響「なんかテキトーだよークリスちゃーん」
ク「いいんだよこういうのは適当で。一気読みすりゃあ大体の話の流れは分かるんだからよ」
響「・・・それ、がっつり読んでるってことになるよね?」
ク「細けぇこたぁいいんだよ。んなことより、とっとと本編移ろうぜ?」
響「いいのかなぁこんなんで・・・」
切「良くないのデス!」
響「うわ!?びっくりしたぁ・・・」
切「アタシ今回主人公なんデスよ!?なのになんであらすじに出してもらえてないんデスか!?」
ク「しゃーねえだろお前、ネタ枠なんだから」
切「酷いのデス!?あんまりなのデス!?クリスさんのあんぽんたんなのデス!?」
ク「おおいなんでそこでアタシの悪口に繋がる!?ていうかなんで疑問形だ!?」
切「引っかかったデスね!アタシのボケにツッコミを入れたということはクリスパイセンもネタ枠だということの証なのデス!」
ク「なんだと!?」
響「・・・・いや、そもそも皆ネタ枠だよね?私も含めて」
ク「それはこのアタシが毎度の如くボケとかそういうのをやりまくってるって言い草だなァオイこら!!」
響「イタタタタタ!?イタ、痛い痛いよクリスちゃぁん!」
切「どちらにしろクリス先輩ネタ枠は確定したもどうぜ―――」
シ「ヘイ蕎麦一丁まいどあり~」天井から颯爽登場
切「ぷぎゃ」ぶち抜いた天井が頭の激突
響ク「あ」
シ「じゃ、失礼しやした~」天井から退場。
響「・・・」
ク「・・・」
カメラマン「・・・ではシンフォギア・ビルドグリス編をどうぞ!」
ク「カメラマン!?」
切「オグリンは、クールだけれど、かわいいな・・・がくっ」
調「それが辞世の句でいいの切ちゃーん!?」
―――『piccolo nascita』
nascitaが移動型として展開できるようになり、その切り盛りを美空が担当している移動型カフェである。
その席の一つに、調は道行く人々を机に突っ伏しながら眺めていた。
「・・・暇」
そして、何を思うでもなくそう呟く。
「クァ・・・」
そんな調の目の前には、彼女のリンク・アニマルであるシュルシャガナタイガー『シュル』があくびをして丸まっていた。相も変わらずマイペースである。
そんなシュルを眺めつつ、調は店の方、美空の隣にあるラジオから聞こえてくる声に耳を傾けた。
『臨時ニュースです。先ほど、政府官邸が国際テロ組織『ダウンフォール』に占拠された模様です』
「「え・・・!」」
それに、美空は驚き、調は思わず立ち上がる。
「マリアが・・・」
そして、それと同時に、美空の前に、一人の男が立つ。
「石動美空と、月読調だな?」
それは、顔半分が火傷に覆われた男だった。
「迎えに来たよ」
浦賀だ。浦賀は美空に微笑みかけるも、その背後にはハッキングされたガーディアンがいた。
「ッ!」
調はすぐさま旧式のLiNKERを打ち込み、シュルのスタンバイスターターを押す。
『STANDBY!』
そして、すかさず聖詠を唄う。だが―――シンフォギアを纏う事ができなかった。
「え!?シュル!?」
思わずシュルの方を見るが、そこにいるシュルは、まるで苦しそうに悶えていた。
「シュル・・・シュル!」
「残念だったな。それはもう動かない」
背後から声がして、振り返った瞬間、頬に衝撃が走り、調は倒れる。
「あう!?」
「調ちゃん!」
美空が声を挙げる。
調は、自身を叩いた人物を見上げる。
「貴方は・・・」
「シャルティナ・アルーダ」
女―――シャルティナはそう名乗った。
龍我たちと合流した戦兎たちは、とある人気のない建物を訪れていた。
「おい、ここどこだよ」
「地球」
「なんだか・・・不気味ですね」
「同感だ。戦兎、ここに一体誰がいるというんだ?」
「この階段を上がればわかる」
「・・・ちょっと待ってください。戦兎先生の返しには誰もツッコまないんですか!?」
そうして、階段を上った先にいたのは―――
「珍しい来客だな」
一人の椅子に座る男だった。振り返ったその顔は、それなりの無精ひげを生やし、どこか根暗そうな雰囲気を出す男―――
「葛城巧・・・!?」
龍我が、その名を呼ぶ。
そう、この男こそが、ライダーシステムを作り上げた男にして、もう一人の戦兎にして、戦兎本来の人格―――『
「葛城巧だと!?」
「この男が!?」
「え!?あ、あの、立花響です!えとあの」
「落ち着け」
戦兎の鶴の一声でぴしゃりと静まる一同。
「その様子じゃ、まだ父さんとは和解してないみたいだな」
「君には関係ない」
戦兎の軽口に巧はそう返し、そして、すぐさま本題に入る。
「で?何の用だ?」
場面は戻って―――
「やめてよ!ちょっと、放して!」
「くっ、放せ・・・!」
ガーディアンに拘束された美空と調。シュルはその場に置いてしまっている。どちらにしろ、起動しないからどうしようもないのだが。
とにかく、暴れてガーディアンの腕から逃れようともがく美空と調。
そこへ―――
「女の扱いも知らないのか、テロリスト」
その声がした方を見れば、そこには、三羽ガラスの三人が立っていた。
「三バカ!?」
「じゃないし、三羽ガラスね」
「赤羽さん、青羽さん、黄羽さん・・・」
「みーたんと調ちゃんから手を放しな」
そう言って、三人は自身のロストボトルを体に突き刺し、すぐさまスマッシュへと変身する。
そして、すぐさま二人を助けようと駆け出すが、そこへ浦賀とシャルティナが立ちはだかる。
浦賀の腰には、ビルドドライバーが装着されており、シャルティナは腰のキーホルダーから、ダウンフォールの紋章と同じ剣のストラップ―――
「グリスの取り巻きか。面白い」
「やりごたえがありそうね」
そう呟き、浦賀はその手にハザードトリガーを取り出す。
「受けてたとう」
「え!?ちょちょ!?あれ!」
『ハザードオン!』
BLDハザードスイッチを押し、浦賀はそれをビルドドライバーのBLDライドポートに接続する。
そして、その両手に二つの真っ黒なフルボトルを取り出し、それをビルドドライバーに装填する。
『タンク!』『タンク!』
それは、ファントムリキッドで作り出した、メタルタンクタンクフルボトル。
それは、戦兎も行き着いた、ハザードトリガーを制御する為の
戦兎が試行した時は失敗したその組み合わせは―――ファントムリキッドによって可能にされていた。
そして、シャルティナがその手にもつ剣のキーホルダーは――――とある聖遺物の欠片から作り出されたものであり、その性能は、
『ガタガタゴットンズッダンズダン!ガタガタゴットンズッダンズダン!』
展開される、ハザードビルダー。しかし、その出現の仕方はビルドドライバーから出現するものではなく、突如として空中に出現するようなものだった。
『Are You Ready?』
いつもの言葉のままに―――浦賀とシャルティナが言う。
「変身」
「流着」
ハザードビルダーが浦賀を挟み込み、手の剣から溢れ出た液体がシャルティナの体を覆う。
挟み込んだハザードビルダーは、まるで挟んだ者に纏わりつくように消滅していき、シャルティナに纏わりついた液体は形を成し、一つの戦装束を作り出す。
『アンコントロールスイッチッ!!ブラックハザード!!!』
そうして出現したのは―――真っ黒な仮面ライダーと、黒の戦装束を纏う戦姫。
仮面ライダーの方は―――あまりにもビルドに酷似していた。
その姿に、美空は目を見開く。
『ヤベェーイ!!!』
「なんで・・・!?」
「ビルド・・・!?」
「シンフォギア・・・!?」
驚く三羽ガラス。
「ハザードをさらに進化させた―――『メタルビルド』だ」
「かのアーサー王伝説にて、裏切りの騎士と謡われた男の剣―――『アロンダイト』。そのファウストローブよ」
二つの黒―――メタルビルドとアロンダイト。
「ふざけやがって・・・」
その最中で、スタッグがその拳を握り締めて、怒りを滲ませた声で叫ぶ。
「俺は、その色したビルドが、この世で一番嫌いなんだよぉぉおお!!」
その手の剣を振るい、スタッグが先陣切ってメタルビルドに斬りかかる。
しかし、メタルビルドはいとも容易くその剣を受け止める。
「ッ!?」
それに驚くも、しかしすかさず両手の剣を振るうも、メタルビルドは片手で全て防いで見せる。
それは、戦兎のハザードフォームより遥かに高い硬度を有していた。
「―――ァア!!」
渾身の両手振り下ろしを繰り出すも、メタルビルドはそれをいとも容易く受け止める。
そして、スタッグよりも圧倒的なパワーで捻ると―――そのままスタッグを蹴り飛ばす。
「ぐあぁあ!?」
それに美空と調は目を見開く。
「大丈夫!?」
「大丈夫か!?」
「ッ!つぇえ・・・!」
その強さは、スタッグの力を遥かに超えていた。
「総攻撃だ!」
キャッスルがそう言い、三羽ガラスは、一斉にメタルビルドとシャルティナに殴りかかった。
それを、メタルビルドとシャルティナは余裕綽々と言った風に、迎え撃った―――
どこかの高台にて―――
「・・・ここ、どこデスか?」
「俺が知るかよ」
あまりにも的外れであろう場所で、一海と切歌は途方に暮れていた。
「だめだ・・・全っ然分からねえ・・・」
「デェス・・・」
一海と切歌はそう言うなり、近くにあったベンチに座る。
その手のメモには、簡易的な地図が書いてあるが、方向音痴である一海と、土地勘がない切歌では、その地図はまさしく解読不能な暗号だった。
「「はあ・・・」」
諦めて空を見上げる一海と切歌。
「・・・あいつらがいねえとすぐ迷っちまう・・・」
「・・・本当にあの三人がいないとダメダメなんデスね、カズミンさんは」
「うるせえ・・・」
切歌のからかいの一言に、一海は不貞腐れるようにそう言い返す。
ふと、一海はポケットからあるものを取り出す。
それは、美空に告って玉砕する前に貰った、洋服店のおまけ品。
それを見て、一海は思い出す。
『みーたんと調ちゃんの身になにかあってもいいんですか!?万が一のことがあったら、それこそ一生後悔しますよ!』
そして、それは切歌も同じだった。一海が何かを取り出し、それが一体何なのかを察する―――わけでもなく、それに描かれていたプリンの柄を見て、切歌もまた、赤羽の言葉を思い出していた。
「・・・クソったれ・・・!」
そう呟く一海。
「行くぞ、切歌」
「はいデス」
その一海の言葉に切歌は頷き、二人は、ある場所へ向かった。
「ぐあぁぁあ!?」
キャッスルがメタルビルドに殴り飛ばされる。
「がぁぁああ!?」
その直後に、スタッグがシャルティナに斬り飛ばされ、地面に倒れる。
その間に美空と調を連れて行こうとするガーディアンたちを、オウルが攻撃。
「みーたんに触るな!あと調ちゃんにも!」
「あとってどういう意味・・・!?」
ほぼ瞬殺でガーディアンを撃滅し、オウルは二人を安全な場所へ隠れさせる。
「二人とも、こっち!」
その間に、キャッスルとスタッグは、メタルビルドとシャルティナの猛攻に苦戦していた。
全ての行動が先読みされ、なおかつその硬い装甲を貫けない。
さらにシャルティナの大剣は一撃が重く、その威力はスマッシュの体をもってしても凄まじかった。
オウルが二人を安全な場所に隠し、戻ってきてもそれは変わらず、瞬く間に三方向に殴り飛ばされる。
圧倒的な強さの前に、三羽ガラスは窮地に立たされていた。
しかし、三人はすぐさま立ち上がる。
「負けて、たまるかぁぁあああ!!」
キャッスルが、腕を振り上げ雄叫びを上げる。
「来い!」
「っしゃあ!」
それは、かつて一度ビルドを変身解除に追いやった、三人の必殺技。
三方向から出せる限りのエネルギーをもって突撃し、その交差点で敵を叩く、デルタアタック。
その一撃が、背中合わせに立つメタルビルドとシャルティナを打ち貫く。
凄まじい爆炎が舞い上がり、その手応えは確かにあった。
「やった!」
渾身の必殺技が決まったことに喜ぶ彼ら―――だが、現実はそう甘くはなかった。
「え・・・・」
黒煙の中、傷一つない状態で、メタルビルドとシャルティナはそこに立っていた。
その光景は、美空と調の目にも入っていた。
本当に、傷一つなく、効いている様子もなくそこに立っていた。
「嘘だろ・・・」
スタッグがそう呟く。
「ふっ」
直後、メタルビルドが動く。
『マックスハザードオンッ!!!』
ハザードトリガーのBLDハザードスイッチを押し、ボルテックレバーを回す。
『ガタガタゴットンズッダンズダン!ガタガタゴットンズッダンズダン!』
そして、回し終えた瞬間―――メタルビルドは、その右足を繰り出す。
『Ready Go!』
『ハザードフィニッシュッ!!!』
繰り出されるは、なんと履帯。戦車の
「「「ぐあぁぁああぁぁあああ!?」」」
その直撃を喰らった三羽ガラスは―――途端にスマッシュ化が解除され、ボロボロの状態でその場に沈む。
「あ・・・」
「ッ・・・!」
それを見た美空と調は、物陰から飛び出し、すぐさま一番近くにいた赤羽に駆け寄る。
「大丈夫?ねえ?ねえ!?ねえ!?三バカぁ!」
「しっかり・・・しっかりしてください、赤羽さん・・・!!青羽さん・・・!黄羽さん・・・!!」
意識のない三人。いくら呼びかけても、返事がない。
そんな、美空と調に、メタルビルドが近寄る。
それに気付いた調が、美空とメタルビルドの間に割って入るように立ち塞がる。
しかしそれでもメタルビルドは近寄ってくる。
鼓動が早まる、呼吸が荒くなる。
(シュルが使えたら・・・!)
自分がシンフォギアさえ纏えていれば、こんなことにはならなかった。
―――果たして本当にそうだろうか。
敵は圧倒的。自分たちでも苦戦するほどのコンビネーションを見せる三羽ガラスを、こうも容易くあしらって見せたメタルビルドやシャルティナに、果たして勝てるのか。
脚が、震える。
だけど、調はその場から動かない。
ここをどいてしまったら、何か、大切なものを失う気がしたから。
(慧くん・・・切ちゃん・・・!)
そして、思わず、喧嘩別れしてしまった親友の事を思い出し―――
―――突如としてメタルビルドが蹴り飛ばされる瞬間を目の当たりにした。
「オラァァア!!!」
「ぐあ!?」
そして、その直後に、シャルティナが黒剣を振るい、飛んできた何かを弾き飛ばす。
地面に突き刺さったそれは―――緑色の刃。
「あれは・・・!」
「・・・俺に内緒で何楽しんでんだ。コラァ」
そう言ったのは――黄金のスーツに身を包んだ、仮面ライダー『グリス』。
「・・・へえ」
そして、その背後から、鎌を構え、獄鎌イガリマを纏う暁切歌が、そこにいた。
「・・・グリス」
「・・・切ちゃん」
今ここに、仮面ライダーとシンフォギア装者が参上した。
その一方で、不意打ちを喰らったメタルビルドが立ち上がる。
「ビルドに化けるとは、胸糞悪ィなァ・・・!」
静かな怒りを燃やし、グリスはメタルビルドにツインブレイカーをもって突撃する。
「いくデス・・・!」
また、切歌も同じような怒りをもって、シャルティナに鎌を振るう。
だが―――グリスのツインブレイカーのパイルはメタルビルドの装甲の前に阻まれ、イガリマの刃はいとも容易くアロンダイトに防がれる。
「何っ!?」
「そんな!?」
すかさずグリスがもう一方の拳を振るうも、それを躱されカウンターで腹に一撃を貰う。
「お前如きが・・・」
すかさずグリスが反撃に出るが、全て悉く防がれ、反撃される。
「俺を止められると思うな!」
頭部の角を掴まれるなり、メタルビルドはグリスを投げ飛ばす。
その一方で、切歌もまた、シャルティナの猛攻に押されていた。
「ぐ・・ぅぅう・・・!?」
「どうした?さっきの威勢はもうないのか?」
「な、めるなァ!」
苦し紛れの『切・呪リeッTぉ』。それはシャルティナが体をそらすことによって躱されるが、すかさず肩アーマーを変形させ、不意打ち気味にシャルティナに突き刺そうとする。
『封伐・PィNo奇ぉ』
だが、超高速で動く四つの刃は全て、シャルティナの振るう剣によって防がれる。
「な―――」
(翼さんでも捌ききれないPィNo奇ぉを・・・!?)
「遅い、遅すぎる」
気付けば腹に蹴りが突き刺さっていた。
「がはっ!?」
そのままグリスの隣に落ちる切歌。
どうにか起き上がった二人を、メタルビルドとシャルティナは嘲笑うかのように鼻で笑う。
『シィングルゥッ!!』
グリスはツインブレイカーにロックフルボトルを装填、引き金を引いて、その銃口から鎖を飛ばし、それと同時に切歌は肩アーマーからワイヤーを飛ばす。
『シングルフィニッシュゥッ!!!』
それによって、メタルビルドとシャルティナを拘束する。だが、それはいとも容易く引き千切られ、メタルビルドはすかさずボルテックレバーを回し、シャルティナはその剣に妖しいオーラを纏わせる。
『ガタガタゴットンズッダンズダン!ガタガタゴットンズッダンズダン!』
『Ready Go!』
再び繰り出されたキャタピラの一撃がグリスに突き刺さる。
『ハザードアタック!!!』
「カズミンさん!――ッ!?」
すかさず、切歌に向かってシャルティナが踏み込む。
しかし、切歌はそれを待ってたと言わんばかりに、口角を吊り上げる。
それは、戻ってくる『呪リeッTぉ』。それがシャルティナの背後から襲い掛かってくる。
これが突き刺されば―――なんて考えは甘く、シャルティナはそれで背中を防ぐ。
しかし、これで攻撃の出鼻を挫いた。―――そう思っていた。
剣に纏われていた筈のエネルギーは―――全て、シャルティナの右拳に。
(本命は、拳―――)
次の瞬間、渾身の一撃が、切歌の腹に突き刺さる。
「おっ・・・ごぉ・・・!?」
締める間もなく柔らかい腹に拳が深く突き刺さる。
そのまま吹き飛ばされ、グリスと切歌は――――変身を解除される。
「グリス!」
「切ちゃん!」
思わず駆け寄ろうとする美空と調を、メタルビルドとシャルティナが捉える。
「離して!グリスぅ!離して!離してよぉ!!」
「切ちゃん!いや!切ちゃん!切ちゃん!!」
「ッ・・ァ・・・みーたん・・・!!」
「く・・・ッ・・・調・・・!!」
メタルビルドが、倒れ伏す一海と切歌に言う。
「こいつらを返してほしければ、ホワイトパネルを政府官邸にもってこい」
そのまま、メタルビルドとシャルティナは、美空と調を連れていく。
「ぐ・・・ぁあ・・・」
「く・・・ぅ・・・調ぇ・・・!」
手を伸ばしても、どんどん遠ざかっていく、大切なもの。
その伸ばした手に、ぽつり、と雫が落ちれば―――瞬く間に、大雨が彼らに降り注ぐ。
それは、彼らの敗北を暗示しているかのようで―――
倒れる部下―――連れ去られた守りたかったもの―――地面に倒れ伏す自分たち―――
「―――くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!!」
「―――うわぁぁぁあああぁぁぁぁあぁああ!!!」
二人の絶叫が、雨の中に、掻き消える―――
葛城巧の研究所にて―――
「雨が降ってきたな」
「そうですね」
窓の外の景色を眺めながら、翼がそう呟き、未来が相槌を打つ。
「ん?あれ?万丈と響ちゃんは?」
ふと、後々からやってきた紗羽がそう疑問を口にする。
「万丈と立花なら、先ほど話についていけないと、別の部屋で鍛錬をしています」
「ったく、龍我は相変わらずだなぁ。そこがいいんだけども」
「流れるように惚気るねクリス」
「事実だ」
「こ、これが彼氏持ちの余裕・・・」
クリスの言い分に未来は苦笑し、セレナが謎の敗北感を感じていた。
「私もいつかは緒川さんと・・・」
セレナの小言にぴくりと翼が反応するが、そこで巧が口を開く。
「ファントムリキッドは、ネビュラガス噴出地帯がもう一つの地球と接触した時に、ガスがより濃い状態で液体に変化したものと考えられる」
スケッチブックで図を書き出し、そう説明する巧。
単純な話、気体が圧縮されて液体へと変化した。いうなればボイルシャルルと状態変化だ。
それに答えるのは、怪我から回復していたエルフナインだった。
「つまり、一海さんたちが無人島で入った温泉はファントムリキッドだったってことですね・・・」
「ネビュラガスを高めたファントムリキッドを浴びていたから、グリスたちは元々あったネビュラガスを抜き取られても、変身出来たんだ」
「ですが、それでは切歌ちゃんがシンフォギアを纏えた理由にはならないんじゃ・・・」
切歌もまた、ファントムリキッドの温泉に浸かった者の一人だ。そのことを疑問にあげる未来だが、それにセレナが答える。
「その理由は、聖遺物に付着している、とある物質が原因かと思われます」
「とある物質?」
「はい。これは、ファントムリキッドをもとに作られていて、聖遺物そのものに付着することで、フォニックゲインを吸収、変換、別のエネルギーとして放出するとして、聖遺物の起動を阻止することが出来るんです」
「マジかよ」
「む、それだけならば、なぜリンク・アニマルたちは動かなくなったのだ?」
「それは、戦兎先生が作ったフォニックゲインを溜め込む貯蔵庫、私命名『G-バッテリー』内のフォニックゲインが、その物質で別のエネルギーへと変化されてしまったからなんです」
「でもよ。それならなんであいつの歌だけイガリマを起動出来たんだ?」
クリスの疑問に、巧が答える。
「おそらく、ファントムリキッドを体内に取り込んだことで声帯を僅かに変化させて、フォニックゲインの性質そのものに変化を及ぼしたんだ。そして、その歌はファントムリキッドによるフォニックゲインの変換の影響を受けなかった」
「その理屈で言えば、俺たちが元に戻れる理屈があるはずだ」
その戦兎の言葉に、巧は悲観的な意見をもって言う。
「だが、例え元に戻れたとしても、ネビュラガスより高性能なファントムリキッドには・・・勝てない」
実際に見た訳ではないが、気体が液体になるほど圧縮されて作られた物質だ。
その濃度は、気体の時とは比べ物にはならないだろう。
「確かに・・・」
「じゃあどうすんだよ?」
「・・・ファントムリキッドに適応したアイテムを作らないと・・・」
「―――だったら俺に創ってくれ」
その時だった。
「出来るなら、アタシにも作ってほしいデス」
階段の下を見てみれば、そこには手摺にもたれかかるボロボロの一海と、壁にもたれかかって同じようにボロボロの切歌がそこにいた。
「切歌、一海さん・・・」
「・・・みーたんと調がさらわれた」
一海は、そう言った。
政府官邸―――首相執務室にて。
「うっ!?」
「きゃあ!?」
手足を縛られた美空と調が倒れる。
その二人に、サイモンは立ち上がって怪訝そうな顔をする。
「なんだその女子供は?」
その問いかけに浦賀は、
「お前に話す必要はない」
―――ダァンッ!!
唐突に、拳銃の引き金を引いた。
「「ッ!?」」
その銃声に、二人は思わず目をつむり、そして開いた時―――心臓を撃ち抜かれたサイモンが、血を吐いて撃たれた胸を抑えていた。
「ぶっ・・・ど、うして・・・わ、私を・・・」
信じられないものでも見るかのように、サイモンは浦賀を見ていた。
その問いかけに、浦賀はつまらないもので見るように見つめ、
「この国のリーダーは俺だ」
それだけ言って、サイモンはそのまま倒れた。
「なんてことを・・・」
「あーあ、いいのか?そんなことをして」
その浦賀の行動に、シャルティナはソファの背もたれに腰をかけ、そう浦賀に尋ねる。
「旧世界じゃ俺の才能は見出されなかった・・・」
そう呟いた浦賀は、途端に机の上に置かれた『サイモン』とかかれた立て札を机の上から投げ捨てる。
「だが今は違う・・・俺がナンバーワンだ」
そう、髪を頭の振りで払い、そう言う。
「お姉さま」
そこへ、部屋に入ってきたのは、響たちを襲ったゴスロリ少女だった。
「あら、クレア。どうしたの?」
「銃声が聞こえたから、つい・・・」
「ふふ、大丈夫。私はなんともないから」
「なら良かった・・・」
その二人のやり取りを見て、調は気付く。
(あれは・・・)
しかし、そこへ浦賀の言葉が突き刺さる。
「お前こそ、いつまで
その時、シャルティナから激しい殺気が放たれる。
その殺気に対して、浦賀はふっと鼻で笑う。
「まあ、好きにするがいい」
そう言って、浦賀は部屋を出ていく。
「・・・もう少しよ・・・あと、もう少し・・・」
その呟きの意味を、調と美空はついぞ理解することはなかった。
頭に包帯を巻いた切歌と一海の前には、三羽ガラスの三人がベッドに横たわっていた。
メタルビルドから受けたダメージが思いのほか大きく、意識不明の重体が故だ。
そんな、三人のベッドのうち一つに、一海は腰をかける。
三人とも、それなりの応急処置をしてあるが、それでも目覚める事はない。
「・・・俺のせいだ・・・」
「ッ!違うデス!それを言うならアタシも・・・」
一海の言葉に、切歌は思わず言い返す。
「いや、元はと言えば、俺が意地張らずにみーたんの所に行っていれば・・・」
「カズミンさん・・・」
一海の様子に、切歌はそれ以上何も言えなくなる。
その時だった。
扉が思いっきり開いたかと思えば、発明品が出来た時と同じハイテンションさで戦兎が駆け込んでくる。
「グリスとイガリマのパワーアップアイテム!その名も~『パーフェクトキングダム』!」
その手には、赤い城にフクロウ、クワガタの意匠がほどこされたアイテムと、ロボット、キャッスル、オウル、スタッグ、そしてイガリマと思われる意匠の施されたボトルが握られていた。
「すごいでしょ?最っ高でしょ!?天才でしょぉ・・・」
が、一海と場の雰囲気を前に、流石の戦兎も意気消沈してしまう。
「・・・なんてな」
戦兎にしては、珍しく自信がなかった。
「まだ出来てない。この二つのアイテムを完成させるには、ファントムリキッドの成分が圧倒的に足りないんだ」
戦兎は、そう告げる。
「だったら俺から抜きとりゃいいだろ」
「アタシからも・・・」
「それではダメだ。・・・数で言えば三人分」
戦兎は、眠る三羽ガラスに視線を巡らせて、告げる。
「だが今の状態で成分を抜き取れば・・・―――命の保証はない」
それは即ち―――アイテム完成のためには、三人の犠牲が必要ということだ。
それを聞いた、一海は、戦兎の胸倉を掴み上げる。
「こいつらを犠牲にしろって言うのかッ!?」
そう怒鳴り、そして、胸倉から肩を掴み、俯く。
「・・・出来る訳ねえだろ・・・」
それは、旧世界で三羽ガラスを失った一海だからこその言葉だった。
しかし、やがて戦兎から手を放すと、戦兎から離れる。
その時だった。切歌が口を開いたのは。
「・・・この人たちは、本当のバカなんデスよ」
そう、呟いた切歌は、ふと、無人島に遭難した時の事を思い出す。
洞窟の中で、波打つ音を聞きながら―――切歌は、苦しく、朦朧とする意識の中にいた。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
あの温泉のお湯を飲んで、一斉に体調を壊した彼らは、とにかく生き延びる為に、雨風を凌げる洞窟に逃げ込んでいた。
そして、その中で最も症状が酷かったのは切歌だった。
理由は明白。ネビュラガスより高性能なファントムリキッドを、体内に取り込み、その際の体の急激な変化に、肉体がついていけず、精神を摩耗しているからだ。
その上、体の急激な変化によって体温を奪われ、下手すれば体温の低下によって大量すら奪われている状態だった。
このままでは、確実に死んでしまう。
だが、そんな切歌を、彼らは必至に看病していた。自分たちも、まともに動けない筈なのに。
「うう・・・切歌ちゃん、死んじゃだめだよ・・・」
黄羽が、弱々しい声でそう呼びかけてくる。
「もし・・・俺たちが死んでも・・・カシラと切歌だけは、俺たちの肉を食ってでも・・・生き延びてくださいね・・・」
青羽が、そう言い出す。
「ふ、ふざけんな・・・・そんな不味そうな肉食えるかよ・・・そんなもん、切歌にでも・・・食わせとけ・・・」
一海が、そう言い出す。
その言葉が、訳が分からなくて、切歌は、朦朧とする意識の中で呟いていた。
「・・・で・・・」
「ああ?」
「なん・・・で・・・・なん・・・でぇ・・・・」
死にそうで、泣きそうで、寒くて、心細くて、余所者である筈の自分に、どうして、そんなことを言ってくれるのか。
まともに動かせない体の、手を、赤羽は唐突に掴んだ。
「カシラと、切歌ちゃんには・・・生きててほしいんですよ・・・」
その手を、力強く握り締めて、赤羽は必至に呼びかける。
「カシラと切歌ちゃんは、俺たちだけじゃない。沢山の人を、幸せにできるから・・・」
それに、と赤羽は続ける。
「カシラの傷心旅行に、巻き込んじまったからよ・・・こんなしょうもない理由で、死んでほしくないんだよ・・・」
「あ・・・う・・・」
まともに動かない口。それで何かを言おうと思っても、言えなくて、切歌は、自然と泣いていた。
「余所者である筈のアタシにも優しくしてくれて、自分より他人を優先して、本当に、バカデスよね・・・」
暗い部屋の中、切歌の頬から、何かが光った気がした。
「・・・だから、この人たちを殺してまで、力なんて欲しくないデス」
切歌は、俯きながら、その小さな拳を握り締めて、そう言った。
「・・・」
その言葉を聞いた一海は、何も言わずに扉に向かって歩き出す。
「どこ行くんだよ?」
戦兎の問いかけに、一海は扉に手をかけた所で、答える。
「・・・帰るんだよ。このまま戦っても勝ち目はねえからな」
そう言って、一海は扉を開けて出ていく。
「・・・アタシも、帰るデス」
そして切歌も、それに続くように部屋を出ていく。
その部屋の外では、去っていく一海と切歌の背中を、翼は静かに見つめていた。
「猿渡・・・暁・・・」
その後ろ姿を見届け、翼は、閉じる前の扉を押して、部屋の中に入る。
「戦兎」
「翼か・・・」
翼が、部屋の中に入った所で、ふと、声が聞こえた。
「・・・相っ変わらず・・・嘘下手だなぁ・・・カシラは・・・それに、切歌ちゃんも・・・」
そう言って、黄羽は、無理にでも起き上がろうとする。
「あまり無理は・・・」
「俺たちがいないと・・・」
翼が止めようとするが、青羽が遮る。
「何もできないんだからよ・・・」
そう言って、青羽も起き上がる。
その様子に、戦兎は心なしかアイテムを握る手に力を込めており、そこへ、戦兎の手を掴む手があった。
見れば、そこには、戦兎の手を掴む赤羽の姿があった。
「・・・・俺たちの命があれば・・・このアイテムは使えるのか・・・?」
目は口程に物を言う、という言葉がある。
彼らの目は、まさに、それだったと、戦兎は思った―――。
次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?
『―――日本国民に告ぐ』
ついに都市への攻撃を開始するダウンフォール。
「ホワイトパネルがなくなってるんです!」
その襲撃の最中、一海と切歌は、独断で政府官邸へと殴り込みをかける。
「全て思い出したぞ!」
そんな一海と切歌の前、再びメタルビルドとシャルティナが立ちはだかる。
「全ッ然足りねえなぁぁああ!!」
激突する両者、その戦いの行方は―――
次回『心火解放ハートブラスト』
「これで俺は、世界の覇者となる」
もうじき大学生なんで車の免許取りに行ってます。
あとオグリとブルボンが押しだったりします(ライスシャワー?語り合う必要あります?無論可愛い!
オリジナル章はやったほうがいいか
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バーサーカーソウル!(いいぞもっとやれ
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そんなことはどうでもいい!(どちらでも
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嘘を吐くな!(やるな