キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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遅れてごめんさい……徹夜だぜ! みんなはよく寝てね


12話 "決着"

 

 

 集楽平原・二日目、貴皇とその側近らしか知らなかった作戦・"挟撃"は全戦場で成功し魏軍は崩壊、全滅の危機に陥っていた。

 

「膠、敵の防衛線は崩れた。このまま敵将取っちまおうぜ! 」

 

「……いや後のことはお前達に任せる! 私は五百程度を引き連れて左翼へ行く」

 

「了解! 行くぞお前ら! 」

 

 

『オオ! 』

 

 

 右翼はもはや一方的であった。それは中央も同じく、しかし王騎軍左翼は未だ報告がない為、膠は急ぎ救援に向かった。その途中森を抜けたところで騎馬達を見つけた。

 

「ジィ! 」

 

「膠か! なんでここにいる!? 」

 

「ジィこそなんで? 」

 

「ワシは今から五百を引き連れて左翼に向かう。物見の報告では"紫伯"が左翼へ向かったとお前もか?」

 

「そんなこと聞いてない! 私は左翼から報告がないから……ッ王騎様が危ない! 」

 

「膠は王騎の元へ向かえ! ワシは隊を率いて紫伯軍を迎え討つ」

 

「わかった! ジィも気をつけろ! 」

 

「ああ! 」

 

 二手に別れた隊は中央を抜け、秦軍左翼へと合流した。 昌文君が出たのは左翼の戦場を見渡せる丘であった、戦場は敵味方の見分けがつけられないほどの激しい乱戦となっていた。

 

「…………」

 

「…………」

 

「殿! あそこを」

 

 一人の兵士が指を指した方向には戦場の中央にハッキリと開けた場所があった。

 

 

 あれは──紫伯かッ!! それと貴皇!

 

「行くぞッ! 」

 

 紫伯との一騎打ちは一進一退……お互いの膂力と速さは人知を超えていた。

 相手が槍を突けばそれを弾き、また突いては弾き飛ばすを繰り返していたが、お互い徐々に擦り傷を増やしていった。

 

「"龍指(りゅうし)"」

 

 貴皇から放たれた槍は弾かれ、逆に突かれる。

 

「クッ! 」

 

「あ、貴皇様ッ! 」

 

 貴皇にハッキリとした傷がついた。

 

 

 このままではっ──……

 

 

「貴皇様お下がりを後は我々がッ! 」

 

 最悪を予期し駆け寄ろうとした騎兵達であったが、貴皇が槍を横に突き出して制止した。

 

「よい、黙ってみていろ」

 

「で、ですが──……」

 

「貴様らの相手は俺だッ」

 

「グオ! 」

 

「貴様、主人に泥を塗るのかッ!? 」

 

「な、なんだと! 」

 

「武将同士の決闘はどちらが死ぬまで手出してはいけないのを知らんのか!? 我々だって耐えているのだ! 」

 

「クッ! 」

 

 

 オオオオオオオ! 

 

 

「王騎様! ご無事ですか!? 」

 

「膠! 」

 

「急ぎ援軍に来ました、隆国(りゅうこく)戦局は? 」

 

「謄、録音未、干央軍が敵を押し込んでいるが敵も死に物狂いだ、謄様は乱美白と相対しているせいで全体が総崩れしない」

 

「…………紫伯は誰が? 」

 

「紫伯は撤退したのではないか? 」

 

「いやさっき昌文君と会った時に紫伯が左翼に出たと! 」

 

「何……そんな報告は来ていないぞ、撤退したのではないのか? 」

 

「物見からの報告は一切ありません……ですが報告は一定的に行うのですが、前の報告から一回も会っていませんね……」

 

 

「急報! 」

 

 

「ん? 貴様は誰だ! 報告係ではないな!? 」

 

 初見の顔に近衛兵が構えるがそれを見た兵は馬に急ブレーキをかけた。

 

「お、お待ちよ! 流れ矢で戦死した国安に変わりの代理で来ました! 戦場の中央にて総大将貴皇自らあの紫伯と一騎打ちを! 」

 

 

「な」

 

『何だと!? 』

 

 

 貴皇さん…………

 

 

 この報告には冷や汗を流した王騎は戦場を見渡せる丘の先に馬を動かした。

 

「………………」

 

「……王騎様? 」

 

「ンフゥ、あそこですかねぇ? 」

 

「え? 」

 

 王騎が指を指す所は各場所で乱戦の熱気が上がる中で唯一、砂煙が立っていない場所であった。

 

 

 その場所では集落平原の終結を左右する一騎打ちが行われ、兵達は固唾を飲んで見守っていた。もはや人間の領域を超えた至高の戦い、兵士達は冷や汗を流し、どこか憧れを顔に浮かべていた。

 

 

「……ハァ、ハァ……ハァ」

 

「……ッ……ハァ、ハァ」

 

 

 次の一撃で……

 

 終わる……終わるぞッ……!! 

 

 

『ハッ』

 

 両方とも血を流し鎧も砕け、頭も回らず残っているのはただ目の前の敵を叩きのめすのみ

 

「ォォオオオオッ! 」

 

「ルァア! 」

 

「"龍指"」

 

 

 

 

 

 

『いいか貴皇……お前の槍は"型"にはまらない"我流"だ。その歳で"龍指"を使いこなした。これからより鍛錬すればお前だけの技を見つけるだろうと儂は確信している』

 

 

『お前と戦場に出るのがこれほど待ち遠しいことはないぞ──……』

 

 

 

 

 見てろよ親父……これが俺の十五年だッ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"龍牙(りゅうが)"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 極みへと化した紫伯の槍は貴皇に達することなく砕かれた。

 

 

「!?!?」

 

 

 な、何が……ッ

 

 

 それは槍の紫伯と言われた達人紫伯でも何が起こったか判断が付かない。

 そして気づけば紫伯の胸に半分刺さりかけていた

 

 

「チッ! 」

 

 

 紫伯は反射的に後ろに下がった。流石と言える動きだが傷口は深く、血が流れ視界がボヤける。

 槍を持ち替えた貴皇は顔に槍を()()()()()。そのまま紫伯は後ろから落馬した。

 

「ウォォ貴皇様ァッ!! 」

 

「総大将貴皇様自ら紫伯を討ち取ったぞ! 」

 

「オオオオ! 」

 

「そ……そんな」

 

「紫伯様が……」

 

 

 魏兵の動揺は激しく、武器を落とす者も出た。

 

 

「貴皇様お見事です」

 

「! 尚相……中央は? 」

 

「ハッ……壊滅的被害を出して撤退していきました。今すぐ後方に下がり手当てを……」

 

「いや俺よりこの男を治療してやれ、まだ生きている……聞きたいことがあるゆえ決して殺すな」

 

「……ハッ、衛生兵! 」

 

「抵抗するな貴様ら、投降しろ」

 

「クッ」

 

 周りの殆どの兵は抵抗することなく降伏した。

 

 

『オオオオオオオオオ!! 』

 

 

「な、なんだこの歓声は」

 

「味方のだ! 」

 

「ってことは貴皇が紫伯を? 」

 

「急報ッ……中央にて総大将が魏火龍・紫伯を討ち取ったと!!」

 

『ウ、ウォォオオ! 』

 

 

 あ、あの紫伯を……ッ

 

 

 膠は苦虫を噛んだようにどこか喜ばずにいた。

 

 

「ムフフフフフフ……やりましたね貴皇さん」

 

 

 そっからは簡単であった。なんとか粘っていた防衛線は崩壊、王騎軍が雪崩れ込み、生き残った乱美白とその兵は逃走、魏軍の完全な敗亡を歴史に残した。

 

 ここにて集落平原の戦争は秦軍の完全勝利として幕を閉じた。

 

『オオオオオオ!! 』

 

「捕虜には一切手を出すな……兵達にもそれを……伝えろ……手出しは許さぬ……と」

 

「ハ、ハッ!! 」

 

「貴皇様は急ぎ治療をッ! 血の量が尋常ではありません」

 

「尚相……尚深から何か報告は……ないか? 」

 

「……逃げた総大将の後のことですね? 」

 

「あぁ、開戦前から仕掛けておいたやつだ」

 

 

 開戦前に秦軍右翼で尚深が弓を打つあの謎の行動は、別働隊で隠れていた影楼隊への指示する矢の音であった。

 霊鳳が逃げる退路の近くに影楼隊を配置するという行動を開戦前から仕掛けていたことを王騎軍将校らは知った。

 

 

 その為に右翼は初日を…………

 

 

 そんなことをしていたとは…………

 

 

「それが尚深より霊鳳を討ち取りに失敗したと……」

 

「そう……か」

 

「隊長の影楼は隊を率いてこちらに来ているとのこと……それよりも早く後方で手当てを……」

 

「……う……」

 

「貴皇様!! 」

 

 上半身が倒れたと思いきやそのまま無力に馬から滑り落ちた貴皇を支えた歩兵達。

 

「な、熱い」

 

「尚相様! とてつもない高熱です」

 

「い、今すぐ天幕の中にお連れしろ!! 私は衛生兵を呼んでくる」

 

「ハッ! 」

 

 そこに一頭の馬が走りこんできた。

 

「貴皇様!!! 」

 

 貴皇直轄の隊の隊長影楼であった。馬を止めることなく飛び降り、貴皇の元へと走った。

 

「なんてことにッ、まずは肩の血を止めないと! 」

 

 顔に巻いていた布を取り始めた。

 

「!! 」

 

「! 」

 

 

 影楼は……()だったのか

 

 

「(美しい……)」

 

「何をやっている手伝え! 」

 

「ハ、ハハァ! 」

 

 

 ボロ布の下から出てきたのまるで戦場とはかけ離れた美女であった。影楼の迅速な応急処置によって一命を取り留めたその夜、貴皇はうなされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだここは……俺は死んだのか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴皇は一人、巨木が何本もそびえ立つ暗い森にポツンと立っていた。

 

 

 どうやら死んではなさそうだな

 

 

 ドス──ン

 

 

「ん? 」

 

 静まり返った森で何かが倒れる音を聞き取る。その音の場所に近づくと徐々に地が揺れ始める。

 

 ドスン! 

 

 ドスン!! 

 

 そしてその音の発生源は木が倒れていることを知った。そしてその場所には一人の人間が微動だにせずに立っていた。

 

 

 

 

 

 

 なんだあいつは……

 

 

 

 ぴく

 

 

 

「天が恐れる者が増えたか……」

 

 

 

 

「天が恐れるは我一人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我、武神」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龐煖也」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




急ぎで書いたため誤字があると思いますので報告のほうよろしくどうぞ

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