キングダム 〜俺は俺の為だけに生きるぉ!〜   作:丸の内 幹太郎

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3話 "城主"

『急報! 貴華様はどちらか!? 』

 

 

貴羅が戦さ場に向かい、数日が経った夜のことだった。先に耳に入れたのは母・貴華であった。

 

 

「何……貴羅様が戦死………? 」

 

「……間違いでございませんッ! 前線では"魏"との戦途中に"超"が"魏"と参戦……貴羅様は討たれ、貴羅軍は敗走しました………」

 

 

それに貴華はぺたりと地面に座り込んでしまった。

 

 

殿……ーーー

 

 

「貴羅様を討ったのはあの"趙三大天・趙奢(ちょうしゃ)です!! 」

 

「な、なんじゃと!!! 」

 

「"大天"の旗は確かにあったのか!? 」

 

「はいしかとこの目で見ました! 敗走した兵は別々となって城に入ったと報告も来ています! それを追って"超""魏"の連合軍は藍城(らんじょう)銀城(ぎんじょう)を落としこちらに向かって侵攻中です!その数六万! 」

 

「何!? 藍城と銀城を! 」

 

「マズイ! 後五日でここまで来るぞ! 」

 

「逃げるしかない! 六万の軍を相手にする程の軍はここにはない……」

 

文官達が慌て始め、残った武官達も逃げ腰であった。

 

 

「待て! 」

 

 

大広間に響く一言の声にピタリと静まり返る。

 

 

「貴皇様………」

 

「貴皇! 父君がーーー」

 

 

やはり、この世を去ったか父上……

 

 

尚角(しょうかく)! 」

 

 

だが今は悲しんでいる暇はない!

 

 

「ハ、ハッ! 」

 

「兵糧の数を正確に調べよ……」

 

「! 」

 

「若! 」

 

尚深(しょふか)! 」

 

「近隣の"城主"に文を出せ、父の名で出せば援軍を出してくれる筈だ」

 

「ハッ! すぐに」

 

尚相(しょうしょう)

 

「ハッ! 」

 

「全ての門を固く閉ざせ! 城壁に兵を登らせろ……尚相」

 

「ハッ」

 

「お前が正面の将になり、指示を出せ! 」

 

「!! ハッ!! 」

 

 

父上…ーー見ていてください

 

 

「いいかよく聞け皆の者! 父が討たれた今、"城主"はこの私になった…」

 

「………」

 

「………」

 

「私の指示一つでこの地域の秦人が死ぬか、生きるかを左右され、そして私を支えるお前達の考え一つで数千数万の秦人の人生を変え、そして国の未来を大きく変える! 」

「王があり、国ではない、 "民があり、国なのだ"!私にはそれを守る義務がある。父の意思を継ぐためにも! 」

 

『戦うぞ! 』

 

 

『ハハッ!!!!! 』

 

 

よし、この十年で身につけた知恵と前世の知恵をここで役に立たせる時だ!

 

 

貴皇の言葉一つで文官、武官達の心は『戦う」の一つに一致団結、抱拳礼を行い、貴皇への忠義を示した。

 

 

「よし、南壁にはーーー 」

 

 

隅の方で呆然としていた貴華は貴皇の姿を夫・貴羅の面影を感じ、涙を流した。

 

 

貴方…ーーー

 

 

「ーー…母上」

 

「は、はい」

 

「母は今すぐ咸陽へ向かってください」

 

「な、私もここに残り戦います! 」

 

「母上がここに残っても意味はない! 」

 

「…ーー!」

 

「母上がここですることは何もない! すぐにここを発ち、咸陽へ!乱獲」

 

「ハ! 」

 

「母上にお伴して咸陽へ、数十人の護衛をつけ出ろ! 」

 

 

「皇! 」

 

 

見つめ合った二人は少し黙り込んだが、貴華の目に迷いは消えた。

 

 

「……"()()"、ご武運を」

 

「……母もご無事で」

 

 

 

 

南壁から貴華を乗せた騎馬隊は馬を急がせ、咸陽へと向かう後ろ姿を望楼(ぼうろう)から見送った。

 

 

「実はお優しいのですね。」

 

 

うッ……心が

 

 

後ろに控えていた尚角が口を開き、その言葉に他の尚深、尚相はピクリと反応し、尚角を睨みつけた。

 

 

「尚角無礼であろう! 」

 

「城主に向け、なんというものいい 」

 

 

そうだもっと言え! 尚角も……俺の気になってることを…女官達も怖がられて避けられてるの知っていいやがったな!?

クソッタレ敵やる前にコイツからヤッテヤロウカ!? あぁ!?

 

てか、バレてたのか?

 

……まぁなんと思われようとも

 

 

ーーーーーー唯一の母だ。大切にするのは当然だろ

 

 

「"城主"様、全員揃いました! 」

 

「わかった……」

 

やるぞ…生き残ってみせるッ、例え子供を殺しても!

 

「これから軍議に入るぞ!」

 

「ハ!!」

 

 

 

 

 

 

城に移動した貴皇達は床に周辺の地図を敷き、それを囲む、文官達と将校達は自分の知恵を出し合った。

 

 

「こちらに向かっているとなると……二日後には幹城(みきじょう)を落とすと仮定するとこの一本道しかありません。」

 

 

幹城はここ剛城(こうじょう)の山を挟んで一つ手前に城。ここ剛城を落とすには山を越えなければならない為、幹城と剛城を繋げるが道は一つしかないことに視点を置いた。

 

 

「幹城側とこの道の山肌は急斜面になっている。しかも道幅は広くなく、ここで戦さをすれば全ての敵を相手にしなくても時間は稼げる! 」

 

「ここで敵を止めれば中央からの援軍も望めるぞ」

 

「オオ! 」

 

 

おお、確かにそれはいいな!! やっぱりみんな集めてよかったな! うんうん!それでいこう

 

「ーーーよ」

 

 

「いや中央は渋るかもしれない……」

 

「何!? 」

 

 

なに!?!

 

 

「いやそれはない、ここ剛城が落ちれば本当にここいら一帯は秦国に深くに攻め入れる要所となってしまう! 」

 

「秦国は現在全ての国と戦さをしている…特に問題になっているのはこことは逆の"楚軍"だ」

 

「ッ 」

 

「他と比べて戦局は悪く、逆に攻め込まれてる……」

 

 

秦国は"趙"へ今も侵攻中だ……もしここを失っても対して痛くはないのか?

いやここを取られたら"趙"への侵攻は泥沼になるぞ!

 

 

「………そうならない為に貴華様を送られたのだ」

 

 

ん? なんのこと?

 

 

「尚相ッ 」

 

「貴華様は中央にお知り合いも多い…もしもの時に役に立つと貴皇様は考えられたのだ。」

 

「……………」

 

「な……」

 

 

いやただ俺は敵がどこまで攻めてくるかわからないから念には念をとおもって咸陽へ送っただけなんだが、母は強情だから強くいっただけだったんだけどな〜、なにを勘違いしてーーーおいなんだお前ら俺も見て、俺がそこまで考えてたとでもいいたいのか。

 

 

ーーーーうん、そういうことにしておこう。

 

 

「"武"を打ち合うだけでは、この戦国時代は生き残れんだろ」

 

「!! 」

 

「! 」

 

 

あ、そうだ

 

 

「…ーー影楼(かげろう)

 

「ハッ 」

 

「! 」

 

「(コイツいつのまに……! )」

 

 

ロウソクの光で出来た影の中から黒尽くめの男がヌッと出てきた。嫌な異臭を放つその人物に誰もが警戒した。

 

 

「…ーー影楼、"敵は外だけにあらず"だ。行け 」

 

 

"敵は外だけにはあらず"とある戦国武将が残した名言をこの時に思い出した貴皇。

これが戦を大きく変えることになるとはまだ誰も知らない……

 

 

その時扉がバッと開き、一人の文官が入ってくる。

 

 

「どうした! 」

 

「正面の門に五百から千程度の騎兵がッ! 」

 

「敵か!? 」

 

 

 

「いや、敗走兵だーーー」

 

 

 

「どこの兵かわかるか? 」

 

「ハッ、き、貴羅様の親衛隊です……」

 

()()()()()()()

 

「! 」

 

「! 」

 

「城主! そのような言葉はーー」

 

「尚相──ーここへ呼べ……父の最後を聞きたい」

 

「………ハッ」

 

 




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