの左腕のネフィリムを使ってシャトーを起動させたんだとしたら、ほとんどの制御権はウェルにあるも同然・・・いけ好かない奴だが、あいつの英雄論でいやあ世界の分解なんて許しはしないだろ!」

「何が言いたい?」

キャロルがいぶかし気にビルドを睨みつける。

「あの英雄もどきの生命力は、ゴキブリ並みだ!」

「何を・・・まさか・・・!?」

キャロルがシャトー内の映像を投影する。そこに映るのは、シャトーの制御装置に左手を接続しているウェルの姿があった。

「生きていたのかドクターウェル!?何をしている!?」

『シャトーのプログラムを書き換えているのさァ』

「ジャードはどうした・・・!?」

その映像の、ウェルの背後で激しい火花が散っているのが見える。

そして、二つの影が、凄まじい速さで動いているのもわかる。

どうにか肉眼で視認することの出来るそれは、見たこともない仮面ライダーとジャードであるということが伺えた。

「使えない奴め・・・!」

『余所見してていいのかぁい?錬金術の工程は分解と解析ィ、そしてェ・・・!!』

「っ!機能を反転し、分解した世界を再構築するつもりなのか!?」

「その通りだ!」

ビルドが叫ぶ。

「チフォージュ・シャトーが錬金術に基づいて作られているというのなら、分解はもちろん、再構築だって可能だ!あんな奴だが役に立ってくれるじゃねえか!」

「馬鹿な!そんな運用にシャトーの構造が耐えられるものか!」

「っ!?何ッ!?」

その言葉に、ビルドは動揺する。

『そう!爆散する!』

動揺が走る。

「・・・しまった、その事を想定してなかった・・・!」

キャロルが絶唱をフリー素材のように使いまくれることに目が行き過ぎて、その可能性にビルドは気付けなかったのだ。

『どっちにしても分解は阻止出来るゥ!ハァー!ほんと嫌がらせってのはサイコウだァ!!』

ウェルの高笑いが、キャロルの投影映像から聞こえてくる。

 

 

 

 

 

シャトー内にて、

「ハハハハハハハハハハッ!!!!」

クライムが高笑いを挙げながら、ジャードと激しく斬り結ぶ。

その身から、殺戮衝動を思わせる赤いオーラを発しながら、クライムは、笑いながら戦いを楽しむ。

その様子を、マリアは見る事しか出来なかった。

ただその場に突っ立ち、そのクライムの戦い方を見ていた。

 

―――怖い

 

クライムの戦いが、笑い声が、その本性が怖い。

あんな、あんな姿を見たくない。

あれがシンだなんて、信じたくない。

「ッ・・・!」

唇を引き結び、歯を食いしばる。

(いや・・・あんなシン、もう見たくない・・・!)

目を閉じ、顔を背けた時だった。

「マリア!」

「ッ!」

アルカノイズが、マリアに向かって襲い掛かる。

寸での所で、調の丸鋸がそのアルカノイズを切り刻み、消滅させ、マリアは無事だったが、マリアは未だに茫然としたままだった。

「マリア!しっかりして!」

「シンから目をそらしちゃダメデスよ!」

「調、切歌・・・」

その二人の言葉に、マリアは力なくその名を呼ぶ。

だが、すぐに俯いてしまう。

その時、一際大きな音が響く。

見れば、地面に叩きつけられているクライムの姿があった。

「シン・・・!?」

「ククク・・・」

起き上がるクライム。その体に、赤いオーラだけでなく、何か、電流のようなあものが走るのをマリアが見た。

あれはそう、タスクが暴走していた時と同じ―――

「クハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

クライムが高笑いを挙げて、再びジャードに斬りかかる。

その剣筋は、戦い始めた時よりもあまりにも支離滅裂だった。

「あれあれぇ?どうしたのかぁ?当たらないっぞぉ!」

ジャードの蹴りが、クライムを吹き飛ばす。

「シン・・・!」

マリアが思わずその名を呼ぶ。

「ククク・・・!!」

クライムが、笑いながら立ち上がる。肩を震わせ、笑いを抑えきれないとでも言う様に、そして再び仰け反って高笑いを挙げる。

「フハハハハハハハハハハ!!ハァーハッハッハッハ!!」

「ッ・・・」

やはり、辛い。見ているのが、こんなにも辛い。

クライムが―――シンがあのように変わり果ててしまったことが、マリアにとって辛い。

(私は結局、シンの事を、何も理解してなかった・・・)

その本性と、抱えていた悩みを、その闇を、何も理解してあげる事ができなかった。

全て―――あの女の言う通りだった。

(私たちとシンとでは、住む世界が違う・・・違い過ぎる・・・)

血に汚れる事を恐れ、その全ての責任をシンに押し付けてしまった。

こんな、こんな自分が、果たして、シンの隣に立つことなんて―――

「マリアっ!!」

その時、タスクの鋭い声が聞こえた。

「これでいいのかよ!?本当に、こんな結末で、マリアはいいのかよ!!」

アルカノイズを殴りながら、タスクは、マリアに向かってそう叫んでいた。

「シンをあのままにして、何もしない・・・マリアはそれでいいのか!?」

「シンを・・・?」

「シンは今、スクラッシュドライバーに振り回されてる」

「え・・・!?」

それを聞いて、マリアはシンの方を見る。

確かに、今のクライムの戦い方は、クライムらしい、鋭く、そして確実性を感じる斬撃ではない、ただ力のままに振り回しているかのような戦い方だ。

それでもなんとかジャードについていけているのは、シンの潜在的な戦闘センスのお陰だろう。

だが、それでも限界は来る。

いずれは、やられてしまう。

「それでも―――」

その最中で、タスクは叫ぶ。

「それでもシンは、俺たちを守りながら戦ってるんだ!」

「私・・・たち・・・を・・・!?」

一体、何を言っているのだろうか。

シンは自分を守っている?一体、どうして・・・

「あの男、さっきからいつこっちを攻撃しようか考えてる!それをシンは、何度も阻止してるんだ!なんどもこっちに来ようとしている素振りがどうにか見えた。そして、それをシンは必ず阻止してた!俺の時とは違う。シンは、スクラッシュの力に、抗ってるんだ!」

スクラッシュドライバーは、変身者のアドレナリンを大量に分泌し、その者の闘争本能を掻き立て、戦闘を求める気質へと変化していく。

その性質に、今、クライムは振り回されているのだ。だけど、それでも―――

「それでもシンは、こっちを守りながら戦ってるんだ!今にも、暴走する闘争本能に塗り潰されそうになってるのに、必死に!」

再び、クライムの方を見る。

「マリア!シンを怖がらないであげて!」

今度は、調が叫ぶ。

「シンは、いつだって私たちを守ってくれた!いつも、辛い事を背負ってくれた・・・そんなシンが、くじけないでいけたのは、マリアがいたからなんだよ!」

調が、必死にマリアに訴えかける。

「マリアがいたから、シンは今日まで戦ってこれた!他の誰でもない、マリアの為に、シンは戦ってきたんだよ!」

「わたしの、ため・・・」

「そうデスよ!ジャック・ザ・リッパーが、一体なんだって言うんデスか!」

切歌のクラッシュマズルが火を噴く。直線状のアルカノイズが、纏めて吹き飛ぶ。

「シンはシン!ジャックもシンデス!殺人鬼だかなんだから知らないデスけど、シンが、ただ人殺しを楽しむだけの人じゃないって、アタシは知ってるデス!マリアも、知ってる筈デス!」

クライムが、どんどん傷ついていく。

それを、マリアは見ている事しか出来ない。

まだ、自分の想いが、それが一体なんなのか、分からないから―――

『マリア姉さん!』

「ッ!?」

無線から、セレナの声が響く。

『シンさんは、確かに殺人鬼であるジャック・ザ・リッパーかもしれない。だけど、それでもシンさんは確かな『優しさ』を持ってる!』

「ッ―――!」

妹の言葉に、マリアは、思い出す。

 

シンが、今まで自分たちにしてくれたことの全てを。

 

『あんな優しい人が、ただの殺人鬼であるはずがない。ううん、殺人鬼であっちゃいけないの!だって、あんな優しい人が、殺戮衝動のままに暴れる訳がない!殺人鬼であるはずがないの!』

「セレナ・・・」

『確かに、人は誰だって、その心の奥底にある本性を隠してるかもしれない。だけど、マリア姉さんが、非常になりきれない優しさをもっているように、シンさんにだって、誰かの為に戦える『優しさ』を持ってる!他の誰でもない、シンさんだけの『優しさ』が!』

戦況が、動く。

マリアの目の前、やや数メートル離れた所にクライムが立つ。

そのクライムに向かって、ジャードが地面に足元に転がっている、腹に剣が突き刺さったサイボーグから剣を引き抜き、それをクライムに向かって投擲する。

それをクライムは躱す。

だが、躱した先にいるのは―――マリアだ。

「あ・・・!?」

反応が遅れたマリアは、避けようと思っても避けられない。

それを躱そうとするも、完全に無警戒だったから、すぐに回避も取れない。

このままでは、刃が突き刺さってしまう。そう思った時―――クライムがその剣を叩き落した。

「シン・・・!」

「ハァァァアアアア!!!」

クライムが、再びジャードに向かって駆け出す。

その行為に、マリアは悟る。

(ああ、シンはやっぱりシンだ・・・・)

例え、自分の中の本性を受け入れても、シンは、その優しさを忘れていない。

誰を斬ろうと、シンは、その優しさを忘れない。

だって、サイボーグたちの声を聴いた時、シンは、確かに苦しんでいた。

その声に、戸惑っていた。

それは、シンに確かな優しさがあるから。だから誰かが傷つくことに苦しむ、戸惑う、そして、悲しめる。

 

(そうだ。私が好きになったシンは、ただの殺人衝動なんかに押しつぶされない。誰かの為に戦う事の出来る『勇気』と『優しさ』を持った男なんだ!)

 

更にクライムが傷つく。

それでもクライムは、前に出て戦おうとする。

その身に暴れる破壊衝動のままに、クライムは、戦いを続けようとする。

「アァ・・・アァァアア・・・!!」

体中が痛い。意識が朦朧とする。ただ、『戦わなければ』という衝動が、彼を突き動かしていた。

一体何のために戦っているのか。それが、何故か思い出せない。

何か、大切なものを、守りたいと願って、この身の人斬りの本性を受け入れた。

『消える』――そう言われて、守るために、人斬りを受け入れた。

一体、何が消えるのか、今となってはもはやどうでも良い。

 

戦わなければ。

 

守る為に、戦わなければ。

その手の刀を握り締める。

「ァァ・・・ァァァアァアアア!!!」

絶叫を挙げ、目の前の敵に、刃を振り下ろそうと、その刃を振り上げる直前―――誰かが後ろからクライムを抱きしめた

「んん~?」

その光景に、ジャードは訝しむように顔を歪める。

「・・・シン」

優しい、誰かの声。何度も聞いた、聞いていると心が安らぐ、そんな、声が。

「シン・・・私は、貴方が怖かった」

「・・・」

当然だ。本当の自分は、こんなにも血に塗れているのだから。

「貴方の本性が、貴方の人斬りが、血に塗れ、笑う貴方が怖かった」

それが、自分だ。それが、ジャック・ザ・リッパーなのだから。

「でも、それでも貴方は、『優しさ』を捨てないでくれた」

「・・・!」

その言葉に、クライムは仮面の奥で目を見開く。

「シン・・・私は、貴方の『優しさ』に何度も救われた。だけど、それではダメだと気付いた。優しさを受けるだけじゃダメ。何かを返さなくちゃいけない。貴方の『優しさ』に応えなくちゃいけないんだ」

クライムを抱きしめる腕に、力が込められる。

「貴方は、一人じゃない。私が付いてる。調も、切歌も、慧介も、セレナもいる。だから、一人で戦おうとしないで」

「・・・ま・・り・・・」

振り返ろうとする。しかし、その時、狂喜に満ちた表情でジャードが斬りかかる。

「邪魔しないでよっ!」

「ッ!マリア!!」

「きゃ!?」

クライムは、マリアを突き飛ばし、ジャードの一撃に備える。

だが、ジャードはクライムに剣を振り下ろすと、それをそのままクライムの右側に流したかと思えば、そのままマリアの元へ。

「え!?」

「アァァアアァア!!!」

そのジャードに向かって、クライムは刀を振り上げる。

「さあ、お前の刀を、仲間の血で濡らせ!」

「あ!?」

マリアを掴んだかと思えば、そのままクライムの前に突き出す。

「アァァアアア!!」

クライムの刃が、マリアの首に迫る。

その光を、マリアは自身の網膜に焼き付けながら、叫ぶ。

「私は貴方の本性を受け入れるっ!!だから―――」

その目から、煌めく何かを振りまきながら、

 

「―――戻ってきて、シン――――ッ!!」

 

 

 

 

 

 

―――俺を受け入れろ。

 

『ジャック』が、語り掛けてくる。

 

―――お前は、どこまでいっても『ジャック(オレ)』からは逃げられない。

 

―――忘れたか。お前が今まで、どれほどの人間を斬り殺してきたのか。

 

―――全て、『シン(オマエ)』の意志だ。『ジャック(オレ)』の意志だ。

 

―――『ジャック(オレ)』は『シン(オマエ)』、『シン(オマエ)』は『ジャック(オレ)

 

―――切っても切れない関係―――それが『ジャックとシン(オレたち)』だ!

 

そう、『ジャック』が言って見せる。

 

それに、『シン』は、否定はしなかった。

 

「・・・確かに、『シン()』は『ジャック(お前)』だ」

 

―――何?

 

シンは、そっと自分の胸に手を当てる。

 

「だけど、そんな俺でも、守りたいと願った人がいるんだ」

 

―――マリアか。

 

『ジャック』が、その名を告げる。

ああ、そうだ。彼女の名前は、マリア。

自分が、初めて、心を開いた、守りたいと願った少女―――

 

―――分かっているだろう。

 

『ジャック』が、警告する。

 

―――『ジャック(オレ)』を受け入れるという事は、お前は―――

 

「ああ、そうだ。マリアの傍にはいられない」

 

自分の手が血に汚れているから。というのもある。

ただ、何よりも、これから自分が走り抜ける道に、彼女は連れていけない。

彼女は優しすぎるから、敵を討つ覚悟はあっても、人を殺すことなんて、彼女には出来ないから。

 

「俺は、俺のやり方で、マリアを守る―――ああ、そうだ。俺は―――」

 

 

シン()』にとって、マリアとは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ・・・」

迫る刃に、マリアは目を閉じ、それが自分の首を斬る瞬間を待った。

だけど、いつまでたっても、想像していた感覚はこなかった。

恐る恐る、目を開けてみれば、自分の目の前に、白銀の刃があった。

「あ・・・」

そして、声が聞こえた。

 

「―――遅くなってすまない」

 

その声に、マリアは、心の底から、嬉しさがこみ上げてくる。

 

「―――もう、心配させて」

 

次の瞬間、マリアの顔の横で疾風が駆け抜ける。

「ぐべら・・・!?」

鋭い蹴りが、ジャードの顔面に突き刺さり、そのまま手摺まで蹴り飛ばす。

「ぐ・・・く・・・」

「礼を言うぞ。ジャード・ニルフラム」

クライムの声が聞こえ、ジャードは蹴られた顔面を抑えながら顔を挙げる。

「お前のお陰で、俺は『ジャック・ザ・リッパー』を取り戻せた。そして、守るべきものを再確認できた」

マリアの腰に手を回し、一気に抱き寄せる。

そして、もう片方の手にもった刀を、ジャードに向ける。

「俺は、俺の罪から逃げない。マリアがいてくれるなら、マリアが俺の帰る場所であるならば、俺は―――どんな罪も穢れも受け入れる!」

「シン・・・!」

その双眸から、なおも揺らめく赤い炎を滾らせて、

 

「―――俺の罪で、貴様を裁くッ!!」

 

そう、ジャードに告げた。

「く・・・ふふ・・・!」

それを聞いたジャードが、笑いながら立ち上がる。

「いいねぇいいねぇ!それでこそジャックだよ!」

どこからともなく、もう一本の剣を呼び出すジャード。

空間転移による、道具の引き出し―――彼もどうやら錬金術師のようだ。

「さあ始めよう?楽しい楽しい殺し合いの時間をねえ!」

狂喜に染まった表情で、ジャードをそう声を挙げる。

クライムはマリアから離れると、両手で刀を構える。

「シン・・・!」

そんなクライムに、マリアは声をかける。

だが、そこで突如として調、切歌、タスクが吹っ飛んでくる。

「「「うわぁああ!?」」」

「「ッ!?」」

見れば、そこから、一人の車椅子に乗った女性がやってきていた。

「マム・・・」

「ナスターシャ・・・」

その女性の名を、二人は静かに呟いた。

 

 

 

 

 

「世界の分解は止まらない・・・」

キャロルが、そっと地面に降りる。

「さじで止めさせてなるものか・・・!」

「だとしても」

ビルドが、キャロルに言う。

「止めてやる。他でもない、エルフナインの為に!そして、お前のために!」

「戯言を!」

キャロルの魔弦が襲い掛かる。

「ッ!!」

それを彼らは避ける。

「こうなったら、イグナイトで・・・」

「よせ!」

モジュールに手を出しかける響をクリスが止める。

「モジュールの使用は、キャロルに利される恐れがあるっ!」

「え!?それってどういう・・・」

「響!」

未来が響を横から掻っ攫って、襲い掛かってきた弦の一撃から逃れる。

そして、そのキャロルに向かって、ビルドがドリルクラッシャーを振り下ろす。

「ぬぐっ!?」

どうにか両手で結び付けた弦で食い止めるも、キャロルは苦悶に顔を歪める。

「絶対に止めてみせる!」

「鬱陶しい、仮面風情が・・・!」

キャロルがドリルクラッシャーを弾き飛ばし、巨大な術式を展開する。

「極太をくれてやる!」

「ッ!?」

そして、後ろにいる装者を、ライダーごと薙ぎ払うかのように、その砲撃を放った―――

 

 

 

 

 

「お前がマムであるものか!」

マリアが、偽物のナスターシャに向かってそう叫ぶ。

しかし、突如としてその身が黒い布のようなものに巻かれたかと思うと、その中から、なんと黒い戦装束を纏ったマリアが現れる。

それに、一同は息を飲む。

そして、開幕速攻で黒装束のマリアの突撃槍(ランス)から、凄まじいエネルギー砲が放たれる。

「ッ!くぅ―――!!」

それを、マリアはアームドギアの短剣で受け止める。だが、流石に受け止めきるのは無理があったようで、吹き飛ばされそうになった所を、すぐ後ろのシンが刃を重ね合わせる事で、どうにか凌ぐことに成功する。

そして、黒のマリアは、その槍を地面に突き立て、そして機械的な雑音混じりの声で言う。

「私は『フィーネ』。そう、終わりの名を持つ者だ」

それは、かつてマリアが、全世界に向けて放った言葉。

「・・・そうか」

それを聞いて、マリアは悟る。

 

あれは、自分の、自分たちの―――心の闇。

 

「お前は、私。過ちのまま行き着いた、私たちの成れの果て・・・!」

倒れていた家族たちが立ち上がる。

「だけど、黒歴史は塗り替えてなんぼデス!」

「シャトーが爆破される前に、この罪を乗り越えて脱出しよう!」

「ああ、そうだ―――自分の罪と向き合ってこそ、俺たちは、前に進める!」

マリア、切歌、調、タスクが、もう一人のマリアと、クライムが、ジャードと対峙する。

そして、戦姫三人の歌声が、この小さな戦場に響き渡る。

 

「――真の正義、背負った今 どれだけあの言葉が…」

 

調が突っ込み、まずは巨大な鋸で黒のマリアを封殺する。弾かれた所を、今度は切歌が上空から強襲する。

その一撃を躱し、その躱した先でマリアが突撃、しかし黒のマリアは背中のマントを翻して反撃、その連撃を、マリアは短剣で凌ぐ。

その一方、クライムはジャードと激しく鎬を削っている。

目にもとまらぬ速さで繰り返される斬撃の応酬が、火花を散らして戦場全てに散る。

その最中で、

『ウルフさん・・・!』

「っ!どうした?」

その戦いを遠目から見ていたウルフに、セルフナインから通信が入る。

『貴方の接続コードを、制御装置に繋ぐことは出来ますか?』

「なんだと?」

『自分らしく戦います・・・!』

「・・・分かった」

そのエルフナインの言葉にウルフは頷き、すぐさまウェルの元へ向かう。

「ドクターウェル!」

「ああ?なんだいぬっころ!」

「俺をシャトーに繋ぐ。こちらでサポートする!」

「胸が躍る!だけど出来るのかぁい!?」

「やらなければ世界が終わるだけだ!」

ウルフが、自身のマニピュレーターを制御装置に接続する。

 

 

 

 

「ガードウルフ、シャトーとの接続を確認しました!」

セレナがそう叫ぶ。

そして、モニターに映し出されるのは、ナスターシャの忘れ形見『フォトスフィア』。

「そうか!フォトスフィアで!」

「レイラインのモデルデータをもとにすれば、ここからでも・・・!」

フォトスフィアに映るレイラインのモデルデータ。それを使い、シャトーのシステムを逆算することで、世界の崩壊を阻止させる気なのだ。

「藤尭!」

「ナスターシャ教授の忘れ形見、使われるばかりじゃ癪ですからね!」

そうと決まればやることは決まっている。二課で最強の情報処理能力を持つ、藤尭朔也の本領発揮である。

「やり返して見せますよ!」

「私も微力ながらにサポートします!ウルフ、貴方も!」

『分かっている!』

「演算をこちらで肩代わりして、負荷を抑えます!掌握しているシャトーの機能を、再構築に全て当ててください!」

自分が持つ、錬金術の知識全てを使い、エルフナインは、自分に出来る事を全力でやっていた。

 

 

 

世界の分解が、以前拡大していく。

 

シャトーが、想定にない負荷をかけられたことで、悲鳴を上げる。

だが、それでも彼らは止まらない。止まれない。止められない。

「ぐげあ!?」

クライムの拳が、ジャードの顔面に突き刺さる。

さらに、そのまま同じ拳でもう一度ジャードを殴り飛ばす。

「ぐごあ!?」

どうにか踏み止まるも、鼻血を垂れ流して、ジャードはうわごとを呟く。

「あれ、おかしいな・・・なんで僕がこんなこと・・・」

「・・・」

自分が負ける、なんて思ってもみていないらしい。

どこまでも、救えない男だ。

ふと、背中に誰かがぶつかる。

見てみれば、そこにはマリアがいた。

どうやら、黒のマリアの『HORIZON†SPEAR』を防いでそのまま衝撃で飛んできたらしい。

「あ、ごめんなさい・・・」

思わず謝るマリア。だが、そんなマリアの顔を見て、クライムは思ったことを言い当てる。

「・・・その罪はお前のものだけじゃないぞ」

「っ・・・!」

その言葉に、マリアの目が見開く。

「その罪は、俺たち全員のものだ」

「シン・・・」

「そうだ!」

迫ってきていた黒のマリアの槍を、タスクが弾き飛ばす。

「寝言なんて言ってる暇なんてあげてやるもんか!」

そのまま黒のマリアの背後に回り、その腹に手を回して、そのまま強烈なバックドロップを叩き込む。

体が柔らかいからか、地面を足に着けたまま、ものの見事に背中をそらして完璧なバックドロップが決まる。

「つっ・・・」

黒のマリアの表情が苦悶に歪む。

「そうだよ」

そのマリアに向かって、調が巨大化させた丸鋸を叩きつけようとする。黒のマリアはそれを躱す。

「その罪を乗り越えるのは―――」

「―――五人一緒じゃないといけないのデス!」

その言葉に、マリアはハッとなる。

クライムが、マリアの左手をそっと握る。

その手を、マリアは強く握り返す。

「・・・ありがとう、みんな・・・!」

そのマリアの言葉を聞き入れ、クライムはジャードの一撃を受け止める。

「そいつにかまけて、僕を忘れないでよね」

「粋がるなデイブレイク。貴様など、雑兵に等しいと弁えろ!」

弾き飛ばし、そして、繋いだ手を離して、クライムはジャードと最後の勝負に出る。

クライムが、ジャードと激しく切り結ぶ音を背に、マリアは、ウェルに向かって叫ぶ。

「ドクター!私たちの命に代えても守ってみせる!だから、ドクターは世界を!」

その言葉に、ウェルは脂汗を塗れさせながら、にやりと笑って見せる。

 

シャトーの歯車が動き出す。

 

シャトーが、悲鳴を挙げる。

 

 

「やめろ・・・」

キャロルが、狼狽える。

「オレの邪魔をするのはやめろ・・・!」

背中に飛行の為の術式を描き、空を飛ぶキャロル。

「やめろ―――ッ!?」

そのキャロルに、しがみつく者が、一人。

ビルド・ホークガトリングフォームだ。

「行かせるかよ!」

「くっ、邪魔をするなぁぁああ!!!」

キャロルの絶叫が迸る―――

 

 

 

白装束のマリアと黒装束のマリアが、激しく切り結ぶ。

その最中で、マリアは無線を通して語りだす。

「翼と立つステージは楽しかった。次があるならその時は、朝まで貴方と歌い明かしてみたいわね・・・」

 

 

その言葉に、翼は狼狽える。

「マリア・・・何を・・・!?」

 

 

「命がけで戦った相手とも仲良くできるクリス先輩はすごいなって、憧れてたデスよ!」

切歌が飛び上がり、マリアの援護に回る。

 

 

その切歌の言葉に、クリスは、彼女らの意図を察して、必死に励ます。

「お前にだって出来る。出来てる!」

 

 

「あの時、龍我さんが正面からぶつかってくれなかったら、俺はきっと、大切なモノを失ってた・・・だから、ありがとうございます!」

黒のマリアの攻撃を凌ぎ、タスクは、感謝の言葉を述べる。

 

 

その言葉に、一つの嫌な予感がクローズの脳裏に過る。

「こんな時に、一体何言ってんだよお前・・・!?」

 

 

「未来、戦場ではあったけど、貴方と一緒に歌ったあの時は、とても楽しかった。また、もう一度、歌いましょう」

リンクスアームズ『レギオンソード』をもって、黒装束のマリアを追い詰める。

 

 

未来は、彼らが何をしようとしているのか悟り、口元に手を当てる。

「そんな・・・そんなの、当たり前ですよ・・・だから・・・!」

 

 

「ごめんなさい・・・あの日、何も知らずに偽善と言ったこと。本当は直接謝らなきゃいけないのに・・・!」

戦場を駆け、機会を伺う調。

 

 

傷ついた体に無知を打ち、響は、立ち上がって叫ぶ。

「そんなの気にしてない・・・だから!」

 

 

「氷室長官・・・あの日、私に『弱さ』教えてくれて、ありがとうございました」

 

「そんなことはどうでもいい!貴様、こんなところで―――!」

 

 

 

「心火を燃やしてぶっ潰す・・・あれ、すごくかっこよかったのデス!次からは、アタシも言ってもいいデスか?」

 

「はっ、何言ってやがんだ・・・あれに著作権なんかねえよ・・・なんだったら今から解禁にしてやってもいい。だけど、お前らは―――!!」

 

 

 

 

シャトーから、光が溢れ出る。

どんどん、壊れていく。

その光景に、キャロルは泣き喚くように叫ぶ。

「お願い、やめて・・・!私とパパの邪魔をしないで!」

「―――ふざけんなァ!!」

ビルドが高所からキャロルの顔面を殴る。

「何が私とパパだ!父親が愛する娘に向かって願う事なんて、たった一つしかねえだろうがァ!!!」

ホークガトリンガーが火を噴く。

その嵐を、キャロルは結界をもって防ぐ。

「何も知らないくせにィ―――!!!」

「うぉぉぉおおぉおお!!」

巻き起こる黄金の風、それにビルドは真正面から立ち向かう。

 

 

 

傷口が開き、それでもエルフナインは、シャトーの演算を続ける。

「僕の・・・僕の錬金術で世界を守る・・・!キャロルに世界を壊させない!!」

 

 

 

「―――桐生戦兎」

クライムが、ビルドに向かって通信を繋げる。

「俺は、お前の『愛と平和』のお陰で、一度救われた」

ビルドは、キャロルからの猛攻を必死に耐えながら、その言葉に耳を傾ける。

「だが、俺は、お前の信念を血で汚してしまった。だけど、それでも俺は、前を向いて進み続ける事ができる」

クライムの目の前には、クライムに切り刻まれ、体中から血を流す、ジャードの姿があった。

「なん・・・で・・・なんでぇ・・・・?」

訳が分からない、とでも言う様に喚き散らすジャード。

「何故なら、俺には、守るべき大切なものがあるからだ――――だから桐生戦兎」

スクラッシュドライバーのアクティベイトレンチに手をかける。

「お前の信念のライダーシステムを、血で汚すことを許してほしい―――」

「―――んなこたァどうでもいいんだよォ!!」

ビルドの叫びに、クライムはその手を止める。

「お前に言いたい事はまだまだ沢山あるんだよ!今までの事とか、これからの事とか、お前の過去とか俺の過去とか、仲間の事だとか、万丈の馬鹿さ加減だとか、一海のドルオタ度合いだとか、幻さんのダサTとか、俺の響たちの愚痴とか!まだまだ言いたい事が沢山あるんだよ!だから、だから―――必ず帰って来いよぉ!!」

仮面の奥で、ビルドが泣いている。

その言葉を、無線越しに聞き入れ、クライムは、ふっと笑う。

「―――ありがとう」

そしてクライムは、アクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

アサルトアップフィニッシュ…ッ!!!

 

次の瞬間、クライムの姿が消える。

どこに行った、とジャードは思わず周囲を見渡し、真上から気配を感じて見上げてみれば、そこには、螺旋状の亀裂が走ったシャトー天井で腰を落とすクライムの姿があった。

「終わりだ・・・!」

それと同時に、切歌と調が、黒のマリアの槍を弾き飛ばす。

「心火を燃やしてぶっ潰すデス!!」

「私の想いは、誰にも打ち砕けない・・・!!」

そして、マリアは左腕のガントレットに短剣を装着し、それを一際大きなブレードへと変える。

そして、タスクがアクティベイトレンチを叩き下ろす。

 

「俺たちの(キバ)は、誰にも折れねえ―――!!!」

 

「私たちの罪で、貴方を超える・・・!!」

 

挟み込むように、マリアとタスクが飛び上がる。

その最中で、黒のマリアがその身をマントで包み込み、そして、その姿を、あの日の、ネフィリムを止めた時のギアと姿でそこに微笑んでいた。

『―――マリア姉さん!』

無線から聞こえた声、それに、マリアは叫ぶ。

「セレナァァァアアァァァアアアッ!!」

ガントレットから火を噴いて加速し、そのまま、タスクと共に、そのセレナを打つ。

 

「―――生きて」

 

その言葉を最後に―――渾身の一撃が偽物のセレナを消し飛ばす。

 

 

SERE†NADE

 

スクラップクラッシュッ!!!』

 

マリアの斬撃が、タスクの両足蹴りが、炸裂し――――

 

 

「うわぁぁあああ!!!」

天から雷が落ちるが如く、クライムの右足に掴まれた雷切の斬撃が、ジャードを叩き斬る――――

 

 

 

 

「やめろぉぉぉおおおぉお!!!」

キャロルの絶叫と共に、極大出力の砲撃がシャトーを撃ち抜いた。

そして、シャトーは―――爆発し、堕ちた。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「俺たちは、対価無しには明日を繋ぎ留められないのか・・・!」

クライムたちの犠牲をもって破壊されたチフォージュ・シャトー・

「投降の勧告だッ!!」

呆然とするキャロルに、エルフナインの言葉が刺さる。

『命題の答えは―――』

それを聞いた、キャロルの答えは―――破壊であった。

「今を蹂躙してくれるッ!!!」

その言葉に、ヒーローが怒りの拳を叩き付ける。

次回『託された想い』


「――――ふぅざけんなぁぁああぁぁぁあああああ!!!!」

オリジナル章はやったほうがいいか

  • バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
  • そんなことはどうでもいい!(どちらでも
  • 嘘を吐くな!(やるな
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