未「だけど、そこへ新たに現れた錬金術師キャロルに加え、世界の破壊を目論むデイブレイク社が私たちに襲い掛かり、そして今、最終決戦にもつれ込んでいるのでした」
響「いやー、ついにここまで来たよね~。ここまで来るのに長いのなんのって」
未「まるで最終回みたいに言わないで、まだまだあるんだからね?」
響「分かってるって!」
未「それにしても戦兎先生がいない状態で始めちゃったけどこれで合ってるのかな?」
響「大丈夫大丈夫!これも忙しい戦兎先生の為だと思って、ね?」
未「もう、響ったら~」
ニク「・・・」
ニク(単純に宿題を増やされたからその逆恨みに役割奪うのはよくないと思うぞマスター・・・)
クロ(アハハ!いたずらしたーい!)
ニク(今回は許す)
クロ(やったぜ)キラリーン☆
未「ん?クロどうしたの?響に近付いて―――」
クロ「キュルル!」
響「アァァァアア!!!み、耳に噛みついてきたぁぁあ!!」
クロ「ピッ」『サプラァァァイズ!!』
響「ギャァァアアア!!な、なんだか知らないけど魂が逃げろと叫んでいるぅぅぅうう!!」
未「ああ!響どこ行っちゃうのぉ!?」
ニク「キュイ」
未「え?あ、それではシンフォギア・ビルドGX第二三話をどうぞ!響!待ってぇー!」
マ「・・・・え?待って、私の誕生日は!?」
シ「安心しろマリア」
マ「え?それってどういう・・・」
『マリア誕生部おめでとう』という横断幕を広げる慧介とシン、そしてクラッカーをならず調と切歌にケーキを運ぶウルフと拍手をするセレナ。
マ「皆・・・ありがとう・・・!!」
シ「というわけで本編をどうぞ。俺たちは勝手に誕生日会をやらせてもらう」
―――世界が、元に戻っていく。
「―――あぁぁぁぁあぁぁああああ!!!」
S.O.N.G本部にて、セレナの悲痛な声が響く。
「マリア姉さん・・・切歌さん・・・調さん・・・シンさん・・・ウェル博士・・・ウルフ・・・あ、あぁぁぁあ・・・!!!」
目の前のボードを叩き、セレナは自分の非力さを嘆く。
「・・・・分解領域の収束を観測・・・」
藤尭が、そんなセレナを気遣う様に、小さな声でその事実を告げる。
世界は、救われたのだ。
―――六人と一匹の犠牲をもって。
「俺たちは、対価無しには明日を繋ぎ留められないのか・・・!」
弦十郎は、そう、悔しがるようにそう呟いた。
シャトーが、堕ちる―――
真下のビルに突き刺さり、その窓ガラスを纏めて砕いて、シャトーが、堕ちる。
その光景を、キャロルは茫然と見上げる。
「シャトーが・・・託された命題が・・・」
その瞬間を目の当たりにしながら、装者たちの目には、涙が流れていた。
仮面ライダーたちも、その仮面の奥を歪めながら。
「みんなぁ・・・!」
「なんでだ!?くそったれ・・・!」
「マリアさん・・・あ・・ぁぁ・・・!」
「クソがァ!!」
「ぐ・・・ぅう・・・!!」
「馬鹿だろ・・・お前ら皆馬鹿だろッ!!」
「うわぁぁあぁああ!!」
翼が、その手の剣を叫びのままに地面に突き立てる。
そして、溢れ出る感情のままに、翼はキャロルを指さして怒鳴りながら告げる。
「投降の勧告だッ!!貴様が描いた未来は、もう瓦礫と果てて崩れ落ちたッ!!」
それが、あのシャトーの姿。
「・・・・未来?」
『もうやめよう・・・』
茫然とするキャロルに、エルフナインが念話をもって話しかける。
その声は、酷く弱々しかった。
『お願いキャロル・・・こんなこと、僕たちのパパはきっと望んでいない・・・!火炙りにされながら、世界を知れと言ったのは・・・僕たちにこんなことをさせる為じゃない・・・!』
「そんなの分かっている!!」
キャロルが、泣き叫ぶように怒鳴り返す。
「だけど、殺されたパパの無念はどう晴らせばいいッ!?パパを殺された私たちの悲しみは、どう晴らせばいいんだッ!?パパは命題を出しただけで、その答えは教えてくれなかったじゃないか!!」
『それ・・・は・・・・』
もはや、まともに答える力すらもないエルフナイン。そんな、彼女たちに、一人の男の声が聞こえた。
『・・・君たちのお父さんは、何か、大事な事を伝えたかったんじゃないか?』
その声に、キャロルは目を見張る。
『命がけの瞬間に出るのは、一番伝えたい言葉だと思うんだが・・・?』
その言葉の真意とは、一体なのか。
『・・・錬金術師であったパパが、一番伝えたかったこと・・・』
その言葉を、エルフナインは読み返す。
「ならば真理以外にありえない」
自身の意識を、エルフナインの体に投影、幻影として敵陣に投影する。
『・・・錬金術の到達点は、万象を知ることで通じ、世界と調和すること・・・』
「ッ・・・調和だと?パパを拒絶した世界を受け入れろというのか!?言ってない!パパがそんなこと言うものか!!」
キャロルは、その言葉を否定する。しかし―――
『・・・だったら代わりに回答する・・・ッ!』
力強い、その言葉の次に紡がれたのは―――
『―――命題の答えは、『赦し』』
その言葉が、キャロルに突き刺さる。
『世界の羞恥を赦せと、パパはボクたちに伝えていたんだ・・・!』
その言葉に、キャロルは動揺を隠せない。
その最中で、投影した視界の先で、エルフナインが吐血する。
『君!』
視界を、戻す。目の前にあるのは、壊れて使い物にならない、城。
「・・・チフォージュ・シャトーは大破し、万象黙示録の完成という未来は潰えた・・・」
乾いた笑いが、キャロルから零れる。
その様子に、彼らは見上げる事しか出来ない。
目を閉じたキャロル―――だが、次に目を開けたキャロルが言い出したことは―――
「ならば―――過去を捨て、今を蹂躙してくれるッ!!!」
「なっ―――!?」
その言葉に、一同は驚く。
振り返ったキャロルから、何か、オーラのようなものが溢れ出る。
『だめだよ!そんなことをしたら、パパとの思い出まで燃え尽きてしまう!』
キャロルの体から溢れ出るオーラのようなもの、それは、過剰に燃料として償却している『思い出』のエネルギー。
ありったけの思い出を錬成し、戦う力へと錬成しているのだ。
「キャロルちゃん、何を―――」
「復讐だ!!」
次の瞬間、キャロルから魔弦が放たれ、一同を纏めて吹き飛ばす。
「「「うわぁぁあぁあ!?」」」
吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる一同。
「もはや復讐しかありえない・・・」
この数百年の想いを踏み躙られ、父親の仇が討てないというのなら、もはや彼女に残っているのは、父親を殺されたことに対する憎しみしかなかった。
その身に残った『思い出』の何もかもを燃やし尽くし消滅させてでも、キャロルは、力の続く限り、破壊の限りを尽くすだろう。
そんな―――そんなこと―――
「――――ふぅざぁけんなぁぁああぁぁぁあああああ!!!!」
―――
ホークガトリングからラビットタンクへとフォームチェンジを果たしたビルドが、真上からキャロルを強襲する。
「無駄だァ!!」
キャロルが魔弦をもって、ビルドの進行を食い止める―――だが、魔弦はいとも容易く引き千切られた。
「な―――」
そして、ビルドの右拳が、キャロルの顔面に突き刺さった。
そのままビルドは、キャロルを殴り飛ばす。
地面に叩きつけられて、キャロルは、今起こった現象に混乱していた。
「馬鹿な・・・ダウルダブラの弦を、引き千切るなど・・・!?」
着地したビルドが、キャロルにむかって飛ぶ。ホップスプリンガーで飛び、そのままもう一度、キャロルに右拳を振りかざす。
そして、魔弦で反撃してきたキャロルの一撃を、右足裏の『タンクローラーシューズ』の足裏にある無限軌道を、地面につけると同時に回転、それによって加速した蹴りでまとめて引き千切りながら一回点して、そのままキャロルの顔面を再び殴り飛ばす。
「がぁぁああ!?」
そのまま壁に叩きつけられるキャロル。
「復讐だと?父親の想いを聞いて出した答えがそれかァ!?」
再び、右拳で殴るビルド。
今度は、腹に拳が突き刺さる。
「がはっ―――!?っ!何が悪い!」
ビルドの眼前に手をかざし、そこから黄金の風を巻き起こし、ビルドの顔面を打ち据える。
そのまま吹き飛ばされるかと思いきや、突き出された右手を、ビルドは左手で掴んで踏ん張る。
「なっ!?」
「そこまで父親の想いを踏み躙りたいのか!?」
再び、右拳が突き刺さる。
ビルドが、キャロルを圧倒している。
強化フォームでもない、ハザードトリガーを使ってすらいない。
基本形態である『ラビットタンク』で、ビルドは、キャロルを圧倒していた。
「一体、何が・・・」
その最中で、彼らは気付く。
ビルドから、黄金のオーラが溢れ出ている事に。
「あの光は・・・」
「楽しいか!?父親が知れと言ったこの世界を壊すのが、そんなに楽しいか!?」
ビルドの
その最中で、キャロルは何度も何度も自身の錬金術をビルドに叩きつけている。
それでも、ビルドは止まらない。
「ぐっ!?・・・世界を赦すことを、お前の父親が出した命題を、お前の父親との思い出すらも、全てかなぐり捨ててまで、世界を壊したいのか!?」
「ッ!?ああ、そうだ!」
弦で作り上げたドリルが、ビルドの脇腹に突き刺さり、火花を散らす。
「ぐあぁあぁぁあああ!?」
「パパは世界に殺された!救ったのにも関わらず、奴らは、世界はパパを殺したんだ!その世界に復讐して、何が悪いんだ!?」
「ァァア―――お前の親父さんが救った世界だろうがッ!!」
「ッ!?」
また、右拳が突き刺さる。
「救ってみせたんだろ!?大勢の人々を、病気に苦しんだ人々を、確かにその手で救ってみせたんだろ!?他の誰でもない、お前の親父さんがッ!!」
「黙れ・・・あぐッ!?」
アッパーカットが炸裂する。
「大勢の人に、奇跡と切って捨てられ、魔女として処刑されたかもしれない。それでもお前の親父さんがやったことは、他のなんでもない、誰かを救って、誰かを助けた、紛れもない、希望をもたらしたんじゃないのか!?」
「黙れ・・・ぐふっ!?」
ボディーブローが突き刺さる。
「その親父さんの志を継がないで、お前の勝手な都合で、全部壊すっていうのか!?」
「黙れぇぇええ!!」
キャロルが、がむしゃらにビルドを殴る。
「お前に何が分かる!!パパを殺されて、途方に暮れて、それで行き着いたのがこの方法だ!これしかなかった!オレには、この道以外選ぶことが出来なかった!!だって、奴らは、パパがしたことを、『奇跡』と言って切って捨てたんだ!!」
風がビルドを貫く。
「オレは許さない!!パパを殺したこの世界を!
キャロルの一撃が、ビルドの顔面に炸裂し、左目の複眼が砕け散る。
「戦兎ぉぉおお!!!」
その光景に、翼は思わず声を挙げ、駆け寄ろうとするも、それをクローズに手で制される。
「万丈・・・?」
「うおぁ!!」
複眼を破壊されても、ビルドは踏み止まる。そして再び、キャロルを殴り飛ばす。
「悪いがここは戦兎に任せた方がいいなァ」
グリスが、そう呟く。
「カズミンさん・・・?」
「桐生戦兎の親父は・・・葛城忍は旧世界では、ロストボトルの研究に着手していた男だ。そして、エボルトを倒す機会をずっと伺うために、敵として俺たちの前に立ちはだかった」
それは、知っている。その時の戦兎の表情も、その時の雰囲気から察した気持ちも、全部わかっている。
そして、その父親の最後の瞬間も―――
「ジーニアスフォーム。あれは、怒りだけじゃ絶対ぇ起動しねぇ力だ。あいつは、親父をエボルトに殺されて、一度、怒りのままに力を使おうとしたことがある」
「桐生が・・・」
あんなに優しい戦兎が、怒りの感情で戦おうとしていた。それは、今でも信じられないことだ。
「だけど、アイツは知ったんだ。怒りだけじゃジーニアスは使えないって。それを、親父さんが残した、ハザードトリガーから学んだんだ」
複眼を砕かれても、ビルドは、キャロルを殴り続ける。
その複眼から見える眼光を、真っ直ぐにキャロルに向けながら。
「だからあいつは、怒りで親父さんの想いを踏み躙ろうとしているキャロルを止めようとしてるんだ。同じ過ちを、してほしくないから・・・」
ビルドの拳が、再び突き刺さる。
「お前の親父さんが残したのは、希望だろうがっ・・・!!」
その胸倉をつかみ、眼前にキャロルの顔をもっていく。
そして、至近距離からキャロルを睨みつける。
「治らない病気じゃないって、決して助からない訳じゃないって、証明してみせたんだろ!?」
「だけどそれを奴らは『奇跡』と切って捨てた!」
「だったらそれをお前が『必然』だって証明してみせろよ!」
「出来たらそうしていた!だけど出来なかった!」
「だから諦めたのか!?親父さんの『意志』を、諦めたのか!!」
「だって、だって、あの時
「今こうして力をつけただろ!?その力で、なんで父親の無念を晴らそうとしなかったんだ!?」
「それは、それはぁ・・・!!」
どんどん、言い返すことがなくなっていくキャロル。
「助かるって、救われるって、例え奇跡でも、救われるって、『希望』の光を見せてみたんだろ!?だったらお前がその『希望』を継がなくてどうするんだよッ!!」
ビルドの叫びに呼応するように、ビルドの体から溢れ出ていた黄金の光がベルトに装填されているラビットフルボトルに収束する。
そして、そのボトルが黄金に輝く。
「ボトルが・・・」
「変化して・・・」
それだけに留まらない。
ビルドの装甲―――ハーフラビットアーマーが、一気に黄金に輝きだす。
「これは・・・!?」
「キャロル、歯ァ食いしばれ」
ビルドの右拳が、握り締められる。
「今からお前に叩きつけんのは、俺の想いだ。俺が父さんから継いだものだ・・・それを今からお前に見せてやるッ!!」
ハザードレベル7―――それを超えた、ハザードレベル…――――
ビルドの黄金の拳が、キャロルに突き刺さる。
そのまま、キャロルは、殴り飛ばされ、宙を舞った。
「が・・・は・・・」
そして、キャロルは、倒れ伏し―――ビルドに敗北した。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
黄金に輝いていたラビットアーマーが、元の赤に戻っていく。
「う・・・うぐ・・・ぁぁ・・・・!!」
倒れ伏すキャロルは、涙を流して泣いていた。
「・・・お前のその錬金術は、親父さんから教えてもらったものなんだろ・・・」
ビルドが、倒れ伏すキャロルに語り掛ける。
「だったら、それに込められた親父さんの想いを次いで、生きていくしかないだろ・・・どんだけ苦しくても、悲しくても、たった一つだけの親父さんの想いを胸に生きていくしかないだろ・・・」
「だ・・・けど・・・パパは・・・オレに、世界を・・・」
「世界を識るなんて、いつだって出来るだろ。方法もいくらだってある。それに、世界を壊しても、世界という概念そのものを知ることなんて出来ない。そこに生きるもの全てを、そこにある文明も、力も、醜さも美しさも、全てから目をそらさずにまっすぐ見つめて、少しずつ知っていけばいいだけの話だろ。お前は、俺たちと違って、長く生きられるんだからさ・・・」
キャロルの前で、ビルドは膝をつく。気付いてはいたが、ビルドの足は、キャロルと戦っている間もずっとがくがくと笑っていた。
キャロルの攻撃が、効いていなかった訳じゃないのだ。
ただ、無理を押し通してでも、伝えたかったことがあった。
「もう・・・お前は一人じゃない・・・一人で抱え込む必要なんてどこにもない・・・いくらだってやり直せる・・・だって、人間ってのはそういうもんだろ・・・自分の過ちを、二度と繰り返さないように頑張れる・・・それが、人間だ」
手を差し伸べる。
「俺たちが、一緒にやってやる。醜い所も、良い所も全部、一緒に識ってやる。だから・・・」
「・・・・」
その手に、キャロルは上体を起こし、そして、自然と手を伸ばして――――
ビルドが何者かぶっ飛ばされる。
「なっ・・・!?」
「ぐあぁぁあぁああ!?」
それにキャロルは驚愕。ビルドはそのまま吹っ飛び、装者たちの間を抜けて背後のビルに叩きつけられる。
「戦兎ぉ!」
変身解除されて倒れ伏す戦兎に、翼が駆け寄る。
「戦兎!しっかししろ、戦兎!」
「ぐっ・・・ぁ・・・一体何が・・・!?」
どうにか起き上がって、自分を吹き飛ばした者を探す。
「何が・・・」
「君には失望したよ」
キャロルは何が起きたのか分からず、突如として背後から聞こえてきた声に、キャロルは振り返る。振り返ろうとする。
だが、突如としてキャロルを囲うように出現した術式がキャロルを束縛。
そして―――突如としてその意識をなにかが塗りつぶしかける。
「ぐ、あぁぁあぁぁあああ!?」
「キャロルちゃん!!」
響が駆け寄ろうとする。しかし、そこに何者かが立ち塞がる。
「貴方は・・・!?」
そこに立っていたのは、ファウストアーマー『ルシファー』を纏うリカルド・ダスト・クレイザーだった。
「クレイザー、貴様・・・!!」
キャロルが、術式の中でそう呻く。
「もはや貴方は用済みです。世界の分解に失敗し、なおかつ仮面ライダーに敗北、そしてあまつさえ、彼らの手を取ろうとした。我々が貴方に協力する理由はもうすでにない」
「もとより・・・そうでは・・・なかっただろうが・・・!!」
「ええ、その通りだ。だが、貴方という逸材を、このまま敵の手に落としておくわけにもいかない。故に、使ってあげるという事です」
「何を・・・ぐ、ぁぁぁあぁあああ!!?」
キャロルの体に、黒い何かが這いずり回る。
「キャロルちゃん!・・・ッ!キャロルちゃんに何を・・・!?」
「悪魔、というものをご存知ありませんか?」
突如としてリカルドが語りだす。
「悪魔、とは、悪を象徴する超越的存在を表す言葉であり、また、キリスト教においては魔王サタンのことを指し、神を誹謗中傷し、人間を誘惑する存在でもある・・・」
「何が言いたいんだよテメェ!!」
怒鳴るクリスに、リカルドは仕方がないとでも言うように首を振る。
「彼女にはその悪魔を憑かせてもらった。悪魔憑きというものさ」
「「「ッ!?」」」
それに、一同は驚愕する。
「これによって、彼女は意識を塗り潰され、あとはその身滅ぶまで暴れる殺戮兵器へと変わり果てる・・・良かったではないか、これで彼女の望みは達成される」
「ふざけんな!何が望みだ。そんなもの、ただの支配となんら変わらんっ!!」
「支配だと?彼女は復讐を望んでいた。それを叶えてやろうとしているのだ。一体何が悪いというのか」
翼が喰ってかかるも、リカルドは理解できないとでもいうように言い返す。
「貴様・・・!!」
「許さない・・・」
その時、普段からは信じられないかのようなほど低い声が、響から発せられる。
「響・・・」
「キャロルちゃんの想いを・・・キャロルちゃんの苦しみも知らないで・・・何が望みをかなえてやるだ!!」
「君こそ、本気でありとあらゆる人間と分かり合えると思っているのか?その拳で、多くのものを殴り砕いてきたというのに」
「確かに、拳でぶん殴って解決できることは、簡単な事なのかもしれない。だけど、この拳で救われた人は確かにいるんだ!戦兎先生が、その拳でキャロルちゃんを止めて見せたように!!」
「あ・・・あぁぁぁあぁぁぁああああ!!!」
黒い何かが、キャロルを取り込む。
術式が消え、そこから出現したキャロルは、まさしく正気ではなかった。
「祝え!!今ここに、破壊の名を冠し、激怒と情欲の魔人にして七つの大罪が一つ『色欲』を司る悪魔が降臨なされた。その名も、『アスモデウス』!」
リカルドが手を振り上げ、祝言を放つ。
「此度の浄化は諦めるとしよう。だが、君たちの存在はいずれ我々の脅威と成りえる。だから今ここで排除させてもらうよ」
「そう簡単に排除できると思うなゴラ」
「貴様のような奴は生かしておけない・・・」
グリスとローグが、怒りを滲ませた声で、そう言い返す。
「心火を燃やして―――ぶっ潰す」
「大義の為の―――犠牲となれ」
戦兎が、立ち上がる。
「行くぞ万丈っ・・・!!」
「おう、当たり前だ!」
戦兎の手には、ハザードトリガーとフルフルラビットタンクフルボトル。
クローズの手には、クローズマグマナックル。
その最中で、響はイグナイトモジュールに手をかける。
「イグナイトを使う気か?」
「もちろんだよ」
クリスの言葉に、響は頷く。
「だって、そうでもしなきゃ、キャロルちゃんを助けられない!!」
「同感だ」
「私も、キャロルちゃんを助けたい・・・!!」
「ったく、しゃあねえなぁ・・・」
四人が、イグナイトモジュールに手をかける。
「あ、未来はちょっと待った」
「え?」
そこでふと、戦兎からストップがかけられる。
「お前のイグナイトモジュールは、呪いと浄化の中和反応によって引き起こされるエネルギーで力をブーストしている。それがある以上、
「じゃあどうすれば・・・!?」
「・・・他の奴らよりかなりきつい事になるが、大丈夫か?」
その戦兎の覚悟を問う視線に、未来は躊躇いなく答える。
「私の力で、救えるなら―――ッ!!」
「上等だ!!クロ!イグナイト・カオスモード起動!!」
戦兎がそう叫ぶと、未来の目の前に英字の文字列が並びだす。
『
「いいぞ!」
「この力は、エルフナインちゃんがくれたものだ!だから、疑うものかァ!!」
響の叫びと共に、彼らは抗うための力を発動させる。
『マックスハザードオンッ!!!』
『ボトルバーン!!!』
ハザードトリガーを起動、ドラゴンマグマフルボトルをマグマナックルに装填し、そしてビルドドライバーに装填する。
『ラビット
『クロォーズマァグマ…!!』
二人がボルテックレバーを回すと同時に、響たちが、スイッチを
「イグナイトモジュール―――「「「
三段階のセーフティロック、その二段目までを解放。
それによって、一段目とは比べ物にならない力の代わりに、凄まじい負荷と、999.99カウントの減少が加速する。
『DAIN.DAINSLEIF』
だが、今の彼女らにとって、そんなことはどうでも良い。
今はただ、救いたいのだ。
『Are You Ready!?』
「「「「「「変身ッ!!」」」」」」
戦兎がハザードビルダーに挟まれ、クローズがマグマライドビルダーから溢れ出たマグマを浴び、装者四人が、その身に黒き呪いを纏う。
フェイズ『ニグレド』から、『アルベド』へとシフトチェンジを敢行。
『オーバーフロウッ!!』
『紅のスピーディージャンパーッ!!!』
『ラビットラビットッ!!!』
『ヤベェーイッ!!!ハヤァーイッ!!!』
『極熱筋肉ゥッ!!クロォォォズマグマァッ!!!』
『アーチャチャチャチャチャチャチャアッチャァァアアッ!!』
『MODULE Start Up!Let's Saver!!』
救え、と、今まで自分たちを支えてくれたシンフォギアたちが叫ぶ。
ならば、と彼女たちは、咆え歌う。
「始まる歌―――」
「始まる鼓動―――」
「響き鳴り渡れ―――」
「希望の歌―――!!」
「リカルドォォォオオオ!!!」
絶叫、そのまま響とビルドが先陣を切る。
「アァァアァァアア!!!」
キャロルが放つのは、自らの思い出を全力償却して放つ錬金術。
その一撃を、再び黄金の光を纏ったビルドが『アルティメットマッチブレイク』で相殺。
そのビルドが切り開いた道を、響が突破、キャロルに一撃を浴びせようと拳を振るう。
しかし、障壁術式がその拳の一撃を阻む。
(だったら――――ッ!?)
しかし、その時、隣のビルの壁が赤熱。それに嫌な予感を感じ取った響は、解放したフェニックスブレイズの炎で後ろに飛ぶ。ビルドごとその莫大な『熱』から逃れる。
「なんだァ!?」
クローズが叫ぶ。
溶けて空いた穴から現れたのは、一人の、騎士風の白装束を纏った男。
形の整ったヒゲ、弦十郎より巨大な巨躯。無手にして、その身から信じられないほどの熱量を放つ、その男は―――
「紹介しよう。彼こそが我が部署最強の男―――『グラント・マルフィー』だ」
リカルドの隣に立った男に、リカルドはそう紹介する。
その男、リカルドはにやりと笑う。
「はっ、真打登場ってわけかよ!」
「戦兎!あいつは俺がやる!だからお前は――――」
「ああ、キャロルを止める!」
クローズが、グラントの前に立つ。
そのクローズを、見下した様子でグラントは笑う。
「『竜』に勝てると思っているのか?人間」
何か、訳の分からない事を言っている。
「はあ?お前も人間だろ何言ってんだ?」
「否、俺は脆弱な人間などではない。全ての生物の頂点に君臨する『竜』である」
「何滅茶苦茶な事言ってんだ!」
クローズが駆け出し、万物全てを溶かす拳をグラントに叩きつける。
しかし、グラントはびくともしない。
「なっ!?」
「無駄だ」
次の瞬間、クローズの姿が消え、その横の壁が砕き散る。
「なっ!?」
その光景に、彼らは絶句する。
クローズが殴り飛ばされた。それはわかる。だが、何よりも目が言ったのは、グラントの腕。
腕が、肥大化し、黒く、異形の形となっていたからだ。
「なんだよそりゃ・・・」
「言ったであろう。『竜』であると」
「どうやらお世辞じゃないらしいなァ・・・!」
次の瞬間、ビルの空いた穴のすぐ横が吹っ飛ぶ。
「だァ!!いってえなゴラァ!!」
そこからクローズが『ボルケニックモード』全開で出てきた。
「戦兎、奴は俺たち三人でどうにかする!」
「分かった!」
クローズとグリスとローグ。その三人がグラントに向かって突撃する。
その間にも、響と未来がキャロルと激しく打ち合っていた。
だが、その間に未来は苦悶の表情を浮かべていた。
「未来、大丈夫!?」
「大丈夫・・・でも、これがカオスモード・・・!?」
呪いと凶祓いを相殺させた際のエネルギーで出力をブーストする未来のイグナイト。だがそれをあえてせず、呪いと凶祓いの双方の力を体内でスクランブル、わざと不純融合状態にして体内で暴れさせることで、呪いと凶祓いを両立させ、神獣鏡本来の力を呪いと共に引き出すイグナイト・カオスモード。
だが、戦闘力自体が飛躍的に上がる訳でもなく、本来の特殊性を取り戻すだけのこのモードは、未来の精神に、通常運用のイグナイトよりも二倍近い負荷をかける事になるデメリットの方が大きい力だ。
だが、それでも今の未来にとっては、そんなもの些細なものだった。
(こんな苦しみ、今のキャロルちゃんの苦しみに比べたら・・・!)
「ウ・・・ガ・・・ァァァアアアァァアア・・・!!!」
シンフォギアの暴走に近い状態になっているキャロルを止める為であるならば、未来は自分の体の中を荒れ狂う破壊衝動を抑える事など造作もなかった。
そこへ、キャロルに向かってクリスのガトリングガンが襲い掛かる。
「援護してやる!だからそのまま―――!!」
そのクリスの言葉にうなずき、響は拳を握りしめ、未来はその手の鉄扇を握り締め、キャロルに立ち向かう。
その一方、翼はリカルドと一騎打ちを敢行。
リンクスアームズ『スカイスプリング』によって攻撃速度と一撃の重さ、そして移動速度が飛躍的に強化されている翼だが、それでもリカルドの猛攻に防戦一方だった。
「もっとだ、もっと負荷を上げろ!」
アメに向かって、翼はそう指示する。
バネの強さを強化することで、一撃の重さと反動による加速を上げようとしているのだ。
だが、それでも―――
「遅いね」
「あぐっ!?」
盾でぶん殴られて、翼は地面を転がる。
「いくらイグナイトを使っても、それでも君は私には届かない」
「くぅ・・・」
「ちなみに、私は始めに桐生戦兎たちと戦った時は、僕は微塵も本気を出してはいない」
「なんだと・・・!?」
あの時、ビルドの持つ最大の力であるラビットラビットとタンクタンク、そしてクローズのマグマの力をもってして、やっと倒せたリカルド。それに一人で勝てるとは思っていなかったが、まさか、まだ本気とは思ってもみなかった。
だが、だとしても―――
「ここで貴様を食い止める・・・!!」
父の想いを踏み躙るこの男を赦すことは出来なかった。
「ウォォオオオ!!」
クローズの拳がグラントの顔面を打ち据える。だが、そのグラントの頬が黒く変色したかと思えば、すぐさま反撃の拳がクローズを打ち据え、建物に叩きつけられる。
「ご・・・っぁ・・・!?」
一瞬、意識が消し飛ぶ。
だが、すぐさま意識を取り戻せば、クローズはすぐさま『ソレスタルパイロウィング』を広げて飛翔する。
その間、グリスとローグが両側から強襲するが、それすらも弾き飛ばされる。
「「ぐあぁぁぁあ!?」」
とてつもない防御力、振れば人が紙吹雪の如く吹き飛ぶ拳、何をとっても強力過ぎる。
「くそ、化け物かよ・・・!」
「我をまだ人とするか。何度も言っているだろう。我は『竜』であると」
「だったらこいつはどうだァ!!」
クローズがボルテックレバーを回す。
そして、グラントの懐に飛び込むと、両拳ですさまじいラッシュを叩き込む。
『ボォルケニックフィニィッシュッ!!!』
「オラオラオラオラオラオラオラァァァアァアアア!!!」
激しいラッシュが、グラントに何度も拳を叩きつける。
「フハハハ!!」
「ッ!?」
だが、そのラッシュを受けても、まるで心地いいとでも言う様にグラントは笑う。
「無駄無駄無駄ぁ!いくら汝がマグマの力を宿していても、我はそのマグマで水浴びをする『竜』であるぞ!」
次の瞬間、クローズが再びぶっ飛ばされる。
「龍我ぁ!」
殴り飛ばされるクローズ。
「ぐぅ・・・げほっ、ごほ・・・!?」
地面に倒れ伏すクローズ。
「打つ手なしなのか・・・!?」
「っざけんな!まだだ、まだ手は残ってる!!」
ローグにむかって、グリスはそう叫んだ。
キャロルが展開する障壁術式に対して、響、クリス、未来、ビルドが激しい猛攻を叩きつける。
出力に任せた力押し。だが、それでも思い出を全力償却しているキャロルには遠く及ばない。
さらに、取りついている悪魔の力も重なって、暴走しながらもまるでイグナイトの如く制御しているキャロルの力は凄まじいものだった。
「ウガァァアアァァアアア!!!」
「うわぁああ!?」
「ぐあぁぁあ!?」
ラッシュを叩き込んでいた響とビルドが吹き飛ばされ、その二人を光線で攻撃していた未来が受け止める。
「イグナイトの二段階励起だぞ!?」
それでも、まだ届かないとでも言うのか。
先ほど、ビルドの力は確かに届いていたというのに。
「ッ・・・ア・・アァァアア!!」
キャロルが、悶えるように声を漏らす。
「キャロルちゃん・・・!?」
しかし、その時、キャロルの口から、一定のリズムで奏でられる言葉が発せられる。
歌だ。
「――嗚ア、終焉への
「さらに出力を!?」
「一体どれくらいのフォニックゲインなんだよ・・・!?」
その時、ビルドがリカルドに向かって駆け出す。
「翼、交代だ!」
「分かった!!」
翼とビルドが入れ替わり、今度はビルドがリカルドと切り結ぶ。
「いいのかい?今のキャロルから目を離して?」
「狙っていたのはこの瞬間だ!」
装者たちが、胸のマイクユニットに手を駆ける。
そこにあるのは、三段階の最後の
「抜剣!
「「「「―――
叫び、最後のロックを解除する。
『DAINSLEIF』
アルベドから、最終フェイズ『ルベド』へとシフトする。
その直後に解放されるキャロルのフォニックゲイン。それを、装者四人が響を先頭に真正面から迎え撃つ。
激しく鬩ぎ合い、激突する二つのフォニックゲイン。
「イグナイトの出力で捻じ伏せてェ・・・!!」
「吹き荒れるこのフォニックゲインを束ねてっ・・・!!」
「撃ち放つッ・・・!!!」
「S2CA―――テトラドブラストォォォオォオオオッ!!」
絶叫と共に放たれる、四つの歌声を束ねるS2CAが、キャロルのフォニックゲインを真正面から受け止める。
「ぐあぁあ!?」
ビルドが地面を転がる。
「しぶといねぇ。いい加減諦めて、ここで死んでくれると助かるのだがね」
ビルドが地面を殴り飛ばす。
「冗談じゃねえ・・・!!こんな所で、死んでたまるかッ!!」
ボルテックレバーを回すビルド。
「まだやんなきゃいけない事があるんだよォ!!」
『Ready Go!』
背中の『マフラビットアクセラレーター』に搭載された推進加速装置が作動。それによってビルドは地面を蹴り、音速を超えた超音速でリカルドに向かって飛び蹴りを放つ。
「いくぞお前らァ!!」
グリス、ローグがアクティベイトレンチを叩き下ろす。
『スクラップフィニッシュッ!!!』
『クラックアップフィニッシュ…ッ!!!』
『Ready Go!』
三人が飛び上がり、一点突破でグラントに向かってライダーキックを放つ。
『ボォルケニックアタァックッ!!アチャァア!!!』
その一撃を、グラントは真正面から受け止める。
だが、びくともしていない。
「「「ッ!?」」」
グラントが、笑う。
「ぐ、ぅぅううう・・・!!!」
S2CA、それも、四人分のイグナイトの戦慄と絶唱を束ねた力であっても、押し込まれていく。
「このままじゃ、押し負ける・・・!?」
イグナイトの最大出力であっても、勝てないとでも言うのか。
「・・・イグナイトの・・・最大出力は・・・知っテいル・・・っ・・・!!」
キャロルの言葉が、聞こえる。
「だからコソそノまま捨テ置いたのト分かラなかッたノカ・・・!!」
まるで、失望したかのような声。
「オレの歌は―――ただの一人デ七十億の絶唱ヲ凌駕する、フォニックゲインだぁァぁあッ!!!」
次の瞬間、キャロルの歌が放つ歌に押しつぶされ、装者四人とも、吹き飛ばされてしまう。
「「「「うわぁああぁぁあぁあああ!!!」」」」
その衝撃は、街を打ち貫き、まるで砂の城の如く街を砕く。
超音速で加速するビルド。だが、そのビルドに対して、リカルドは剣を構えた。
「少し本気を見せてあげよう」
次の瞬間、リカルドの手にある剣が謎の光を帯びる。それと同時に、足元の小石がかたかたと動き出し、とてつもない威圧感を放つ。
(なんだ―――)
ファウストアーマーの仮面の奥で、リカルドがほくそ笑む。
「見せてあげよう―――裁きの一撃を」
次の瞬間、その剣が降りぬかれ、そこから、翼の青の一閃のような、禍々しい光を放つ斬撃が飛ぶ。
『デビルソード』
その一撃が、ビルドの『ラビットラビットフィニッシュ』をいとも容易く吹き飛ばす。
「ぐあぁぁああぁぁあああ!?」
一点突破のライダーキック三連撃。だが、それを受けてもなんら効果がなかったグラントは、にやりとほくそ笑むと、その口元が黒く変色したかと思いきや、異形の口へと変化したその口を大きく開け、そして、クローズに向かって破壊の一撃を放つ。
『ドラゴン・ブレス』
その一撃は、いとも容易く三人の仮面ライダーを吹き飛ばした。
「「「ぐあぁぁあああぁぁああああ!?」」」
キャロルのフォニックゲイン、リカルドのデビルソード、グラントのドラゴン・ブレス。
その三つの破壊の力が、彼らを纏めて吹き飛ばす。
「が・・・か・・・」
「ぐ・・・くぅ・・・」
「あ・・・い・・・」
「ぐ・・・くそ・・・」
「くぅ・・・う・・・」
「あ・・・く・・・」
地面に倒れ伏す、装者とライダー。
「アァ・・・や・・・ハり・・・ダメ・・なの・・・カ・・・」
だが、それでも彼らは立ち上がろうとする。
「例え万策尽きたとしても・・・一万の一つ目の手立てはきっと・・・!!」
そう、響が呟いた時だった。
「「「―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――」」」
―――歌が、聞こえた。
「あ・・・」
そちらに視線を向けてみれば、黒煙が晴れた先に、彼らは、いた。
イグナイトモジュールを起動した、マリア、調、切歌と、アサルトクライムとタスクだった。
「「「―――Emustolronzen fine el baral zizzl―――」」」
「マリアさん・・・!」
「生きてたのか・・・!」
響とビルドが、うれしさに声を出す。
「約束だからな」
それに、クライムは答えた。
そして、崩れたシャトー内で起きたことを、思い出す―――
瓦礫に埋もれ、動けないでいた所を、突如として助け出してくれたものがいた。
「ジャック、しっかりして!」
紅蓮のような赤い髪と雪のように白い肌。見覚えのあるその容姿は、クライムの旧友のエリザだった。
「・・・エリザか」
瓦礫がなくなったお陰で、身動きがとれるようになったクライムは起き上がる。
「随分と元気そうね・・・」
「埋もれていただけで足を潰されたわけではないからな」
脚に挟まっていた瓦礫を殴り飛ばし、立ち上がるクライム。
「ふう・・・ん?」
ふと、エリザがクライムの前にビルドドライバーを差し出す。
「貴方のものでしょ?大事にしなさい」
「・・・すまない」
それを受け取るクライム。
「それよりも、マリアたちは」
「あ、あー、あの女狐ね。あっちはあっちで助かってるわよ・・・くそ」
「最後に何を言ったかは聞かなったことにしておく」
クライムはすぐさま周囲を見渡し、そこでクライムはマリア、調、切歌、タスクの四人を見つける。
「お前ら!」
「あ、シン!」
「無事だったんだ。よかった・・・」
すぐさま駆け寄るクライムだが、すぐ傍にウェルが瓦礫に埋もれている事に気付く。
「ウェル・・・!?」
「ぐ・・・ぅう・・・」
ウェルがうめき声を上げる。
「ドクターウェル!」
すぐさまマリアが駆け寄る。
「僕が守った・・・なにもかも・・・」
そこでウェルは、うわ言のように喋りだす。
「まさか、お前・・・」
シャトーを制御して、僅かな余裕を使って、マリアたちを瓦礫から守ったようだ。
丁度、一点に集まっていたから、マリアたちは助かり、しかし流石に離れていたクライムを助ける余裕はなかったようだ。
そのすぐ傍で、ウルフがやってくる。その装甲はところどころ歪んでいたが、動きに支障はないようだ。
「最後の最後でこの男に蹴り飛ばされた」
「そうか・・・」
随分と、粋な計らいをしてくれる。
「君を助けたのは・・・僕の英雄的行為を、世に知らしめるため・・・」
遺言のような・・・いや、実際に遺言なのだろう。
「さっさと行って、死に損なった恥を晒してこい!」
ウェルが、そう叱咤する。
「それとも君は、あの時のようなダメな女のままなのかぁい?」
「・・・・!」
そう言って、ウェルは、一枚のメモリを差し出す。
「愛、ですよ」
「何故そこで愛!?」
「シンフォギアの適合に奇跡など介在しない・・・!!」
戦兎が、ラビットフルボトルを選んだように、龍我の手に、ドラゴンフルボトルを手に入れたように。
響が、三年前のあの日、その胸にガングニールの破片を受けたように。
全てに、『奇跡』などない。
「その力・・・自分のものとしたいなら・・・手を伸ばし続けるがいい・・・!!」
それを、マリアは受け取る。
ウェルの乾いた笑い声が聞こえる。
それを受け取って、立ち上がり、ウェルは、腕を持ち上げる力すらないのか、手を地面につく。
「・・・マリア・・・僕は英雄になれたかな?」
「・・・ああ、お前は最低の――――」
ウェルから貰ったメモリをウルフに託し、本部に走ってもらっている。
『マリア姉さん・・・みんな・・・良かった・・・良かったぁ・・・!!』
無線から、妹の泣き声が聞こえる。
そしてどうにか生き残ったビルの上で、エリザ、アルフォンスがその戦いを見守る。
「見せてもらうわよ・・・シンフォギアと、仮面ライダーの力を」
「「「―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――」」」
七人の絶唱が、響き渡る。
翼を調が支え、クリスと未来を切歌が支える。
そして、響の後ろにマリアが立ち、全ての準備が整う。
「「「―――Emustolronzen fine el zizzl―――」」」
次の瞬間、キャロルのフォニックゲインが七人に襲い掛かる。
それを、響が真正面から迎え撃ち、マリアが支え、残り五人が補助する。
吹き荒れる歌の嵐。それを、自分たち七人の歌で受け止める。
「S2CA―――セプテットアドバンスッ!!!」
七重奏の名を冠する、S2CAで、今度こそキャロルのフォニックゲインを受け止める響。
「今度こそ、ガングニールで束ねッ!!!」
「アガートラームで制御ッ!!再配置するッ!!!」
それによって、受け止めたフォニックゲインを全ての装者に等しく分配、その力に施されたリミッターを順に解除していく―――それによってもたらされるのは―――
「それを見逃すと思うのかね?」
すかさずリカルドとグラントが再び『デビルソード』と『ドラゴンブレス』を放つ。
その威力で装者たちを吹き飛ばし、それを阻止しようという魂胆だ。
それに対し、仮面ライダーが必殺技で対抗。真正面から受け止める。
クローズの『ボルケニックナックル』が『ドラゴンブレス』を真正面から迎え撃ち、さらに『デビルソード』に対してグリスがツインブレイカー二丁の『ツインフィニッシュ』二連発に加えて『スクラップフィニッシュ』を重ねてロボット状のジェルをもって斬撃を受け止める。
そしてビルドはギリギリの所で『ラビットラビット』から『タンクタンク』へ変身。
そのまま『タンクタンクフィニッシュ』と『消しゴム』『掃除機』『ロック』『エンジン』の『アルティメットマッチブレイク』でクローズの『ボルケニックナックル』で爆散した衝撃を背後の装者に届かないように相殺。さらに威力を軽減させる。
そして、『デビルソード』に向かってタスクの『スクラップクラッシュ』、クライムの『アサルトアップフィニッシュ』、ローグの『クラックアップフィニッシュ』が『デビルソード』を受け止める。
激突する力の奔流。
それによって、ライダーたちの装甲に亀裂が入り、次々に爆風とともに砕き飛んでいく。
だが、それでも彼らは、一歩も引かない。
『希望』を繋げるために、『希望』を、『必然』の『奇跡』へと繋ぐために
マリアの左のガントレット、響の両のナックルが、形を変え、叩きつけられるフォニックゲインを受け止める。
「「ぐぅぅぅううぅぅぅううぅぅうううッ!!!」」
そのままキャロルの放つ、フォニックゲインを、一気に束ね、調律、制御、分配する。
「いい加減、崩れたらどうなんだっ!!」
リカルドとグラントの放つ斬撃と咆哮の威力がさらに増す。
それに、ライダーたちは思わず押される。
だが、それでも踏み止まる。
響のマフラーが、七色に輝く。
ビルドたちの持つボトルたちが、眩い光を放つ。
イグナイトのタイムリミットが迫る――――
キャロルが、その光景に、そっと手を伸ばす。
「最後の・・奇跡を・・・」
その光景を前に、キャロルは、塗り潰される直前の意識の中で、微かに唇を動かした。
「・・・た・・・す・・・け・・・て・・・」
変化したボトルを手に―――クローズが叫ぶ。
「今の俺たちは―――負ける気がしねぇぇぇぇえええ!!」
キャロルの放った、フォニックゲインを束ねて、今――――彼女たちは飛翔する。
「ジェネレイトォォォォオオォ――――ッ!!!」
「エクスドラァァァァァァァァァアイヴッ!!!」
巻き起こる七色の竜巻が、天を貫く。それによってもたらされるのは、天候の好転。立ち込めていた雲が吹き飛び、太陽の光が差し込む。
そこから現れたのは―――七人の戦姫。
純白に染まった戦装束を纏い、今、天より降臨したのだ。
そして、その装甲のほとんどを砕き散らしたライダーたちが、膝をつく。
その中で、割れた仮面の中から、その目を覗かせながら、戦兎は、光を見上げながら呟く。
「―――さあ、
次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?
「比嘉の戦力差を指折る必要もないであろう・・・!」
エクスドライブを成功させた一同。
「たかだかエクスドライブ如きで何を粋がっているのか」
しかしそれを見てなお嘲笑うデイブレイク。
「泣いてるぞ」
無理を押し通して立ち上がるライダーたち。
「これが私の裁きの力だ―――」
しかし、それでも絶大な彼らの力に、突如として一筋の光明が差し込む。
次回『最終決戦オーバードライブ』
「「―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――」」
次回の注意―――
次回、このご時世でめっちゃ不謹慎な名前がでます。
そのあたりについてはご了承ください。
オリジナル章はやったほうがいいか
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バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
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そんなことはどうでもいい!(どちらでも
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嘘を吐くな!(やるな