キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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台風準備で遅れました。みなさんも気をつけてください

どうぞ

停電で更新できなくなるかもしれないので、多めに書きました


11話 "笑み"

「第一陣突撃だぁーー!! 」

 

『オオオオオオオオ! 』

 

 

開戦と同時に仕掛けたのは雁翔率いるは一万の中央軍であった。

 

 

「重装騎兵団、突破口を開け! 」

 

『オオ!! 』

 

 

雁翔並みの屈強な男達が歩兵達の前に出る。

 

 

「く、くるぞ! 隙間を開けるなッ」

 

「三重の陣だ! 」

 

 

盾を持った魏軍の兵が縦に三人隙間なく並ぶ。歩兵の前を出た騎兵は盾に迷わず、突入した。

下からすくい上げるように矛を扱うと魏の盾兵達が空を舞った。

 

 

「ウォオオ! 」

 

「ぐっ! 」

 

「ゲバッ」

 

 

穴の空いた隙間を歩兵達が切り開いた。

 

乱戦。

 

初日の開戦にして中央は乱戦へと突入した。貴皇は雁翔軍が得意とする乱戦へと持っていった。

 

 

「よし! 第六、七隊を左方へ!」

 

「ハハ! 」

 

 

オオオオオオオ

 

 

開戦は山を越えて左翼にも響き渡っていた。

 

 

「どうやら中央は始めたようですねぇ」

 

「貴皇軍が仕掛けたようです」

 

「では、こちらも始めますか……」

 

 

左翼軍は開戦の銅鑼を鳴らした。

 

 

「第一陣は四重の陣を! 敵の策を探ります」

 

『オオオ!! 』

 

 

王騎軍は防壁を作り、じっくりと敵と対峙した。そしてその頃右翼では未だ開戦に至っていなかった。

山の向こうから味方の雄叫びを聞き、兵達の士気は上がっていたのにも関わらず

 

 

「おいまだか! 」

 

「まだ待機の旗が上がったままだっ」

 

「先に仕掛けられるぞ! 」

 

「いや、魏軍にも動きがない……? 」

 

 

本当になにやってんだあの尚深とかいうやつ……怖気付いたのか?

 

 

「私が直接言ってくる! 」

 

「待て、膠! 」

 

「なんだ! 」

 

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ!

 

 

「! 」

 

「なんだ…? 」

 

「尚深様何よ? 」

 

 

尚深は矢を抜くと空に向け打った。それから右翼は睨み合ったまま1日目を終えた。

 

その夜、魏軍本陣。

 

 

「可笑しな総大将だな……剛城城主・貴皇とやら」

 

魏軍総大将・霊鳳

 

 

「私はてっきり王騎を置いてくるかと思いましたが……」

 

魏軍左翼大将・呉鳳明(ごほうめい)

 

 

「お前の所はなにもなかったようだな」

 

「はい、睨み合いで終わりました。部下の中には仕掛けるべきだと意見するものも多く……」

 

「若造に大将を取られて躍起になってる。舐められるなよ鳳明」

 

「ハッ」

 

「明日は細かく左翼の情報を送れ」

 

「心得ました」

 

 

なぜ、貴皇は左翼を動かさなかった?……秦軍総大将・貴皇は何を考えている……

 

 

「明日動かせるのは右翼だ」

 

「王騎の方を…ですか? 」

 

「右翼は一進一退…少しでも判断を間違えれば取り返しのつかないことになります」

 

「王騎を戦場に引っ張り出す……王騎が死ねば右翼は崩壊する」

 

「あの王騎が簡単に討たせてくるとは思えません」

 

乱美白(らんびはく)の予備軍五千を使う」

 

「右翼は開戦から同時に押し込み、王騎を引きずり出す。そこを乱美白が討つと……」

 

「勢いが止まった所で左右から挟み込む」

 

「ハァ! 」

 

「紫伯軍は?」

 

「……………彼にはまだ予備軍として中央に残す」

 

「ハハァ!」

 

「……………」

 

 

私なら乱美白より紫伯様を動かした方が……

 

 

「! 」

 

 

いや動かさないのか! 中央の予備軍一万と左翼の動きによってどんな戦局でもひっくり返せる……

そうなれば貴皇の読みが分かる……明日の戦況が全てを決めるッ

 

 

「………フ……」

 

「どうなされましたか貴皇さん? 」

 

 

秦軍本陣では王騎ら側近と貴皇ら側近が飲み交わしてした。貴皇は少し離れた所で一人酒を飲んでいた。

 

 

「貴皇殿! 」

 

「昌文君殿……」

 

「昌文君でよい」

 

「それで何用かな、こんないい月が出てる時に」

 

「貴方の策を教えていただきたい」

 

 

と横に椅子を置き座った。酒を飲み交わす側近らの中で唯一目を離してなった尚深は近くに置いていた弓に手を伸ばした。

 

 

「策は教えたましたが……」

 

「大雑把すぎる! 王騎が黙っているからワシが聞きにきたのだッ」

 

「フハハ! 」

 

「何がおかしい! 」

 

「王騎将軍は俺に託したら黙って見守っている、アンタも黙ってろ」

 

「なんだと貴様! 」

 

 

ドガッと椅子を倒して立ち上がった昌文君に酒を飲んでいた側近らも気づいた。

 

 

「よせ尚深!! 」

 

 

後ろを振り向くことなく、貴皇は大声を上げた。そこには弦を弾く尚深の姿があった。

それを見た尚角が上からのしかかった

 

 

「€〆^&&×・=<= 」

 

「昔に戻ってるぞバカ! なんて力だ、雁翔(旦那)弓を取れ! 」

 

「お、おう」

 

「尚相も手伝え!」

 

「了」

 

 

酔った勢いもあるのか尚相は尚角もろとも押しつぶした。

 

 

「ぎゃあーーーー! 」

 

「な、なんだ一体!? 」

 

「フハハ! 尚深が人間の言葉以外を喋ったのは()()()()だぞ」

 

「…………」

 

「ヌフフフ、昌文君」

 

「王騎」

 

「昌文君、彼に任せておきましょう」

 

「そうそう」

 

「…ッ……ッッ! 」

 

 

何か言いたそうな昌文君は血管を浮かべながら立ち去っていた。

 

 

()()と中途半端な立場にさせて申し訳ない王騎将軍」

 

「いいんですよ、私も嫌ではありません」

 

「? 」

 

「コココ、こちらの話ですよ…ですが今は」

 

「わかっています、こんな所で死んでは父に殴られます」

 

「明日も酒を飲みましょう」

 

「……喜んで」

 

 

 

集楽平原・二日目

 

 

 

貴皇軍三千を追加した秦軍左翼は開戦から押される形になった。

 

 

「第六隊壊滅! 」

 

「第三、四もやられたぁ! 」

 

「敵後方より五千の兵が! 」

 

 

初回からマズイ流れになってきましたね、流石は霊鳳です。

 

 

「本軍を動かします! 行きますよ! 」

 

『ハハァッ!! 』

 

 

王騎軍は染められる流れに正面からぶつかり、一部の流れを大きく変えた。

 

 

「おお! 殿が出られたか! 」

 

「皆の者、殿のに続けぇ! 」

 

 

王騎出陣に各場所で戦っていた軍長達はそれに鼓舞した。だが王騎が魏軍左翼本陣に近づくが……

 

 

「フオオオオ!! 」

 

「ム! 乱美白ッ」

 

 

ファルファルファルファル!

 

「! 」

 

 

王騎目掛け乱美白が馬を走らせるがその間に騰が飛び込んできた。

 

 

フォル!

 

 

「フォル? 」

 

「フオオオオ」

 

「ここは頼みましたよ騰! 」

 

「心得ました」

 

 

半数の騎兵を置いて、先を急いだ王騎はまた脚を止められることになる。

 

 

「貴方とやり合うのは何度目ですかね? 」

 

「フオオオオ!! 」

 

 

 

「霊鳳様! 予想通りに王騎は右翼本陣へ向かっています! 」

 

「伏兵を出せ」

 

「ハッ」

 

「右翼予備軍二千を正面から当たらせろ」

 

「ハハッ! 」

 

 

霊鳳の命令通り右翼予備隊二千が正面からぶつかりにかかると王騎軍の勢いが弱まり、止まった。

 

 

「お、王騎様これはッ」

 

「後ろに引きますよ! 」

 

「ハハァ! 」

 

「だ、ダメです! 左右から敵がッ」

 

 

マズイですね〜、貴皇さんが援軍にくれた三千がいなければ孤立していました。

 

 

だがその三千の貴皇軍も数の暴力に崩壊寸前であった。

 

「尚角様、王騎軍が囲まれています! 今すぐ援軍に行きましょう」

 

「………………」

 

「尚角様? 」

 

 

王騎軍予備軍としていた尚角率いる五千の兵は未だ後方で待機していた。

 

 

「……………」

 

 

副官達の声に耳を貸さずただ戦場を見つめていた。

 

そして秦軍右翼でもーー…

 

 

「ハハァ! 」

 

「ブオオ!! 」

 

「やるなジィ! 」

 

「怒りをぶつける場所がここしかないからな!! 」

 

 

だけどこのままじゃ、左が押し込まれてここも危なくなるッ……なぜ予備軍を出さないッ

 

 

二日目は開戦と同時に魏軍が仕掛けた。一進一退だったが攻めてくる魏軍に押され気味になった

 

 

「左方が押されています! あそこに兵を! 」

 

「………」

 

「尚深殿!? 」

 

「今すぐ指示をッ! 」

 

 

尚深も同じく戦場を見つめていた。

 

瞬間

 

 

ドランドランドラ〜〜〜〜ン!!

 

 

突如、鳴り響いた銅鑼の音。

 

 

「!? 」

 

「? 」

 

「なんの音だ? 」

 

「ジィあれを見ろ! 」

 

「あれはーー…」

 

 

音の発信源は秦軍左翼であった。それは死を覚悟していた貴皇軍三千に届いた一筋の光であった。

 

 

「お、おいアレを!! 」

 

「あれはーー…」

 

 

兵士達が指を指す方向にその場の誰もが顔を向けた。丘の上で一つの旗が高く上がる。

 

 

『貴』

 

 

それは総大将・貴皇の左翼参戦を意味した。旗を持つのはもちろん……貴皇本人であった。

 

「王騎様アレは!? 」

 

「…………」

 

 

そして貴皇本陣から援軍に来た兵士達は唖然としていた。

 

 

「貴皇様ーー…」

 

「貴皇様だ…」

 

 

貴皇はバッと旗を上げた。

 

 

 

『戦え! 貴皇軍よッ』

 

 

 

「……ッ」

 

「……ッッ…ッウ」

 

 

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!! 』

 

 

 

大地が揺れ、大気が揺れる。死の端にいた貴皇軍三千の兵士達は前線を押し込んだのだ。

ここに来ての士気の爆発である。

 

 

「な、なんだこれは!? 」

 

「………ここまでとは」

 

 

フフ…流石は貴皇です……

 

 

王騎軍ですら、戦慄する程の士気の爆発であった。貴皇が槍を前に構えると、後ろの林から騎兵が現れ戦場に飛び降りた。

 

 

オオオオオオオオ!!

 

 

「よし! 尚角軍行くぞ! 」

 

「ハ! 貴皇様の元にですな? 」

 

「いや…()()()()()()()()

 

 

「霊鳳様! 」

 

 

「なんだ!? なんの騒ぎだ! 」

 

「それが右翼の側面に秦軍総大将が現れ、横を突かれています!」

 

「な、なんだと!? 」

 

「バカなッ、本陣を捨てたのか? 」

 

 

慌てる側近らの傍、霊鳳はニヤリと笑みをこぼした。

 

 

「ここから紫伯の五千を右翼に送れ、中央にも予備を全て出せ!」

 

「ハッ! 」

 

 

中央本陣の右翼側で待機していた五千の騎兵が馬を動かした。残りの四千の騎馬は雁翔軍へ向けた。

 

 

「出るぞ」

 

「ハッ! 行くぞぉ! 」

 

『オオオオ! 』

 

 

魏火龍七師・紫伯の出撃を知らせる旗が上がる。

 

 

「呉鳳明様、あの旗は! 」

 

 

右翼へ紫伯様を!? なぜだ……

 

 

「報告ッ! 右翼にて貴皇出陣を確認しました」

 

「! 」

 

「なんじゃと!? 」

 

 

自ら討って出たか……なぜ出てきた貴皇ッ、そのまま本陣にいれば戦局はわからなかった!

お前の負けだ貴皇ッ!!

 

 

「予備軍を全て出すぞッ、二千を中央本陣へ! 残りは前線に、ここが正念場だ! 」

 

「ハハッ! 」

 

 

!!

 

 

いや待て……私は今…ゾッとしたことを考えた!? もし、貴皇が紫伯様を誘き出すために出てきたとしたら、それを知った貴皇ーー…

 

 

「貴皇様…中央からの援軍のようです」

 

 

"紫"の旗を確認した貴皇の口がニヤリと曲がる。

 

 

もし、笑ってるとしたらッ!

 

 

「報告ッ! 」

 

 

 

「次はなんだ! 」

 

「物見からの報告が入りましてッ、それが」

 

「なんーー…」

 

 

ウオオオオオ

 

 

「! 」

 

「!? 」

 

 

鳳明の瞳に映ったのは中央側の山岳から突如として現れた騎馬隊が平原に駆け下りて魏軍の横腹を突いている光景であった。

 

 

「バカな……あんな急斜面を登ってきたのか! 」

 

「あれはどこにいた敵だ!? 」

 

 

「中央の予備軍だ……」

 

 

「鳳明様……」

 

 

鳳明の思う通りの中央本陣にいた尚相率いる七千の騎馬隊であった。そして秦軍後方からも歩兵千人程度が進軍してきた。

 

 

「…………ッ"挟撃"か…」

 

「ジィ? 」

 

 

「膠将軍! 将軍はどこか! 」

 

 

「! 」

 

「どうした! 」

 

 

「報告! 中央の戦場では王騎軍左翼から五千の騎兵団がここと同じく魏軍を側面を奇襲しております! 」

 

 

「な、なんだと! 」

 

 

「どこの隊だ!? 」

 

 

「ハッ、王騎軍左翼の尚相率いる五千の予備軍です! 」

 

 

「おお! 」

 

「しかし、独断とのこと! 」

 

「バカな、王騎様の命ではないのか!? 」

 

「それでは……軍律を破ったのか!? 」

 

「いや、今はそれどころではないッ、まずは正面から敵を押仕込み"挟撃"を完成させるぞ! 」

 

『オオ! 』

 

 

「報告! 」

 

 

「! 」

 

「次はなんだ!」

 

 

「王騎軍左翼でも中央の残りの予備軍を率いた貴皇様が同じように襲っています! 」

 

「な…」

 

 

まさかーー

 

 

それは同じように魏軍の大将達にも報告されていた。

 

 

「もはや負け戦となった! 鳳明に伝達を出して後退を命じらろ! 私もすぐに出る」

 

『ハ! 』

 

「殿は我々が、右翼は紫伯様の軍が務めます!」

 

「頼んだ! 」

 

 

この屈辱ッ…いつか!

 

 

馬に跨いだ鳳明は血管を浮かび上がらせ、瞬時に指示を出し撤退した。

そして魏軍右翼では、未だ指示が出ずにいた。

 

 

バカなーー…

 

 

「マ、マズイッ」

 

「鳳明様どうなされますか!? 」

 

「挟撃をされ、もはや防衛網も機能されず、抜かれます! 」

 

「呉鳳明様ッ」

 

「鳳明様ッ! 」

 

 

あり得ない…全ての戦場で"挟撃"が起きるなど……

 

 

「クッ、私は今から霊鳳様と合流し、撤退する……我々の惨敗だ」

 

 

そして左翼ではーー…

 

 

オオオオオオオオオオ!!

 

 

「………………」

 

「……………」

 

 

戦場の中央に円ができていた。両軍の兵達は交戦しながらも円の中央にいる二人を気にしていた。

もちろんそれは貴皇と紫伯であった。何も起きず、ジッと貴皇は仮面越しから紫伯の目を見つめていた。

 

 

「(………………)」

 

 

先に仕掛けたのは紫伯であった。ほぼ同時に馬を走らせた。

 

 

紫伯………

 

 

「ルォオオ! 」

 

 

最終決戦はここ左翼なり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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