シ「だが、創造した新世界には、ノイズと呼ばれる特異災害が存在し、桐生戦兎は再開した仲間たちや、その世界で出会った風鳴翼たちシンフォギア装者と共に、ノイズの殲滅にあたり、そしてついに殲滅に成功した」
調「だけどそこで、新たな敵、錬金術師のキャロルとデイブレイク社が現れて、私たちに襲い掛かった」
慧「世界の破壊を目論む彼らを止めるため、俺たちは新たな力と共に、激しい戦いを繰り広げた」
切「そして、その戦いが終わったころ、戦兎先生はどこかに消えてしまったのデス・・・」
調「大丈夫、だよね?」
慧「まあしれっと帰ってくるでしょあの人なんだし」
マ「それもそうね」
シ「馬鹿と天才は紙一重ともいうしな」
慧「いやそれ関係ある?」
調「それにしても、戦兎先生よりの私か・・・」
慧「ああ、今やってるイベントな。それがどうかしたのかよ?」
調「いや、性格まで似なくてよかったな、って・・・」
切「確かに、調が戦兎先生みたいな科学者になるのは・・・ありデスね」
調「切ちゃん?」
慧「ああ、確かにそそるものがあるな」
調「慧くん?え?まって。そそるって何!?」
シ「慧介・・・お前、まさか被虐体質なのか・・・!?」
慧「違うわ!なんか、こう・・・涙目にしてやりたい感じがするんだよね」
調「慧くん!?」
切「イケナイいちゃいちゃするなら、アタシの見てない所でしてほしいのデス」
マ「いやどちらにしろダメよ!やるなら結婚してからよ!」
シ「マリアはどちらかというよ過保護だな」
調「私を置いていかないd」
マ「過保護にもなるわよ!だってこの子たちまだ子供なのよ!?」
慧「子供だからってなんだ!?今時の高校生は学校でセ〇〇スする時代なんだぞ!」
切「マジですか!?」
調「待ってそれどこの情報!?」
マ「だとしてもダメよ!」
シ「・・・長引きそうだな。というわけで、シンフォギア・ビルドGX編最終回を見ろ」
調「あ、ああ、慧くんが、そんな・・・あれ?これはゆめ?」
マ「ほらぁ!慧介が変な事いうから調が変にトリップしちゃったじゃない!」
慧「元々話題投入したのはマリアだろ!?」
―――後に『魔法少女事変』と呼ばれる戦いの決着から、七十二時間。
即ち―――三日の時が過ぎ去っていた。
「―――もう二度とコロナにはならねえ」
龍我が、病衣を纏い可変式ベッドに寄りかかりながらそう呟いた。
「それ何度目ですか・・・」
その傍らでは、同じように病衣に身を包んでリンゴの皮をむく慧介の姿があった。
「だってよ、一回変身しただけでこれなんだぜ?」
見れば龍我の足にはこれでもかと頑強なギプスがつけられていた。
「まあ、確かにそうですけど・・・常人より治りが速いんですからいいじゃないですか。俺なんて左腕がこんななんですよ?」
と、慧介は布でつられてギプスに包まれた自分の腕を見せる。
つまり、慧介は片手でリンゴの皮をむいてるのだ。なんと器用なことだ。
「まあ、カズミンも幻さんも似たようなもんだけどな・・・」
「そうだな」
「ああ」
見れば首を補助するバンドで首を固められた一海と全身を包帯で巻いた幻徳がそこにいた。
「最も怪我が小さいのはシンっていうこの事実・・・」
「ああ・・・」
あの戦いにおいて、最もダメージが少なかったのはシンだ。
無論、装者もほとんど軽傷。重傷なのはライダーたちの方である。
その中でもシンは比較的軽傷だということらしいが、それでも安静にしていなければならないというのが現状だ。
「俺がどうかしたか?」
そこへ、シンが病室に入ってくる。
「あ、シン」
頭に包帯を巻いたシンが、彼らの病室に入ってくる。
「調子はどうだ?」
「このままいけば、完治は間違いないってさ」
慧介はそう返す。
それを聞いて、シンは頷き、一度目を閉じ、間を開ける。
そして、意を決したかのように告げる。
「・・・桐生戦兎の捜索が打ち切られた」
あの戦いの後――――戦兎は行方不明になっていた。
爆発の後、無事が確認された装者とライダーたち。
だが、その中に戦兎の姿はなく、すぐさま皆で探し始めたが、あったのは元に戻ったアームドギアだけであり、戦兎の持つビルドドライバー、フルボトル、アイテムなど含めて、戦兎はその場から消えていた。
戦いの傷が癒えていないその状態での捜索は無茶だと判断され、装者とライダーたちはすぐさま病院に連れ出されることになる。
その時、最も暴れたのは翼であり、緒川が当身で気絶させることでどうにか事なきを得た。
それから三日。
あの爆発の中、自らもそのエネルギーを吸収し、炸裂させた為に、生存は絶望的とされ、それでも続けられた捜索であったが―――
「なんでだよ!?」
「これ以上の捜索は無理だと判断。続ければ危険が及ぶ可能性があり、やむを得ず、という事らしい」
淡々と告げるシンに、龍我は喰ってかかろうとするが、そもそも足のギプスが邪魔で動くことは出来ない。
「・・・個人的に捜索は続けるつもりだ。奴がこのまま死ぬなどありえない。それに、俺も奴には言わなければならない事があるんだ」
そう、シンは自身のジャケットを力強く握り締める。
「当たり前だ・・・」
龍我は、そう小さく呟く。
「・・・そういえば、キャロルはまだ・・・」
「ああ、まだ目覚めない」
保護されたキャロルは、未だ昏睡状態を保っていた。
医者の見立てでは、急激な思い出の償却による脳への負荷が原因とされているが、この三日間、起きる気配は一切ない。
「それに、懸念すべきことはもう一つあるだろう」
シンは、それでも淡々と、言えない誰かの為に言葉を告げる。
「・・・・今夜が山場だ」
「・・・来てくれて嬉しいです」
ベッドに横たわるエルフナインが、この病室に来てくれた者たちにそう、感謝の言葉を述べる。
「毎日、すみません」
そして、謝罪。
「夏休みに入ったから大丈夫」
「キュール!」
「夏休み・・・?」
「楽しいんだって、夏休み」
「クァ・・・」
「アタシたちも初めてデース!」
「ガブガブ」
「早起きもしなくて良いし、夜更かしもし放題なんだよ!」
「それは響のライフスタイル・・・」
「響さんらしいですね・・・」
「あんま変な事吹き込むんじゃねえぞ」
「キュイーン・・・」
「キュア・・・」
響のボケに苦笑する未来とセレナ、ツッコミを入れるクリス。心なしかイクスとバルも呆れている。
「夏休みではね、商店街でお祭りもあるんだ!焼きそば、綿あめ、たこ焼き、焼きイカ!ここだけの話、盛り上がってくるとマリアさんのギアからは盆踊りの曲が流れるんだよ」
その二人と二匹のツッコミを無視して響は根も葉もない事を言い出す。
「本当ですか?」
「本当な訳ないでしょ!?」
「バウ」
即刻否定するマリアと心外だとでもいうように鳴くラム。
「大体そういうのは私より翼のギアの方がお似合いよ」
言われて想像すれば容易であった。
「なるほどなるほど・・・皆が天羽々斬についてどう認識しているのか、よぉく分かった・・・」
それによって溢れる笑い声に、翼は眉をぴくぴくとさせながら、肩で飛び跳ねるアメを掴んで締め上げるのであった。
「ボクにはまだ知らない事が沢山あるんですね・・・」
笑いで零れた涙を拭い、エルフナインはそう言い出す。
「世界や、皆さんについてもっと知ることが出来たら、今よりずっと仲良くなれますでしょうか?」
「なれるよ!」
響が、即答してエルフナインの手を取る。
「だから早く元気にならなくちゃ!ね?」
その言葉に、自然を回りから笑みが零れる。
そして、エルフナインも自然と笑みを零した。
「じゃあ、また明日ね」
「ご機嫌ようデース!」
エルフナインの病室から出る一同。
扉が閉じた所で、ふと響が喋り出す。
「あー、私ちょっとトイレに・・・」
その言葉に、翼とクリス、そしてセレナは、その表情を曇らせるも、悟られないよう、言葉を紡ぐ。
「・・・そうか」
「へへっ・・・」
舌をちろりと見せた後に、響は、俯きながら走り出す。
「・・・行くぞ」
「え?戻ってくるのを待たないデスか?」
「いいのよ」
切歌の疑問に、マリアはそう答えつつ、踵を返して歩き出す。
「・・・・すまない」
その最中で、翼がぽつり、と口を開く。
「私は少し、寄ってから帰ることにする」
「・・・そう」
そう、笑みを浮かべる翼に、マリアは頷き、そして翼も響とは違う、別の通路へと向かった。
その事に、切歌と調は首を傾げる。
そんな二人の手を、セレナが取り、そして引っ張る。
「行きましょう」
「お、おぉお・・・?」
訳が分からないまま、連れていかれる切歌と調。
そして、そこに残ったのは、未来とクリスの二人だった。
―――水道から、水が流れる音がする。
そして、もう一つ、誰かがすすり泣く、声がする。
その、すすり泣く少女の背中を、未来は静かに見つめていた。
「・・・ごめん」
その未来に気付いた、響は、顔を上げないまま、そう謝った。
「私が泣いてたら、元気になるはずのエルフナインちゃんも、キャロルちゃんも・・・元気になれないよね・・・?」
あえて、恩師の名を伏せたのは、もし、の可能性を考えたくないが故か。
水道の水を止める。
洗面台に溜まった水。その水に、何度も波紋が広がり消える。
「世の中、拳でどうにかなることって・・・簡単な問題ばかりだ・・・!自分に出来るのが些細な事ばかりで・・・ほんとに悔しい・・・」
「キュイーン・・・」
あの時、確実にキャロルを救い出せていたならば―――あの時、己が拳を貫き通せていたのなら、きっと、今頃―――
「・・・そうかもしれない」
未来が、そっと握り締められた響の拳を包み込む。
「だけどね、響が正しいと思って握った拳は、特別だよ」
「・・・特別?」
その言葉に、響は首を傾げる。
「世界で一番優しい拳だもの。いつかきっと、嫌な事を全部解決してくれるんだから」
「未来・・・」
泣きそうで、既に泣いている響の顔が、さらに崩れ、そして響は、未来に抱き着いた。
「ありがとう・・・やっぱり未来は、私のひだまりだ・・・」
その言葉に、未来は静かに響を抱きしめ返す。
その様子を、リンク・アニマルたちは黙って見守っていた。
――――廊下をしばらく歩いていると、らしくない泣き声が、クリスの耳に届いた。
少し暗い、廊下の途中。そこに、壁に手をついてたたずむ翼の姿を見つけた。
「・・・先輩」
そう声を駆ければ、翼は、しばしの間をおいて、身動きせず応える。
「雪音か・・・すまない、こんな情けない所を見せて・・・」
「いえ・・・そんなこと・・・」
この時ほど口下手な自分を呪ったことはない。
上手く慰めの言葉が見つからず、どうすればいいのか分からなかった。
「・・・・戦兎の」
ぽつり、と翼が語り出す。
「戦兎の捜索を打ち切るって言われた時、本当は、すぐにでも気絶しそうだったんだ。でなければ、なりふり構わず、暴れてしまいそうで・・・」
見た目によらず、翼は乱暴な性格だ。
頑固で、一点張りで、それは彼女の今までの生き方を物語っているようで。
「今更・・・今更気付いた所で遅いというのに・・・!」
その言葉に、クリスは目を見開く。
「・・・先輩・・・まさか・・・」
翼が、涙に濡れた目で、クリスを見据えた。
「・・・戦兎が好きだ」
それが、翼が初めて自覚した想いだった。
そして、すぐに失笑する。
「無様だろう・・・失って初めて気付くなんて、間抜けにもほどがある・・・以前に一度、経験したことがあるはずなのに・・・!」
そう拳を握り締め、翼は、さらに涙を零す。嗚咽が漏れ、決して人前では見せないような弱みを、今この瞬間に隠しきれないでいた。
そんな、翼の涙を、クリスはそっと拭った。
「・・・ゆきね?」
「・・・信じよう」
クリスは、静かにそういった。
「まだ、死体も見つかってねぇんだ。だから、きっと帰ってきます。あの先公が、そう簡単に死ぬはずがねえって知ってるでしょう・・・」
「だけど・・・生存は、絶望的で・・・」
「先輩が信じなくてどうするんすか!」
翼の両肩を掴み、クリスは咆える。
「好きなんだろ!?あの先公のことが好きなんだろ!?だったら最後まで信じ抜くってのが筋なんじゃねえのかよ!!それとも、先輩の想いってのはその程度なのか!?」
「そんな訳ないだろうッ!!」
翼が、そう怒鳴り返す。
「戦兎が好きだ!大好きだ!そんな私の想いが、その程度の筈がないだろう!!」
言って、気付く。
ここは病院、こんな大声で叫んだら、迷惑以外のなんでもない。
しかし、それでもこの想いを叫ばずにはいられなかった。
だって、その程度だと思われるのが、我慢ならなかった」
「なら、それでいいじゃないですか」
掴み返したクリスの顔は、とても穏やかで、安心していた。
その表情に、翼は毒気を抜かれたように脱力し、そしてふっと笑う。
「はは、雪音にここまで手玉に取られるとはな・・・」
「何言ってんすか。想ってんのは先輩の方だろうが」
「だな・・・」
そう言って、翼は突然、クリスに寄りかかるように抱き着く。
「せ、先輩!?」
「すまない。だけど、今はもう少しだけこうさせてくれ・・・」
その翼の声に、クリスは何も言わず。
「・・・分かったよ」
ほんの少しの間だけ、翼の要求を聞き入れた。
―――深夜。
「はあ・・・はあ・・・」
弱々しい呼吸を繰り返すエルフナイン。
そんな、エルフナインの病室に、一人、何者かが入ってくる。
その何者かは、エルフナインに繋がれた計測器の前に立つと、じっとそれを見ていた。
その者を、エルフナインは見つめ、そっと、その名を呼ぶ。
「せん・・・と・・・さん・・・?」
そこには、服はボロボロで煤だらけなのに
「よ」
「帰ってたんですね・・・良かった・・・」
「それがよ、結構遠くまでぶっ飛ばされてな。地元の人に拾われて動けるようになったのが今朝。んでもって、ここまで来るのに何時間もバイクを走らせてきたってわけ」
「無事で、何よりです・・・」
そう、一安心するようにエルフナインは息を吐く。
「・・・そういや、アイツらどうだった?」
「元気・・・そうでした・・・でも、どこか無理をしていて・・・これじゃあ、だめ、ですね・・・」
そう、エルフナインは弱々しく笑って答える。
その言葉に、戦兎は拳を握り締めて、
「・・・そこにいるんだろ?」
そう、扉の方に視線を向けた。
そこに立っているのは―――
「キャロル・・・」
キャロル・マールス・ディーンハイムだった。
「・・・キャロル」
エルフナインの言葉に、キャロルはそう呟き。
「それがオレの名前・・・」
それは、全ての思い出を償却したが故の、当然の結末だった。
「記憶障害・・・思い出のほとんどを償却したばっかりに・・・」
キャロルが、ベッドの戦兎とは反対側の横に立つ。
「全てが断片的で、霞みがかったかのように輪郭が思い出せない・・・オレは、一体何者なのだ・・・?」
敵の策略に嵌り、踊らされていたが故の末路。
その結末は、あまりにも残酷過ぎた。
「ッ・・・」
その事実に、戦兎は思わず、顔を背ける。
「目を閉じると瞼に浮かぶお前なら、オレの事を知っていると思い、ここに来た」
「・・・君は、もう一人のボク・・・」
エルフナインは、記憶を失ったキャロルに、そう答える。
「オレは、もう一人のお前・・・?」
「ええ・・・二人で、パパが残した言葉を、追いかけてきたんです・・・」
その言葉に、キャロルは目を見開く。
「パパの言葉・・・そんな大切なことも、忘れて・・・」
「キャロル・・・」
キャロルは、エルフナインの前に膝をついて、懇願する。
「教えてくれ!こうしている間にもオレは、どんどん・・・!」
その、必死な様子のキャロルを見つめるエルフナイン。だが、突如として激しく咳き込む。
「お前!」
「エルフナイン!」
咳き込むエルフナインの口から、血が零れる。
もう、限界が近い。
「・・・・順を追うとね。一言では伝えられないです・・・ボクの体は、こんなだから・・・」
「オレだけじゃなく、お前も消えかけているんだな・・・」
エルフナインは、その言葉を聞き、天井を向く。
「・・・・うん」
そして、静かに肯定した。
この状況をどうにもできない戦兎は、ただその光景を見ていることしか出来ない。
だが、それでも手は出さなかった。
これは、二人だけの問題なのだから。
「世界を守れるなら、消えてもいいって思ってた・・・」
でも、と涙を流すエルフナインは続ける。
「今はここから消えたくありません・・・!」
そう、心の底からの想いを口にし、キャロルは、何か覚悟を決めたかのように目を閉じ、
「ならば、もう一度二人で――――」
そしてキャロルは、涙を流すエルフナインに―――その唇を重ねた。
それは、オートスコアラーたちもやっていた、『思い出』の吸収。
そして―――譲渡。
二人の手が、重なり合い、握り合い、そして―――燃える。
―――心臓が停止した。
その報告を聞きつけて、装者と、ライダーの中で唯一動けるシンは、すぐにエルフナインの病室へと向かった。
そして、中に飛び込んでみたものは―――一人の少女が、エルフナインが寝ていた筈のベッドの横に立っていたことだった。
「・・・キャロル・・・ちゃん・・・?」
茫然と、その名を呼ぶ響。
キャロル、と呼ばれた少女は、そのまま、何かを見渡すように首を動かし、そして―――
「―――ボクは」
振り返って、そう答えた。その瞳に、キャロルのような鋭さはなく――――エルフナインの柔和な眼差しがそこにあった。
そして、もう一人―――
「よっ」
その声に、翼は一瞬、息が詰まりそうになった。
その声がした方へ、顔を向けてみれば、そこには、一人の男が立っていた。
「ただいま」
何事もなかったかのように戦兎が、そう笑って言ってくる。
キャロルとエルフナイン、そして戦兎。
抱えていた三つの問題は、一片に解決したような場所で。
翼は戦兎に泣きつき、響はキャロルと一つになったエルフナインに抱き着く。
今、彼女たちが抱えていた全ての問題が解決した瞬間だった――――
数日後―――S.O.N.G本部、発令所にて―――
「・・・本当に、S.O.N.Gをやめるのか?」
「ああ」
弦十郎の言葉に、シンはそう答える。
弦十郎の前には、シンのビルドドライバーとスクラッシュドライバーが置かれていた。
ちなみに、スクラッシュドライバーはセレナが作ったものである。
「俺はどこまでいっても、戦いを求める気質からは逃れなれない。そんな俺の存在は、この組織にとっては害悪でしかない」
「だから、自分の力を存分に発揮できる組織へ転属する、と・・・」
―――シンは、ストレイ社の誘いを受ける事にした。
理由は、明快。彼の本性についてだ。
マリアが『優しさ』を捨てきれないように、戦兎が『愛と平和』を胸に生きているように、シンもまた、『戦闘』を求める気質からは逃れられない。
あえて、『ジャック・ザ・リッパー』としての自分を受け止める事で、精神的強さと技術的強さが向上したわけだが、その性質は、『殺人』そのものを良しとしないS.O.N.Gにおいては、あまりにも抑圧されるべき感情だ。
だから、シンはここを抜ける事にしたのだ。
―――政府に追われることを百も承知で。
「それで、君はここを抜けた後、どうするつもりだ」
「追手は斬って捨てる。俺の道を他人にどうこうされる筋合いはない」
「それは最もだな・・・」
ふぅむ、と弦十郎は考える。
何しろ、S.O.N.Gは国連直轄の組織。
そしてシンは数少ない仮面ライダーの一人。そんな男を、政府はみすみす手放すだろうか。
ちなみに、この部屋には、戦兎とマリアはもちろん、シンのS.O.N.G脱退を聞いて駆け付けた響、未来、翼、クリス、切歌、調、セレナ、慧介、龍我たちもいる。
「シンさん、本当にS.O.N.G抜けちゃうんですか?」
「ああ。俺のような奴がこの組織にいれば、いずれ不利な状況を作ってしまう」
「そんなこと・・・」
「話し合う前にまず斬る・・・それが俺だ。だから、お前とは相容れない」
響の言葉を否定して、シンは弦十郎に向き直る。
「どちらにしろ、明日の早朝には辞表を叩きつけて出ていくつもりだ。まさか、殴ってでも止めはしないだろうな」
「できれば・・・と言いたいところだが、確かにお前の存在はこの組織においてはあまりにも異質だ。いずれ、この組織の大きな障害となるだろう」
「師匠・・・!」
響が、信じられないとでもいうように、声をあげるが、弦十郎はあえて無視。シンに判決を言い渡す。
「八紘兄貴に言っておいてやる。だから―――君のS.O.N.G脱退を認める。速やかにここから出ていくがいい」
上司として、組織を担う者として、弦十郎は一つの決断を下した。
「今まで世話になった。ありがとう」
そしてシンは、一つ礼を言い、そして、発令所の扉へ向かおうとする。
「シン!」
そんな彼に、切歌と調は駆け寄る。
「本当にこれでいいの?」
「まだ、何か、その・・・何かないんデスか!?まだいたいとか、そういう・・・」
「ああ。俺がいれば、いずれこの組織の大きな障害となるだろう。最悪、この組織がなくなり、新たな組織が設立される可能性がある。その組織の司令が、風鳴弦十郎とは限らない」
「それでも・・・私たちは『家族』・・・だから、もっと頼ってくれても・・・」
「ありがとう。だが、お前たちを人殺しの道に引き込むわけにはいかない。例えそれが家族であっても、俺はこの道を行くと決めた」
そういえば、二人は何も言えずに俯く。
そんな二人に、慧介が肩に手を置く。
「調、切歌・・・」
「・・・分かってるデス」
慧介の言葉に、調と切歌は頷く。
それを見て、シンは次に戦兎の方を見る。
「すまない。お前のライダーシステムを血で汚してしまった」
「全くだ。・・・ったく、人が善意で作ったもんを仇で返してくれるとはな」
「すまない・・・」
「まあいいさ。科学は使う人間によって変わる。科学自体に良いも悪いもないさ」
「そうか・・・」
「まあ、なんだ。向こうでも元気にやれよ」
と、ぶっきらぼうながらもそう言う戦兎に、シンはふっと笑ってしまう。
「じゃあ、俺はこれで―――」
「シン」
「ん?・・・ッ!?」
出ていこうとするシンの名を、突然マリアが呼ぶ。それに反応してシンが振り返った瞬間、シンに向かって何かが投げられていた。
それは、弦十郎の前に置かれていた筈のビルドドライバーとスクラッシュドライバー、そしてウルフフルボトルとフェンリルレリックアサルトボトルだった。
「一度に投げる奴があるか・・・」
それを見事に受け止めたシンもシンだが。
「・・・それをもってシミュレーションルームに来なさい」
「・・・」
そして、それを投げたであろう張本人は、真剣な眼差しでシンを見つめていた。
シミュレーションルームにて。
「それで、これで俺に何をさせる気だ・・・なんて聞くのは野暮か」
「随分と察しが良いのね」
シミュレーションルーム内にいるのは、シンとマリアの二人だけ、他の者たちは、全員外で待機している。
マリア曰く『終わるまで手出し無用』という言葉を受けて。
「ここにいるのはお前と俺の二人。そしてお互いの手には戦う為の力・・・」
マリアの手にはアガートラームウルフが、そしてシンの手にはビルドドライバー。
「ここまでくれば、何がやりたいのかは大体わかる」
そう言って、シンは躊躇いもなしにビルドドライバーを腰に巻く。
「ええ、そう。S.O.N.Gを抜けるんですもの。手荒い送別もあってもいいんじゃないかしら?」
『STANDBY…!』
マリアがラムのスタンドアップスターターを押し、すぐさまラムを白銀色の炎の狼へと変貌させる。
「それとも、こういうのはお嫌い?」
「まさか」
『Start Up』
クライムウルフにウルフフルボトルを装填する。
「こういうのは大歓迎だ」
『CRIME WOLF』
シンが、ボルテックレバーを回す。
「あのー、これって大丈夫なんですかね?」
「別にいいんじゃね?」
セレナの言葉に戦兎はそう答える。
「最後まで手出し無用・・・それは即ち、何が起きようとも、この勝負に、一切の立ち入りを禁ずるということ・・・・」
「いや、それじゃあ危なくねえか!?」
クリスがそう声を挙げる。
「いいんですよ。それで」
そのクリスに、慧介が答える。
「どちらにしろ、これが最後・・・わだかまりなくしたいじゃないですか」
『Are You Ready?』
「シミュレーター、起動―――ステージを市街地に設定。起動します」
藤尭が、手慣れた手付きで、シミュレーターを起動。それによって、二人の存在する空間が、突如として街の中へと変わる。
「変身」
それを確認すると同時に、シンがそう呟き、
「―――
マリアが、聖詠を唄う―――
『Start Up Lightning!Let's CRIME WOLF!Yeah!』
シンが、灰色の装甲をその身に纏い、マリアが、白銀の戦装束をその身に纏う。
シンからクライムへ―――クライムが背中の雷切を抜き、マリアが左腕の短剣を逆手で握る。
静寂―――後に―――
「「ッ!!」」
二人同時に走る。
そして、互いの刃が激突する。
耳鳴りがするほどの金属音が鳴り、二人は激しく鍔迫り合う。
それは長くは続かず、互いに弾き合い、至近距離で二人は剣戟に踊る。
振り下ろしを回転をかけながら躱し、そのまま薙ぎ払えば、刃の切っ先は胸の装甲を掠めるだけ。すかさず蹴りが飛んできて、それを左腕で受け、すかさずその左腕から無数の短剣を取り出してはそれを放つも、それを至近距離だというのにほとんど叩き落され、そのうちの何本かを掴み取られ投げ返される。
それを弾き飛ばし、再び刃の切っ先が胸めがけて飛んでくる。
それを身を捻って躱し、蹴りを返して見せたのだが、見事に掴まれ、そのまま振り回される。
地面に叩きつけられる前に左腕のギアを変形させ、ブースターを点火、わざと自ら回転することでその手から逃れる。
そしてそのまま少し離れた所に着地する。
そして、ふっと、笑ってしまう。
クライムが、恐ろしい速度で走ってくる。それをマリアは、蛇腹剣で迎撃する―――
「どっからどうみてもガチじゃねえか」
クライムとマリアの二人の戦いをポップコーンを食べながら眺める龍我がそうぼやく。
「これ大丈夫なのか・・・って待てそのポップコーンはどこから出した!?」
「ん?食堂で売ってたから買った」
「でも、二人とも楽しそうです・・・」
ぶつかり合う、クライムとマリア。その一撃一撃が、互いの命に突き刺さりそうなものなのに、それに晒されている二人の動きは、そんなことを気にしていないかのように軽快で、鋭く、容赦がなかった。
クライムは仮面に隠れて分からないが、少なくともマリアは笑っていた。
剣と剣がぶつかり合う度に火花が散り、時に交わる拳と蹴りもまた、ぶつかり合う度に、鈍い音が響く―――
それでも二人は笑っていた。
「――マリア!」
戦いの最中で、クライムが叫ぶ。
「腕を上げたな!」
「当然よ!」
マリアが、得意気に言い返す。
「でないと、貴方とタメを張れないでしょう!」
『Links Arms!〔Region Sword〕!』
七つの剣を呼び出し、それをもってクライムに猛攻を繰り出す。
それをクライムは巧みな剣捌きで凌ぐ。
「ずっと、貴方に追いつく為に努力してきた」
そんなクライムに、マリアはゆっくり近づく。
「戦場で育ってきた貴方に見合うような女になるためにはどうすればいいか、ずっと考えてきた」
その短剣を左腕のガントレットに装着し、ガントレットを変形させる。
「それで行き着いた答えは、貴方と同じくらい強くなることだった」
「ッ!?」
マリアが、砲門をクライムに向ける。
そして次の瞬間、超至近距離で、白銀の咆哮が放たれる。
『HORIZON†CANON』
放たれるレーザー砲。しかしクライムは、それをギリギリ横に飛ぶことで躱していた。
「だから・・・」
ガントレットを元に戻し、そして短剣を再び右手で握る。
「私は今ここで、貴方に勝って貴方に守られるだけの女じゃないって証明する!」
そう言って、マリアは胸元のマイクユニットに手を駆ける。
その様子は、モニターに映っていた。
「まさかイグナイトを!?」
その行為に一同は動揺する。
「くっ、これ以上はやらせちゃまずいだろ!」
「行くな」
止めに入ろうとするクリスを、戦兎が止める。
「っ、なんでだよ!?」
「今回ばっかりは―――最後までやらせた方がいい」
その戦兎の言葉に、クリスは唖然とし、そんなクリスの肩に、龍我が手を置く。
それに、クリスは黙って、戦いの行方を見守る――――
「イグナイト・・・どうやら、ここからが本番らしい」
「ええ、そうよ・・・だから、貴方も全力で来なさい!」
マリアが、叫ぶ。
「いいだろう」
クライムが応じて、ビルドドライバーからクライムウルフを抜き、変身を解除する。
そして、ビルドドライバーからスクラッシュドライバーへと変え、そして、フェンリルレリックアサルトボトルを取り出す。
『Killing』
そして、それをスクラッシュドライバーに装填する。
『フェンリルゥ…!!』
「イグナイトモジュール、抜剣ッ!!」
マリアが、イグナイトモジュールを起動し、シンが右手を左肩あたりまでもっていき、そして、叩きつけるようにアクティベイトレンチを叩き下ろす。
「「変身ッ!!」」
『DAINSLEIF』
『砕くゥ!暴れるゥ!!狂い出すゥッ!!!』
『フェンリル・イン・アサルトクライムゥッ!!!』
『ヒィハァァァア!!!ヒャハハハハ!!!』
アガートラームのイグナイトモジュール。
仮面ライダーアサルトクライム。
呪いと狂気。その二つがここに対峙する。
「―――今一度名乗ろう」
クライムが、刀を手の上で回し、マリアに向ける。
「俺は『ジャック・ザ・リッパー』。キリフデラの白い悪魔・・・この狂気、その身に受ける覚悟はあるか」
マリアが、蛇腹剣を鞭のように地面に叩きつける。
「ええ、そう。貴方はジャック―――だけど、私の知る『シン・トルスタヤ』も、同じ貴方。一人で二つの名を持つ人・・・どっちも貴方であるというのなら、私はそのどちらも超えてみせる!」
その返事に、クライムは仮面の奥で満足そうに微笑む。
(ああ、そうだ)
刀を改めて構えるクライム。
(『ジャック』も俺、『シン』も俺―――所詮俺は俺だ。どっちが本当の名前であっても、俺は俺という『本性』からは逃れられない・・・)
マリアも、その手に持つ短剣を構え、そしてその周りに
(だが、俺はもう、その本性から逃げない。受け入れ、俺として振るい続ける。それに気付かせてくれたのは、お前だ、マリア)
だから、とクライムは柄を握り締める。
(今の俺に出来る、最大限の感謝をもって―――)
「お前を倒すぞ、マリア」
そう、クライムはマリアに向かってそう言った。
その言葉に、マリアは不敵に笑う。
「いいえ、貴方を倒すのは私よ。シン」
沈黙が、一瞬―――
「いざ、参るッ!!」
その言葉と共に、クライムは駆け出し、
「かかってきなさい!!」
マリアは、クライムに向かって七つの剣をクライムに解き放つ。
銀色の閃光、赤い稲妻―――その二つが交錯し、激しく火花を散らす。
互いの全身全霊をもってぶつかり合い、己が全てをもって、その刃を振るう。
本気も本気で、二人はぶつかり合う。
「―――なんというか、まあ・・・」
その光景を見ながら、慧介は頭を掻く。
「慧くん・・・?」
「これがシンたちなりの愛の表現の仕方って奴なのかな・・・」
言われて、一同は思う。
なんとも、曲がりくねった愛情表現だな、と。
「でも、二人とも楽しそうデス」
「やってることは物騒だけどな」
激しい剣戟が、二人の間で踊りを描く。
しなるマリアの体がクライムの斬撃を躱し、唸るクライムの刃がマリアを捉えようと振るわれる。
互いに一進一退。
しかし、その戦いにも終わりがくる。
互いの一撃が互いを大きく退け合う。
そして、開いた間をもって、二人は同時に勝負を決めにかかる。
『アサルトアップフィニッシュ…ッ!!!』
クライムがアクティベイトレンチを叩き下ろし、そのまま恐ろしい速度でマリアに迫る。
それに対してマリアも黙ってみている訳ではない。
左腕のガントレットに短剣を装着、肘側に伸びた刃の周りにレギオンソードを連結させ、その刃に白銀の粒子型のエネルギーを纏わせる。
そして、そのエネルギーを開放し、飛び出し、そのまま突っ込みながら回転。
クライムが稲妻の如きスピードで迫り、その勢いのまま斬撃を放つのであれば、マリアは自らを回転させ刃の速度自体を加速、威力だけでも追いつく。
肉眼では捉えられない速度で走るクライムと、もはやコマにしか見えないほどに回転するマリア。
その最中で、クライムは飛び上がり、右足の裏で雷切の柄を掴む。
そのまま体を大きく捻り、突っ込んでくるマリアに対して、自らも突っ込む。
「ハ―――ァァァアァアアア!!」
そしてマリアも、粒子型エネルギーの噴射に加え、ガントレット自体にも内臓されているブースターも点火。
それによって上乗せされた破壊力をもってマリアは漆黒に染まった銀腕を振るう。
―――そして、二人の全身全霊の一撃が、互いに叩き込まれる――――
『SEVENSΩSERE†NADE』
どこかの路地裏にて、エリザとアルフォンスはそこにいた。
そして、そんな彼女らに近付く者が一人。
「あ、遅いわよ、ジャック」
それに気付いたエリザが、その者―――シンに駆け寄った。
「すまない。少しごたついてな」
「引き止められたりとかしたの?」
「いや―――決闘をやっただけだ」
そういうシンの表情は晴れ晴れとしており、その様子にエリザは何回か目を瞬かせると、
「もしかして・・・あの女狐?」
「む、マリアのことであるなら、そうだが・・・」
その時、エリザの中で黒い何かが芽生える。
「へー、ふーん、そう・・・」
「・・・エリザ?どうした?」
「べっつに~」
何か、黒いオーラを滾らせてそっぽを向くエリザにシンは首を傾げる。
「まあまあ。さ、そういうわけで、そろそろ行っちゃおうか」
「ああ」
「それと、一つ聞くけど、ライダーシステムはどうしたの?」
アルフォンスの問いかけに、シンはふっと笑って答える。
「没収された」
「だろうね」
アルフォンスはそう返す。
「それで、いかないのか?でないと追手がくるかもしれないぞ」
そうおどけてみせるシンに、アルフォンスはやれやれと言った様子で首を振る。
「はあ、君という男は、意外にトラブルメーカーなのかもしれないね」
そう言って、アルはその手にテレポートジェムを取り出した。
「・・・おーい、マリアー、生きてるか?」
翼が、そう声をかける。
「・・・ええ、生きてるわ」
その問いかけに、マリアは短く答える。
「何笑ってんだお前・・・」
もう一方から、クリスがジト目でそう声を掛けてくる。
それを言われて、マリアはその笑みをさらに深める。
「だって、見事なまでに負けたのよ?笑うしかないじゃない」
思いっきり負けて、その結果がこれだ。
自分は、彼に負けた。
「勝手な判断で私闘をした挙句に無様にやられるなんて、情けないにもほどがあるわね」
「頭打っておかしくなったわけじゃねえよな?」
「貴方私をなんだと思ってるのかしら・・・?」
随分なクリスの物言いに少しイラつきつつ、マリアは既に立ったであろうシンの事を想う。
(向こうでも、頑張ってね。シン)
―――私はいつでも応援しているから。
その後、切歌と調に泣きつかれ、セレナから少しきつい説教を受け、戦兎と弦十郎からは労いの言葉をかけてもらったマリア。
別れの一撃。しかしそれは決別ではなく、送る者と送られる者の、挨拶のようなものだ。
だから、別に後悔なんてない。
―――シン・トルスタヤは、S.O.N.Gから脱退した。
―――数日後―――
「――――それで、戦兎は無事だったってわけね」
喫茶店『nascita』にて、一海からその話を聞いて美空が安心したようにそう言う。
「そんな所だ。ま、あいつがそう簡単に死ぬわけがねえってのは分かってたけど」
「だけど、よく秋田までぶっ飛ばされて無事だったわね。ライダーシステムのお陰かしら?」
「そこんところは戦兎もよくわかんないんだと」
ハザードレベルのお陰か、傷が癒え、どうにか歩ける程度にまで回復した一海は、今こうしてnascitaにて美空に報告しているのだ。
ちなみに、同様に回復した幻徳は既に政務に戻っている。
しっかりと、政府長官の任を全うしているようだ。
紗羽は仕事で来ていない。
「しっかし、シンフォギアとライダーシステムの合体かぁ・・・まるで『奇跡』みたいねぇ」
「まさかのコラボレーションなんて、なんかテンション上がりますね!カシラ!」
と、言うのは一海についてきた赤羽である。
「いつか他のライダーもギアを纏う日が来たりして」
「バカかお前ら。それじゃああいつらが戦えねえだろ」
と、言ってふと思う。
(ってか、仮面ライダーにシンフォギアを纏わせることが出来るなら、その逆も出来るんじゃね・・・?)
考えてみれば、装者の歌によってボトルが変化するというのなら、そのボトルを逆に利用してシンフォギアを強化することは可能なのではないか、と考える一海。
実際に、リンク・アニマルにはボトルスロットが搭載されており、それにボトルを装填してシンフォギアを強化する、という事自体は戦兎自身ですでに思い至っている事だ。
さて、そんなシンフォギア装者たちだが、戦いという場において、過酷な環境で育ってきた彼女たちの『ハザードレベル』は一体どうなっているだろうか。
「しっかし、先公が帰ってきた時の先輩の泣きっ面ときたら、卒業式に見た時以来の泣きっぷりだったよな」
「もう、そんなこと言ってたら翼さんに怒られるわよ?」
公園のベンチにて、クリスと未来はそう言い合う。
ちなみに響は、洸と共に故郷に戻っている。理由は言わずもがな、だが。
「でも、生きてて良かった」
「だな」
未来の言葉に、クリスはそう頷く。
「あ、そうだ。前々から気になってたんだけどよ。装者だってバレる前に、あの先公と色々と訓練してたんだろ?どんなんだよ?」
「え?あ、えーっと・・・なんというか、クロのダイレクトフィードバックシステムを利用して、それで仮想空間でいろんな敵と戦わされた感じかな・・・」
「へえ・・・聞くけど、どんな奴らと戦ったんだ?」
「えーっと、戦兎先生や龍我さんたちのような仮面ライダーはもちろん、響たちとも戦ったよ。それに、スマッシュとも。だけど、なんだろう、一人だけ、よく思い出せない人がいるんだよね。仮面ライダーだった筈なんだけど・・・・なんというか、白かったような・・・」
「白かった?そんな奴いた・・・いたな」
思い至る節があり、クリスは失笑する。
「なんて奴と戦わせてんだあの先公は・・・」
クリスは、心なしかどっかでドヤ顔しているであろう天才物理学者(笑)を見上げた。
風鳴弦十郎邸にて―――
「う~ん・・・」
慧介は縁側に座って頭を捻っていた。
「どうしたんだ?慧介君」
「んぬぎ!ふぬぐ!!」
「ああ、いや、なんというか。この特訓法がどうにもしっくりこないな~・・・なんて」
「ふむ。映画の鍛錬法は効果はあるのだが、君の体には合わなかったか」
「ぐぬぬぬぬ・・・!!!」
「いや、成果はあるんですよ。ですが、なんかこう・・・・力技じゃなく、技術的と言うか、細かい作業的な何かというか・・・」
「ふぅむ・・・」
「え?あ、ちょ、あぁぁぁあ!?」
ドンガラガッシャーン!
弦十郎が掴んでいた手を離されたことによって思いっきり転がっていき立てかけてあった木版に突っ込む龍我。
「ああ・・・」
「細かい作業か。精密な動作なら、俺でも出来ない事がないが・・・」
「弦十郎さんの実力は知ってますが、ただ、なんというか・・・筋肉質になりたいわけじゃなく、この柔らかい体を十二分に生かせる技術が欲しいんですよね・・・」
先日の戦い以降、自分の弱さを実感していた慧介は、響の勧めで弦十郎に稽古をつけてもらっているのだ。
以前はシンがいたために、訓練にそれほど不自由はなかったのだが、それでも自分の力不足を感じているがゆえに、慧介は弦十郎の所に、龍我と共に訪れていたのだが。
「柔らかい体を生かせる技術か・・・俺としては、中国武術あたりを君に勧めたいところだが・・・」
「何か、何かが違うんですよ。中国武術でもない、どっかの国の格闘技じゃない、そういう、なんというか・・・ああもうなんかしっくりこないぃぃぃいい!!」
頭を抱えて天を仰ぐ慧介。
「まあ、悩んでても仕方がない!今は体を動かして、その頭を一度空っぽにした方がいいだろう!」
そう弦十郎が快活に言った直後だった。
―――緒川が風と共に現れた。
比喩ではなく文字通りにだ。
「司令、至急、お知らせしたい事が」
「なんだ?」
「風鳴機関が、葛城忍博士にライダーシステムの作成を依頼したとの報告が」
「なんだと!?く、あの親父のことだ。国防の為の手段の一つとするつもりか」
「ついで、国連からライダーシステムとシンフォギアシステムの視察も重なっています。氷室長官から、もしもの為に護衛を一人派遣してほしいとのことで・・・」
「そうか・・・ならば、マリア君が適任か」
「では、そのように手配を・・・」
「ああ、頼む」
「―――それだぁぁぁあああ!!」
その時、慧介からそんな声が上がる。
「うお!?どうした慧介君!?」
「いきなり叫ぶな―――あぁぁあ!?」
龍我が、庭の池に落ちる。
「緒川さん!!」
「え?」
縁側から飛び出し、そのままアクロバティックに回転し、そのまま額を打ち付ける勢いで緒川の前で土下座をかます慧介。
「俺に忍術を教えてください!」
――――慧介が、緒川慎次に弟子入りした瞬間であった。
その報告を、翼は戦兎の口からきいていた。
「風鳴機関が、ライダーシステムを・・・」
神妙な面立ちで、翼はそう呟く。
「パンドラパネルからネビュラガスを抽出、それを利用してドライバーを作るんだと。ついで、国連からのライダーシステム視察団も来るから、それに合わせて作るんだと」
「そうか・・・」
それを聞いて、翼の顔が曇る。
「風鳴機関がライダーシステムを求めることは、それほど深刻なんですか?」
難波製作所から取り寄せたパーツを先日の戦いで歪んだりして使えなくなったウルフのパーツと取り換える作業をしながら、ツナギを来たセレナが尋ねる。
「第二次大戦期に旧陸軍が設立した特務機関。その亡霊・・・未だ国政に強い影響力をもち、予想される戦局打開のために、世界に先駆けて聖遺物の研究を行っていた所だ。今でいうところのS.O.N.G.に値する」
「んで、そこを仕切ってんのが風鳴訃堂だ」
「例の翼さんのお爺さんのことですね。ここ、締めるよ」
「ああ」
レンチでネジを締める。
「そして、風鳴訃堂の人柄上、ライダーシステムを渡すのはいいことではなさそうだな」
ウルフが、そう予想してくる。
「ああ、なんとしてでもお爺様にライダーシステムが渡らぬようにしなければ・・・あの力を使って何をしでかすか、分かったものではないからな」
「安心しろ。首相と幻さんが上手くやって、作ったドライバーをS.O.N.Gに寄贈するように取り計らうってさ」
「そうなのか・・・して、そのドライバーは一体誰が使うんだ?」
「目途が立つまで俺が預かる」
「あ、そう・・・」
即答した戦兎に、翼は苦笑する。
「・・・・そんで」
「なんだ?」
「いつまでここにいるんですか翼サン?」
かれこれ数時間はここにいる。
それを聞いた翼は、抱えていた兎のぬいぐるみに口にうずめて、いじけたように言い返す。
「戦兎が悪いんだ。戦兎が」
「え?俺?」
「死んだと思わせておきながらあんな気の抜けた挨拶をされたら、誰だってこうなる」
「いや、それなら他の奴らもここにいなくちゃだめだよな?」
「唐変木の戦兎には分からない」
「何故に唐変木・・・」
「同感です」
「全くだな」
「あれー俺が悪いの!?」
訳が分からない。とでも言いたげな戦兎の顔に、翼はふっと微笑む。
「あ、そういえば」
「ん?なんだ?」
「お前なんで俺の事を名前で呼んでるんだ?」
そんな単純な疑問をぶつける戦兎。
「あ、そういえば!」
「誰も言わないから気付いていないものとばかり思っていたが」
セレナが目をキラキラと輝かせて、ウルフが機械的な声をあげつつ、翼の方を見る。
それに翼は、少し顔を赤らめて、
「だめか?」
そう、こてんと首を傾げて言い返して見せる。
「別にいいけど」
が、戦兎からは素っ気ない返しがくる。
「まあなんだ。俺もそれなりにお前からの信頼を勝ち取れたってことだな。いやー良かった良かった」
「・・・・」
そして、的外れな事を言い出す戦兎に、翼は途端に不機嫌になる。
(そういうことじゃないのに・・・)
戦兎のことを『好き』だと自覚し、翼はほんの少し積極的に戦兎と関わろうとしていた。
いずれはまた日本を飛び立つことになる。
そして、しばらく戦兎と会えなくなる。
その前に、戦兎と一緒に過ごしたいと思い、こうして戦兎の家に、特に理由もなく居座っている訳なのだが・・・あまりにも戦兎が鈍いのだ。
いや、翼自身の不器用さもあいまって、それはまさしく滝を泳いで駆け上がるが如く、いやそれ以上に困難な事態に陥っているのだが。
「ってか、お前がいるだけで何故がすんごく散らかるんだけどなんで?」
「え!?あ、それは、その・・・」
気付けば、翼の周りではゴミやら部品やらが散乱しており、ただ座っていただけなのに戦兎の家の一部が地獄絵図と化していた。
「よし、たった今理解した。お前には片付けと言うものを一から叩き込まなきゃいけないようだなァ・・・」
「い、いや、今まで剣として生きてきたが故、そ、そういうのはあまり得意では・・・」
「だったらなおさらだ!今日一日をテメェの矯正の為に使ってやる!!」
「あ、せ、セレナ!」
「頑張ってください翼さん。私はもう散々扱かれましたから」シンダメ
「俺はAIだ。そのあたりはよくわからん」
味方はいなかった。
「う、うわぁぁあぁあああ!!」
―――その日から、翼の散らかり度合いが二割ほどマシになったという報告を緒川がもたらし、S.O.N.Gに激震が走ったのであった―――
「いやー、エルフナインも元気になって、これで全て一件落着デスね!」
うきうきと買い物袋を片手に、そう言い出す切歌に、調がうなずく。
「うん。だけど、私たちが戦った所は、しばらく立入禁止区域になっちゃったけどね」
「戦兎先生が被害を抑えてくれなければ、どうなっていたことか・・・」
戦兎がグロリアスブレイクフォームのエネルギーを纏め上げる力を使い、エネルギーを吸収、変換し、再びエネルギー元に叩きつける事でエネルギーの対消滅を図り、計測より遥かに規模を小さく出来たあの爆発。
だが抑えきれなかった衝撃が、そのあたりの建物に少なくない被害を与えてしまい、結果としてそこら一帯が立入禁止区域として指定されてしまったのだ。
だがしかし、今はこうして皆生きている事を祝うべきだろう。
「今日は慧くんが疲れて帰ってくると思うから、沢山作らないと」
「今日はご馳走なのデース!」
そう、切歌は拳を振り上げる。
「心火を燃やして―――頑張るのデス!」
――――自らにとって、最大の戦いが待っている事を知らずに。
「――――ッ!」
「ん?戦兎先生、どうかしましたか?」
翼に部屋の片づけを命令して、ウルフとアメに監視させている間、新たな発明品に取り掛かっていた戦兎は、顔をしかめて右腕を抑えだす。
「いや、気にすんな」
「はあ?」
しかし、何気ない表情で答える戦兎に、セレナは気のせいかと片付け、ウルフのパーツ換装に戻る。
そして、誰も見ていないことを確認して、戦兎は気付かれないようにそっと右腕を捲った。
その腕の皮膚に、煌めく何かがあった―――――。
次回、愛和創造シンフォギア・ビルドは!?
「―――仮面ライダー、舐めんじゃねえぞ」
「―――シンフォギア装者を舐めるなデス」
仮面ライダービルド―――最終章―――
グリスと切歌―――最期の戦い――――
新世界の戦士たちは―――もう一度、巡り合う――――
――――『悪魔』と『魔騎士』と戦うために――――
「これが最期のォ――――」
想いを、胸に――――
「―――祭りだぁぁぁああぁぁあああああ!!」
「―――デェェェェエエエッス!!!」
ビルドNEW WORLD―――
来年、公開―――
というわけで、まことに申し訳ないんですけど思いのほかリアルが忙しくなってきたので一旦ここで区切らせてもらいます。
来年、余裕が出来たら再開することになると思うので、何卒ご理解のほどをお願いします。
では、次回を楽しみにしててください!
オリジナル章はやったほうがいいか
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バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
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そんなことはどうでもいい!(どちらでも
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嘘を吐くな!(やるな