愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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ウォ「この本によれば、世界的ミュージックアーティストの風鳴翼は、仮面ライダービルドこと桐生戦兎と出会い、シンフォギア『天羽々斬』装者として、あらゆる異端技術と戦う運命にあった。そんな中で過去が変わり、仮面ライダーの存在しない世界へと変えられた世界で、彼女は小日向未来と共にかつての仲間であったS.O.N.G.と対立してしまうことになってしまう。その最中で現れたのは我らが魔王!仮面ライダージオウこと、常盤ソウゴである!」
翼「おいっ!?なに勝手にあらすじ紹介を乗っ取っている!?」
ソ「いいじゃんべつに。この小説でもウォズの口上を聞きたがってた人いるだろうし」
ク「だからってここはあくまで『ビルド』の世界なのであってお前らの世界じゃねえんだよ!!」
ゲ「本物を偽物呼ばわりしておいてよく言えたな」
ク「グハァ!?」
翼「雪音ぇー!!!」
未「本編の現状に耐えられずに喀血しちゃった・・・」
クロ「キュルル~」
未「ん?クロ、どうしたの・・・」
装者一同「ピクピク・・・」死屍累々
未「・・・・」
翼「・・・・」
ツク「・・・と、いうわけで、シンフォギア・ビルド オリジン・ザ・天羽々斬第三話をどうぞ!」
切「なりた、たいしん・・・でないの、デス・・・」
響「出なさすぎるよ・・・ウマ娘・・・」
翼「安らかに眠れ・・・」


望まぬリズーム

―――翼たちが消えて、二十四時間。

 

 

「痕跡がどこにも見当たらない?」

調査班の報告から、その様に呟くマリア。

「ああ。現場の監視カメラから、奴らはあのロボットに乗ってどこかに飛んでいったようだが、問題はその先、どこかへワープしたのだろうが、奴らが一体どこにいるのか、全く分からないのだ」

「上手く追跡を逃れてるってことかぁ?」

「それにしてはあまりにも巧妙過ぎる」

クリスの呟きに弦十郎はそう答え、モニターを見る。

「現場周辺、日本全国、そして、世界中の監視カメラをハッキングしても、奴らがどこに行ったのか分からなかった。ともすれば、森の中かと思い、未来君の神獣鏡の痕跡を辿ってみたのだが・・・」

「見つかる筈がない・・・」

「その通りだ」

つまりはお手上げ状態である。

「しかし、まさかこちらの動きを完全に止めちまうとはな」

もう一つ、モニターに映しだされた映像には、翼の偽物、未来、そして謎の仮面男が変身を解除したりロボットから人が降りたりしているのが映っていた。

それ以外の人間は全て、止まっていた。

完全なる停止である。

「まるで時間そのものを止められたかのような光景ね・・・」

「こんな現象、ボクでも見たことがありません」

エルフナインが、額に冷や汗を滲ませながらそう言う。

「全ての物理法則をその場で停滞させ、対象の時間を止める・・・意識すらも止めてしまうその能力は、まさに、時を止めるに相応しい力でしょう」

「そうか・・・」

「司令」

その最中で、ふと『風鳴翼』が弦十郎に尋ねる。

「私の偽物が纏っていたあの装束は一体なんなのですか?」

「そうね。見た所、シンフォギアと似通った何かを感じ取ったのだけれど」

「ふむ、お前たちには話しておいた方がいいだろう」

するとモニターに新たな画面が映し出される。

それは、翼が纏っていた戦装束に関するデータだ。

「RN式回天特機装束改・・・シンフォギアの前段階構想のものにして、かつて二課にて運用されていた、対ノイズ戦用の対抗手段だ」

「そんなものが・・・!」

「待って。かつて二課で運用されていたってことは、これは本来、二課のものということよね?」

「その通りだ」

マリアの質問に、弦十郎は頷く。

「シンフォギアが完成するまでの時間稼ぎとして、構想、作成された、かつて了子君が作った力だ。天羽々斬を核として、人の精神力によって起動するそれは、シンフォギアほどではないにしろ素質がある者であれば誰でも使える代物だ。そして、それを当時使っていたのは―――亡くなった翼の母親の『風鳴綾女』だ」

「お母様が・・・」

その名前に『風鳴翼』は小さく呟く。

「翼のママさんが使っていた力・・・それを何故、奴がもっているのかしら・・・」

「・・・・」

少し考え込む翼。

(奴にあの力を渡したのは一体誰だ・・・?)

まるで心当たりがない。

「何はともかく、問題は奴らがどこに行ったかだろ」

そこでクリスが口を挟み、本来の議題に路線をもどす。

「うむ、それについては未だ調査中・・・全力をもって探している」

「んな眠てえこと言ってられんのかよ。今もあの子はあいつらに利用されてんだぞ」

とげとげしい言葉でクリスは捲し立てる。

「分かっている。だが、奴らの足取りがつかめなければ、どうすることもできない。今はただ、待つことしか・・・」

その時だった。

「ん?これは・・・司令!」

「どうした?」

藤尭が声を挙げる。

「何者からか、座標情報が送られてきました!場所は・・・カ・ディンギル跡地です!」

「カ・ディンギルだとぉ!?」

それに一同は驚く。

「なんでそんな所に・・・」

「添付されていたメッセージ、開きます」

そしてモニターにとあるメッセージが映し出される。

 

『奴らの目的は時間の改変。時を超えて過去へと飛んだ。詳しい事が知りたくば指定された場所に来られたし』

 

罠、とも一概に捨てられない文章だが、気になるのは前者。

「時間の改変・・・?」

「過去に飛ぶって、どういう・・・」

訳が分からない、とでもいうような言葉に、一同は一概に首を傾げる。

罠、に見える。だが、今の彼らには少しでも情報が欲しかった。

「どちらにしろ、俺たちには選択肢はない」

弦十郎は、そのメッセージを受け入れた――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――2030年。

 

 

全てのものが、翼にとって何もかもが懐かしい東京の街の風景の中で、翼、ソウゴ、未来、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズはその街道を歩いていた。

「本当に、過去の世界だ・・・」

かつての風景に懐かしさを感じ、思わず微笑んでしまう翼。

「すごい・・・まさかタイムマシンが本当に存在していたなんて」

「でしょ?俺も初めての時は驚いたな」

「んなこと言っている場合か。今はいち早く時間改変の原因を見つけなければならんだろうが」

「それもそうだね。さて翼君、何か心当たりはないかね?」

「そう言われても・・・」

タイムマジーンでまとめて一緒にやってきたわけだが、問題の時間改変の原因が全くと言って分からないのだ。

だが、翼がそう呟いた直後に、けたたましいサイレンが鳴り響く。

「え?なに?何!?」

「ノイズ警報だ!いくぞ!」

「待ちたまえ」

すぐさま走ろうとする翼を、ウォズが引き止める。

「ここまでは今までの歴史と同じ通りだろう。さらに、ここは過去の世界、下手に干渉すれば別の方向への時間改変も起きてしまうのもおかしくはない。さらに言えば、今の時代にもS.O.N.G.・・・・いや、特異災害対策起動部は存在している筈だ。ここで目立てばしばらく狙われることになる」

「ッ・・・!」

それを言われて、翼は思わず歯を食いしばる。

確かに、翼はこの時代の人間ではない。さらに言えば未来の人間だ。

このようなことに下手に関われば、おそらくは―――

「きゃぁああ!!」

だが、そこで悲鳴が響く。

見れば、大量のノイズが人々に襲い掛かっていた。

ノイズは触れればたちまちに人を自分もろとも炭へと変える自滅型対人間兵器。

さらには位相差障壁の存在で武器すらもまともに通用しない。

出来る事と言えば、なるべく人が死なないように、シェルターに人々を逃がすこと程度―――。

その光景を、目の当たりにして、翼は――――

「・・・例え、そうだとしても・・・」

右手首のバングルに手を添えて、

「私には、見捨てる事は出来ない・・・!」

そのバングルの宝石を押し、翼はRN式改天羽々斬を起動する。

 

『Start Up. Resonance-type Kaiten special equipment』

 

激痛が翼の全身に走る。

「ぐ、ぅぁぁぁあ!?」

それに必死に耐え、翼は、体を覆う黒と這うラインを身に纏いながら叫ぶ。

 

「変身ッ!」

 

漆黒と青の戦装束を身に纏い、翼は刀を引き抜き、ノイズに向かって走り出す。

そして、一人の女性に覆いかぶさろうとしていたノイズを一体、瞬く間に斬り捨てる。

「は、え・・・」

「逃げろ!」

何が起きたのか理解していない女性の腕をもって立ち上がらせ、逃げるように促す翼。

そして、続けて他のノイズを目指して走り出す。

「翼さん・・・!」

「ツクヨミ君、君は未来君を連れて、歴史改変のヒントを探してきてくれないかい?ここは私たちでやろう」

「分かったわ・・・未来ちゃん、行きましょう」

「で、でも・・・」

「ここは皆に任せて」

「・・・分かりました」

ツクヨミが未来を連れてその場を離脱する。

「行くよ、ゲイツ、ウォズ」

「おう」

「ああ」

ソウゴとゲイツは、白と黒を基調としたドライバー『ジクウドライバー』を、ウォズは緑を基調としたベルト『ビヨンドライバー』を腰に装着する。

そして、それぞれの手に懐中時計型のアイテム―――『ライドウォッチ』と『ミライドウォッチ』を持ち、その時計部分を回転させて、上のボタンを押す。

 

ZI-O(ジオウ)!』

 

GEIZ(ゲイツ)!』

 

WOZ(ウォズ)!』

 

そのライドウォッチを、ジクウドライバーの『D'9スロット』、ビヨンドライバーの『マッピングスロット』に装填する。

 

『ACTION!』

 

そして、ジクウドライバーの真上にあるライドオンリューザーを押してロックを解除し、三人はそれぞれのポーズをとると――――

 

「「「変身ッ!!」」」

 

ジクウドライバーのジクウサーキュラーを回転させ、ライドウォッチのデータを展開・ロード。

ビヨンドライバーのクランクインハンドルを前方に倒すことで、ミライドウォッチのデータを送信する。

展開されたライドウォッチのデータがソウゴとゲイツを包み込み、また、ミライドウォッチのデータがビヨンドライバーのミライドスコープに投影され、一気にその情報がその身に纏われる。

 

それは、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者と、苦しめる人々を救い、時間を超越する救世主と、王者の僕でありその伝説を未来永劫に伝える預言者の、もう一つの姿―――

 

PROJECTION(トウエイ)ッ!!』

 

RIDER(ライダー) TIME(ターイム)!!』

 

KAMEN(仮面) RIDER(ライダー)!!ZI-O(ジオウ)…!!』

 

KAMEN(仮面) RIDER(ライダー) GEIZ(ゲイツ)ッ!!』

 

FUTURE(フューチャー) TIME(タイム)ッ!』

 

GREAT(スゴイ)PERIOD(ジダイ)FUTURE(ミライ)KAMEN RIDER(仮面ライダー) WOZ(ウォズ)WOZ(ウォズ)!!』

 

 

それこそが、魔王の始まりの姿―――いずれは魔王オーマジオウへと至る最初の姿にして王者―――仮面ライダージオウ。

 

それは、救世主が誕生した姿―――オーマジオウを打ち倒し、未来を守る、救世主への最初の一歩―――仮面ライダーゲイツ。

 

 

そして、預言と共にその覇道を語り継ぐ者―――魔王の家臣にしてその行く末を見届け、世に喧伝せしめる預言者―――仮面ライダーウォズ。

 

 

 

今、時空を駆け抜けた、時間のライダーたちがここに参上した。

 

 

「行くよ!」

「おう!」

「ああ!」

 

変身を完了し、三人はノイズを斬り捨てていく翼に加勢する。

別段、拳で殴れば問題なくノイズを消滅させられるし、さらに翼の斬撃も通用していない訳じゃない。

ただ――――

「くっ、威力が足りない・・・!」

いつかAnti LiNKERによって適合係数を下げられたときと同じようなやりづらさを感じる。

(常磐たちはあんなに戦えているのに・・・!)

ジオウ、ゲイツ、ウォズの三人は、襲い掛かるノイズを諸ともせずに叩き潰している。

ただ、位相差障壁など気になる事は色々あるが、とにもかくにも今は、目の前のノイズを殲滅しなければ―――

「しかし、この世界ってこういう奴がうじゃうじゃいるのか!?」

「ああ。この謎の生命体『ノイズ』は、触れるだけで自らもろとも人を炭に変えてしまうらしい」

「そんなもんが大量にあるとは、全くタイムジャッカーは何を考えているんだ」

ノイズを殴り飛ばしながら、ゲイツとウォズは考察する。

だが、その時、彼らが戦っている場所から少し離れた場所で、一人の女性が現れる。

その女性がノイズ、そして仮面ライダーと翼を見据えると、その衣服―――翼の来ているものと若干ラインの配置が違うが全く同じのスーツのラインが青く光り出し、次の瞬間、その場から消えたと錯覚出来るほどの速さで駆け抜け、瞬く間にノイズを殲滅、そして、仮面ライダーたちと翼をまとめて切り伏せる。

 

疾風ノ隼

 

「「「「ぐあぁあああぁああ!?」」」」

突然の襲撃に倒れ伏す一同。

「ぐ・・・一体、何が・・・」

炭が舞い上がる中、倒れ伏した翼が見たものとは、自分と似た格好をした一人の女性。

「え・・・」

そして、振り返ったその女性の顔を見て、翼は絶句する。

 

それは、写真で見た、父八紘と共に写っていた、女性――――

 

 

隼―――否、風鳴綾女だった。

 

 

立ち上がって、翼は信じられないとでもいう様に、母『風鳴綾女』を見た。

しかし、綾女の目は翼を冷たく睨みつけており、

「その装備・・・どこで手に入れた?」

「え?」

「いや、どちらにしろ、ここで捉えて尋問すればいいだけの話!」

問答無用で綾女は翼に斬りかかってくる。

「うあ!?」

刀と刀が激突し、火花を散らす。

(な、なんて重い・・・!?)

自分のものより数段上の威力の斬撃を受け、翼は戦慄する。

防ぐのもやっとなほどの嵐のような斬撃が、翼に襲い掛かる。

「ま、待って・・・待ってください!」

その最中で、翼は必死に呼びかける。

「ハア!!」

「ぐほ!?」

しかし容赦ない蹴りが翼の腹に突き刺さり、翼は地面を転がる。

「待て!」

その背後からジオウがジカンギレードで斬りかかるが、綾女はそれに恐ろしい速さで反応、ジオウの一撃を弾き飛ばし、流れるように反撃の一撃を入れる。

「ぐぅ!?」

そして、そのまま鋭い蹴りを顔面に叩きつけ、吹っ飛ばす。

「ぐあぁあ!?」

「我が魔王!?」

「ソウゴ!?」

ジオウが圧倒されるほどの強さ。

綾女はジオウが倒れたのを確認すると、倒れ伏す翼に向き直り、その剣を振り上げる。

「ま、待って・・・」

「聞く耳はもたん」

そして、容赦なく剣を振り落ろす。それに、翼は―――

 

「―――お母様ぁぁぁあああ!!」

 

目を閉じ思いっきり叫んだ。

「ッ!?」

その声に、綾女は直撃する寸前で刃を止めた。

「う・・・ぅ・・・?」

思わず手で顔を庇ったが、いつまでたっても来ない衝撃に、翼は恐る恐る目を開け、しかしすかさずその胸倉を掴まれて持ち上げられる。

「あぐ!?」

「お母様とはどういうことだ?貴様は一体何者だ?」

恐ろしい眼光で睨みつけてくる綾女。その綾女に対して、翼は歯を食いしばって答える。

「・・・翼です」

「?」

「貴方の娘の、翼です・・・これは、未来のお母様から賜ったもの・・・私は、未来から来たのです・・・!!」

そう、翼は綾女に告げた。

綾女の目が、さらに細まる。

「未来だと?戯言を・・・・!」

胸倉を掴む手に、力が入りかけたその時、唐突に彼女の言葉が途切れる。

「・・・櫻井」

『残念だが、奴の言っている事は正しい。ほくろがあるが、どうやら何等かの力で変えられているらしい。その()()()()()()()結果、実際の写真と照合した結果、誤差は二パーセント以下だ』

「・・・そう」

綾女が乱暴に翼を手放す。

「にわかには信じられないが」

「けほっ・・・信じてくれなければ、これをもっている説明がつきません・・・!」

軽く咳き込みつつ、翼は、身に纏うRN式改を解除する。

また、綾女も自ら纏う装束を解き、体の具合を確かめていた。

一応、収まったことを確認したジオウたちも変身を解除していた。

「・・・何故」

ふと、翼が綾女に尋ねる。

「何故、お母様がそれを纏っているのですか・・・?」

翼が今、最も初めに聞きたい事はそれだった。

何故、彼女がそんなものを着て、ノイズと戦っているのか。

その問いかけに、綾女は―――

「・・・風鳴を、潰す為よ」

「え・・・」

その言葉に、翼は目を見張り、綾女は再び入ってきた通信に耳を傾ける。

「なんだ?」

『そろそろ戻ってきなさい。目撃者は増やさない方がいいでしょう?』

「・・・それもそうだな」

通信を終え、綾女は踵を返す。

「すぐにここから離れたほうがいいだろう。時期、二課もやってくる」

「あ、待ってください!お母様・・・!」

翼の制止も聞かず、瞬く間にどこかへ消える綾女。

「え!?消えた!?」

「どこに行ったんだ!?」

それはまさしく、煙に巻かれたが如き消えようだった。

「・・・あれが、始まりの装者」

「この世界において、仮面ライダーに相当するシンフォギア装者の始まりは、あの女から始まったというわけか」

「謎が深そうだね・・・ツクヨミ君と未来君が手掛かりをつかんでくれるか・・・」

ふと、ウォズは遠くから駆けつけてくる車の音を耳にする。

「おっと、ここに留まりすぎると、今の時代の二課に目を付けられかねない・・・」

その言葉に、翼はしばし逡巡するが、先ほど綾女が呟いていた言葉を思い出す。

(櫻井・・・)

「くっ!」

その真意を確かめるべく、ウォズの忠告を無視して、翼は綾女を追いかけるように走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――綾女が向かった先、そこは、特異災害対策機動部二課の研究室の一室。

 

そこに入った綾女は、そこで待つ人物を見つけるとすぐさま問いかける。

「これで三件目、この一週間でここまでの頻度は今までに見ないぞ」

「それは重々承知している。ここ一週間で調べたところ、ある地点で特殊なエネルギー派を検知している」

綾女の問いかけに応えたのは―――白衣を着た一人の女性だった。

巻き上げるように纏めた茶髪、ピンクのワンピース、そして額縁眼鏡。

この二課にとって、最も欠けてはならない人物―――櫻井了子だ。

「エネルギー派?アウフヴァッヘンか?」

「ああ。ノイズ発生に紛れて、今まで気が付かなかったようだがな」

了子の言葉に、綾女は顎に手をあて考える。

「つまり、その聖遺物を破壊すればあるいは・・・・その聖遺物は何かわかっているのか?」

「いいや。だが、その聖遺物がここ最近のノイズの出現に関係しているのは間違いない」

それに、綾女は歯噛みする。

「すぐに破壊しなければ・・・」

「破壊するのはいい。だが、お前の装備じゃ破壊するのは出来ないだろうな」

「・・・どういうことだ?」

その言葉に、綾女は鋭い視線を了子に向ける。

「いくら同じ聖遺物とて、お前の纏うそれは玩具も良い所だ。それに比べておそらく向こうは起動状態の完全聖遺物。強度の時点でそれが劣るのは当然の帰結だ」

その了子の言葉に、綾女は俯く。

「・・・私の命を燃やし尽くせば・・・」

「死ぬ気か?」

その言葉に、綾女は何も答えない。

「・・・私に協力すると言ったのはお前だぞ?」

「それはお前の悲願が叶うまでの間だ。準備が終わるまで、私がお前の駒であることには変わりないが」

「ならば、駒らしく上手く動いて見せたらどうだ?」

そう了子が言うと――――

「・・・どういうことですか」

部屋の扉が、開く。

そこから、翼が、信じられないという表情で入ってくる。

「何故・・・お母様が、櫻井女史と・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、よもや我々と同じRN式改を使うものがいたとは・・・」

そう呟いたのは、2030年時点で、二課のオペレーターを務めていた『赤座優作』だった。

「他にもいた、謎の鎧を纏っていた三人の行方を捜していますが、巧みに躱しているようで見つからず・・・」

モニターを見ていた『柴木(しばき)条星(じょうせい)』はそう報告を上げ、それに、特機部二司令の風鳴弦十郎は神妙そうにうなずく。

「了子君も、何もしらないと言っているが・・・」

「正直怪しい所ですな」

赤座がそう答える。

「しかし、ここ最近のノイズの出現が、偶然発見した聖遺物によるものとは・・・」

「一体それがなんなのか、今一度調べてみる必要がありそうだな」

「風鳴機関、手を出してこなければいいですけど」

柴木の言葉で途端に空気が重くなる。

「だいたいあの老害風情が作った組織になんで僕が入ってるんだほんとはサラリーマンとして家のしがらみにとらわれず順風満帆な人生を送るはずだったのになぜこんなろくでもない奴らが作ったろくでもない組織にいるわけそりゃあ司令は別だけどそのほかあのクソジジイについてるやつは一切ダメだむしろ死んだほうがいいだろくそ野郎この野郎あーイライラするビール飲みたい鳥串食べたい休んで田舎で遊びたーい」

「ま、まあ落ち着いてくれ柴木さん・・・」

「っ・・・すいません、取り乱しました」

「いや取り乱し過ぎたってレベルじゃねーだろ」

男三人、呆れ合う。

「それで、どうするんですかぁ?」

「無論、早期解決が望ましい。すぐにその聖遺物の調査をしなければならない。場合によっては、破壊もありえる」

「破壊っすかー、綾女さんのあれで破壊できますかね?」

「分からんな・・・」

そこで、弦十郎は俯く。

「・・・了子君の話から、命を削るほどの力を発揮できれば、不可能ではないとのことだ」

「命を、削るですか・・・」

「それって最悪死ねってことですよね」

柴木の言葉に、一気に部屋の空気が重くなる。

「・・・すんません」

「いや、貴方の言ってることは正しい。最悪俺は、あの人に対して・・・」

その先を、弦十郎は言い淀む。

しかしその時、弦十郎の視線が背後にある扉に向いた。

 

 

 

その扉の向こうで、ツクヨミと未来は聞き耳を立てていた。

「聖遺物、か・・・」

「一体、なんの聖遺物なんだろう・・・」

未来は考え込む。自分の持つ記憶の中で、そのような聖遺物はあっただろうか。

「それが、歴史改変の手がかりになるかも・・・」

そう思い、さらに聞き耳を立てていると、不意に中の空気が変わったことを感じ取り―――

 

 

「誰だ!」

赤座が鋭い声で扉を開けて叫ぶ。

しかし、そこには誰もいなかった。

「・・・逃げたか」

赤座はそう呟く。

その何もない空間を、弦十郎は訝しそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

母と、かつての宿敵が共にいる。

その事実に、翼は信じられないとでもいうかのように、二人を見ていた。

「協力とは一体・・・・お母様は、櫻井女史の・・・フィーネの計画に加担しているとでもいうのですか・・・!?」

「ほう・・・」

そこで、了子が立ち上がって、翼を眺める。

「私の真の名を知っているとは・・・なるほど、未来から来たというのは存外嘘ではないようだな」

「お前には何も聞いていない・・・!」

「まあそう急くな。それに、それを望んだのはお前の母だぞ?」

「なんだと・・・!?」

ありえないことに混乱している翼に、了子はさらに言葉をぶつける。

その言葉に、翼は思わず綾女の方を見る。

「・・・私の目的は『風鳴』を潰すこと。その為には、力が必要だった。それだけだ」

「っ・・・その為に、櫻井女史に協力して、月を・・・」

「そうだな。だが、風鳴を潰せるなら、月が壊れようが関係ない」

その言葉に、翼は思わず自分の足元がなくなるような感覚を覚える。

(たかが、風鳴を潰す為だけに・・・そこまで・・・)

一体、何が彼女をそこまでさせるのか―――

信じていたものが崩れる感覚、望まない事実を突きつけられた感覚、そして記憶に残る母親との思い出に、亀裂が走るような感覚。それらが、翼の精神を大きく揺らがす。

「はあ・・・はあ・・・」

動悸が激しくなる。

呼吸も荒くなり、まともに思考判断が出来なくなる。

頭を抱え、その事実を拒絶する。

あの優しかった母が、そんなことするはずないと、目の前の現実を否定する。

「・・・お前か」

翼は、視線を了子に向ける。

そして、その胸倉を掴み上げて、怒りのままに叫ぶ。

「お前がお母様を洗脳でもしたんじゃないのか!?」

「だとしたらどうする?」

嘲笑うかのような了子の言葉に、頭に血が昇る。

しかし、翼が次のアクションを起こす前に、綾女が翼の腕を掴み、そして投げ飛ばし翼を倒す。

「うぐあ!?」

倒れる翼は、母親を見上げる。

「お母様・・・!」

その綾女の視線は、どこまでも静かで、冷たい。

それが、事実を雄弁に語っていた。

「ふぅー、ふぅー・・・ぅぅ・・・!!」

獣のように唸る翼は、その右手に光るバングルを、震える腕で持ち上げ――――そんな翼の手を、ソウゴが掴む。

「翼」

「っ!?」

思わずソウゴを睨みつける翼。

しかし、ソウゴは冷静に、翼に語り掛ける。

「ここは過去なんだ。過去は変えられない。例え望んだものじゃなかったとしても、受け入れるしかないんだ」

そのソウゴの言葉に、翼は、泣きそうな声をあげて、そして母親の方を見る。

それでも綾女はただ翼を見ているだけであり、その眼差しに、翼は再び泣きそうになり、

「う・・・ぅぅ・・・」

その拳を握り締めて、よろよろと部屋を出ていった。

そしてソウゴは、一度綾女たちの方を一瞥すると、先に出ていった翼の後を追って部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

二課近くの公園にて――――

 

「聖遺物の破壊?」

ツクヨミと未来が手に入れてきた情報に、ソウゴはそう呟く。

「なんでも、その聖遺物が原因で、ここ最近のノイズの発生件数が増えてるみたいなの」

「それで、二課としては、場合によってはその聖遺物を破壊すると言ってまして・・・」

「っていうか、その聖遺物ってなんなの?」

「・・・・ギャラルホルン」

翼が、唐突に呟く。

「平行世界同士を繋げる、完全聖遺物・・・平行世界の異常を感知すれば、すぐにその世界とこちらの世界をつなげる。その際に、向こうの世界のノイズがこちらの世界に流出することもある・・・だが・・・」

「私たちの知る世界では、そんな聖遺物の名前は一度も出てこなかった・・・」

そう、翼の場合は、あの歴史になってから記憶を取り戻したために、ギャラルホルンのことは知っていた。だが、本来の翼が知る歴史では、そんな聖遺物の名前は一回たりとも出てこなかった。

翼がそれを知れたのは、保有していたギャラルホルンが異常な反応を示し、アラームを発したからだが。

「その聖遺物と繋がった平行世界から、ノイズが流れ込んできているっていうわけか・・・」

「どうやらそれが、歴史の改変ポイントのようだね」

「あの、一つ気になったんですけど・・・」

「何かな?未来君?」

「戦兎先生たちの世界の方に異常がある、というのはありえないのでしょうか?」

「確かにな。だが、アナザーライダー・・・いやライダーか?まあ、アナザーが出てきたのはこちらの世界だ。だから、歴史改変の原因はこっちの世界にあると踏んだ訳だ」

「なるほど・・・」

その言葉に、未来は頷いた。

「うん、その聖遺物を破壊出来れば、歴史は元に戻る」

ソウゴのその言葉に、一同は頷く。

一人を、除いて。

「・・・・」

翼は、ふと黙って、踵を返してその場から立ち去る。

「翼さん?」

その様子に、未来はそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

翼が訪れたのは、風鳴八紘邸だった。

芝生垣の合間から、家の庭を静かに眺め、そして、記憶の片隅にある、母との思い出を思い起こす。

(ここで、お母様に、自分の夢を語ったのだったな・・・)

 

自分の歌をみんなに聞かせる―――ただそれだけのことだった。

 

漠然とした様子で、翼はその景色を眺めていた。

ふと、翼は誰かが近づいてくるのを感じた。

ソウゴ、かと思ったが、それにしては足音が軽い。

では何かと思い、視線を向けてみれば、そこにいたのは、幼き頃の自分であった。

寂しそうに歩くその姿は、父親に拒絶された時の落ち込んでいる時のようだった。

いや、実際に落ち込んでいるのだろう。

(お母様に語ったことを、お父様に言ったら、出ていけと言われたのだったな・・・)

まだ当時六歳であった自分には、その時の父は恐怖の象徴であったなと、つくづく思った。

まだ幼き頃の翼は、小学生故のランドセルを背負って、翼の横を通り過ぎる。

俯いていたからか、翼自身の存在には気付かなかったそうだ。

(まだ何も知らない、幼い自分・・・)

その幼い自分に、未来で何が起こるのかを伝えたら、どう思うか。

いや、きっと、混乱するのだろう。

まだ、風鳴の家に生まれた重荷を知らない年ごろなのだから。

そして、再び人が近づいてくる。

ソウゴだ。

「・・・全ては、私の一族が原因だったのだ」

そんなソウゴに、翼は独り言のように言う。

「私のお爺様、いや、風鳴の一族はあれでも多くの恨みを買ってきた一族だ。そんな一族に復讐したいと思う輩は多くいる・・・お母様も、その一人にすぎなかっただけだ」

ぐっと拳を握り締める。

今にも泣きそうな声で、翼はそう呟きながら、翼は家から離れるように歩き出す。

そんな翼の後を追いつつ、ソウゴは翼の呟きに答える。

「そっか、色々と抱えてるんだね」

「・・・私は、母が分からなくなってしまったよ」

ふと立ち止まった翼が、そう呟いた。

そんな翼に、ソウゴはしばし逡巡する。

「そう思うんなら、変えればいいじゃない?」

ソウゴは、そう翼に言った。

「・・・過ぎた過去は、変えられないのだろう?」

「うん、過ぎた過去はね」

そう言って、ソウゴは翼の前に出る。

「でも、ここから先は、俺たちにとっては未来だろ?未来なら、変えられる」

笑って、ソウゴはそう言った。

 

「――――そんなことはさせねえよ」

 

しかし、そんな二人に、そう言う者たちがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って、公園にて。

「ソウゴたち、遅いわね」

「もしかしたら、先に行っているのかもしれないね」

ツクヨミの言葉に、ウォズがそう答える。

その時、未来は、背後から気配を感じ取って後ろを振り返った。

その未来の行動に、一同もそちらを向くと、まるで信じられないとでもいうように、その目を見開いた。

 

―――そこに立っていたのは、響だった。

 

「・・・響?」

「見つけたよ。未来」

響は、悲しそうに未来を見ていた。

「おい、どういうことだ・・・!?」

「時を超えられるのは、あなた達の専売特許じゃないということよ」

背後からそのような声があがり、振り返ればそこに立っているのはマリアだった。

さらに周囲を見渡せば、そこに調や切歌もいて、完全に囲まれていた。

「彼女らがいるということは、おそらく・・・」

「タイムジャッカーの仕業ね・・・」

何かしらの方法で彼女らをそそのかし、この時代に呼び寄せたのだろう。

「あなた達ね、魔王の手先っていうのは」

「はあ?」

しかしいきなり全く予想もしてなかった言葉がマリアから出てくる。

「よくも未来さんを・・・」

「魔王は倒されるのが決まりなのデス!」

「何言ってんだこいつら・・・」

「どうやら、タイムジャッカーは私たちを悪役とすることで彼女たちを味方につけたらしい。厄介だね」

騙している、と言った方がいいのか。

「待って、響!この人たちは・・・」

「大丈夫だよ、未来。すぐに、その洗脳を解いてあげるから」

「響・・・!!」

もはや聞く耳をもってはくれない。

「どうやら、戦うしかないようだね」

「チッ、面倒なことを・・・」

それぞれがそれぞれのライドウォッチを取り出す。

「未来君、どうやら彼らは、すぐにでも君を取り戻したいらしい。君はどうする?」

「・・・・」

ウォズの言葉に、未来は黙ってその手を差し出す。その手にクロが乗る。

「・・・戦います」

そして、そう言った。

 

『STANDBY!』

 

GEIZ(ゲイツ)!』

 

WOZ(ウォズ)!』

 

TUKUYOMI(ツクヨミ)!』

 

ゲイツ、ウォズ、ツクヨミの三人が腰にベルトを巻き、そして未来はクロのスタンバイスターターを押す。

 

『ACTIONッ!』

 

そして、ライドウォッチをジクウドライバーのD'9スロット、ビヨンドライバーのマッピングスロットに装着、待機音と共に、それぞれがそれぞれの構えをとる。

それに対して装者たちは、その手にギアペンダントを握り締め、聖詠を歌う。

 

「「「変身ッ!!」」」

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(希望の為のカウントダウン)―――」

 

「―――Seilien coffin airget-lamh tron(望み掴んだ力と誇り咲く笑顔)―――」

 

「―――Zeios igalima raizen tron(夜を引き裂く曙光のごとく)―――」

 

「―――Various shul shagana tron(純心は突き立つ牙となり)―――」

 

「―――Rei shen shou jing rei zizzl(鏡に映る、光も闇も何もかも)―――」

 

PROJECTION(トウエイ)ッ!!』

 

RIDER(ライダー) TIME(ターイム)!!』

 

KAMEN(仮面) RIDER(ライダー) GEIZ(ゲイツ)ッ!!』

 

FUTURE(フューチャー) TIME(タイム)ッ!』

 

GREAT(スゴイ)PERIOD(ジダイ)FUTURE(ミライ)KAMEN RIDER(仮面ライダー) WOZ(ウォズ)WOZ(ウォズ)!!』

 

KAMEN(仮面) RIDER(ライダー) TUKUYOMI(ツクヨミ) TU KU YO MI(ツクヨミ) !』

 

 

それぞれがそれぞれの戦う姿へと変身する。

 

響はガングニールを、マリアはアガートラーム、切歌はイガリマ、調はシュルシャガナ、未来は神獣鏡、ゲイツは仮面ライダーゲイツ、ウォズは仮面ライダーウォズ、ツクヨミは仮面ライダーツクヨミへと変身する。

 

 

 

そして、その様子を眺める者が、一人――――

漆黒の衣装を身に纏った、その男の正体は―――

 

 

 

 

 

シンフォギアと仮面ライダーの激突は、もう、止められない。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

激突する装者とライダー。

「戻ってきて!」

向けられる仲間からの牙。

「逃げんな偽物ォ!!」

繰り出される問題。

「ここで問題だ」

その戦いの行方は――――


次回『チェインするシビルウォー』


「私の名は『カイン』」




未「今日もマリアさんいなかったですね」
翼「そうだな・・・む、誰かからの電話・・・」
アル『あ、もしもし翼さん?』
翼「ストレイ社のヒードマン?一体どうした?」
アル『いやーエリザちゃんの帰りが意外に遅くて、マリアちゃんからの連絡もないからさ。そっちにマリアちゃん帰ってる?』
翼「いえ、まだですが・・・」
アル『そっかぁ・・・まだ純粋な君を汚したくはなかったんだけど・・・』
翼「え?汚すってどういう・・・」
アル『あとで座標送るから、そこで落ち会おう?お互いの大切な相手を回収しておかないと』
翼「はあ・・・?」
アル『前まではテレポートジェムでどうにかしてたんだけど切らしちゃってね~。ごめんね~忙しい時に』
翼「いえ、それほどでも・・・」
アル『それじゃ、また後で』ピッ
未「どんな電話だったんですか?」
翼「いや、よく分からない・・・」



その後、マリアと共に真っ赤な顔をした翼が目撃されたという―――。
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