キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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10話 "集楽平原"

「もうすぐ着くぞ! 」

 

「クソ、俺達が一番最後かよっ」

 

「無駄口叩いてないで馬を走らせろ! 」

 

 

 魏軍が侵攻開始して三日。私達は咸陽から魏軍を殲滅せよの名を受け、合戦の地に急いでいた。

 それから休まず馬を走らせて四日……馬も限界だっ

 

「膠! 」

 

「なんだ、ジィ!」

 

「あれみろっ、ジィというな! ワシには昌文君という名がある! 」

 

 

 前方の丘で黒い狼煙が上がった。

 

 

「王騎様あの狼煙は! 」

 

「わかっていますよ膠……」

 

 

 黒い狼煙は王騎達へ貴皇の陣を教えるものであった。

 

 

「貴皇様……王騎軍が到着しました」

 

「あぁ」

 

 

 貴皇が立つのは平原を見渡せる丘であった。貴皇陣営の丘には黒い甲冑を付けた兵達が微動だにせず、配置についていた。

 その丘を登ってきた王騎軍は他の戦場よりも空気の重さの違いを感じていた。

 

 

「お待たせしました、貴皇さん」

 

「王騎将軍、援軍痛み入ります。代わりの馬を用意させましたのでご自由に……」

 

「ありがとうございます」

 

 

 馬を降りた王騎らは武将達が集まる陣へ入る。天幕が開くと貴皇と同じように仮面をつけた側近らが立ち上がった。

 王騎ら側近もその場の空気の張り詰めを感じた。

 

 王騎は一人平原を見渡せる場所へと移動した。

 

 

「ヌフフ、久しぶりですねぇ〜この熱は」

 

「王騎将軍、お疲れとは思いますが軍の配置について話が」

 

「貴方はどなたですか? 」

 

「失礼を、私は副官を任されました"尚相"と申します……」

 

 

 その名に唯一反応したのは昌文君であった。

 

 やはりこの男は咸陽にいた男……なぜ此奴の()()()は訳ありしかおらんのだ

 

 

「同じく副官の雁翔と申します」

 

「では私の副官を務める者共を紹介します」

 

「昌文君と申します」

 

「王騎様の副官・膠という」

 

 

 昌文君……昭王から信頼を受けているという武将……

 

 膠というば、貴皇様に噛み付いた女か……各地で大将首を上げた若き剛将。

 

 

「今はなによりも時間がほしい、王騎将軍こちらへ」

 

「おい、王騎様はおつかれ──」

 

「やめなさい膠……」

 

「王騎様……」

 

「では始めますよ」

 

「その前に一つ、全軍の指揮は王騎将軍が? 」

 

「そのように大王から言いつけられました」

 

「王騎将軍……この戦は()()()で行きたい」

 

「な」

 

「お、お待ちよ貴皇殿! それでは──……」

 

「待て昌文君とやら、貴方の言いたいことはわかっている。がそれではダメだ……魏軍の裏を取らねば」

 

「? 」

 

「そういうことですかぁ」

 

「魏軍総大将は紫伯ではないように見える」

 

「ん? では誰が……」

 

「考えられるとしたら"魏火龍七師・霊鳳(れいおう)"」

 

「! 」

 

「は!? 戯言をほざくな! 」

 

「いいかげんにしなさい膠……」

 

「ですが、そんな報告はありません! 」

 

「私の勘だ」

 

「! 」

 

()()ですか……? 」

 

「いや少し違う……魏軍の数の予想は三万だったが六万近くもいる。紫伯は将軍だが魏火龍に入ってまだ日が浅い、そして何よりも……紫伯が動く時は必ずもう一人魏火龍が引っ付く」

 

「…………」

 

「情報を細かく収集しているが信頼を置く近衛兵数人が通過点にある城内で消されたことも確認している……それほど紫伯の頭が回るとは思えない」

 

「確かに紫伯はどの戦でも全軍を後回しにして最前列にいますよ、ねぇ謄? 」

 

「ハッ、おかしな男です」

 

「他の魏火龍は違う国と戦をしています! 」

 

 

 貴皇の情報と自分達の経験を照らし合わせれば、納得のいく読みであった。

 そして驚くべきはその情報収集能力であった。

 

 

 やはり怪しすぎるこの男……この戦場が初陣と聞くがこれほどの情報をいったいどこから──……

 

 

「もし向こうに霊鳳がいればこの軍は被害は想像が付かない……だが王騎将軍が自由に動かせればこちらは大きい」

 

「わかりました、私は副官として動きます」

 

「王騎様! 」

 

「頼みました、では各軍の配置を発表する」

 

 

 数十分程度で陣と策を伝えられた王騎軍を左の山を越えた平地に二万の軍を動かした。そこに尚角五千が加わった。左翼総兵・二万五千。

 

 右翼には尚深率いる五千に王騎軍三千が加わった軍が配置にした。右翼総兵・八千。

 

 

 そして中央は貴皇軍・四万を配置、後方には尚相率いる七千の予備軍を置いた。中央総兵・四万七千。

 

 

 なにより秦軍総兵力・八万を率いるは総大将・貴皇。

 

 

「なんで私が王騎様の軍ではなく、ジィと同じなのだ! 」

 

「ジィと呼ぶな貴様! 」

 

 

「おい貴様ら、無駄口叩いてないで配置につけ! 」

 

 

「わかってる! いちいち言うな!! 」

 

「なんだと貴様! この小娘がっ! 」

 

 

「やめろあれでも将軍だ……」

 

 

「しょ、尚深様! 」

 

「まぁ使えるかどうかは知らんぬがな」

 

 

 と下にいる膠を睨みつけ、それを見た膠も睨み返した。

 

 

「尚深様、陣へお戻りを……」

 

「今行く」

 

 

「あやつが大将か……」

 

「なによアイツ! 気に入らないはね、私より実力あるの? 」

 

「わからぬ、あの男()()()

 

「? 」

 

 

 貴皇を固める側近らを調べたが、あの男だけ全てが不明であった……大将を務めるのだ実力は足りるだろう……

 

 

「貴皇様全軍配置につきました」

 

「魏軍右翼は一万、右翼には二万五千、中央は四万程度に配置についたようです」

 

 総兵力・七万五千

 

「なぜ防衛する方の人数が少ない……」

 

「え? 」

 

「攻められている方の人数が多いのが戦の常識ですが、各地への徴兵により」

 

 

 中央に残った同金はいいづらそうに話した。

 

 

「六大将軍の残りの四人かっ」

 

 

 両軍の数は互角とも言えるようになった。そのおかげで勝負を決めるのは総大将の采配に掛かってしまったのだ。

 

 

「魏国の侵略者共にここを攻めたことを後悔させてやりましょう!」

 

「殿! 」

 

「貴皇様! 」

 

 

 ──……よし

 

 

「魏火龍が二人消えることは即ち魏国の()()を意味する、それがここ──……」

 

 

 集楽平原(しゅうらくへいげん)ッだ──ー!! 

 

 

「第一陣を突撃させろ 」

 

 

 頼むぞ雁翔──

 

 

 お任せあれッ!! 

 

 

「第一陣突撃だ!! 行くぞォォ! 」

 

 

『オオオオ!!! 』

 

 

 さぁ、始めようか

 

 

 

 

 

 

 

 

 




すぐ明日には投稿します。遅くてごめんなさい

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